1 :
( ´∀`)ノ7777さん :
04/11/01 12:56:14 ID:R07Vt4zO
2 :
( ´∀`)ノ7777さん :04/11/01 12:57:02 ID:oHOxOfxf
2
続き書く気力がなくなった謎作者が3
4 :
( ´∀`)ノ7777さん :04/11/01 18:06:39 ID:vuReFpaY
続き続き…('A`)
前局でホンローチートイを逃したが、俺はそれほど気にしてはいなかった。もともと勝負に参加できるような配牌ではなく、順調にツモっての聴牌だったので未練はそれほど無かった。 配牌を取り終えるとこんな感じだった。 三四五(赤)七九九CG145□□ ドラ3ピン 今回の配牌は面白い手だ。ツモが順調なら、面前で進めたい。だが、俺は面前にはこだわらず、喰って進めても構わないと思っていた。ここは女との差を少しでも縮めておきたい。 5巡目に岡部が女の切った中を喰った以外に動きは無く、8巡目に入った。ここまで俺の手はこうなっていた。 三四五(赤)七九九CD456□□ ここまで育てば、面前で押していく手だ。女との点差は、三色をつけて面前でツモれば、逆転できる。 女が9ピンをツモ切り、長塚がツモる。奴はツモった牌を手の中に入れた。 「リーチ」 そのゴツイ身体に似合わない、小さなモーションで長塚は北を曲げ、千点棒を出した。 長塚のリーチで、場には緊張感が漂った。先ほど親マンを振り込んで流れが悪いと思われた長塚が、聴牌まで持ってきた。ここで和らせてしまうと一気に流れが変わる可能性がある。岡部と女も同じことを考えているだろう。 長塚のリーチの後、俺がツモったのは白。『通せ!』心の中で気合を入れ七萬を切った。それを見て動くものは無く、岡部が牌山に手を伸ばした。 『この状況じゃ3,6ピン出たら倒すしかないか?だが、この手それで終わらせるのはもったいない…どうする?』 七萬が通って、安堵しながら俺はそんなことを考えていた。すると、痛み止めが切れたのか、左腕がズキズキと痛み始めた。
待ってました!
どうも、常居です。昨日帰宅すると落ちていたのでちょっと焦りました。
>>1 さんありがとう。
初めて来た人のために、あらすじ書こうかなとも思ったのですが、無駄に消費することになるかなとも思って書きませんでした。
あらすじを読みたいと思う人がいたら書き込んでください。足りない頭で考えて書きますので。
これからもよろしくお願いします。
おつ
新スレ記念に何か投下しようかと思ったけど 時間無いしあとにしますね
10 :
( ´∀`)ノ7777さん :04/11/02 00:45:10 ID:hWvh+Oaj
>>常居接人さん 又書いてくださいな 楽しみにまっちょりますよ
11 :
( ´∀`)ノ7777さん :04/11/02 10:55:16 ID:YMyFdTL+
ああ、復活してる! ありがと、>1さん。 常居さnいつも楽しみにしています!
12 :
11 :04/11/02 10:56:29 ID:YMyFdTL+
あげちまった、スマソorz
13 :
( ´∀`)ノ7777さん :04/11/02 12:28:26 ID:gD46CR7h
こりゃちょくちょく様子見カキコしたほうがいいな。
16 :
( ´∀`)ノ7777さん :04/11/02 18:52:33 ID:BSG2ofXa
∧_∧ ( `・ω・´) 彡 (m9 つ .人 Y 彡 レ'(_) クルッ
左腕の痛みは、集中が切れるほどのモノではないが、不快だった。長塚のリーチから5巡が経過し、その間、誰にも動きは無くじりじりしながら終盤に差し掛かった。 女が安牌の一萬を切って、長塚が牌山に触れ、ツモった八萬を黙って切った。 『ツモっちまえ』気合を入れつつ、牌山に手を伸ばす。だが、持って来たのは9ピン。長塚には通っていない。 『…参ったな。かなりヤバイ…ここは一旦引くか』 降りると決めた以上、中途半端な降り方はしない。俺は3枚並んだ白に手をかけた。白は序盤に岡部が1枚切っていて、単騎待ちの可能性は無い。4枚切れのヤオチュー牌もあるので国士の可能性も無い。 アンコ落しで凌ぎきり、この局は流れた。聴牌は長塚一人だった。 三三@ABCDEFG567 自分の読みが正しかったことを確認しつつ、この勝負一瞬たりとも気が抜けない、と気合を入れなおした。 東ラス。親は長塚に渡り、奴がそのごつい指でサイボタンに触れた。サイコロは1と6を上にして止まった。 俺の配牌は完全にクソ手だった。 一二六九CFH368東西北 ドラ1ピン この手では和りなど望めるはずも無く、ここはいかに失点を防ぐか。それしか頭の中に無かった。 『腐るな、ここは我慢だ。心にゆとりだ』 自分にそう言い聞かせながら、長塚が8ピンを切るのを確認して牌山に触れた。四萬をツモり、北から切り出した。切ってから右腕だけで苦労しながらタバコを取り出し、火を点けた。 吸い慣れたセブンスターの煙が、いつもよりきついものに感じられた。
「本日新装開店」 大きな垂れ幕に鮮やかな赤字が映える。この田舎にあるパチンコ店からこの話は始まる。 十一月に入り、天気は曇りで少し肌寒く感じる気温だったが、朝早くから行列ができていた。 その中に冴えない男がいた。年は二十代半ばに見える。 格好は安物のトレーナーにジーンズと、ファッションセンスを微塵にも感じられない男である。 彼は一桁台の整理券を握りしめ、負けることのできないスリル感と恐怖感を同時に味わっているようだった。 そして、軽い震えを体で感じながら時計を見、一秒一秒その時を待っていた。 やがて店員がドアに近づきそれを開けると、連中はすぐさま整理券を渡して入っていく。 それに続き彼は前日の狙い台に駆け込みタバコを入れる。 天井が無い機種ではあるが、優良店なので設定は入れていることは間違いないと確信していた。 午後一時、彼の座っている台にボーナスは来ない。昼の休憩をせずに黙々と打ち続ける彼。 どうやら台移動はしないでツっぱる様子である。 彼はひたすら回し続けたが朝から当たりを一回も引けずに、夕方五時を迎えようとしてた。 無言でレバーを叩き、ボタンを押す。ときおり小役の払い出し音が鳴る。 この繰り返しで、ついには最後のコインも無くなってしまった。 ただヒキが悪かっただけなのだろうか、それとも設定がよくなかったのか。それさえも今となってはわからないが。 彼はカード入れと化した財布を持って、すごすごと店を後にする。
「あんた、金無いだろ?」 店を出たふいに声をかけられた。振り返ると、四十過ぎに見える中年のおっさんがこちらを見ていた。 太りきったお腹と大きなダイヤの指輪からは金持ちぶりが窺えた。 「おい、そんなにじろじろ見るな。儲かる仕事があるんだがな、やってみないか? と言っても危険なことじゃない。身の安全は保証してやる」 キャッチセールスの類だろうか。だが、そんなことは彼にとってはどうでもいいことだった。 詐欺にしても金がない。金を借りるにしてもすでに膨大な借金がある。 それを返すチャンスがあるなら、いくら怪しいおっさんでも話に乗るよりほかになかった。 「いくら貰えます?」 「お、やる気かい? 給料はあんたのやる気次第だ。俺はこの仕事始めて三年になるが、一日これくらいだな」 おっさんは彼の目の前に両手を広げ、十万を表した。うす汚れていて、やたらとしわの多い手が目につく。 「やります。やらせてください」 「そうか、じゃあ事務所まで連れて行くから乗りな」 考える余地もなく黒く光るセルシオに、強引に乗せられた。 立派な外見に比べ、車内はごちゃごちゃしている。
いいよいいよ!
常居サンも無事に?気づいてくれてスレ立ててヨカター 毎日見てるよ 頑張って〜! NAGサンのも楽しみデス
>>21 無事に気づきました。
頑張って続き書きます。
この局の和りは放棄したが、俺は可能な限り、他の3人を妨害するつもりでいた。 相手に鳴きを入れさせないように心がけつつ、手の中で最も多い(と言っても今あるのは5枚だが)萬子を絞ることにした。 鳴かせないような捨て牌は即効性、萬子を絞ることは、中盤以降で効果が期待できる。 5巡目、女が岡部の切った4ソーを喰って、345と曝していた。俺の手はこうなっていた。 一二四六六九CF368東西 この辺から一色手を装うために腐心することになる。できれば鳴きを入れ、萬子のあふれを演出し相手を警戒させたい。 ここから八萬をツモり、8ソーを切った。次の瞬間、岡部が六萬を切る。 「ポン」 六萬を2枚曝し、4ピン切り。まだ萬子に手をかけるタイミングではない。引き続き萬子を絞る。 六萬を喰ってから3巡が経過。その間、赤五萬をツモり、全員ノーテンを目指す俺にとって好都合な萬子が高い状況になっていた。 『そろそろいくか』 俺はポーカーフェイスで四萬を切り出し、萬子のあふれを演出した。子供だましのような手段だが、このレベルの相手には逆に効果的と思えた。 俺の思惑通り、ここからしばらくの間萬子は一枚も切られなかった。 15巡目、女が一瞬表情を歪め、俺を睨んだ。おそらく、萬子の要牌を多く抱え込んで、俺の演出に気づいた様子だ。 俺のトラップに気づいたことは評価できるが、もう遅い。立て直す暇など無いはずだ。 俺が最後のツモをツモり、ラストの東を切って終了。女が忌々しげに「ノーテン」と言って牌を伏せる。 俺と残る二人も「ノーテン」と言って牌を伏せた。 「流れ二本場で南入」 俺は上機嫌で起家マークを裏返し、サイボタンに触れた。
24 :
( ´∀`)ノ7777さん :04/11/03 22:50:04 ID:9snmxR3l
んだんだ。
25 :
( ´∀`)ノ7777さん :04/11/04 18:35:41 ID:ybM19+Rw
age
最悪の配牌だったが、点棒の移動無く流すことに成功した。これをきっかけにして、追い風が吹くことを期待したが、配牌は平凡なものだった。 六六七九AABGH456北中 ドラ8ソー 期待したような手ではなかったが、ここは確実に和って連荘を目指したいところだ。 4巡目、俺の手はこうなっていた。 六六七九AABGH456中 ここへ8ソーをツモり、中を切った。それを受け、岡部が牌山に触れた。 ツモった牌を手の中に入れ、岡部が九萬を曲げ、発声した。 「リーチ」 千点棒を出す岡部の身体から、気合がにじみ出ているような錯覚があった。 女は現物の發、長塚はスジの1ピン切りで凌ぐ。次に俺がツモったのは7ソー。 『まだ1回戦だ。残りの半チャン4回を考えると、ここで振って岡部に勢いづかせたくない』 俺は冷静に九萬を落とし、一発を避けた。789の三色を狙うためにはリスクの大きい牌が多すぎる。 俺が切ったことを確認し、岡部は牌山に手を伸ばす。岡部がニヤリと笑いツモ牌と手牌を開けた。 「くくく、…来たぜ。一発ツモ」 一一一三四五BBD(赤)DD西西 B この和りで岡部がトップに躍り出た。1回戦は残り三局、俺は意識をトップ狙いから、沈まない打ち方にシフトさせた。 神山の父親が言った『バイニンは沈むことを避ける』この言葉が俺の頭の中で何度も繰り返された。
3順目まで全部ツモ義理か。そりゃ付いてない。
調子に乗って投下
「そういや、あんた名前は? ああ、漢字も教えてくれ」 車内に散らかる書類をまとめながら聞いた。 「東城高文。東の城に高い文です」 「タカフミか……タカでいいな。俺はホオカベだ。」 漢字はどう書くのだろう、と雅文は助手席で考えていた。 それを気にとめる様子もなく、運転席の男は東城高文の名前を何かの書類の裏に書きとめた。 「よし、じゃあ発進しよう」 エンジンが掛かり、車はパチンコ屋のガレージを離れていった。 「あ、ちょっとラジオ聞いてもいいか?」 高文が返事をする前にラジオからニュースが流れてくる。 「……今月十日、同市内でパチンコ店から出た客を誘拐し、殺害したと見られ、 警察は犯人逮捕に向けて全力で捜査する方針です……」 「最近はこの辺も物騒になったもんだな」 高文の動揺も知らずに黒塗りの車は国道を進んだ。
30 :
( ´∀`)ノ7777さん :04/11/05 08:17:19 ID:DJuzX/fW
イイヨイイヨー
跳満をモノにし、トップに躍り出ての親番。岡部にとっては最高の展開だろう。 ここから、勢いに乗って攻めかかってくるのか。それとも、リードを守る打ち方になるのか。 どちらにしても、岡部を意識した闘牌が繰り広げられるだろう。 サイボタンに触れる岡部の表情は、すでに引き締まったものになっていた。 トップに立ったとはいえ、安全圏ではない。奴もここからが苦しいことは充分承知しているはずだ。 サイコロが2ゾロを出して止まる。俺はドラをめくり、リンシャン牌を下ろした。表向きになった牌は中、波乱を期待しつつ配牌を取っていった。 三五(赤)七FG2467東西西□ 配牌は白が重なれば面白い手になるが、そうならなければ何の面白味も無い手だ。 岡部の9ピン切りで南二局はスタートした。7巡目、俺の手はこうなっていた。 三四五(赤)FG24567西西□ 白の姿は場に一枚も見えていない。まだ山の中に眠っていることを願いつつ俺は牌山に手を触れた。 盲牌した瞬間、誰にでも盲牌できる牌だと分かった。『この手モノにできればトップ争いにまた参加できる』 俺は期待しつつ2ソーを落とした。
乙&保守
高目のイーシャンテンに変わり、一歩前進。俺は気を引き締め、こんなことを考えていた。 『高めに変わっても、和らないと意味がねぇ』 白をもう一枚重ねられれば理想的だが、そう都合よくいくはずも無く、11巡目に6ピンを持ってきてテンパイ。俺は一瞬間を置いて7ソーを曲げた。 「リーチ」 待ちが悪いことは、十分承知してのリーチだ。西は女が一枚切っていて、白はドラである上に生牌。出和りは期待できそうに無い。 もう親番の回ってこない俺のリーチ、それなりの手であることは他の3人も承知しているだろう。またしても場の空気が重たくなった。 山は確実に短くなっていき、俺はツモ番が来る度、祈るような気持ちでツモっていた。だが、それも虚しく空振りを続けていた。 長塚が手の中から、7ソーを切り出した次の瞬間。俺の願いはようやく通じた。 ツモった西を静かに表向きにして、右手だけで不恰好に牌を倒した。 「ツモ」俺はクールに言いながら、ウラドラをめくる。めくった瞬間、俺の顔から自然に笑みがこぼれた。 「なんだこれ。倍満に化けたぜ」 表向きにされた南を確認して、3人の表情が曇った。 バカヅキだけで倍満をモノにして、一気にトップに立った。だが、長塚が一人沈んでいる状況なので、トップの俺と3着の女との差は7000点。岡部との差は6200点だ。 気が抜けない状況のまま、南三局を迎えた。サイコロは3と4を上にして止まった。 俺の配牌は軽く、場を進めるのには好都合な手だった。 四五六六七九BB3467南 ドラ9ピン 『残り二局、このまま逃げ切ってやる』俺は改めて気合を入れなおした。
34 :
( ´∀`)ノ7777さん :04/11/07 02:03:52 ID:Sms5Ps+I
保守age
35 :
( ´∀`)ノ7777さん :04/11/07 02:07:43 ID:qqKlDt9q
スロット覚えたてで、初めてコインをカウンターに 流そうとしたとき、場所がわからずパチンコのシマに きてしまった。で、パチンコのカウンターにコインを 流してしまった・・・ その後、店員がピンセットみたいなもので1枚づつコインを カウンターから取り除いていたが、 「おまえわざとか?」とかイヤミを言われた。 オレはぜんぜん悪くないのに、イヤミを言われてアタッマきた。
>>35 おまえが悪い。普通間違えるか??
