【49】その様な血縁集団の一つが、放浪の末、新たな大陸に豊かな地を得て、定住した。各家族の
主導者は成年女性である以上、当然に、その成年女性が、各家族の食料を調達する第一次的責務を
負う。それで、血縁集団の成年女性達は、時に一致協力して、巧みな組織連携作業のもと、狩猟を
行い、あるいは、適宜の小集団に分かれて、遠方に展開し、食料の採集にあたった。未だ成年に達
しない女性達も、一定年齢に達すれば、将来に備えて、これら成年女性の活動に付き従い、これを
補佐する任務にあたる。
集団の女性達が、その様に、集団の食料調達の基幹を担う以上、その配偶者である成年男性は
、これを補い、助ける業務に勤しむ事となる。成年男性達、女性達が食料調達に出かけている間、
定住地に在って、未成熟の子供達を守りつつ、家事労働にあたり、その合間には、定住地の付近に
おいて、ささやかな食料採集活動を行う。男児や、未だ、成年女性に付き従って活動するには幼す
ぎる女児達も、その能力に応じて、成年男性達と同様の作業に従事する。
その様に、男性達が、定住地及び、その付近において、血縁集団で固まって居る事は、集団の
主である女性達が留守の間に、未成熟の子供達を守る上で好都合であったし、一人では用便を行え
ない男性の最大の弱点(【4】〜【5】:
>>14-15)を補うにも便宜であった。
【50】が、その様な役割分担は、女性の優位を更に強め、男性の女性への従属を、より決定的なも
のとした。けだし、女性の方は、集団を養うに足るだけの食料を調達する責任を負う者として、必
然的に、狩猟・採集の知識・技術を身につけ、能力を高めて行く。従って、女性は、仮に、一人に
なったとしても(集団生活を旨とする人類には滅多にあり得ない事ではあるが)、自らが生きていく
為に必要な食料は全て、自分で調達できる。他方、男性の方は、あくまで、女性を補佐する任務を
担う者として、それに必要な能力を身に付けるだけである。狩猟の知識・技術を会得する事はあり
得ないし、食料採集についても、定住地の近辺での小規模なものしか知り得ない。従って、男性は
、仮に、一人になってしまうと、自らが生きてゆくに必要な食料を調達する事ができず、飢え死に
せざるを得なくなる。
もしくは、その前に、肉食獣に襲われて、命を落とす事になろう。肉食獣も、高等哺乳類の高
度なものとなれば、相当の知能を持っている。その様な肉食獣の中には、人類の男性が日に何度も
非常に無防備な体勢を取らざるを得ない事を知っているものも居る。加えて、人類全般は非常に恐
ろしいものであっても、単独行動下の男性は、そうではない事を知っているものも中には居る。
【51】人類女性は、狩りの実績があるから、獲物を効果的に仕留めるべく、効果的な打撃の方法と
、確実な致命傷の与え方を知っており、かつ、その実践力もある。その能力は、攻撃を受けた場合
、反撃の為の力として、遺憾なく利用される。従って、迂闊に人類女性を襲おうものなら、たちま
ちに反撃され、返り討ちに合う危険が高かった。肉食獣も、その危険は知っているから、人類女性
を襲うものは居なかった。しかし、人類男性の方は、狩猟の経験も知識もないから、攻撃の方法を
知らない。当然、攻撃された場合、効果的な反撃はできない。肉食獣の内、非常に知恵が発達して
いるものの中には、その様な人類中の男女の別を知っているものも居た。
そんな人類男性でも、血縁集団の中に在って、多数が協力してい居る時は、襲わない。その自
由な手に、棍棒でも持って振り回されては、その効果は女性の比ではないとしても、数が多ければ
、非常に厄介である。その様な者を襲わなくても、他に、もっと襲いやすい獲物は沢山、居る。
しかし、その人類男性が、一人になった場合、人類男性の弱さを知る高等肉食獣は、これを仕
留めるべく、虎視眈々と跡を付ける事となる。
が、いきなりは襲わない。二本の脚で立ち上がる人類は、四脚獣には非常に襲いづらい。その
様な状態で襲わなくても、女性と違って、男性の場合、しばらく待てば、大変に襲いやすい姿勢を
自ら取ってくれる事をしっているからである。果たせるかな、やがて、人類男性は、用便の為に、
しゃがみ込んだ。それまで、身を潜め、息を凝らして、彼の跡を追ってきた高等肉食獣は、ここぞ
とばかりに、躍り出、低い位置に降りてきた彼の首筋に食らい付き、瞬く間に、これを仕留めてし
