近頃街でよく流れる曲に、SMAPの「世界に一つだけの花」というのがある。
ナンバーワン志向を辞めてオンリーワン志向をしようという趣旨の歌詞である。
「この中で誰が一番だなんて、争う事もしないで」とか
「それなのに僕ら人間は、どうしてこうも比べたがる」といった具合に
ナンバーワン志向な社会でありがちな争い事や競争を否定し、
そのために、オンリーワンを目指そうと言う台詞が散りばめられいるのだが・・・
オンリーワン志向になれば、それらは解決するのだろうか。
ナンバーワン志向とオンリーワン志向で違う面と云うのは
「ナンバーワン=具体的指標化された事柄への志向
オンリーワン=多様性や具体的指標化されていない事柄への志向」
であって、決して、争わない事とか競争しない事とかの違いではない。
オンリーワンに志向になったところで、結局、
他の人に対してライバル意識を持ったりする程度が軽減されるかどうかとは話は別なのである。
上記の歌詞をちょいっと変えてみると、このような感じかな?
「この中の誰の個性が最も魅力的だなんて、争う事もしないで」
「この中の誰が個性的かだなんて、争う事もしないで」
「それなのに僕ら人間は、相手の個性を否定したがる」
「それなのに僕ら人間は、誰が個性的か どうしてこうも比べたがる」
「自分探し」によって生ずる争い事とか競争とかの問題を解決するのは、
ナンバーワンとかオンリーワンとかではなく
「自分探し」と云うものに対する考え方や行動のしかたであるが、
そこには触れられていないようだ。
まぁ、「足ることを知れ」とか「よく考えて行動しろ」とか「人生設計」とかみたいな
耳障りの悪いことを歌っても売れないわな。
結局、この歌等のオンリーワン志向ビジネスに煽らた結果行うことって、
ナンバーワン志向と 変わらないような・・・
で、時と共にナンバーワン志向と同じように、その弊害が露呈されていって、
オンリーワン志向の流行が終わったら、
次の「自分探しビジネス」が流行るわけだ。不滅なり。