548 :
亜蘭もどき:02/09/07 21:26
もちろん性器は目よりも、切り出された後の価値は普遍的に高い。それは
ここ城砦内で あっても、香港市街であっても同じである。目を抉り抜く犯
罪者と性器を抉り抜く犯罪者とどちらが多いかを考えれば、すぐ分かるこ
とではある。蘭芬の性器は切り出されて価値を高めた。さすが北京の宮廷
料理人である。現実の窮屈な制約から開放されて、空想、妄想、理想の性
器になったように見える。透きとおるような肌の色。微妙な大陰唇の脹ら
み。遠慮がちに襞を重ねる小陰唇。剥き出された巨大なクリトリス。開き
きり、奥まで見えている膣。すべての青年たちが納得する形の性器であっ
た。お祝いのときの特別な饅頭のように、大きくてふくよかな性器であっ
た。蘭芬もそう思ったし、母親もそう思った。誰もが知らず知らず触って
しまうような若々しい色合いと弾力。生まれたてのように汚れていないシ
ンプルな構造。それでいて真珠の大玉のようなクリトリスの下に、腕ごと
差し込めそうな大きさで膣がぱっくり開いている。天使と悪魔が同居した
ような性器であった。すさまじい存在感であった。蘭芬の性器は、差し渡
し五十センチの併盤のやや右寄りに置かれ、その横に妹の小蘭の性器が置
かれた。妹の性器の方が中身まで一緒に切り取ったという意味では本物で
あった。しかし、そちらは、つい二十分前まで生きていたものとは思えな
いほどに変色し、弾力を失っている。「小蘭のは汚いな」若い助手の一人
が思わず声に出し、あわてて口を押さえた。母親が顔を上げた。すさまじ
い形相であった。城砦の隣人に、やれニワトリを盗んだろう、自転車を壊
したろう、と何かと言いがかりをつけ嫌われていた母親であったが、それ
でもこれほどの顔はめったに見ない。「お前のものはそんなに奇麗なのか」
地獄の底からの声のようであった。「お前らのために切り出させてやった
のだ。城砦のために痛い目にあってやったんだ。それを、お前は汚いと言
うのか」「汚いと言われてまで、お前らにわたす義理はない。返してもら
う」母親はいよいよ猛り狂いだした。いつものヒステリーであった。
549 :
亜蘭もどき:02/09/07 21:28
若い助手は青ざめ立ちつくしている。「お前のものはそんなに奇麗なのか」
もう一度繰り返した。蘭芬がいつものように「いいよ、もういいよ、お母
さん」となだめた。ただ小蘭の性器を汚いと言われたことは、蘭芬も悲し
かった。生きながら抉り抜かれる苦しみはどれほどのものか、正確には、
まだ彼女にも分からない。クリトリスの根を切られたときの衝撃で、いく
らか想像はできる。しかし、それは、いくら敏感でも小さな部分にすぎな
い。蘭芬の肌と粘膜は剥がれただけである。性器をまともに切り込まれ、
腰を切断された小蘭の苦痛はそんなものではなかったであろう。そうまで
して城砦に提供した性器を「汚い」と言われたら、それは小蘭は悲しいだ
ろう。これから自分も同じような処置をされるのであり、その後でどこか
の肉を「汚い」と言われたら、やっぱり悲しいだろう。ただ、蘭芬はその
若い助手を責める気にはならなかった。切り取られた小蘭の性器は、たし
かにみすぼらしかった。それはみんなが思ったことであり、青年だけの責
任ではない。また、みすぼらしくなったのは解体屋が何もしなかったから
である。小蘭の責任ではない。小蘭の性器はまったくふつうの性器だった
のだ。蘭芬の性器と比べてみすぼらしいといっても、それは解体屋が宮廷
料理人の技を使って、蘭芬の性器を特別に処理したからであり、彼女の性
器が最初から優れていたからではない。大体、あんな直径三十センチもの
山のように盛り上がった性器が実際に股間に付いていたら、歩くことさえ
できないであろう。膣だって、馬に入れてもらわなくちゃ。皿の上の蘭芬
の性器は、見せ物であり、ショーのための性器である。北京の宮廷用の性
器である。小蘭の、本物のままの実用品の性器が見劣りするのは当然なの
だ。それを青年が口にしたとしても、罪はないはずである。ただ「汚い」
と言ったことは、無神経に過ぎた。「お前のものはそんなに奇麗なのか」
母親はなおも言いつのっている。若い助手はいよいよ青ざめて震えていた。
劇場主と黒社会が小声で話し合っている。
550 :
亜蘭もどき:02/09/07 21:34
青年は事態がただならぬのを悟り、振り返って逃げ出そうとした。「分か
ったよ、ばあさん。お前さんの気持ちは分かった。確かに、お前さんとこ
の娘だけに城砦の犠牲になってもらうのは気の毒だ。お前さんの気の済む
ように、その青年の奇麗なものを切り取ることにする。だれもそんなもの
をもらいたくはないが、それでばあさんの気持ちがすむなら仕方あるまい」
蘭芬は何かを言おうとしたが、母親に止められた。まあ、いいか、どちら
でもいいことだし、蘭芬は青年に助け船を出そうとしたのだが、止めた。
逃げ出そうとした助手は、左右から黒社会の人間に抱えられた。青年は盛
んに手足をばたつかせたが、専門家にはまったく通用せず、たちまち両足
を滑車に吊り下げられた。促された解体屋が、裾から包丁を入れ汚い青年
のズボンを切り開いた。さらに汚い下着が出てきた。「そんな汚い下着の
くせに、よく人のことを汚いと言えたな」母親はまだ毒づいている。蘭芬
がたしなめた。下着も切り裂かれた。陰毛が見えた。性器は縮んでほとん
ど見えない。「お前の自慢の奇麗なものが見えないじゃないか」青年は、
助けてくれ、助けてくれ、と必死に叫び続けている。吊るされているのは、
解体屋の助手である。知人の息子を預かったのである。解体屋も 穏やかな
気持ちではない。このばか息子のことを、その知人にどう弁解しようか、
と思いめぐらした。しかし、ともかく今は、目の前のお偉いさんの言うと
おりに動くしかない。それが城砦で長生きする方法である。解体屋の包丁
が偶然、青年の太股に触れた。軽く切れ、血が滲んだ。ギャッという絶叫
が上がった。全員が何事が起きたのかと、驚いた。それが、わずかな傷の
せいであると知って、全員の心が冷えた。小蘭は中華包丁が見えなくなる
ほど股間に切り込まれた。右から切り込まれ、左から切り込まれ、性器を
子宮まで抉り出された。骨盤から上半身と下半身を切り離された。肝臓は
母親のために抜かれた。
551 :
亜蘭もどき:02/09/08 06:40
蘭芬もすでに片方の乳房を取られた。股間の皮膚と膣の粘膜を長時間かけ
て削ぎ剥がされた。それで、二人とも、青年のようには叫ばなかった。運
命を受け入れ、苦痛にたえようと闘った。この青年はわずかに包丁が触れ
ただけで、ほんの少し切れただけで、無条件に怯え切り、絶叫を上げる。
それで、小蘭の肉を汚いなんて・・・、解体場で一番温かかったはずの蘭
芬の心も冷えた。解体屋も、青年の父親の顔を振り払った。こんな青年で
は、どっちみちまともには生きられない。おちんちんはあってもなくても
同じだ。そう思った。気が楽になった。解体屋は、汚いものを触るように
青年の陰毛の中をまさぐり、陰茎と陰嚢を引き出した。小さな性器であっ
た。恐怖で醜く縮んでいる。子猿のもののようである。ぶよぶよして切り
にくい。青年の叫び声にうんざりしながら、解体屋は包丁を前後に動かし
た。他の助手が青年の胴体を左右から押さえていた。蘭芬が性器を剥がさ
れながら、ほとんど暴れず、小さな呻き声を出しただけだったのが、奇跡
のように思えた。クリトリスの神経を切断したときも、一瞬硬直しただけ
であった。それなのに、この青年ときたら、外に飛び出た邪魔者を切り取
るだけで、この騒ぎだ。男とはこの程度のものかと、しみじみ思う。青年
の絶叫とともに、陰茎と陰嚢を切り取った。包茎の先を摘んで床に投げた。
汚れた肉片が豚と人の血と脂肪で汚れた床に立った。肉片の下の方からは、
陰毛が生えている。まばらで貧しい感じだ。人の性器とは、貧相なものな
のだ。それだけを切り取るとよく分かる。とくに男性器は丸いゴミにしか
見えない。どんなに自慢の逸物でも、切り取ると驚くほど小さい。腰につ
いているときは、屹立して立派そうに見えたものでも、ミミズほどの存在
感もない。
552 :
亜蘭もどき:02/09/08 06:43
「お前のものは、小蘭のものよりずっと汚い」母親が、その小さいゴミを
指差しながら、毒づいた。確かにその通りであった。青年は、抱えられて
出ていった。城砦には歯医者ほどではないが、医者もいる。黒社会の命令
であれば、なんでもする。適当に処理するであろう。尿道だけを確保すれ
ば、問題はない。青年の将来もそう暗いものではない。それなりの商売は
ある。母親と蘭芬の気持ちは、救われたようでもあり、いっそう救われな