まう。
【52】この様に、現生人類に至っても、男性は、血縁集団から離れ、女性の保護から離れて、一人
になれば、飢えるか、肉食獣に襲われるか、いずれにしても、「死」しかなかった。
女性が一人でも生きてゆけるのに対し、男性は、命を繋ぐ為には、女性の保護と、女性からの
扶養を受けねばならない以上、それこそ、命懸けで、女性に服従し、従わねばならなかった。人類
社会の最小構成単位は、成年に達した男女の結びつきからなるが、その関係は、当然、対等なもの
では、あり得なかった。女性は主人であり、男性は、これに従属する者であった。
男性達は、文字通り命懸けで、主人である女性に服従し、その機嫌を損ねる事がないように常
に留意し、これを喜ばせようと努めた。自然と、男性は、女性全般に対し、従順となる。男性が女
性に逆らう様な事はなく、また、およそ、男性が女性に意見を言う様な事もなくなった。その様な
事をして、もしも女性の機嫌を害すれば、それは男性にとって、「死」を意味したからである。
【53】その様な男性の立場は、血縁集団における掟と罰にも、如実に反映されていた。いずれの血
縁集団においても、詳細な行動規範と、これに違反した場合の処罰についての約束事があった。そ
れら行動規範は、大半が血縁集団の効率的な組織・活動を維持する為に必要不可欠な準則であり、
一部は宗教的な理由によるものであった。これら血縁集団の行動規範に違反した場合、その違反の
程度と、違反した行動規範の重要性に応じて、処罰が定められていた。処罰の内容は、各血縁集団
によって、結構、異なっていたが、一致している部分も多かった。そして、一致しているものの一
つとしては、男性に対する最も重い処罰が血縁集団からの追放であるとの点であった。
女性に対しても、血縁集団からの追放と言う処罰はあったが、必ずしも、重い処罰とは言えな
かった。女性の場合、血縁集団からの追放を受けても、生きていく事はできたからである。しかし
、男性の場合、血縁集団からの追放を受ければ、飢えるか、野獣に襲われるかして、死ぬしかなか
った。正に、女性に対する死刑と同等の極刑だったのである。
【54】さて、血縁集団が母系制で成り立っている以上、近親婚を避ける為には、配偶者となるべき
男性を、他の血縁集団から調達しなければならない。通常、それは、複数の血縁集団の間で、年頃
の男性を、相互に交換する事で行われた。その場合に、口実として多く用いられたのが、宗教的祭
礼である。相互に近しい宗教を奉じる複数の血縁集団が、その祭礼の為であるとして、時期を定め
て集まる。当然に、年頃の男女の交流も生まれ、そろそろ配偶者を得ようかと考えている女性は、
年頃の男性の中から、気に入った者を選び、連れ帰るのである。
あるいは、もっと端的な方法が取られる場合もある。男女の関係は、支配−服従の関係として
確立している。血縁集団の中には、この関係を徹底的に敷衍して、男性を、女性の財産の一つと観
念するものもあった。男児が生まれれば、先ず、その母親が、これを財産として所有する。年頃と
なれば、その男児を、年頃の娘が居る母親に、あるいは年頃の少女自身に、財産として引き渡す。
その方法は、男児相互の交換と言う事もあれば、家畜など他の財産との等価交換と言う場合もある
。年頃の男児の第一次的所有権は当然に、その母親にあるが、その母親が属する血縁集団の長も、
その集団の長としての立場において、その所有権関係に関与する。その様な血縁集団の長同志が、
相互に協議し、年頃の男児を血縁集団の間で、やりとりし、自集団の娘達に配分するのである。そ
の結果、実に効率的に、配偶者の供給が行われる。この様にして配偶者を得た少女達は、これを所
有し、養う。不幸にして、その女性が早逝した場合、他の財産と同様に相続の対象となり、父は娘
に相続され、兄弟は、姉妹に相続される。娘や姉・妹が居ない場合、祖母・義母や、伯叔母、従姉
妹と、順次、血縁の順に従って、相続人が決する。母系血族集団なので、母系血縁の順に従って、
相続人を決する限り、相続人が居ないと言う事態は発生しない。
【55】一見、非常に不当な制度に見えるが、この時代の男性の立場にかんがみれば、財産の所有が
権利としてだけではなく、それに対応する義務としても観念される限り、合理性があった。即ち、
