ボトルに入っていたつぶ男たちは約500人。しかし、そのほとんどは
奥歯で噛み潰されたか若菜の胃で消化されてしまったかの悲惨な最期を迎え、
奇跡的に胃で消化されず幽門から脱出した15人も次々と小腸で力尽き、
回盲弁にたどり着いた時にはわずか5名、率にして1%を残すのみとなっていた。
大腸の壁は小腸と違って繊毛が無く、全体的にヌルヌルしている。ゴワゴワと
した手触りの腸壁は襞を伝って行けば登りやすそうだが、手を滑らせる危険も大きい。
D:「うわっ」
つぶ男の1人が襞を掴もうとして手を伸ばした時、無理な体勢を取ったのが災いして
足が滑り、盲腸の底へ真っ逆さまに転落した。
ボヨーン
盲腸の底は柔らかく、全身を打ち付けてもダメージは少なかったが
彼の命運は既に尽き果てていた。
スポッ
つぶ男が盲腸の底でバウンドし、落下した先は何故かポッカリと開いていた
穴の中だった。
B:「あーあ、虫垂に落っこっちゃったよ・・・」
C:「早く助けないと」
しかし、それはどう考えても無理そうだった。
D:「おーい、早く出してくれー!!」
虫垂、一般にこの部分だけを指して「盲腸」と呼ばれている部分に登るための
手がかりとなる襞などは無い。しかも、この部分は「虫垂」の名前が示す通り
重力に従って常に垂れているので若菜が身体の向きを変えても穴の向きが
垂直になる可能性はほとんど無い。極めつけは、虫垂の6センチと言う長さである。これをつぶ男の身長と比べると実に10倍以上の高さになり、その高さを
何の足場も無く登ると言うのはほとんど絶望的である。
E:「さっき『さらってやる』とか言ったから、バチが当たったんだ・・・」
A:「それはともかく、かわいそうだがあいつのことは諦めよう。さぁ、行くぞ!」
D:「チクショー、早く出せー! この薄情者ー!」
虫垂の底に取り残されたつぶ男の声がだんだん小さくなる。
もしかして将来、若菜が虫垂炎の手術を受けることが有ったら切除後に
白骨化したつぶ男が見つかるかも知れないが、生きてここから出ることは
もはや望めないことだった。
残り4人となったつぶ男たちは上行結腸の襞を登り終え、
横行結腸を歩き始めた。が、上行結腸を登る時にほとんどの体力を
消費してしまった彼らは猛烈な乾きに苦しめられることとなった。
E:「うー、なんでこんなに喉が渇くんだ」
大腸は消化された食べ物の残りカスから水分を吸収して分解するので、
腸壁からは絶えず腸内の水分が吸い取られているのである。
C:「もう辛抱たまらん」
そう言ってつぶ男の1人が、他のつぶ男の制止を振り切って腸壁から
しみ出している液体を舐め始めた。
数分後、Cは猛烈な腹痛に襲われた。
C:「ぐえぇぇぇっ」
B:「だからやめろって言ったのに・・・」
大腸の壁にはおびただしい数の大腸菌が巣食っているのだ。
食べ物の残りカスを分解して腐らせる大腸菌がウヨウヨしている大腸液を
飲んだら腹を壊すのは当然である。
やがて、つぶ男は激しい腹痛の余りその場にうずくまって失禁してしまった。
E:「うわ、きったねぇー」
C:「すまん、治ったらすぐ追いかけるから先に行っててくれないか・・・」
3人のつぶ男は腹を抱えてうずくまるつぶ男を置き去りにして、下降結腸へと
足早に向かって行った。
A:「・・・くっせぇ〜」
今から下って行く下降結腸をのぞき込むと、そこには巨大な排泄物が
鎮座していた。若菜が昨日食べた物のなれの果てだ。それは、下降結腸の
真上にも強烈な腐敗臭を漂わせている。
B:「このまま、明日の朝まで待ち続けるのか・・・」
E:「いや、漏れたちがこのう○この上に乗ったら漏れたちの重みで少しでも
この女の子が便意をもよおすのが早くなるんでないか?」
A:「そうか?」