くなったようでもあった。蘭芬には、ここまできた以上、火腿になる以外
の道はない。だらしのない青年に人生の選択がまだ残っているのに比べる
と、切ない。小蘭が待っている。そう思って、蘭芬は切ない気持ちを支え
た。母親のことは、城砦全体が守ってくれるだろう。青年の去勢も、その
決意を見せるためである。もう一刻も早く、全身を処理して欲しい、そう
思った。蘭芬の両脚が今度は纏めて鎖に繋がれた。そのまま先ほどより遥
かに高く吊り上げられた。母親は同じように蘭芬の頭を抱えていたが、そ
の抱えた頭も、床、太股の上、腰の高さへと見る見る引き上げられ、座っ
た母親の顔と同じほどの高さにきて、やっと止まった。男女であれば、顔
と顔が向き合い、逆さであることを除けば、抱擁するに適当な位置であっ
たが、母娘であればちょっと躊躇う。が、これは娘の最後である。母親は
頬と頬を逆さに合わせて、ひしと抱きしめた。助手たちが、蘭芬の身体に
バケツの水を何度も掛けた。白い身が鮮やかに浮き出てきた。股間と乳房
の削ぎ痕からわずかに赤い血が流れてくる。血の塩味か、城砦の水の塩味
か、母娘の涙の塩味か、二人は抱き合いながら、その時を待っていた。解
体屋は中華包丁を横に構え、蘭芬の正面に立った。「もういいだろう」と
声をかけ、母親を一メートルほど離させた。
553 :
亜蘭もどき:02/09/08 06:46
蘭芬の臍の上に包丁を当てた。先ほど剥ぎ取った股肉のすぐ下であるが、
脚が閉じられているので、開いたときのように赤身は目立たない。蘭芬の
全身は真っ白に見えた。数ミリ、刃が蘭芬の肉に入った。真っ白な肉にわ
ずかに赤い血が流れ、息を呑むほどに美しい。そのまま解体屋は蘭芬の周
りを回り始めた。細い赤い糸が幾筋も落ち始めた。蘭芬は声を上げない。
またも解体屋は苦痛の限界点のすぐ下で作業をしているらしい。蘭芬は胸
を大きく上下させ、可愛い口を開いているが、それはむしろ逆さ吊りの苦
痛のためのようであった。解体屋は二周目を始めた。助手が水を掛けつづ
ける。蘭芬の美しい身体が赤く染まったり、白く戻ったりを繰り返した。
二周目は、さらに数ミリ深い。しかし包丁は正確に同じ位置をたどってい
る。手練の技である。三周目に入る。さらに数ミリ深い。傷口が目に見え
て開き始めた。蘭芬の口が悲鳴の形に開きかけて止まる。四周目で、蘭芬
の肉がめくれ始めた。アアッという蘭芬か母親の声が洩れ始めた。五周目
で、蘭芬の外郭が完全に開き始めた。その開いた口が外側にめくれ、内臓
が見え始める。すぐにゆっくりと各方向に流れ始めた。解体屋が蘭芬を離
れた。母親が蘭芬の頭を抱えに走り寄る。抱き取ると同時に、蘭芬の身体
が突然の満開を迎えた。内側から押し出されるように、真っ赤な花弁が次
から次に現れた。大輪の花であった。まちがいなく蘭の花である。上半身
が白いガクである。赤い花弁は臍の上で咲いた。その花の中央にすんなり
と伸びた脚が、めしべのように細かく震えていた。可憐な白い蕾から豪華
絢爛たる花が開いた。赤、紫、茶、黄、あらゆる色が同時に現れた。その
花の下で、母と娘が最後の抱擁を繰り返していた。解体屋は冷静に股間部
と繋がるパイプ類を捌き始めた。蘭芬はほとんど声も上げずに、その若い
身体を捌かれていった。すべてが終わり、母親は分けてもらった小蘭の肝、
蘭芬の乳房を抱きかかえながら、よろよろと立ち上がった。
554 :
亜蘭もどき:02/09/08 06:48
そのまま解体場を出ていこうとしたが、床に助手の男性器が落ちているの
を見て、そちらに向かい、憎々しげに踏み潰し始めた。踏み潰しながら、
おいおい泣き始めた。九龍城砦の東側に、解体場、ストリップ劇場、売春
窟が並んでいる龍城路がある。城砦一の華やかな通りであり、卑猥な場所
でもある。もっと危ない体験がしたかったら、もう一本内側の光明街に行
くとよい。その名前に反して、光明はまったくささない通りである。ろう
そくの光の中で、誰もが手軽に麻薬を買うことができる。英国の航空会社
の女子乗員が手足をもがれて見せ物、性の玩具にされているのを見た、な
どといわれるのも、決まって光明街である。それが事実かどうかは別にし
て、そのような不幸な目にあわされている女性がいくらでもいることは確
かである。筋一本違えば、天国と地獄なのが城砦である。ここでは天国は
龍城路、地獄は光明街。その龍城路の奥に、城砦外からの参拝者も多い有
名な古廟がある。特大の線香で有名だから、知ってる人もいるだろう。そ
こに、蘭芬、小蘭の「二輪の蘭」が祭られたのは、周恩来首相の突然の声
明の一週間後だった。周恩来首相の突然の声明とは「九龍城砦は中国の主
権下にあり、いかなる主権侵害に対しても断固たる処置をとる」というも
のであった。その声明に連動して、国境の解放軍の増強も確認された。そ
れは英国にとって、まさに青天の霹靂であった。その周恩来の演説が行わ
れたのが、蘭芬、小蘭の解体の一週間後である。時間にこだわるようだが、
蘭芬、小蘭の二人は、解体されてからわずか二週間で、城砦の神に祭られ
たことになる。城砦にはあまたの神が祭られているが、二人ほど早い例は
なかった。
555 :
亜蘭もどき:02/09/08 06:51
二人の「動かない人体芸術」は新聞記事になった。ぼんやりした写真であ
ったが、十分に衝撃的であった。二人の火腿がどのように使われたのかは
分からない。大陸のしかるべき高官に急送されたのは確実だが、それから
先は闇の中である。1962年のこの出来事は、今もってよく分からない不思
議な事件であった。かねてより比較的友好的であった(英国は共産中国を
例外的に早く承認している)中英関係が、なぜ突然の緊張をみたのか、関
係者、専門家にとっても不可解なことであった。それは、香港政庁のスト
リップ劇場取締りなどというような些末なことに起因したとはとても信じ
られないような緊張であった。もし本当にそうであったら、歴史の一大珍
事であろう。女性の裸が軍隊までを動かしたのである。大方の消息通は、
この事件の裏に、核問題がからんだ重大な政治的軍事的な危機があったと
分析しているが、それも憶測にすぎない。歴史の表面に残されたのは、香
港政庁が城砦のストリップ劇場に閉鎖命令を出した、中国首相が例外的に
強硬な声明を発表し、実際に軍を動かして英国に圧力をかけ、その命令を
撤回させた、ということだけである。不思議な不思議な物語であった。と
もかく今、蘭芬、小蘭、二本の大輪の蘭が、城砦の古廟に祭られている。
二人の「動かない人体芸術」も奇麗になめされて古廟の奥に保存されてい
ると噂されているが、誰も見たものはいない。
了
ふと思ったこと
女は全身解体されるけど男はなぜペニス切断だけなんだ?
東京クラブとか食物連鎖同盟もそうだったし
亜蘭氏の趣味?
男性器の調理場面もキボンヌ。
558 :
名無し調教中。:02/09/11 20:15
美千の性器切除場面もキボンヌ。
559 :
名無し調教中。:02/09/11 22:16
>>556 男の串刺+解体調理キボンヌ
ただし10-20代限定で
560 :
名無し調教中。:02/09/12 20:40
>>559 贅沢だ
漏れで我慢せい
ちなみに37歳♂
>>557-560 スレの雰囲気読めや。新作じゃなくてFGM緊急通信っていうサイトに昔掲載されていたログやで。
562 :
名無し調教中。:02/09/13 19:55
でたな関西弁
563 :
名無し調教中。:02/09/13 21:11
誰か新作で書いてくれ。
564 :
亜蘭もどき:02/09/14 11:20
亜蘭もどきでおます。
こないだのdat落ちでもう消えたかと思うてました。
最近のカキコについて男性器のもと書いてはるけど、
もともとFGM緊急通信は女性のFGM(Female Genital Mutilation)
についてでけたHPなもんで、男は趣旨違いなんよ。
どうゆう訳か途中から食肉・串刺しとかに内容が
変わってもうたけど。文留のあたりからかなあ。
名無し調教中1の趣旨に賛同してストックから
コピペしてきましたけんど、スコプチやナサ・ゼイネや
大原美千の話はつまらんし新宿のストリッパーやビーチ
バレーの話は中途半端なんで載せる気せえへんのよ。
どうしても新作でというなら誰かにお頼みするしかないんけど。
残り奥村百合の話(全文かなり長いでし)を載せるかどうか
教えれ。(但し、これで最後になるでし)
よく覚えてないんだけど、はりつけにした男のチンポ料理して、三人の女の子が少しずつ食べちゃうやつ。
あのシリーズって未完でしか? それともがいしゅつ?