この時代、男性は、自ら一人では生きていく事ができず、いずれかの女性に保護され、養われるの
でなければ、生きてゆけなかった。しかし、先ほどの様な制度のもとでは、必ず、誰か、その男性
を所有する女性が存在する。所有者たる女性が亡くなっても、相続人たる女性が必ず現れ、彼を所
有する事となる。
男性を所有する女性は、その所有権の当然の効果として、所有する男性を保護し、養わねばな
らないとの観念が存する限り、男性は、常に、いずれかの女性に保護され、養われる事を保証され
るのである。
この様に、この制度は、この時代の男性の立場に適合した、ある意味、合理性を持った制度で
あった。それゆえ、この制度は、広い地域、多数の血縁集団に普及していく事となる。もとより、
この制度を知らず、あるいは、知っても拒絶する集団も多数、在ったが、それでも、この制度は、
広く普及し、長く存続した。もちろん、時代が下り、文明社会が築かれ、人権と言う思想が広がっ
て行く中で、この制度は、多くの社会で否定される事となったが、それでも、なお、現在に至って
も、その残滓が随所に見受けられる事は避け得なかった。
ただし、この制度は、所有権概念や、財貨の等価交換と言う概念が成熟していないと成り立た
ない。高度の知性を有する現生人類と言えども、この概念を成熟させるには、少々、時間を要した
。為に、この制度が発生し、普及するのは、時代的には、後の事ととならざるを得ない。
【56】多くの場合、配偶の男性は、この様に集団間の交流によって、加えて後の時代には取引によ
って、平和裡に交換されたが、しかし、血縁集団の中には、その様な平和裡な交換の機会を持たな
いものも現れる。余りにも遠い距離を移動してきたが為に、周囲の血縁集団との間で、その様な友
好的な関係を持ち得ない場合などである。その様な場合、近親婚を避ける為に、背に腹は代えられ
ないとして、暴力的な方法が用いられる事が、取引の概念が普及する以前には、あった。
それは児童の略奪である。児童の略奪を必要とする血縁集団の成年女性達は、目標の血縁集団
を定めると、その血縁集団の成年女性達が、食料調達の為に、出払った事を確認した後、定住地で
、未成熟の子供達を守る男性達に、一挙に襲いかかる。男性達は、常に集団で女性達の留守を守っ
ているが、集団での狩りに長けた成年女性達の前では、敵ではない。女性達は、集団での狩りの技
法を最大限に利用して、男性達を追い込み、取り囲む。女性達に、獲物の様に追い込まれ、取り囲
まれた男性達も、我が子を守ろうとして、必死に抵抗、応戦するも、女性達の敵ではない。男性達
は、家事労働と定住地付近での食料採集しか知らないから、効果的な攻撃防御の方法は知らない。
対し、日々の狩猟で実技を磨く女性達は、これに熟達している。たちまちの内に、男性達は制圧さ
れる。襲撃側の女性達としても、殺戮が目的ではないから、なるべく致命傷を与える事は避けよう
とするが、それでも、妨害と追跡・取戻を防ぐ為には、男性達の抵抗力を奪ってしまわねばならな
い。女性達の激しい暴力の前に男性達は次々と倒れていく。
女性対男性では、勝敗は瞬く間に決する。僅かの間に、男性達は制圧され、受けた傷の苦痛と
、我が子を奪われる悲痛から来る呻き声を上げて、累々と倒れている。襲撃側の女性達は、直ちに
、子供達を連れて去る。被害集団の女性達の追跡を振り切って逃走せねばならないから、大急ぎで
、その場を離脱する。連れ去る子供達の人数も、被害集団の女性達の追跡を免れる為に、必要最小
限にとどめざるをえない。
【57】被害集団の追跡を振り切り、児童の略奪に成功した集団ではあるが、その場合、深刻な不均
衡に悩む事となる。女性達の留守を守る男性達を襲撃した場合、そこに居る子供達は、男児は、幼
児から、年頃の少年まで居るが、女児は、幼児のみである。年頃の少女は、成年女性達に付き従っ
て、出かけているのが通常だからである。それゆえ、連れてこられるのは、幼児と少年のみである
。年頃の少年は、直ちに、集団中の年頃の少女に配偶させるとし、幼児は、その生育を待てばよい
。しかし、それでは、集団中の年頃の少年が余ってしまう事となる。
当該集団に余力があれば、余った少年達も、養って行く事ができるので、補助的な労働力とし
