1 :
( ´∀`)ノ7777さん:
作者には乙の一言を
2 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/05/18 23:29 ID:eYfqtxPF
やっと2ゲットニダ ━━<ヽ`∀´>@∀@)`ハ´)´Д`>━━!!!!
3 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/05/18 23:29 ID:N1Z11G2r
2おっつー!!
4 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/05/18 23:32 ID:eYfqtxPF
で、なにをやるスレだ?
5 :
1:04/05/18 23:34 ID:zRoC1VIx
スロに関する小説やらパロディやら詩なんかを書くスレ?
6 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/05/18 23:34 ID:N1Z11G2r
ヽ(`Д´)ノウワァァン!!
7 :
14改め常居接人:04/05/18 23:52 ID:sojqWaET
「創作文芸板」で書いてる常居です。
俺が書いちゃっていいの。予告どおり、スロメインの話にはならないと思うけど。それでもよければ書かせてもらいます。
ブッシュ大統領がイメージアップと人気増進のためにPRキャンペーンを行うことにした。
彼は小学校を訪れて子供達に彼の政策について分かり易く説明することに決めた。
大統領による説明が終わった後、彼は子供達に向かって「何か質問がありますか?」と尋ねた。
スティーブという生徒が手を挙げて
「大統領、僕は三つ質問があるんです。
1.どうして大統領選挙では総投票数が少なかったのに、あなたは大統領になれたのですか?
2.はっきりした動機もないのに、なぜあなたはイラクを攻撃したのですか?
3.歴史上最大のテロリスト攻撃は広島への原爆攻撃だと、あなたは思いませんか?」
ちょうど質問が終わった時に休憩のベルが鳴ったので、子供達は校庭に遊びに出た。
休み時間が終わって子供達が教室に戻るとブッシュ大統領は彼等にまだ 何か質問があるか、と尋ねた。
エディが手を挙げて尋ねた。
「大統領、僕は五つ質問があるんです。
1.どうして大統領選挙では総投票数が少なかったのに、あなたは大統領になれたのですか?
2.はっきりした動機もないのに、なぜあなたはイラクを攻撃したのですか?
3.歴史上最大のテロリスト攻撃は広島への原爆攻撃だと、あなたは思いませんか?
4.どうして今日はいつもより20分早く休憩のベルが鳴ったのですか?
5.僕の友達のスティーブはどこに消えちゃったのですか?」
9 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/05/19 01:47 ID:iWMcIfhO
創作文芸まだー
11 :
常居接人:04/05/19 16:43 ID:5bTCM342
俺は、毎朝8時に慶子の財布から3万円抜き取るのが日課だ。
俺の名は本多亮、大学を中退して3年になるがその間一日も働いていない。
慶子はサークルの先輩だった女で、学校を辞めてから世話になっている。彼女は川崎のソープで働いているから稼ぎがいい。
「愛してるよ。慶子」
まだ眠っている慶子に投げキッスをすると、俺はその日の仕事場を決める為に駅前のドトールへ向かう、これも日課の一つだ。
ドトールでスポーツ紙の公営ギャンブル欄を開く、競馬、競艇、競輪。どの種目もねらい目のレースが無い。
ねらい目のレースはそうそうある訳ではないので、ほとんどの日はパチスロを打っている。俺はギャンブラー、俺の目的はギャンブルで自立すること。早く慶子から離れてもっとましな女と暮らしたいものだ。
9時15分頃ホール前に到着、ここはそれほど流行っているホールではないので並んでいるのは俺を含めて10人程度。このときの心境はテストの前日を思い出す、「山が当りますように」って心境だ。
「亮ちゃん早いわね」
山下のおばはんが声をかけてくる。このおばはんは以前ボーナス確定時にそれを入れられず、困っていたのを俺が入れてやった。それ以来俺とおばはんは頻繁に喋るようになり、「時間が無いから」と言って設定の良さそうな台を譲ってもらうことも結構ある。
他人への親切は自分にも返ってくる、これは真理だね。慶子のような女でも、俺みたいないい男が一緒に暮らしてくれてるから毎日3万円抜かせてくれる。やっぱり真理だ。
12 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/05/19 23:26 ID:TTWjfbWT
職人キタ━━━(゚∀゚)━━━ !!!!!
続きまだー
文芸板見てみたけど普通に半日空いたりするみたい
気長にまとうや
14 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/05/20 02:46 ID:TFYIEEDo
真理。その言葉を口にする瞬間俺は自分が周りのボンクラ共より
高みにいることを確信する。
俺がギャンブルを続けている理由の一つとも言えるだろう。ギャンブルは最も明確なリスクリターンの構図を示す。
負ければ運が悪く、何かを失う。勝てば運がよく、何かを得る。
複雑になったこの世の中で最も単純な真理。山下のおばはんのようにそれと気付かず深みにはまる人間もいる。
それはそれで仕方のないことだと俺は思う。負ける人間がいなければなりたたない世界。
現実だって大差ない。
人よりいい生活。人よりいい女とやりたい。欲求って物は自分が想像する以上に相対的なものだ。
重要なのはそれを自覚しているかしていないか。俺は自覚している。
ホール前で真理を再確認しているのは多分日本中で俺だけだろう。
そして、何かを得るために今日の俺は真理と共に北斗のカド台を狙っている
開店まであとわずか、足元のタバコの吸殻を見つめる。
その残骸はここが戦場であることを思い出させる。リスクとリターン。
頭の中でジミヘンが鳴り響く。後10分。
15 :
常居接人:04/05/20 08:16 ID:UnrVx75b
原稿遅くてごめんね。
リレーされちゃった。どうしよう。
構わず出してみ。
17 :
常居接人:04/05/20 17:21 ID:GAIxM1vH
開店の合図はジミヘンの「ブードゥーチャイル」いつ来てもヘンな店だ。
思惑通り北斗のカド台をゲット。7ゲーム目で青い村人。リプレイが外れてシン様登場。バトル勝利、幸先が良い。
「バトルボーナス!ゲーット!!」いつ聞いてもいい響きだ、今回は5連で終了だったがかなりいい台のようだ。
いい台だと思っていたがその後が続かない、俺の見込み違いだったか。下皿がさびしくなった頃、ジャギ編に突入、ここから巻き返しだ。
持ちコインが無くなり、3千円を追加投資する、おかしい。俺のような一流のギャンブラーがこんな苦戦をするとは。
「亮ちゃん、調子悪いみたいね」隣に座った山下のおばはんが声をかけてきた。「うるさいババア、気が散るんだよ」とも言えず俺は愛想笑いをすると
「勝負はこれからだよ」と強がる。画面が切り替わり「南斗最後の将」に突入。当たり前のようにケンシロウが落っこちて「ユリアー」と叫び終了、サウザー編に入ってしまった。
さて、この辺りから判断が難しくなってきた。続けるか、台移動か、それともこのまま帰るか。北斗の空き台はまだ数台残っている。ここは移動か、そう思ったとき山下のおばはんが俺をつついた。
「ボーナス確定よ。亮ちゃんお願い揃えて」俺は移動するきっかけを失い、おばはんの為に7を狙う。だが7は揃わず次は北斗を狙った。見事に北斗で揃い、ケンシロウは虹色のオーラを発していた。
「ふざけんなクソババア、生意気なんだよ」口元から出かかる言葉を飲み込み、愛想笑いをしながら「やったね。おばちゃん」などとふぬけた言葉を口にする自分が情けなかった。
その隙に空き台は無くなり、俺は追加投資をした。おばはんの台からクリキンの熱唱が聞こえ始めた頃、俺は気力を失いおばはんの「あら。もう帰るの」と言う声を背にホールを後にした。
乙、楽しみに待ちます
>>15 前触れなくリレーしてスマソ
私も作家志望なもんで、調子に乗ってやっちゃいました
20 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/05/21 00:53 ID:29N8BmIe
>>22 明日から様子見ながら書くことにします。スロ暦8年
懐かしい系で行こうかな
今夜は寝ますおやすみなさい
24 :
常居接人:04/05/21 05:35 ID:3xCWXM/x
25 :
常居接人:04/05/21 17:52 ID:3xCWXM/x
ホールを後にした俺は、今日の敗因を考える。俺の行動に間違いはあったのか?だが、あの状況ではやめられない。
山下のおばはんが俺をつついた時、あの時台移動するべきだったか。まったく考えがまとまらないまま、俺は立川競輪場行きの無料バスに乗り込んでいた。
このような時は、頭を使うギャンブルが最適だ。考えている間は嫌なことを忘れられる、入り口前で新聞売りのババアから赤競を購入。現在の時間は正午、俺が起死回生の為に目を付けたのは9レース。時間は充分にある。
現在の資金は2万円ほど、これでは心もとないと考え、資金を増やすことを考えた。次のレースは新人の逃げで堅そうだ。昨日は失敗したようだがこの辺りでは力が違う。俺は彼の頭からマークの7番を主体に3−7、3−9の二点買いに3000円ずつ投資した。
競輪場名物の鐘がなった。3番は良い逃げを打っている。その時9番が7番に競りかける、嫌な予感がした。俺の予感は的中し、9番と7番はもつれ合ってそのまま落車、俺の車券は紙くずになった。
その後のことはあまり覚えていない。負けを取り返そうと次のレースにも手を出したが、かすりもしない。
この2レースで残金のほとんどを消費し、俺は呆然としていた。9レースは俺の読みどおり9−2で決まり、1740円だった。
帰りたくもないマンションに帰ると、慶子が恐ろしい顔で待ち構えていた。
「どうしたの」俺は平静を装って聞く。慶子は一言「ガキができた」なんてことを言う女だろう。彼女は、言ってみれば子作りを商売にしている。何らかの処置を取らねば子供ができるのは至極当然である。それを何故俺に報告するのか、俺には理解できなかった。
「落ち着こうよ、それが俺の子供だって言うの?でもさあ、君は毎日いろんな人とやってるんだから」次の瞬間、慶子の右ストレートが俺の顔面に命中した。
「ふざけんな、アタシはあんたとしかナマでやってないんだよ。アタシ産むから、明日からあんたがアタシとガキの面倒見るんだよ。いいね」
いきなり突きつけられた理不尽な要求。俺の頭はパニックになった、言いたいことだけ言うと慶子は寝室に消えていった。俺の明晰な頭脳はここから逃げ出す算段を始めていた。
乙、ところでなんて読むの>常居接人
27 :
常居接人:04/05/21 20:48 ID:3xCWXM/x
>>26 つねいせっと。マージャンをセットで打つ知人が常に居るっていう意味。
28 :
23こと名無しさん@お腹いっぱい:04/05/22 01:41 ID:WttQ2NH5
おもしろくねぇ。
パラパラと降り始めた雨は芯まで凍らせるような冷たさで体を包む。
つまんねぇ学校なんざ行ってられねぇ。駅まで歩くのもだるい。
虚無感ってのはこういうことをいうんだろうな。
辺りに喧嘩を売ってますという空気を漂わせながら雨の中を歩く少年とも青年とも判別のつかない年齢の男。
彼の名前は良二。今年18歳。高校三年生。
5月の冷たい梅雨の雨にもかかわらず、彼は傘もささずにずんずん駅から自宅への道を歩いていた。
雨が何で降るんだよ。おもしろくねぇ。
4時間前まで彼は絶頂にいた。
朝日会館のスーパープラネットはコンスタントにボーナスを引き、フルーツも想像以上に伸びた。
高設定を確信するには充分な要素が揃っていた。
親の財布から抜き出した8枚の千円札。羽根物で増やし、手持ちが14000円になった時点で本日の本命台に着席。
最後の1000円を入れた瞬間に訪れたベル、プラ、7のトリテン。
当然のように7が揃って流れ出す音楽。
4時間前の絶頂。じわりじわりと盛り上げて、突然訪れる600ハマリが2発。
それだけでもう完全に負け試合。
8000円の言い訳を考えながら彼は誰か喧嘩売ってこないかな。逆にカツアゲしてやるのにと真剣に思っていた。
くだらねぇ。全部が全部くだらねぇ。
でも、俺が一番くだらねぇ人間だ。自己嫌悪の甘酸っぱい海の中、彼も酸味掛った心に打ちのめされていた
目の前の道をふさぐ3人組の影。
その瞬間彼は、どん底の思考から光を取り戻した。
晴れ渡った笑顔で言葉を発する
ようこそ、8000円トリオ。
これは俺がある店に勤めていたころの話だ。
その辺りはかなりの田舎だったが、大きいチェーン店はなくて、小さい店がお客を楽しませる。
そんな雰囲気の店ばかりだった。
ある日、俺は店長に呼ばれた。
「君も社員になって3年目か」
店長はまじまじと俺を見た。
俺はなぜ呼び出されたのだろう、と不思議そうな顔をしていた。
「突然だが、次の設置機種はどれにしたらいいだろうかと思ってね」
店長が俺に相談してくることは稀なことだ。
しばらく書類を見ながら考え、答える。
「これなんかどうですか? あの有名な機種の後継機ですし」
「これは波も荒いだろうし、うちの客層が楽しんでくれるだろうかな」
否定的な店長に、俺は不安になった。
「それはわかりませんが……」
「いや、やはり君の意見で行こう。二シマはこれにしよう」
そして、その新台を投入する日が来た。
あいにくの雨だった。
しかし新台投入とあって客足はなかなかだった。
それから数えて、四日目にそれは起こった。
早朝から緊急召集の電話がかかってきた。
俺は眠い目をこすりながら店に行った。
すると店長がみんなにこう言った。
「この度、攻略法が発覚し、この二シマを封鎖することになった」
そしてその機種は、電源が落とされ『調整中』の張り紙を貼られた。
その月で俺は責任を感じて、辞表を出した。
店長は何も言わなかった。俺も何も言えなかった。
今でもあの黄金の台を見ると、いたたまれなくなるのはこのせいである。
31 :
常居接人:04/05/22 18:10 ID:J1m2qSNn
「どこ行くのよ」
部屋から逃げ出そうとした俺の背に慶子の言葉が突き刺さる。
「いや、タバコが切れたから買いに…」
俺の言葉が終わる前に、慶子の声が聞こえてきた。
「今日からうちは禁煙だよ。妊婦がいるのになに考えてんだこの馬鹿」
本格的にヤバイ、慶子は明日俺を連れて土建屋に面接に行くと言っていた。俺が労働、それも肉体労働に向いていないことは俺が一番よく知っている。冗談じゃない。
俺は、この部屋からの逃走経路を懸命に考えた。しかし俺の脳細胞は俺を裏切った、逃走方法はまったく思い浮かばなかった。
「どうやってこの部屋から逃れよう」
考えているうちに、強烈な睡魔が俺を襲った。今の俺に睡魔に勝つ術は無かった。
「起きろ!ロクデナシ!!」
慶子に蹴り飛ばされて俺は目を覚ました。毎朝7時に目を覚ます俺が、今朝は10時過ぎに起きたことになる。昨日の慶子の発言が凄まじいショックを与えていたようだ。
「面接に行くよ。あたしの御客さんに無理言って頼んだんだから、急げよ」
慶子の言葉には慈悲が無く、俺は投獄された罪人の様な気分で身支度を始めた。
23も常居タソも上手!続き読みたい!