というか店員に流してもらう店がほとんどだろ??
俺パチ屋でバイトしてたことあるけどジェットカウンターって
すぐ詰まるから異物を流すのだけはやめてほしい。
それにしても、客に暴言とはひどい店だな。
そんな店には絶対に行きたくないから
みんなに店名を晒してやってくれ。
まぁ、いい店員もいるからよ?元気出せよな。
イライラしながら打っても勝てないぞ。
気合を入れて闘牌するまでも無く、4巡目で聴牌が入った。 四五六六七八BB34567 追っかけなどで、身動きが取れなくなるケースを考えここはダマ。安くても確実に和っておくことが重要だ。 7巡目、岡部が8ソーを切ってこの局は終了。トップのままオーラスを迎える。 長塚がごつい指でサイを振り、オーラスは始まった。サイコロは3と6、長塚がドラをひっくり返した。そこには北が表示された。 中盤に差し掛かった8巡目、長塚が俺から中を鳴いた以外動きは無く、淡々と場は進んだ。俺の配牌はこんな感じだった。 二二三五六七EFG2345 二萬か6ソーをツモればリーチ不要の三面待ち。逃げ切りを図るには絶好のイーシャンテンだ。 次巡、5ピンを持ってきて、三色も見えてきた。勿論8ピンを切ったが、俺の中で違和感があった。 『手が高くなるきっかけにはなった。…だが、本調子ならここで二萬か6ソーを持ってきて、テンパるのが先じゃないのか』 同巡、女が9ピン切りで牌を曲げた。長塚が4枚目の西をツモ切った。俺のツモったのは安牌の9ピン。当然ツモ切り。 ここまでは滞りなく進んだが、岡部がツモった牌を見て考えていた。 「…失礼」 そう言うと、岡部は意を決したように五萬を切った。女にはかなりきつい牌だったが、彼女は黙って牌山に手を伸ばした。 11巡目俺は二萬を引き込み、女が6巡目に切った三萬を落とし、2,5ソーのノベタンに受けた。岡部が一萬を必死の形相で切り、女はそれをスルーして牌山に手を伸ばした。 「ツモ」女はクールな雰囲気でツモった牌と手を開けた。 四四五九九@@BB33□□ 五(赤) ドラ東 裏ドラ9ソー 「これで逆転ね」 無表情だった女が、一瞬微笑んだ。それは妖艶な笑みだった。
俺の配牌× 俺の手 ○ 間違えました。済みません。
負け?
ドキドキ ハラハラ
>>39 1回戦は女がまくりました。亮は2着です。
>>40 2回戦に入ります。
続き書きます。
結局、1回戦は女のトップで終了した。それにしても彼女はいい度胸をしている。 リーチにもかかわらず、岡部が出した五萬をスルーしてツモに賭けた。最終戦のオーラスなら話も分かるが、まだ1回戦、かなりクレージーな打ち方だ。 女はこのトップで流れを掴みかけている、いや、すでに流れを掴んでいるかもしれない。ここは女の勢いにブレーキをかける必要がある。 息苦しさを感じるほどの雰囲気の中、2回戦が始まった。ラス和りの女がサイボタンに触れる。3と6が出て女が起家になった。彼女は再びサイボタンに触れた。 東一局、岡部が俺から喰った二萬を足がかりに、喰いタンをツモった。明らかに女の連荘を阻止するための和りだった。 東二局、1回戦で大きなラスを食らった長塚が、珍しく闘志をむき出しにした打ち方をしていた。 9巡目で長塚がツモ和った。 一三七八九@AB123東東 二(ツモ) ドラ五萬 親満をツモり、1回戦では振るわなかった長塚に復調の兆しが見え始めた。ここで奴を復活させると、実力が伯仲しているだけにこの勝負どこに転がるか分からなくなる。 一本場、俺の配牌は平凡だったが、ツモが好調で6巡目に聴牌が入った。 四五(赤)CCCEE222678 ドラ6ソー リーチは迷ったが、かけないことにした。リーチをかけると相手の早和りを誘発する恐れがある。ここは黙っておくことにした。 誰も動かないまま、さらに3巡が経過した。長塚が気合をみなぎらせて6ピンを切った。 『手の中から切ったな。…そろそろ聴牌か?だったら先に持って来い』 セブンスターの煙を灰の奥まで吸い込み、吐き出しながら牌山に触れた。俺は静かにツモ牌と手を開けた。 「ツモ。2000、4000の一本場」 この和りで、長塚の親を流し親番が俺に廻ってきた。序盤から気の抜けない展開に俺はアドレナリンを分泌させまくり、いつの間にか左腕の痛みを忘れていた。
43 :
( ´∀`)ノ7777さん :04/11/09 03:01:05 ID:NyKfzeHJ
なgまだ?
女結構強いな。
亮ガンバレー!
絶好の形で親番を持ってきた。と思ったが、配牌はそれほど良くなかった。 一二四五EFG1369南西□ ドラ發 なんとかして親番をキープしたいが、ツモも悪く7巡目まででこんな形に持ってくるのが精一杯だった。 一二四五EFG12369□ 5 5ソーをツモり9ソー切り。聴牌にこぎつけても、リーチが必要な手になりそうな雰囲気があった。 さらに3巡が経過したが、俺の手に動きはない。それよりも岡部の動きが気になった。 岡部の捨て牌にピンズはなく、字牌も極端に少なかった。染め気配が濃厚で、奴の上家に座る俺は捨て牌にも気を使う必要があった。 次巡、持って来たくない發をツモった。この形で突っ張るのは得策ではないと考え、一萬切りで廻した。 『白と發を抱いたまま終わらせてやる』 俺はそう決めると、徹底的に岡部の手を進めないようにピンズと字牌を絞った。 岡部の手の進みはそれほど良くない様子で、終盤に差し掛かってようやく、ピンズが溢れてきた。 俺が最後のツモとなる五萬をツモり、1ソーを切った。岡部がハイテイに手を伸ばし、北をツモ切った。 「聴牌」岡部と女が同時にそう言い、俺と長塚は黙って手牌を伏せた。 岡部の手が@ABEEEFGH□□發發 女の手が二三四六七八BCD(赤)EF77 岡部を不発に終わらせたことに胸を撫で下ろし、東ラスに突入。流れはいまだ流動的で、誰がそれを掴むのかまだ予断を許さない状況だった。
あっ。6ピン5枚にしてしまいました。申し訳ありません。 お詫びして訂正します。 亮の配牌のピンズはFGHに訂正します。申し訳ありませんでした。
東ラス、岡部の切った南を一鳴きした女がソッコーを決めた。 三四五(赤)七八九D(赤)E□□ F(ツモ) 南(ポン)南南 ドラ九萬 5巡目の和りで、ドラと赤が絡みノミ手が満貫に化けた。 ツイているだけの手だが、こういった手をきっかけに流れが変わることは間々ある。 ここまで静かにしていた女が、ついに動き始めた。この満貫で女は俺を捲り2着に躍り出た。 相変わらず無表情のまま彼女は起家マークをひっくり返し、サイボタンに触れた。サイコロは1と6を表にして止まった。 俺の山から順次配牌を取っていく。ドラ表示牌は9ピン、使いづらいところがドラになった。 配牌の2ブロック目を取った俺は、一瞬動きが止まった。 五B西二@@@南 いきなりのドラアンコ、この手をモノにできれば一気に流れが俺に向かう予感がした。 配牌は最終的にはこうなった。 二四五@@@BG36南西西 西が重なり、ソッコーを決めやすくなった。俺は気持ちを落ち着かせるため、セブンスターを咥え先端に火を点けた。 彼女が1ソーを切り、南一局が始まった。俺は自分自身に『落ち着け。心にゆとりだ』と言い聞かせた。
hosyu
50 :
( ´∀`)ノ7777さん :04/11/11 15:45:22 ID:/QiKN4l8
hosyu
俺の第一ツモは南、この手に役牌のポン材は、いくらあってもありすぎるということはない。 8ピンを切って進めていく。4巡目に岡部が切った西を一鳴き。 俺が西を二枚曝した時、トップ目の長塚が、曝した二枚をチラッと見た。俺の鳴きをきっかけに場は動き始めた。 長塚が女の切った8ソーをチー。67ソーを曝す。早い巡目での両面鳴き、普段の長塚ならこんな仕掛けはしない。 『なんでこんなに焦った仕掛けをするんだ?』 長塚の焦りを意外に感じつつ、場は進み、7巡目に入った。 二三四五@@@B南南 西西西(ポン) かなりいい感じのイーシャンテンになり、期待は膨らんだ。 次巡持ってきたのは生牌の中。少し迷って切ると長塚が発声した。 「ポン」 両面一鳴きの上にアトヅケ。俺の知っている長塚の打ち方ではなかった。何がここまで奴を追い込んでいるのだろうか? 喰った後、長塚が切り出したのは7ピン。誰も動かないことを確認して牌山に手を伸ばした。 ツモったのは六萬。これで三面待ちの完成。いい感じでテンパった。 『この手をモノにして2回戦こそ逃げ切ってやる』 俺はそんなことを考えつつ、表情はクールに3ピンを切った。
カモン (屮゚Д゚)屮 Щ(゚Д゚Щ) カモーン
3ピンを切り、一呼吸おいて、長塚が焦っている原因に思い当たるフシがあった。 俺たちの所属するN組での権力闘争だ。組に入ったのは増田が先だが、年齢が近く、高校中退の増田と大卒の児玉は、次期若頭の座をめぐって争っている。 薬や女でのアガリは差がほとんどないのだが、博打でのアガリは増田が圧倒的に多く、出世レースは増田が博打の分リードしている。 今回、俺の我侭を許したことで分かるように、増田は代打ちに対して寛容だ。報酬もできる限り優遇してくれる。 増田から仕事を廻された代打ちは、次も増田から仕事を廻してもらうためベストを尽くす。 それに比べ、児玉は代打ちに対して冷たく、興味も無い。児玉プロデュースの場で敗れると小指一本という噂があるぐらいだ。 『長塚の焦りはこれが原因か?』 そう推測した後で、俺は自分の身を案じた。だが、冷静になって考えると、代打ちに興味の無い児玉が俺の顔を知っているはずも無い。『名前くらいなら知っているだろうが顔までは…仮にバレても増田がなんとかしてくれるはず』 俺は自分自身にそう言い聞かせ闘牌を続け、必死で『心にゆとり』と頭の中で唱え続けた。 10巡目を過ぎて、岡部と女の打牌から降りの気配が見え始めた。手がモノにならない上にドラの姿が見えず、どこかに固まっていることを警戒している感じだ。 この展開は、ハナから出和りを期待していない俺にとって、好都合だった。ここでは4人が4人とも勝負に出た場合、出和りの可能性は高くなるが、あっさりと他の人間が和ってしまう可能性も高くなる。 南一局は二人が降りて、俺と長塚の一騎打ちになった。長塚の手は安い雰囲気があるが、赤を多く含んでいる恐れもある。油断は禁物だ。 13巡目、長塚が一呼吸おいてから4ピンを切った。俺は牌山に手を伸ばし、ツモ牌の表に指を滑らせた。 『最高の感触だ』そう呟いた後、「ツモ」と発声し四萬と手牌を開けた。「2000、4000」 長塚の表情にほとんど変化は無かった。だがその目はまだ死んでいなかった。
親番が回ってきた長塚が、最初にしたことは自分の頬へのビンタだった。いきなりの行動に、卓を囲む俺たちは度肝を抜かれた。 女までもが無表情を崩し、目を丸くしていた。 長塚の表情は、また冷静なものに戻り、何事もなかった様にサイボタンに触れた。だが、右の頬は赤くなっていて、ビンタの強烈さを物語っていた。 サイコロは1と4を上にして止まり、長塚は目の前にある自分の山から切り出した。 ドラ表示牌は赤五萬だった。赤が一枚減ったことは、トップ目の俺にとってありがたいことだ。 『軽い手来いよ』 そう思いながら配牌を取っていった。 俺の願いは通じたようで、配牌は軽かった。 三三四四五EFH5678□ ここは、気合を入れなおした長塚が不気味だ。速めに蹴飛ばしてしまいたい。 4巡目、ここで8ピンをツモり、一歩前進した。『鳴くなよ』心の中で呟きながら白を切った。 白に喰いついて来る者は無く、岡部が牌山に手を伸ばした。まだ序盤だが、凄まじい緊張感があった。 『なんだかんだゆうても、この緊張感ええで。ほんまに心が満たされる感じや』 俺がいんちき関西弁でモノを考えるときは、心身ともに調子のいい証拠だ。ツモ番が廻ってきて、期待しつつ牌山に触れた。
(*´д`*)ハァハァとほしゅ 常居サン、ガンバッテ!