て、集団に残しておける。しかし、それだけの余力がない場合、少年達には、自らが必要とする食
料の全部を自分で調達する事はできない以上、これを養う事はできない。
その様な場合、血族集団は、涙を飲んで、余った少年達を野に放つ。荒野に放たれた少年達は
、肉食獣の餌食となるか、幸いに、これを免れたとしても、いずれ、飢え、死を迎える事となる。
【58】さて、現生人類が、その長い揺籃の時を過ごした大陸を離れ、新たな大陸に新天地を求めて
急速に広がって行く頃、新大陸に豊かな新天地を得た、とある血縁集団の中に、比較的若く、小さ
な家族があった。まだ少女と言った方が似つかわしい若い女性を主とし、その配偶者である同年齢
と目される男性がと、幼い女児と男児が一人づつが、これに従うと言う構成である。男児は、女児
より、2〜3歳年上であったと思われるから、兄妹である。
しばらくは、この家族の様子を見守る事となるだろう。
>>100の最後の一行、ちょっと偉そうな表現になってしまいますたが、「パロ」であり
ますので、御容赦の程を。
102 :
名無し調教中。:02/10/29 17:03
保全。
103 :
名無し調教中。:02/10/30 22:28
すみません、保全です。
104 :
名無し調教中。:02/11/02 14:26
保全部。
105 :
名無し調教中。:02/11/03 23:22
良スレ保全
【59】この時代の一日は、夜明け前から始まる。先ず、家事労働に携わる男達が起き出し、一家
の主である女性達を送り出す準備に取り掛かる。程なく、女性達も起きだし、昨日の残り物で、
軽く朝食を摂ると、狩の道具の手入れなどをしながら、日の出を待つ。
日が昇り始めると、集団の成年女性達は、隊伍を組んで、食料調達に出かける。この日は、
念入りに狩の道具を手入れし、これを携えて出かけたから、狩猟の予定であろう。
主である女性達を送り出した後、男性達は、それぞれ、家事労働に励む。この家族の男児も、
父に従って、家事労働を助ける。女児の方は、既に、母親に連れられて、何度も、狩や、採集
に同行しているが、まだまだ幼すぎて、本格的に、母親達の仕事を手伝うには至らない。母親は、
この日は、遠方に行くか、大物を仕留めるつもりだったのだろう、そう言う時は、娘を同行し
なかった。
母親に連れられて出掛けない場合、娘も、居住地に残って、父達の仕事を手伝う事となる。
しかし、女性である娘にとって、男性の仕事には興味がない。従って、手伝いはするものの、ど
こか真剣さに欠けていた。が、父親は、それを、あまり咎めない。女性である娘が、男性の仕事
を覚える必要はないからである。また、父親とは言えども、男性であり、娘と言えども、女性で
ある以上は、娘の方が遙かに地位が上であり、立場も強かった事から、意見も言いにくかった。
【60】が、兄の方は、不満であった。自分達が、一生懸命に働いているのに、妹が、遊び半分で
居る事を不公平に思ったからである。そこで、兄は、妹に、妹も、ちゃんと仕事を手伝うように
と意見する。しかし、妹の方は、その兄の言葉を真剣に聞こうとはしない。兄としては、妹に馬
鹿にされた様に感じ、さらに不満に思った。父に不平を告げると、逆に、父から、たしなめられ
た。 「男の身で、女の子に意見するとは、何事ですか。お母様が出掛けていらっしゃる間は、
お母様の代わりなのですからね。それに、あなたは、いつも妹に逆らうけど、男の子なんだから、
いい加減、女の子に従う事を覚えなさい。男の あなたが、女の子に逆らって、生きていける
と思っているのですか。」と。
確かに、この兄は、妹と衝突する事が多かった。男児も、彼くらいの歳になれば、そろそろ、
女児に反発しなくなるのだが、彼は、いまだに、妹には、反発していた。彼は、その理由を、
妹との仲の悪さに求めていた。彼としては、自分の妹が、いつも彼に意地悪をしてくると考えて
いたので、仲が悪くて当然だと思っていた。しかし、両親は、むしろ、この兄妹は仲が良いと考
えていた。兄が、妹の意地悪と考えている事も、大人達の目から見れば、兄を好きな妹が、兄に、
ちょっかいをかけていると言う程度にしか見えなかった。
【61】さて、一通りの家事労働が終わると、集団の男性達が集まって、居住地の近くでの食料採
集に出る。兄妹も、父親に連れられて、これに加わった。男性達が採集する食料は、女性達が調