566 :
tomhagilyn:02/09/18 12:59
奥村百合の話しぜひ載せていただきたく思います。
本家の残骸として残っている部分には載せていただかなくてもけっこうだとおもいますが、
私の様に本家が閉鎖されてからフアンになった者には、他の話も消えてしまった部分に
関しては面白く無くてもぜひ読みたいと思いますので、出来る事なら載せていただきたく思います。
567 :
亜蘭もどき:02/09/18 17:40
(奥村百合の話)
早朝の会社は優雅なものです。静かですし、広々としたフロアーに蛍光燈
がはるか先まで一列に光っています。こうして一人、パソコンに向かって
いますと、わたしだけのためにこのきれいなオフィスを用意してもらった
みたいで、贅沢な気持ちになります。ましてや、仕事と全然関係のない先
生のホームページを読み、こうしてメールを打っているのですから、一生
懸命働いている男の人がかわいそうになります。先生の女性性器切除の話
でどうして自分が興奮するのか分からないのですが、すごく興奮します。
考えただけで震えそうになります。23歳、まあまあの大学から、まあまあ
の会社に入り、まあ大切にされながら、いちおう恋人らしい人もいて、恵
まれた生活をしているのですが、わたし最近、変なのです。ときどき彼の
求めるままに、彼の部屋に行きます。わたしの方から押し掛けることもあ
ります。小さな台所で料理の真似事をして、二人で食べて、小さなお風呂
に入って、泊まります。それはそれで楽しいのですが、彼に足を開いてサ
ービスしてもらっているとき、さっき使った包丁が、不意に頭に浮かび、
あなたがそこをそんなに好きなら、切り取って!と叫びたい気持ちになる
のです。なんだか変なので、この気持ち彼には伝えていません。彼は無邪
気にわたしのあそこに賞賛の言葉をかけながら、わたしをいい気持ちにさ
せようと努力しています。あそこにキスをするときも、遠慮がちで、特別
に大切にしているということを、わたしに理解させようとしているみたい
です。別にわたしは大切にしてもらいたいなんて、少しも思っていないの
に、自分勝手にそう決め付けているのです。わたしは乱暴にされたい。わ
たしなんか大切にされる資格なんてない。わたしなんか、牛やブタと変わ
らない、グラムいくらのバラ肉の塊だと思うのです。だから大切にされる
と、なんだか居心地が悪くて、逃げ出したくなります。
568 :
亜蘭もどき:02/09/18 17:42
先生のホームページ、毎日、朝、会社で見ています。みんなは朝一番にく
る感心な娘と思っているのです。本当は、文留さんや、モデルさんのすご
い話を読んで興奮しているだけなのです。いつもわたしは過大評価される
のです。大金を使い込む女性がときどき新聞にでていますが、なんだかわ
たしもとんでもないことをして、わたしは良い娘じゃないと叫びたい気持
ちなのです。でもわたしにできるのは、みんなの赤伝(経費のことです)
をわたしが経理からまとめて取ってきますので、それをもって逃げるくら
いが関の山です。銀行のような大金にはとてもなりません。ぽつぽつと人
が集まり始めました。また書きます。わたしもあそこをスルメにしてもら
って、壁にかけてみんなに見てもらいたいな。わたしの部に、すごくゾウ
の好きな人がいるのです。30歳です。地方の国立大学を出た人です。デス
クに自分で撮影したゾウの写真を引き伸ばして飾っています。上野動物園
のゾウだそうです。先日は多摩の動物園でゾウ愛好家のオフ会というのが
あり、行ってきたそうです。変な人なのです。彼は、アメリカの通信販売
でプレゼンテーションに使うレーザー光線の機器を買ったこともあります。
向かいのビルで働いている人の背中に、赤い光線を当てて喜んでいました。
後で、池袋の露店でもっと安く売っているのを発見してショックを受けた
みたいです。彼はナイフも好きで、やっぱり通信販売で取り寄せています。
それが会社に届くので、わたしも見せてもらいます。なんだかわたしのあ
そこを切り出すのにちょうどよさそうな刃渡りで、フラッとしました。厚
みは十分にあり、恥骨くらいは楽に切断できそうです。なんだか頭の中が
おかしくなりそうです。彼に裸に剥かれて壁に張り付けられ、レーザー光
線を当てられて、ここはオッパイで2000円、ここは臍で1000円、ここはあ
そこで5000円とか、会社のみんなに競りにかけられて、売れきったところ
で、あのナイフで切りさばかれ、みんなに配給される。
569 :
亜蘭もどき:02/09/18 17:45
バラバラにされそうになっているところで、付き合っている彼が、後ろの
方で止めろ止めろ叫んでいるのが見えました。でも、肝心のわたしが、止
めたくなくなっていて、チグハグ。叫んでいる彼の後ろをゾウの大群が走
っているのです。これってもちろん変な夢ですが、わたしの心が、今の彼
氏からゾウの彼氏に乗り換えたがっているのかしら、と思います。東京電
力の経済調査室副長だった渡辺泰子さん(39歳)という人が殺されたそう
です。1000万の年収があり、貯金も1000万円以上あった彼女が、なぜ神泉
駅界隈に立って男性に自分を売っていたのか、それが謎めいている。----
そんなことが週刊誌に出ています。部屋は汚く使うし、トイレも平気でビ
ルのかげですましていた、エリート社員なのに分からない、なんて書いて
あります。わたしは新入社員に毛がはえた程度の平社員だし、1000万円の
年収や貯金なんて夢のまた夢だしで、渡辺さんとは全然違いますが、でも
なんとなく彼女の気持ちが分かるのです。自分なんかどうせつまらない物
だし、だからつまらない物のように扱われないと心配なのです。大切に扱
われると、困ってしまうのです。なのにみんなが大切にしてくれるので、
どんどん不安になるのです。これ子どもたちも同じなのではないでしょう
か。金八先生とかもそうだったと思うのですが、怒鳴る先生がほしいので
す。子どもは大切にしてもらおうなんて思っていないのです。わたしも同
じです。チヤホヤされたら、その分だけ自分を安売りしないと不安なので
す。ですからどんどん自分を粗末に扱う。みんなが身体を誉めてくれるな
ら、別の知らない人にできるだけ安く売りたい。渡辺さんもそうだったの
ではないですか。ゾウの好きな彼は、みんなからオタク扱いで、馬鹿にさ
れています。わたしも尊敬はできません。今の彼氏の方がエリートです。
でもゾウの彼氏の方がわたしを粗末に扱うのです。それで迷ってしまうの
です。
570 :
亜蘭もどき:02/09/18 17:47
東京電力の渡辺さんは、どうせわたしは死ぬのだから、といつも言ってい
たそうですが、本当によく分かります。どうせ死ぬのに、エリートだと言
われたり、いい子だと誉められて、どんどん期待にこたえさせられるのが
いやなのです。どうせ死ぬのだからと言いながら、やっぱり殺された渡辺
さんは、なんとなく立派なような気がします。ただわたしなら、わたしの
肉を無視してもらいたくはなかったなと思います。殺した後が失礼だと思
います。そのままにして逃げてはいけないと思います。わたしは、そこま
で無価値ではないのです。わたしの心とか、努力とか、勉強とかに価値は
ないけれども、わたしの肉には牛やブタ以上の価値があるはずです。わた
しのもともとの価値で、わたしが努力しなくても持っている値打ちです。
文留さんのあそこの肉がロースターでジリジリ焼かれているところがあり
ましたが、自分のあそこがみんなの前にさらけ出されて調理されているよ
うで、エッうそと思いながら、文留さんをうらやましく思いました。朝か
らこんなことをわたしが書いているなんて、本当に不思議です。みんな信
じられないと思います。そろそろ他の人が出社してくる頃なので、止めま
す。また昨日、うちの部のオタクが、ゾウの写真を横30センチ縦20センチ
位の大きさに引き伸ばして、プラスチックの額に入れたのを抱えてきまし
た。またどこかに掛けるつもりです。サービス期間で、一枚600円なのだそ
うです。ゾウの写真は、これでもう五枚になります。部長が文句を言うの
も間近だと思います。 みんなは呆れて笑っています。彼はわたしに誉め
てもらいたがっているのは分かっているのですが、わたしは愛想笑いをち
ょっとするだけにしました。
571 :
亜蘭もどき:02/09/19 05:25
彼は、アメリカから取り寄せたサバイバルナイフの刃の感触を楽しみなが
ら、にやにやゾウの写真を眺めています。こんな人がよく首にならないも
のだと思いますが、もちろんうちの会社は組合があるし、優良企業だそう
ですから、大丈夫なのだそうです。それにけっこう彼、いい仕事をするこ
とがあるのだそうです。だからと言って、彼が係長になるなどとは誰も思
っていませんが。ふと、思い付いたのです。彼なら、わたしのあそこやオ
ッパイを切り取ったとして、それを写真に撮り、ゾウと同じように横30セ
ンチ縦20センチに引き伸ばし、プラスチックの額に入れて飾ってくれるか
もしれないな、と思ったのです。それはすごくうれしいな。今のエリート
の彼には絶対できないことです。もし間違えてわたしを殺したとしても、
彼は知らん振りして逃げるだろうな。でもこのオタクなら、丁寧に大切に
わたしの肉を解体してくれて、多分大切なところは写真を撮って、引き伸
ばして飾ってくれる。多分、その後で食べてくれる。わたしを腐らせるよ
うなことはしない。彼なら、社会や人の目なんか気にしないで、警察のこ
とも気にしないで、そうしてくれる。なんだか、このゾウ・オタクの方が
いい人のような気がしてくるのです。昨日、会社の「生け花クラブ」の例
会がありました。会社の食堂で、中年の女性の先生がいらして指導してく
ださいます。材料も先生が持ってきます。部員は全部で二十名位、ゾウ・
