【2】さて、2本の足で立ち上がる事となって、人類は、それまでとは全く違う生活を営むようになっ
たが、同時に、それまでとは勝手が違う事も生じた。
小用を足すについて、直立すれば、女性は、尿道の構造から、真っ直ぐ真下に尿が落ちる事とな
った。それで、上体を30度ばかり、前に倒してみると、尿は、それに合わせて、後ろ30度の方向
に、真っ直ぐ飛んでいった。実に便利である。女性は、この方法で、立って小用を足すことにした。
男性も、立って小用を足そうと試みた。しかし、手を添えて、放尿の方向を調節すると言う発想
は、未だなかった。手は、つい最近、自由になったばかりであり、誰も、これを適宜に使いこなす為
の知恵は持ち合わせていなかった。その結果、男性の放尿は、方向を得ず、足下に落ちるなど、はな
はだ不都合であった。それで、女性と同様に上体を30度、前に倒して、放尿してみた。しかし、そ
れでは、男性の場合、正に、真下に落ち、足下を濡らした。
そこで、しゃがんでみた。すると、男性器は真っ直ぐ前を向き、尿は真っ直ぐ前に放たれた。こ
れが、男性にとって、最も好都合な放尿姿勢となった。男性は、しゃがんで小用を足す事に決めた。