【芸術】バルテュスの描く少女は、ポルノグラフィーか否か? | BLOGOS (チェコ好き) [6/18]

このエントリーをはてなブックマークに追加
1依頼スレ1:63@かじりむし ★@転載は禁止
バルテュスの描く少女は、ポルノグラフィーか否か?
http://blogos.com/article/88682/
http://aniram-czech.hatenablog.com/entry/2014/06/18/105402
(チェコ好き)の日記 2014-06-18

すっかり忘れていたのですが、もうすぐ終わってしまうので、東京都美術館の
「バルテュス展」に行ってきました。
http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/a/aniram-czech/20140616/20140616153530.jpg

バルテュスって日本では有名でないのか、私も名前以外あまり知らなかったん
ですが、どうやらピカソとならぶ現代フランスの巨匠だそうで、オークション
では億単位の価格がつくこともあるそうです。そしてその作風といえば、上記
の『夢見るテレーズ』のような、何やら良からぬ香りのする少女が圧倒的に多
く、また代表的な作品として知られてもいます。

そして今回のこのバルテュス展は、下記のツイートが話題を呼んだりもしました。

  朝日新聞社会面にバルテュス展広告があり、少女が股を開き脚を上げてパ
  ンツを晒した例の絵が載っている。これは芸術の名を借りた児童ポルノ絵
  画だとみんなはやく気づいたほうがいい。少女という存在の価値はこれだ
  と脳裏に叩き込むポルノだ。西洋美術・巨匠という装置に弱い大衆心理を
  利用した広告だ。

― 森岡正博 (@Sukuitohananika) 2014, 5月 12 https://twitter.com/Sukuitohananika/statuses/466004231091015680

芸術と児童ポルノの問題といったら、諸外国ではどうなのかよく知りませんが、
日本ではすっかりおなじみといった風情があります。マンガ表現の規制に始
まり、最近では2013年の会田誠の個展に抗議があったことなんかも記憶に新し
いですよね。

この問題については、とても根が深いものなので私も安易にホイホイ文章を書
く気にはなれないのですが、私はやはり「芸術側」の人間なので、今回のバル
テュスにしろ会田誠にしろ、「児童ポルノじゃないよー」と思っています。と
いうか皮肉なことですが、芸術ってやはり「禁忌を犯してナンボ」みたいな部
分があるので、抗議が上がったことによって余計その芸術の価値、美術展の価
値が上がったりすらするのではないかと思っています。今では正統な西洋美術
史の作品の1つとして教科書に載っているマネの『オランピア』も、発表された
当初は「神話の女神じゃない、これは娼婦を描いている!」ということで大ス
キャンダルになったわけですし。

http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/a/aniram-czech/20140618/20140618091404.jpg
エドゥアール・マネ『オランピア』1863年

……という話をすると、とても嫌な顔をする人がたまにいるのですが、「芸術
側ではない」人に1つ誤解してほしくないのは、「禁忌を犯す」ということは、
実はものすごい技量がいるということです。そのへんの画家見習いの素人が奇
を衒って「こんなん作りました!」とやっても、それは単なる見るもおぞまし
い俗物です。「技量ってどこで判断するんだ」みたいな話になるとまた長くな
るので止めますが、高い技術と信念を持ったアーティストだけが初めて犯せる
領域というものがあって、美術史というのはそこから生まれたものが作ってい
くんだと私は考えています。

いずれにしろ、100年経てばわかることです。時の洗礼というのはもっとも正直
かつ残酷で、バルテュスも会田誠も、死後100年近く経ってから初めて“本当の
評価”が下されるでしょう。現時点で私が「児童ポルノじゃないよ」と思って
いるあれもこれも、100年後のみなさんが「いや、あれはポルノだよ」といった
ら、やっぱりそっちが正しいのだと思います。“今日の議論”には限界がある。
それは、美術や文学や映画を論じるときに、気に留めておいたほうがいいこ
とだよなー、と私は考えています。
(以下略。全文はソースにて)