なお、1979年に発表されたシリーズ第6作のテレビ番組名も同じく『仮面ライダー』であるが、
新聞や文献等では「(新)」を番組名に付記する方法で第1作とは区別されていた。
現在では同作品における主役のライダーである「スカイライダー」を番組名に付記する方法で区別されている。
この第6作については仮面ライダー (スカイライダー)を参照のこと。
社会現象
全仮面ライダーシリーズ中、最も長期間放送した作品であり、未だその記録は破られていない。
石ノ森章太郎が原作を担当し、少年向け雑誌「週刊ぼくらマガジン」
(後に「週刊少年マガジン」に連載誌を変更)に漫画版の連載を開始した。
第1回の放送の関東での視聴率は8.1%(裏番組に『お笑い頭の体操』があったため)だったが、
関西では20.5%を記録。
事故による主役俳優の交代を機におこなわれた種々の強化策によって、着実に視聴率を伸ばしていった。
9月末頃には平均して関東でも15%、関西では20%の視聴率を超えるようになった。
全98話の平均視聴率は関東が21.2%、関西が25.9%(プロ野球中継のため
翌週の金曜19:30 - 20:00に振り替え放送された69話(1972年7月28日放送)を除く)、
最高視聴率は関東が30.1%(1972年1月8日放送)、関西が35.5%(1973年2月10日放送)。
(ビデオリサーチ調べによる)
カルビー製菓(現:カルビー)の仮面ライダースナックに付いていた仮面ライダーカード、
ブリヂストン自転車から発売された仮面ライダー自転車、
ポピー(現バンダイ・ボーイズトイ事業部)から発売された仮面ライダー変身ベルト
といったキャラクター商品も大ヒットし、その商品化権料は12億円に達し、
それ以前のヒットキャラクター「鉄腕アトム」、「オバケのQ太郎」、「ウルトラマン」
などの商品化権料を凌駕し、当時の過去最高のキャラクターになった。
このため仮面ライダーは社会現象として大人向けのメディアにも頻繁に取り上げられた。
番組終了から30年以上経過してもなお、CM出演、ヒーローショー、TVゲーム化、
パチンコ・パチスロ台の登場など、人気と知名度は大きい。
仮面ライダー誕生まで
「仮面ライダー」の企画は、1970年初頭に書かれた企画書「マスクマンK」までさかのぼる。
この企画書では仮面のヒーローが秘密結社ショッカーと戦うという基本線はすでに決定していた。
しかし、その内容は当時のヒット作品タイガーマスクに言及し、
「自分も仮面をつければヒーローになれる」という児童の願望を指摘していること、
主人公・九条剛が普通の体育教師で鍛錬によってヒーローの力を得ているなど、
当時流行していたスポーツ根性ものの影響が認められる内容であった。
次に提出された「仮面天使(マスクドエンジェル)」では、主人公の名が本郷猛に決まり、
恩師緑川教授殺害の容疑をかけられた逃亡者という設定になった。
また、主人公は高圧電流の事故で特異体質となり、人間以上の力を得るという
SF的な設定が加味されている。
この「仮面天使」の企画書はさらにドラマ性が高められ「クロスファイヤー」となる。
ここで構想されたストーリーでは、本郷を父の仇と信じるヒロインや、
殺人者・本郷を追う刑事などの登場人物が配され、主人公の逃亡者としての苦悩が一段と強化された。
主人公の仮面については、怒りの感情が高まると顔に感電事故による
十字形の傷跡が浮かび上がり、それを隠すためにかぶっているという
ドラマチックな設定が加えられている。
石森章太郎が原作者として本格的に参加するのはこの段階あたりと思われ、
クロスファイヤーの姿などのスケッチが現存している。
一方、石森は自身の作品『スカルマン』をこの企画に応用した「仮面ライダースカルマン」も提案していた。
ここで、主人公が敵怪人と同じ改造人間であるという設定が確立し、
逃亡者の設定や一部のキャラクターが整理されてよりシンプルな物語としてほぼ完成した。
しかし、テレビ局サイドから「モチーフがガイコツ(ドクロ)では営業上の支障がある」
との意見が出され、企画はさらなる検討を求められる。
ここで石森は、バッタの顔が髑髏に似ている事に気づき、バッタをモチーフにしたヒーロー案を提示。
この案も局内には非力な昆虫をモチーフにすることに懸念の声があったが、
石森は「バッタは小さいから強く見えないだけで、(昆虫の能力が)人のサイズになれば強い」
と説得し、最終的に認められた。
マスクのデザイン案は、いくつかの候補を石ノ森が息子(小野寺丈、当時5歳)に見せ、
石ノ森自身は一番不気味だと思っていたものがいいと言ったのでそれに決定したという。
以上の経緯により完成を見た本企画は「仮面ライダーホッパーキング」の仮題を経て
「仮面ライダー」のタイトルで製作が決定された。
また出演者ついては、本郷猛以外の人物はすべて放映と同じだが、
本郷猛を演じる役者は近藤正臣に予定されていたが、
制作スケジュールの遅れから出演不可能となり、代りに藤岡弘に変更した。
元々、本作は『ウルトラマン』のような巨大ヒーローと怪獣が戦う作品にしたかったという。
しかし予算がないので等身大ヒーローになり、敵は上半身のみ着ぐるみ、
下半身はタイツという「怪人」になった。
ちなみにスタッフの間では巨大ヒーローへの思いが強く、後に2号ライダーを出すときには、
2号を巨大化させようという案も出た。