花粉症を引き起こす植物は60種以上が報告されている。
報告されていないものも含めればさらに多いであろうということは容易に想像できる。
春先に大量に飛散するスギの花粉が原因であるものが多いが、
ヒノキ科、ブタクサ、マツ、イネ科、ヨモギなど他の植物の
花粉によるアレルギーを持つ人も多くいる。
特にスギ花粉症患者の7〜8割程度はヒノキ花粉にも反応する
(よって、スギ・ヒノキ花粉症と呼んだほうがよいとの指摘もある)。
また、「イネ科」と総称されることからもわかるとおり、
その花粉症の患者は個別の植物ではなく
いくつかのイネ科植物の花粉に反応することが知られている
(○○科と総称されるのは光学顕微鏡による肉眼観察では区別がつかないためでもある)。
これらは花粉に含まれているアレルゲンがきわめて類似なため、
交差反応を起こしているからである(個別の花粉アレルゲンに重複感作されている場合も
もちろん考えられる)。
スギの少ない北海道ではスギ花粉症は少なく、
イネ科やシラカバ(シラカンバ)による花粉症が多いなど、地域差もある。
中国地方、ことに六甲山周辺において、大量に植樹された
オオバヤシャブシによる花粉症が地域の社会問題になったこともある。
北陸の稲作が盛んな地域では、他地域よりもハンノキ花粉症が多い
(シラカバ、ハンノキ、ヤシャブシ、オバヤシャブシなどは
口腔アレルギー症候群をおこしやすい)。