34 :
常居接人:04/05/23 22:43 ID:2IL4TXuO
川崎駅に着いたとき、俺の気持ちは投獄された罪人ではなく、死刑執行当日を迎えた死刑囚のようだった。
「こっちだよ」
慶子の言葉に慈悲はまったく感じられなかった。川崎に到着するまでに俺は逃走を考えながら行動していた。
しかし慶子は俺の腕に絡みつき、俺の行動を規制していた。トイレから逃走を図ろうとも考えた、しかしトイレ前では慶子が待ち構え、トイレ内からの逃走もその構造上不可能だった。やるなJR。
『こうなったら、面接で落ちるような受け答えをしよう』
窮地に立たされた今、俺の脳細胞は俺を裏切らなかった。面接で落ちる。俺のような頭脳明晰な人間にとって不名誉なことだ。しかし、背に腹は変えられない、俺は非常識で無礼で無知な人間を演じることにした。
土建屋の社長は毎朝油で顔を洗い、油で歯磨きをしているんじゃないか。と思えるほど脂ぎっていた。
「マリちゃんに頼まれると弱いんだよな。それにしても、その兄ちゃんは俺の恋敵なんだよな。まあ良いよ、面接だけでもやってみるか」
社長は脂ぎった顔をハンカチで拭いながらそう言った。マリとは慶子の源氏名である。それにしても、慶子のような女を高い金払って抱く男がいるとは。俺は呆れつつこのオヤジを少し尊敬した。
「本当にごめんなさい。でも、頼れるのは山崎さんしかいなくて」
慶子はしなを作りながらそう言った。本当に気持ちが悪い、なに考えてんだこのアマ。
「お兄ちゃん、こういう仕事やったことあんのかい?」
山崎が質問をしてきた。ここからが勝負だ。面接で落とされ、なおかつ慶子から暴力を振るわれない受け答え、完璧にやらなければ。脳細胞頼んだ。
「全く経験はありません。でも僕は人の上に立って仕事をするのが大好きなんです。きっと良い監督になります」
ナイス俺、やる気を前面に押し出しながらオヤジを呆れさせる回答。この一言で面接失敗は成ったも同然、さあ次の質問来い。
35 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/05/23 23:14 ID:9zoa3KsS
スロット覚えたてで、初めてコインをカウンターに
流そうとしたとき、場所がわからずパチンコのシマに
きてしまった。で、パチンコのカウンターにコインを
流してしまった・・・
その後、店員がピンセットみたいなもので1枚づつコインを
カウンターから取り除いていたが、
「おまえわざとか?」とかイヤミを言われた。
オレはぜんぜん悪くないのに、イヤミを言われてアタッマきた。
<<35
おまえがすべて悪い。
37 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/05/24 12:53 ID:6m8o0RGl
次の質問まだー
38 :
常居接人:04/05/24 22:22 ID:fh+GhatC
「監督って、簡単に言うけど。お兄ちゃん、監督って大変だぜ。まずは下っ端から始めてもらわないと」
オヤジが俺の言葉に食いついた。ここでの受け答えはまだ慎重に行かないといけない。あまりヘンなことを言うと慶子に殺される。
「山崎さんごめんなさい。この人世間知らずだからヘンなことばっかり言って……」
慶子が色気を出しながら言った、全く気持ちが悪い。そして、俺の方を見た時その顔には「てめー、帰ったらぶっ殺すぞ」と書いてあった。
まてよ、冷静になって考えてみると今重要なのは、面接に落ちることじゃない。慶子から逃げることだ。なんでこんな大事なことを忘れていたのだろう。よし、これから面接は真面目に受けよう。
「まあいいや、そういうアンちゃんを一人前にするのも俺の仕事のうちだから。ところでお兄ちゃん、身体は丈夫かい?」
「はい。心身ともに健康です。僕を採用してくれたらこの会社はどんどん大きくなりますよ」
俺は、心身ともに真面目な気持ちで言った。だがオヤジは苦笑し、慶子は頭を抱えていた。
「分かった、もういいよ。明日6時、試しに来てみな。現場に出てみればこの仕事がどんなものか少しは分かるだろう。お兄ちゃん、マリ…じゃなかった、慶子ちゃんを泣かすような真似するんじゃねーぞ」
なんだかよく分からないうちに採用になったらしい。俺の真面目さがオヤジの心を打ったのか。それとも、俺のような才気溢れる人間はそれを隠しきれないのか。とにかく、これで慶子にぶっ殺されるのは免れた。後は逃走を図るだけだ。
慶子と二人で何度も頭を下げ、「ありがとうございました」などと言いながら土建屋を後にした。
「俺は明日から真面目に働くよ。今まで苦労かけてごめんね」
俺は慶子を油断させる計略の為にそんな言葉を吐いた。だが、俺は嘘はついていない。明日からは、もっと気合を入れてギャンブルを真剣にやるつもりだし。慶子とは今日でお別れ、明日の朝にはどこか知らない土地に出奔するので、慶子に苦労をかけることも無くなる。
俺の言葉にすっかり油断した慶子は上機嫌だった。帰りには近所のスーパーによって、ワインと生ハムなどを買い求め明日からの新生活に乾杯した。
39 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/05/25 10:32 ID:1BHKPIwK
亮ちゃんはダメ人間age
(1)
友達が死んだ。さっきまで参列していた葬式では長ったらしい戒名がつけられていたが、名
をヒロシといい、歳は俺のひとつ下だった。
初めてヤツに会ったのは当時通っていたホール。なんとなく入った大学にも行かず、朝から
晩までひたすらスロットを打っていた頃だった。
その頃の俺は、将来に対する焦躁や屈託を心に募らせ、しかし何の努力もしようとしないガ
キだった。大学に通って、小さな会社に就職して・・・そうしてみんな何者かになっていくの
だとは思うけれど、それを受け入れられない何かが心の奥底でくすぶっている。
しかし「ではお前は何になりたいのだ?」と聞かれたら、まともな答えは何ひとつありはし
ないのだ。答えが見つかるまで、平凡な一市民になる線は保留していたい。しかし、明日明日
と保留し続けていけば、平凡な一市民にさえなれないのだということも分かっていた。
先の見えない日々の中で、スロットの数字だけが唯一リアリティのあるものに思えた。ある
いは、スロットに逃げていたのかもしれない。そして、今も───。
そんなある日、俺が朝イチで狙った台に同時にタバコを置こうとしたのがヤツだった。束の
間にらみ合ったが、苦笑いしながらヤツが引いて俺の左隣に座った。
お互い無言で打ち始めた。思った通り、俺の台は高設定の据え置きだったようだが、ヤツの
台はさらにハイペースでコインを吐き出した。
夕方、いたたまれなくなり席を立った俺を見上げ、「そこらで一杯飲ろう。奢るよ」と言い
ながらヤツも席を立った。目の前で、恐らくは6であろう台を惜し気もなく捨てられ、断り切
れなくなったせいもあり、沈む夕日にせきたてられるように近くの居酒屋へ入った。
話してみると、見た感じより当たりの柔らかいキャラクターで、ヤツが浪人中だという点も
俺の心のどこかをくすぐった。店員はもちろん、常連客ともほとんど喋らない俺が、この男に
対しては急速に心を開いていったから不思議だ。こういうのをウマが合うと言うのだろう。
「遠慮なく飲んでよ。今日の勝ちはシゲさんのおかげなんだし」
「そんなことないって。しかし、まさか隣が本命とはなぁ」
「へへへっ、俺のは『野生のカン』だからね。ハズレたらひどいけど」
「しかし、目押しはうまいね。ミスがないし速いし」
「なんだろうね?割と早くにできるようになったんだよな」
そんな会話を交わしたことを、今でも鮮明に覚えている。
それからというもの俺とヒロシは、まるで年子の兄弟のごとく連れ立って、近所のパチ屋を
押し渡った。互いに決まった女もいなかったから、打ち終わっても離れる理由がなくて、その
まま酒を飲んでは俺のねぐらに転がり込んだ。
ろくに行ってもいない大学はもちろん、高校の頃の友人とも疎遠になっていた俺にとって、
ヤツは一番色濃く付き合う友達になった。そしてそれは、ヒロシにとっても同じだったようだ。
空疎で無目的な、だからこそ楽しい日々に、お互いの現実を語ることはタブーに思えた。俺
はヒロシに「勉強しろ」などと言ったことはないし、ヤツも俺に大学のことなんか聞いてこな
かった。ひたすらその時打ち込んでいる台について語り合うだけで、毎日は飛ぶように過ぎて
いった。ヒロシと離れてひとりになると、相変わらず宙ぶらりんな自分を意識せざるを得ない。
それがいやで、四六時中べったりつるんでいた。
そうして、瞬く間に半年の時が過ぎた。俺も、そしてヒロシも、今日に変わらない明日が来
るだろうと思っていたのに、ヤツは交通事故であっけなく死んでしまった。
(2)
ヒロシがもういない。それは現実として知っているだけで、俺の心が受け入れた訳ではない。
「たまには親の顔を見てくるなんて、殊勝なことを思い付くからだ」
俺は缶ビールを呷りながら、葬式が営まれたヒロシの実家から俺のアパートへ歩いて帰る途
中だった。電車で3区間ほどの距離で、歩くには長すぎたが、そんなことはどうでもよかった。
どこへ行き着きたくもない。ひとりの部屋、宙ぶらりんの現実───。
「ちきしょう、テメェだけ片付きやがって」
俺にできるのは、泣きながら缶ビールを呷り、嗚咽まじりで毒づくことだけだった。
どこをどう歩いたのか、アパートに着いたのは夜中だった。絶えず飲んでいたビールの酔い
と疲労のおかげで、何とか眠れそうな気がする。
しかし、玄関で俺は立ちすくんだ。
台所から二間続きの居間、万年床の脇に、ぼぅっと青白い光を帯びたヒロシが座っている。
「ヒロシ・・・」
恐怖はある。しかし、怪談に聞くような大きなものではない。見ず知らずの他人の幽霊なら
ともかく、相手はヒロシなのだ。
「すんませんシゲさん。どうしてももう一度会いたくて」
我慢できず、俺はまた泣いた。「なんでだよ」と繰り返す俺に、ヒロシはただ、詫びの言葉
を返すだけだった。
「・・・ほんとに、死んじまったんだな」
ようやく落ち着きを取り戻し、確かめるように俺は言った。
「あぁ、俺もまだ信じられないけどね」
「その・・・今のおまえは、俗に言う幽霊ってものなのか?」
「それがよく分からないんだよ。病院のベッドに寝かされてる自分の姿や、通夜、葬式なんか
はずーっと見てたんだけど。葬式あげてもらったら、普通は成仏するんだよね?」
「この世に心を残してるってことか」
「うーん、確かにシゲさんには一目会いたいとは思ってたけど」
「今こうして会ってる訳だが、その、成仏していきそうな感じはあるのか?」
「それがさっぱり。っていうか、成仏していきそうな感じってどんなだよ!」
そう突っ込んでヤツが笑う。俺も少しだけ笑うことができた。
それからヒロシは、今の自分の状態について語った。
「食欲も、性欲も、睡眠欲もない。暑さ寒さも感じないんだ」
「うん」
「移動はテレポートで一瞬って感じだけど、行ったことのない所には行けないみたいだね」
「隣町でも?」
「うん。歩いて移動って訳にもいかないみたいだよ」
「そういえばお前、足はちゃんとあるんだな」
「あぁ。だけど今言った通りだから、足があっても意味なんか無いね」
「無い無いづくしかぁ」
「あと、俺の姿が他人に見えてないことも多いみたいだ」
「それは聞いたことがある。ラジオの周波数みたいなもんらしいな」
「そうなんだ。波長が合うと見えるみたいだね」
「そんなとこか」
「あぁ。何しろ幽霊初日だからね」
「よし分かった。で、俺にしてほしいことはあるかい?」
「うーん、それは考えてなかったなぁ」
「線香あげてお経読んでくれ、とか」
「勘弁してよ、辛気くさい・・・でも、考えとくよ」
「あとな、こんなとこでよければ、いたいだけいてくれよ。俺、平気だからさ」
「うん・・・シゲさん」
「何だ」
「やっぱ会いに来てよかったよ。ありがとう」
そう言い残して、ヒロシはすぅっと消えてしまった。窓の外に目をやると、空はもう夜明け
の色をしていた。
のろのろと布団に潜り込む。疲れているはずだが、眠りが訪れてきそうな気配はなかった。
(3)
ヒロシが生きてようが死んでようが、はたまた幽霊になって遊びに来ようが、俺が抱える現
実は変わることなく、心の中の大部分を占めて俺に何かを迫ってくる。俺は相変わらずそれら
に取り組もうとはせず、苦もなく目をそらし続けていられる世界へと逃げ込む。
翌日こそ眠気と疲労で終日寝ていたが、その次の日にはいつも通りスロットを打ち、晩メシ
を喰って帰ってきた。
「お帰り。今日はどうだった?」
おとといと同じ場所に座ったヒロシが声をかけてくる。
「今日はダメだったよ」
この間までのように、俺は今日の立ち回りについて語った。
「朝イチの二択で間違えたんだね。シゲさんが打たなかった方が6だから」
「あぁ。それっぽい出方してたな」
「それっぽいじゃなくて、あの台は6なんだよ」
「そんなこと、何でお前が知ってるんだ?」
ヒロシは焦らすようにニヤニヤ笑っている。
「お前、まさか!?」
「そう。見てきたんだよ、昨日の閉店後にね・・・なぁ、シゲさん」
「なんだ」
「俺、これから毎日6のありかを教えてやるよ。こんなうまい話、他にないだろ?」
「・・・」
「シゲさんには世話になったし、恩返しだと思ってくれよ」
「しかしなぁ・・・」
「俺達が通ってた3店をローテーションすれば、そんなに怪しまれずに済むって。店員から情報
取ってる訳でもないんだしさ。ま、とにかくやってみようよ」
俺は結局、高設定が打てるという魅力に勝てなかった。そして一旦始めてしまえば、後ろめた
さを押し流す大量の出玉に酔いしれるだけである。連日のように10万円を超える勝ち金を手にし、
最近は勝ち方を演出するようにさえなっていた。朝イチでホールへ行き、ヒロシに教えてもらっ
た台は放置して他で負け、それから散々迷った挙げ句6に着席、というように。
「お帰り。今日も大漁だった?」
「あぁ。店員の視線が痛いくらいだ」
「どれだけ身内調べても、何も出てこないんだから不思議だろうね」
「A店、調べてたのか?」
「みたいだね。昨日なんか、店長自ら設定打ってたよ。社員もバイトも帰した後でね」
「・・・ここらへんが潮時かな?」
「やり方次第でしょ。これからは2日勝って1日負けるとか」
「なぁヒロシ、ずっと気になってるんだけどさ、今のままじゃお前への見返りがないよ」
「見返りねぇ」
「何かしてほしいことはないのか?俺にできること、ないのかよ」
「うーん」
「俺ばっかりいい思いしてたって、やっぱつまんねぇってとこあるしよ」
「・・・分かったよ。ちょっと考えるから」
そうつぶやくとヒロシは、明日の高設定台もおやすみも言わずに消えてしまった。
(4)
それから数日、ヒロシは沈んで見えた。本来幽霊は沈んで見えるべきものだろうが、あれだけ
陽気だったヤツがそうなると、「大丈夫か?」とも言いたくなる。しかし、幽霊にとって大丈夫
とは、どんな状態を指すのだろう? 物思いにふけるヤツの姿を、俺はただ見守っていた。
ある日、ヒロシが意を決したかのように俺に言った。頼みがあるという。
「何でも言ってくれよ。俺にできることなら何だってやる」
「俺、スロットが打ちたいんだ」
「スロット・・・」
俺は自分の鈍さ加減を笑った。ヒロシがやりたいことといえばそれしかないだろう。だが待て
よ? 一体、どうやって・・・
「もちろん俺は幽霊だから打てない。だから、乗り移らせてほしいんだ」
「ははぁ、その手があったか」
「ただ、うまくいっても、その後どうなるかが分からないんだ。危険かもしれないし」
「だから悩んでたのか」
ヒロシに実体があれば、やさしく肩をたたいてやりたいところだ。
「その・・・そればっかりって訳でもないんだけど・・・」
「こんな身体でよかったら、好きに使ってくれよ」
ヒロシが喜んでくれるなら、俺はどうなっても構わないという気持ちがどこかにある。もちろ
ん、死に対する漠然とした恐れはあるが、仮に自分の身体に戻れなくなったとしても、どうして
も戻りたいと思うだけの理由が見つからない。
際限なく保留し続け、スロットだけに没頭する日々は、ゆるやかな自殺に似ていなかったか。
「いいのかい? シゲさん」
「当たり前だろ。どうせならさ、お前が好きだった大花火の6を打てる時にしろよ」
「ありがとう・・・楽しみだなぁ、俺がんばるからさ」
「負けてもいいぜ? 金なんかいくらでもある」
「あ、言いやがったな。忘れたのかよ、初めて会った時、俺はシゲさんより出したぜ」
「ははは、そうだったな。あん時は参ったよ」
俺達は久し振りに笑いながら、夜明けまで昔話に花を咲かせ続けた。
連投スマソ。ニーズがあれば続きを書きます。
いいよいいよー
続きキボンヌ
53 :
常居接人:04/05/25 22:29 ID:gbMy9OVV
翌朝午前5時、マンションを出た俺は、その足で駅へと向かった。もちろん土建屋に向かったわけではない、行き先は決めあぐねていたがとりあえず北へ向かった。
大宮で下車した俺は、駅前をぶらつく。時間は7時15分、金を下ろすためにコンビニへ向かった。
「資金は充分にある。あとはこれを有効に増やすことだ」
ギャンブルでの勝ち金や余った金は銀行に入れていた。その成果は、預金残高350万という結果を残した。ATMで5万円下ろし、今日の仕事場を決める為にマックへ向かった。
新聞によると、今日は大宮競輪が開催しているようだ。だが、今日は競輪の気分じゃない。パチ屋で北斗の気分だ。
9時ごろマックを出た俺は、駅近辺でもっとも大きいホールを見つけ、行列の最後尾に並んだ。なかなかの店だったら暫らくここをネグラにしよう。
足元の吸殻が5本目になったとき、開店の合図があった。データ不足だが、そんなことは気にしちゃいられない。適当な台に腰を下ろし打ち始める。
時計が10時40分を回った頃、ラオウ登場、7揃い、赤オーラ。期待していいかも。
19連で終了、良い結果だ。このまま波に乗っていこう。この日は終日居続けて1万2千枚。上々の滑り出しだ。暫らくこの街で稼ごう。
スキップしたくなる心境で交換所をあとにした俺は、ビジネスホテルにチェックインし、明日以降の行動を考えた。そして、「慶子がこの街にきませんように」と神に祈った。
54 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/05/25 22:50 ID:lO24EoPU
なかなか面白いじゃん、お気に入りに追加。
皆、がんばれ。
俺もそのうちフィーバー機誕生の頃の話で参加するよ。
56 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/05/26 10:27 ID:zA59MnIa
まだー
>>52,54
さんくす。それではお言葉に甘えて
(5)
それから3日後に、決行のチャンスがやってきた。
「シゲさんはいつも通りに店へ行って、頃合を見て208番台に座ってくれ」
「2〜3台他を打ってから、だな」
「208番も打っててくれて構わないよ。俺は昼過ぎからでいい」
「分かった。で、乗り移られる時はどうすればいいんだ?」
「特に何も無いと思う。じゃぁ、頼んだよ」
「あぁ、行ってくる」
いつものホールへ向かいながら、俺は昨夜のことを思い出していた。俺が乗り移りのリハーサ
ルをやろうと言うと、それまで陽気だったヒロシが不意に黙り込んでしまったのだ。
自分では名案を出したつもりだったし、乗り移られるということにやはり不安はある。前もっ
て一度経験しておくことは無駄ではないと思い、なおもやってみようと持ちかけたが、ヒロシは
薄く笑って取り合わず、「じゃ、明日」と言い残して消えてしまった。
どこか悲しげで、何かを諦めたようなあの微笑みは、一体何を意味するものなのだろう。
何となく浮かない気分のまま、俺は大花火を打ち始めた。このところの荒稼ぎでよく分かった
ことだが、あらかじめ6だと知っている台を打つのは単純労働に似ている。つまり、金を稼ぐため
の作業なのだ。溜めたポイントでたまに打つのならともかく、毎日では感覚が麻痺してしまって、
心から面白がることができない。
そして、そのせいでもないだろうが、大花火の出玉はなかなか伸びなかった。ヒロシとの約束
が無かったら、例え6でもぶん投げたいところだ。
(ヒロシのやつ、さっさと来てくれねぇかな)
そう思ったまさにその時、まるで金縛りにでもあったかのように身体が動かなくなった。
「シゲさん、聞こえるかい?」
小声で俺が喋っている。いや、ヒロシが俺の身体に乗り移り、俺に語りかけているのか。
「うまくいったみたいだよ。シゲさん、苦しくないかい?」
苦しくはないが、自由に動けないからちょっと不安だよ。聞こえるか、ヒロシ。
「一方通行になっちまうのか」
意思の疎通が図れないということに、俺はまったく別の不安を感じた。もしヒロシがその気に
なったら、俺はこのまま・・・。
「そっちの状況は分からないけど、しばらく楽しませてもらうよ」
そう言うとヒロシはひとつ深呼吸をし、ゆっくりとベットボタンに手を伸ばした。
レバーを叩き、リールを直視し、ボタンを押す。さんざん一緒に打った相棒だが、自分の身体
を使ってこうも見事にやられると、改めて感心せざるを得ない。速くて正確で、だから一連の動
きに無駄がない。ローチャンスは高速で、ハイチャンス時は確かめるようにゆっくりと、台との
対話を楽しんでいるように見える。
そんな打ち手を得て、台も目を覚ましたようだ。予告音+左下段BARから右ズレ目、中に「リ
プ・山・リプ」は、ヒロシが一番好きだと言っていた入り目。山付き七の右上がりテンパイ。レ
バーオン即大当りのプレミアまで飛び出して、出玉はぐんぐんと伸びていく。
「やっぱ楽しいなぁ」
ハズシはすべてBARビタ。しかも保険なし。お世辞にもうまいとは言えない俺の身体を使って
やすやすとやってのける。俺は感じていた不安を忘れ、ただただ見とれていた。
(6)
「そろそろ、かな」
ヒロシのつぶやきで俺は我に返った。人もまばらになったシマで、灰皿掃除の老婆がせわしな
く動き回っている。
不意にヒロシが手を止めた。
「覚えてる? シゲさんが『成仏しそうな感じ』って言ったこと。あれ、なんとなく分かるよ。
俺、そろそろこうしていられなくなるんだと思う」
愛しそうに大花火の筐体を撫でながら、ヒロシは続ける。
「俺がやりたいことっていったら、やっぱコレしかなかったよ。ただ、この世に執着を残してる
から幽霊でいられるんだろうし、こうしてスロット打てば、成仏ってのかな、俺、消えちゃうん
じゃないかなって・・・。だからずっと迷ってたんだよ」
待てよ、ヒロシ。
「実はさ、シゲさんがリハーサルをやろうって言った時も迷ったんだ。試しに乗り移ってみて、
俺の執着心の方が強かったら、そのまま乗っ取れると思ったんだよ。・・・汚ぇよな、俺」
ヒロシの微笑みを思い出す。あれは確かに何かを諦め、吹っ切った者の表情だった。
「だから、シゲさんがスロット打ってる時にしか乗り移れなかったんだ。もうすぐ俺が消えれば、
シゲさんは元に戻れるはずだよ」
閉店を告げる「蛍の光」が流れ始めた。
「シゲさん、俺・・・もっと生きたかったよ」
視界が滲んでいる。ヒロシが泣いている。
「もっともっと生きたかった。もっとシゲさんと遊んで、でもこっそり勉強もしてさ。来年はシ
ゲさんと同じ大学に入って、びっくりさせようと思ってたんだよ」
頬を伝うのはヒロシの涙なのか、俺の涙なのか。
「俺の分まで生きてくれなんて言わないけど、今俺が言ったこと、忘れないでいてほしいんだ」
待てよ、待ってくれよ!
「シゲさん、本当にありがとう・・・さよなら・・・」
ぐぅっと身体が重くなって、自分が元に戻ったことに気付いた。あたりを見回してみたが、ヒ
ロシの気配はもうどこにも感じられない。
本当に行っちまったのかよ、ヒロシ・・・。
「閉店です。コインをお預かりしてよろしいですか?」
不審そうに尋ねる店員にうなずく。ジェットカウンターに飲み込まれるコインをぼんやりと眺
めレシートを受け取ると、景品と交換せずにホールを後にした。
これはヒロシのものだ。四十九日に墓の前で燃やしてやるんだ。
アパートへの帰り道を歩きながらタバコをくわえ、夜空を見上げる。
今度こそヒロシはいなくなった。心には相変わらず大きな穴が開いている。しかし今はそこを
塞ぐ、何だかあたたかなものが感じられる。
もっと生きたいと願いながらも、ヒロシは俺の身体を乗っ取ろうとはしなかった。狙いの台を
競った、初めて会ったあの日のように、ヤツは俺に、今度は「生きること」を譲った。
ヒロシの方が生きるべきだった。ウジウジとそう思いながらこの先を生きていくのはまっぴら
ごめんだ。多少出方がシブくても、俺は俺が選んだ台のベットを押し、レバーを叩かなければ。
際限のない保留なんて、スロッターのすることじゃねぇよな、ヒロシ。
レシートをしまった胸ポケットをポンと叩いて、俺は少しだけ微笑んだ。
「もうそろそろ」
街の明かりのせいで頼りなく見える星々に、小声でつぶやいてみる。
「足を洗おうかな」
(完)
63 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/05/26 12:32 ID:zA59MnIa
ホゲしく乙!!
あ、あれ・・・なんだか目からヨダレが出てるよ・゚・(ノД`)・゚・
ホイコーロー面白かったよ
>>63,64
さんくすです。
まァ、話自体はありがちなんですが
幽霊でもいいから、もう一度会いたい友達って
誰の心の中にもいるんじゃないかなって思ったのが
これを書いたきっかけです。
今度は明るいの書きますw
>>55 期待してます。
旬になって参りましたGJ!!
67 :
常居接人:04/05/26 23:06 ID:yfJ6LFTy
大宮で打ち始めて1週間が過ぎた。初日こそ大勝をしたが、その後はマイナスや利益が4桁なんて日々が続いた。
「俺の必勝理論。すなわち真理が間違っているのか」
自問自答をしながら、昨日から契約したウイークリーマンションに帰る。今日の収支は3万円のマイナス。初日の勝ち分も心もとなくなってきた。
「明日は気分を変えて川口(オート)にでも行ってみるか?それとも、スロットを打つか?難しいな」
呟きながら睡魔が襲ってくる。今日もいい夢はみれそうにない。
翌朝は8時ごろ目が覚めた。最近は睡眠時間が一定していない。精神のバランスが崩れているようだ。
「今日は休むか」
駅前のマックで朝食を取りながら今日は休むことに決めた。今はバイオリズムが悪い、こんな時は無理にあがかないでおこう。これも真理だ。
さて、休むといっても何をするかが思い浮かばない。とりあえず思いつくまでマックで粘る、しかし今日は仕事すなわちギャンブルをしないと決めると今度は、無性に打ちたくなった。
10時30分ごろ、俺はパチ屋にいた。休もうと思っても結局仕事をしてしまう、俺はどうしてこんなに勤勉なんだろう。所謂ワーカホリックって奴なのか?
