日本国内での伝播 [編集]
日本におけるアルミニウム原因説の広がりは、1996年3月15日に毎日新聞朝刊により報道されたことによる。記事では、
1976年にカナダのある病理学者がアルツハイマー患者の脳から健常者の数十倍の濃度のアルミニウムを検出した例や、
脳に達しないという見方が大勢であったアルミニウムイオンが血液脳関門を突破することが明らかになったことなどを紹介している。
この記事は、1面ではなく家庭欄のベタ記事扱いであったが大きな反響を呼び、後に読売新聞、朝日新聞なども同様の記事を掲載した。
これら報道により、既に海外では下火となっていたアルミニウム原因説が、日本では次第に有力視されるようになった。消費者の一部には、
一般的に調理で用いられるアルミ鍋やアルミニウムを含む薬剤でろ過する上水道水に対して拒絶する動きが起こり、
高価な鍋セットや浄水器を販売する悪徳商法も盛んになるなどの余波も生じた。
因果関係について [編集]
アルミニウムとアルツハイマー病発症との因果関係は、完全には否定されていないが、世界的に認められているというわけでもない。
業界団体である日本アルミニウム協会などはもとより、アメリカ食品医薬品局も、アルミニウムとアルツハイマーの関係を否定している。[5]
学会等で発表される事例も、日本人の手によるものの他は僅かである。現在では、アルツハイマーの発症原因のほとんどが、
遺伝子そのものの変異や外的要因(前出の疫学の項を参照)など複数の要素が考えられている。
一方、人工透析器にアルミニウムが使用されていたため患者に痴呆が発生した事件は確認されているが、これは
血液に直接アルミニウムが流れた事例であるので、経口摂取と同列に論じる事ができるかと言う点について確認されていない。
リスク [編集]
日常生活で摂取する量での影響(リスク)について、過度に心配する必要はない。また、欠乏症もないと考えられているため、
敢えて摂取する必要もない。[6]