この記事では、hay fever = 枯草熱、pollinosis = 花粉症というように、
古語・現代語、一般名・疾病名、の観点で呼び分けることもある。
枯草熱も医薬品等の効能に表記されるれっきとした医学(医療)用語であるが、
ここでは花粉症で統一する。
なお、pollen allergy は花粉アレルギー、pollen disease は
花粉病(花粉による疾患)の意である。
花粉症がいつ頃出現したかについては、
花粉が肉眼で見ることができないこともあって明確には判っていない。
紀元前500年ごろのヒポクラテスの著書『空気、水、場所について』の第三節に
さまざまな風土病が述べられているが、季節と風に関係しており、体質が影響し、
転地療養が効果的であるということから、現在でいうアレルギー(季節的アレルギー)の
機序を考えてよさそうなもの、すなわち現在でいう花粉症もあるかもしれないとの考えもある。
ローマ帝国時代の医師ガレヌス(紀元前130年〜200年)も
花粉症らしい疾患について述べており、紀元前100年ごろの中国の記録にも、
春になると鼻水および鼻詰まりがよくあるとのことが示されているという。
西暦1000年ごろのアラビアの医師によって、
花粉症らしい疾患とその治療法が記録されているともいわれる。