【制服】吉原「CUTE/キュート」Part 22【メイド】
だけど、Tさんは可愛い可愛い、と褒めてくれ、コスプレという世界があることを教えてくれた。
コスプレ界で生きていくのに大事な人脈、衣装、すべて用意してくれた。
そこで初めて、奈津巳は自分の魅力に気がつけた。
だけどある日Tさんと別れを告げ、新しく出会った男性-今の主人-とお付き合いするようになった。
付き合って数ヶ月目、リスカする私に主人は言った。
「リスカは何も解決にならない。」
わかってる。
そんなことわかってるんだから。
その場しのぎの逃げも許されないの?
私は困惑した。
答えはなかなか見つからない。
見つかるはずもない、だだっ広い海のようなものなのだから。
いつしか芸能界からのオファーがあり、グラビアモデルの誘いを受けた。
だけど私は「はい、どうぞ」とすぐ水着になれるだけの体系をもちあわせてなかった。
つまるところ、痩せないとダメってやつだ。
それから私はダイエットを始めた。
過激なダイエットで、口にするのは蒟蒻と水のみ。
無理がたたって、摂食障害になってしまった。
食べては吐くというものだが、食べる量も半端ない。
普通の人の3〜4人前は食べるのだ。
そしてそれをすべて吐く。
それを行うのは
「痩せたい」
それだけだった。
やがて「食べて吐く」を1年繰り返し、奈津巳の体重は15キロ落ちた。
満足だった。
街の中の誰よりも足が細くて、ウエストの細い自分が大好きだった。
あの子よりも、この子よりも「自分が一番」と思えた唯一の瞬間だった。
しかし次に襲い掛かってくる拒食症に勝てなかった。
3日あったら口にするのはパン一切れとスポーツドリンク。
これが普通だった。
どうしても付き合いで食事することがあったら吐いていた。
主人に隠れて覚せい剤もやった、大麻もやった。
ワルイなんて思いもせずに、欲望に忠実に行動していた。
違法なクスリには幸いハマらずに済んだ。
今の主人、この時点ではまだカレシとのちょっとしたトラブルがキッカケで、
オーバードーズ-薬の過剰摂取-をしてしまった。
そのときあまりの栄養状態の悪さにしこたま点滴を打たれたが、
それがなかったら栄養失調で倒れていただろう。
「食べ吐き」行為を完全に治すのに2年かかったが、気がついたら治っていた。
10キロ太ってしまったが、それもそのときの自分で割り切れるようになった。
精神科は結局16歳からずっとかかりつけの病院があった。
今は通院上病院を変えてしまったが、ちゃんと私にあったクスリを出してくれている。