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『大人養成講座』扶桑社
第4章 困った相手に対する会話術
義務感で演技を続ける「あの人たち」に、あたたかいまなざしを!
こんなこと言ったら、あの人達はきっと怒るでしょう。
でも、これだけは、どうしても避けて通るわけにはいきません。
きっとあなただって、あの人たちにどう対処していいか悩んだ経験があるはずです。
あの人たちとは、そう「大阪人」です。
とくに東京における大阪人ですね。
言葉が違うとか、声が大きいとか、うどんの色に文句をつけるとか、そんなのはささいなこと。
会話にボケとツッコミを織り交ぜようが、デパートで値切ろうが、
信号が青に変わる前に歩き出そうが、そんなことはどうでもいいんです。
問題はディテールにあるのではありません。
まず、なぜ大阪人は、日本のどこに行っても大阪弁を捨てないかということについて考えてみましょう。
東北や九州の人が標準語をマスターできて、大阪人にだけできないという道理はありません。
マスターする気がないだけです。
大阪人にとっては「大阪人らしい自分」をアピールする事が、あんなに堂々と生きるための原動力、
大阪弁という、大阪人の看板を捨ててしまったら、アイデンティティのよりどころを失い、
とたんに路頭に迷ってしまうでしょう。
というわけで、大人としては一生懸命、大阪人を演じている彼らを、
あたたかい目で見てあげなくてはなりません。
あのガサツさも、あの図々しさも、あの馴れ馴れしさも、彼に責任があるわけじゃなく、
大阪人としての義務感が彼をそうさせているにすぎないのです。
722 :
2/2:2009/10/20(火) 16:43:05 ID:???
何かというと「大阪が最高」「東京は気に食わん」を連発しますが、
それも、ひとりひとりが大阪人の代表という意識と、異文化を成敗する気構えを持っているからこそ。
かと言って、ご機嫌をとるつもりで「大阪のお好み焼きはおいしいよね」
「吉本の人って、おもしろいよね」などと、うかつに大阪をほめるのは禁物です。
大阪人は「ヨソモンが大阪のよさがわかってたまるか」と思っていますから、
せっかく気をつかってあげたのに「東京の人はすぐ、そう言うわな」などと鼻で笑います。
ひたすら、向こうに自慢話を話すきっかけを与え続けるのが、もっとも面倒がありません。
相手の意思を尊重するのが大人ですから、向こうが大阪人を存分に演じやすいように、
こっちも一生懸命「東京人」(あなたが東京出身かどうかは関係ありません)を演じてあげましょう。
は〜ぁ、世話の焼ける人達ですね。
【ひとくちメモ】
弁解がましく聞こえるかもしれませんが、ここでいう「大阪人」とは、
単に大阪出身の人という意味ではなく、「大阪人」であることをプライドのよりどころにして生きることを選んだ人のことをさします。
【ポイント】
大阪人はいつも、「大阪人である自分」を意識して行動する。
【さらにステップアップ】
会話の端々に「そういうお店って、大阪にしかないね」「大阪らしい考え方だね」など、
感心したような一言を織り交ぜてあげると、彼らの努力も報われるというものです。
【気をつけましょう】
他愛もない自慢話にケチをつけるのは、もっともっとおそろしいこと。
「フグは大阪がいちばん」と言い出したら、たとえあなたが下関の出身でも、
素直にうなずきましょう。
大阪人相手にムキになって反論するようでは、大人とは言えません。
※大阪人の前で江戸っ子がタンカを切るイラストあり
「命が惜しかったら、決して実行するべからず」のキャプション付き