依存性をもつ物質は、ドパミン神経系(脳内の報酬系)を賦活することで作用するが、連用によりドパミン
受容体がダウンレギュレーション(受容体の数を減らして適応すること)する。そのため、以前と同じ量の物質を摂取しても
快の感覚が小さくなる。これが耐性である。
また、ダウンレギュレーションした状態では、外部からの物質摂取がないとドパミン系の神経伝達が低下した状態になる。
この状態が離脱症状であり、自覚的には不安症状やイライラ感など不愉快な気分を生じる。
快感状態を伴わない依存も存在する。携帯依存などでは携帯によるコミュニケーションが妨げられている状態に置かれた際扁桃体により
伝達された不安症状が海馬や大脳皮質と言った高位脳で抑制できなくなり、離脱症状に似た不安症状やイライラ感が生じることとなる。
このような依存の場合、基本的に報酬系による快感状態からの離脱が不快の起点となるわけではなく、不安といったような
不快そのものが起点となる。
遺伝的要因 [編集]
依存症には、遺伝的要因も関与すると考えられている。例えば、アルコールについては特定の遺伝子情報により依存化に対する耐性の
強弱があると推測されている。喫煙においても同様の遺伝要因が推測されている。
社会への影響 [編集]
合法非合法問わず依存の形成された患者はその物質・行為を得る事のみに執着し、他の社会的責務を容易に放棄したり勉学意欲・
勤労意欲などを喪失する。結果として物質を得るための資金を入手するために犯罪行為を行ったり借金することをいとわなくなる。
依存者は対象への欲求が高く、たとえ高額であっても入手しようとするため、結果需給バランスが崩れ価格も高水準へ流れやすい。
依存が形成された者に対して、第三者が強制力をもって治療すること自体に公的費用がかかる。
このように社会に与える影響が大きいため、依存性の薬物の多くは法律や条例により所持使用や取引を禁止されている。
他方、アルコールやタバコなどについては嗜好性が高いため、未成年の喫飲などを制限している。また、上記の規制に入っていない
新規の薬物を脱法ドラッグ(時に合法ドラッグともいう)として流通させたり、これらを乱用する者もいる。