小説 愛の蹉跌

199名無しさん@入浴中
彼女は生きる道を見つけたんだ。お前が敵をとる必要なんて、そもそも無かったんだよ。
岡野芙美江さんは強くたくましい女性に成長したのだからね。」(安羅木)『・・・・・』
安羅木は、無言のままテレビ画面を見つめる。お世辞にも美人とは言えない岡野芙美江であったが、
とても魅力的な女性に感じられてくる。対して、彼を陥れた本間恵美子(ニセ岡野芙美江)は、悪魔ではないのか?
本間恵美子は、なりすましだったから、道理で埼玉県警・秩父東警察署の捜査線上に佐山治殺害の重要参考人
として浮上しなかったのだ。安羅木の脳裏に当初から蠢いていた疑念。それが一挙に氷解していく。
そして、本間恵美子に対する怨念が沸々とマグマのごとく煮えくりかえっていった。
(安羅木)『刑事さん。』(大崎)「あ?」(安羅木)『私は、自分がしたことの罪を償います。
死刑判決が出ようとも控訴せずにそれを受け入れる覚悟です。で、でも、
私を罠にハメた本間恵美子は何も罪に問われないのでしょうか?そ、それが、納得いきません!』
安羅木は悔し涙から声がかすれていた。(大崎)「残念ながら、それは無理だね。」