また、この作品は、作者である松本零士本人の回想録であるとみなされる場合も多く、
作者の人間観を強く現わしている作品と考えられることもある。
スター・システムを採用しているため、よく似た・もしくは
ほぼ同一キャラクターが他作品にもしばしば登場する。
その結果、貧しいながらも誠実で、大抵は空腹ながらもエネルギッシュな、
しばしばボロゆえの乱暴さとバイタリティーをもったキャラクターが
各々の作品に登場している。
80年代に一度実写版映画化の話があったが、
主演の予定の配役が「郷ひろみ」だったため、
原作者の松本が「郷さんに恨みはないが」と前置きした上で、
「昇太はいつも郷ひろみのような二枚目を『ちきしょーちきしょー』と
くやしがっていたのにそれじゃあ、あまりに昇太が可愛そうだ」
と納得しなかったため中止となったものの、
同じく『大四畳半シリーズ』の1作品である『元祖大四畳半大物語』が
1980年に実写映画化されている。
時は1970年代、場所は日本の東京・文京区・本郷。
昇太に届いた手紙の宛先が、「文京区弓町」と描かれている場面がある。
この町名は現在は残っていないが、本郷1丁目あたりである。
「無芸大食人畜無害」を信条とし、貧しくも概ね正直に
浪人生活を送り続けるチビでガニマタ・ド近眼・ブ男・サルマタ怪人
とまでに呼ばれる大山昇太の周囲には、
何故か様々な女性があらわれては通り過ぎてゆく。