介護サービスと外国人労働者問題|三橋貴明オフィシャルブログ「新世紀のビッグブラザーへ blog」Powered by Ameba
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11947093080.html 現在の日本経済の「主」問題は、実質賃金の低下ですが、これは構造的に(人口構造的に)解消される可能性が高いです。
すなわち、生産年齢人口対総人口比率が低下していくことにより、「人手不足」が深刻化し、実質賃金の引き上げ「競争」が始まるはずなのです。
すでに人手不足が発生している業種が複数あります。「供給能力(人手)<需要」というインフレギャップが発生していることになります。
本来であれば、インフレギャップは放置しておくだけで実質賃金を上昇に導くはずです。
とはいえ、そうはならない分野もあります。すなわち、全体の需要(金額)を政府が決定する、公共投資、医療、そして介護分野になります。
高齢者が増加することで、介護の需要が膨らみ、介護費用は2014年度の約10兆円から、2025年度には約21兆円に膨らむ見込みとなっています。
それにも関わらず、財務省は介護報酬の抑制を続けており、膨らむ需要に対し、適切な金額が充てられない状況が続いています。
結果的に、介護産業で働く生産者の所得が伸び悩み、仕事は激務になる一方で、高い離職率という問題を抱えてしまいました。
特に、有資格者が介護産業に従事しないのは、深刻な話です。
2012年の数字でいえば、介護福祉登録者数は108万5994人であるのに対し、介護福祉従事者数は57万9401人に過ぎません。
何と、有資格者の半分近くは介護産業で働いていないのです。理由は、もちろん賃金が低いためです。
全産業平均と比べると、女性は2〜3万円、男性は10万円も月収が低くなってしまいます。これでは、離職率が高まり、有資格者さえ従事しなくなってしまったのも無理もありません。
というわけで、日本政府は介護サービスに従事する国民の所得上昇に努めるべきなのです。介護サービスの所得が上がっていけば、有資格者が業界に戻ってきてくれるでしょう。
そうなれば、他の業界で人手不足が深刻化するでしょうが、それでいいのです。生産者、働き手が貴重な社会こそ、現在の日本に求められる賃金主導型の経済成長を実現します。
ところが、財務省は例により2015年の介護報酬改定で「引き下げ」を主張しており、介護産業側は激しく反発しています。
そして、介護産業の人手不足を補うという「お題目」で、外国移民(外国人労働者)受入の議論が本格的に始まりました。
『外国人受け入れ、介護職イメージ低下回避を-厚労省、検討時の留意事項など提起
http://www.cabrain.net/news/article/44131.html 技能実習制度などを通じた外国人介護人材の受け入れを議論する検討会の初会合が30日、東京都内で開かれた。
厚生労働省は外国人を受け入れる現行制度として、EPA(経済連携協定)と技能実習があることを挙げ、日本語能力のあり方や利用者に不安を与えないために配慮するといった今後の議論の方向性を提起。
また、介護職に対するイメージ低下や、日本人労働者の処遇・労働環境の悪化を招かないよう配慮することも求めた。(後略)』
介護職に外国人労働者が技能実習生として就いていくと、間違いなく介護サービスの賃金水準はこれまで以上に抑制されることになります。
と言いますか、そもそも「安く働く労働者」であるからこそ、外国人を技能実習生として「雇う」わけです。
もちろん、同じ会社で外国人労働者と「賃金引き下げ競争」をするケースもあるでしょう。さらに、技能実習生を受け入れると「産業全体」の賃金水準がそちらに引っ張られ、全体的に抑制されることになることになります。
すなわち、自分の会社で外国人労働者が働かない場合であっても、影響を被る可能性が高いのです。そして、外国人技能実習生主導で業界全体の賃金が引き下げられれば、離職率はますます高まり、人手不足は深刻化する一方でしょう。
「ならば、外国人労働者を増やそう」という話になるのは目に見えているわけです。そして、業界全体の賃金水準が下がり続ければ、介護報酬抑制を目論む財務省もハッピーというわけです。
お分かりでしょうが、財務省の財政均衡主義と、グローバリスト的な外国移民の受け入れの話はセットになっているわけでございます。
日本国民の賃金水準を引き下げ、社会を間違いなく「悪い方」に変貌させてしまう外国人労働者受け入れには、断固として反対しなければなりません。
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