オタクの彼が唯一の男性メンバーです。最初彼が入部を申し込んできたと
き、ちょっとした騒ぎになりましたが、部長の(会社ではなく「生け花ク
ラブ」の部長です)Bさんが面接をして許可したのです。動機とか、熱意
とか、抱負とか、真面目に答えて合格したのだそうです。作品はいつもそ
れぞれの職場に持ち帰って飾ります。先生がいなくなってから、お互いに
自分の生け花に名前を付けて発表するのです。それがなかなか楽しいので
す。
572 :
亜蘭もどき:02/09/19 05:28
真ん中に高い花を置いて回りを雑多な花で囲んで「社長と茶坊主」とか、
一輪だけを離して使って「左遷」とか、たわいなく大騒ぎするのが面白い
のです。昨日の材料の中にアンスリウムがありました。真っ赤なハート形
の葉から小さなオチンチンのような芯が飛び出している変な花です。最近
生け花によく使われる花です。ゾウ・オタクの彼、そのアンスリウムを何
本か生け、最後に剪定バサミでその芯を次々に切り落として「割礼」なん
て言うのです。イヤダとか、バカとか、結構、みんなに受けました。でも、
なんだか彼、わたしを見て「割礼」と言ったような気がして・・なんだか
すごい話が書いてありましたが、陰湿ないじめをする先輩はたしかにいま
す。生け花クラブのB部長です。クラブ活動の部長なのに、本物の部長の
ようにわたしにいろいろなことを命令するのです。なのに、わたしを可愛
がっているつもりなのです。まあ、それほど陰湿じゃないけど。B部長は
かなり美人なのに胸が小さいのが悩みなのです。わたしを大きい大きいと
言ってからかうのですが、何となく刺があります。OL達が元同僚の体を
細切れにして行く凄惨な光景が目に浮かぶようです----なんて書いてあり
ますが、彼女だったら、きっと嫉妬してわたしの胸をまず切り取ります。
うちの部には体育会系の社員は二人います。一人は東大のアメフト、一人
は明治の野球です。二人ともレギュラーじゃなかったのですが、わたしの
ことを可愛がってくれています。暴れるわたしの四肢を押さえるかしら。
わたしが暴れたら放すと思うけど。でもB部長がヒステリックに命令した
ら、そうするかもしれません。悲しいな。わたしはどうせダメな人間です
が、排泄場所とか、公衆便所というのは違います。わたしは会社では今の
彼としかセックスをしたことはありませんから違います。いろんな人と関
係があるのは、他の人たちです。うちの部にも何人もいます。B部長だっ
て、みんなが知っている人だけで三人います。秘書室の娘たちは滅茶苦茶
だ、とみんな言っています。わたしはそれほどじゃないですが、でも中身
は同じかもしれません。女性の身体って中は汚いですもの。あ〜あ。
573 :
亜蘭もどき:02/09/19 05:31
ゾウにでも踏み潰してもらいたい。ゾウ・オタクにこのページを見ている
ことがばれてしまいました。わたしが書いたメールも読まれたということ
です。ショック。またこれを読まれるけど、もうどうでもいいです。実は
突然、ゾウ・オタクSから、メールが来たのです。インターネットって、
どこを見ていたのか、すぐ分かるのですね。どうしてか知りませんが、オ
タクにはすぐ分かるみたい。それで、わたしのメールを読みました、心配
しないでください、かならず写真は大きく引き伸ばして、会社中に飾りま
す、と書いてありました。会社中とは、さすがオタクです。これはエリー
トには言えません。わたしのあそこを切り取った写真ですよ。これを張り
出すのはすごい勇気じゃないですか。会社の評判とか、警察の問題とか平
気なのでしょうか。第一、そんな写真をお店が引き伸ばしてくれるかしら。
彼なら、何とかするかもしれませんが。絶対何とかします。こういうこと
を何とかするのが、彼のすごさなのです。普通のことは何ともしないのに、
出来ないことは何とかするのです。実は昨夜、付き合っている彼氏の部屋
に行きました。抱いてもらって、あそこにキスをされるときに、咬んでと
小声で頼んでみました。彼は、びっくりしたようで、ほんの少しだけ上品
に力を入れました。そこは価値のない醜いわたしの、もっとも価値のない
醜い部分です。噛み切って、引き裂いて、どぶに捨てなくてはならない部
分です。どうして、そんなに大事そうに・・・もうこの人にはお願いでき
ない、そんな気持ちになりました。隔靴掻痒です(うちの本当の部長の口
癖・かっかそうよう)。いらいらです。だから、さっきオタクからのメー
ルを見て、ずばっと、わたしのあそこの写真を引き伸ばして会社中に飾る
と書いてあると、えっ本当と、気持ちよくなってしまうのです。オタクは
最後に、ひなびた山の温泉にでも、何人かで旅行に行かないか、と書いて
います。
574 :
亜蘭もどき:02/09/19 05:34
先生、Sさん(須藤さん)の印象いかがでしたか。猫背ですが、一見すご
いスポーツマンでしょう。あれで ゾウが大好きなんて、びっくりしますよ
ね。引越し会社のコマーシャルに、キリンさんも大好きですが、ゾウさん
はもっと好きです、と可愛い女の子が言うのがありますが、一メートル八
十センチもあるたくましい男が言うのですから、変です。六本木のピット
インなんて、先生、初めてじゃないですか。入り口よりのスピーカーの 横
でビールを飲んでいらしたのが先生でしょう。うるさそうな顔をしていら
っしゃいました。もっと静かなジャズだったらよろしかったのですが。そ
れとも八木さんの歌がお気に召しましたか。以前、彼女のことを書いてい
らしたでしょう。大原さんの仲間で南米で活躍されている方。それで、ピ
ットインを指定したのです。わたしだって、結構気を使っているのです。
一部二部の休憩時間に、バーの前で、彼女と話していらっしゃったでしょ
う。それで先生だと確信しました。あの日も須藤さん、動物園からの帰り
でした。それにしても迷彩服はないと思います。 彼のことは先生もすぐ分
かられたことでしょう。生け花部長のBさん(馬場さん)はわたしの隣に
座っていた人。わたしの今の彼、石田さんは、馬場さんの隣 にいた人です。
四人で先生とお見合いをしたわけです。このことは、もちろん、わたしだ
けが知っていまし た。なかなかいいアイディアでしょう。もちろん、この
メールが載って、須藤さんは気付くわけです。須藤さんが話せば、みんな
が知るわけです。オタクですから、話さない可能性が高いとは思いますが。
それで、これからどうなるでしょうか。あのメールによれば、これに体育
会系の二人が加わって、わたしを犯して苛めて押さえつけて、解体して食
べてしまうのです。なぜ、今の彼の石田さんがその仲間に入っているのか、
最初不思議でしたが、今は分かります。わたしが彼を裏切りつつあるから
です。彼はその憎しみから、一番残酷にな りそうです。お腹とかもっと下
を何度も繰り返して突き差すような、そんな感じです。
575 :
亜蘭もどき:02/09/19 05:36
須藤さんはもともとそういうことが好きだし、わたしのことも好きだし、
ナイフも好きだしで、このチャンスは逃さないでしょう。わたしと恋人に
なるより、彼はそっちを選びます。わたしも彼と恋人にはなりたくありま
せん。でも殺されるなら彼です。大胆だし、写真の約束は絶対守るし、そ
ういう信頼はすごいのです。馬場生け花部長は、わたしに実は嫉妬してい
ます。若くてきれいな娘は、いつでもちょっと前にきれいだった人から怨
まれるのです。彼女はわたしのおっぱいを嫌っていますから、そこを狙っ
てくると思います。料理は下手ですから、痛そうです。以前、馬刺しをス
ライスするのを見たことがありますが、肉をぐじゃぐじゃにしていました。
わたしのきれいな肉もぐじゃぐじゃにされるのかしら。体育会系の二人は
彼女の言いなりです。わたしのことも好きだと思いますが、でも馬場さん
との関係の深さを考えると、つまりときどき遊んでもらえるとか、社内の
情報をもらえるとかで、彼女を裏切ることはしないと思います。わたしを
解体する前にやらせてもらうとか、すごい言葉、そんなので満足すると思
います。でも、そうすると、わたしが最後にするセックスは、あの二人の
どちらかとということになるのかしら。ちょっと問題かな。こうして考え
ると、一応、みんな理屈はとおるのです。それで、密かに先生にみんなの
顔をご紹介したというわけです。先生は、サルサを聴きながら、殺人者た
ちと可愛い(?)被害者を、事件が起こる前に確認されたのです。もしわ
たしがいなくなったら、このことは話題になるでしょうし、もし彼らがわ
たしを食べたくなったら、すでに先生のホームページに筋道が予告されて
いるこ とを計算に入れないわけにいかなくなります。もちろん、もしそれ
が起きたときの先生の行動も勘定に入れなくてはなりません。これで、手
筈が、ずいぶん複雑になります。
576 :
亜蘭もどき:02/09/19 11:03
先日テレビで、干しアワビの作り方を見ました。すごい手間がかかってい
るのですね。値段が高くなるのも当たり前です。わたしのアワビも、彼ら
を先生にご紹介したために、ずいぶん高くなったような気持ちです。それ
で次のわたしの仕事は、精一杯高くなったわたしのアワビを、売りつける
ことです。いくら高級品でも、一個十万円でも、売れなかったら腐るだけ
です。さあ、ガンバルゾ。わたしは今日、大失敗をしてしまいました。わ
たしは、実は組合の職場委員になっているのです。馬場先輩がそうだった
のですが、わたしが引き継ぎました。というより、引き継がされたのです。
わたしの会社の組合は御用組合なのです。男の社員たちは影ではみんなそ
う言っています。ですから、執行員は完全なエリートなのです。今付き合
っている石田さんも執行委員です。その下の職場委員も一応はエリート候
