知財計画2014年、議論大詰め ~ Ichiya Nakamura / 中村伊知哉
http://ichiyanakamura.blogspot.jp/2014/08/2014.html 知財計画2014年、議論大詰め
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■知財計画2014年、議論大詰め
知財計画2014年策定の大詰めの会合にて。角川さんと川上さんが並んで座っているのは、五十音順だからです。2014計画、最後は座長一任とされました。ぼくの総評コメントです。
コンテンツ政策はファンド設立、著作権法改正など各種施策が講じられてきていますが、成果を上げるのはこれから。今年は更に前進すべく、デジタルネット基盤整備とソフトパワー強化、国内基盤と海外展開の2本柱を議論。
それぞれ深堀りのため、アーカイブと音楽のタスクフォースを設置しました。議論の結果、クラウドサービス、オープンデータ、教育情報化、アーカイブ利活用、音楽データベース整備といった意欲的項目を挙げることができました。
これをどう実行に移すかが問題。政権の実行力を強く期待する次第です。一方、事態は動いている。KADOKAWA・DOWANGO報道には驚きましたが、IT・コンテンツ産業は世界的にもまた次のステージに進む気配です。
他方、TPPの交渉模様も報じられており、危機感を抱きます。その進展次第で知財計画も根本的な影響を受けます。知財計画をまとめ、実行を期すと同時に、事態の変化にも対応できるよう身構えておきたいと考えます。
さて、その会合はやはり簡単には収まらず、数々の発言がありました。
Google野口委員:ビッグデータが日本独自のプライバシー規制をしくことを危惧する。営業秘密保護強化に逆行。ITと知財を統合した政策を講ずべき。→重要な指摘です。
瀬尾委員:アーカイブにおいて国会図書館の位置づけが重要だが、国会のものなので政府計画に言及されない。政府を超えたヨコ串を考えることが必要。→別の議論の場が必要ですね。
角川委員:クールジャパン特区を作り、海外からの来訪者が行ける場、インバウンドの受け皿を作るべき。→竹芝でも考えてみたいです。
角川委員:かつてジャポニズムは政府支援もなく立ち枯れた。クールジャパンも21世紀のジャポニズムになりかねない。
宮川委員:グローバルな違法ダウンロード対策には、権利者-ISP連携によるブロッキングが効果的。より踏み込むべきだ。
川上委員:日本と海外企業との競争に不公平が生じないようにすることが最大課題。その視点が欠けている。海外サーバに日本の制度をどう適用するかをまず考えるべき。
→ぼくもこれが今の最大課題だと考えます。本件について、山本一太大臣も本件をIT政策の文脈で取り扱うと確約しました。
重村委員:現地向けサイトを作って継続的にプロモーションをすることを支援する施策を希望する。
→発信サイトの支援は効果的・効率的だと考えます。ぼくも以前から主張していますが、なかなか施策に結びつきません。
斉藤委員:各企業の取組が点から線、面に広がるようにしたい。成功例を作ることが効果的。→御意。
迫本委員:今回かなり政策が明確化・具体化した。PDCAで継続的に見ていく仕組みが大切。→御意。
喜連川委員:教育IT化が遅れている。オンデマンド教育を容易にすべく著作権制度を変えたい。→ぼくもその議論を進めてもらいたいと考えます。
喜連川委員:アカデミックなクラウド・ネットワークの構築が必要。ビッグデータ対策は遅れている。後押しが必要。
久夛良木委員:現実のパブリックデータとソーシャルメディアのリアルデータを集めて遊ぶゲームが登場しているが、これは日本では生まれない。それはなぜか、を考えるべき。→考えます。
大崎委員:ドラマ、映画、音楽の人材を育成する拠点を設けるべき。→竹芝を拠点にしたいと思いますが、大崎さんの意中は沖縄ですかね。
山本一太大臣:検証とフォローアップが重要。知財戦略を成長戦略・経済問題としてとらえる。→実行のほど、お願い申し上げます。
>>2に続きます