その日は北斗が一杯だったので信長を打つことにした。設定が良くないようで、2万円投資するが何もなし。結局昼過ぎにはマンションに帰っていた。
「心にゆとりをもつ為には何が必要なのか」
ビールを飲みながら俺はまったりしていた。ゆとり、これが非常に大事だと俺は気付いた。冷静になって考えれば、今俺のそばには俺に文句を言い、腕力に訴えることもしばしばある慶子はここにはいない。
つまり、今の俺はゆとりをもって行動ができるはずである。それなのに、俺はゆとりを忘れていた。時間はかかったが、このことに気付いた俺はやはり頭脳明晰だ。
「心配はない。今の俺にはゆとりがある」
ゆとりを再確認する為に俺は、2本目のビールを開け読書に勤しんだ。
68 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/05/26 23:45 ID:W74100/n
亮ちゃんの読書はマンガっぽいw
69 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/05/27 13:28 ID:icvUeKKh
ほしゅ!
稀に見る良スレだ
マジで感動した
71 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/05/27 16:25 ID:rWsk9sur
ホイコーロー
常
乙!!
オマエラ最高!!
72 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/05/27 17:06 ID:tHLUIsJf
ホイコーローさんおもしろかったっす。
最後は雀ごろブルースだね
さんくす。素でうれしいです。
>>72 知ってる人キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
これもうれしいなァ。
俺がこういう物を書く時は、常に阿佐田さんリスペクトです。
シゲさんがこれからの人生を見つめ直す時
「よし、がんばるぞ!」みたいなテンションにはしたくなかったんですよね。
で、あのセリフを言わせてみたという訳です。成功してるといいんですがw
阿佐田さんの短編集では「ギャンブル党狼派」が特に好きです。
74 :
常居接人:04/05/27 23:53 ID:vYU1DUgf
「心にゆとり。心にゆとり」
頭の中でこの言葉をエンドレスで呟きながら、俺は今日もいつものホールにいた。北斗を打ち、BBをゲットした瞬間、不細工なオヤジが声をかけてきた。
「兄ちゃん、皆勤賞だね。ところで、スロット以外に興味はないの?」
オヤジの言葉は唐突だった。俺は泡を食った。「あの、その」などと答えにならない答えをしているとオヤジが呟いた。
「マージャン好きかい?好きだったら面白い店があるんだよ」
オヤジの言葉に泡を食ったまま頷くと、オヤジは「駅前のシャガールって茶店にいるから」と言い残しホールを後にした。2時間後、俺はシャガールでオヤジと向かい合ってコーヒーを飲んでいた。
「さてと、まず自己紹介させてもらおうか。俺は、その雀荘の営業担当なんだ。常連になってくれそうな人を、パチヤとか競輪場で探すのが仕事なんだよ。俺の名前は太田。太田のおっさんとでも呼んでくれ」
コーヒーを飲みながら俺は太田の風貌を改めて見直した。不細工だ、きっと頭脳も明晰ではないだろう。こんなおっさんに俺が嵌められることはないな。心にゆとりを持ちながら俺は尋ねた。
「面白いジャンヤってなに?」
俺も一流のギャンブラー。行きつけのジャンヤなんていくらでもある。おっさんがつまらないことを言ったら伝票を掴んで立ち去るつもりだった。
「くくく、面白いぜ。一局清算なんだ、でレートはデカピン。連荘すればスロットより稼げるぜ」
おっさんの言葉はまことに胡散臭いものだった。だが、今の俺は心にゆとりがある。ゆとりある心で考えれば、おっさんの店は稼げるかもしれない、美味しいかもしれない。俺はおっさんの言葉に乗って、そのジャンヤに向かうことにした。
「ここの507号室だよ。どうする、今日は顔見せだけってこともできるぜ。打ってくれるんならこっちはありがたいけど」
おっさんは俺を小ばかにしたような表情で言った。馬鹿め!俺は天才、そのことを知らずにこんな店を紹介したことを後悔するなよ。
「打たせてもらうよ。その前に金下ろさせてくれよ」
今の所持金は5千円しかなかった。これでは52のフリコミでパンクだ。天才と言えども事故は防げない。
「くくく、最低でも6桁下ろした方がいいぜ」
おっさんの言葉に俺はムカツイタ。舐めるな、けつの毛まで抜いてやる。金を下ろした俺の気力は充実していた。
75 :
常居接人:04/05/27 23:55 ID:vYU1DUgf
「心にゆとり。心にゆとり」
頭の中でこの言葉をエンドレスで呟きながら、俺は今日もいつものホールにいた。北斗を打ち、BBをゲットした瞬間、不細工なオヤジが声をかけてきた。
「兄ちゃん、皆勤賞だね。ところで、スロット以外に興味はないの?」
オヤジの言葉は唐突だった。俺は泡を食った。「あの、その」などと答えにならない答えをしているとオヤジが呟いた。
「マージャン好きかい?好きだったら面白い店があるんだよ」
オヤジの言葉に泡を食ったまま頷くと、オヤジは「駅前のシャガールって茶店にいるから」と言い残しホールを後にした。2時間後、俺はシャガールでオヤジと向かい合ってコーヒーを飲んでいた。
「さてと、まず自己紹介させてもらおうか。俺は、その雀荘の営業担当なんだ。常連になってくれそうな人を、パチヤとか競輪場で探すのが仕事なんだよ。俺の名前は太田。太田のおっさんとでも呼んでくれ」
コーヒーを飲みながら俺は太田の風貌を改めて見直した。不細工だ、きっと頭脳も明晰ではないだろう。こんなおっさんに俺が嵌められることはないな。心にゆとりを持ちながら俺は尋ねた。
「面白いジャンヤってなに?」
俺も一流のギャンブラー。行きつけのジャンヤなんていくらでもある。おっさんがつまらないことを言ったら伝票を掴んで立ち去るつもりだった。
「くくく、面白いぜ。一局清算なんだ、でレートはデカピン。連荘すればスロットより稼げるぜ」
おっさんの言葉はまことに胡散臭いものだった。だが、今の俺は心にゆとりがある。ゆとりある心で考えれば、おっさんの店は稼げるかもしれない、美味しいかもしれない。俺はおっさんの言葉に乗って、そのジャンヤに向かうことにした。
「ここの507号室だよ。どうする、今日は顔見せだけってこともできるぜ。打ってくれるんならこっちはありがたいけど」
おっさんは俺を小ばかにしたような表情で言った。馬鹿め!俺は天才、そのことを知らずにこんな店を紹介したことを後悔するなよ。
「打たせてもらうよ。その前に金下ろさせてくれよ」
今の所持金は5千円しかなかった。これでは52のフリコミでパンクだ。天才と言えども事故は防げない。
「くくく、最低でも6桁下ろした方がいいぜ」
おっさんの言葉に俺はムカツイタ。舐めるな、ケツの毛まで抜いてやる。金を下ろした俺の気力は充実していた。
76 :
常居接人:04/05/27 23:58 ID:vYU1DUgf
二重カキコ申し訳ない。
74は飛ばして
続きがきになるよぉ
わくわく
78 :
常居接人:04/05/28 21:56 ID:Px2aVXnY
507号室に入ったとき、2卓が立っていた。室内にはジャン卓が4っつあり立っている2卓からはギャンブルの匂いが漂っていた。
「いらっしゃいませ。初めてのお客様ですね」
高価そうなスーツに身を包んだ男が声をかけてくる。
「兄ちゃん、オーナーだよ」
太田にオーナーと呼ばれたその男は若かった。俺とプラスマイナス3,4歳と言った感じだった。
「それでは、ルールを説明させてもらいます」
オーナーは俺の横に座りルールを説明し始めた。この若さで店を持つだけあって彼の身体からはオーラが出ていた。
『この男は、俺がギャンブルで大成する為のライバルになるかもしれない』
俺がそう考えていると、男はルールを書いた紙を持ち出した。
「基本ルールはアリアリです。パオは大三元、大四喜で発生します。親で連荘したとき以外は清算後抜けられます。ゲーム代は一局300円です」
男の言葉には淀みがなかった。この若さで随分落ち着いている。俺は、この男を倒さなければならない気がした。
俺は出してもらったアイスコーヒーを飲みながら対局中の卓を覗いていた。
「抜けるよ」「俺もだ」一挙に2人が抜けた。待っているのは俺だけだったので「私も入りましょう」とオーナーが言った。早くも奴との対決だ。俺は軽い興奮を覚えた。
79 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/05/29 00:09 ID:4bvGJvd2
まだー ワクワク
80 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/05/29 00:39 ID:8XC5NJj5
麻雀やりたくなってきた ワクワク
81 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/05/29 00:41 ID:WhVTvd6B
おまえの秘密の花園の
そこからずっと奥の方
3つの深い洞穴が
おまえの熱い情熱の
雨を俺に注いでくれる
だから俺は愛情と
この激情を胸に抱き
雨と泥にまみれつつ
俺の太い決心を
硬い硬い決心を
おまえの秘密の花園の
一番々々中心に
熱く激しく注ぎ込む
こうして二人の愛情の
決意はやがて一つとなり
一つの結晶を産み出そう
そうだ!二人の戦いの
大事な大事な成果を・・・
82 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/05/29 00:45 ID:WhVTvd6B
今日はいったいどうしちまったんだ!
どれだけタマを突っ込んでも ちっとも数が揃わねぇ
大当たりに見放され 確変なんて夢の話だ
どんなにどんなにつぎ込んでも
おまえはずっとシランプリして
俺のタマを吸いつづけている
こんな時に ノッてくれないなんて!
今日はお前に張り付いていたい気分なのに!
いつもの調子でやっていたならば
ちょっとタマを仕込んだだけでもさぁ
それはチャッカーに吸い込まれて行き
いい音させて ドラムは回転
そして 大当たりの連続で
どんどんどんどんだしてくれるのに
こんな時にノッてくれないなんて!
今日はお前に張り付いていたい気分なのに!
いろいろ台を変えてみた所で
どの台も俺の期待に応えてくれない
いつもならば俺が突っ込めば突っ込むほどに
いい音させてどんどん回ってくれてさぁ
ドバドバ出してくれるってぇのに
今日はとことんシケてやがるゼ
こんな時にノッてくれないなんて!
今日はお前に張り付いていたい気分なのに!
83 :
常居接人:04/05/29 01:34 ID:My3++PCo
俺は南家スタート、オーナーは北家だった。対面にライバルがいると燃えるものだ。
『そのすました面を歪ませてやるぜ』
俺は闘志を燃やし、配牌を取った。配牌は悪くない。タンピン三色が充分に狙える。ドラの6ソーが一枚、これをアタマにできれば最高だが…
オヤの禿オヤジが北を切った。西家のやばい商売風のおっさんが一鳴きする。一局清算なので、でかい手を警戒。
「増田さん。いい手なんですか?」
オーナーがやばい商売風のおっさんに聞く。増田と呼ばれたおっさんは微笑みながら
「みんな手が早いから。こうでもしないと追いつかないんだよ」
と言っていたが、そんなセリフを信用するほど俺は甘くない。
俺の第一ツモは6ソーだった、最高のツモだ。この感じならあっさりと跳満や倍満をモノにできるかもしれない。
俺は、将来危険になりそうなハツを早めにきった。増田が少し考えて
「それか…それはポンだな」
ハツを二枚曝す。まずい、早い手作りをしないと増田に先を越される。
その後の俺のツモは順調で8順めには234の三色ができあがり、六萬の周辺か6ソーとその周辺、または東を引けば聴牌だった。
イーシャンテンでじりじりしていた時、オーナーが少し考え込み、
「しょうがありませんね。増田さんと本多さんが怖いんで、アガッておきましょう」
オーナーの手はチートイツモ。俺は黙って千円札を渡す。200円の釣りを受け取りながら俺はひそかに闘志を燃やした。
『面白いじゃないかこの男。俺のステップアップの相手に相応しい必ず倒す』
決意も新たに親番が回ってきた俺はサイコロボタンを押した。
84 :
常居接人:04/05/29 14:48 ID:My3++PCo
サイコロの出た目は8左から牌を取っていく。
「ところでオーナーさん、まだ名前聞いてなかったね」
俺が最初のライバルと決めた男、その名を聞いておいても損はない。
「申し遅れました。神山と申します、本多さんよろしくお願いします」
神山は、これから俺に食い殺されるとも知らずに冷静な口調だった。ライバルよ、俺の血肉となれ。
配牌は良くなかった。手が重く、高くなる気配もない。こんな時こそゆとりが必要だ。俺はまた「心にゆとり。心にゆとり」と頭の中で唱えた。
「リーチ、かけるか」
7順目上家のハゲが牌を曲げる。俺の一点読みによると1・4萬待ち、ここで振るわけにはいかない。
だが俺の手牌は最悪。アガれる手でない上に安牌もない。とりあえずは1・4萬を切らなければいいのだが、事故もありうる。俺は無難に西を切った。
西は通り、増田、神山の順に牌を切る。ハゲが気合を入れた手つきで牌山に手を伸ばす。
「一発でもってこい!!」
ハゲの気合は空振りに終わった。数順後、ハゲが「あちゃー、安目だ」素っ頓狂な声をあげる。三色崩れのメンピンツモ、1300円支払いながら俺はほくそえんだ。
『こんな安手じゃ俺の息の根は止められない。せいぜい小銭を稼いでな」
俺はゆとりある心で勝負手が入るのを待った。
85 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/05/30 11:56 ID:adBzbGo/
マージャン死闘編はルール知らんのでよくわからん
佐々田哲也マンセーなオサーンにはいいかもしれんが
そろそろ徹夜明けでスロ屋にならぶ編にしたほうがいいんちゃう?
86 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/05/30 13:33 ID:+yoydj/z
別にリレー小説じゃないのだから好きなストーリーを書けばいいさ
(あんまり内容が下品とかだとまずいけど)
気に入らないなら85が自分の好きな物語書けば?
並行して複数の物語読むのは難しい事じゃないし
88 :
常居接人:04/05/30 22:42 ID:/jquTTmc
13局目、俺のゆとりも限界に近付いていた。ココまでで俺が和ったのはクイタンドラ1とピンヅモだけ。おまけに、前局では増田に中ドラ3を振り込んでしまった。
配牌を取る手に汗がにじんでいた。落ち着け、落ち着くんだ俺。配牌は落ち着いていられる手じゃなかった。
ドラの白がいきなりアンコ、おまけにピンズもトイツで多く含まれ、上手くいけば最低でも倍満、最高なら役満という感じのご機嫌な手だった。
『これだ。これこそが天才の証。これを和って貴様らの面を青ざめさせてやる』
やっときた勝負手に俺は興奮していた。これを和がりきれれば風が吹くはず。俺はいつもより気合を入れ、なおかつ、それを相手に気付かれないように注意した。
俺の気合は空しく、ツモる牌はムダヅモばかりだった。ギャンブルの神は俺に苦労させるのがお好きなようだ。
中盤に差し掛かりようやく神が俺に微笑みかけたようだ。要の牌を立て続けに引き込み、ツモりスーアンコのイーシャンテンになった。
「ポン」
俺の捨てた中を神山が鳴いた。まずい、安手で蹴りにきたか?だがこっちも勝負手だ、降りるわけにはいかない。2順後に、イーピンを引き込み聴牌。気合と共に9ピンを切る。
誰からも声はかからなかった。さあ来い!3ピン、西、ツモれば役満出ても3倍満カモーン!!
「本多さんが怖いですね。何を切れば」
神山が悩んでいた。ライバルよ、3ピンか西を切って楽になるがいい。俺は神山が振り込むことを期待しつつ久しぶりにマージャンで興奮していた。
ピッ、ピッ、ピッ、ピッ……。
慣れた手つきで暗証番号を押していく。もう何百回、同じ事を繰り返しただろうか。
ハタチの時に作った○井のカードを皮切りに、今では6枚のカードが俺の手元にある。
しかも借り入れ金額はいつも限度額一杯。残高を見る度に吐き気がしてくる。
現在の借金総額は300万。一体どこでどうなれば、これだけの金額になるのか…。
今となっては全く想像もつかないが、これが紛れもない2004年の俺のリアルだ。
この10年、台は変われど同じ愚行をエンドレスで繰り返してきた。
確かに食っていた時期もある。クランキーコンドルを始めとした技術介入マシンが全盛の頃だ。
当時は最低でも月30万、多い時には80万ほどのアガリを得ていた。
まあ、所詮はそんな金もあぶく銭…今となっては何に使ったのかすら全く思い出せない。
付き合っていた彼女も離れていった。友達もいなくなった。スロ三昧で行かなくなった大学も辞めた。
こんな生活を送っていれば当たり前の話だが、最近では親もよそよそしい態度を取り続ける。
自殺を考えた事も数知れず、睡眠薬の量を間違えて病院に運ばれ未遂に終わった事もあった。
そういう過ちを何度繰り返しても一向に借金が減らないのは、ひとえにパチスロの魔力のなせる業だろう。
手元に現金があれば仕事そっちのけで、朝イチからいきつけの店へ並び、北斗の狙い台へタバコを投げ込む。
そしてオケラになるまで修行僧のように黙々と打ち続けるのだ。
結果、金が尽きればまたバイトの日々…。
「やってらんねーよ」
「どっかに100万くらい落ちてねえかな?」
気がつくとこんな意味のない台詞を吐いている。そしてコンマ数秒後には
「おめー自身が悪いんだよ」
「落ちてるわけねーだろ、負け犬」
と、意味のない自己否定。
そろそろこんな生活から抜け出したい…と、本気で考えていた。
「やっぱ人生、金だよな…金」
そんな事を呟きながら、いつものようにスポーツ新聞の求人欄へ目を通す。
変わりばえのしない三行広告に目を通しているとき、急に「それ」が視界に飛び込んできた。
『カジノディーラー・基本給30万月100万以上可寮完備 090-****-****』
「カジノで働いて月100万!? オイシすぎんだろ…これ。しかも寮完備だったら家も出られる!」
根っからのギャンブル好きな俺は、1も2もなく載っていた携帯番号に電話をかける。
ドキドキしながらダイヤルをプッシュする…。と、2、3度コールしたあとに出たのは若い女性の声だった。
ドスの効いた恐ろしい声色を想像していた俺は、少し拍子抜けしながらもホッと胸を撫で下ろす。
「あの…新聞の求人見て電話したんすけど」
「あー、ちょっと待ってね。今代わるから」
次に電話口へ出たのは男だった。
ちょっと低めの落ち着いた声で、紳士な雰囲気を醸し出している。
そのまま年齢や住所など簡単な事を聞かれ、出来れば今日にでも面接に来て欲しいとのこと。
「じゃあ、今日の19時に伺います」
そう言って電話を切り、昂揚した気持ちを落ち着かせるためにタバコへ火を付ける。
「今度こそ…今度こそ全部リセットしてやる。もう金に追われる生活はまっぴらだ!」
俺はくわていたタバコを靴の裏で踏み消し、意を決して指定された場所へと向かった…。
92 :
新人 ◆.RTG/gyMgc :04/05/31 00:48 ID:BcdFVv5V
皆様、はじめまして。
>>89-
>>91は俺が書いてます。
反応が良ければ続きを書こうと思います。(悪ければ即ヤメw)
つたない文章で申し訳ないっす。
93 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/05/31 04:54 ID:Mj1gQph2
>>92 イイヨイイヨー(・∀・)イイヨー!!
もっと書いて書いて!
