カレル・ヴァン・ウォルフレンの日本分析 2.0

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16 ◆JeacknUANQ

/// 〈システム〉に仕える人びと 4 ////////////////

 日本の教育の目標は、英語の education という言葉の原義 "精神の諸力を生み育てる" から
遠くかけ離れており、単に事実情報を伝えることにとどまっていると思われる。生徒に合理的に
考える能力を錬磨させるどころか、日本の教育制度はこのような目標には冷淡である。
自発的に考え、自発的に行動することは、ほぼすべての学校で組織的に抑えられてしまう。
独創性に対する許容度が低いのである。生徒は、論理的に思考したり、当を得た質問を −
いや、実際には、どんな質問もいっさい − しないよう教育される。逆に、丸暗記に重点が
おかれる。だから、日本で "成績がいい" 学生の頭の中には、膨大な量のデータが詰まっている。
(逆の仮説をするならば)もし学生がそのデータを体系化し、そこから整った人生観を
見い出せたとしても、自力でそうしなければならなかったのである。ある教育問題の専門家は
次のように言っている。教育の目的は「テクノ=メリトクラート(試験評価で選抜された
専門技術者)制に必要な、志気と技術をもった労働者階層を養成することである。
テクノ=メリトクラート社会には、厳格な身分制と細かい調整のゆきとどいた組織社会
という環境の中で、着実にその能力を発揮できる社会意識をもった個人が必要だからである」。

////////////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///