達する食料に比べれば、ささやかなものであった。常に、女性と違って、男性は、一人では活動
する事ができず、常に複数人が集団で行動しなければならない為(【49】〜【53】
>>91-95・【56】
〜【57】
>>98-99)、女性に比べ大幅に行動が制約され、居住地から遠くに離れる事はできず、
また、効率的な採集活動もできないからである。が、それでも、「生きてゆくのが、やっと。」の
時代であるから、男性達が収集する食料も重要であった。ゆえに、男性達も、懸命に、食料採集
に勤しんだ。
この日も、居住地から見える程度の近い場所で、固まって、食料採集に励んだ。が、来る日
も来る日も、狭い範囲で、食料採集を行う為、めぼしい食料は、あらかた採り尽くしていた。そ
の様な中、懸命に、残された食料を探すのである。
兄の方は、男性の大切な仕事として、この食料採集に、懸命に励む。その余り、残された食
料を求めて、さらに探し回り、いつしか、集団から離れてしまった。集団の男性達は、皆、男は
一人では動けない事を承知しているので、互いに、離ればなれにならないよう留意しあっている。
従って、彼が、離れていった事も分かっていた。が、彼には、妹が付いていたので、ならば大
丈夫だろうと考え、皆、安心して、彼を行くままにした。
【62】兄の方は、妹と二人で、食料採集の仕事をしているつもりで居た。が、例によって、妹の
方は、全然、熱心には採集を行わない。兄を見守れる位置で、好き勝手に遊んでいた。
ついに、兄の方は、怒りを発し、妹を難詰した。妹の方も、仕事をしないなら、帰れと言う
風に言われると、腹が立った。妹としては、兄の側に居る事自体が、家族を守ると言う、女性と
しての大切な仕事であり、今日も、この様にして、集団から離れて勝手に動く兄に付いて来る事
で、これを忠実に果たしていると自認していたからである。 「こうやって、お兄ちゃんの側に
居る事が、仕事なのよ。母さんから、留守の時は、父さんや、お兄ちゃんを守ってあげるように
言われているんだから。」と言い返す。
兄の方も、収まらない。 「何が、仕事なものか。じゃまをしているだけじゃないか。」と。
妹が、「男のお兄ちゃんが、皆から離れて、こうして居られるのも、あたしが側に居るからじゃ
ないの。あたしが、居なかったら、今頃、お兄ちゃん、狼にでも食べられているわよ。」と返す
と、日頃、男だからと言って押さえつけられている不満が爆発し、「男だって、一人で歩けるよ。
仕事しないなら、帰れよ。」と言ってしまった。妹も引くには引けない。「勝手にすれば良いわ。
何があっても知らないわよ。」と言って、側を離れて言った。ただし、その前に、最後の悪態
とばかりに、兄に詰め寄ると、兄の股間を握りしめ、「こんなものを付けている限り、男の子は、
男の子なの。女の子みたいには、行かないのよ。」と言った。兄は、恥ずかしさと屈辱とで、
激高し、手を上げたが、妹は、「たわいもない。」と言う感じで、簡単に、これをかわし、兄の手
は、むなしく空を切った。
【63】妹が離れていった後も、兄は、せっせと、食料採集に勤しんだが、果たせるかな、背後に
捕食者の気配を感じた。兄は、気取られないように配慮しながら、手頃な棒を手に取り、やにわ、
気配の方に向かって、立ち上がった。やがて、一匹の狼が現れた。はぐれ狼の様だった。彼が棒
を手に取って立ち上がり、防御の気勢を示しても、狼は諦める様子はなかった。普段、集団で生
活し、集団で狩をする狼が、一匹で居る事は大変に珍しい。何らかの事情で、集団を離れざるを
得なかったのだろう。集団を離れた結果、餌に窮し、せっぱ詰まっている様子が窺えた。そして、
それ故、彼を、この場で仕留めるつもりで居る事も明らかであった。
兄が、棒を振り回して、気勢を示しても、狼は、動じない。人類と言えども、男性ならば、
効果的に自らの身を守る事ができないのを知っているからである。じわり、じわりと近寄ってく
る。兄は、自らの運命を悟り、覚悟を決めた。
正に、その刹那、何かが空を切る鋭い音がして、狼がたじろいだ。音の方を見れば、妹が居
た。妹は、右手に手頃な木の棒を持っていた。さらに、妹が、棒を勢いよく振ると、狼は、たち
まち、逃げ出した。狼も、攻撃防御になれた女性が相手では、厄介どころか、自分の身が危うい