>>55 頑張ります。頑張って書きます。
続き書きます。
期待しつつツモった牌は赤5ソー。流れが俺のほうに傾いてきた感触がある。流がきていることを信じ俺は大胆な手を打つことにした。 「リーチ」 9ピンを曲げて、千点棒を出した。これでこの手は最低でも満貫。 本来ならリーチの必要など無いのかもしれない。だが、俺は自分の信念に従った。「追い風のときは派手に動く」ってヤツだ。 このリーチに、岡部はどう対応するか、迷っている感じだった。 「失礼」 その言葉からワンテンポ遅れて、岡部が切ったのは7ソー、俺に通っていない牌を出してきた。俺のリーチに真正面から向かってくる決意が見受けられた。 今回、俺はツモにも出和りにもこだわっていない。岡部が危険を承知で向かってくるのは好都合だった。 岡部が切った後、女は相変わらず無表情で北をツモ切り。その表情からはこの局降りるのか、勝負なのか全く判断できなかった。 7巡目、岡部が尋常ではない目つきで発声した。 「通ればリーチ」 二萬を曲げ、千点棒を出そうとした岡部を制して、俺は言った。 「リー棒はいらねぇよ」 俺は片手で牌を倒した。岡部の表情が険しいものになった。すると長塚が口を開いた。 「俺も和りだ」 三四BCDFF345678 長塚の手を見て岡部は呆然と口を開けたままだった。
58 :
:04/11/14 23:07:32 ID:COzA8Jld
59 :
( ´∀`)ノ7777さん :04/11/15 00:47:15 ID:l62elcvM
お〜っ、おもしろい! ガンガッテ
60 :
( ´∀`)ノ7777さん :04/11/15 08:52:13 ID:2EMWVkxQ
なgまだ?
61 :
ヨハネ ◆xXdonuains :04/11/15 08:53:17 ID:IHq20HRM
NAG?
十キロほど行っただろうか、車は『有限会社セイフ』と書かれた看板の前で止まった。 「ここだ。降りろ」 短い言葉に従い、助手席から外にでた。 ホオカベが鍵をかけ、事務所に向かって歩く。彼はその後ろに付いて行った。 「社長、私です。ただいま戻りました」 しわの多い手がドアをノックしながら返答を待った。 「入って」 声と同時に中に入る。 ドアを開けると、八畳くらいの会議室のようなところがすぐにある。 そして奥に社長室と書かれた三畳ほどの小部屋があった。 それでも外からは狭そうな印象よりも、広く感じられる。無駄な家具等の内装が無いせいだろうか。 ホオカベは奥の社長室で書類を渡し、すぐに社長と一緒に出てきた。 社員は出払っているのか、ホオカベと社長以外はいない様子である。 「私はここの社長をしているものだ。よろしく」 堅く握手を交わした。大きい手にはホオカベと同じようにしわが刻まれている。 「さて、早速だがビジネスの話に入らせてもらうよ」 社長の声のトーンが変わる。 「まず、これでパチンコ屋の常連と仲良くなって来てくれ」 白い封筒が手渡される。中には諭吉が一枚と地図が入っている。 「は、はい。仲良く……ですか?」 「そうだ。足がいるな。おい、ホオカベ付いていってやれ」 社長の金魚のフンのようなホオカベが頭を下げて小さく 「はい」 と、だけ言った。
長塚が口を開くと同時に、俺はウラドラをめくった。そこに現れたのは東だった。 ウラドラは乗らなかったが、このダブロンで岡部の持ち点は4600点になり、トばし易くなった。 表情には出さなかったが、長塚は生ごみを無理矢理口にねじ込まれ、噛まされたような気分だろう。 ヤツはこの手、安目で和るつもりなど無かったはずだ。俺が牌を倒したため、断腸の思いで倒したことが見受けられた。 「…一本場だな」 長塚がツミ棒を出し、サイボタンに触れた。サイコロが回るのを見つめながら、これからの展開を予想した。 『……こうなった以上、岡部のガードは堅くなるな。女は2着でオッケーって感じか?問題は長塚だ。 連荘狙いで俺との差をつめるのか?それとも一気に捲り狙いか?ヤツは満貫和れば俺と入れ替わる…』 サイコロが2と5を上にして回転をやめた。配牌を取りながら俺は思考をストップさせた。 『あれこれ考えても無駄だな。シンプルに考えよう。ここは俺が和がっちまえばいいんだ。それで問題は解決だ』 シンプルな思考で持ってきた配牌はこうだった。 九@@BCDFFGH28北 ドラ八萬 「染めてください」と牌が囁いているような手だ。これをモノにできれば、2回戦はトップ確定と言い切ってしまえる。 『追い風が来たか?それも台風並みの』 俺は軽い興奮を覚えつつ、長塚が1ピンを切るのを確認し、第一ツモに手を伸ばした。
>>59 できる限り頑張ります。これからも見守ってください。
両方ともいいよー がんがれ
66 :
( ´∀`)ノ7777さん :04/11/16 02:08:56 ID:bQHTy3ZY
最近すごく楽しみになってるよ〜 がんばってくださいね、応援してますよ。
>>65 激励ありがとう。頑張ります。
応援ありがとうございます。
続き書きます。
第一ツモは9ピン。手応えを感じながら2ソーを切った。 『初っ端からいい感じじゃねぇかよ。このままピンズの鉱脈掘り当てちまえば、かなり楽なんだが…』 俺の思いとは裏腹に、ここからピンズが伸びないまま6巡目に突入。俺の手はこうなっていた。 八九@@BCDFFGHH北 この手材料でイーぺーコードラ1じゃ、あまりにも勿体無い。喰い散らかしてでも、と考えた矢先に女が9ピンを切った。 あまり良い鳴きとは言えないが、贅沢は言ってられない。俺は間髪をいれず「ポン」といってドラを叩き切った。 ドラには誰も喰い付かず、スルーされた。『少し強引か?』と考えながらのドラ切りだったが、結果オーライだ。 この鳴きとドラ切りで、ピンズがますます高くなることは予想の範囲内だ。俺はそれで構わないと思った。 ピンズが高くなったことで、相手を縛り、和りに向かうのは俺一人という状況を作りたかった。それならイーペーコードラ1でもいいのでは、という考えは俺には無かった。 これが最終戦ならその手もありだ。だが、今回を入れてまだ4回戦残っている。派手な手を作り、相手にインパクトを与えておくことが重要に思えた。 この手材料で七萬待ちのイーペーコードラ1では、上手いと思われることはあっても、恐怖感は与えない。多少無茶でもピンズで染める手だ。 8巡目、親の長塚が小考して、1ソーを切った。手出しだったのでピンズを引いて廻したものと思われる。 それを受け、俺がツモったのは6ピン。表情はクールに九萬を切った。これでイーシャンテンになった。 イーシャンテンからは非常に楽な展開だった。立て続けに6ピン、2ピンと引き込み、満貫をモノにした。 @@BCDEEFFG A HH(ポン)H これが2回戦の決定打になった。
すげえ引き込まれる!二人ともプロかい? 続き、楽しみにしてますね!
70 :
( ´∀`)ノ7777さん :04/11/17 01:35:36 ID:Y98S40PO
ヤンヤヤンヤ!! これが毎日連載で無料で読めるってか?アリガトウ
71 :
( ´∀`)ノ7777さん :04/11/17 18:25:37 ID:Sa2cKUXQ
ほっしゅ!
>>69 俺はプロじゃないよ。でも期待に応えられるように頑張るんで。
>>70 よっぽどのことが無い限り毎日書くので、これからもよろしく。
続き書きます。
南三局は4巡目に北を喰った長塚が、そのまま北のみをツモって終わらせた。 冷静な長塚らしく、2着をキープを念頭に置いた打ち方だった。 オーラス、4人が4人とも相手を警戒してこう着状態になった。結局全員ノーテン。順位は俺、長塚、女、岡部の順になった。 2回戦をモノにした俺は、上機嫌でサイボタンに触れた。サイコロは3ゾロ、岡部の起家だ。 ここまで3着、ラス、と岡部の成績は振るわない。出親で勢いをつけたいであろうが、今の岡部に勢いづく手が入るとは思えなかった。 「…」 気だるそうな表情で岡部はサイボタンに触れた。その表情は作っているのか、生気が感じられない表情だった。 サイコロは2と6を上にして止まった。岡部が相変わらず生気のない表情で呟いた。 「左っ8と」 岡部が俺の山に手を伸ばし、配牌を取り始めた。俺がドラ表示牌をめくると、6ソーが現れた。 配牌を取りながら、俺は岡部のことが気になった。 『なんだ?このやる気のなさそうな態度は。もしかしてこれが本気の岡部か?いや、考えすぎか…だが気になる』 俺の配牌は微妙なものだった。 二四五八DEH123西發中 この感じでは早和りも難しい。東一局は様子を伺うことにした。岡部の北切りで3回戦が始まった。
第一打を打った岡部が、世話役の組員に声をかけた。 「コーヒーくれ。カフェオレで砂糖たっぷり入れて、うんと熱くしてくれ」 岡部の注文に頷き、部屋を出ようとした組員に俺も声をかけた。 「俺もコーヒー。ナシナシをホットで」 5巡目に入り、岡部が一萬を切ったときに俺のコーヒーが運ばれてきた。 俺は牌山に手を伸ばし、七萬をツモった。この時点で俺の手はこうなっていた。 二三四五八DE1234發中 七 なんとなく手がまとまってきた。ここは長塚が先に切った發切りで手を進めた。 運ばれてきたコーヒーに手をつける。インスタントを予想していたが、レギュラーで香や味もいい意味で予想を裏切られた。 「俺のはまだか?」 面倒な注文をしておきながら、岡部がそう言った。コーヒーを運んだ組員は「もう少し待ってください」と言い残し部屋を出て行った。 「疲れてるから甘いもんが飲みてぇんだよ」 岡部は独り言を呟きながら牌山に手を伸ばした。ツモった牌を手の中に入れた後、岡部はまだ何かをブツブツと呟いていた。 何を言っているのかは分からなかったが、岡部の独り言はうざかった。 『なんだコイツ。気持ち悪いな、相手に不快感を与えるのが目的なのか?』 岡部のウザイ独り言が聞こえる中、場は淡々と進んでいった。
また展開が変わりそう(・∀・)イイ!! さて…MARU-雀でもやってくるか。
>>75 期待を裏切らないように頑張ります。
続き書きます。
岡部の頼んだ代物が運ばれたとき、部屋中に甘ったるい香が漂った。香だけで口の中が甘くなる感覚があった。 「うん、美味い。疲れが吹っ飛ぶな」 岡部は美味そうに砂糖たっぷりのコーヒーをすすり、独り言もいよいよ絶好調だった。 「……リーチかけるぜ」 独り言の最後に、はっきり聞き取れる声で岡部が8ピン切り、それを曲げた表情はかなり気持ち悪かった。 「一発、一発、一発で持って来い」 妙な節をつけて、歌うように岡部が呟く。俺はあまり気にしないように心がけたが、長塚がイラついていた。 「おっさん、少し静かにしてくれ。歌はやめろ、うるせぇよ」 外見に似合わず神経質な長塚は、岡部の歌が気になるようで、そう言った。 「ハイハイ、分かったよ。全く、身体に似合わず神経質なんだな。そんな性格だと将来禿げるぜ」 俺とタメだが、生え際がスティングのようになりかけている長塚に、その言葉はNGワードだ。俺はツモった8ピンを切りながら笑いを堪えるのに精一杯だった。 「ツモれ」 俺が切ったのを受けて、岡部が牌山に手を伸ばした。岡部は牌の表を指でなぞり、ツモ切りした。 岡部が切ったのは生牌の中だった。中が通り、俺は少し安心した。かなり切り辛いところが通り、岡部を追撃するチャンスが生まれた。 岡部が切ったのを受けて、女が通っていない1ソーを切った。勝負に来ている感じだ。彼女も勝負に来ていることで、3回戦は東一局から混戦模様だった。
78 :
( ´∀`)ノ7777さん :04/11/20 12:40:23 ID:SaqhIYWU
保守
(´-`).。oO(ひっそり投下)
二人は再び黒塗りのセルシオに乗った。 ホオカベがキーを入れると、ラジオの音が出た。 「……二キロ渋滞です。以上、渋滞情報でした。ピッ、ピッ、ピッ、ポーン」 続いて時報が鳴った。デジタルは7:02を表していた。 「打ち合わせを兼ねて先に飯にするか? ちょうどそこのファミレスにしよう」 相も変わらず返答を待たずに結論を出す奴である。それも無視してラジオは勝手に話す。 「パチンコ店の客を誘拐、殺害したニュースの続報です。 警察は引き続き検問などで警戒に当たっていますが、犯人は未だ市内にいる可能性が高いということです。 犯人の特徴は、三十代から四十代後半、痩せ型の身長百七十センチくらいで黒いコート……」 「おい、降りるぞ」 ホオカベのその声に駐車場の中であることに気付いた。 促されるままに店内に入った。
「いらっしゃいませー。お二人様でよろしかったでしょうか?」 「ああ、喫煙席空いてるか? そこでいいや。行くぞ、タカ」 ウエイトレスはあっけにとられて厨房に戻った。 「さてと、まずは食うぞ。打ち合わせは後だ」 「はぁ。いいんですか? こんなところで道草食ってて」 ホオカベがメニューを選びながら答える。 「道草じゃねえ。大事な打ち合わせだ。金の心配ならおごってやるから安心しろ」 彼はメニューを高文に回した。 「じゃあまぐろ丼とステーキ大でお願いします」 「遠慮しなくていいんだぞ? おい! 注文だ!」 ホオカベが急に大声を張り上げると、ウエイトレスは怯えながらやってきた。 「たらこのスパゲティとポークカレーとロースカツサンド、それから和風きのこハンバーグ、 若鶏のから揚げとデザートにモンブラン、まぐろ丼二つとステーキ大二つ。以上で」 「ご注文を繰り返します……」 一体何人前食うんだ? という目をしているウエイトレスは、入り口で応対した人だった。 彼女はそそくさとメモを読んでまた厨房に戻る。
両者GJ
83 :
( ´∀`)ノ7777さん :04/11/21 23:44:23 ID:Uq9DQ4rh
84 :
( ´∀`)ノ7777さん :04/11/22 05:58:17 ID:w/9KZdcp
age
ほしゅ
土日書き込めなかったんで、2日分載せますね。
「ここはトップ取らねぇといけねぇな。ゴツイ兄ちゃん、アンタも同じだぜ。勝負に来いよ」 かなり安い挑発だが、岡部の喋りにイラついている長塚が、それに乗る可能性はあった。 『長塚も勝負に出ると、運否天賦の勝負になるな』 そんなことを考えながら、長塚の切った中を見つめ、俺は牌山に手を伸ばした。ツモッた三萬を手の中に入れ、中を切りこんな考えが浮かんだ。 『絶不調から抜け出せば、一気に流れを持ってくることはよくあることだ。岡部の狙いはそれか?』 岡部の狙いをそう推測し、ヤツが牌山に手を伸ばすのを見つめた。 「ツモ、ヘヘヘウラは何だろう」 岡部がツモった六萬を静かに置いて、手を開けた。 二三四四五FGH123西西 六 岡部はゆっくりとウラドラをめくった。そこに現れたのは2ピンだった。 「残念。1300オール…とりあえず連荘だな」 ツミ棒を出しながら、岡部ははっきりと全員に聞こえる声で言った。 「お前ら、麻雀にツキとか流れとかあると思うか?俺は思わねぇ。そんなものがあったら俺たちの商売は成り立たねぇ」 岡部の演説は長くなりそうだった。ヤツは喋りながらツミ棒を出し、サイボタンを押した。
「いいか、ラスト一枚の高目ツモって倍満を和ったり、リーチ後に追っかけ食らって、相手の高目を一発で持ってくることがある。それがツキとか流れだと思うだろう。でもなそれはそういうモノじゃないんだ」 サイコロが5と6を上にして止まった。ドラは五萬、配牌を取りながら岡部の演説は続いた。 「麻雀で起こる事態は全て原因があるんだ。それはサイコロの目だったり、誰かの鳴きだったり色々ある。俺はそれらは必然的に起こる事柄だと思うんだつまり…」 「おっさん。演説中に悪いけどそういう話はよそでやれよ」 かなりイラついた様子で長塚が口を開いた。岡部はそれを受けてこう言った。 「もうすぐ終わるからあと少し我慢してくれ。つまり、麻雀は偶然じゃなくて必然が支配しているんだ。ゴツイ兄ちゃん、終わったぜ。悪かったな」 言い終わると同時に、岡部は九萬を切り、右手を戻してコーヒーカップを持ち、甘ったるそうなコーヒーを飲んだ。 「甘くて熱くて美味い。サイコーだな」 誰も聞いていないのに、岡部は感想を述べる。相変わらずウザかった。 岡部の独り言をBGMに6巡目に入った。俺の手はこうなっていた。 四五六七八AE345(赤)68南 ここは岡部を止めておかないと、ヤツに流れが行ってしまう。俺は岡部とは違い、ツキや流れを否定しない。それが全てだとは思わないが、ツキや流れを否定してしまうと麻雀は成り立たないと思う。 俺は岡部をチラッと見た。ヤツはまだ何事かをブツブツ言っていた。
岡部いい味出してるな。
ツモ番が廻り、ここで俺がツモったのは7ピン。ズッポリという感じで入ってきた。 いい感じで入ったカンチャンに手ごたえを感じながら南を切り、周りを見渡した。 岡部は相変わらずぶつくさ言っていて、女も無表情なままだった。さっきまでイラついていた長塚も冷静さを取り戻した様子だ。 『長塚も落ち着いてきたか。もう少しアツくなってくれてる方がやりやすかたんだけど』 岡部がツモった牌を見てブツブツの声が、聞こえるような大きさになった。 「ウン、ここをツモったか。ここはこうだな、…カン」 岡部は東を4枚曝し、リンシャンに手を伸ばした。長塚がカンドラをめくり現れたのは2ソー、岡部のカンによって俺の手の中にドラが1枚増えた。 俺のドラは増えたが、俺から見える3ソーは手の中の一枚だけ。どこに固まっているか分かったもんじゃない、油断は禁物だ。 岡部がリンシャンをツモり、一萬を切った後。女がツモった牌を手の中に入れ、彼女が動いた。 「リーチ」 彼女は3ピン切りでそれを曲げた。 カンが入り、裏ドラが乗りやすくなった以上、リーチは常套手段だ。ツモり易い多面待ちが予想された。 『はったら追っかけだな。2ピンか6ピン引っ張ってきて3面待ちが理想だが、単騎でも追っかけてやる』 長塚が様子を見るように、西切り。西は通り、俺にツモ番が廻って来た。俺は力を込め、牌山に手を伸ばした。
くあぁぁっ 早く続き読みてぇ! こんな感覚は少年ジャンプ読んでた ガキの頃以来だ!
