消費回復の鈍さを認め始めた日経 〜 日経が支持するのは「安倍政権」か、「消費増税」か
http://blogos.com/article/94078/ http://opinion21c.blog49.fc2.com/blog-entry-925.html BLOGOS 近藤駿介 2014年09月08日 16:57 ※抜粋です。全文はソースにて
「消費増税の影響は軽微だ」「景気は夏場以降回復する」と繰り返して来た日
本経済新聞も、さすがに頭を抱えて来たのかもしれません。
8日から一面で「もたつく景気回復」という連載を始めたのを始め、3面では
「景気回復、期待下回る」という見出しで甘利経済相が「7〜9月の(景気の)回
復力は期待よりもおだやかだ」との認識を示したことを報じたほか、14面では
「人手不足『そう思わない』57%」という見出しで、「人手不足社会」という
のが個人の景況感からずれているという調査結果を報じ、4面の特集記事「核心
〜消費税再増税の通りゃんせ」ではこのような悩みを吐露しています。
(中略)
> 「安倍政権は成長戦略と財政再建の二兎を追っている。言葉のうえでは両
> 者の辻つまは合わせられる。とはいえ消費税増税を決めた民主、自民、公
> 明の3党合意と、安倍首相の経済思想には距離がある」(同日本経済新聞)
日本経済新聞はこのように「消費税増税を決めた民主、自民、公明の3党合意と、
安倍首相の経済思想には距離がある」と指摘しています。そして、
> 「アベノミクスはいったん離陸に成功したものの、巡航軌道に乗る前に増
> 税という重圧に負け失速気味だ」(同日本経済新聞)
と、消費増税の悪影響が経済に及んでいることを認めています。しかし、ここ
からの主張が日本経済新聞らいしいところです。
> 「景気次第で再増税見送りの選択肢はあるが、そのときは出口なしの閉塞
> 感に覆われかねない難しさがある。日本を追って欧州の長期金利も急低下
> しており、世界的に成長機会が失われたとの雰囲気が広がろう」(同日本経済新聞)
消費増税が経済を失速させた原因である可能性を認めつつも、消費税再増税見
送りについては否定的な見解を示しています。それも、景気失速の原因である
可能性のある消費増税を見送った場合に「出口なしの閉塞感に覆われかねない」
という意味不明の理由からです。
国民が「出口なしの閉塞感」を感じているのは、消費増税を受け入れても景気
悪化のため財政再建が進まず、さらなる消費増税を押付けられる可能性を感じ
ていることと、生活防衛のために「貯蓄を確保しつつ消費を抑えた」としても、
消費増税に加え「異次元の金融緩和」という無駄な金融政策による無駄な物
価上昇によって、「貯蓄が目減りして行く」ことを甘受しなければならないか
らで、世界的な長期金利の低下によって「世界的に成長機会が失われたとの雰
囲気」が広がったからではありません。長期金利の低下は「結果」であって、
国民に閉塞感を与える「原因」ではありません。
もし、「消費税増税を決めた民主、自民、公明の3党合意と、安倍首相の経済思
想には距離がある」なかで、日本経済新聞が安倍政権の経済政策を支持してい
るのであれば、消費税再増税の凍結の世論を喚起し、安倍総理の経済思想の援
護射撃をしようとするのが自然の行動のはずです。景気が悪化すれば、政権支
持率も低下し、安倍総理が岸慎介元総理時代からの政治的目標の実現を達成で
きない可能性が高まっていくのですから。
こうしたところからは、結局のところ日本経済新聞は、安倍政権の経済政策を
支持しているのではなく、消費増税を支持しているという本音が見えて来るよ
うです。5年、10年続くか定かでない政権よりも、ずっとスポンサーでいてくれ
る霞が関や財界の方を向いている方が重要だということです。
消費増税後の景気動向に関して、若干軌道修正する気配を見せ始めた日本経済
新聞が支持しているのは、果たして「安倍政権」、「消費増税」のどちらなの
でしょうか。