日本代表を商売道具にするな、Jリーグクラブこそ商売道具になれ
http://chantsoccer.com/posts/469 先日行われたブラジル戦は大差による敗戦となってしまった。実力差については選手が一番わかっているであろうから試合内容については言及しない。
こればかりは監督や選手たちに託すしかない。私が心配しているのは日本代表の「扱われ方」だ。
◆メディア「今日から彼がスターだからよろしく」
試合が近づくと日本代表メンバーが毎回発表され、一種の風物詩のようなものとなっている。
しかしメディアでは発表前から既に「彼」が代表入りを決めているかのような報道がなされる。Jリーグを普段見ていない大多数の「日本代表サポーター」は初めて聞く名前に驚く。
そして「今日から彼がスターだから」と言わんばかりにメディアによる持ち上げ報道が始まる。確かにサッカーという競技はスターを作りやすい。FW以外のポジションであれば数字で成績が出にくいため、メディアもサポーターも主観的に選手を評価することになる。
これはマスメディアにとって「彼がスターの素質が実質なくても」スターとして報道しやすく、好都合ではある。
しかし日本人も馬鹿ではない。「学生時代から注目され、プロ入りしても大活躍」というスター街道ならまだしも、急にポッと出てきた「スター」には全く踊らされないのだ。
実際、今回行われたブラジル戦のテレビ視聴率は14.1%と低迷した。2012年に行われた同マッチ親善試合の視聴率が23.7%だったから、わずか2年でおよそ10%の急落である。
これは日本人がW杯の惨敗を見たことで「彼らはスターではない」と一層認識したことにより、日本代表離れとなってしまった結果と言える。
メディアのなかの華やかな「スターの押し売り」に嫌気がさしたと言っていい。
◆スターシステムからの脱却
では日本サッカー協会は何をすべきか。それはビジネスマインドを捨て、スターシステムから脱却し、「日本人を感動させる勝利」のためだけに投資活動をすることだ。
例年の公益法人日本サッカー協会の収支は「代表関連事業」なるものに年50億円前後が投資されている。先述したスターシステムなるもののために投資されていると推察できる。
この50億円の内訳はブラックボックス状態で、これでは公益法人としてあまりに謎の項目だ。ひとまず、公益法人日本サッカー協会は「代表関連事業」の支出費目明細を公開すべきではないか。
国民の目に晒されれば、誰にもお金の動きがわかり、スターシステムも多少やりにくくなる。そしてビジネスの代わりに、勝利のための育成や環境などに一層投資することができる。
これは日本代表がより勝利に近づくことを意味するのだ。日本サッカー協会あくまで文化の発展を目的とする公益法人であるべきなのだ。
◆Jリーグクラブこそ商売道具になれ
先述の通り、私は日本サッカー協会のビジネスマインドを批判してきた。しかし私はビジネスマインド自体を否定する人間ではない。
むしろサッカー界にはビジネスマインドが一番いま必要だと考えている。ではそれが必要な場所は具体的にどこかと言うと、各Jリーグクラブである。
サッカー界は皮肉な構造になっている。文化の発展を目的とする非営利を謳った日本サッカー協会及びその周辺企業が金儲けできる状況である一方、地域で営利活動をしている「株式会社Jリーグクラブ」は自治体への依存無しに経営できていない状況である。
そこでJリーグクラブにとって先述したビジネスマインド、スターシステムが大いに役に立つ。Jリーグクラブこそもっと開き直って「スターの押し売り」をするべきである。
プロ野球に横浜DeNAベイスターズというチームがあるが、このチームはスターシステムの売り込みが上手で、この2年間で観客動員数を4割近くも押し上げている。
このチームは新人選手がヒットを打っただけで、まるで時代のヒーローのごとく動画をネット上に公開する。(リンク先)しかし、これでいいのである。なぜならプロスポーツチーム自体は営利活動をする株式会社だからだ。
「スターの押し売り」でファンが喜び、スタジアムに人が集まり、選手が儲かり、スタジアムが儲かり、自治体が儲かり、街が潤う。これこそプロスポーツチームのあるべき姿である。
しかしJリーグクラブが商売道具になるには、Jリーグクラブだけの意識改革だけではどうすることもできない。そこでスポンサー、メディア、ひいては日本サッカー協会に言いたい。
日本代表ではなく、Jリーグクラブこそ「商売道具」として考えてみないか。Jリーグクラブが繁栄すれば、未来の日本代表も繁栄すること間違いなしであると信じたい。
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