92 :
( ´∀`)ノ7777さん :04/11/22 20:44:45 ID:3fntvtnV
ジャンプ放送局じゃねーだろーな
力を込めてツモった牌は9ピン。女には通っていないが、気合で叩き切った。ここで引くと女を楽にするだけだ。 「骨折の兄ちゃんは勝負か?見かけによらずいい度胸してるな」 岡部がそう言いながら牌山に手を伸ばし、ツモった牌を手の中に収め、言葉を続けた。 「…姐ちゃん、勝負だよ。リーチ」 岡部の捨て牌は5ピン、かなりきついところだが、通った。この局は降りないと決めた以上、岡部のリーチは俺にとって有利だと思われた。 岡部の追っかけから、3巡が経過。ここでようやくといった感じで2ピンを持ってきた。俺に迷いは無く、ソッコーで6ピンを曲げた。 「リーチ」 俺の声に、女は相変わらず無反応で、岡部は言葉で反応した。 「骨折の兄ちゃんもリーチか…お前の信じる流れってヤツか?」 岡部は牌山に手を伸ばし、ツモった1ソーを切った。女の目が妖しく光った。 「ロン」 三三CD(赤)E23456789 女が華麗に牌を倒した、ここまでで跳萬。彼女がウラドラに手を伸ばす。『二萬出るな!』俺は心の中で叫んだ。 流れるような手つきでひっくり返されたのは一萬だった。岡部が頭を掻きつつ12300点を支払い、こう言った。 「参ったね。こういうシナリオだったか。だが、まだ終わったわけじゃねぇ。勝負はこれからだ」 ここで女に大物手をモノにされたのは、岡部は勿論、俺にとってもダメージがあった。彼女を追いかける手段を考えながら、回るサイコロを見つめた。
94 :
( ´∀`)ノ7777さん :04/11/24 11:00:34 ID:Z1ATe8j7
ほしゅー
「負けられねぇ。こんな所で負けるわけにはいかねぇ」 跳萬直撃で少しは静かになるかと思ったが、岡部のラップは止まらなかった。 東二局は岡部がクイタン赤2をツモって終了。かなりあっさりと手をまとめた印象だ。 『もう少しガメれば満貫以上も狙えるのに…焦ったか?』 「骨折の兄ちゃん。勿体無いなって顔してるぜ。でもな、これで良いんだ。この手はこれで和るのが必然なんだ」 岡部の和りで女の親は流れ、親番は長塚に廻った。ここまで不調の長塚としては、この親番で巻き返しを図りたいところであろうが、 岡部の状況をわきまえない打ち方が、長塚の連荘を阻止する恐れが大いにあった。 サイコロが2ゾロで止まり、女の山から牌を切り出した。ドラは9ピン、使い勝手のいいドラとは言えないが、コイツが俺の配牌に2枚混じっていた。 五六九@BCHH479西□ 9ピンがドラでなければ、救いの無い配牌と言える。ドラを活かすことにかなり苦労しそうだが、ここは喰い付いていかなければならない。 長塚の一萬切りで東三局は始まった。ここは長塚にも岡部にもそして、勿論女にも和らせない。俺がモノにする。 心の中で自分にそう言い聞かせた時、背筋が寒くなった。 『待てよ、落ち着け。ここはゆとりが大事だ。一番大切なことを忘れていた』 冷静になった俺は『心にゆとり。心にゆとり』と頭の中でエンドレスで唱えた。
冷静になってよく考えれば、誰にでも分かることだが、まだ東場で慌てる必要などどこにも無い。 東一局で、女が強烈な手を決めたことが俺を慌てさせ、心からゆとりを奪っていた。 『だいぶ落ち着いてきた。ここまでいい感じで打っている女を警戒するのは当然だ。だが、不調の岡部と長塚にまでビビッてどうする』 俺の第一ツモは七萬。なかなかの感触だ。間を置かずに1ピンを切った俺はゆとりを取り戻していた。 7巡目に入り、俺の手はこんな感じだった。 五六七八九BCHH4579 ちょっと苦しいが、三色を狙えないことも無い。他の三人に動きは無く、ツモ切りも多いことから苦労している様子が伺えた。 『この雰囲気なら、じっくり育てるのもアリか?だが、ツモ切りが多いのは、ある程度手が固まっているからかも知れない… まだ東場の親は残っているんだ。手なりで進めるか。自然体のほうが流れを持って来やすいな』 俺は自問自答しながら、牌山に手を伸ばした。2ピンをツモり、流れに身を任せるように9ソーを切った。 「骨折の兄ちゃんが一番進んでるみたいだな。姐ちゃんとゴツイ兄ちゃん、ツモ切り多いけど手が進まないのか?」 岡部が、応えの帰ってくるはずの無い言葉を発した。当然女と長塚はそれを無視して闘牌を続ける。 「応えるわけねぇよな。こんなこと訊いた俺が馬鹿だったな」 岡部は一人で納得したように、また独り言を呟き始めた。岡部の独り言は、最早気にならなかった。最も過敏に反応していた長塚も、気にならなくなったようだ。 『岡部のおっさん、いくらでも呟いてくれよ。反応するヤツはもういないぜ』 長塚が久しぶりの手出しで九萬を切った。鳴きが入らないことを確認し、俺は牌山に手を伸ばした。
97 :
( ´∀`)ノ7777さん :04/11/25 20:58:09 ID:ud+BK0oU
保守age
補修
面白い
八萬をツモり、とりあえず7ソーを切った。ムダヅモではないが、まだ流れを掴みきれていない感があった。 俺の7ソー切りからさらに3巡が過ぎた。俺がツモ番で持ってきたのはドラの9ピン。間髪をいれずに九萬を曲げた。 「リーチ」 今回のリーチは、相手を降ろすためのリーチだ。向かってくるとすれば岡部くらいだと高をくくっていた。 岡部が7ソーを切った後、女が真正面からぶつかってくるように、手の中から赤5ソーを切った。 「ふーん、強いな」 岡部が感心したように呟く。女はそれを無視し、無表情のままだった。 「…チー」 赤5ソーに長塚が喰い付いた。ヤツとしては、ここで引き離されるとかなり苦しくなる。と考えての仕掛けだろう。 長塚が67ソーを倒し、赤5ソーを拾った。俺にツモ番が廻り気合を込めてツモった。 だが、気合も虚しく、1ピンツモで空振り。岡部が降り気味に2ソーを切った。 女が美しい手つきで牌山からツモる。その動きはよどみなく、手の中から三萬を切り、それを曲げた。 「リーチ」 女の追っかけによって場には緊張感が奔った。俺は緊張感と同時に、スリルを味わっていた。
ほす
『リーチか…厳しいな。勢いは向こうのほうが上だ、競り負けると面倒なことになるな』 当面の敵は女だが、長塚の動きも気になるところだ。女の宣言牌を喰った以上、ヤツも降りていないと考えるべきだ。 長塚がツモった牌を手中に収め、1ソー切り。女も俺も動かない。 『めくりあいだな。全く泥臭い勝負になっちまった。まぁ泥臭いのは嫌いじゃないけど』 3人のめくりあいは、勝者を確定するのを拒むかのように、誰もツモれず振込み牌も持ってこないまま14巡目まで経過した。 「まじいな。現物がねぇよ…まさかこんな待ちはないと思うけど…当たるなよ」 岡部が切ったのは3枚目の西。確かにこの牌で当たられる可能性は低いと思われる。だが、俺は今まで岡部がこの牌を切らなかったことに違和感を感じた。 「通ったか。へへへ」 岡部が下品な表情で笑った。その顔に俺の違和感は強くなる一方だった。 岡部が切ったのを受け、女が牌山に手を伸ばし、二萬を切った。岡部が顔をほころばせながら叫んだ。 「ロン!」 倒された牌に女が一瞬表情を変えた。 一三七八九FGH11789 「さっき振り込んだ分、返してもらうぜ」 降りていると思われた岡部に手が入っていた。ヤツは巧妙にカモフラージュしながらこのチャンスをうかがっていたのだ。 『やるじゃねぇか』 俺は岡部の巧妙な手口に感心しながら心の中で呟いた。
103 :
( ´∀`)ノ7777さん :04/11/28 09:12:50 ID:ybYZJYtz
保守age
跳満を和り、岡部の口はいよいよ絶好調だった。 その言葉を聞き流しながらも、今回に限っては岡部の言う「必然」を感じることができた。 『この局に関して言えば女のミスだ。彼女はかける必要のないリーチをかけて自爆した。 恐らくここで和りをモノにして一気に突き放す腹だったんだろうが、実力に差がないこの面子でその打ち方は舐めすぎたな』 俺はタバコを咥えサイボタンに触れた。それと同時に余計なことを考えるのをやめ、勝負に集中するべく大きく息を吸い込んだ。 東ラス、今ラスの俺がするべきことは決まっていた。スピード最優先、俺の頭の中にはそれしかなかった。 岡部は否定するだろうが、この勝負の流れは妙だ。誰かに有利な流れになることを、場自体が拒否しているような雰囲気だ。 東ラスは結局俺の一人聴牌で終わった。ラスからは抜けたが、この妙な流れに対応できないでいることを感じた。 「お前ら。変な流れだ。とか考えてるんだろう。でもな、何度でも言ってやる。麻雀に流れなんか無い」 また演説を始めた岡部の目つきは、尋常なものではなかった。俺たちは無視し続けたが岡部は気にした様子も無かった。 「流れとか言うのを信じてれば楽だよな。負けてもそいつの所為にできるからな」 岡部の言葉には一理あった。確かに流れとかツキの所為にすれば、負けても自分のプライドを傷つけず納得することができる。 『アンタの言うことには確かに一理ある。だが、俺たちはもっと高いレベルで勝負しているんじゃないのか?』 心の中で岡部に返事をしながら、ツミ棒を出し、サイボタンに手を触れた。
サイコロが回転を止め、綺麗に1が並んだ。 『速い手持って来い』 気合を漲らせ配牌を取るが、望み通りの手は入らなかった。 一八九BD(赤)H145東西北北發 ドラ三萬 『参ったね…八種じゃ流せねぇし、国士狙うには無理がありすぎる』 この忌々しい配牌を睨みつつ、俺は諦めにも似た感覚で一萬を切った。 『国士のふりしてヤオチュー牌絞っても良いんだが…同じ手が通用するとは思えねぇ。ここは大人しくしておくか』 この手がモノになるとは到底思えない。ブラフをかましてもいいのだが、失敗すると致命傷を負う可能性が大だ。 ここは他の3人に手が入っていないことを祈りつつ、凌ぐことだけを念頭に置いた。 胃が痛くなるような感覚を感じながら、8巡目に突入。俺の手はこうなっていた。 五八九ABD459東北北發 俺の基本戦略は、相手の手を進めるような牌を切らないこと、それだけを考え、細心の注意を払っていた。 『辛いな、辛いけど頑張れ俺』 自分を励ましつつ、砂を噛むような思いで俺は凌ぎ続けた。
耐えろ
107 :
( ´∀`)ノ7777さん :04/11/30 09:20:45 ID:POhlY8Xs
なgまだ?