補生なのですが、もちろんわたしの場合はそんなのではなく、下働きの娘
も一人は必要だということで選ばれたのです。馬場先輩がそうしたのです。
これって苛めの一つじゃないかしら。それで、昨日、職場委員会がありま
した。春闘の第二次回答が出たのです。執行委員会が妥結の方針を出し、
それに対して、各職場委員が意見を言うのです。職場委員は若手の社員が
多いのです。執行委員は少し上の層で、こちらはみんな役付きのエリート
です。それで、自由な意見を求めるのです。これって変じゃありません。
案の定、職場委員は、ほとんど全員が執行委員会の努力に感謝を言って、
妥結に賛成だというのです。だって影ではみんな、執行委員の悪口ばかり
言っているのですよ。自分の出世のことばかり考えている、すごい利権が
あるらしい、こんなんじゃやってられないよ、と言っているのです。一人
だけ、変人で有名な男性社員が「反対」を言って、全員からじろりと睨ま
れました。
577 :
亜蘭もどき:02/09/19 11:07
わたし、急に胸が熱くなって、自分の番が来たときに、「もっと闘った方
がいいと思います。」と自分でも信じられないことを言ってしまったので
す。大きな会議室がシーンとしてしまいました。わたしは恥ずかしくてう
つむいてしまいました。執行委員席の石田さんが青ざめているいるのが感
じられました。わたしは焦ってしまって、「みんな影ではそう言ってます
し。」と、また余計なことを付け加えてしまいました。何だか涙も出てきちゃって、いっそうみんなを困らせているみたいになったのです。わたし
は責任を感じて、死にたくなりました。だからわたしなんかを職場委員に
するのはいけないのです。そんなことはみんな分かっていたのに、と思っ
てどんどん涙が出てきました。もちろん二人だけの反対では問題にもなら
なくて、妥結が決まりました。大会議場からエレベーターホールに向かう
間、みんながじろじろ睨みます。街中を裸で歩いているような気持ちでし
た。わたしはこの会社の社風に合わなくて、須藤さんたちに始末してもら
った方がいいのかな、それでお詫びになるのなら、それがいいのかな。み
んな一生懸命働いて黙っているのに、わたしなんかはお茶汲みしかできな
いくせに反対してしまって、執行委員の方々に迷惑をかけて。もう一人の
反対した男の人は、変わり者だけど仕事はできるのです。だから発言権は
あるのです。わたしは平凡な女の子で、会社のためにお金を稼ぐなんて絶
対できないのです。だからとくにみんなに迷惑をかけないようにしなけれ
ばならなかったのです。石田さんは立場をなくしたのです。自分の足許を
押さえるのが執行委員の役割なのだそうです。それが、わたしの突発的な
反対が、それでも正式な反対には違いないので、記録されてしまったので
す。常務会で問題にされて、彼の減点になるのだそうです。それで彼は顔
を引きつらせていたのです。
578 :
亜蘭もどき:02/09/19 11:09
可哀想で、申し訳なくて、どうして償えばいいのかしら、と悩みます。や
っぱりわたしなんか、肉としてしか価値がないのかしら。それならそれで、
肉になってあげたい。そうしたらもう意見を言わないし。こんないやな思
いをするくらいなら、あのメールのようにみんなに押さえつけられて解体
された方がいいのです。それなら、迷惑をかけているというより、わたし
が迷惑を受けているので、お役に立っているようで気持ちがいいのです。
もう石田さん、わたしが須藤さんと関係を持たなくても、怒ってナイフを
突き立ててくるのかな。それぐらいさせてあげないと、今日の減点はカバ
ーできないのかな。馬場さん、わたしがこんな失敗をすると思って、わた
しを職場委員にしたのかな。絶対そうだな、そうだな。馬場さん、石田さ
ん、須藤さんと私で焼肉を食べに行きました。わたしの職場委員会での失
敗を慰めてあげる、そういう会なのだそうです。わたしはあんまり気が進
まなかったのですが、せっかくの好意なので断れなかったのです。石田さ
んが接待によく使う赤坂の有名なお店だそうです。何だか、焼肉と言うと
文留さんを思い出して、嫌じゃないのですが、複雑な気持ちになります。
みんなは文留さんのことを知っているのかしら。須藤さんが知っているの
は、先生のホームページを見ているので、確実。馬場さん、石田さんは、
須藤さんが喋っていないかぎり、知らない。それで赤坂の焼肉屋さんを選
んだのは石田さんだとすると、やっぱりこれは偶然で、気にしなくてもい
いのかな。石田さんは、よく接待で使う店だということで、地下に降りる
階段をずんずん進んでいきます。わたしたちは高級そうな雰囲気にちょっ
と緊張しながらついていきました。黒服のマネージャーらしき人が、石田
さんにうやうやしく頭を下げました。
579 :
亜蘭もどき:02/09/19 11:11
「いつものお部屋を用意しておきました。」なんて言わせています。さす
がエリートです。この辺はオタクの須藤さんでは真似ができません。だい
たい彼がこんな 高そうな店の請求書を出したら部長がハンコを押さないで
しょうから、まあ、ちょっと不公平で、組合問題なのかもしれません。
「この方ですか。」わたしの方を見ながら、黒服が小声で石田さんに話し
かけます。「ああ」余計なことを言うなという感じに、ちょっと不遜なカ
ッコよさを見せながら、石田さんが答えます。ドキンとしました。わたし
のことを、どういう意味で「この方ですか。」と聞いたのかしら。以前に、
恋人として話題になったのかしら、組合で失敗した馬鹿なOLとして笑いも
のにしたのかしら。それともまさか、文留さんの件と関係があるのかしら。
奥の個室に通されました。四人には広すぎる部屋で、焼肉屋さんにはとて
も見えないような豪華な造作です。エリートの営業マンは、いつもこんな
所で商談をしているのかしら。やっぱり違うな、と思います。「赤坂は焼
肉のメッカでね、三百軒以上の店があるらしい。ここが一番という店が数
店あるが、私の意見では、ここが一番だね。肉の美味しさと種類の多さと
いう点で、並ぶ店はない。」石田さんが、まるで自分の店のように自慢し
ています。黒服が、揉み手しながら、「そうでございます、お客様のあら
ゆるご要望にお答えできるつもりです。」とかなんとか、うれしそうにつ
づけます。「今日はこの人を元気づける会でね、いつものようにまかせる
から、よろしく頼む。」石田さんが鷹揚に注文します。「若い美人を元気
づける会とは、それは珍しいご注文で。かしこまりました。」黒服が引っ
込みました。
580 :
亜蘭もどき:02/09/19 11:13
「それでは、百合さんのために乾杯」須藤さんがビールのコップを上げま
した。みんなが、わたしも、コップを上げて、乾杯。何が乾杯なのか分か
りませんが、乾杯。「僕がいるから、この前の発言なんか気にしなくてい
いよ、昨日常務にも話しておいた。元気があっていいじゃないか、と言っ
ていたよ。」と石田さん。すごい、常務と話をするんだ----なんて感動し
ていると、「そういう言い方をするのよね、偉いさんて。」これは、馬場
さん。わたしは明るくなったり、暗くなったり、やっぱり馬場さんって、
意地悪でしょう。「アニメルでございます。」黒服がそれぞれの前に、小
皿に四、五個の輪切り肉が載ったものを置きました。「十分に焼いてから
召し上がりください。牡羊のものが多いのですが、わたしどもは牡牛、し
かも和牛を使っております。お嬢様方にはとくにお薦めです。」「さあ、
始めよう。うまいぞ。」オタクが嬉しそうにロースターの上に肉を置き、
みんなもつづきました。パサパサした弾力のある不思議な歯ごたえで飲み
込みにくいけれども小味がある、そんな味です。「ちょっと消化は悪いで
すが、てきめんに元気が出ます。いかがですか。」黒服がわたしに聞きま
す。「初めての味です。アニメルってなんですか」「コーガンです。黒毛
和牛の立派な睾丸です。これだけのものを出せるのは、赤坂でも当店だけ
です。」馬場さんとわたしの丸くなった目が会いました。「牛肉は難しい
仕分けがされています。最上が和牛、産地等でランク分けされているのは
ご存じのとうりです。その下が国産牛です。国産牛とは乳用牛のことです
が、これにも去勢された牡と牝があります。牝でも乳房が小さいものは、
乳用ではなく肉用に飼育されます。乳房が小さいと繁殖はできず、即、肉
なのです。だからといって悲観することはありません。よく飼育すると霜
降りのいい肉になります。そういうのを『産まず』と言います。」
581 :
亜蘭もどき:02/09/19 20:53
わたしは何となく、馬場さんの方を見て、愉快になりました。彼女は乳房
が小さいからセックスできずに肉用かな、まあせいぜい努力して霜降りに
なってくださいって感じで、元気が出てきました。アニメルが効いたみた
い。「子牛の目でございます。」黒服はいよいよ変な物を持ってきます。
石田さん、須藤さんの男性二人は平気で、わたしたちの驚いた顔を見て喜
んでいます。馬場さんは結構衝撃をうけているはずなのですが、平然を装
っています。わたしも頑張らなくっちゃ。エスカルゴを入れるというか、
たこ焼きを作るというか、そんなケースに子牛の目が四つ入っています。
また馬場さんと丸い目が合いました。「おいしそう」わたしは鯛の兜煮の
目玉を無理矢理想像して言いました。「そーね」馬場さんも無理していま
す。彼女の場合、上を狙っているので、わたしなんかに負けるわけにはい
かないのです。「さすが、石田様のお客様でいらっしゃいます。私どもも
張り切らせていただきます。」黒服が調子に乗ってしまいました。「アニ
メルも目も、古典的なフランス料理のメニューでございます。精を付ける
料理としては月並みなものです。私どもの本領はこれからです。今夜、お
