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名無しさんの主張:
人間に近縁なゴリラやチンパンジーなどの類人猿を観察していると、彼らが人間と似通った心を
持っていることがわかる。
類人猿に比べて人間と遠縁のニホンザルは、優劣関係を忠実に守って行動している。強いサルに攻撃されると、
よく自分より弱いサルを攻撃する。けんかが起これば、強い方に加勢する。優劣関係に従えば反撃されない。
勝者をつくることがけんかを収める最適な方法なのだ。劣位なサルは優位なサルの視線を常に気にして暮らす。
つまりサルたちは、不平等を顕在化させることによって共存を可能にしているのである。
ところが、より人間に近いゴリラやチンパンジーは、あいさつや遊びの際に弱い方が強い方をじっと見つめる
ことがある。第三者がけんかを仲裁する際や、食物の分配を要求する際にも見られる。仲裁者は弱い方に加勢し、
食物分配は弱い方の要求から行われる。
視線は相手の行為をとがめ、押さえ込む効果をもつ。遊びも年少者が主導権を握り、年長者が力を抑制しなければ
続かない。サルとは逆に類人猿は、力をもつの抑制によって共存を可能にする傾向があるのだ。
サルのような弱者への圧迫か、類人猿のような強者の自制か。さて、現在の人間の行動はどちらに近いだろうか。
(中略)
大事なのは、人間でもそれが言葉ではなく、しぐさや態度で相手の心の動きを察知できるような密接な付き合い
によって習得されるという点だ。現代の心の病は、付き合い方がメールのようなものに頼るばかりで、この五感を
通じた社会性が失われてきたことに起因するのではないか。このごろ、そう思えてならない。