明日は早い時間におきないとならないので、休みます。 ごめんなさい。
>>108 ちょっと残念だけど、待ってるヨー!
明日早起き頑張ってね
休息
待ちゆうきね。
>>109 おかげさまで起きられました。
続き書きます。
光明を見出せない手だが、凌いでいるうちに奇妙な感覚に襲われた。 『こうやって凌いでる俺って結構かっこいいかも』 自分に酔いながら、アホなことを感じているなと思った。だが、これはこれで余裕を持てている証拠だ。ここは少しでもポジティブな考えを持つことが重要だ。 『ラスタマンバイブレーション。いぇーあ、ポジティブ…』 頭の中からボブ・マーリーが聞こえ始めた。『大丈夫か?俺』と少し心配したが、こういった勝負は少しおかしくなったほうが有利だと、無理矢理自分を納得させ、闘牌を続けた。 10巡目に入った頃から、他の3人が俺の動向を気にし始めた。奴らが注目するのは俺の捨て牌だった。 一西中一H西□九南9 10巡目間での俺の捨て牌がこうだった。狙っていたわけではなく、自然とこうなったが、こうなれば狙う手だ。 『辛かったけど光が見えてきたか?』 確かに光は見えてきた。だが、振切りは意識し始めたときから難しくなる。相手も、無理鳴きを仕掛けるなどして妨害を試みる。 『それでも、事態は好転しているんだ。ポジティブにいくぜ』 勝負を決意した俺の耳に、岡部の喋りが聞こえてきた。 「あっとっと。まじいな、ヤバイな。骨折の兄ちゃん狙ってんのか?」 岡部のラップと、俺のレゲエが頭の中で衝突し、俺の狂気が加速するのを感じた。
『字牌は確認しながら切れば良いが、問題は下家のおっさん…』 俺は岡部のほうを見ながら、ヤツのムリ鳴きに警戒した。岡部は俺の視線に気づくと俺のほうに顔を向けこう言った。 「骨折の兄ちゃん、狙いは良いけど。先に和られたり、ムリ鳴きされると苦労も水の泡だぜ」 岡部の言っていることなど百も承知だ。俺は苦笑いしながら、ヤツの言葉に応えた。 「言われなくても分かってるよ」 ここで会話は止まり、岡部はまた独り言を始めた。 「この辺で鳴ける牌切ってくれねぇかな。おい、姐ちゃん、ゴツイ兄ちゃん。あんたらも多少無茶でも鳴ける牌は鳴いてくれよ」 13巡目に東を切ると、岡部がそう言った。6牌切りで3列目に入り、俺はまだヤオチュー牌を切り続けていた。 『成立するかどうかは微妙なところだな』 手牌を眺めつつ俺はタバコを咥え、火をともした。俺の手はこうなっていた。 三五六八ABDG459北北 残る手持ちは3枚、後はツモ次第だ。セブンスターの煙をくゆらせ、俺は渋い表情になっているのが自分でも分かった。 『ここまで苦労したんだ。これでしくじったらかなりヘコむぜ。モノにしてぇ』 渋い表情とは裏腹に、心の中の俺は、駄々をこねるガキのような表情をしていた。
1〜6のあらすじ 10歳のリオ、でぃーらーになると決意。父親に大人になるまではダメだ、と 止められる。18歳になり、親友クリスとともに下校していたが、突然クリス から「あたし、遠くへ行かなければいけない。しかも敵になって再開するか もしれない・・・」と別れの挨拶が。 7. 「なんでクリスがそんなこと言うのかわたしには分からないけど、わたしはずっとクリス の友達よ。二度と会えないからって、敵になったってわたしはクリスの友達よ」 リオはそういうのがやっとだった。クリスは立っているのが精一杯の様子で、足を震わせ ている。今にも崩れ落ちそうな太陽の少女。 「ありがと、リオ。リオの言葉、一生忘れないよ。それじゃ、もう時間だから・・・」 言うが早いか、気が付けば物静かに2人の前にリムジンが止まり・・・扉が開き、クリス はそれに吸い込まれて・・・そのまま走り去っていった。走り去る直前、こちらを見て何 か言っていたようだが、スモークに邪魔されリオには何も見えてはいなかった。しかし、 間違いない。クリスはきっと微笑んでいるに違いない。どんなときでも元気に笑っていた クリスはこんなときでも笑っているに違いない。よく分からないけど、笑わなきゃ。わた しも笑わなきゃ。リオは引きつったような笑顔(それでも精一杯の笑顔)を見えないクリス に向かって見せていた。
さらに2巡が経過した時、俺の手からは北のトイツが失われていた。持ってきた牌は四萬と中だった。 中は2枚切れていたので、鳴かれることはない。単騎待ちの可能性は残っているが、そんなことを気にしたらきりがない。 必死で考え方を前向きにしながら、着実に短くなっていく山を見つめ、俺は『クールに行こうぜ。ゆとりだ』と自分に言い聞かせた。 ここからの展開は、いささか拍子抜けする感があった。ラストツモまでの間、いい感じでヤオチュー牌をツモり、それを鳴かれたり、振り込むことなく順調に進んだ。 待ちわびた瞬間は、かなりあっさりとやって来た。俺のラストツモはドラの三萬。それを手の中に収め、中を切った。 「通るかい?通るんなら4100オール」 どこからも声はかからず、点棒が俺の前に置かれた。 「骨折の兄ちゃん、クソ手だったんだろ?手がだめなら、捨て牌か。兄ちゃんアンタ面白い打ち手だな」 岡部の言葉に、俺はウインクしながら親指を立てた。明るく応えることが礼儀だと思われたからだ。 「岡部さん、アンタも面白い打ち手だよ。こんな場所じゃなくて、雀荘で会えたらいい雀友になれたのにな」 俺の言葉に、岡部は顔をほころばせた。だが、それはすぐに気合の入った表情に変わった。 「俺も同じことを考えてたよ。でもよ、これは潰し合いなんだ。ここで出会った以上、俺たちはコロシ合わなくちゃならねぇ」 「因果な商売だね。ま、俺らはこの世界じゃないと生きていけないからな」 「そういうことだ」 一瞬だが、岡部との間に友情のようなものを感じた。だが、俺はそれを捨て去り、飢えた野獣のような心境でツミ棒を置きサイを回した。
118 :
( ´∀`)ノ7777さん :04/12/04 10:53:35 ID:pFkhbwtG
ん〜ん 保守age
トップに立って、一気に突き放してしまいたかったが、それを許すような面子ではなかった。 2本場、ドラは7ソー。俺の配牌は安いがスピードのある手だ。連荘を目指し、手なりで進めた。 俺の連荘を食い止めるべく、女が6巡目にリーチ。今回のリーチは、岡部に競り負けたときと違い、相手を舐めた雰囲気は感じられなかった。 女が曲げた3ピンに、躊躇なく永塚が喰らい付いた。 「チー」 長塚が2ピンと4ピンを倒し、ゴツイ手で3ピンを拾った。 「一発消しか?ホント身体に似合わねぇ麻雀打つな」 岡部の言葉に、長塚はすでに反応しなくなっていた。何事もなかったかのように9ピンを降ろした。 俺が西、岡部が3ピンを切って、女にツモ番が回った。妖しい色気を醸し出しながら、彼女が牌山に触れた。 「ツモ」 ツモった東、手牌の順に彼女の手が開いた。 一一一D(赤)EF222東發發發 東 俺の手が軽い、と踏んでのリーチといった感じだった。ここからスーアンコへの移行は、勝負が遅いとの判断であろう。 出た目が8だったので、自分の山から切り出した長塚が、ウラドラをめくろうと手を伸ばした。 「待って。私がめくるわ」 必要な発声以外の言葉を初めて女が口にした。長塚はゆっくりと手を元の位置に戻した。女が指一本でウラドラを表にした。 そこに現れた1ソーが人間を舐めきったカラスの様に見えた。
誰かに流れが行こうとすると、それをせき止めるように別の人間につぶされる。 3回戦のこの奇妙な展開を経験してしまうと、岡部の言うことにも少しは頷ける気がした。 「面白い感じになってきたな。一人取り残されてるけどな」 岡部が半笑いで長塚を見つめ言った。それを長塚は無視したが、岡部は一向に気にせずサイボタンに手を触れ、長塚を挑発し続けた。 「さっきからせこい打ち方してるけど、アンタも勝負に来いよ」 サイコロは4と6を上にして止まった。岡部が女の山から切り出し、ドラが表示された。 表示牌は三萬。配牌を取りながら、長塚が岡部にメンチを切り口を開いた。 「おっさん、アンタは流れを否定したけど、俺は流れを信じる。今俺の流れは悪い。流れが悪いとき俺は自重する。それをせこいと言うなら勝手に言ってろ」 長塚の言葉に一瞬の静寂が訪れた。次の瞬間、岡部が静寂を破った。 「ゴツイ兄ちゃん。俺の言葉に反応したのは久しぶりだな。寂しかったぜ」 岡部がいやらしい笑顔を長塚に向けた。長塚は眼を逸らし、再び岡部の言葉を無視した。だが、今までと違い、長塚の表情はどこか吹っ切れたモノを感じさせた。
8. あっけない別れ。最愛の友人、親友との別れとはこんなにもあっけないものなのだろうか。 それとも、夢かジョークか。車で1周して戻ってくるのではないか。そしてまたいつもの ような太陽の笑みを浮かべて「なーにやってんのよ、こんなとこで。あたしのジョーク、 どうだった?迫真の演技だったでしょ?ほらほら、なに湿った顔してるのよ。いくよ!」 とリオの手を引っ張って歩き始めるのではないか。 そんなことを期待しながらリオは雨にぬれながら帰宅の途についていた。 もう、何も考えられない・・・何故、どうして・・・ そんなことをずっと考えながらうちに帰ってきたけど、まださっきのことが信じられな い。クリスが行ってしまうなんて・・・高校を卒業してもずっと一緒に遊んだりしよう ね、って約束してたのに・・・さっぱり分からない・・・とりあえずうちに帰って頭の中 を整理しないと・・・あら?いつもついてるお父さんのアトリエの電気が消えてる。どう したんだろう。いつもわたしが帰ってくる頃には電気をつけて仕事をしてるのに。あ、ま だ説明してなかったっけ。わたしのお父さん、一応絵描きさんなんです。そこそこ売れて るみたい。お母さんはこないだ話したよね。だから省略、っと。 「ただいま〜」
9. 静かに自分の声が響いている玄関。あれ、ホントにお父さんいないのかしら。とりあえず シャワー浴びないと。もう雨でびしょびしょに濡れちゃって。風邪引いちゃいそう。シャ ワーから出る頃にはお父さん、帰ってきてるかもしれないしね。 シャワーから戻ってきても、お父さんは帰ってこなかった。もう結構な時間なのに。この 時間にお父さんがいなかったことって・・・わたしの記憶の中ではありえない。20時、21 時・・・時が過ぎてもお父さんは戻ってくる気配すらない。「どうしたのかしら・・・」 さすがに心配になってきた・・・さっきクリスとあんなことがあったばかりで、頭の整理 が出来てないからなにかあったんじゃないかと不安になってきちゃう。 その時、アトリエの電気がついた。あら、お父さんいるのかしら。アトリエでお昼寝でも しちゃってたのかな?それにしては人の気配もなかったし・・・さっきの不安がどんどん 大きくなっていくのを感じたけど、行ってみるしかない。 「・・・!」 こうこうと照らすアトリエ(といってもそれほど大きい部屋じゃないんだけど)に見えたの は、床に横たわるお父さん・・・の死体。誰がどう見ても死体。胴と首が離れてるもの。 ・・・死体?
重い手がぶつかり合った東場とは違い、南場は淡々と流れた。 南一局は女がタンヤオチートイを俺から直撃して岡部の親を流した。 続く南二局、岡部が1000、2000をツモりかなりあっさりと流れた。 『この流れ、やっぱり妙だ。確かに3人のマッチレースだから安くても和ることは重要だ。でももう少し手作りをして重い手を狙っても良いんじゃないのか』 考えがまとまらないまま、南三局に突入。3位の俺とトップの女との点差は5100、親番も残っているので簡単に捲れる点差だ。 考えをまとめるため、タバコをポケットから取り出し、ソフトパックをまさぐると、タバコは切れていた。 「セブンスター持ってきて。あとコーヒー、ホットをブラックで」 世話役の組員に声をかけ、配牌を取り始めた。俺の手は良くもないが悪くもなかった。 三四七八@AD367西西發 ドラ8ピン 『ここは俺もこの妙な流れに乗るか?』 そう考えたとき、タバコが俺の元へ届けられた。右手と口を使って封を切り、一本を咥え、火を点けた。 味わいなれた煙を吸い込み、徐々にだが、考えがまとまるような気がした。
124 :
( ´∀`)ノ7777さん :04/12/07 20:56:38 ID:bQLIw1pw
ほしゅage みんなおもしろいです!
