883 :
†交響曲†:
【第一楽章】〜Largo-Allegro moderato〜
翌日の朝。チチチ…小鳥の囀り。眩しい朝日。瑞々しい木々の匂い。
その夜、あれから帰宅したサクラを囲んで、夕食は3人で厳かに済ませた。
謎の黒い剣士と共に深夜のバーに行ったきり、順平は劇場に帰って来なかった。
深夜になってからも、心配する霞の傍に、銀髪の男はずっと付き添っていた。
疲れていたのか、サクラはさっさと寝てしまったし、茶髪の男は結局、帰って来なかった。
2人は、今朝方まで打ち合わせをしたりして、なんとかプラトニックな関係を維持した。
あわよくば、霞は超狼に寄りかかって体を預けてきたが、超狼はぐっと堪えた。
(今、肉欲に溺れてしまっては、彼女を守る事にならない…私の誓いが嘘になってしまう…)
なぜか、彼はそんな下らない西洋的な固定観念に拘り、忠実に自分のポリシーを遵守した。