E:「ものは試し。漏れは早くここから出たいんだ、それっ」
つぶ男はそう言って、足許の排泄物めがけてダイビングした――べちっ。
乾いた音が腸内に小さくこだました。
B:「おーい、生きてるかー?」
返事は無い。
心配になったつぶ男は排泄物とメタンガスの腐敗臭に顔をしかめながら、
ゆっくりと下降結腸の襞を降りて仲間の無事を確かめに向かった。
B:「・・・ダメだ」
排泄物に叩き付けられたつぶ男は首が直角に曲がり、大量の血を流していた。
B:「くそっ! なんで食物繊維をもっと取らないんだっ! この女、生きてここから出られたら
タダじゃおかないからなっ!」
そう言ってつぶ男は排泄物に拳を打ち付けた。今度は痛かった。
やがて腹痛がおさまったつぶ男も合流し、3人+死体1人の重みを加えても
依然としてピクリとも動かない若菜の排泄物が動き出すのを
待ち続けることになった。
C:「だけどなぁ・・・もしこの女の子が便秘だったら、いずれ昨日食った物も
ここに溜まるってことだろ?」
A:「やめてくれ! 今は一刻も早くここから脱出することだけを考えてればいいんだ」
B:「・・・何だ?」
頭上から津波のような音が押し寄せる。一巻の終わりか。3人は覚悟した。
が、頭上から降り注いだのはまるで泥水のような液体だった。
A:「ごぼごぼ、苦しい・・・」
3人は泥水でいっぱいになった下降結腸から這い上がり、命からがら横行結腸の
終着点に逆戻りした。
B:「この女、便秘だと思ったら今度は下痢してるのか?」
もしそうだとすれば意外に早く出られるかも知れない。
次々と襲いかかる困難に力尽きかけていた3人のつぶ男たちに、
わずかながら生きる希望が湧き出した瞬間だった。
グルルルル・・・
若菜:「・・・」
移動中のバンの中で、若菜の下腹部がさきほどよりも大きな異音を立てた。
と同時にゆるやかな痛みを自覚した彼女の額にじわりと冷や汗が滲んだ。
マネ:「若菜ちゃん? ねぇ若菜ちゃん?」
若菜:「・・あ、はいはい」
マネ:「ダイジョーブ? なんだか顔色悪いよぉ? もしかして乗り物酔いしちゃったのかい?」
若菜:「あ、へいきですよ! ちょっと疲れちゃっただけだから・・・」
マネ:「そーお? ま、次の現場で今日のお仕事終わりだからさ、がんばってよ」
若菜:「うん、わかりましたー」
強がってみせたものの、若菜の下腹部を締め付けるような痛みは次第に強さを増していった。
やがて全身に悪寒が走り、じっとしていられないほど鋭い腹痛が彼女を襲い始めた。
若菜はぎゅっと目を閉じて下腹部をかばうように抑えた。
若菜:「ん・・・」
道路の継ぎ目を拾って車が振動すると若菜は身体をこわばらせて思わず吐息を漏らした。
そして差し込むような腹痛は鈍い便意を誘発しはじめる。直腸内のわだかまりが排出のシグナルを発し、
それを必死にこらえる若菜の呼吸がありありと荒くなってゆく。
若菜:「どうしよう・・・ すごくお腹痛くなってきちゃった。このまま現場までとても我慢できないよぉ・・・
どっかでトイレに行かせてもらわないと・・・」
グルルルルル・・・
便意は周期的に、しかし確実に強くなっていった。
その頃、若菜はドラマの撮影現場に車で移動していた。
さっきから挙動不審だった下腹部はグルグルと音を立てていよいよ異常事態であることを
知らせていた。
若菜:「あぁん、やだぁ〜っ? すいません、車止めてくれませんか?」
P:「何言ってんのさ、時間無いんだよ?」
若菜:「あの、5分でいいですから、お、おトイレに・・・」
P:「ダーメ。社会人なんだからちゃんとトイレは休憩時間に行くの。じゃ、
現場入ったらすぐ本番だからね」
若菜:「・・・くぅぅーっ」
やっぱり例のドリンクに加えて、さっきのグラビア撮影でお腹を冷やしたのが