>>124 ありがとうございます。
続き書きます。
咥えタバコで2巡目を迎え、ツモった牌は赤5ピン。切り易い西に手をかけた。 『さ・て・と。あんまりのんびりとはしていられないな。流れが妙だからソッコーで決めたいが…』 俺の切った西に岡部が反応した。 「西か。西なのか?喰いたいけど喰えないんだよな。畜生」 岡部は相変わらず絶好調で、気持ちよさそうに口を動かしていた。 俺のツモはなかなか好調で、6巡目でここまで育った。 三四五七八@ABDD(赤)67發 イーシャンテンまで持ってきたが、はってからの捌きが難しい。訳の分からない流れなだけに、リーチはかなり考えさせられる。 『はったら勝負。といきたいが、流れが妙なだけにかなりリスクが高い。だが、点差が詰まっていることを考えると、3900以上確定は捨てがたい。どうする』 奇妙な流れに溺れそうになりつつ、俺はそれに抗うか、身を任せるか迷いがあった。ここでコーヒーが運ばれ、俺はコーヒーの苦味で覚醒することを期待しつつそれを一口すすった。 『これを飲んだらいいアイデアが浮かぶかと思ったが。そう上手くはいかないな』 コーヒーカップを下に置き、俺は牌山に手を伸ばした。
やだ・・・目の前に自分のお父さんの死体があるのに、なんでこんなに平然としていられ るのかしら。一面血の海なのに、なんで動揺していないんだろう。あんなに大好きなお父 さんが死んだのに!さっきのクリスの話のほうがよっぽど動揺したっていうのもおかしな 話ね・・・ 実は、薄々いつかこうなるんじゃないかって思ってたし、お父さんも同じようなことを 言っていたし。お母さんがいなくなってから、お父さんはものすごく回りを気にするよう になっていたし、ことあるごとに「お父さんが万が一死んだら、リオは一人になってしま うけど、頑張って生きていくんだぞ」なんて口癖のように言っていたし。半分冗談のつも りだったんだろうけど・・・現実になるなんて・・・冷静に目の前のお父さんを見つつ、 わたしは周りを見回してみた。なぜ、お父さんが殺されたのか。わからないけど、どこか に手がかりがあるはず。お父さんの死は、間違いなくにつながっている。 お母さん・・・
やっぱり架空世界は書きにくいや・・・まあ・・・その・・・駄文でスマソorz
129 :
( ´∀`)ノ7777さん :04/12/08 10:06:58 ID:16anQJWH
遅れてすいません、ひっそり投下
「あー。腹減ったな。このファミレス持ってくるの遅いからな」 まだ五分も経っていないのに……。高文は彼の食欲を恐れた。 ふいにカランカランという音と同時に、先のホオカベと同じくらいの声が聞こえた。 「全員床に伏せろ! 手は頭の上だ!」 男は入り口で二発ほど威嚇射撃をした。飯時で満員の客が悲鳴をあげる。 「そこの女、レジを開けて金を出せ」 黒いコートの男は銃口でレジを指した。さっきのウエイトレスが震えながらレジに近づいた。 高文は他の客同様に伏せていたが、深々と座っている客に気が付いた。 「何してるんですか? 伏せないと危ないですよ」 ホオカベに忠告するも聞こえていないように、彼は椅子にどっかりと座っている。 黒コートはそれに気付いて銃口をこっちに向ける。 「おっさん、伏せろっつってんだろ。言うこと聞かないと撃つよ?」 「威勢だけは一人前だな」 太ったおっさんはそう言い終わらないうちに内ポケットからナイフを出し、銃を持つ右手に直撃させた。間髪入れず肘をみぞおちに入れる。ひるんだ隙にスリーパーホールド。鮮やかに決まって男はぐったりした。 客から拍手喝采の嵐だったが、ホオカベはウエイトレスにこう言った。 「俺のたらこのスパゲティまだか?」 高文はイスに座りながら、再度彼の食欲を恐れた。
捌きかたを迷っているところに、持ってきたのは4ピン。發と1ピンどちらに手をかけるか迷ったが、1ピン切りに落ち着いた。 『鳴かれる恐れがあるからな。鳴かせていいのははった後だ』 俺が切った後、岡部が牌山に触れ、三萬を切った。岡部は手を戻し、そのままの動きでポケットからショートピースを取りだした。 「全く、タバコやめてたのに。お守り代わりに一箱だけ持ってたけど、こんなきつい勝負じゃ吸わないとやってらんねぇ」 岡部が火を点け、煙を吐き出した。その煙は妙な匂いがした。 「ぐへぇ。5年も経ってるからへんな味がする。兄ちゃん。銘柄は何でもいいから俺にもタバコ持ってきてくれ」 一人で大騒ぎしながら岡部が組員に注文した。その間にも闘牌は続いた。 2巡が過ぎ、俺が8ソーをツモり、テンパり、ダマで進めることにした。同時に岡部の手元にショートホープが運ばれた。 「畜生、禁煙失敗だ」 ツモった後、8ソーを切りながら岡部が呟き、タバコに火を点けた。この8ソー切りに俺は心の中で舌打ちをした。 『六,九萬先に持ってきていればここで討ち取れたのに。岡部のおっさんツイてるな』 「あぁ美味い。なんでこんな美味いものを5年もやめてたんだ?」 岡部の呟きは、心のゆとりを感じさせるものだった。それを感じたとき、俺は自分がゆとりを失っていることに気づいた。 『いかん落ち着け、ゆとりを取り戻せ』 俺は自分にそう言い聞かせて、いつものようにエンドレスであの言葉を心の中で唱えた。 『心にゆとり、心にゆとり…』 唱えるうちに、少しずつだがゆとりを取り戻す感覚があった。
133 :
( ´∀`)ノ7777さん :04/12/09 15:50:36 ID:WlHDF6RP
食欲を取り戻す感覚があったあげ
ゆとりを取り戻しつつある俺は、改めて手牌をしみじみ見つめた。 『どうってことない手だが、これをモノにできたら一気に捲れる予感がする。ここが三回戦の肝だな』 卓上では女が小考した後、生牌の南を切った。南に反応する者は無く、俺は切った牌よりも小考の方が気になった。 女の南切りから3巡が経過した。動く者は無く、緊迫した空気が流れていた。 女が8ソーを切り、長塚がツモる。ヤツの表情が一瞬だが曇った。 「…失礼……」 すぐにもとの表情に戻ったが、目つきは尋常なものではなかった。恐らくきついところを掴んだのだろう。 『長塚は降りるな。対戦が始まってからドツボにはまっているが、この半チャンでは振り込んでいない。ここでも我慢できるだろう』 長塚が腹を決めたような表情で、北を切った。恐らくアタマにでもしていたのだろう。 『さすがに我慢強いな。ここで崩れないのが長塚だな』 ここは丁寧に打って凌げば、次の半チャンで泥沼から復活するきっかけになる可能性は十分ある。今のところツキから見放されているが、長塚はじっと耐えていた。 南三局の決着はあっけなかった。回ってきたツモ番で俺が六萬を持ってきたのだ。 「ツモ。1300、2600」 この和りで俺がトップに立ち、以下女、岡部、長塚の順に並び、オーラスを迎えることになった。
オーラス、ここを凌げれば、今夜2度目のトップ。ここまで俺の成績は2着、トップときているので、2連勝できれば今夜の勝負を半分手中にできる。 「骨折の兄ちゃん、和リヤメ、聴牌ヤメアリだけどそう簡単にはやらせねぇ」 岡部がわざわざ言わなくとも、俺を除く全員が考えている言葉を吐いた。 「言われなくても分かってるよ」 俺は思わず岡部の言葉に反応してしまった。自分がかなりナーバスになっている自覚があった。 『ほとんどラス確定だが、長塚も俺を引きずりおろすためなら和りを狙ってくるだろう…かなりきつい道のりになりそうだな』 全く気の抜けない一局は、トイ7で女の山から切り出し始まった。ドラは3ピン。速い手を望みつつ山に手を伸ばした。 五八九ABEFG169東東□ あまりいい配牌ではないが、東がトイツになっているのが救いだった。 『状況が状況だ。喰い散らかしてでも手を作ってやる』 1ソーに手をかけ、俺は獣道に第一歩を踏み出すような感覚があった。悲壮な決意をした俺の心に、デビュー戦でも見た香によく似た、というかおれ自身が生み出した香の幻想が現れこう言った。 『亮ちゃん、頑張って。自分が苦しいときは相手も苦しいんだよ』 都合のいい妄想だと思えるが、その言葉に俺は励まされ、俺は気合を入れなおした。
いいよー
年末になって、仕事がかなり忙しくなってしまいました。 これまで毎日書くことだけがとりえだったのですが、仕事との両立がきつくなってしまいました。 しばらくの間、休みの前日と休みの日だけ書き込ませてもらいます。 ワガママ言って申し訳ありません。明日も仕事なので今日はもう寝ます。
ほす
139 :
( ´∀`)ノ7777さん :04/12/12 06:30:42 ID:gFGk13GA
>>137 失礼ですが…仕事は何を?
やっぱモノ書きさん?
仕事がんばってくださいね〜
楽しみに待ってます。
>>137 |ヽ---ヘ . 丶\
_ _ _ |ヽ | i二i | | |_〜
_ \\ヽヽ ヽ\ ノ ) | i二i .| へ_,/ ノ ,へ
ヽ\ | | | レ | | (___.く .ヽ---−・ \_ ー ̄_,ー~' )
) | | | |_ /ヘ |ノ 丿 )く二二. ̄.) フ ! (~~_,,,,/ノ/
/ | | | │ヽ / .く (二二二 つ | |  ̄
/ | .| .\_ノ | く/.| | |ヽ | | ノ | /(
ヽ.ノ ヽ_ _ノ | | ( /_ | | / / | 〜-,,,__
 ̄ ̄~ ヽノ . ヽ_丿 (_ノ 〜ー、、__)
>>139 某携帯電話の登録センターで働いています。物書きは遠い夢です。
>>140 ご理解いただけましたか?
明日は休みなので続き書きます。
無理せずに頑張ってね ホントは毎日読みたいけどw
気合を入れなおし、和りヤメを目論む俺はまだ香の幻影を見ていた。 『いい感じに狂ってきたな。香がそばにいると思えば何も怖くねぇ』 勝負に熱中し狂うとき、いい狂い方と悪い狂い方がある。多幸感を味わえる狂い方と、アツくなって視野が狭くなる狂い方だ。 今の俺はもちろん前者で、心を和ませ、癒されるような感覚を味わっていた。 歌でも歌いたいような感覚で、5巡目に入った。俺の手は割りと順調に育っていた。 七八九ABEFG66東東□ 『いい感じで入ってきてる。このまま逃げてやるぜ』 このままあっさり決まりそうな雰囲気だったが、ここから俺のツモが悪くなり、11巡目までツモ切りが続いた。 同巡、女が東を切り、俺はソッコーで喰い付いた。これでようやく聴牌。視界が晴れてくるような感じがあった。 「嫌なとこ鳴かれたな」 岡部が咥えタバコで呟き、一瞬女を睨み、すぐに視線を外した。 「姐ちゃんも勝負手なのか?まぁ、この僅差じゃどんな手でも勝負手だよな。骨折の兄ちゃんから直撃すれば良いんだからな」 岡部は煙と言葉を吐き出しながら、一人で納得したような表情だった。
>>141 お仕事登録センターなんですか?
僕はその登録センターにFAX流してますw
まぁうちは暇ですけどね。頑張ってください。
>>142 毎日書けなくなって申し訳ありません。できる限り頑張ります。
>>144 今の仕事場では中部、関東、北海道・東北をカバーしているのでかなり忙しいです。
続き書きます。
場に見えている白は1枚だけだったが、そんなことは気にしていられなかった。切ると同時に今度は女が喰い付いた。 「ポン」 どうやらここまでお互いに役牌を鳴けずに、足踏みを続けていたようだ。 鳴きを入れ、女の切った牌は6ピン。危険なところだが、彼女も覚悟の上での打牌だろう。 「すごいとこ切ったな。いい度胸してるぜ」 6ピンに誰も動かないことを確認し、岡部が呟いた。 次のツモ番の長塚は完全に降り打ち、女の切った6ピンに合わせた。 『引いちまえば関係ねぇ』 牌山に手を伸ばし、ツモった牌は2ソー。勢いをつけて叩き切った。 ツモ番が岡部に回り、ヤツは盲牌した瞬間、気味の悪い笑顔になった。 「ツモ。持って来たぜ」 二二三三四四CD33678 Bツモ 「ツモるか、骨折の兄ちゃんから直撃しないと兄ちゃんを3着に落とせないからな」 不敵に笑う岡部の表情は、勝負師のモノだった。
147 :
( ´∀`)ノ7777さん :04/12/14 17:26:34 ID:aOvsLFZP
ここでなgさんの登場ですか?
上げ上げ!
