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>>36から続き)
(旧)樹里は藁をもすがる思いでムーランルージュへ面接に出掛けた。
出てきた店長は、(旧)樹里の話を聞くと、涙を流して同情してくれた。
「NSの講習なんて、人間のやることじゃねぇ!ウチはそんな講習はやらないから、安心してください」
「確かに当店は総額6万5千円ですから、1人当りの手取りは少なくなります。しかし、信頼のある当店は、お客さんが後から後からやってきますから、
結局、総収入は増えますよ。貴女なら指名も多く取れそうですし…」
店長はヨダレを流しそうになったが、ぐっとこらえた。
店長の目がちょっといやらしいなぁ…と思ったが、話を聞いて、(旧)樹里は、メイクアップを辞める決心をした。
(旧)樹里はメイクアップのtana店長に辞表を出した。
店長のみならず、店員たちは皆驚いた。必死で(旧)樹里を説得した。
皆、自分たちが「講習」「指導」という名目で、(旧)樹里にNS挿入できなくなるのが嫌だったのだ。
店長は、(旧)樹里の手取り額を増やすと提案してきたが、(旧)樹里の決心は変わらなかった。
(旧)樹里は、店員たちの講習も然ることながら、いわゆる「アキバ系」の客が多いメイクが嫌で仕方なかったのだ。
長時間に及ぶ交渉の末、2004年3月末でメイクアップを退店することになったが、その時の条件に、
「退店後3ヶ月は他店に移籍しない」という条項が付いていたのだ。
苦難の末、2004年3月いっぱいで(旧)樹里はメイクアップを退店した。
ところが、(旧)樹里は急に体調を崩した。心配になった(旧)樹里が病院に行くと、医者から「性病ですね」と言われ愕然とした。
メイクアップのアキバ系キモオタ客の汚い肉棒をスキン無しで挿入されてきたことが原因であることが判明するのに時間はかからなかった。
薬を飲みながら治療を続ける毎日であったが、(旧)樹里は「もうNSは止めよう」と決心し、ムーランルージュの店長に切り出した。
「ふざけるな!」店長は激怒した。(旧)樹里は一瞬たじろいたが、必死に懇願した結果、スキン着用が認められた。
しかし、ムーランの従業員は、ショックを受けていた。そう、彼らも、(旧)樹里にNS講習をしようと考えていたのだった。
(◆続く)