いけなかったのか。そうは思っても若菜の肛門はいつまで便秘気味で固形状の
排泄物と下痢で液体状の排泄物が織りなすグルーヴを体内に留めておけるか
わからない。
若菜の額を脂汗が伝った。
P:「着いたよー」
若菜:「すいません、すぐ戻りますから!」
若菜はそう言ってトイレへ駆け込むとバタンと扉を閉めて施錠し、
スカートとパンティをずり下ろして便器の上でかがんだ。
下降結腸を満たしていた泥水がにわかにゴボゴボと波立ち始める。
B:「おっ、出るみたいだぞ!」
3人のつぶ男たちは祈るような気持ちで茶色い水面に視線を注いだ。
ブリブリブリブリッ
ビュオーッ パスパスパス プスーッ
トイレの外にも聞こえるような轟音があたりをつんざいた。
A:「さぁ、行くぞ!」
さっきまで下降結腸に鎮座していた巨大な茶色の塊はあっと言う間に
直腸を通過したのか、姿を消していた。3人のつぶ男は滑り台のように下降結腸を
滑り降りてS字結腸を通過し、直腸へたどり着いた。
若菜:「あースッキリした」
そう言って若菜は便器の水を流し、スカートをはき直した。
C:「一足違いか・・・」
何日かぶりに排泄物を勢い良く出し尽くした肛門は、つぶ男たちがそこへ
たどり着いた時には再び固く閉ざされてしまっていた。
B:「でも、無理すりゃ出られないこともないんじゃないか?」
つぶ男の一人はそう言って、筋肉が放射状に密集している中心部の小さな穴から
這い出すために全身をめり込ませた。
若菜:「あふっ」
監督:「カット、カァーット。若菜ちゃん、今の『あふっ』って何なの?
そんな台詞、台本に書いてないよ」
若菜:「すいませ〜ん。ちょっと、お腹の調子が・・・」
監督:「しょうがないなー。じゃ、10分間休憩!」
若菜は肛門に虫が這っているような違和感を覚え、まだ大腸の中身が
外へ出ようとしているのかと思い――それは、全くその通りだったのだが――
条件反射的に肛門に力を込めてキュッと絞め上げた。
プチッ、ボキボキペチン、パキパキッ
B:「ぐぎゃぁぁぁーっ」
脱出を試みたつぶ男の骨がバラバラに砕かれる音がして、直腸に留まっていた
2人のつぶ男の許にまっぷたつに寸断されたつぶ男の下半身が転がって来た。
恐らく、上半身「だけ」は若菜の体内から脱出したであろう――生きてはいまいが。
C:「もうイヤだーっ!!!」
そう叫んだCは狂ったように500人近い仲間たちの命を奪い去った女を呪い、
八つ当たりするかのように若菜の直腸の壁を拳で叩き、地団駄を踏んだ。
A:「そうだ、その調子だ! 古典的な脱出方法だが、腸壁に刺激を与えれば
メタンガスが発生してオナラで出られるかも知れないぞ!」
やがて、2人のつぶ男が全精力を込めて暴れ回るのに呼応するかのように
直腸内にモクモクとガスが充満し始めた。
A・C:「来たっ!!」
・・・プスゥーッ
若菜の肛門からガスが漏れ出したのに気付いたのは、若菜本人と2人の
つぶ男だけだっただろう。そのぐらい小さな音の「すかしっ屁」だった。
しかし、そんな静かな放屁でも身長5ミリのつぶ男にしてみれば突風のようなものである。
C:「やった!」
A:「行ける!」
つぶ男の一人がブラックホールに穴へ吸い込まれるように猛烈な勢いで
排出される。
しかし、このすかしっ屁で脱出できたのは一人だけだった。もう一人は
運悪く、吹き飛ばされたポイントが穴の位置から少しずれていた為に筋肉の壁で
全身を打ち付けて倒れ込んでしまったのだ。
悪夢のような体内から脱出したつぶ男は、地面に叩き付けられることも無く
パンティに受け止められて事なきを得た。
ふと見上げると、さっき自分を排出した肛門がモゾモゾと開いたり閉じたりしている。
A:「ハァハァ、ハァハァ・・・さて、脱出したはいいがこれからどうしよう?