前回(
>>127 )に10.付け忘れてたorz
常居タンいない間くらいがんがるかなあ。もうストック切れなんだけどw
11. 絶対にお母さんがいなくなった理由につながっているに違いない。そうじゃなきゃ、殺さ れる理由がないもの。お父さん、ごめんね、ちょっと待っててね。お母さんの手がかりを 探すまで。お父さんが残してくれた手がかり、見つけるから。 手がかりはあっさり見つかった。アトリエに数あるキャンバスのうちの一つに書いてあ る。描いてあるのではなく「サーフシティ クラーク」と小さく文字が書かれていたか ら。さすがのわたしもすぐ見つけることが出来た。もちろん、これが手がかりなのかどう かは分からないけど、絵しか描かないお父さんが文字を書いているというだけで、十分な 手がかりになるよね? とはいうものの・・・サーフシティってどこなのよ!聞いたことないし・・・クラークっ ていうのは人の名前かしら・・・手がかりといってみたものの、手がかりの手がかりはど こ? 既に手詰まりなわたしがそこにいた。
3回戦は岡部のトップに終わり。俺は3着に蹴落とされた。この半チャンの奇妙な空気に呑まれた感じだった。 ラス和りの岡部がサイボタンに触れながら女に語りかけた。 「姐ちゃん。あの6ピン切りは俺が倒さないって読んでたのか?」 女は能面のような表情を溶かし、岡部に微笑みかけて応えた。 「そうよ、あそこで倒すようなら、ここに座る資格なんてないわ。あなたを信頼して打ったわ」 「おっかねぇ姐ちゃんだな。でもよ、信頼には応えてやったぜ」 岡部はニヤリと笑ったが、女はそれには応えず、また無表情になった。その時サイコロが3と4を表にして止まった。 起家の長塚が起家マークをセットし、サイを回した。残り2回戦、連勝しないと苦しい長塚の動きに要注意だ。 『長塚にはここで脱落してもらいたいが。ヤツも一筋縄じゃいかない打ち手だ』 サイコロはピンゾロ。俺の山から切り出す。配牌を取りつつ、思考は止まらない。 『ここは、長塚を殺すことに集中するべきか?流れが妙になってきているだけに、ここでトップ取られると、勝負がどこに転がるか分からなくなってくる』 全員にチャンスがある形で最終戦を迎えるのと、誰かが一歩リードして迎えるのとどちらが打ちやすいかは微妙なところだ。 無論、俺が一歩抜け出せれば絶好の形だが、そう都合よく行く保障はどこにもない。配牌を取る間、俺は長塚を脱落させたほうがやり易いと判断した。 六六七七九BDFH11北中 ドラ六萬 配牌は良くはないが悪くもない。かなり微妙な感じだ。妙な空気を前回から引きずったまま、4回戦は長塚の9ソー切りで始まった。
4回戦東一局、俺の手は6巡目でここまで育っていた。 六六七七九BBH11北中中 ここまでをノーミスで進み、手ごたえを感じさせるイーシャンテンだ。 俺がポケットからセブンスターを抜き出し、先端に火を点けたとき、最早BGMとなった岡部の声が聞こえた。 「のど乾いたな。アイスミルクティー持ってきてくれ。ガムシロは4っつ、と言いたいけど甘さ控えめで3っつにしてくれ」 『どこが甘さ控えめなんだよ』とツッコミを入れたくなったが。ここでそんなツッコミを入れると、岡部は調子こいて、ますますくだらないことを言い出すような気がしてはばかられた。 岡部の注文が終わると同時に、牌山に手を伸ばした長塚が、発声した。 「リーチ」 ヤツは5ソーを曲げ、千点棒を卓上に置いた。そして岡部に声をかけた。 「おっさん。糖分の取りすぎは身体に悪いぜ」 「いいんだよ。俺は酒呑まないから、多少甘いもの飲み食いしても平気なんだよ」 ツッコミを入れられたことに、岡部は満足そうな表情だった。長塚が苦笑しつつ言葉を発した。 「アンタの飲んでるのは多少じゃないだろ」 二人の会話を聞きつつ、俺がツモッた牌は赤5ソー。長塚には通るが、ここは貪欲に手元に残すことにした。 長塚に通りそうな9ピンを切り、様子見。長塚は何も言わなかったが、その目つきには狂気が宿っていた。
ほす
154 :
( ´∀`)ノ7777さん :04/12/18 12:27:46 ID:Hf2tiYbH
age
155 :
( ´∀`)ノ7777さん :04/12/19 00:28:12 ID:kexKkI1K
age
ほす
長塚のリーチから2巡目、5ソーを引っ張ってきた。三六九萬はヤバイ雰囲気があったが、待ちごろの北単騎を捨てる気にはなれなかった。 「通れば」 俺はクールに九萬を曲げ、リー棒を出した。長塚は動かず、岡部がそれを確認し、牌山に手を伸ばした。 ツモ牌を眺めた岡部がため息をついた。 「はぁ、参ったね。降りたいんだけど、二人リーチか。当たらないでくれよ」 岡部が切ったのは3ピン。降りたいと言いつつ、かなりキツイ場所を切ってきた。 「通ったか。この緊張感たまんねぇな」 岡部は咥えタバコで満足そうに頷いた。 さらに2巡が経過し、女が口を開いた。 「リーチ」 東を切って女は牌を曲げた。三人目のリーチで岡部が眉をひそめた。 「姐ちゃんもリーチか。おまえら三人でケリつけてくれよ。頼むぜ」 岡部はそう言ったが、このおっさんも勝負手じゃないのかと俺は疑念を持った。
12. 途方にくれているわたしの目の前には首が離れているお父さんの死体。そうだ、とにかく お父さんをきちんと寝かせてあげなきゃ・・・いつまでも冷たい床の上じゃ寒いものね。 手がかり探しに夢中になって、思いっきり忘れてた。ごめんね、お父さん。 死体を運ぶのなんか初めて(当たり前よね)。死体って、こんなに冷たいものだったんだ。 固まって、氷のような鋭さも感じる。運んでいるだけで、わたし自身が死体になったよう な、そんな感覚。 お父さんをベッドの上まで運んで(頭もちゃんと運んで、ね)、寝かせた後でもう一度シャ ワーを浴びることにした。服も血まみれになっちゃったし。 シャワーを浴びつつ、今日一日のことを思い返してみる。なんか一生分のイベントが今日 一日に凝縮されたみたいな、そんな感じ。そんな思いを胸において、全てを洗い流して。 わたしの心から全てを洗い流して。 願わくば、昨日のわたしに・・・ 願わくば、昨日のクリスに・・・ 願わくば、昨日のお父さんに・・・ 願わくば、お母さんに・・・
13. さっきより長めにシャワーを浴びて全てを忘れようとしたけど、どうやっても頭からぬぐ いさることはできない。二度と忘れることなどないこの記憶。だからこそ、お母さんに 会って真相を確かめないと。もちろん真相が聞けるとは限らないけど・・・ そういえば、警察とか呼ばなきゃいけないのかしら。親が殺されたんだから当たり前かも しれないわよね。そのあとどうすればいいんだろう。お葬式とか準備したりするのかしら。 なんかやることがいっぱいあってどうすればいいのか分からない。 シャワーからしたたり落ちる温水がわたしを洗い流す。髪も顔も胸も体も脚も・・・全て を洗い流してくれる。でもその場に人がいたとしても気づかないと思う。わたしが・・・ 泣いていたことを。
14. お父さんのことは今は置いておいて(だって、仕方ないよ・・・)今は手がかり探し。少し でも手がかりを見つけないと。とにかくアトリエに戻らないと。 お父さんのいないアトリエ。見えるのはお父さんが横たわっていたところに残った血の海 だけ。これも掃除しないといけないわね。「サーフシティ クラーク」という手がかり (なのかどうかすら分からないけど)だけでは到底お母さんのもとへはたどり着けないで しょう?何とかして他の手がかりを見つけないと。部屋の隅々まで探してみる。壁に飾っ てある絵画(自分の描いた、ね)の裏にへそくりが隠れていた(!)くらいで他にめぼしい手 がかりもなさそう。 その時、どこかからパトカーのサイレンが鳴り響いてきていた。サイレンは次第に大きく なっていき・・・やがて止まった。 「警察です、ここをあけてください!」 え?うち?しきりに玄関を叩く音が家中にこだましている。間違いなくうちの玄関に警察 が来ている!わたしは通報していないし、誰が一体・・・しかも部屋にはお父さんの死体 がある!まさか、これって・・・
161 :
( ´∀`)ノ7777さん :04/12/22 19:05:55 ID:3Zso4/VT
保守ageしますね
ほ
岡部のミルクティーが運ばれてきたとき、軽口を叩きながらも真剣だったヤツの表情が明るくなった。 「来た来た、美味そうだな……」 そう言いながら岡部はストローを咥え、その甘ったるそうな液体をすすった。 「うーん、ちょっと甘さが足りない。さてとこれは通るかな?」 呟きつつ切った牌は生牌の北。それを認めると同時に、俺は渋く発声した。 「ロン。岡部のおじさん、それは暴牌だ」 不器用に片手で牌を倒そうとしたときだった。2方向から、男と女の声が同時に上がった。 「ロン」 「和りよ」 長塚と女が顔を見合わせ、お互いに苦虫を噛み潰したようになった。今回のルールではスリーランは親連荘で流局。 まさか岡部の狙いは、これだったのか?疑念を抱きつつ、三人が手を開けた。 六六七七BB115(赤)5北中中 俺がこの手を開け、長塚と女が次のような手だった。 一二三四五(赤)六七八九西西西北 一二三@ABGGG123北 誰もウラドラを開けるような、みっともない真似はしなかったが、未練が残っているのは十分伺えた。 「いやー面白いな。こんなシナリオになっていたのか。お前ら3人とも手を工夫しすぎたな」 岡部の口調は、笑いを堪えるのに必死な様子で、非常にむかつくものだった。そして、ヤツは長塚を促しつつ言った。 「ゴツイ兄ちゃん。連荘だぜ。ツミ棒出してサイコロ回しな」 偶然か、狙っての北打ちかは判断できなかった。だが、これで岡部が調子付くことが予想される。岡部自身は否定するであろうが、流れがヤツに傾く予感がした。
15. ・・・ち、ちょっと!警察ってどういうこと!?なんで警察がウチに来てるの?今警察に 入ってこられたらわたしが犯人になっちゃうじゃない!ど、どうしよう・・・ 居留守使っちゃえ! ・・・って電気ついてるし!家の中で私がバタバタしてるから人がいることなんてお見通 しでしょうし! あああ・・・どうしよう!どうしよう!(いつものことなんだけど)あたふたするわたし。 学校だとこういうときは必ずといっていいほどクリスが助けてくれるんだけど、今はいな い。お父さんもいない・・・ 気づけばお父さんのアトリエまで来ていた。死んでしまったお父さんがいないだけで、 さっきと変わらない光景。まだ掃除はしてないから、あたり一面血の海(こう書くとホン トいやな感じ)。 「警察です!ここを開けなさい!」 ダンダンと強い力でノックしている。どう考えてもわたしが犯人になるよね、このシチュ エーションってば。
ほす
hs
hs
168 :
( ´∀`)ノ7777さん :04/12/26 20:25:06 ID:0k65Yzof
あ
169 :
( ´∀`)ノ7777さん :04/12/27 10:21:28 ID:xRwDA28l
ほげ
16. バタン!という大きな音とともに数人の靴の音が玄関にこだましてる。どうやらむりやり 玄関を開けたみたい。っていうか、何でこんな冷静になってるのよ!早く何とかしないと ここ(アトリエ)まで来て・・・あたり一面の血の海を見て・・・うわ、やっぱりヤバイ じゃない! お父さんの寝室へ警察が乗り込んでいるみたい。今ごろお父さんの遺体を見つけてる頃。 いずれここまでやってくるわね・・・どうしよう・・・逃げるしかないのかな・・・ バタバタと階段を下りてくる音が聞こえてきた。どうやらここに向かってきているみたい。 逃げるか、ここに留まるか。二つに一つね。別にわたしが犯人なわけじゃないんだから逃 げる必要なんかないじゃない・・・ その瞬間、バタンと扉が開いた。「動くな!警察だ!」 やっぱり来ちゃった・・・(当たり前だって)。わたしはお父さんの遺した血の海を見つめ ていた。ゆっくり後ろを向き警察の人の影を確認する。あわわ、拳銃とか持っちゃってる し。どうみてもわたしを狙ってるわけで・・・ で、リオ?どうする?必死に自問自答するけど、答えは思いつかず、とにかく両手を上に あげるのが精一杯。
常居さん、白雪さん乙です。 俺も来年はもっと参加できるようにがんばります。 ちょっと早いですが、みなさん良いお年を。
17. 「そうだ。両手を上にあげて後ろを向け。動いたら、撃つ」TVとかでこういうシーンは 何度となくみたけど、まさか自分が両手を上げて立たされるなんて思っても見なかったわ けで・・・このまま撃たれたりしないよね?警察がそんなことするわけないし・・・でも 逮捕されちゃうのかなあ・・・ 「通報があった、ここで人が殺されていると」 「わ、わたしが帰ってきたらお父さんはここで死んでいたんです!」 「ほう、その割には随分と冷静だな。とりあえず警察まで来てもらおうか」 返答にあぐねていると(思い直してみれば大人しく警察にいって全て話せばよかったんだ よね)、警察の人はジリジリと近寄ってくる。もちろん、わたしは警察の人に対して後ろ を向いているから音でしか判断できないけど。 その時、目の前にある血の海が光ったような気がした。「警察までご同行願えますね?」 今度ははっきり分かった。赤いはずの血の海が光を帯びて青く輝いている。なんて、冷静 に説明してるけど、なんなのよこれ!首を下げて血の海を見てみると、青く澄んだ水みた いな感じ。何が起きてるのかわたしにはさっぱり。「さあ、ご同行ください」 その瞬間、わたしは無意識につかまれた警察の人の手を振りほどき一歩踏み出してしまっ た。その青く輝いている血の海に。 ・・・あると思った床がなかった。わたしの体は血の海に吸い込まれていった。
>>171 お疲れ様です。なんか一人でひたすら書き込んで誰も反応なくて寂しい
限りなのですが_| ̄|○ ツライッス
私も明日で仕事納めですので書き込みできなくなります。自宅から書き
込めればなあ・・・
>>171 ありがとうございます。
30,31は休み取れたので書き込みます。三が日は仕事なので休みます。
30日は立川で今年最後の大勝負してきます。笑って年を越したいっす。
読んでるよ〜
>>173 うん読んでる。いらぬレスだらけになるのもドウカと思って書かないだけ
18. 「!!」 まぶしくて目が開けられなかった。ここはどこなのかしら。なぜか暖かい水の中にいるよ うな、そんな感じ。羊水の中といったような感覚(どんな?といわれても困るけど)。頭の 上のほうで音がするけど、光に包まれている状態じゃ目も開けられない。 ふと気づけばどこからか射していた光も徐々にかげりを見せ、目が慣れてきてゆっくりと 目を開くことができそう。ゆっくり目を開けてみる。 そこは一面蒼の世界。簡単に言えば水の中。って!生暖かい水の中にわたしはいるみたい。 なぜか普通に呼吸が出来ているのが不思議で仕方ないんだけど、窒息するよりは全然マシ だよね。ここはどこなのかしら?床の中に吸い込まれたのは覚えてるんだけど・・・ふと 上を見てみると、丁度わたしが吸い込まれた血の海から光が漏れているみたい。その先に は警察の人が中を覗いている。銃口がこちらを向いているけど撃つ気配はないみたい。向 こうからこちらは見えないのかしら。ちょっと上へ近づいてみてみよう! 泳いで(?)上のほうへ向かってみる。徐々に大きくなる血の海。はっきり見える警察の人 の表情。やはりわたしのことには気づかないみたいね。というか・・・ わたし、どうやって上へあがればいいの? 落ちたところから戻れるのかしら?警察の人がいるけど、戻るにはここしかないのかな? わたしは、床へ向かってひたすら上へ上へ泳いでいった(なんか変な表現ね)。
というわけで本年の業務は終了いたしました。やっとシリアスな内容から 抜けられそうです。お堅い文章は苦手(´・ω・`)来年からは違った方向 に進んでいく予定です。ここから先はプロット作ってません(ま、今もあっ てないようなものですが・・・ それでわ、来年もみなさまに幸運が訪れますように・・・Chao!
>>白雪さん 楽しみにしてまつ! >>常居さん 休み取れて良かったですね。 僕は今月&来月も休みありましぇん('A`) 正月は早く閉める店舗が多いから常居さんも楽かな?
