すなわち、寄生虫感染率も長年にわたり一定であるためであるという。
しかし、大きな話題となったこの仮説はその論拠が薄弱であり、
ヒトでの疫学調査では相反する結果が得られたり、
保存されている過去の血液の抗体検査をしても理論どおりの結果が出ない。
寄生虫感染がほとんどなくなった現在でも、アレルギーがなお増加していることは
説明がつかない。
東南アジアにおいても、アレルギーは増加しているという事実も非支持的である。
そのため、現在では市民レベルの噂話にのぼる程度のものになっている。
この説を一般向け書籍を出版することによって大きく広めようとしたのは、
著者自身の行う寄生虫学をもっとポピュラーにしようとの思惑があったのだと揶揄する人もいる。
この説そのものは、社会的に話題になる以前より
他の研究者によって提唱されていたものである。
ただし、寄生虫感染はIgE産生を亢進することは確からしく、
この理論が完全に否定されたわけでもない。
その理由として、あらかじめ寄生虫感染を起こしていると花粉症発症は抑制されるが、
花粉症になってから寄生虫感染を起こしても症状は抑制されないという
機序を考える場合もある。
上記の衛生仮説に含むこともある。