嬢様には元気をつけていただきます。」子牛の目もぱさぱさして、そんな
に美味しいものではありませんでした。精が付くものって、薬と思って食
べなくちゃいけないのかしら。鯛の目のように、ゼラチンがあると美味し
いと思うのですが、それがないのです。代わりのソースがかかっています
が、ちょっとという感じ。いくら有名でもここは焼肉屋さんで、フランス
料理屋さんではないのですから、しょうがないかもしれません。結局、珍
しいものってあんまり美味しくはないのかな、そう思います。睾丸も目も、
すごい緊張して食べることは食べるけど、友だちに話すには、イヤッとか
言って楽しいけれど、味は普通の肉の方が美味しいと思います。
582 :
亜蘭もどき:02/09/19 20:56
「えっ」と私と馬場さん、今度こそ声が出ました。巨大なオチンチンと女
性のあそこが、黒服の皿に乗っています。形も色も生々しい肉で、それが
ものすごく大きいのです。普通のもの、つまりわたしたちのあそこの五倍
くらい。よく見ると、形が人のものより少し単純かなという気もします。
人の女性の方がひだひだが多そうな感じ。オチンチンは向いの石田さんの
ものに比べると、大きいけどちょっと先細りかな。なんて、わたしもよく
知らないのですが。ともかくジャイアント馬場さんと和田あき子さんのも
の、なんてものじゃないのです。これは須藤さんがそんな冗談を言ったの
で、わたしが書きますが、わたしの意見じゃありません。「鯱の性器です。
これは貴重品です。最強の哺乳類の性器で、最上の強精剤です。哺乳類で
すから色も形もみなさまのものと同じです。ご覧ください。」とメスの襞、
つまり、、大陰唇をめくると、わたしたちと同じようなクリトリスがあり
ます。それでは本日の主賓に、とわたしに目線を送ってから、黒服、鯱の
そこをごしごしと切り取り始めました。わたしは目に霞がかかったような
感じになり、鯱か自分か、自分か鯱か、分からなくなりました。黒服が乱
暴な切り方をするので、わたしの下半身も揺れそうです。すぐに、ゴルフ
ボールくらいのクリトリスが私の皿に乗りました。「わたしだけがいただ
いたんじゃ、悪いですから。」と言おうとすると、「いやいや、我々は貴
方のものをいただきますから。」と誰かが絶対言いました、、、私はすご
いものを見てしまいました。本社ビルの一番上の階のほとんど全部を使っ
て、神殿があるのです。玉砂利も敷いてありますし、社もあります。それ
どころか神官さんや巫女さんもいるのです。
583 :
亜蘭もどき:02/09/19 20:59
上の人は知っていたのかも知れませんが、私たちの期ではだれも知りませ
んでした。そういえば一番上の階には行ったことないわ、というのが大体
の返事でした。実際にみんなに聞いてみたのです。役員専用のエレベータ
ーしか行かないようになっているので、みんな知らないという理由もあり
ます。私の場合、突然、石田さんの親分の常務から呼ばれたのです。彼の
話しで、私に関心を持ったのでしょう。組合に逆らうなんてどんな奴なの
か見てみよう、と思われたのだと思います。それで私、気持ちが動転して
しまって、役員用エレベーターのボタンを一つ上に押し間違えたのです。
誰もいないフロアーを恐る恐る進むと、その神殿に突き当たりました。そ
して巫女さんに頭を下げられたのです。私に頭を下げる人ってこの会社に
は一人もいないはずなので変だなと思いました。でもまあ常務に呼ばれた
のだから、そのせいかなと自分で納得させながら奥に入ると、数人の男性
が神官さんの前で頭を下げてお祓いを受けていました。その数人が、写真
でしか見たことのない会長と副会長と社長と神殿担当の役員だったのです。
そのときはもちろん分からなかったのですが、後で聞きました。四人の中
でも一番年上に見える担当の役員さんはこの専任で、ときどき大阪の支社
にも出かけてお祓いを受けるのだそうです。私は見よう見まねで後ろに立
ち、頭をところどころで下げたりして、間違いのないようにしていました。
どうしてお前は普通にできないのだ、といつも怒られますので、一生懸命
普通にしていたのです。しばらくして式は終り、みんな無言のままでエレ
ベーターホールにむかいました。私ももちろん無言のままで、ついていき
ました。みんなは一階下で降り、私もつづきました。
584 :
亜蘭もどき:02/09/19 21:03
そこが役員フロアーで、私が最初から行くべきところでした。常務が青ざ
めて、私がもっと遥かなお偉いさんの後をついて来るのを見ていました。
もう帰ってよろしい、それが常務の私への一言でした。それで私にはよく
分かりませんが、しばらくして会社のスキャンダルが出たのです。神殿担
当の役員さんが人事で私のことを調べている、どうしたのと同期が聞いて
きました。私こそ教えてもらいたいくらいです。次の日に、その役員さん
に呼ばれました。常務もいっしょでした。「会社が今困っていることは分
かっていますね。」深い声で、うっとりするくらいです。「不浄の者が入
り込んだからです。」きょとんとしていると、「あなたのことです。」び
っくりしました。だってこの事件はずっと上の話しで、暴力団とかにお金
を渡したのは常務さんかなにかで、大体、私なんて会社のお金を扱ったこ
とはないのです。赤伝の20万円くらいを別にして。それも自分のお金では
なく、石田さんとか、須藤さんとかのお金を代理で経理から持ってくるだ
けです。「そうではなく、あなたが会社の神殿を犯したことが問題なので
す。」信じられないことを役員さんが言います。それで私は出世してしま
ったのです。てっきり怒られるのだと思っていたのですが、褒められたと
いうか、ともかく昇進してしまったのです。超ビックリです。老けた役員
さんが、あなたが会社の神殿を犯したことが問題なのです、なんて言うも
のですから、誰だって怒られると思いますでしょう。それが意外や、意外。
どれくらい出世したかといいますと、係長です。出世頭で超エリートの石
田さんと一緒です。馬場さんどころか、いくらオタクでも男性の須藤さん
を抜いちゃったのです。手当が六千円付きます。管理職用の社宅に入って
ください。老けた役員さんがめでたい話しをします。そろそろ変な条件が
くるころだと思っていると、案の定、「配属先が変わります。」と来まし
た。やっぱり北海道の外れか、三流の外国か、と心配したら、「本社の総
務部秘書課です。」それじゃ出世じゃない、ちょっと風紀が乱れているけ
ど、別にかまわないし、と思いました。
585 :
亜蘭もどき:02/09/19 21:06
「総務部秘書課祭礼係係長です。」祭礼係なんて社内の電話帳にはありま
せん。「あなたが侵入した神殿の勤務です。まあ分かりやすく言うと、あ
そこの巫女さんです。」私が巫女さんですか、とびっくりすると、「難し
いことはありません。仕事はすぐ憶えられます。今の仕事の方が難しいで
すよ。」ほっとしました。私の能力をかっての人事ではなさそうです。当
然ですが。「会長がおっしゃるには、あなたが神殿に闖入して会社がおか
しくなった。それはつまり会社の神様があなたを気に入った証拠である。
あなたを神様にお渡しすれば、今の事件も収まるだろう。つまりまあ、そ
ういうことです。」なんだか人身御供みたいですが、事務もとらなくてい
いし、給料も上がるみたいだしで OKです。「ただ、・・・・」ほら、き
たきた。「秘書課のあばずれ女たちみたいでは困ります。」「私は彼女た
ちとはちがいます。彼女たちはめちゃくちゃです。」思わず大声を出して
しまいました。せっかくの出世があんなイケイケたちといっしょにされて
ダメになったら大変と思ったのです。こんな心理をつかれてエリートは
「あちら側」にからめとられるのかしら。石田さんのことを影ではみんな
が「あちら側」と言っているのです。私も「あちら側」にからめとってい
ただけるのかしら。係長ということは、そういうことかしら。「巫女さん
は一人いらしたではないですか。あの人は?」私が聞くと、「昨夜、辞め
ました。当社に巫女はいつも一人なのです。」この前最上階に迷いこんだ
とき、可愛い巫女さんを見たのですが、もう辞めてしまったようです。
「結婚か何かですか?」「いや、そういう訳ではないようです。でも仕事
は神官が教えてくれますから、大丈夫です。心配しないでください。」私
は別に仕事の心配なんかしていないのに、前の巫女さんの相手に興味があ
るだけなのに、どうも会社の男性たちは、女性も仕事に関心があると思い
たがっているみたい。
586 :
亜蘭もどき:02/09/20 05:56
「当初、一週間はいろいろ憶えてもらわないといけませんから、このフロ
アに寝泊まりしてください。もちろん出張手当が付きます。必要なものは
そろっています。もし何か不足があったら、私に電話をください。」「着
るものとかは、持ってこなくちゃ」と言いますと、「巫女さんですから、
着るものは決まっています。ここにそろっています。」「下着とかがいる
じゃないですか。」「巫女には必要ありません。」「あのガウンみたいな
下には何も付けないのですか。」「当然ではないですか。あなたは巫女に
なるのですから、少しは自覚してください。」何だか、今の部署の部長さ
んみたいに困った顔をつくりました。私は少し自覚したことを示さないと
と思って、「分かりました。私はノーパンには慣れてますから。」秘書課
の一人が赤坂の「ノーパン焼肉屋」でアルバイトをしているのを思い出し
ました。焼肉屋のアルバイトでさえ何の理由もなくノーパンなのですから、
巫女がノーパンなのは当然といえば当然です。「それで馬場さんを左遷し
たいのですが、どうしたらいいのですか。」どうせ駄目だろうとは思って
いたのですが、一応聞くだけはと思って聞いてみたのです。意外な返事で
した。「馬場さんがどんな社員か知りませんが、どうしたいのか具体的に
