アルツハイマー型認知症(あるつはいまーがたにんちしょう、Alzheimer's disease; AD)は、認知機能低下、
人格の変化を主な症状とする認知症の一種である。日本では、認知症のうちでも脳血管性認知症、レビー小体病と並んで
最も多いタイプである。
アルツハイマー型認知症には、以下の2つのタイプがある。
家族性アルツハイマー病(Familial AD; FAD)
完全な常染色体優性のメンデル型の遺伝パターンを示すもの。遺伝性アルツハイマー病ともよばれる。
アルツハイマー型老年認知症(Senile dementia with Alzheimer's type; SDAT)
アルツハイマー型認知症の中でほとんどを占める。老年期(60歳以上)に発症するもの。
歴史 [編集]
世界で最初の患者になったアウグステ・D
「アルツハイマー型」の名は、最初の症例報告を行ったドイツの精神医学者アロイス・アルツハイマーに由来している。
アルツハイマーはドイツ精神医学の大家、エミール・クレペリンの指導のもと、ルードウィヒ・マキシミリアン大学で
研究活動に従事していた(なお、「レビー小体型認知症」にその名を残すフレデリック・レビーも同じ時期同教室に在籍している)。
アルツハイマーは、1901年に嫉妬妄想などを主訴としてはじめてアルツハイマーの元を訪れた、世界最初の患者アウグステ・
D(Auguste Deter)に関する症例を、1906年にチュービンゲンのドイツ南西医学会で発表した。
また、翌年『精神医学およ法精神医学に関する総合雑誌』に論文を発表した。その後、この症例はクレペリンの著述になる精神医学の
教科書で大きく取り上げられ、「アルツハイマー型痴呆(アルツハイマー病)」として広く知られるようになった。
現在は医学用語としては若年層の発症したものを、狭義の「アルツハイマー病」と呼び、60歳以上の高齢者に発症したものを
「アルツハイマー型老年認知症」と呼んで区別している。これらの分類は、新薬が出てきた現代では重要度がましてくると推測される。