事を知っているからである。
【64】「大丈夫?」と問いながら、妹は、兄に近寄った。怒って、帰ったふりをしながら、近くで、
見守っていたのである。兄は、九死に一生を得た安堵から、妹の前に跪いた。そして、妹の腰に
手を回して、抱きつき、泣き出した。 妹は、「怖かったでしょ。でも、もう、大丈夫よ。」と兄
をなだめ、優しく、兄の頭をなでた。
兄の涙は、もちろん、安堵と妹への感謝の涙であったが、同時に、屈辱と悲哀の涙でもあっ
た。妹が言ったとおり、妹が側を離れた途端、狼が襲ってきた。男の自分が、反撃の気勢を示し
ても、狼は全く歯牙もかけなかったのに、女性である妹が、気勢を示せば、狼は立ち所に、退散
していった。正に、男の弱さと、女の強さを痛感させられた出来事であった。と同時に、女性に
従い、女性に守られるのでなければ、それこそ、一時も、自らの命を繋ぐ事のできない男性の立
場の弱さも思い知らされた。これから、一生、女性の服従し、女性に庇護を乞い続けねばならな
いかと思うと、男と言う、弱い性に生まれついた事の悲哀を禁じ得ず、涙が止めどもなく溢れ続
けた。
【65】やがて、兄妹は、幾ばくかの食料を抱えて、居住地に戻ってきた。これを迎えた父親は、
さほど、心配していた様子はなかった。男の子が、集団から、はぐれると大騒ぎになるのが常だ
ったが、女性である妹が付いていたので、大丈夫だと思っていたからであろう。
日が沈もうとする頃、集団の成年女性達が、その日の成果を携えて、戻ってきた。運びやす
いように、既に適宜、解体されていたものの、その量と大きさからして、かなりの大型獣を、複
数頭、仕留めたものである事が了解された。居住地に着くと、直ちに、狩に参加した成年女性達
の手によって、狩の功績が勘案されつつ、それぞれの家庭に必要な分に、獲物が分けられていっ
た。
この家族の主である母親は、本日の第一功労者だったのであろう、大量の肉を持って、帰っ
てきた。家族一同で、主を迎え、直ちに、夕食の準備に入る。やがて、食事が始まるが、先ず、
これを口にする事ができるのは、一家の主である母親である。食料の大半を獲得してくるのが、
彼女である以上、当然の事と言えた。女性である娘が、これに準じる。しかるのち、夫と息子が、
食事にありつける。先ずは、この日のメインと言うべき肉を取り、一家の主の方に向かって、こ
れを押し頂き、「いただきます。」と言って、新鮮な肉のほか、食料を獲得してきた彼女に対する
敬意と、感謝の意とを示してから、食するのである。
【66】食事を終えても、大量の肉が余った。これらについては、明日、父親が、保存の為の加工
を施す事として、その日は、休む事とした。
夜半、兄が、小用を催した。「ねぇ、お願い。起きて。」と、側で寝ていた妹を揺り起こした。
「何、お兄ちゃん。おしっこ?」と聞かれると、兄は、恥ずかしげに、うなづいた。妹は、熟睡中
を起こされて、いささか不機嫌であったが、家族の男性を守るのは自らの務めとばかりに、立ち
上がり、先に、出ていった。兄も、昼間、狼の襲われた恐怖が残っているのであろうか、一回り
小さな妹の背に両手を添え、寄り添うように、妹に付いて歩いた。
しかるべき場所に着くと、妹は、「早くしてよ。」と促した。兄は、「ごめんね。ありがとう。」
と言ってから、妹の前に、しゃがみ込み、恥ずかしさをこらえながら、小用を足し始めた。
妹に見守られ、妹の前に、しゃがみ込んで、小用を足しながら、兄は、この妹に守られてい
る事を実感した。目の前の妹を見上げれば、妹も、こちらを見下ろしていた。熟睡中を起こされ
て、さぞ不愉快であるはずなのに、その様な不快は表情はなく、むしろ、弱い性を慈しむ愛情す
ら見て取れた。兄は、小用を足す姿を見られる恥ずかしさと共に、妹に対する感謝と尊敬の念を
抱いて、妹を見上げた。
【67】数日後、家族の母親は、孜孜として作り溜めた骨角器を大量に携えて、出掛けて行った。
特殊な石器の材料として最上の黒曜石と交換する為に、遙か南方に出掛けたのである。交易の場
所は、片道10余日を要する遠方にあった。が、その場所で黒曜石が取れる訳ではなく、同様に
骨角器を求めて、遠方から来訪する人々と交換し、譲り受けるのである。この家族の居住地では、
特殊石器の制作に適した黒曜石は取れなかった。が、大型の草食獣が、ふんだんに取れる為、そ