95 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/05/31 12:13 ID:ykq1SaQk
新人サン、続きヨロです!ガンバレー
常居接人サンの続きも気になる... (*´Д`)ハァハァ
うほっ、盛り上がってるねぇ。
>>92 読んでますよ。ぜひ続けてください。
電話で伝えられた場所は、S区にあるマンションの一室だった。
「ホントに…こんな所にカジノなんてあんのかよ?」
名前を聞けば誰でも知っているような昔からの高級住宅街だったので、
にわかには信じられない思いでいっぱいだった。
最寄りの駅から携帯で連絡を取り、場所の詳細を聞いてトボトボと歩く。
暫くして辿り着くと、そこには新築に近いような12階建てのマンションがそびえ立っていた。
「マジかよ…こんな所にカジノ? ありえねえ…」
と、少し興奮気味だった俺は訳の分からない事を呟く。
マンションは当然オートロックになっており、
エントランスから部屋番号を押してブザーを鳴らす。
すると、最初に電話した際に話をした女性が応対に出た。
「あの…先ほどお電話した相田と申しますが」
「あー、さっきの子ね。ちょっと待ってて、今開けるから」
その言葉と共に、ぶ厚いガラスの自動ドアが静かに開く…。
いよいよだと思うと、心臓の鼓動が高鳴るのを抑えられなかった。
玄関に入ると、ちょっとケバめの綺麗なお姉さんが出てきてくれた。
年の頃は30歳前後だろうか。靴を脱いで上がると、足の裏に何か感触がある。
よく見ると、それは床に敷いてあるかなり大きなトラ皮の絨毯だ。
“趣味悪ぃな……今どきトラ皮かよ”
などと思いつつ、奥の部屋へ通される。ガチャリ、とドアを開けると、
オールバックに上品そうな髭をたくわえた40代の男が窓際に立っていた。
「おぉ、よく来たね。まあそこへ座って」
先ほどのトラ皮に勝るとも劣らないような、革張りのソファを指さした。
俺はおずおずとそこへ腰を下ろす。
「失礼します」
ほどなく男は俺の真正面に座り、話を始めた。
「新聞の求人を見て、仕事内容は大体想像出来てるだろうけど、ウチはカジノだから。
まあ、あらゆる意味でちょっとしたリスクみたいなものがついて回ると思うんだけど、
そのぶん頑張ったヤツには金を払う。そういう趣旨をキミは理解出来るかな?」
こういった裏賭博には危険が付き物、という事実は百も承知だ。
俺は躊躇せず「はい」と答えた。
皆さん、ありがとうございます。
まだまだ未完成の作品なので、自分自身もどこへ辿り着くのか
分からない部分がありますが、宜しくお願いします。
つか、えらい長くなりそうな悪寒…(;´Д`)
100 :
常居接人:04/05/31 22:36 ID:iIiObhxX
「まあ無難にいきますか」
神山はそう言うと安牌の9ピンを切り出した。今の状況を俺は心のどこかで楽しんでいた。
『持ってきやがれ!!』
ハゲが切った後、俺は心の中で絶叫していた。ツモれば三万二千円プラスご祝儀が一万円オールしかし、持ってきたのは9ピン。俺は嫌な予感がした。
ハゲと増田は完全にオリ気配。神山が何とか安手で阻止しようと言う構え。ハゲと増田は神山になら振っても構わないといった構え。出アガリが期待できない分俺の方が不利だ。
次順俺は卒倒しそうになった。またしても9ピン、ギャンブルの神は俺をからかうことが本当にお好きらしい。じりじりしながら俺は頭の中でまたもや「心にゆとり」とエンドレスで唱える。
神山もテンパッているらしく、そのクールな顔が少し熱を帯びていた。しかし、奴もツモれずじりじりしている様子だった。
残り10枚、俺は牌山に手を伸ばしツモる牌に触れた瞬間、手ごたえを感じた。
『この感触は?まさか』
盲牌した瞬間、字牌であることが分かった。指を汗で濡らしているせいでそれ以上のことは分からなかった。俺は祈るような気持ちで牌に刻まれた文字を覗き込む。
「きたぁ!!八千・一万六千!!!」
俺は思わず叫んでいた。天才が恥ずかしいことを。と考えたが叫び声を抑えることはできなかった。
ツモってきた西を卓に叩きつけ手牌を開ける。ハゲが「ツモられたか」と呟き。増田が「ひえー。おっかない手だな」と言った。
「本多様。おめでとうございます」
神山がそう言いながら一万八千円を渡した。俺は最高の気分でそれを受け取った。
「参ったな。俺抜けるよ」
金を払ったハゲがそう言って立ち上がった。これから俺の風が吹くのになんて勝手な奴だ、俺は時間を空けずに次に行きたいのに。
101 :
常居接人:04/05/31 22:41 ID:iIiObhxX
今まで原稿を上げるのが精一杯で感想や励ましの言葉を頂いた皆様に返事を書けませんでした。
申し訳ありません。最近時間的にも余裕が出てきたので、読者の皆さんには返事を書きたいと思います。
これからも宜しくお願いします。
102 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/06/01 02:11 ID:C77W2XyT
>>101 気に寸奈YO!書いてくれればそれでありがたいんだから。
103 :
常居接人:04/06/01 17:46 ID:+j/P+9R5
ハゲが店を後にして20分後、新規の客はなく、立っている卓の方も抜けるものはいなかった。俺は身体からはギャンブルの熱が引いていくのを感じた。
「神山さん。俺も抜けるよ」
熱が引いた今、ここに居続けるのは得策じゃない。俺の言葉に神山はにこやかに
「申し訳ありません。本多様、またのお越しをお待ちしています」
神山の言葉を背に俺はマンションを後にした。今の時間は午後6時、パチヤに行く気にもならず家路を急いだ。
ネグラに戻った俺は、ビールを飲みながら今日のことを思い返した。自分の才能を再確認しながら俺は、明日から自分に追い風が吹きまくるであろうことを感じた。
「やっぱり俺は天才やな」
何故か関西弁になりながら勝利の余韻に浸る。いい気分だった。
「たまには外で飲むかな」追い風の時は派手に動く。これが俺のやり方だ。俺は身支度をするとネグラのマンションを出て、大宮の街へ向かった。
適当な店に入り、適当に酒と肴を注文しカウンターでで飲んでいた。暫らくするとちょっとマシな女が隣に座った。
「おねーさん。一人?」
考える間などなく、俺は声をかけていた。女は艶然と微笑むと「そうよ。お兄さんは?」と聞き返してくる。俺は追い風を感じながら
「そうだよ。一緒に飲まない?」と言うと、女は頷いた。やはり追い風だ、追い風の時は派手に動く。これも真理だ。
その後、記憶がなくなるまで飲んだ。翌朝目を覚ますと見知らぬホテルで女と同衾していた。
いつも楽しく読ませていただいております。
続きが気になるよー
わくわく
105 :
常居接人:04/06/01 23:05 ID:+j/P+9R5
>>104 ありがとうございます。
今から原稿に取り掛かります。
これからも宜しくお願いします。
106 :
常居接人:04/06/01 23:31 ID:+j/P+9R5
「夕べの女とやっちゃったんだ…まあいいか、溜まってたしな」
俺は呟くとタバコに火をつけた。煙と、匂いで女が目を覚ました。
「亮ちゃん、起きてたんだ。昨日は凄かったんだから」
女の表情はエロい雰囲気を醸し出していた。俺は覚えていないとも言えず女に微笑みかけた。
「君が魅力的だから…」
そこまで言うと女は俺が咥えたタバコを奪うと、美味そうにそれを吹かしながら
「君、なんて、他人行儀なんだから。香って呼んで」と言うと再び俺にタバコを咥えさせる。
「そんなに俺凄かった?」テクニックには多少自信はあった。覚えていないが、溜まっている所為もあり夕べの俺は野獣だったのだろう。
「うん。とっても」そう言うと香は微笑みながら言葉を続けた。
「ねえ、亮ちゃん。今日から私と住まない?」
いきなりなんてことを言う女だろう。不経済なウイークリーマンション住まいの俺にとっては願ってもない話だ。しかし、なんでいきなりそんなことを言い出すのか。第一俺が住んでいる場所なんか知らないはずなのに。俺は不信に思い尋ねた。
「なんでいきなりそんなこと言うの?俺、家あるよ」
俺が言うと香は笑いながら言った。
「何いってんのよ。亮ちゃん、女から逃げてきてウイークリーマンションに住んでるって言ったじゃない。それじゃあお金もったいないよ。アタシも男から逃げてきて色々不自由してるから遠慮しないで」
俺は覚えていないうちに余計なことまで喋っていたようだ。だが、こうなれば香の申し入れはマジでありがたい。
「それじゃぁ、お言葉に甘えようかな」こうして、俺はこの日から香のアパートで生活することになった。
107 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/06/02 11:31 ID:bRJixQ2r
あげときますよ!
108 :
常居接人:04/06/02 20:37 ID:TN3CICnK
香のアパートは、大宮の駅から徒歩10分ほどの場所にあった。1DKのその部屋は女の一人暮らしとは思えないほど散らかっていた。
俺の荷物は着替えくらいだったので引越しは簡単に終わった。衣類をタンスに仕舞い終えると香は「駅に戻ろう」と言った。
「なんで?駅に用なんてないよ。駅に行って何すんの?」
俺の言葉に、香は笑いながら言った。
「亮ちゃんのケイタイ買わなきゃ。その後は、お仕事よ」
「お仕事」その言葉に俺は首をひねった。夕べは酔っ払って余計なことを色々喋ったようだが、仕事に関する話なんてしていない……と、思う。
「あの、仕事って何?」
俺は、香が美人局のようなことで金を稼いでいるんじゃないかと、夕べのことで怖いお兄さんと一緒に俺から金を取るんじゃないかと。そんなことを恐れながら聞いた。
「スロットよ、スロット。亮ちゃん夕べ『俺は天才だー』って言ってたじゃない」
香の言葉に、俺は少し安心した。同時に、気を引き締めた。ここで大敗でもしようものなら新しいネグラと、新しい女を同時に失いかねない。だが、今の俺は追い風の中にいるはずだ。風よ強く吹け。
ケイタイショップでは、身分証明書のない俺の替わりに、香の免許で契約をした。契約を済ませると、俺たちは駅前の俺がいったことのない店に入った。
「結構混んでるね。どれを打つの?」
腕を絡ませながら香が聞いてくる。俺の二の腕に胸が当って気持ちが良い。胸の感触を楽しみながら、俺は天才の眼力で台選びを始めた。
「これじゃぁ選びようがないな」
台選びをしようと思ったが、北斗、吉宗、猪木といった台は埋まっていた。やむを得ずシマ自体が寂しい信長に座った。
109 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/06/02 21:24 ID:/uF2DsUU
マジで面白いage。
わくわく
111 :
常居接人:04/06/02 21:58 ID:TN3CICnK
>>109 ありがとうございます。皆さんの励ましを糧にこの作品を書いてます。
>>110 期待に応えられるようにがんばりますので、見捨てないで下さい。
俺は常にリスクを背負っていたい、ぬるま湯に浸かりきった人生など、なんの
面白みも無い。そういった理由で俺はスロットの世界に身を置いている。
リスクを背負うと言ってもミリゴやビンゴなどのハイリスクハイリターンな台を
打つと言うのではない、俺が好んで打つのはジャグや百景といった純Aタイプの
台だ、ただ単純にBBで喜べる…そんな台が好きだ。
リスクは金銭的な事にでは無く、俺自身に背負っている、俺はとある人物…
人を殺すのになんの躊躇もしない人物にある依頼をしている、その依頼の内容は
「俺が1日でもマイナスで終了する事があったら10時間以内に殺してくれ」
というものだ…。
依頼人は俺がどこのパチ屋でスロを打っていても必ずどこかで見ている、俺は
依頼人の姿を知らない、隣で打ってる時もあれば店員に変装してコインを補給
しているのかも知れない、彼は…(電話で仕事を依頼した時の声色から男ということは
わかった)常に姿を変えているらしいのだ。
この生活がもう2ヶ月続いている、もちろん負けた日は一日も無く、これまで130万
ほど勝っている、あたりまえの事だが、自分の命が掛かっているので何の妥協もしない
出ない店で出ない台を打って命を落とすなどバカげている。今日も前日の夜に検討した末に
導き出された台を狙う為並びに出かけようとしていた、アパートを出た時に一匹の黒猫
と目が合った、黒猫はしばらくして視線をずらすと、足早に住宅街の方へと走っていった。
並んでいる時は常にドキドキしている、なんせ負けたら死ぬのだ、これで緊張
しない方がおかしいだろう、だがこの緊張かんが生きている事を実感される、これまでの様に
ただ漠然と生き漠然とスロットを打っていた時には微塵にも感じられなかった感覚だ。
思うに人は、何かの危機を感じた時にこそその人の人格がハッキリと浮き出されるのかも
知れない、安全を保証されたジェットコースタでは両手をage己の根性をアピールしても
いざジェットコースターが故障し、遙か上空で止まってしまったら口数一つ漏らさなくなる…
俺はそんな人とは違っていた、今までも負けそうになっても冷静に目押しをし、とりこぼし
は一切せずにボーナスが来るのを待っていた、その結果今でも生きているのだ。
扉が開くと俺は他の台には目も触れずに狙い台へと向かって行く、前日に1340Gで
終了した新装3日目の銭形だ、純Aが好きとは言ったがST機のハイエナにも力を置いている
まだ解析されていなく、天井を知る人も少ないので狙い目の台である。
俺は開店を告げる店内放送と同時にサンドに千円札を通した、2ヶ月たった今でもこの瞬間が
一番緊張する、この札一枚分負けても終わりだと思うと夏目漱石の「我が輩は猫である」に出てくる
保田秀幸の心境を想う、ああ、人生ってなんなんだ!?
4千円目を入れた所でBBを引き、終了3G目に再びルパンが銭形に逮捕される「よし」と心の中で
ガッツポーズをする、がBBではなくRBに意気消沈、RB終了後濃いゾーンを終えて台を後にする。
これで今日はプラスだ、他に打つべき台が無ければ見に徹する事にになるが…店を見回っていると前日
1100Gで終えたサップが300G少々回っている、俺は念のため履歴を確認すると縁担ぎの為トイレへと
向かった。
トイレに入り便座に座ると俺はおもむろに上着を脱ぐ、そしてワキ毛を1本抜き
下の毛も抜くとその2本を縛りポケットの中に放り込む…もちろん意味など無い、ただ
これをやってから異様に絶好調なのだ、ギャンブラーなる者、縁起を担ぐのに越した事は無い
ふと、出かけ際に見た黒猫を思い出したが…既に少々ではあるが勝っているのだ、気にする必要は
無い。上着を着てトイレをでるとポケットをトントンと叩き、サップの島へと向かって行った。
さあ、出すぞ!ウンコは十分に出したので、今度はコインを出す番だ、コインを投入し、黙々とG数を
消化していく、宵越し1495Gに達した所で違和感を感じた、前兆と思われる演出がまったく出ないので
ある、余談だが…俺はラウンドガールの中でベルの黄色ガールが一番の好みである、金髪ロングは最高で
あると同時に至高の存在だ、ああ、彼女の肩をこの手でそっと抱けたら、どんなに幸せであろうか…。
人間思いがけないことに出くわしたら、真っ先に何と口にするだろう?「は?」だろうか、はたまた
「え?」であろうか?昔見たHNKの番組で人間の深層心理を探る、というのがあった、その番組で
有名大学の教授はこう言っていた「人間は突然予想しえない出来事が起こると必ず1文字の言葉を発する」
と…「え」では無く「が」でも「う゛ぉ」でも間違っていない訳だ、だがこの時俺が発した言葉は違っていた
「なんじゃこりゃーーーーー!」出血はしていない、だが頭に血は上っていた、宵越し天井をあっけなく越えた
のだ、これ即ちストック消しである。
念の為、前日、前々日の履歴を確認する、連ちゃんしまくっていたらストックが無くなっていても仕方が無い、が
そんな形跡はなく、やはりストック消し説が有効と言わざるを得なかった、俺が叫んだからか、近くにいた店員が
近寄ってきた「お客様、ホールで大声を出すのは他のお客様の迷惑となりますので…」「あっ?お前らがストックを
あl;ういぐあlksj」言葉にならない、それほど俺は動揺していた。
迂闊だった、ホールも商売である以上ストック消しをする時もあるだろう、どんな優良店であれ。
もう、ここに居ても仕方が無い、俺は台を後にすると店をでようと出口に向かった、すると不意に
後ろから声を掛けられた「よう兄ちゃん、見てたぞ?まあコーヒーでも飲んで気を
紛らせや、ホラよ」俺はポマードの臭いの香るその男性から紙コーヒーを受け取ると、熱さを我慢
しながら一気に飲み干した、少し苦みの利いた良いコーヒーだ、まあ自動販売機なのでそう誉める
事も無いが「ありがとう、じゃ」と軽く頭を下げると、俺は駅に向かって歩き出した。
サップのせいで−1Kになってしまった、もうK1でサップが誰と闘おうが応援しない事を
心に誓った、お、−1kとk1か…縁起が良いな、意味が分からないが俺は無理にでもそう
思うことにした。まあ、負けてるとはいえ、まだ11時を少し回った所だ、これから向かう
店なら百景の設定4が高確率で期待できる店だ、なのに客は見向きもせず北斗、吉宗などを
打っている、たまに百景に座っても2〜3Kでやめてってしまう、もう時代のニーズに純Aは
合っていないのかもしれない…。少し淋しい思いを胸にこめ、電車に乗ると空いている座席に
腰を降ろした。ふと、目をつぶると強い睡魔が俺を襲った…。
OL達の楽しそうな笑い声が聞こえた「今日の合コン最高だったねー」「商社マンの彼
かっこよくないー?」「えー出川似の彼ー?あんたどうゆう趣味してんの?」「えーひどーい」
ほう、合コン帰りなわけだ、まあ確かに出川はブサイクであろうだが彼は美人のレースクインを
ものにし、晴れて結婚に至った、だが彼が芸能界に属していなかったら、どうだろうか?
言うまでもなく、もてる分けが無い、もて指数としては9と少しだろう、芸能界に属すことで
その指数を何倍にも増やす事か出来るのかもしれない、俺も加藤あいとけっこn(ry
話を元に戻そう、合コン帰りのOLが電車に乗っているという事は今は結構な時間ではない
だろうか?俺は時計兼電話機である携帯を取り出すと時間を見て愕然とした、あと1時間半で
今日一日が終わってしまう時間だ、つまり22時半である、俺はいったい何周していたんだ?
冷静に計算する「一周にかかる時間が約1時間12分だから…」ってバカァ!あと30分でパチ屋
が終わってしまう!その時点でマイナスだったら、その10時間以内に俺の命も終わってしまう!
ああ、どうしよう!待て、慌てるな!「Be cool so him」だ!言葉の意味も、合っているかさえ
わからない、俺はそもそも他国の言葉などに興味は無い。
電車が止まり、ドアが開くと同時に俺は階段目指して走った、幸い何回も通った
ホールが近くにあるので迷う事は無い、そのホールはスロもパチも等価で客層は
サラリーマン中心、会社帰りにふらっと立ち寄り、ボーナスを引いたら0回転でやめていく
人も少なく無い、前もキンパルや吉宗で0回転やめを拾い、美味しい思いをした事がある。
ホールに着いた時点で残りは20分、足早にエナれそうな台を探す、榎本24回転やめ
ファイヤードリフト20回転やめ、ネオプラ755回転…これだ!千円で天井にたどり着き
即ヤメすれば例えバケでも500円は浮くだろう!タバコを放り込もうとした瞬間、横から
車のキーが飛んできた「僕の方が早かったですね、打たせてもらいますw」ぐぉおおら!
アホかてんめぇええ!力ずくでどかそうとかと思っていたら「あ、はいったwww」
なにをぉぉ!?「あ、ビックだ、ごめんねお兄さんwww」絶望的になった、もう駄目だ…
もう死ぬんだ…体が小刻み良く、震えた、緊張感を味わうとかそういう問題では無かった。
もう美味しいG数の台は無く−千円という重みを噛みしめていた、おそらく千円札一枚の為に
命を落とすのは後にも先にも俺くらいなものだろう…。その瞬間、ある台が頭をよぎった
それは1/99で大当たりを引けるサミーの台「CRマーメイドザブーンST」であった、そうパチンコである。
それは地下にひっそりと置いてあった、わりかし新しい機種なのだが爆発が少ない
ので人気はあまり無いらしい、1/99で引けるとはいえ、出玉が約400発ではそれも
納得か、だが大当たり終了後の4回転は1/9で抽選しており、それをスルーしても
60回転の時短が漏れ無く着いてくる、結構おいしい台だと思うのだが…。
願いを込めながらサンドに千円札を通す、この店はパッキーでは無く直接千円を入れて
5百円分づつ玉を買うタイプだ、俺はポッケに入れていたワキ毛とチン毛を縛った物を
左手に、右手にハンドルを持つとゆっくりとハンドルを回した、玉の一つ一つが発射され
チャッカーを目指していく、それは、膣内に射精された精子の様に、優雅且つ大胆に
ゴールを目指して行く…。5百円分が切れ、もう5百円分を打ち始めたその時、スーパーリーチ
が起こった、一番信頼度の高いポセイドンリーチ?である「頼む…」それ以上の言葉は言えなかった。
もしかしたら、神は本当にいるのかもしれない、ネ甲では無い、正真正銘の神の事である
ジムキャリー主演の映画「ブルース・オールマイティ」では神になったジムキャリーがほぼ自分の為
だけに力を使う、それでも少しはと街の人々の願いを「オールOK」と全て叶えてしまい
ロトくじを買い当選を願った人々は全員1等に当選してしまい、1等なのに金額が少ない!
と暴動を起こす、よく考えるとロトくじは買う時に自分で番号を決めるのだから買った後に
神がシカトしてても元々当選していたんじゃないか?ってか何万人も同じ番号を書いたのかい!
とツッコミたくなるが、パチンコで大当たりを願った俺には関係ない、素直に言うよ、ありがとう
ジムキャリー!娘さんを大事にな!
