小さくなって真中瞳に食べられたい

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105ニセ89
若菜の胃全体が大きく上下に収縮し、つぶ男たちが混じったドリンクを胃の最も奥深くに送り込もうとする。
そして、きつく閉じていた幽門が開閉し、
胃においてあまり消化する必要の無いドリンクだけを巧みに十二指腸に送り出そうとする。
激しい蠕動運動の中、
男たちは当面は胃液を薄めてくれるだろうと期待していた液体が見る間に減って行くのを肌で感じた。

「ヒッヒィイイイヰ!!!」

頭の弱いヲタ君たちではあるが、
その動きが何を意味するのか、そして自分達がどうなるのか、容易に理解する事が出来た。
とにもかくにも、とりあえずここから脱出しなければ、待っているのは、死、のみだ。
胃の中のドリンクもいよいよ少なくなる。おそらくあと一回の蠕動で送り出し尽くされてしまうだろう。そうなれば…
生への猛烈な執着を抱いた男たちは息を止め、目を閉じ、少しでも幽門部に取り付けるようドリンクの中に潜った。
そして、胃壁は内容物を腸にしごき出すように大きくうねりはじめた。

“とにかく、腸にさえ抜けてしまえば何とかなる!”期待に胸躍る男たちだった。

いよいよ幽門が小さく口を開き、ドリンクを送り出し始めた。
視界はまったく利かないが、男たちにもそれは判る。
幽門部に我先に殺到する男たち。そして混乱が起こった。
いちどに幽門を抜けようとしたために、かえって抜けられない事態になってしまったのだ。
そんなこんなで男たちがひしめき合っている折、
いつまで経っても液体を排出できないのを感知したのか若菜の胃は大きく蠢くと、
男たちに

“あなたたちは、まだ、出ちゃ、ダ・メ・ヨ(はあと)”

とでも言うかのように男たちを幽門部から胃底部に引き戻すかのような動きをした。
たまらず胃の底に転がり落ちる男たち。
そして、息をつく間もない蠕動で最後に残ったドリンクを送り出してしまった。

とりあえず一仕事終えた若菜の胃は、次の、本格的な仕事に掛かるウォーミングアップをするかのように収縮していった。
胃の中の男たちの絶望と悲嘆など知る由も無く…