高山正之☆新潮「変見自在」

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7名無しさんの主張
 しかし日本の敗勢が濃くなると、彼は世話になった
日本に「弓を引く」と通告する。日本についていれば
ビルマ人の国は永遠に取り戻せない。それを察してほ
しい、と。
 このくだりを英戦史家ルイス・アレンが『日本軍が
銃をおいた日』の中で感激して詳述している。
 しかし英国はアウンサンの真情を許さず、ビルマの
独立は認めたものの、彼は暗殺される。
 そして半世紀。世界から忘れ去られている間にビル
マ人は中国の共産ゲリラと戦い、鎖国政策をとって華
僑たちが愛想をつかして出て行くのを待ち、英国の手
先だった山岳民族とも和解して再建を図った。
 そのしるしにビルマ人の国ビルマという国名を、五
族協和を意味するミャンマーに改めている。日本人の
国、日本をやめてしまうというのと同じ大決断だ。
8名無しさんの主張:04/10/11 06:18:39
 そこまでまとめて軍事政権が退こうとしたとき、ア
ウンサンの娘スーチーを英国が戻してきた。彼女は父
の暗殺のあと英国に引き取られて三十年も暮らし、英
国人と結婚もしていた。
 いわば英国の代理人でもある彼女のもとに、かつて
植民地時代に英国の下でいい思いをした華僑や山岳民
族が結集し一大政治勢力と化していった。
 ビルマ人がやっと取り戻した祖国。それを再び植民
地時代に引き戻す英国の動きにビルマ人が怒り、再び
軍事政権が帰ってきた。ビルマの苦悩は続く。
9名無しさんの主張:04/10/11 06:19:33
 世の中、馬鹿が多い。先日の朝日新聞のコラムでア
ジア総局長真田某がミャンマーの「民主化の遅れ」を
さかんに嘆いていた。
 彼はその前にもASEM拡大問題で英国がスーチー
の弾圧を口実にミャンマーの加盟に大反発したと報じ
ていた。ビルマをぶち壊した英国が何か言うなら「申
し訳ない」だろうが。
 彼はビルマを中国より酷い独裁国家風に書く。でも
これが中国ならスーチーに十六年間もぶーたれさせず
にとっくに始末している。
 ビルマは心優しい国だと思わないのだろうか。
 そのミャンマーのエネルギー支援に日本が三十億円
出すと言ったらまた朝日が非難がましく書きたてた。
 日本人は、心のかようビルマに金を出す方が、北朝
鮮に五十億円出すよりははるかにましだと思っている。
(終)