358 :
名無し調教中。:
☆ステラ☆
「・・・ステラが逃げ出したんだって!」「やだ恐い!」
メイド達が騒いでいる・・・そんな馬鹿な!
僕は部屋を飛び出すと急いで東の塔に駆け上った。
重い鉄の扉を開くと黴臭い塔の中へひんやりとした風が流れ込み汗と体温を奪い取る。
「ステラ〜〜〜!!」
そう叫ぶと僕は塔の上から跳んだ・・・あれ、待てよ・・・跳ぶ必要あったかな?
頭に血が上っていたとは言え、早まった事しちゃったなあ・・・地面がグングン近くなる。
うわっ,もう駄目だ・・・と思った瞬間、僕の体はふわりと無重力状態を感じた?
「まっ,間に合った〜!」「ステラ!」
僕を見つめる二つの瞳・・・涙が薄っすら浮かんでいる。
紫色の流れるような長い髪・・・ステラ,僕は3m四方はあるステラの両掌に掬い上げられていた。
「坊ちゃま、悪戯が過ぎます・・・心臓が爆発するかと思っちゃった」
「ふん、ステラの心臓が爆発するなら蒸気機関車はみんな爆発してるさ」
「あう・・・あんまりなお言葉・・・」
ステラは僕を肩に乗せるとゆっくりと立ち上がる・・・地面がグンと遠くなる。
カフスとカチューシャを直し、スカートとエプロンをぽんぽんと叩く。
足元には幅5mくらいに芝生が数十mにわたって抉れていた。
あんな所から僕をダイビングキャッチしたのか・・・エジンバラ行きの急行列車より速いんじゃないか?
「園丁のモリソンに怒られるぞ」
さっきから僕は憎まれ口ばっかりだ・・・。
「はい・・・」シュンとするステラ・・・あれ、ステラは逃げ出したんじゃなかったのか?