そう、俺はポセイドンリーチで見事大当たりし、何回か数珠連して+2500円で今日の勝負を
終えたのだった、もう体がガクガクだった、こんなに生を意識し死を拒んだのは初めてだ、やはり
人間は緊張感の中でこそ輝く物なのだ!!俺は自分の輝ける人生に感謝し、家路に着いた。
飲めない酒を祝い酒とし、無理してコップ一杯飲み干すと、布団に入り束の間の死であろう眠りい
身をゆだねた。
どのくらい寝ていただろうか?ふと目が覚めた、時計に目をやると草木も眠る丑三つ時
であった、夢を見ていた、朝に見た黒猫が俺のアパートを訪ねてきてミルクをねだり、それを
飲み干すと「忠告したのに」と言う、猫が人間の言葉を喋るわけは無いので、その時点で夢だと
気づきそのまま目が覚めたのである。しかし黒猫の言葉がまるで、直にこの耳を伝わって脳に
届いたような気がしていた、妙にリアルな夢だった。
気配を感じて俺は玄関の方に目を向けた、人が立っていた、暗いのでよく見えないが…その手に銃を
持っているのがわかった、俺はビックリすると同時に起きあがり「誰だ!」と怒鳴った、銃を持っている
手が動き、銃は俺に向けられた、強盗か?俺はそう思うとおとなしくした方が良いかもしれない、と思った
銃を構えているそれは、俺に向かってこう言った「強盗では無いよ…目的は同じ様な物だがね…」
何を言ってるんだ?俺には理解出来なかった、金が目当てならくれてやるから…早く出て行け!と言いたかった
が言葉にならない「やれやれ、私が誰だか分からないみたいだな、私は君に依頼された殺し屋だよ」
と口元をゆがめながら言った「何で…何であなたが俺の家に来るんだ…」「仕事をしに来たのさ」
「仕事って、俺を殺しに?何故…俺は負けてないぞ?」ようやく俺も我に返り、冷静に言葉を発すると
やれやれ、といった顔で殺し屋はこう言った「君は自分が依頼した内容を覚えていないのかい?」
俺は依頼の時の電話に記憶を寄せた。
「”俺が1日でもマイナスで終了する事があったら10時間以内に殺してくれ”だろ?」
俺はそう言うとさらに続けた「他の内容もしっかりと覚えているぞ、俺がマイナスになり
あんたが俺を仕留めたらそこの押入の中にある5百万を報酬として受け取ってもらう…だろ?」
なおも俺は続けた「でもそれは俺がマイナスになったらの話しだ、今はまだあんたに殺される覚え
も無ければ金をやる理由も無い」こうして自分の正当性を口に出しているとなんだか自分が
強くなった気がする、正義は我にあり…だ「君は何か勘違いをしている、”俺が1日でもマイナスで
終了する事があったら10時間以内に殺してくれ”では無い」「え?」この時は1文字を発した
「”俺がスロットで1日でもマイナスで終了する事があったら10時間以内に殺してくれ”だよ」
俺は愕然とした、”スロット”と確かに言った記憶があった…1日の収支に目をやりすぎて忘れて
いた…「まあ、僕も少し大人げない事をしたが…仕方がなかった、今直ぐに金が必要になったんだ」
「は?何のことだ」俺はスロットでは−千円で終えたことを激しく後悔していて、殺し屋の言っている
意味が分からなかった「自動販売機の紙コーヒーも捨てた物じゃないだろ?」そう言うと銃の引き金を
引いた…。
俺は心臓を正確に打ち抜かれ、死に間際にどこかで香いだ記憶のあるポマードを思い出しながら
このよの生に終わりを告げた…。
面白かったよー、乙
次回作も期待してます。
126 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/06/03 10:15 ID:aI0oxhzT
ホゲしく乙!おもろかったー
次回作はコテつけて書いてー
一人、場末のバーでグラスを傾ける、俺。別に一人でダンディズムに浸っているわけで
はない。この世の最後の思い出にと思い、このような場所で酒を飲んでいる。
思えば転落の道を転がり始めてから、ここに行き着くまでは早かった。勤め先の倒産、
女房との離婚、慰謝料、養育費・・・この10年これでもかというほどがんばってきた。
女房のことは今でも愛している。だからこれほど苦しんでいるわけだが。当の女房のほ
うはどうなんだろう・・・
しかし、世の中というのは非常なものだ。つまるところ、「金・金・金」。世の中、す
べて金。そのつまるものがなくなった俺としては、もうこの世にいても仕方がない。
まぁ死んだところでどうなるわけでもないが、別れた女房に保険金が少しは下りるだろ
う。保険業界が苦しんでる今では雀の涙ほどしか出ないかもしれないが、でないよりは
マシだ。娘の養育費のたしにでもなれば俺としては本望だ。
俺は死ぬのか・・・どうせなら楽に死ねるのがいいよな。最後まで苦しみぬいて死ぬの
はごめんこうむりたい。
「隣、よろしいかしら?」
「え?あ、ああ、どうぞ」
隣を見ると、随分ときれいな女性だった。こんなところにくるような女じゃない。なに
をしに来たのだろう。くだらないことだが、一人で邪推でもして楽しむか・・・
「わたしが、こんなところにいるのが不思議かしら?」
「!?」
女は俺に向かって声をかけてきた。いや、確かにそれを邪推しようとしたが、別に女の
方をジロジロ見ていたわけではないし・・・俺の心を読まれたんだろうか。妙に警戒心
を抱かせる女だ。それと・・・
「それに、あなた、目が死んでる。死にたがってる目をしている」
「はぁ?」
おもいっきりすっとぼけてみせたが、そのものズバリじゃないか。ピタリ賞でハワイ旅
行でもいきたいのか?猫も杓子も海外旅行に行く(そのくせ自分が世界地図上のどの場
所に行くのかも分からない)ご時世で。
「ふぅん。それで俺があんたをいぶかしがってみたり、死にたがってたりしてる、と思
ったわけだ」
「そういうことになるかしらね」
「そうやって、見ず知らずの男の心を読んで、一人で楽しんでるってわけか。ふん、幸
せな人間だな」
「そういうあなただって、わたしのことを邪推して一人で楽しもうと思ってたわけでし
ょう?同じだと思わない?」
「・・・それはそうだな」
あまりに図星だったので、認めてしまった。細い足、くびれた腰、豊かな胸・・・おっ
とあんまり考えてると、また心を読まれてしまう。が、そう思わざるを得ないほど奇麗
な女だ。まだ20代だろう。
「で、まだ死にたいのかしら?」
「まぁな。この世に未練もないことだし」
「そう・・・」
にをするつもりだ?
「ねぇ、賭けをしない?」
「賭け?」
カードを2枚取り出す。一つはハートのA(エース)。もう一つは・・・ジョーカー。
「この2枚のカード。あなたが1枚ひいて、ハートのAが出たら、あなたの今までの借
金、すべてわたしが肩代わりしてあげるわ」
そういうが早いか、バッグから小切手帳を取り出し、さらさらと額面を記入する。なる
ほど、俺の心が読めるらしい。ちょうど俺が欲しいくらいの額面がさらっと記入された。
「ふん、それで。ジョーカーだったら?」
「この世に未練が残るような苦しい死に方をしてもらうわ」
女はそっけなく言った。どうやら、ジョークではないらしいな。
「でも、ここで俺があんたを殺してその小切手を奪えば俺は死なずにすむかもしれない
ぜ?」
もっともな意見を投げかけてやった・・・が、
「あなたに、それが出来ないと思ってるからこうやってそばにいるんでしょう?」
・・・心を読まれるというのはこういうことか・・・確かに。人を殺してまで自分が苦
しみから逃れたいとは思わない。どうしてといわれても、それが俺だからだ。妙に律義
なところが、前からあったな・・・それで随分と損をしてきた。バカ正直だって。しか
たないよな、性分なんだから。
いいだろう。その賭け、乗ろうじゃないか。どうせ死ぬ身だ。ジョークの一つだったと
しても、死ぬ前の余興だと思えば楽しいもんじゃないか。
「そう。じゃぁ、行くわよ」
女が丁寧にシャッフルする。2枚しかないカードを。裏返してカードを置く。生か死か、
二者択一。まぁ、期待はしていないが・・・
「さぁ、選んでちょうだい。あなたの人生の結末を・・・」
どちらでもいい。俺は左のカードをめくった。
・・・黒々とした魔王。ジョーカーが描かれていた。
「・・・行き着くところまで行きついたってことか」
「残念だったわね。一応うらまれるとイヤなので、こちらもめくっておくわよ」
右のカードをめくる。当然のように赤いハートのAが現れた。
「まぁ最期にちょっとした遊びをさせてもらって満足だよ。好きにしてくれ。もう未練
はない」
「ええ、約束ですからね・・・これを」
女はバッグから取り出した粉薬を俺に手渡した。
「これは・・・脳への酸素、血液を徐々にすくなく出来る薬。要するに眠るように死ね
るってこと」
「・・・苦しい死に方をさせられるんじゃないのか?」
「さぁ、魔が差したのかしらね」
俺も覚悟を決めなくてはならない。というよりもとから覚悟は出来ているわけだが。ご
くっ、っとその粉薬を飲んだ。
「それじゃぁ、おやすみなさい。わたしはそろそろ行くわね」
「ああ、楽しかったよ。また、どこかで会えるといいな。その時は安らかに死なせても
らった礼を言わせてもらうよ」
「ふふっ、そうね。それじゃぁ」
女はそういうと部屋を出ていった。俺は・・・一人ベッドの上で横になっている。粉薬
だからだろうか、効きが早いのか、体が妙に重くなっていた。まだ眠くはないが・・・
知らない間に眠るように死ねるのだろうか。
翌日だろうか。外が明るいので多分昼頃だろう。体はまったく動かない。鉛のような体
だ。しかし、目は見えるし耳は聞こえる。死んだのだろうか、俺。要するに眠っていた
みたいだ。
誰かが部屋に入ってきた。
「奥さん、こちらです」
あれは・・・女房?横にいるのは・・・娘か・・・そうか、俺が死んだことを警察かど
こかから知らされて駆けつけたのか・・・
「確かに・・・別れた夫です」
「そうですか・・・」
そういうと警察の人間らしき人が俺の顔に布をかけた。そうか、俺は死んでるんだ・・
・でも意識はある・・・
ちょっと席を外していただけませんか?と警察の人間に女房が言った。ん?
「少しだけですよ。外で待っていますので」
警察の人間が外に出て行き・・・この部屋には、死んだ俺と、女房と、娘の3人になっ
た。女房は俺の顔にかかっている布を取りこちらを見つめた。
「お母さん・・・やったね」
「しっ!声が大きいわよ」
「これでやっと本当のお父さんと暮らせるんだね」
「そうね。保険もたんまりかけておいたことだし、当分は遊んで暮らせるわね」
「ふふっ、何買ってもらおうかしら」
「とりあえず、お父さんと暮らす家を買わなきゃね」
・・・って、どういうことだ?
「この人も哀れよね。お母さんと離婚させられるためだけに生きてきたみたいじゃない」
「まぁ、この人もそれはそれで幸せそうだったからいいんじゃないの?自分の娘じゃな
いと知らずに死ねたんだから」
「そっか・・・はやくお父さんのところに報告に行こうよ」
「そうね。もうこの人には用はないし」
「そうそう。この部屋を出るときは悲しそうな顔をするのを忘れちゃだめよ」
「はーい。分かってますって」
娘は俺の子じゃない・・・しかも俺が自殺したのは保険金のため?しかし、俺は自殺。
女房に罪はかからない。俺は、うまく使われたのだろうか。俺の人生を使って金儲けし
たってことか?
おい!誰かいないのか?俺はだまされて殺されたみたいなもんじゃないか!警察はどこ
にいったんだ!おい!誰か!誰か・・・
これが未練を残して苦しみぬいてということなのか・・・俺の意識がだんだんと遠くな
っていく、お待たせと言った感で。思考能力が鈍る。これが死か。くそ・・・
最期に窓の外を見る。窓の外にはあの女が立って俺のほうを見ていた。俺の意識は消え
た。
スロと全然関係なくてスマソ(´・ω・`)
昔、自分のWebサイトに載せたものの転載。2択はやっぱり熱いよね、ってことでw
スロと関係なくても面白かったら私的にはOK。
楽しませていただきました。
138 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/06/03 12:14 ID:aI0oxhzT
(・∀・)イイ! ホゲしくGJ!
139 :
常居接人:04/06/03 19:39 ID:WY6+0nja
投資から3千円目。忍者演出。くのいちへの発展を期待しつつ消化。案の定忍者は暗殺に失敗。俺は『来いよ』と心の中で言いながらレバーを叩く。
「再度義元を襲撃してまいれ」
信長登場。期待しつつ7を狙う。狙い通り7が揃ってBBゲット。香が感心したように「スゴーイ」と言った。女連れで打つのは久しぶりだが、簡単に感心してくれる女はやっぱり可愛い。
「勝負はここからだよ」俺は咥えタバコで香にそう言った。BB終了後15Gで出陣。相手は上杉謙信、気合で勝負だ。
俺の気合が通じたのか、合戦は見事に勝利。野望C突入。下皿にメダルが増えていくのを香は感心しながら見ていた。その後も順調に出し続け、2箱溜まったところでヤメ時と判断した。
「このくらいで止めておこうか。大体4、5万にはなってるから」
店員を呼び、メダルを流させる。レシートを受け取って交換する。交換所の場所を確認すると店を出た。
「いつも、こんな感じなの?」
香が腕を絡みつけながら聞いてくる。俺は、またしても胸の感触を楽しみながら答えた。
「勝負だから負けることもあるよ。でも負けても大きな負けはしない、何しろ俺は…」
「天才だから!」二人同時にそう言っていた。俺たちは笑いながらアパートへの帰り道を歩いた。
帰り道の途中でワインと生ハムを買い込む、香が「洒落たもの買うのね」と言い、俺は「新生活の始まりは生ハムとワイン。俺の決め事なんだ」と答えると。
「ふーん。それって、亮ちゃんのジンクスってヤツ?ギャンブラーがジンクス好きってホントなんだ」
と香は珍しいものでも見たような目で見ていた。
部屋に帰ると、2ビンあったワインもすぐにカラになった。飲み終えていい気分になった俺たちはお互いに愛撫を始めた。お互いに準備が整った時、香が
「シャワー浴びよ」と言い、シャワールームでもお互いの身体を貪り、シャワールームで1回目を終えた。
140 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/06/03 22:07 ID:uTXBZa+o
いいいいっかいめ終わっちゃったの?
2回目まだー
141 :
常居接人:04/06/03 23:17 ID:F3gxmhLT
142 :
常居接人:04/06/03 23:48 ID:F3gxmhLT
俺は香のアソコからナニを引き抜いた。シャワーを浴びながらのSEXも汗まみれでヤルのとはまた違った心地良さがある。
香は、俺の前に跪くと引き抜いたばかりのそれを舌で刺激し、口に咥え始めた。
「今出したばっかりなのに……もう元気になってきた」
香がナニをいじりながら、好色な笑みを浮かべる。シャワーでお互いの身体に付着した汗やその他の体液を洗い流すと、今度はベッドに向かった。
ベッドでの攻防もまた激しいものだった。香は着やせする性質で、脱ぐとそこにはナイスバディが現れる。そして、香は非常に敏感で、俺が攻めると過敏に感じる。さらに、攻めるのも大好きな香は、ソープ嬢の慶子以上のテクニックで俺を感じさせてくれる。
お互いが楽しみ、お互いが気持ち良い。これは、SEXにおける真理だ。俺たちは69の体勢でお互いが楽しめるように舐りあう。
「ぁぁん。もう我慢できない。亮ちゃん、これ頂戴。これが欲しいの」
香は俺のナニから口を離し、しごきながら懇願した。俺もそろそろ入れたいと思っていたところだ。俺も香りのあそこから口を離し
「入れるぞ。お互いに楽しもうぜ」
そう言うと、俺は香のあそこを指で広げ、一気に貫いた。
「ああぁぁ。やっぱり凄い。亮ちゃんのお○○ち○おっきい。突いて。奥まで突いて」
俺は腰を振りながら、香に言った。
「香のお○○こも気持ち良いよ。すげー締まるよ!」野獣のようにお互いを求め合う俺たち。結局、この日は4回ヤッタ。俺の心は充実感に満ちていた。充実したまま眠りに就いた。
心地良い目覚めだった。時間は正午近くになっていた。この時間だとスロはいい台が埋まっていて負けるだけだと思えた。今日は神山の店にでも行こうかな。
「亮ちゃんおはよー」
香が満面の笑みで目覚めのキスをした。俺の目標の一つ、慶子よりマシな女と暮らす。その目標は慶子よりずっとマシな女、香がいるので達成されたも同然だった。
よし。じゃあ詳しい説明に入ろう。そうそう、ウチの場合は他のカジノと違って、
ディーラーの仕事はないんだ。仕事としてはそれ程難しくないから安心してくれ」
ん?じゃあディーラーは他にいるってことか? それとも、何か別の……。
「まず、基本的な仕事内容は、お客の注文を取ってドリンクやカクテルを運ぶこと。
これはウェイターみたいなもんだな。それともう1つは、両替だ。実は、見て貰えば
分かるんだが、ウチはカジノといってもパチスロがメインなんだよ。だからお客から
呼ばれた時に、飛んでいって両替をしてもらう」
パチスロ? カジノでパチスロなんて聞いたことがない…が、ものすげえ簡単な仕事
じゃないか。こんな事で月30万も貰えるってのか?
俺が少し不思議そうな顔をしていると、男はさらに続けた。
「お客が遊ぶレートは、通常の5倍〜50倍まで。普通はコインを使うが、ウチは殆ど現金を
そのまま使って遊ぶシステムなんだ。5倍なら100円玉、25倍なら500円玉という風にね。
あとは銀と金の特製コインがあって、銀が10倍で1枚200円、金は50倍で1枚1000円。
ギャンブル性が高いから、時折アツくなって暴れ出すお客もいるんだが…まあその時は
宜しく頼む」
と言って、ニヤリと笑った。
「そうそう、給料の面だが、最初は固定給で30万、特製コインを換金出来る部署へ
昇格すれば50万。そして、設定を打ち変えられるようになったら月の売上の5%だ。
売上は平均5000万程度だから、たいてい200万以上にはなる。まあ、そこまで
辿り着くには、かなり信用をおかないと無理だがな」
……月200万! 俺は体中の血が滾るのを感じた。これこそが、俺に残された逆転のチャンス。
まさにうってつけの仕事だ。
「ここまでで、何か質問はあるか?」
「お客はどんな人が多いんですか?」
「客層の中心は風俗嬢とスジ者が多いな。たまに顔の売れてる人間も来るが、それは絶対に
他言無用。破った時には……色々と面倒な事が起こるから、それだけは肝に銘じておいてくれ」
男が一瞬見せた鋭い目つきを見て、あ、こりゃ殺されるかもな。と直感的に思った。
良くても半殺しは免れないだろう。ただ、別に秘密を漏らすような知人も皆無なので、
俺にはどうでもよい事だった。
「で、どうだ。働いてみるか?」
そんなもの、答えは初めから決まっている。俺は満面の笑みを浮かべて元気良く言った。
「宜しくお願いします!」
この瞬間から、俺の下克上の人生が始まった…。
続き遅れてスミマセン…なかなか構想がまとまらなくて(´・ω・`)
毎日更新は無理かもしれませんが、長い目で見守って下さい。
146 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/06/04 02:58 ID:cdMK9nMk
>>145 イイヨイイヨー!!気長にやっておくれ
おもろいよー
ここは優しい心温まるスレですね
>>145 ガンガレー。
私も気長に楽しみにしてるからね!
149 :
(・_○メ)ノ7777 ◆i.mS8r/GdY :04/06/04 11:42 ID:C3QMFaF9
〜マッチ売りの少女〜
プロローグ
主人公の隆司は親友の淳に誘われ、エミ、美奈子、淳、隆司の4人で浜辺に来ている所からこの物語は始まる...
暑い...、やっぱり来るんじゃなかった...
うだるような暑さの浜辺で、隆司はふと思った。
まぁ、女の子が来るからと親友の淳に言われて、暑いのが苦手なのに、のこのこ付いてきた自分も悪いなぁと...
真夏の照り付ける太陽が少し傾き、夕暮れになりはじめた頃、エミと美奈子がくだらない事を言い出した
「ねぇ、怖い話でもしない?」と...
続く
150 :
(・_○メ)ノ7777 ◆i.mS8r/GdY :04/06/04 11:59 ID:C3QMFaF9
(2)
隆司は内心くだらないと思ったが、この後の夜のお楽しみの前に、エミと美奈子の機嫌を損ねないようにと話に付き合うことにした
隆司がふと淳の方に目をやると
淳はこの手の話が好きなので、ノリノリだった
その後、順番にエミ、隆司、美奈子と話し終り、淳の番になった
「ようやく自分の番が来たか!」というような得意顔を浮かべ、淳がゆっくりと話し始めた。
「隆司、マッチ売りの少女ってしってるか?」と...
「勿論知ってるよ。」と笑いながら答えた、その時隆司は妙な違和感を感じた...
続
151 :
(・_○メ)ノ7777 ◆i.mS8r/GdY :04/06/04 12:09 ID:C3QMFaF9
疲れたので小休止
>>151 気長に待ちますよー。
という反面続きを速く見たい。
わくわく。
153 :
(・_○メ)ノ7777 ◆i.mS8r/GdY :04/06/04 16:50 ID:C3QMFaF9
(3)
隆司は何故か、この話を知っている気がした
どこかで聞いたような...
淳の話は続いていく
「マッチ売りの少女には実は、まだ続きがあって、死んだ少女が、今も尚、幽霊となってさ迷っている...」
隆司は何故だか、この話の続きを聞いてはいけない気がした...
<やめろ、やめてくれ。>と思うが言葉にならない...
淳の話は淡々と進んでいく...
「そのマッチ売りの少女の幽霊は、どうしようもなく苦しみながら死んでいく往く人を...」
<だめだ、苦しい、これ以上聞きたくない>
続く
154 :
(・_○メ)ノ7777 ◆i.mS8r/GdY :04/06/04 23:30 ID:C3QMFaF9
(4)
淳「苦しみを和らげるために...」
隆司<そうだ...僕は...>
淳「マッチが一本燃え尽きる時間だけ...」
隆司<あの時...>
淳「死に逝く者の願いを叶えてくれる...」
隆司<...>
隆司はそこで目を覚ました
凍える雪山で...