の頑健な骨から、最良の骨角器を産出する事ができた。逆に、南方の地では、黒曜石は産出する
ものの、大型の草食獣が生息せず、上質の骨角器を得なかった。それで、双方が、しかるべき場
所で落ち合い、互いに、有する物を、必要とする物に交換しあったのである。
兄妹達は、連れて行かれない。が、妹の方は、いずれ、その様な交易にも携わらねばならな
い以上、既に交易地に赴いた経験のある集団の女性達から、交易地までの道順ほかを、詳細に聞
かされていた。その話によれば、黒曜石を持つ南方の人々は、自分達と違って、黒い肌をしてい
るそうである。また、話し手自身も、一度しか見た事がないが、交易の地には、遙か西方より、
不気味なほどに白い肌をし、狐の様な色の髪を持つ人々も訪れるとの事であった。
【68】主が戻るまでは、概ね、30日弱を要した。その間、父親と兄妹とで、留守を守らねばな
らなかった。しかし、彼女の旅は、集団全体の為に交易に出たものであるから、その留守、彼女
の家族に対する食料は、集団全体で負担された。従って、彼女の留守の間、この家族へは、集団
から、適宜、食料の分配がなされた。また、優れた狩人であった、この家族の主は、分配を受け
る肉の量も多く、その肉を、彼女の配偶者である父親が、巧みに保存食として加工し、保管して
いたので、彼女の留守の間、食料に困る事はなかった。
くだんの一件以来、しばらくは、兄も、女性である妹の強さと、男である自分の立場の弱さ
を痛感し、妹に対し、恭順を示していたが、やがて、いつもの様に、反発を見せるようになり始
めた。母親が留守の間、これに代わって、一家を取り仕切ろうとする妹の態度に抵抗を感じたの
だろう。が、妹としては、母親が留守の間、一家で唯一の女性として、男である父や兄を懸命に
守ろうと努力しただけである。
父は、今一つ、女性に服従する事ができないでいる息子を案じた。男の子にしては、意志と
意欲が強すぎた。が、それは、自らの力で生きてゆける女性にとっては有利な素養であっても、
女性に従い、女性の庇護と扶養を乞わねばならない男性にとっては、差し障りとなるものであっ
た。他方、娘の方は、責任感が強すぎた。その点は、母親譲りであった。女性としての責任を果
たそうとする余り、兄を守ろうとして、意欲的に動く兄を押さえつける事が多かった。その辺り
が、この兄妹の衝突の原因と思えた。
【69】最近でこそ、しなくなったものの、互いが幼いうちは、それこそ、取っ組み合いの喧嘩さ
え、あった。もちろん、常に、妹が兄を打ち負かしていた。女性は、将来、優秀な狩人になるべ
く、幼いうちから、同性の友人達と闘争的な要素を多分に帯びた遊びに励む為、自然と、闘争に
長けて行くのに対し、男性は、その様な事を知らずに育つ為、喧嘩となれば、女性である妹が、
難なく、兄を屈服させる。兄も、女の子達の遊ぶ姿を見て、見よう見まねで、闘争を挑むも、実
地に研鑽を積んだ妹の敵ではない。
さらに長ずるに及び、力量の差は隔絶してゆくので、もはや、互いに、取っ組み合いに至る
ような事はない。さりながら、この兄妹に限っては、いまだに反発・衝突を見る。妹の方も、内
心、兄を好いているものの、兄とは言え、男である彼が、妹とは言え、女性である自分んに、反
発してくるのを見れば、不快を禁じ得ないらしく、つい、反発する兄の股間を握りしめ、「こん
なものが付いている以上、男の子は、男の子なの。男の子なら、黙って、女の子に従いなさい。」
と言い放ってしまう。兄としても、妹に男性器を握りしめられては、もちろん痛みを感じるし、
また、嫌が応にも、自分が男性である事を思い知らされ、男として女に押さえ込まれ続ける事の
反感が湧き起こり、さらに、反発してしまう。この様にして、衝突がエスカレートして行く。
いずれの男の子も、この様な、男である事への反発と言うものは感じていたが、それなりの
年齢になれば、男の立場の弱さと言うものを嫌と言う程、思い知らされ、男である事への諦めを
覚え、女性への恭順を学んで行く。この兄も、同様に、いや、より強く、男としての立場の弱さ
を、この妹から味あわされていたが、意志と意欲の強さが、災いして、諦めと恭順より、反発が
先だってしまうようだ。
【70】さて、一家の主が交易の旅に発ってから、数日となった。その頃から、次第に、父親の様