漏れ1人でも生きて出られた以上、無事に生還しないと逝ってしまった仲間に申し訳が立たないし」
取り敢えず、体内以上に何が待ち受けているかわからない外へフラフラと
出て行くよりはしばらくこの女の子にくっついていた方が安全だろうと判断したつぶ男は
太股の産毛を伝いながらよじ登り、そこからヒップラインを伝って斜面を這うように進み、
お腹の方へ回り込んでへその奥に身を隠した。
A:「それにしても暑いなぁ」
さっきまで巨大な排泄物を相手に悪戦苦闘していたこともあり、へその中が
多少臭うぐらいはまだ許容範囲だ。しかし、ここにいると胃や腸がグルグルと
音を立てている様子がダイレクトに伝わって来て、それはあたかもつぶ男の恐怖を
呼び覚まそうとしているかのようだった。
P:「それじゃ、今日の予定は終わりでーす。お疲れさま」
若菜:「はーい」
P:「それから、トイレは仕事前にちゃんと済ませといてよ」
若菜:「だってぇー、お腹痛かったんだもん」
P:「あー、やっぱドリンク? じゃあ、それはスポンサーに文句言っとくからさ。
明日は10時にここ集合ね」
数時間後。
若菜のへそに身を隠していたつぶ男は、若菜が自宅で寝静まったらしいことを確認して行動を開始した。
311 :
名無しさん@ピンキー:01/11/21 22:35 ID:RE3RiPGH
しかし、どうすれば安全な場所へ待避できるかはつぶ男にも見当が付かなかった。
この女に助けを求めるのは無駄だろう。この女はドリンクに入っていた自分たちを
容赦なく飲み干したじゃないか。
だとすれば、取り敢えずこの女の体で消化されずに済む場所へ身を潜めている方が
安全じゃないか? そう思ったつぶ男は、へそから飛び出して一目散に下腹部を縦断し、
パンティの中へ潜り込んだ。
A:「ハァハァ、ハァハァ」
パンティの中は何とも言えないほど甘酸っぱい香りが充満していた。
やがて、黒くてちぢれた草のようなものがボウボウと生えた茂みの中に迷い込んだ
つぶ男は茂みをかき分けながら、その先にあるはずの身を潜めるのに最適な場所を
探し求めた。
A:「くそっ、この女、漏れたちをシラウオの躍り食いみたいに・・・ただじゃおかねぇ」
ズデーン
つぶ男の足に何かの突起がぶつかり、思わずその場に転んでしまった。
若菜:「あぁーんっ」
熟睡していた若菜の全身を心地よい衝撃が走り、若菜は思わずその部分に
手をしのばせた。
ゴゴゴゴゴゴ・・・
つぶ男が蹴つまずいた突起が膨張し、そこを起点に広がる裂け目が開いて
ドバドバと半透明の液体が流れ出す。つぶ男は慌てて中へ逃げ込もうとしたが、
あふれ出す液体でヌルヌルしてちっとも先に進めず、さらに追い打ちをかけて
巨大な指がズブッと裂け目の中へ入って来た。
つぶ男は若菜の指先にしがみ付き、若菜の興奮が収まるのを待つことにしたが
若菜の指はいよいよエスカレートして秘所を弄び、それに呼応して大量の
愛液が洪水となってつぶ男に押し寄せた。
A:「シアワセ・・・もう、氏んでもいい・・・」
3週間後。つぶ男たちの貴重な犠牲を払って開発された『つぶつぶヲータ』は、
材料のつぶ男が完全に消化されない場合があることを理由に発売中止が決定した。
−(とりあえず)完−