・『年越し派遣村』の実行委員会が6月30日で解散した。半年の節目を迎えたことと、村民らの生活が
落ち着いてきたためという。
失業者らの集落は、派遣切りの深刻さを可視化させた。
しかし、村を取材して多くの違和感を覚えたのも事実。そんな思いを1月当時、「本当に村民たち全員が、
働く意欲があるのだろうか。取材すると『何だかなぁ』と思うことがある」と書いたところ、多くの反響をいただいた。
「生活苦は自己責任。アリとキリギリスの寓話みたいなもの」といった同感がある一方、「生活苦を強いる
社会が悪い」という反発も強かった。
あれから半年。解散を前にした6月末、実行委がまとめた村民アンケート結果が興味深かった。
村の登録者は630人。うち実行委が住所を把握しているのは260人。回答を寄せたのは2割に
満たない108人。就労確認された人となると、わずか13人。
村にいた当時、村民らは「職安に行く金すらない!」「住所が定まらないと面接で相手にされない!」と
悲鳴を上げていた。村民らのシュプレヒコールに押され、厚労省が渋々、緊急貸し付けや希望者全員の
生活保護を認めた異例の経緯がある。
それでも就職が確認できたのは13人。実行委では「年齢や学歴、過去の就業歴などで不利な条件を
背負っている人も多い」とかばう。「自己責任論ではなく、社会のセーフティーネット整備こそ、急ぐべきだ」とも
強調する。もちろん、そういう面もあろう。
でも、アンケートには「無断欠勤したら解雇された」「役所の担当者がいじわる」「何もしたくない状態が
続いている」といった声も。そんな記述を読むと、やっぱり「何だかなぁ。派遣村」と、思わずにいられない。
自己責任が貧困を招くケースもあるのだ。
年末年始の格好のニュースとなったこともあり、派遣村に寄せられた寄付は5千万円に達したという。
実行委の1人は当初、「2月にもネットで中間報告したい」と言っていた。
しかし、公表されることなく解散してしまった。最後まで「何だかなぁ。派遣村」である。(副編集長 赤堀正卓)(一部略)
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/090713/trd0907130833006-n1.htm