そこには優しげな瞳をしたマッチ売りの少女が立っていた...
隆司「そうだ、君に願い事をしたんだっけ...、この寒さを忘れさせてくれと...」
マッチ売りの少女は少し悲しげな瞳をしてうなずいた
続く
155 :
常居接人:04/06/04 23:39 ID:j4FAOzmN
パチヤ、オートレース、競輪、競艇、競馬。それらが終わると神山の店。それから、週に3回は香とSEX。香のアパートに住み始めてから3週間になるが俺の生活はこんなパターンだった。
慶子の所に居たころとそう変わらない感じだが、金を抜き取れない上に、定職を持たない香を養っている分今の生活の方が張りがある。
「お仕事がんばってね」香の声に送り出され部屋を出る。今日はどこに行こうかと、考えながら駅前にあるマックの客になる。
新聞を眺めると、今日は大宮競輪でねらい目のレースがある。俺はマックをでるとATMで金を下ろし、競輪場行きの無料バスの列に並んだ。
競輪場に到着した俺は、慶子の家を出奔した原因の一つとなった立川での失敗を思い出した。
「あの時は天才ともあろうものがみっともない失敗をしてしまった。あのような失敗は二度としない」
赤競を片手に俺は呟く。そして、自分の顔を張って競輪場に入場した。
今日の狙いは第3レース。穴の気配がする。力的に飛び出した選手もいないので、オッズも割れそうだ。俺が目を付けたのは力的に弱い4番と6番。人気薄になるのは明らかだった。
「只今より、第3レース選手紹介です」
選手紹介が始まった。コメントどおり、9−4−6の順番に並ぶ。これで4−6勝負できる。俺は4−6のオッズを確認した。今の時点で82,1倍狙い通りの穴だ。俺は気合を入れながら穴場に並んだ。
レースは新聞の予想通り2番の先行。それを9番と5番が捲くり狙いの展開。しかし、俺の判断は2.5.9の力は互角。それならば捲くりも早めの仕掛けが必要。その上ここは500バンクの大宮、後ろに差される可能性は大きい。
「まだいくなよ、捲くりでいいんだ捲くりで」
レースを見守る俺はいつの間にか熱くなっていた。この辺りが競輪の醍醐味かもしれない。
「行け!!」
俺が叫ぶと同時に9番が捲くりに行った。最高のタイミングだ。後は4と6が直線で伸びるのを期待するだけ。俺は新聞を握りつぶし興奮していた。
156 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/06/05 00:13 ID:LB8RjG6D
『幻の少女』
・・それはそれは、長いハマリが続いていた。ガールのGOGOランプはとても長い沈黙を貫いていた。
総ゲーム数が3200回転を超えんとしていた時、1616G目でやっと先光り、、、しかし儚くもレジだった。
一体どうしたというのだろう?僕は突然、激しい目眩を覚えた。
さっきから変な汗をかいていたし、そして無性にだるかったのだ。
そのときだった。
スロのやりすぎで、とうとう頭がおかしくなったのだろうか?それとも幻でも見てるのだろうか?
ふと漂った不思議な甘い香りに鼻先を擽られ、振り向くと、凡そその場にふさわしくないようなブリリアントな少女が、唐突に隣にいた。
彼女は僕を慰めてくれた・・「ひどいよねー。ねえ、つまんないスロなんかやめて、どっか行こ?」って。
・・だが、残念ながら、その後のことは詳しく憶えていない。
少女とともに、とても楽しい時間を過ごした淡い記憶の余韻だけが、僕の心に残像を遺しているのみなのだ。
あれから3日後、僕がまた大填りに襲われていたときのことだった。・・
GOGOランプが光った瞬間、僕は我が目を疑った。
ランプの奥で、あの日の少女が微笑んでいるではないか。
しかしそれ以来、僕は彼女の姿を見ることはすっかり無くなった。
僕があの日に遭遇した少女は、GOGOランプの妖精だったのだ。
ジャグラーガール・・彼女の不思議な思い出を、僕はいつまでも心の中に大切にしまっておきたい。
157 :
(・_○メ)ノ7777 ◆i.mS8r/GdY :04/06/05 01:06 ID:ALzo5s3P
(5)
そして隆司は全てを思い出した
「そうか、全ては夢だったのか...」
マッチ売りの少女が優しく隆司に語りかけた...
「もう、寒くない?」と...
隆司は「あぁ、」と頷ずき
岩に押し潰され雪面を真っ赤に染めている自分の足を見た...
隆司は悟った
もう助からないと...
隆司はやがて、薄れ逝く意識の中、折れ曲がった自分の足を見て、深い深い眠りに落ちた...
隆司を雪が白く白く染め上げていった...
マッチ売りの少女は只唯、マリアのように優しく微笑んでいた
完
158 :
(・_○メ)ノ7777 ◆i.mS8r/GdY :04/06/05 01:17 ID:ALzo5s3P
後半明らかに手を抜きました
素マンコ、素マンコ
159 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/06/05 08:53 ID:MDJwju2A
>>149-187 いいよいいよー!オモロイヨー
エッジたん乙、スロと関係ないけどいいね。
>>156 ゴゴランプ(・∀・)イイ!
>>常居タン
ハァハァしますた
160 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/06/05 15:01 ID:sxx1mqZf
『雪の夜の幻影』
俺が社会人になって、気付けばもう20年の歳月が流れていた。
盆と正月に郷へ帰ると、いつも俺と一緒にジャグを打ちに行く、昔っからのパチンコ好きの俺の親父、ていうか爺さん。
よく並んで打って、お互い勝てばいつも一緒に喜んだ。
GOGOランプばっかり凝視して打ってて、ペカると必ず俺に知らせたよな。
そん時はいつも、度の強い眼鏡越しに一所懸命になって、偉い事にぜったい自力で揃えてたんだよね。
一つ一つのボタンを押すたびに、「ん!」‥「ん!」‥「ん!」って、昔柔道やってた時のように気合入れてさ。
そしてファンファーレなると、必ず「よし!」って言ってたっけ。
老人にしちゃ珍しく、いつもドル箱積んでて得意げな顔してたし。
3年前の暮れのこと。夜の9時頃だった。。。。。
親父はいつも、トイレに立つとき、空回しして行く。
そういや親父、やけにトイレが長いなぁって、さっきから思ってた。
んでもってGOGOランプペカッてんだよね。戻って来た親父の驚くアクションを楽しみに待ってるんだが。。。
すると突然、店の前に、救急車が横付けされた。
救急隊が俺の背後を駆け抜けて、トイレに向っていった。。。このとき初めて、俺は妙な予感を覚えた。
担架が目の前を通過した。そこにいたのは紛れもなく、俺の親父だったのだ。
・・主を失ったGOGOランプが物憂げにペカっているのを後にして、俺はそそくさと救急車に同乗した。・・
そして次の日、親父は安らかに息を引き取った。脳溢血だった。
雪降る夜に空いてるホールで一人ジャグを打ってると、GOGOランプがペカるとき、いまだ時々、俺はあの日の事を思い出す。
そのとき、隣の椅子にうっすらと、亡き親父の幻影が目に浮かび、瞼が熱くなり心が咽び泣くのだ。
親父、今も天国できっとジャグ打ってんだろ?俺ペカッたよ。親父はどうよ?‥
なんて、ときどき自問自答しちゃったりする。
GOGOランプの奥に光る縮れたフィラメントに俺は心癒され、そのとき親父のリフレクションもが鮮やかに蘇るのだ。。。
>160
簡潔で綺麗な文デスナ
これからも楽しみにしてます。
162 :
160:04/06/05 18:09 ID:Q0Dowaiv
>>161 いゃぁ、dクス!
じつは実話なんです、なんてマジで。
でもこれガイシュツなんでスマソ。また新作出来たらうpしますね!
163 :
常居接人:04/06/05 18:36 ID:Q2tw/fWo
9番の捲りは強烈だった。2番マークの1番が懸命にブロックするが、それをものともせず捲りきった。
9番のラインが前段を飲み込んだとき、5番が捲り発進。俺は「4番、ブロックしろー!!」と叫んでいた。
5番の捲りが9番に迫る。その時、4番のブロックがドンピシャのタイミングで決まった。5番はあえなく失速した。残り半周。
9番を先頭に3コーナーを回る。後は4,6が差しきってくれれば5千円ぶち込んでいるので40万以上の金が手に入る。俺の興奮は最高潮に達した。
4コーナー付近で4板が差しにかかる。6番も4を追走。
「差せ、差せ、差せ、差せ。差してくれー!!」
俺はわれを忘れて絶叫していた。早めの捲りで足を使っていた9は直線でスピードが落ちる。4の1着はほぼ確定的。後は6が9を差してくれることを祈る。
天才の俺は、もちろん9−4、4−9も買っていたが、そちらはオッズがそれぞれ20.4倍と34.9倍。3千円ずつしか買っていない。そっちで決まっても日当は出るが勝負は4−6今日は大勝ちしたい気分なんだ。
ゴール直前、4が9を差しきった。続く6と9がほぼ同着。俺はビデオを表示するモニターに向かって走った。
「こりゃー6だな」「ああ、6だ」「ちくしょー、結構つくんじゃねーか」
ビデオを見ていたオヤジたちが口々に喚く。俺は満面の笑みをたたえて決定を待つ。決定は写真判定に持ち込まれた。決定放送が流れるまでの時間が長く感じられた。
「決定。1着4番、2着6番、3着9番。以上のように確定しました。払戻金は……」
決定放送が流れる中、俺は払い戻し場に並ぶ。今日もいいSEXができそうだ。金を受け取った俺は、そのままタクシーで香が待つアパートへ最高の気分で帰っていった。
164 :
常居接人:04/06/05 18:39 ID:Q2tw/fWo
>>159 エロは苦手なんでお眼汚しになっていたら申し訳ない。
競輪の描写は興味ない人にはつまんないですね。好きだから書いちゃいました。
165 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/06/06 07:15 ID:AaYlrIf8
>>164 イイヨイイヨー(・∀・)
これからも楽しみにしてまつ。ガンガレ!
166 :
常居接人:04/06/06 07:50 ID:IgVkcW3t
「亮ちゃんおかえりー。ねぇ、どうだった?」
アパートに帰ると、香が俺に抱きつきながら尋ねた。俺はわざと渋い顔を作って言った。
「今日は調子が悪かった…」
「えー。そうなんだ、でも明日がんばればいいじゃん」
香が残念そうな顔をした瞬間、懐から札束を抜き出す。
「40万しか勝てなかった」
札束を見た香の顔色が一気に明るくなった。そして、再び俺に抱きつくと俺の顔にキスの雨を降らせた。
「キャー、素敵。さすが亮ちゃん。カッコいい」
キスの雨を浴びながら、俺は今後の行動を考える。今、再び強烈な追い風が来ている。追い風の時は派手に動く。今夜は神山の店で勝負だ。
「今日は夜から神山の店でこの金を増やしてくる」
俺が言うと、香は微笑みながら言った。
「追い風の時は動けってやつね。がんばってね、ワタシ応援してるから。ねぇ、その前にしようよ」
香が俺の股間をまさぐる。勝負の前に余計な体力は使いたくなかったが、これも天才かつ色男の宿命。俺は乱暴に香の服を脱がせた。
「あぁぁ、すごい。すごくいいの。亮ちゃんもっと頂戴!!」
俺の腹の下であえぐ香を野獣の目で見ながら、今夜の勝負に向けて気合を入れ直した。
167 :
常居接人:04/06/06 07:54 ID:IgVkcW3t
>>165 応援ありがとう。次回から再び麻雀編に突入します。
168 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/06/06 09:03 ID:1av/sXz3
すごい亮ちゃんすごい!
169 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/06/06 13:26 ID:0ANZ9yn8
激しく麻雀がしたくなりました。
駅前で格闘してくるか・・・
170 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/06/07 04:37 ID:yS9yiGxg
激しくセクースがしたくなりました。
早朝レイープでもしてみるか・・・(*´Д`*)ハァハァ
171 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/06/07 05:20 ID:RiyPFHXV
172 :
常居接人:04/06/07 17:55 ID:aImo9U6i
初日に対戦して以来、神山と闘牌することは無かった。ライバルが不在で、気合の入らないこともあったが、俺の戦績は安定したものだった。
「いらっしゃいませ。本多様」
神山がにこやかに迎え入れる。相変わらずクールな雰囲気だ。店では2卓立っていて、増田が一人でコーヒーを飲んでいた。
「おう、本多君来たな。こっち座れよ」
増田の手招きに応じて、隣に座る。増田はにこやかだが、腹の底に迫力を感じさせる笑顔で言った。
「本多君、うちの組で飼ってる代打ちと勝負してみないか?」
「勝負してもいいですけど。何が狙いなんですか?」
増田は笑顔のまま続けた。
「君にその気があれば、うちの組の代打ちになって欲しいんだ。暫らく観察してたけど、なかなかいい麻雀打つじゃないか。見所あるよ」
代打ちになるならないは別にして、増田の話は面白い。裏プロとのガチンコ、こんな機会はめったにあるものじゃない。天才の血が騒いだ。
「いいですよ、増田さん。その人と打ってみたい。勝負はいつですか?」
「今日これから、ここで。いいかな」
急な話だった。全く調整してないうえに、さっき香とヤッて体力も消費している。しかし、裏プロとのガチンコは魅力的だった。天才にとって避けて通れない道だと思った。
「いいですよ。面白い、やりましょう」
俺が即答すると増田は「そうこなくっちゃ」と言い、ケイタイを取り出した。
「おう、俺だ。今、神山の店だ。例の兄ちゃんが勝負してもいいって言ってる。……後一人か…遠藤でも呼んでこい、あんまり下手なヤツは混ぜられねぇからな。早く来いよ」
増田は電話を切ると言った。
「神山。悪いけど1卓借りるぜ。ここで打ったほうが本多君も変な疑いを持たなくていいだろう」
俺は頷いたが、勝負を前に心が熱くなり増田の言葉はほとんど聞いていなかった。『あせるな。心にゆとりだ』俺は自分自身にそうう言い聞かせた。
173 :
常居接人:04/06/07 17:59 ID:aImo9U6i
麻雀編第2ラウンド開始です。感想待ってます。
>>173 毎回楽しみに見てます。
麻雀編は1000円の局打ちの設定ですね。
東京のマンションでは東風戦、東天紅、東南戦しかきいたことありませんが、
実際にこういうルールなら面白そうですね。
これからもがんばってください。
今後の展開にも期待してます。
いいよいいよーどんどん続けておくれ。
176 :
165:04/06/07 22:25 ID:QTDg0aWt
麻雀かあ。
学生の頃は狂ったようにやったもんだが最近は周りに打てる香具師が
全然いないからほとんどやってないよー。あー打ちたくなってきた。
期待してまつ!
177 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/06/08 00:20 ID:AutoWydk
競艇編まだー
178 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/06/08 19:38 ID:/EmXGCjb
179 :
常居接人:04/06/08 21:50 ID:5W61DSfl
180 :
常居接人:04/06/08 22:16 ID:5W61DSfl
増田とコーヒーを飲みながら待っていると、高校生くらいの小僧と、27,8の女が入ってきた。
「部屋でも間違えたか……」
呟いた俺は、そこで言葉を失った。小僧はどうでも良かった。問題は女の方で、無茶苦茶良い女だった。ソッコーで声を掛けたくなる女だった。
「おう、こっちだ」
呆然とする俺を尻目に、増田が手を上げていた。俺は訳がわからず阿呆のように口を半開きにしていた。
「本多君、紹介するよ、うちの代打ちだ。名前は増田佳代、こっちの小僧は遠藤だ」
「遠藤っす。宜しくお願いします」
「増田です。父がお世話になっています」
遠藤のことなどどうでも良かった。佳代の自己紹介に面食らった。
「えっ、あの、その、父って?」
「こいつは俺の娘なんだ。変なところが俺に似ちまって、麻雀が恋人みたいなヤツなんだ。でもよ、こいつは強いぜ。今じゃうちで一番の代打ちだ」
俺は相変わらず阿呆のような表情だった。この綺麗なおねいさんが増田の娘?増田の組で一番の代打ち?混乱していると、増田が牌をかき混ぜながら。
「始めようぜ。場所はつかみ取りでいいだろ」
と言っていた。阿呆の面で引いた牌は東だった。俺は窓際の席を選ぶ、増田が西、遠藤が北、佳代さんは南だった。
サイコロを振ると、5,2の7増田が親だ。俺はようやく平静を取り戻し、いつものように「心にゆとり」とエンドレスで唱えた。
麻雀の話を見ると心が落ち着きます( ´∀`)
>>常居接人さん
いつも楽しく読んでます。ちょっと気になったんだけど、ひょっと馳星周とか好き?
183 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/06/10 00:25 ID:0PaCzvRu
>>180 今日はお休みですか。
ま、じっくりと構想を練って下さい。
気長に待ってまつ。
184 :
常居接人:04/06/10 00:47 ID:ZveSMAS5
>>182 馳さんの小説は未読です。好きな作家は筒井さんや町田さんですね。
>>183 ちょっと帰りが遅くなってしまいました。今から書きます。
185 :
常居接人:04/06/10 01:28 ID:ZveSMAS5
心にゆとりを持ってもどうしようもないことはある。配牌の第一印象がそんな感じだった。ドラも役も絡まないような配牌。だがまだ勝負は始まったばかりこの局は捨て様子を見よう。
7順目、佳代さんが聴牌の気配。振込みは避けたいところだ。俺は安牌を切った。
「ツモ」俺が切った後、佳代さんがクールに牌を倒す。ピンヅモ純チャン三色、彼女の印象のように綺麗な手だ。高めのイーピンを持ってくるところも強さを感じる。
「早えーな、少しは手加減しろよ」
増田がグチりながら6千円を支払う。佳代さんはクールな雰囲気のまま微笑む。
跳満を上がった後、佳代さんは加速した。マンガンと3900を立て続けに上がった。
『まずい。波に乗られたか……』
マンガンは増田からの出上がり、3900はツモ上がり。俺の振込みは無いが、これ以上波に乗られると手がつけられなくなる。
次局、俺の配牌はまずまずだった。ここが勝負どころと俺は感じた。彼女をこれ以上走らせるわけにはいかない。
イッツーが狙える配牌で、上手くいけば一色手もついてくる手だ。
第一ツモは六萬、俺の手はマンズが多く、色気を出したくなるツモだった。「色気を出そうか」と考えたが、その後マンズは伸びず、八萬引きでイッツー確定の手になった。
次順遠藤が八萬を切り出した。俺は暫らく悩んでそれを喰った。急がないとまた彼女に上がられる。
「リーチ」俺がテンパッた次のツモで佳代さんが牌を曲げた。手は安いがここで降りるわけにはいかない。
俺は3,6ピン待ち。彼女の手はチートイツ臭い。俺はいきなり生牌の中を持ってきてしまった。
『クッ、これも天才に与えられた試練か?』
俺は中を引き込んでしばし考えた。
頭がソウズかピンズなら頭を落として36ピンか中を引くのを待って、頭がワンズか字牌なら45ピン落としてホンイツまで伸ばすんだ!
もし3366の36ピン待ちなら・・・勢いできっちゃえー(テヘ
亮ちゃんがんばれ!
187 :
(・_○メ)ノ7777 ◆i.mS8r/GdY :04/06/10 20:48 ID:jbAZAipx
あ
188 :
常居接人:04/06/10 22:39 ID:2OpbI/go
>>186 亮同様私も悩んでるところです。どうしようかな……
とりあえず書き始めます。
189 :
常居接人:04/06/10 23:45 ID:2OpbI/go
「失礼…これは逆に無いでしょう」
ドラの4ピン、チートイツ臭いリーチに一発で叩き切った。まともに考えればとんでもない暴牌。だが俺には確信があった。彼女のツキ具合ならドラはトイツになってるはずだ。
「強いわね。通るわ」
佳代さんは薄く笑いながら牌山に手を伸ばした。やっぱりいい女だ。香がキュート系なら、彼女はまさしくクール&ビューティー。俺にMっ気はないが彼女になら踏みつけられても構わないなどと思った。
『いかん、俺はなにを考えてるんだ。この闘いを俺の出世戦にするんじゃないのか』
俺は邪念を振り払い、勝負に集中した。佳代さんが5ピンをツモ切り、俺の手はこうなっていた
一二三四五六D11中 八七九(チー)
増田と遠藤が現物打ちで降りる。1ソーor中持って来い!持ってきたのは七萬だった。ここは当然5ピン切り。
「ツモ」佳代さんが手を倒した。
二二@@CC6688東東中 中(ツモ)
ここまでで跳満。白魚のような指が裏ドラをめくる。現れたのは9ソー、倍満にならなかったことに胸を撫で下ろしながら自分の読みが正しかったことを確認。
頭は冴えまくっている、きっかけさえ掴めれば上昇できる。そう信じながら6千円支払った。
ツミ棒を1本出し佳代さんがサイボタンを押す。出た目は10増田がドラをめくる。表示牌は5ピン。俺はきっかけを掴めることを願いながら配牌を取り始めた。
『心にゆとり。前局当り牌を止めたんだ、ここで手が入るのが真理だ。今日の俺は追い風、追い風の時は派手に動く……』
配牌を取る俺の頭の中は、様々な言葉がエンドレスで渦巻いていた。
>>常居接人タン
いつも楽しく見てます。
自分のペースでガムばって!