言ってください。多分希望通りに出来るでしょう。」ゲッと思いました。
これは人事権というのではないですか。男の人たちが一生懸命に出世した
がる気持ちが分かりました。こういう権力は本当にいい気持ちです。私は
馬場さんをそのままにすることにしました。私が係長になっただけで、結
構ショックのはずだし、私も別に特別に馬場さんが嫌いなわけではないの
です。ちょっと意地悪をしたいという程度の気持ちなのです。
587 :
亜蘭もどき:02/09/20 05:59
「その内に、これを読んでおいてください。」と「職務章程」という小冊
子をくれました。入社のときにもらったものと同じものです。○○営業部
は○○の営業をする、とか馬鹿みたいなことが書いてあるのです。まあ、
異動のときの規則なのでしょうから、一応いただいておきました。このフ
ロアの設備は素晴らしくて、一週間じゃなくて、一年でも二年でも住みた
いようなところです。今、居間のパソコンでこのメールを書いていますが、
丸の内の静かな夜、街路灯がぼんやりと下に霞んで見えるのは本当に素敵
です。丸の内は何にもないつまらないところだと思っていましたが、夜に
なるとロマンチックな街です。私は巫女になったので、下着を着けていま
せん。下ではまだ働いている人たちが大勢いると思いますが、その上にこ
うしてのんびりしていると、みんなが馬鹿のように思えます。それで、私
が馬場さんを左遷しようとするとOKだというのですから、会社って変なと
ころです。何でそうなったかというと、私が勘違いして会社の神殿に入り
込んでしまったからです。それで、もう組合のことも心配しないでいいし、
係長にはなるし、手当もつくし、大体こんな誰も知らないホテルのスイー
トの部屋以上のところにタダで住んでるし。最近、会社の信じられないよ
うな事件のことがたくさん週刊誌にでていますが、たしかに会社って変で
す。隣の寝室も素敵です。すべてが高級ホテルのようです。前の巫女さん
もここに住んでいたのだと思いますが、どうして辞めてしまったのかしら
と不思議です。私なら当分辞めません。こんなにいい話は変ですから、何
か裏があることは確かです。私も馬鹿ではありません。多分、私の想像で
は、会社のお偉いさんが、会長とか社長とかが、この部屋にときどき来る
のではないか、と思います。おじいさんのお相手をしたことはありません
が、別にいやではありません。みんなが怖がっている経営者の相手をする
のは面白いと思います。告げ口をしたりしたら楽しいと思います。
588 :
名無し調教中。:02/09/20 06:00
589 :
亜蘭もどき:02/09/20 06:02
何だかすごく張り切っているのです、私。昨夜、老けた役員さんが上等な
ワインを持ってらして、いっしょに飲みながら、お話をしました。丸の内
の深夜は、しんみり素敵なのです。「うちの会社の創業者は有名な方で、
この業界の神様と言われた人です。」と言います。「そのことは知ってま
す。」と答えると、喜んでいました。彼は日頃から、自分の会社の女子社
員のことを理解できなくて困っているのです。知ってそうなことを知らな
いし、何にも知らないと思うと知っているし、喜びそうなことに不満だし、
意外なことを簡単に受け入れるし。最近、社員食堂の件でちょっとしたト
ラブルがあったのですが、それは又別の話です。「ご自身は、○○の神様
と呼ばれることに、大変ご不満でした。」「どうしてですか。」と聞きま
すと、「創業社長は信心深い方でしたから、もったいないことだ、自分が
神様だなんてとんでもない、とおっしゃいまして、いよいよ熱心に各方面
に寄進をなさいました。」「それは立派だと思います。」まあ、嘘じゃな
くそう思いました。社員旅行には、かならずその土地の一番の神社やお寺
の参拝がありました。男性社員にはそこでの研修もありました。参道には
ずらりと「何々様、○○万円」と木の看板が立っていて、一番奥の方にう
ちの会社の名前も書いてあるのです。オタクの須藤さんは「こんなの組合
問題だ。」と怒っていましたが、大部分の社員は、会社の名前が一番奥で
金額も一番多いのに満足しているようでした。「それで、ここの神殿もお
造りになりましたし、神官と巫女も置かれました。あなたもその一人です。
」「しかしいくらお金を寄進しても、建物を建てても、神様が喜ばれない
ことが分かったのです。」「どうしてですか。」お義理じゃなく、本気で
聞きました。どうして神様が喜ぶか喜ばないかが分かったのか不思議です。
590 :
亜蘭もどき:02/09/20 06:04
「会社が大きくなったからです。会社も創業社長も大金持になってしまっ
たのです。いくら寄進しても、痛くもかゆくもないのです。たとえは悪い
ですが、あなたが10円玉を賽銭箱に投げ入れるようなものです。これじゃ
神様は喜ばない」薄利多売の神様もいるのじゃないかと思いましたが、老
けた役員さんが真剣なので言いませんでした。「昔から、創業社長の田舎
では、まあ日本中どこにでもありますが "豊年祭り" というのがありまし
て、女性と男性の形を神輿にして練り歩き、一年の豊作と無事を祈願しま
す。社長の田舎では、町が男側、女側に二分されていて、社長はその女神
輿の責任の家系だったのです」わたしも似たような行事をテレビで見たこ
とがあります。浴衣の女性が、キャッキャッ叫びながら、大きな木彫りの
オチンチンに触っていました。女性の形は、さすがにテレビでは見たこと
はありません。「その神輿が町を練り歩いている間に、一年の感謝の行事
がおこなわれます。そちらは余り人目には触れませんが。いいことがあっ
た人も、悪いことを忘れたい人も、男側だったらオチンチンの木彫りを、
女側だったら割れ目の木彫りを奉納するのです。」それは聞いたことがあ
ります。そんなに珍しい習慣ではないと思います。「それで、奥村さん、
木彫りは神様に失礼だとは思いませんか。」いきなり名前を呼ばれ、質問
されました。たしかに木彫りなんかじゃ、賽銭箱に10円と同じで、失礼か
な。わたしがもし神様だとして、10円や粗末な木彫りで、結婚や就職、合
格なんて結構大変なことを頼まれたら、頭にくるかなと思い、失礼だと思
うと答えました。「あなたもそう思うでしょう。10円や木彫りは、まとも
な神経で考えたら、ほとんど悪ふざけです。初詣で小銭を賽銭箱に投げ込
んで、一年もの長い間の健康とか安全を頼まれたら、普通の神経の神様だ
ったら、変な言い方ですが、その人を不幸にしたくなるでしょう。現実に
そうなさっているのではないか、わたしはそう思います。」わたしはこの
役員さんが面白くなりました。この方、独身なのかしら、ふとそう思って
尋ねると、やっぱり独身でした。別にそれだけですが。
591 :
名無し調教中。:02/09/20 06:07
592 :
亜蘭もどき:02/09/20 11:04
「それで、当社では本物をお捧げしているのです。」外の街の街灯がボッ
と見えて、白い頭のおじいさんが乾杯の形に、ワインのグラスを持ち上げ
ました。わたしは反射的にニッコリして、グラスを合わせました。「本物、
って」「本物です。木彫りではない本物。」「オチンチンとか、女性の割
れ目とか・・・・ですか。」わたし少し、いいワインに酔ったみたいです。
役員さんも、しみじみ見ると純情そうで、やっぱり少し酔っているみたい
でした。「わたしも最初に取締役になるときに、お捧げいたしました。」
それって、どういう意味かしらと、しばらく考え込みました。「オチンチ
ンをお捧げしたのですか。」「そうです。巫女さんたちがお捧げするので
すから、まず率先垂範です。」なんだかワインがどんどん効いてきそうで
した。「あなたは、以前、お書きになったことがある。・・・このオタク
なら、同じ部の須藤くんのことですね、丁寧に大切にわたしの肉を解体し
てくれて、多分大切なところは写真を撮って、引き伸ばして飾ってくれる。
多分、その後で食べてくれる。わたしを腐らせるようなことはしない。彼
なら、社会や人の目なんか気にしないで、警察のことも気にしないで、そ
うしてくれる。なんだか、このゾウ・オタクの方がいい人のような気がし
てくるのです・・・・そう書いておられた。」わたしクラクラしてきまし
た。そしてすぐ、なんだみんな知ってるんだ、と思ったら、すごく気が楽
になりました。会社のパソコンでやってたのだから当然か、という気もし
ます。変なメールとか、不思議なことも会社が知っていて、先生へのメー
ルも止めないで、そうしたことは全部、計算の内なのかしら。「でも、須
藤君には、そんなことはできません。しかし会社なら、全部完璧にできま
す。安心してください。」「今、会社がいろいろなトラブルの中にあるこ
とは知ってますね。こういうときに、お捧げするのです。実はもうお捧げ
したのですが、いっこうに騒ぎは収まりません。多分、巫女さんを、あな
たの前の巫女さんのことですが、気に入られなかった、のであろうという
ことになりました。
593 :
亜蘭もどき:02/09/20 11:07
」「あの娘、可愛かったじゃないですか。どこが気にいらないのかしら。」
わたしの素朴な質問です。「神様のことは、人には分かりません。」それ
が答え。それで役員さん、わたしを連れて、神殿の方にいきます。「見せ
てあげましょう。」「目の前の困難とじっくり取り組みなさい、早く解決
しようとしてはいけない、早く本業にもどろうと思ってはならない。全身
全霊で、この問題と心中しなさい。そうすれば、この会社は救われる。健
気にも、新入社員に毛の生えたような、失礼かな。」と、突然わたしの方
を向かれるので、わたしはあわてて、「いえ、失礼じゃありません。新入
社員の方が役に立つってよく叱られました。」と答えました。加堂先生が
