一方、石森は自身の作品『スカルマン』をこの企画に応用した「仮面ライダースカルマン」も提案していた。
ここで、主人公が敵怪人と同じ改造人間であるという設定が確立し、
逃亡者の設定や一部のキャラクターが整理されてよりシンプルな物語としてほぼ完成した。
しかし、テレビ局サイドから「モチーフがガイコツ(ドクロ)では営業上の支障がある」
との意見が出され、企画はさらなる検討を求められる。
ここで石森は、バッタの顔が髑髏に似ている事に気づき、バッタをモチーフにしたヒーロー案を提示。
この案も局内には非力な昆虫をモチーフにすることに懸念の声があったが、
石森は「バッタは小さいから強く見えないだけで、(昆虫の能力が)人のサイズになれば強い」
と説得し、最終的に認められた。
マスクのデザイン案は、いくつかの候補を石ノ森が息子(小野寺丈、当時5歳)に見せ、
石ノ森自身は一番不気味だと思っていたものがいいと言ったのでそれに決定したという。
以上の経緯により完成を見た本企画は「仮面ライダーホッパーキング」の仮題を経て
「仮面ライダー」のタイトルで製作が決定された。
また出演者ついては、本郷猛以外の人物はすべて放映と同じだが、
本郷猛を演じる役者は近藤正臣に予定されていたが、
制作スケジュールの遅れから出演不可能となり、代りに藤岡弘に変更した。
元々、本作は『ウルトラマン』のような巨大ヒーローと怪獣が戦う作品にしたかったという。
しかし予算がないので等身大ヒーローになり、敵は上半身のみ着ぐるみ、
下半身はタイツという「怪人」になった。
ちなみにスタッフの間では巨大ヒーローへの思いが強く、後に2号ライダーを出すときには、
2号を巨大化させようという案も出た。