191 :
常居接人:04/06/11 22:20 ID:DW25Qg4C
>>190 アリガト。自分なりの全力を尽くします。
192 :
常居接人:04/06/11 22:40 ID:DW25Qg4C
俺の願いは通じなかった。早いが安い。だが、トップ取りの麻雀ではない。ここはきっちりと上がりたい。
五巡目でテンパイ、リーチを掛けるかどうか迷った。
二三四EF334455□□
6ピンか7ピンあるいは白を引き込むまで待とうかとも考えたが、俺は即リーに行った。
「リーチ」
俺は渋い声で言った。「早いな」と増田が呟く。
「……」佳代さんが無言でスジの九萬を切り出した。果たして読みきっているのか、降りているのか判断がつかなかった。
増田と遠藤は現物切りで一発を避ける。俺の一発ツモは五萬黙ってそれを切る。
さらに5巡が過ぎた。佳代さんは回しながらテンパイ気配。俺は『早よ持って来んかい』と関西弁で思った。
次巡、俺の願いがようやく通じた。安牌に窮した遠藤が8ピンを切った。俺は渋く「ロン」と言って牌を倒した。裏は乗らず、2600円を受け取った。
「本田さん。南場が終わったらトップ取りで勝負したいんだけど」
佳代さんが俺を見詰めていった。他の二人に目をやると、増田は頷き、遠藤は「いいすよ」と言った。
「どうしてですか?」
俺は佳代さんに尋ねた。彼女はクールな笑顔で応える。
「あなたの麻雀をもっと知りたいの。このルールだと単に上がるだけでいいでしょ、状況に応じた打ち方を見たいのよ」
俺は彼女に試されていることを強烈に感じ、南場でマイナス分を取り返そうと気合を入れた。
「さてと、続けようぜ」
増田がそう言いながらサイボタンを押した。6ゾロの12だった。
193 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/06/12 09:13 ID:StVuhYV4
(・∀・)イイ!
194 :
常居接人:04/06/12 21:36 ID:BNZLBLcH
南入後、俺の牌勢は少しづつ上向きになっていた。南3局、待望の親番ここで連荘して勢いをつけておきたい。
一二七八九九ABE1235東 ドラ九萬
配牌を貰った瞬間心の中でガッツポーズをする。5ソーを打ち倍満を夢想する。
3巡目に1ピンを引き込む。早くて重厚。最高の手牌だ。これを上がりきれれば次のトップ取りでも楽に戦えそうだ。
イーシャンテンのまま暫らくは動かなかった。だが俺に焦りは無く、この手をじっくりと楽しんでいた。
「リーチっす」
9巡目遠藤が牌を曲げた。だが、今落ち目の遠藤はそれほど怖くない。それに、この手で勝負しないでいつ勝負するんだ?
次巡三萬を引き込んだ。当然追っかけ、東を切って遠藤を追撃。
「追っかけか…怖いっすね」
遠藤のセリフは人を舐めたようなモノだったが、声色や表情は真剣なものだった。おそらくボキャブラリーが貧困なんだろう。
「うわ、一発でこんなとこ持って来ちゃった」
素っ頓狂な声をあげ遠藤が二萬を切った。チャンタ系は読んでいるらしい。
「通るよ」俺の言葉に遠藤は安心したようだった。俺の次のツモは5ソー、遠藤にはきつい牌だ。
「通ります。セーフっす」遠藤が野球の審判のように両手を横に広げた。佳代さんがツモったパイを見て言った。
「もうだめね。降りるわ」彼女が降りたことで、この局は俺と遠藤のマッチレースになった。
「うわっ。マジでヤバイ」遠藤が六萬を切った。俺は静かに牌を倒し、裏ドラをめくった。乗らなかった。
「やるわね」俺の手牌を見て佳代さんが呟いた。俺は最高の笑顔で彼女を見つめた。
195 :
常居接人:04/06/13 23:09 ID:lfQxkAUY
インパチをモノにしたが、次局は増田に満貫をツモられた。まだ本格的な追い風じゃないようだ。
一局清算のオーラス、勢いを掴んでから次からのトップ取りに挑みたい。そう考えたが、結局遠藤がチートイドラドラをツモり終了した。
「ここでトップ取り打つと神山に迷惑だな。場所変えるか」
増田が言った言葉で、俺は初めて店が混んできている事に気付いた。すでに3卓が埋まり、二人が待っている状態だった。
「他の場所で打とうぜ。レートは千円でいいだろ。神山、邪魔したな」
増田はそう言うとすでに立ち上がっていた。神山が「ありがとうございました」と言って深々と頭を下げる。
俺達はマンションを出ると、増田の運転する車に乗り込んだ。
車は南の方へ向かって走っていた。浦和駅近くにあるマンションの駐車場で車は止まった。立派なマンションでこんなところにジャンヤがあるなどとても信じられなかった。
「すごいマンションですね。こんなところにジャンヤがあるんですか?」
「ここは俺の自宅だよ。ここなら防音もばっちりだし、時間も気にしないで打てる」
俺の質問に増田が答えた。それにしてもこんなところに住んでいるとは、増田はかなり儲かっているらしい。
増田の自宅は中も高級感が溢れていた。なんか見たことの無い調度品がそこら中に溢れていた。
「場所決めしましょう」
部屋の中で違和感を放つ全自動卓の前で、佳代さんは手の中で牌をかき混ぜていた。俺達はいっせいに手を伸ばした。
俺が引いたのは南、遠藤が西、増田が東だった。佳代さんが確認の為残った牌をひっくり返す、当然北。ライバルと決めた人間が対面に座るのは気合が入って好都合だ。
増田が振ったサイの目は9、チーチャマークをセットすると増田は再びサイを振った。
4,2が出た。俺は「追い風カモーン」と心の中で叫んだ。
196 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/06/13 23:11 ID:lEWvvpps
カモンカモーン!
197 :
常居接人:04/06/14 20:17 ID:oaxQMEhA
他所に移ったのが悪かったのだろうか、追い風は吹かなかった。東パツは遠藤が5200をツモ和り次局も遠藤がノミ手で俺の親を蹴飛ばした。
「場所変わってツイテきたみたいっす」
2局続けての和りに遠藤は気を良くして親番を迎えていた。この状況では佳代さんよりも遠藤に要注意だ。
俺の配牌はこんな感じだった。
七八ABCDGH7東西發發 ドラ@
ピンズと字牌が伸びれば面白い手だが、果たして乗り遅れないかという不安があった。しかしそんな不安は杞憂に終わった。手が伸びないのだ、ムダヅモばっかりなのだ。
取り残された俺を尻目に、増田がリーチを掛けた。配牌から動かない俺は当然オリ。後は遠藤と佳代さんがどう動くかが問題。
それから数巡が過ぎた。遠藤も手が入っている様子だった。勝負に来ている。おかげで俺は降りやすかった。
「勝負」遠藤がそう言いながら九萬を切った。「ロン」佳代さんがそう言うと牌を倒した。彼女の手は
一二三四五六七八@@345
だった。見事な跳萬。遠藤が呆然としていると佳代さんの叱責が飛んだ。
「遠藤君、いつも言ってるでしょう。リーチ時は全体を見なさいって。リーチの捨て牌ばかり見てるからこうなるのよ。私達はギリギリのところで勝負してるってことを肝に銘じなさい」
「すいません。甘かったっす。反省してます」
佳代さんと遠藤のやり取りを俺は呆然としながら聞いた。すると増田が、横からこう言った。
「遠藤と佳代は師弟関係なんだよ。こいつも見所があるから佳代に育成してもらってるんだ」
増田の言葉を聞いて、俺は遠藤が羨ましいと思った。俺も綺麗なおねいさんに育成されたいと思った。そして、この勝負で合格点を貰い、佳代さんと働きたいと真剣に願った。
198 :
常居接人:04/06/14 22:40 ID:oaxQMEhA
やべえ、説明不足。佳代の手は赤5ソー入りってことで読んでください。
マジで初歩的なミス申し訳ない……
199 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/06/15 04:32 ID:C2MK5HID
200 :
常居接人:04/06/15 23:07 ID:WrPF66BP
追い風をつかめないまま半荘5回が終了した。俺の成績はトップ、2着、ラスがそれぞれ1回ずつ。3着が2回。あまり良い成績ではなかった。
「佳代。本多君の実力は分かったか?疲れてきたからそろそろお開きにしたいな」
増田がそう言うと、佳代さんはこう答えた。
「そうね…今日は本多さんツイてないみたいだし。大体のところは分かったわ。本多さんもう終わりにする?」
佳代さんがクールに俺を見つめる。俺はもう少し打ちたいと思う反面、増田同様疲れも感じていた。少し考えて、俺は訊ねた。
「分かりました、これで終わりましょう。ところで俺は合格ですか?」
佳代さんは俺の目を見たままこう言った。
「ツイてないのに大きく崩れなかったことは合格よ。でも今のままじゃ代打ちになるのは無理ね。遠藤君と一緒に修行するなら良いけど」
ここは俺の人生に於いてターニングポイントになると思えた。即答はできない。暫らく真剣に考えたいところだ。
「…返事は少し待ってもらえますか。簡単に決められることじゃないんで」
俺の答えに増田と佳代さんは頷いた。そして口々に。
「ま、当然だな。代打ちもそれなりにリスキーな仕事だ。暫らく考えてくれて構わないぜ」
「そうね、じっくり考えておいてね」
「本多君、決まったら俺のケイタイに連絡してくれ。それからこれは車代だよ、悪いけど送れないんだ、疲れちまった」
増田はそう言うと番号を書いたメモと封筒を俺に手渡した。俺はそれを受け取ると増田のマンションを後にした。
封筒の中には10万入っていた。今日の負け分は10も行ってないので少しプラスになった。タクシーを拾い、香のアパートへ帰る車中でも俺は迷い続けていた。
「お帰りー、どうだった?」
アパートでは香が無邪気に俺を迎えた。俺は今日あったことを彼女に話した。
「ええー、それじゃ亮ちゃんヤクザ屋さんになるの?」
「いや、ヤクザって訳じゃないんだけど。一応組員になるのかな?」
「カッコいい。アタシ極妻になるのね。ああゆうの憧れてたんだ。ねえなっちゃいなよ」
香の能天気な言葉に面食らいながら、俺も心のどこかではそんな世界に憧れていることに気がついた。代打ちの世界でのし上がっていくのも悪くないかもしれない。
この日は香と二人でビールを飲んでそのまま寝た。結論を出すのは明日以降だ。
か、香ちゃんもアホやん・・・
202 :
常居接人:04/06/16 21:28 ID:xrjqGHRR
>>201 香もアホです。バカップルを超えるアホを描きたかったんです。
それでは、続き書きます。
がんばってくださ〜い(・∀・)!!
204 :
常居接人:04/06/16 22:13 ID:xrjqGHRR
翌日から俺は悩み続けた。佳代さんの下で修行。あのクール&ビューティーを常に見ていられる。これは楽しいかもしれない。
だが、問題は修行の内容だ。俺は非常にナーバスな人間である。痛いことは肉体的にも精神的にも苦手だ。修行と言う響きは俺に二の足を踏ませた。
「亮ちゃん、まだ決まんないの?いいじゃん、ヤクザ屋さんってクールじゃん」
増田のケイタイ番号を眺めていると、背後から香が抱きついてきた。背中に感じる胸の感触を楽しみながら俺はこう言った。
「簡単に言うなよ。こうゆう世界は色々難しいんだよ」
俺の言葉に香は不満そうに言った。
「えー。亮ちゃん天才じゃなかったの?本当の天才なら悩む必要なんて無いじゃん。それとも自信が無いの?」
「自信が無いの?」この言葉は俺の胸に突き刺さった。「冗談じゃない!俺は天才だ。真の天才はこうゆう岐路に立たされた時、吟味するものなんだ」
香に言い返そうと思ったが、生来控えめな性格の俺はその言葉を飲み込んだ。代わりにこんな言葉を口にした。
「代打ちって言うのはそんなに甘い仕事じゃないんだ。一人前になるまで生活も苦しくなる、香に苦労させたくないんだ」
俺の言葉に香はポカンとしていた。が、やがていつもの様に無邪気な笑顔になるとこう言った。
「そんなこと心配してたの?やだー。ワタシは亮ちゃんのこと信用してるよ。ソッコーで一人前になるって信じてるよ」
香がそこまで俺を信じていると知った俺は猛烈に感動した。この女を絶対に幸せにする、と心に誓った。佳代さんに浮気心を出した自分を恥じた。だが、代打ちになると決めたわけではない。痛いのは嫌だからだ。
「香。そこまで俺のことを信じているのか…」
俺は思わず香を抱きしめた。香は微笑みながらこう言った。
「だって、初めて会ったときから感じてたもん。この人はワタシを幸せにしてくれるって。亮ちゃん、ワタシを幸せにしてね」
俺は香の言う幸せについて考えた。もっと稼ごう、それが香と俺の幸せなんだ。修行をしながらでも他のギャンブルはできるじゃないかと、痛かったら逃げればいいじゃないかと。
(・∀・)イイ!!
206 :
常居接人:04/06/17 21:05 ID:JVuz06Y9
最近2chでここだけが楽しみです。
208 :
常居接人:04/06/17 21:48 ID:JVuz06Y9
翌朝、俺はまだ増田に連絡を入れていなかった。パチヤにいた。夕べはあのように決意したがまだ迷いがあった。じっくり考えたかった俺は、パチンコを打っていた。
スロットと違い、パチンコならただ球を弾いているだけでいい。考え事をする時はこれに限る。
「リーチ」台から声が聞こえたが、俺は台なんか見ていなかった。「代打ちになっても良いけど、大負けしたら指とか詰められるのかなぁ」等と考えていた。
そんなことを考えていると、「やったね!大当たり」台が喋っていた。チラッと見ると7が揃って確変だった。別に何の感慨も無かったが、やはり天才は違うな。と思った。結局10箱積んだが、考えはまとまらなかった。
交換所で換金した後、俺は街をぶらついていた。「どうするかな」と呟き、タバコを咥えたその時、俺の目に意外な人物の姿が映った。慶子だった。
「な、なんで。なんで慶子がここに?いや、見間違いかもしれない。似ているだけかもしれない」
俺は確認する為、もう一度良く見てみた。間違いは無かった、慶子だ。そして、慶子の横には岡村がいた。
岡村は慶子と同じく、サークルの先輩だった男だ。そして、慶子に惚れていて、俺を目の仇にしていた。俺と慶子が一緒に住み始めたとき、岡村は「あのやろーぶっ殺す」と息巻いていたらしい。岡村は空手の有段者なので、俺は暫らくの間びびりまくっていた。
「間違いない、慶子と岡村だ。でもどうしてここに?」
少し考えて、俺は岡村が大宮に住んでいることを思い出した。慶子が岡村に乗り換えたのか、俺を探してぶっ殺す為に協力を要請したのかは分からなかった。どちらにしてもこれはピンチだ。
岡村に見つかればぶっ殺される。それを防ぐには増田の組に庇護してもらうのが一番だと俺は考えた。
それからの俺の行動は素早かった。ソッコーで隠れ、ソッコーで家に帰った。ソッコーで増田に電話して、ソッコーでこう言った。
「増田さん。お世話になります。どうか宜しくお願いします」
「思ったより早かったな。でも、決断は早い方が良い。本多君、修行は厳しいぜ」
亮ちゃん天才やん
ソッコーワロタ
いいよいいよー
211 :
常居接人:04/06/18 20:18 ID:/+Kmtn76
>>209 今のところ亮は絶好調なんで。これから先は予測不可能です。
>>210 亮のアホッぽさを表現してみました。
書き始めます。
212 :
常居接人:04/06/18 20:45 ID:/+Kmtn76
電話越しに聞こえる増田の声は少し意地悪な感じがした。でも、そんなことは気にしてなど居られなかった。俺はこう言った。
「覚悟はできてます。宜しくお願いします」
岡村に見つかれば確実にぶっ殺されるのだ。それを考えれば修行の辛さなどどうと言うことは無い。決断した俺を、香がうっとりと見つめていた。
「受け入れる準備が必要なんでな。3日待ってくれ。3日後の夕方5時に俺のマンションに来てくれ。3日間の間悔いの無いように楽しんでおけよ」
増田はそう言うと電話を切った。増田の言葉に俺は少しびびった。俺は修行の内容をあれこれ想像したが、すぐに止めた。考えていてもしょうがない。増田の言うとおり3日間楽しもう。
「楽しんでおけよ…か」
楽しんでおこうにも、仕事(よーするにギャンブル)以外に楽しみの無い俺は少し悩んだ。今、この近辺をぶらつくのは岡村に発見される恐れがある。どーしよーかなー、と考えていると香が近寄ってきた。
「ねぇ、亮ちゃん。アタシにもスロット教えてよ」
普段なら二つ返事でOKするところだが、今はヤバイ。岡村に見つかってしまい、ぶっ殺される。だが、この時俺はひらめいた。
「いいよ。でも、この辺には初心者向けの店が無いんだ。ちょっと遠いけど新宿まで行こう」
こう言っておけば、電車嫌いの香は結局行かないと言うに違いない。だが、香はこう言った。
「新宿かぁ。いいよ、行こう。帰りに買い物とか食事もできるしいいじゃん」
まいった。俺は出歩きたくないのに。俺のそんな気持ちを他所に、香は出かける準備を始めていた。
兎に角、駅に着くまでが勝負だ。それまでに岡村に遭遇しなければいい。俺は自分が追い風の中にいることを信じながら香が着替えているのを眺めた。
俺も見てぇ…(香の着替え)
214 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/06/18 23:14 ID:Ra5GJYmP
>>常居接人
毎日楽しませてくれて有難う。
どんな展開になるか予想もつかないが、
これからもがんばって。
215 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/06/19 00:46 ID:sK0bsrDA
このスレが最近の楽しみ。新聞とかで毎日やってる小説とかより絶対おもしろい!常位接人さん、ほんとありがとう。
216 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/06/19 00:48 ID:sK0bsrDA
↑
× 常位接人
○ 常居接人
217 :
常居接人:04/06/19 14:32 ID:FCl9Hcj0
>>213 これは、香へのファンレターでしょうか?w
>>214 これからも頑張ります。アホカップルの活躍にご期待ください。
>>215 嬉しいですね、こうゆうレス。励ましのレスくれた人たちとこのスレ立ててくれた人に感謝。
218 :
常居接人:04/06/19 15:02 ID:FCl9Hcj0
香と一緒にアパートを出て、駅へ向かう時、俺は目茶苦茶緊張していた。岡村の影に怯えていたのだ。
曲がり角や、背後から鳴らされる自転車のベルなどは特にびびった。俺の態度を不信に思った香が訊ねた。
「どうしたの?亮ちゃん。さっきからなんか変だよ」
「いや、俺はもう半分組の人間だから、色々注意しておこうと思って。物陰から刺されるかもしれないから」
とっさに口に出た言葉はアホのような言葉だった。これじゃぁ香も納得しないだろう、と思っていると案の定。
「ふーん。なんか隠してない?ま、いいけどね」
と悪戯っぽい笑みを浮かべた。表情から察するに、妙だとは思っているが怒ってはいないらしい。俺達は腕を組んだまま駅に着いた。
小一時間ほど電車に揺られ、新宿に到着。時間は午後4時。新宿でも1、2を争うほど客の入っていない店に入る。
「今日は練習だから。勝とうとか思っちゃだめだよ」
そう言って香を適当な台に座らせた。適当に打たせていれば良いと思ったが。香は絵柄が2つ並ぶたびに俺に押させる。こんなことならゲーム機とパチスロのソフトを買ってくれば良かった。
結局、1時間ほど打ったが、香は飽きてしまったらしく。「つまんない」と言っていた。
「買い物でもして、その後飯食って帰ろうか?」
香の興味はそっちの方に移っていたらしく、「うん」と言って頷くと、さっさと店を出た。競輪の勝金と増田に貰った車代はほとんど減っていないのでゆとりある心でショッピングができる。
新宿のあちこちにある百貨店や、ブランドショップを見て回った。香が気に入ったらしいハンドバッグを買って、飯を食って、酒をのんで帰ることにした。
帰りの電車はやはり込んでいた。でも、香はハンドバッグが気に入ったのか文句は言わなかった。大宮についた時、時計は11時を回っていた。俺は再び注意深く帰り道を歩いた。
「とりあえず、今日はセーフだったな」アパートに無事たどり着き、岡村に遭遇しなかったことを感謝した。後2日凌げれば岡村にぶっ殺されることも無い。
今、常居さんの読んでて思ったんだが…
亮と香…
( ̄□ ̄)!!?
シティーハンターって漫画に
サ○バリョウとマ○ムラカオリってキャラがいるけど…只の偶然??