お話しをなさっている横に、わたしと神事担当の役員さんが並んで座って
いたのです。会場にかしこまっているのは、会社の役員さんたちです。ま
すます健気ではないか、このお嬢さん。そんな彼女が生け贄になられると
いう。この会社の古い伝統であるからして、別に文句を言うつもりはない
が、そちらにいる会長、社長以下の全員がこのビルの屋上から飛び降りた
方がいいと思う。それでは、こちらの神様のご機嫌がますます悪くなるだ
ろうから、いたし方ないが、重々反省し、根底から考え方を変えていただ
きたい。この美しいお嬢さんがそのすべてを捧げ、あなたがた醜悪きわま
りない心と肉の老人が生き延びる。馬鹿げている。まことに馬鹿げている。
諸君は生け贄の価値がないから、生き延びるのだ。死ぬ価値がないから、
生き延びるのだ。最後は、加堂先生、大声で怒鳴りつけました。会場のみ
んなが、真っ青になって椅子を下り、床に正座して頭を下げました。わた
しもあわてて、よく事情は飲み込めなかったのですが、同じようにして頭
を下げました。加堂先生のお話が終って、神事担当の役員さんと三人でお
茶をいただきました。わたしは緊張するタイプなのですが、この三人だと
不思議に楽です。加堂先生がわたしに質問をされました。
594 :
亜蘭もどき:02/09/20 11:09
「あなたはよく献血をされているそうですね。」どうしてそんなことをご
存じなのかしらと不思議でしたが、きっと役員さんが知らせたのでしょう。
「はい、学生時代から何度もしています。」「どうしてですか。」何を聞
きたいのか、よく分かりませんでしたが、ともかく正直にお答えしました。
「わたしって結構、見てくれとか、いいとこいってますでしょう。」「そ
う思いますよ。うらやましいくらいです。」なんだかジョークに失敗した
ようでした。もう仕方がありませんから、そのままつづけました。「でも、
こういうケースが一番きついのです。突き抜けてはいませんでしょう。わ
たし。」加堂先生はわたしの言葉が本当に理解できないようでした。本心
から、わたしの美貌が突き抜けていると思われてるのかしら、いい方だな
と思いました。加堂先生が真面目な顔で答えられました。「さあ、よく分
かりません。」わたしは加堂先生の年齢から見当をつけて、「吉永小百合
さんとかは、突き抜けてると思われますよね。」とお聞きしました。「そ
う思います。」やっと理解してもらったみたいです。「ですから、わたし
の場合は、突き抜けないのです。」「そうですか。分かりました。」「で
も、いいところにはいるのです。」「もちろん、そうでしょう。」「それ
で献血に行ったのです。」「また分からなくなりました。」本当に困った
顔をされました。神事担当の役員さんも同じような表情です。お茶をさし
たりして、ごまかしていらっしゃいます。あんまり説明したくはなかった
のですが、この二人には何でも言ってしまいたくなります。「わたしって
おじさまには気を許してしまうタイプなのです。上にも下にも突き抜けな
いと、すごく不安定になって、嫉妬深くなるのです。」「わたしもそうで
した。ちょっとした人の言葉とか、動作とかが気になって気になって仕方
がなくなります。これって難しくいうと、エゴイズムじゃありません。」
優しいおじさまの返事が返ってきます。
595 :
亜蘭もどき:02/09/20 11:11
まあ、エゴイズムかどうかは別にして、エゴは誰でもが持っているでしょ
うね「それで、献血に行ってエゴイズムを抜き取ってもらったのです。」
二人のおじさまが、ホウという顔になりました。「それでどうでしたか。
」「すごく楽になります。どうせわたしなんか、仕方のない人ですし、悩
む価値もないのだと分かって、いい気持ちなのです。」「若い人は血が多
すぎるのですかね。」神事担当役員のおじさまの質問です。加堂先生より
少しずれている感じですが、でも間は気持ちいい。「わたしもそうですけ
ど、みんなそうだと思います。血の中を嫉妬とか怒りとか、不幸の元が流
れているみたい。」なんだか変なことを言ってるようで、途中で恥ずかし
くなりました。「だからすごく楽しみなんです。こんなになるのが。献血
だけであんなに気持ちが救われるのに、これは献肉ですもの。」こんなに、
というのは、役員さんが神殿の奥から持ってきた奇麗なケースの中身のこ
とです。創業社長の田舎の奉納物です。現地では、昔から、木で造った女
性か男性のあそこを奉納して、神様に感謝したりお願いをしたりするので
すが、大成功者の創業社長はそんなまがいものは失礼として、本物を捧げ
るようにしたのです。たしかに子どもじゃないのですから、木彫りの人形
では失礼だとわたしも思います。ましてや重大なお願いをしているのです。
以前、この役員さんが、賽銭箱に100円玉や1000円札を投げ込んで、結婚
や就職、病気のことをお願いするような人はかならず不幸になる、と言っ
たことを思い出します。神様を馬鹿にしているからです。まるで神様を、
家来や子分扱いしているからです。自分だって誰かに100円でお使いを頼ま
れたら、絶対怒るはずです、なのに神様を小銭で使うなんて本当に失礼だ
って。それで、創業社長は会社を潰すリスクをかけて、本物を奉納するよ
うになったのです。なんて、以上すべて、目の前の神事担当の役員さんの
話し。だいたい、神事担当役員って珍しいのだそうです。人事担当役員は
いますけど。そんなものはどうでもいいので、大切なのは神事担当なのだ
そうです。
596 :
亜蘭もどき:02/09/20 14:13
役員さんの話しだと、大成功している会社で、神事担当をおいていない会
社はないそうです。呼び名は違っていたりするのだそうですが、でもかな
らずいるのだそうです。わたし、会社を潰すリスクをかけてって聞いて、
なんだか気持ち良くなりました。それってすごいことでしょう。この娘だ
って、そうだったと思います。この娘って、ケースの中の娘。すごく大き
く見えるのです。それが少し気になる。ガラスとか中の液体のせいかしら、
巨人女のあそこみたい。奇麗な色で可愛らしいのに、すごく大きい。ちょ
っと恥ずかしいかなって感じ。加堂先生、神事担当の役員さん、わたしの
三人はお茶をいただきながら、テーブルの上に置かれた先の巫女さんの切
り取られた性器を見ています。「これってナマモノって感じですね。」わ
たし思わず言ってしまいました。この巫女さんの肉は、まだ、左右に太股
が伸び、上にお腹がつづいている感じがそのまま残っていて、スーパーの
肉売り場の肉のように肉として落ち着いていないのです。思わずケースの
端から覗き込みました。切断面がどうなっているのか不思議だったからで
す。それくらい、収まりが悪いというか、あきらめが悪いというか、ナマ
なのです。色が生っ白いのも影響しているのかもしれません。何となく手
品のような不自然さなのです。でも、覗き込むと、手品ではなく、現実に
包丁か何かで切ってあります。皮膚があり、薄い白身と黄身があり、赤身
につづいています。太股にもお腹にもつづいていません。切断面はスーパ
ーの肉といっしょです。何となく安心しました。それなら、切断面が見え
るようにしてケースに入れたら、もう少し落ち着いて見られるかもと思い
ました。多分、巫女さんの肉をこのケースに詰めたのは男性で、正面にク
ローズアップで、男性にとって大切なところが見えるように詰めたのです。
女性だったら、恥ずかしいこともあって、多分横にして入れます。最低、
切断面と性器が半分ぐらいづつ見えるようにします。すると、もう少し肉
らしくなったと思います。そうすると、ナマモノという感じもしなくなっ
たかもわたしがそんなことを考えていたら、加堂先生が話し始めました。
「この女はできる限りの事をしたのだ。
597 :
亜蘭もどき:
・・・よく聞きなさい。全世界のどこででも、・・・・この女のした事も
記念として語られるであろう。」この女って、巫女さんのことかな、じゃ、
加堂先生はこんなになった巫女さんを褒めているのだ、なにせ、記念とし
て語られるのだ、と思っていたら、そうじゃなくて、関係があるようなな
いような別の話しでした。別の話しでもないかな。どうかな。ある女性が、
格別に高価な香油をイエスキリストの頭に注いだ。なんともったいない事
をする、それを売って貧しい人に施したらどんなに喜ばれたか、そう言っ
て一人の弟子が、女性をとがめた----あっ、これは聖書の話しだ、と思っ
たので、「加堂先生はキリスト教の牧師先生ですか。」----不意にお聞き
すると、「ずいぶん以前はそうでした。あることがあって、今は違います
。」加堂先生はしばらく沈黙され、巫女さんのあそこに目線を送って、ま
たさっきの話にもどります。せっかくの高価な香油、無駄に使わずに貧し
い人のために使うべきであるという自分の意見に、当然イエスも同意する
はずだ、そう弟子は信じていた。なにせ内の先生は、愛で有名な先生であ
る。ところが意外、女をとがめた弟子の方が怒られた。「この娘はいいこ
とをしたのだ。この娘は歴史に残るであろう。」これはマルコの福音書に
ある有名な逸話です。この教訓を考えてみましょう、実にシンプルです。
まず、無駄とか、有効とか、なにかと経済のことを言う奴は、いんちきで
ある。経済とかは道具にすぎません。それをいかにも大切そうに扱うのは、
なにか魂胆があります。ことさら貧しい人のことを言う奴も、本心は別に
あることが多い。本当に気の毒に思っていたら、とっくの昔になんでもや
っているでしょう。自分が正しいと信じているときに、その人は人格的に
最低のレベルにある。これも重大な教訓。あなたにも体験があるでしょう。
悪い事をした後の心の方が、びくびくしていてナイーブで、正論を展開し
ているときの傲慢な心より、よっぽどいい人になっている自分を感じます。