蒲田周辺74

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768智仁 ◆rN4U95e5qM
>>766 の続き 

6時限目の授業が終わり、教室内はにわかに勇の告白の話題で騒がしくなった。
何名かの同級生たちが、勇の告白の行方を影から見届けるのだと言ってさらに騒ぎを大きくした。
透もさそわれたのだが、あいにくその日は透の両親が二人とも所用で帰りが遅くなるため、
家事を代わりにやらねばならないので行けないと透は返答した。
「ふうん、残念だな。じゃあ明日、告白の模様をたっぷりと語ってやるよ」
「じゃあ勇、がんばれよ。明日の報告を楽しみにしてるよ」そう言って透は下校の途についた。
透が家に帰ると、家事はあらかた母親が出かける前に済ませていた。
こんなことなら朝、言ってくれてたらよかったのに。そう思った直後、透は昨日夕方のことを思い出した。
「そうだ!もう一度探してみよう。昨日は兄ちゃんが早く帰ってきたから失敗したけど、今日こそは」
透はさっそくガサ入れの続きを開始した。最初に兄の机の引き出しをさがしたが、それらしきものは見つからなかった。
次に本棚の奥や裏側を探してみたが、やはり見つからない。タンスの中も同様だった。
「あとはタンスの上だけか」そこで透は椅子の上に立ってタンスの上を探したが、やはりそこにもなかった。
透が落胆して椅子から下りようとしたその時、天井とそこにはめられた蛍光灯ランプとのすき間に何かがはさまっているのが見えた。
ゆっくりと引き出してみるとそれはソフトケースに入った1枚のDVDだった。それを見て透は直感した。
「これだ!お兄ちゃん、こんなところに隠してたんだ。いったい何が入っているんだろう」透は急いで居間にあるパソコンを起動させ、DVDをドライブに挿入した。 (続く)