子に異変が生じ始めた。明らかに辛そうなのである。子供達が、心配して、口々に安否を問うが
、父は、大丈夫と言うだけであった。さらに、主の旅立ちから10日を過ぎようとした頃、つい
に、父は、家事労働中に倒れた。
娘の方は、原因が分かっていた。予め、母親から聞いていたからである。父は、精が溜まり
過ぎていたのである。女性が、性の自由を得たのに対し、男性は、その女性の奔放な性の要求に
最大限に応えるべく、その能力を高める一方、自らは、これを自由に使えないとの立場に立たさ
れていた(【40】〜【45】・
>>68〜
>>73)。その結果、パートナーたる女性が長期間、性交渉の相
手をしない場合、男性は、逆に、その強い造精能力に悩まされる事となる。いつでも、パートナ
ーたる女性の要望に最大限に応えられる様にするには、自ら、これを放つ事などは、以ての外だ
からである。
娘は、父を抱き起こすと、人目に付かない所に連れて行った。そして、そこに座らせると、
父の男性器に手をかけた。父は驚いて、両手で股間を押さえる。娘は、「大丈夫。母さんから、
父さんが、こうなったら、こうするようにと言われているの。辛いんでしょ?私の言うとおりに
しなさい。」と言った。
119 :
名無し調教中。:02/11/04 21:49
【71】それが普通なのであるが、息子と違い、父の方は、女性に従順であった。娘とは言え、女
性の言葉であるし、それも、自分の主人から、そうする様にと言われていることなのであった。
素直に、娘に従う事とした。目を閉じ、股間から手を離し、自らの男性器を娘に委ねた。娘は、
予め母親から教えられていたとおりに、その手を以て、父の男性器を顫激した。
さすがに、最初は、娘の手にかかる事に倫理的な抵抗感を覚えていたものの、次第に、情の
高まりが押し寄せ、ついには、小さくではあるが、喘ぎ声すら漏れ始めた。やがて、上体を弓ぞ
りにしたかと思うと、その刹那、白濁液の迸りが始まった。おびただしい量の白濁液の横溢は、
しばらく続き、その間、彼は、目を閉じたまま、天を仰いだ。そして、横溢が止まる頃、彼は、
安堵の溜息を深く漏らした。
息子の方も、父が心配な余り、遠巻きに、跡を付けて来ていた為、この模様を一部始終、目
撃する事となった。それゆえ、自らの生理作用ですら、自分の自由とする事はできず、女性の手
に委ねざるを得ない男性の不自由さ、弱さを思い知らされる事となった。
この様な出来事があったものの、集団の日常は大過なく進行していた。が、その集団を付け
狙う邪悪な視線がある事に、この集団は未だ気付いていなかった。
>>119 どっかの無料サイトにでもまとめればいいのに。
122 :
底名無し沼さん:02/11/13 19:34
age保全しておくか
123 :
名無し調教中。:02/11/24 14:12
age.
124 :
名無し調教中。:02/11/27 15:01
ホシュホシュしゅしゅしゅ
125 :
名無し調教中。:02/11/27 19:42
126 :
名無し調教中。:02/11/27 19:43
127 :
名無し調教中。:02/11/30 17:27
age
128 :
名無し調教中。:02/11/30 22:36
129 :
名無し調教中。:02/12/01 11:47
130 :
名無し調教中。:02/12/01 12:09
>>129 俺はスカトロ嫌いだけど、保存しました。ごちそうさま。
131 :
名無し調教中。:02/12/01 14:24
133 :
名無し調教中。:02/12/03 06:48
おいおい。
イスラム圏では、たいていの国で男はしゃがんで女は立っておしっこしてるけど
ほとんどの場合、男尊女卑な社会ばかりだぞ。
---------------------------<終了>--------------------------???
134 :
名無し調教中。:02/12/04 12:50
136 :
名無し調教中。:02/12/09 23:11
ネタスレあげ(w
137 :
名無しさん:02/12/09 23:15
女は子孫を残せる(主体)←→男は狩が出来る(使いっ走り)
女は弱い←→男は強い
この心理面?(既出だろうな
なんか対比になってない・・・。
140 :
名無し調教中。: