生理的要因 特に知能が低くなる疾患があるわけではないが、たまたま知能指数が低くて障害とみなされる範囲(IQ70または75以下)に
入ったというような場合。生理的要因の知的障害がある親からの遺伝や、知的障害がない親から偶然に知能指数が低くなる
遺伝子の組み合わせで生まれたことなどが原因である。合併症はないことが多く、健康状態は良好であることが多い。
知的障害者の大部分はこのタイプであり、知的障害は軽度・中度であることが多い。「単純性精神遅滞」などともいう。
心理的要因 現代日本ではあまり見られないが、養育者の虐待や会話の不足など、発育環境が原因で発生する知的障害。
リハビリによって知能が回復することが可能。関連用語に「情緒障害」がある[2]。また、離島や山岳地帯や船上などの刺激が
少ない環境で成育した児童の場合も、IQが低い場合が多い(知能指数#生活環境参照)。
IQテスト自体○や△など抽象的な図柄を見分けるといった文明社会に馴染んだ者にとって有利な問題となっている。
従って、都会生活を経験したことのない先住民族などには不利な評価が下されることになる。
このことは意図的にアメリカで有色系移民を排除する目的で誤用されたことがある。
知的障害とその他の発達障害の関連 知的障害と自閉症
「自閉症」という障害は、知的障害があるもの(狭義の自閉症)と、知的障害がないもの(高機能自閉症・アスペルガー症候群)に
便宜的に分類されているが、その他の関連した障害を含めて自閉症スペクトラムという連続した障害と捉えることがかつて提案された。
広汎性発達障害という用語がほぼ同義語として機能している。知的障害は、知能面の全体的な障害であり、自閉症の本質である
コミュニケーション障害は、対人関係面を主とした障害である。昔から知られている種類の自閉症は狭義の自閉症のことであるが、
これはコミュニケーション障害と知的障害が合わさったものである。近年知られてきた種類の自閉症である高機能自閉症は、
コミュニケーション障害のみであり、知能指数の全体平均は知的障害の域に達しない。
しかし、知能指数を要素別に計測すると、各要素間に大きな差が見られる。