今回の三家和で、流れが岡部の方に向かうかと思われたが、一本場で和りをモノにしたのは長塚だった。 六七八@@CD123 東東東(ポン) Eツモ ドラ三萬 「ツモ、安いけどね」 どこかで聞いた覚えのある口調だった。長塚に目をやると、その顔には、取ってつけたような作り笑いが貼り付いていた。 『この雰囲気…「兄貴」に似ている』 長塚の作り笑いを見た瞬間、俺はデビュー戦の相手を思い出した。 中肉中背の「兄貴」とマッチョなガタイの長塚の雰囲気は似ても似つかない。だが、今の口調と表情は、俺に彼のことを思い出させるほどよく似ていた。 『よく似ている、偶然だとは思うが』 俺は「兄貴」の幻影と勝負しているような錯覚、に陥りそうになりながらセブンスターに火を点けた。 煙を肺の奥に吸い込み、吐き出そうとしたときあの声が聞こえた。岡部の声だ。 「連荘重視か?トップを分け合ってるから、ゴツイ兄ちゃんにもチャンスはあるからな」 岡部の言葉に、長塚は無言で目を合わせ、作り笑いを貼り付けていた。 「あうっ」 長塚の作り笑いに岡部は一瞬ひるみ、言葉が止まった。間をおいてようやく言葉を続けた。 「気持ち悪い笑い方するなよ。全く…」 ダブ東のみの安手だったが、これで長塚がペースを掴み、ヤツのトップで南場に突入した。 順位は以下、岡部、女、俺の順で、トップの長塚と俺の点差は21000。追いつけない点差ではないが、俺はラスからの脱却を念頭に置き回るサイコロを見つめた。
>>179 請求書の登録が溜まっているので年明けもハードな感じです。
打ち収め沈没しました。岡部は最初から切っていたので…
南一局。ここまで俺は我慢の麻雀を続けていた。ラスから抜けることを念頭に置いてきたが、流れが悪すぎる。和りはおろか、聴牌に持っていくのさえ苦労していた。 南二局に親番を迎えることを考慮すると、ここは多少無理をしてでも和りをモノにして流れを引き寄せておきたい。 『勝負手持って来い』 強く願うが、配牌は平凡、和りに向かうかハナから降り打ちか判断に迷う手だ。 三四七八@ABDF58西北 ドラ9ピン 『この手をモノにできるか?』 疑念を胸に抱きつつ、俺は心にゆとりのない麻雀を続けていた。 『いかん。こんなときこそゆとりが必要なのに』 ゆとりを取り戻そうと、俺はエンドレスで『心にゆとり』と頭の中で唱え続けた。だが、その願いも虚しく焦りばかりがつのった。 結局、南1局は岡部の1000、2000で幕を閉じた。俺は心にゆとりを取り戻せないまま親番を迎えることになった。 『辛いねぇ。厳しいねぇ』 俺の頭の中には『心にゆとり』の代わりに、こんな言葉が渦巻いていた。サイボタンに触れる手にも気合が乗らなかった。
今年最後の話かな 乙です。 来年もよろ
184 :
( ´∀`)ノ7777さん :05/01/01 11:27:01 ID:pIDUeDsz
新年早々ふぉしゅ
ome
ほす
187 :
( ´∀`)ノ7777さん :05/01/04 00:00:12 ID:CTWgX5hk
19.蒼の世界 BGM:Born to be Free(from Metal Black) 周りは蒼いけど、わたしが落ちたところだけは赤く染まっている。血の色。その向こうに 銃を持った警察官。血の色を透過して赤くぼやけて見える。床の上は目と鼻の先に見えて るんだけど、やっぱり気づかないのかな。このまま手を伸ばせば床に手が届くところにい るんだけど・・・こちらを不審そうな顔つきで見つめてる。 わたしは意を決して、手を伸ばしてみることにする。 「!」 ちょっとまった!リオ!よくみて!この人・・・警察官じゃない!どこかの軍隊のような 服着てるじゃない!?どうみても警察じゃない感じ。どうやら血の海を足で踏んでるみた い。靴の裏がそのまま見えてる。わたしが落ちた血の海はそのままの床になってるみたい。 なにか口を開いてる。しゃべってるみたいだけど、全然聞こえない。その間、わたしは ずっと床の上を見つづけてるんだけど・・・その瞬間わたしの目の前に火花が散った。 キャッ! 警察の人(じゃないと思うケド)がいきなり銃口を床下(つまり血の海に)に向けて発砲して きた!
あけましておめでとうございます。 既に空想科学小説の域を逸脱していますが、今後ともよろしく お付き合いのほどを(`・ω・´)
サイコロは5ゾロで止まり、岡部の山から切り出していった。頭の中ではあの言葉が渦巻いていた。 『辛いねぇ、厳しいねぇ』 言葉はエンドレスで俺のテンションを下げていく。 「兄ちゃん、サクサク切れよ。親が切らないと始まらないぜ」 岡部の声に俺は現実に引き戻された。理牌されていない手の中から、西を掴み河に置いた。 「ポン」 女が意外そうな表情で発声した。岡部と長塚も面食らった表情だった。 3人の顔を見て、俺は初めてドラ表示牌が南であることに気づいた。口の中に留置場で喰った不味い飯の食感と味が甦った。 「参ったな。いきなりドラ切りとドラポンか。姐ちゃんは西だし親のドラ切りもヤバイな」 岡部の呟きは俺にヒントを与えた。第一打でドラを切ったことを警戒されている。女は真っ直ぐ向かってくるだろうが、長塚と岡部は警戒しながらの打ち筋になると予想される。 『これって…結構チャンスじゃないの?岡部と長塚は慎重になるだろう。その隙をつければ…』 俺は3人の表情をチラ見した。岡部は完全に降り気配だったが、女と長塚は勝負に賭ける表情だった。『辛いねぇ、厳しいねぇ』 頭の中では俺をあざ笑うかのようにこの言葉が渦巻いていた。
20. 瞬間的にわたしは頭をかばった(頭に向けて発砲されてたらかばったところでどうしよう もないのにね)。銃声はまったく聞こえない。床の下には銃弾は届かないみたい・・・ひ とまず一安心。ゆっくり上を見上げてみると・・・ 赤いガラスがひび割れている、と言うのが一番適切かも。床の上のガラスがひび割れてこ まかい亀裂が入っている状態。上の世界がひび割れて見える。まだかろうじて人の姿を認 識できてるけど亀裂はどんどん大きくなっていき、徐々に人の姿が見えなくなっていく。 銃を撃ちつづけてるのかしら。 たった10数秒で上がまったく見えなくなってしまった。たとえるなら血に染まった蜘蛛の 巣。紅の蜘蛛の糸が一面にしきつめられてる感じ。 なんて説明してる場合じゃないし・・・ 上へ登ってみようと思った矢先にこれだもの・・・怖くて触れることも出来ないじゃない。 困ったなあ・・・ その瞬間、今まで頭上にあった紅の蜘蛛の巣が、一瞬にして消えちゃった。唯一の光源 だった現実世界(?)の明かりが消えたことで、わたしの目の前は真っ暗に。なにもみえな い。わたしの心からも光が消え、闇が現れていくようだった。なにもみえない不安、恐怖 が心の底から徐々にわたしの精神を支配する、そんな感覚に・・・
西に喰い付いた女の第一打は九萬だった。動きがないことを確認するように、長塚がゆっくりと牌山に手を伸ばした。 俺は左のポケットからタバコを抜き取り、長塚の表情を伺った。 『…気合入った面してるな。まあ当然だな、ここでトップ取らないと長塚は脱落だからな』 俺が煙を吐き出すと同時に、長塚が一打目の一萬を切った。 『…人の心配してる場合じゃないな。いきなり寝ぼけた牌切った以上は、格好だけでもつけないとな』 牌山に手を伸ばし、ツモった牌は赤5ピンだった。1ピンを切った俺の手はこうなっていた。 五六八D(赤)FFG23667南 悪い手ではないが、迫力が足りない。だが、そんなことは気にしていられない。この半チャン、俺に残された希望は、猛連荘だけだった。 8巡目に入り、俺の手はイーシャンテンまで育った。 四五六D(赤)EFFG23667 ここまでの動きは、女のドラポンだけ。岡部が上手く廻し、女の要牌を絞っているのが利いていた。 岡部が小考して、二萬。女が六萬を切り、長塚がツモる。ツモ牌を手の中に収め、8ソーが切り出された。 『長塚に聴牌入ったか?でも追いつけば問題無い』 俺は相変わらず頭の中で『辛いねぇ、厳しいねぇ』の声が響くのを感じながら牌山に手を伸ばした。
心にゆとり・・ (´▽`)
21. 誰がどうみても、わたしは泣いていたと思う。だって、怖いもの・・・周りが水に包まれ ていたみたいだから多分目立たないと思うけど。周りが見えないってものすごく怖いんだ よ?子供の頃を思い出してみて。お父さんお母さんにベッドに連れられて「おやすみ」と キスをくれたとき、部屋の明かりを完全に消していた?真っ暗にしたら大抵の子供は泣い てしまう。だって、怖いもの。だから小さい明かりをつけて安心させて寝かせるの。自分 が存在する証。闇の中では自分の存在すら分からなくなるから。光は自分。自分自身を証 明するための光。 「なに独り言いうとんねん、ねーちゃん」 いつのまにか遠くのほうに暗がりの中からぽわっと青白い光がみえる。そこから声がする のかな。とにかく行ってみなきゃ!もうここにいてもどうにもならない。どこに出口があ るのかも分からないし。その声の主が誰かわからないけどとにかく行ってみるしかない! とはいえ、遠いなあ・・・ひたすら泳いでいく。その間も呼吸は普通に出来てるし。光が みえてちょっと不安が落ち着いた感じ。あの光のところまでいったら何かあるに違いない ・・・と思いたいな・・・
乙
軽やかに保守あげー
197 :
( ´∀`)ノ7777さん :05/01/10 15:37:31 ID:pV68jLsV
/ / } _/ノ.. /、 / < } ry、 {k_ _/`;, ノノ パンパン / / } ;' `i、 _/ノ../、 _/ 入/ / `ヽ, ノノ / r;ァ }''i" ̄.  ̄r'_ノ"'ヽ.i ) ―☆ {k_ _/,,.' ;. :. l、 ノ \ ` 、 ,i. .:, :, ' / / \ ,;ゝr;,;_二∠r;,_ェ=-ー'" r,_,/ ☆ 【ラッキーレス】 このレスを見た人はコピペでもいいので 10分以内に3つのスレへ貼り付けてください。 そうすれば14日後好きな人から告白されるわ宝くじは当たるわ 出世しまくるわ体の悪い所全部治るわでえらい事です
手を伸ばし、ツモった牌は赤五萬。長塚がはっていればかなりヤバイ牌だが手中の五萬と入れ替え、叩き切った。 このときの俺には二つの考えがあった。 『この状況で降りられるか』と考える熱い俺と、『トータルラスの長塚がトップになるんだったら構わない』と考える弱気な俺。 考え方は違うが、どちらも結論は一緒だった。『長塚にだったら振っても構わない』 岡部が山に手を伸ばそうとしたとき、長塚が口を開いた。 「ロン」 六七@ABDEF34599 やはり長塚に五萬は通らなかった。長塚は俺に視線を向けこう言った。 「本多、東出って男を覚えているか?」 聞き覚えの無い名前で俺は「東出?知らねぇな」と応え、首を横に振った。長塚が再び口を開いた。 「お前と遠藤が二対二で闘った、両手の小指が無い高価そうなスーツを着た男だ」 長塚の言葉は俺の頭の中に「兄貴」の姿を映し出させた。 「あの男、東出って言うのか。でもなんでお前が知ってるんだ?」 「東出は俺の親父だ。俺ができたとたんヤツはお袋と俺を捨てたんだ。ヤツに復讐するために俺は代打ちになったのに、お前に負けてヤツは一文無しになった…」 俺はここで長塚の言葉を制し言った。 「よーするに、親父に勝った俺に勝って間接的にでも勝ちたいってことか?」 長塚が頷くと、俺と長塚のやり取りに岡部が口を挟んだ。 「何だ?お前ら知り合いか?」 岡部の言葉に俺はこう応えた。 「ああ、でも友達じゃあないぜ」岡部はまだなにか言いたそうだったが、珍しく何も言わずサイボタンに触れた。
22. 服を着たまま水の中に入ると服に水がしみこんで重くなって泳げないという(そのせいで 川で人を助けようとし溺死する人とかがいるわけね)のに、普通に泳げるのはなんでなん だろう、と今更ながら考えてみたりもするけど、ひたすら青白い光に向かって泳いでいく しかないわね。なんだか全然遠いんだけど・・・ 何分くらいたったのかなあ・・・時計も持ってないし、全然わからないんだけど・・・確 実に青白い光に近づいてるのは間違いないんだけど・・・んもう!遠すぎ!でもいかない ことには何も始まらないよね・・・なんか愚痴っぽくなる自分がイヤ・・・寂しいし。 ちょっと休憩しようっと。ずっと泳いで(?)たからクタクタ。底で座ろうかな。丁度岩み たいなとこがあるし。 もにゅっ ん、堅いと思った岩がなぜか柔らかいわね。ぽよんぽよん揺れてるんだけど・・・ゆっく り座れないじゃない、これじゃあ。 「もふふ、ねーちゃんええケツしてまんなあ・・・こりゃあたまらんわぁ〜」
(・⊥・)))) スルリスルリスルリ
23. 「!!」 まさに驚いたわたしはその場をはねのけて上へ逃げちゃった。なんか下のほうから声がし ただけじゃなく、何かがわたしの脚を触ってた!何! 青白い光はさっきよりは近くなったけど、まだ周りが見通せるくらい明るいわけじゃない。 どこに何がいるのか全然わからない・・・怖い。 「なんや〜、もうおわりかあ。せっかくの若いおなごのケツやったのに・・・」 「な!なに!なにかいるの?」 もうパニック。暗がりの中でなにかがもぞもぞと動いている、けど正体は全然見えない。 「せっかく声かけてやったちゅ〜きに、なんでそんな邪険にされなあかんねん・・・」 そんななれなれしい声かけてきたら余計構えるっちゅーの!わたしの視線はその岩(だと 思った物体)に釘付け。なぜか徐々にその周りが明るくなっていく。なんか赤い物体が目 の前に見えてきた。なに?あれ・・・ 「よう、ねーちゃん。ようこそ『蒼の世界へ』」 わたしの目の前に現れたのは・・・赤い頭を持つ・・・八本足の・・・
ホゲしくage