(´∀`)ノ 常居サマ教えて〜
220 :
常居接人:04/06/19 18:02 ID:FCl9Hcj0
>>219 そのことは書き込んだ後に俺も気付いた。
只の偶然です。他で書いてる小説に「カオリ」ってキャラ出すところだったんで無意識に使っちゃた。
あのマンガを意識したものではありません。
そうですか…
(´・ω・`)
わざわざレスどうもです。
続きを楽しみに待ってます。
(´∀`)ノ
222 :
常居接人:04/06/20 22:24 ID:0GTcR6jW
約束の日はあっと言う間にやってきた。結局俺は、新宿から帰ったときからこの瞬間までアパートから一歩も外出しなかった。
「それじゃぁ行ってくるよ。暫らく戻れないかもしれないけど、心配しないでくれよ」
俺は努めて渋い声で言った。香はポテチを食いながら言った。
「いってらっしゃい。でも、そんなに心配しなくても亮ちゃんならきっと大丈夫よ」
まったく、能天気な女だ。だが、その能天気さに俺は救われる思いだった。
岡村と遭遇することなく駅に到着。だが、冷静に考えると、この広い街で岡村に遭遇する確率は非常に低いんじゃないか。と思えた。こんなことなら残りの2日も思い切り仕事をして置けばよかった。
電車に乗り込んで、浦和駅に到着。増田のマンションを目指した。
「よう。来たな」
マンションに到着した俺を増田がにこやかに出迎えた。その隣には佳代さんが立っていた。
「本多君、早速だが修行を始めてもらうよ。詳しいことは佳代に訊いてくれ」
増田はそう言うと奥の部屋に入っていった。この場には俺と佳代さんだけが残された。
「本多さん。修行って言っても簡単よ。麻雀を打ち続けて欲しいの。あなた、麻雀は本職じゃないでしょ?」
佳代さんに尋ねられ、俺は「はい」と言った。佳代さんは微笑むとこう言った。
「暫らく麻雀以外のギャンブルは禁止よ。麻雀を打ち続けて欲しいの。これがあなたの修行よ、少なくとも1ヶ月は麻雀を1日10時間以上打ってもらうわ」
佳代さんの言葉に俺は面食らった。最低でも1ヶ月麻雀を1日10時間。麻雀は嫌いではないが、そんなに打ち続けるのは苦痛を伴うと思えた。
「この条件が呑めないならこの話は無しね」
佳代さんは少し意地悪な感じでこう言った。
223 :
常居接人:04/06/21 22:57 ID:S8/OhYaX
「分かりました。宜しくお願いします」
俺がこう言った瞬間から、麻雀漬けの日々が始まった。一日の流れはこんな感じだった。
毎朝8時に組の寮となっているマンションの一室に集合。ここには麻雀卓5台が設置してありここで麻雀を打ち続ける。
長時間打つのと、貧乏人が多いのでレートは20円。馬が200円、400円。中坊みたいなレートだが、代打ち候補生のほとんどが中学生並の金しか持っていない。許可無く、2万円以上の金は持ち込めないのだ。
12時頃昼食。決まっているわけではないが12時前後には小休止を入れるのが不文律になっている。
「本多さんいつもうまそうな弁当っすね」
昼飯は大体遠藤と食べている。遠藤と俺は増田親子に目をかけられているのを嫉妬され、ここでは浮いているのだ。
「ああ、俺の女。香って言うんだけど。こいつ料理得意なんだよ」
遠藤にはこう言って羨ましがらせていたが、嘘である。香は料理なんか一つもできない。弁当は俺が作っている。慶子と暮らしていた頃、自炊する機会が多かったので、料理は自然に上手くなった。それだけのことだ。
昼飯が終わると再び対局。このくらいの時間に現役の代打ちや、引退した代打ちが指導にやってくる。彼らは目を光らせて、俺達の対局を見ている。少しでもおかしい打ち方をすると叱責が飛んでくる。
夕方には反省会が開かれる。指導にきた代打ちが講師だ。反省会で議題に上がった対局は手牌オープンで再現される。だから毎局の配牌とツモを覚えていないといけない。これも重要な修行だと何度も言われた。
反省会の後は、再び対局。これは大体午後8時前後で終了。これでお開き。この後は牌に触るのはもちろん、パチヤに行くことも厳禁。寮住みのものは各々部屋に帰り、通いのものは住処に帰る。
このとき、通いのものを監視する為に、組の人間が住処までついてくる。俺にとってはこれがありがたかった。岡村の影に怯える俺にとって、彼らは格好のボディーガードだった。彼らがいれば、岡村に襲われても何も怖くない。
こんな感じで、俺は3週間を過ごした。レートが安いので気楽に打てることもあるが、俺の成績は非常に良いものだった。ある日指導にきた佳代さんが「本多さん。そろそろデビューを考えておくわ」と言ったのだった。
いいよー
225 :
常居接人:04/06/22 19:07 ID:zT44an7R
226 :
常居接人:04/06/22 19:44 ID:zT44an7R
佳代さんの言葉を受けて、俺の麻雀は一層高みに達した。修行場ではマイナスになることはまれで、他の連中は俺と打つのを避けている様子が見受けられた。
「本多さん。絶好調っすね。俺もそろそろデビューなんすよ。二人で頑張りましょう」
昼飯の時間に遠藤がそう言った。遠藤は代打ちになるのが楽しみでしょうがない様子だった。そんな遠藤の様子を俺はこう思った。
『甘い。青い。若い。組の代打ちはそんな考えじゃ勤まらないんじゃないか?二人で頑張る?冗談じゃない。同期の人間こそ真っ先に追い落とす目標じゃないんか』
そう考えたが、俺はこんな言葉を吐いた。
「ああ。二人で頂点を目指そう」
なんだこれ?青春ドラマか?俺はこんな言葉を吐いた自分自身に愛想を尽かしたくなった。だが、そんな思いとは裏腹に俺の右手は遠藤の右手を強く握り締めていた。
遠藤と熱い約束を交した3日後、増田が寮に姿を見せた。増田は開口一番こう言った。
「本多。遠藤。話がある。ちょっとこいや」
別室に呼ばれた。俺はそれほどでもなかったが、遠藤はあきらに緊張していた。並んだ俺達に増田はこう切り出した。
「お前らのデビューが決まった。二人で組んで打ってもらう。2対2だ。勝負は5日後だ、それまでにコンビ打ちをマスターしておけ」
増田の言葉に俺は面食らった。俺はコンビ打ちの経験が無いのだ。遠藤のほうを見ると、ヤツはデビューできることに興奮していた。全く能天気な男だ。
「本多さん。やったっすね。デビューっすよ」
遠藤は能天気にこんなことを言っていた。だが俺は、こいつの様に能天気ではいられない。あと5日間でこの男とコンビ打ちを完成させなければならないのだ。
能天気な遠藤を見て、俺の心は暗く沈んだ。
ダンチキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
228 :
常居接人:04/06/23 20:01 ID:CBWHRC9+
この日から、俺と遠藤のコンビ打ちの特訓が始まった。だが、お互いに一人で打つことに慣れすぎていた為、非常にちぐはぐとしたものだった。
「あらかじめ、和る役とトス役を決めておかないとだめだな」
同時に便所に立った時、俺は遠藤にこう言った。遠藤は不思議そうに俺を見ていた。そしてこう言った。
「俺はトス役なんてできないっす。そんな不自然な打ち方無理っすよ」
「誰がお前にやれって言った?俺がやるよ。お前にトス役は性格的に無理だ。俺がサポートするからガンガン和れ」
勢いでこう言ったが、不安はあった。俺が上家なら話は早い、遠藤のサポートに徹すれば良いだけの話だ。だが、それ以外の場合はどうだろう。はっきりと役割を決めないほうが動きやすいかもしれない。
「本多さんありがとうございます。俺やるっす。やりますよ」
俺が考えていると、遠藤は張り切ってこう言った。こいつの性格はやはり和り役以外は無理だろう。
簡単なサインを決めた後、俺達は再び卓に戻った。今回は幸い俺が遠藤の上家、試運転にはもってこいの並びだった。
『四萬を切ってくれ』
遠藤からのサインが10巡目にきた。俺は四五六萬の面子から四萬を切った。遠藤はそれを見て逡巡することなく、牌山に手を伸ばし、ツモ切り。
『四萬じゃないのか?』
符丁で訊ねると、遠藤は『間違いないです』と返す。不審に思っていると、遠藤の対面が四萬を切った。
「ロン」
遠藤はそう言うと牌を倒す。
二三六七八ABCGG234
普通ならご法度とも言えるヤマゴシ。振り込んだヤツも口には出さないが、不満そうな表情だった。
えげつないと言えるほどの打ち方だが、コンビで打つ以上このえげつなさは武器になる。俺は遠藤に和り役としての才能を感じた。
229 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/06/24 01:29 ID:+FIhYA+p
まだまだー
230 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/06/24 20:46 ID:Ol90yfTR
もっと
231 :
常居接人:04/06/24 22:40 ID:K8KS6EhK
この日俺達のコンビは最高のできだった。符丁は要牌や手の進みを報せるだけの単純なものだったが、それでも充分通用した。
遠藤が5連勝した時点で、お開きの時間になった。帰り支度をする俺と遠藤は再び増田に呼ばれた。
「明日から、ここには来なくて良い。外でコンビ打ちの練習をしておけ。練習方法は任せる。他のギャンブルやっても良いぞ。お前等息が合ってるから、デビュー戦が楽しみだな」
増田はそう言うと、凄みのある笑顔になった。俺は残りの4日間をどのように過ごすか考えていた。
「本多さん、明日はどうするっすか?」
俺達は遠藤の部屋である、寮の一室にいた。早く帰って、香を抱きたいのだが、打ち合わせを疎かにするわけにはいかない。
「明日か、とりあえず麻雀ばっかりで疲れたな。夕方まで他のギャンブルでもして息抜きしないか」
俺がそう言うと、遠藤の顔がパッと明るくなった。
「いいっすね。俺、ここに来てから麻雀しかやってないんすよ。久しぶりに他の種目やりたいっす」
遠藤の思いも同じだったようだ。聞けば遠藤は、高校を中退して1年になるが、3ヶ月目にここに来たらしい。それから9ヶ月、麻雀以外やってないとのことだった。俺以上に他のギャンブルに餓えていた。
翌日、朝8時に俺がよく通っていた駅前のマックに集合。ということになった。遠藤は「たのしみっす」と子供のような笑顔だった。
遠藤の部屋を出ると、俺は家路を急いだ。とりあえずはスロだな。そんなことを考えていたが、重要なことを思い出した。岡村のことである。もう監視役兼ボディーガードの組の人間はいない。
遠藤はどうか知らないが、俺は喧嘩が弱い。まして、相手は空手の有段者だ。このままではまずい。俺はあれこれ考えながら歩いた。だが、俺の脳細胞からはいいアイデアが浮かばなかった。
「どーしよーかなー」と呟きながら歩いていると、アパートに到着していた。後のことは香を抱きながら考えよう。ヤッてる最中にいいアイデアが浮かぶかもしれない。
232 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/06/25 17:16 ID:jSEkdlpe
常居接人サン、いつも楽しみにしてるヨー!
ガンバレ (*´д`*)
>>232 どうもありがとうございます。
最近他所で私の偽者が出たんで◆つけることにしました。
続き書きます。
「亮ちゃんお帰りー。修行は順調?」
香に抱きつかれ、「癒されるなー」などと考えていたが、俺の出世を夢見る香に、言わなければならないことがある。
「今日、デビューが決まった5日後だ。修行は一応終了、これからはガンガン稼ぐぜ!香楽しみにしてろよ」
抱きついた香を抱え上げ、俺は叫んでいた。叫ばずには居られなかった。香も顔をほころばせて喜んでいた。
ジンクスを守って、生ハムとワインを口に運びながら、俺達は興奮していた。まだ、代打ちのスタートラインに立っただけだが、順調に行けば、億単位の収入も夢ではないんじゃなかろうか。
収入億単位。そんなことに思いをはせ、この夜俺は野獣になった。野獣化した途中で岡村のことを思い出したが、同じく野獣化した香を貪るのに夢中で、いいアイデアは浮かばなかった。
翌朝、マックにやってきた俺は、非常に疲れた顔をしていた。先に来ていた遠藤は開口一番こう言った。
「本多さん寝不足っすか?」
遠藤の言葉に曖昧な笑みで応えた。遠藤は心配そうに覗き込んだ。
「少しここで眠ったほうが良いんじゃないすか」
俺は「そうさしてもらおうかな」と言い、二人でマックへ入っていった。
遠藤に朝マックを奢り、「少し寝かせてくれ」と言って小一時間ばかり寝た。夢の中で岡村にボコられた。不愉快な目覚めだった。
「そろそろ行こうか」遠藤に声をかけてから、どこに行くか決めていないことに気がついた。
「あっそうか、まだ何するか決めてなかったな。遠藤、ナニがやりたい?」
俺の質問に遠藤は即答した。
「スロットっすね。本多さんもスロットで喰ってたんすよね。俺もガッコ辞めてからスロで喰ってたんすよ。勝負しましょうよ」
俺に依存はなかった。こうして二人で連れ立って、駅前のホールで行列の一員になった。
235 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/06/25 18:18 ID:J/4qr/nU
age
ホールでは「北斗祭り」と銘打ったイベントが行われていた。イベントだから北斗はキープできないと思ったが、幸い2人とも台を取れた。
メダルを入れると、いきなりジャギステージだった。さすが祭りだ。
丁度俺の真後ろに座った遠藤は久しぶりのスロットに興奮している様子だった。
先に当りを引いたのは遠藤。奴の方を見ると、得意げに親指を立ててウインクした。俺もこうしてはいられない。早く当りを引かねば。
待ちに待ったジャギ登場。BB目前と思われたが、ケンシロウの阿呆が負けやがったのだ。ジャギに負けると気持ちがヘコむ。
ヘコんだ気持ちでゲーム数だけが空しく消費されていく。遠藤は順調にメダルを増やしていた。
1時頃、俺がパンクすると遠藤は店員を呼び、昼食中の札を持ってこさせた。そしてこう言った。
「本多さん調子悪いみたいっすね。飯でも行きましょうよ、流れ変わるかもしれないっすよ」
俺は遠藤から千円借りて、サンドに突っ込んだ。メダルを下皿に流し、俺も昼食中の札を持ってきてもらった。
近所の小汚い定食屋で、まずい飯を食いながら遠藤とこの後どうするかを話した。
「てきとーな時間でスロットは切り上げた方がいいっすよ。デビューまで時間がないっすから、コンビ打ち再確認しときましょう」
遠藤の言葉に俺は少しこの小僧を見直した。今、2箱積んでいる遠藤は、普通ならこのまま一日中打っていたいところだろう。
だが、遠藤はスロットは息抜きと考えているらしく、適当な時間で切り上げてジャンヤに行こうと言うのだ。俺は思わずこう言った。
「いいのか?お前の台伸びそうだぜ」
「スロットより、代打ちの報酬の方がでかいっすよ。いきなり失敗したら仕事廻してもらえないかも知れないっすよ」
遠藤の意見はもっともなものだった。
「それじゃ、俺が後2千円打ったら引き上げようか?」
俺がそう言うと遠藤は「いいっすよ」と言った。
237 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/06/27 13:13 ID:YwquZMBq
常居接人の文章おもしろいな。他とは違う異質な物を感じる
飯を食い終わり、ホールに戻った。予想通り2千円分はあっさりと消えていった。遠藤に目をやると、奴はランプを点け店員を呼んだ。
ホールを出て、奴は交換所、俺はコンビニのATMにそれぞれ向かった。ホール前で落ち合うと、遠藤がこう言った。
「本多さん、俺、行きたいジャンヤがあるんすよ。そこ行っていいすか?」
遠藤がどんな心境でそう言ったのかは解らない。だが、この街で神山の店以外のジャンヤを知らない俺は遠藤に従った方がいいと考えた。
「いいよ、でもそこのレートは?」
「300円っす。馬が6000、12000っす」
試運転をするには、ちょっときついレートに思えた。俺がそのことを言おうとした時、遠藤が口を開いた。
「あの店で勝たないと俺は代打ちの看板上げられないんす」
遠藤が何時に無く真剣な眼差しで俺を見つめた。俺はタバコに火を点け渋く聞いた。
「理由ありのようだな。…よかったら理由を聞かせてくれよ」
「実はその店は、俺が代打ちになろうって決めたきっかけを作ったんす。ガッコ辞めてギャンブルで喰ってた俺がサマに引っかかったっす」
「それがその店か?」
「そうっす。コンビ打ちにやられたっす。あの店のマスターとその兄貴、あいつらに一杯喰わせないと、俺代打ちなんて名乗れないっす」
遠藤はそう言うと、左袖をまくった。左二の腕に「負け犬」の文字と泣き顔のブルドックが彫られていた。
「あいつらにやられたっす。本多さん協力してください。お願いします」
姑息なコンビ打ちで、腕に覚えのある人間を嵌める兄弟。天才として、代打ちデビュー前に片付けておきたい相手だ。俺達のコンビ打ちを確認する為にも適当な相手と思えた。
「面白いな、行こうぜ」俺は軽い興奮を覚えていた。
240 :
237:04/06/27 22:58 ID:rr2tVdb3
「お前のリベンジだ。俺はサポートに徹する。好きなだけ和れ」
遠藤には店に向かう途中そう言っておいた。俺達のコンビネーションがどこまで通用するか確かめておきたかった。
遠藤に案内された店は、小汚い路地裏にある、小汚い雑居ビルの小汚いフロアにあった。
「邪魔するよ」
店の中では汚いオヤジどもが卓を囲んでいた。俺達の方をチラッと見やると、興味なさそうに再び闘牌を始めた。
「いらっしゃい。なんだ、餓鬼か。おい、餓鬼。ここは餓鬼の遊び場じゃないんだ。とっとと帰んな」
態度の悪いオヤジがこう言った。おそらくこいつが遠藤を嵌めたマスターだろう。遠藤のことは忘れているようで、遠藤の顔を見てもなんの反応も示さなかった。
「打ちたいんだよ。ここの噂は聞いてる、金ならあるぜ」
俺は見せ金に30万降ろしておいた。オヤジの顔つきが変わった。
「俺と勝負したいのか?そっちは2人だな。こっちも相棒を呼ばせてもらうけどいいかな?」
「ああ、こっちもそのつもりで来た。こいつが前にあんたらに痛い目に合わされてるんだ。覚えていないか?」
「ああん、わかんねーな。何しろ麻雀で殺した人間なんて何人居たかも覚えちゃいねー」
オヤジはそう言うと受話器を手にした。
「兄貴か?俺だ。……俺達と勝負したいって餓鬼どもが来てるんだ。…いや、紹介じゃない。前に打ったことがあるらしい。年上の餓鬼が30持ってる。すぐに来てくれ」
受話器を置くと、親父は薄気味悪く笑った。
「兄貴はすぐ来るぜ。そっちの餓鬼は幾ら持ってんだ?」
遠藤は黙って懐から封筒を出した。中には遠藤が修行中血のにじむ思いで貯めた20万が入っていた。
遠藤は気合の入ったいい表情をしていた。
面白いね。麻雀わかんないけど楽しく読めてるよ。頑張って!
>>243 麻雀知らなくても面白いですか?
良かった。そう言ってくれると幸いです。
続きを書きます。
30分ほどで、「兄貴」はやってきた。見た目にはマスターより若く見える。だが、その表情と両手の小指が無いことで只者ではないことが解る。
「坊や、お金は大事だよ。俺達と打つなんてお金をドブに捨てるようなものだ」
「兄貴」は笑いながらそう言った。俺は余裕を見せてヘラヘラ笑っていたが、遠藤は噛み付きそうな顔つきで睨んでいた。
「そっちの坊やは怖い顔してるな。そっちの坊やはリベンジかい?」
「おい、糞餓鬼。妙な顔するんじゃねー」
「兄貴」は笑顔のまま、マスターは遠藤を睨みつけ言った。だが、遠藤に怯んだ様子は無かった。
場所決めの結果、幸運なことに俺は遠藤の上家に座れた。ルールは変則で、ポイント制になった。トップが+2、以下+1、−1、−2。1P1万円でチーム単位で清算。
例えば、遠藤がトップで俺がラスならチームポイントは0になる。奴らの腹は、俺と遠藤を二人とも沈めようとしているようだ。
東一局、親は「兄貴」、ドラは9ピン。俺の配牌は可も無く不可も無い。遠藤がサインを送ってきた。
『手の中に白が2枚。面子は二つ。早い手っす。早めに二,五萬、できれば白も鳴かせて欲しいっす』
俺の手には五萬が1枚。白は無かった。遠藤にサインを返す。
『白は無い。五萬は1枚、始めに切ってやる。白も持ってきたらすぐ切る』
俺達はサインを念入りに決めていた。かなり細かい点までわかるようにしておいた。相手はコンビ打ちのプロ、念を入れておいて入れすぎということはあるまい。
俺のツモは1ピン。俺は躊躇することなく五萬を切った。遠藤が「チー」と言おうとしたとき「兄貴」が動いた。
「五萬ポン」
奴の発声に俺達は少なくない衝撃を覚えた。サインを見破られたかとも考えた。だが、まだ勝負は始まったばかり。サインの解読など不可能なはずだ。
只の偶然ならいいのだが。俺はそう考えながら遠藤に目をやった。遠藤は不思議そうな顔をしていた。おそらく俺も遠藤と同じ顔をしているだろう。
亮ちゃんピーンチ!
「兄貴」は赤五萬と五萬を倒した。まだ、サインの内容などわかるはずが無い。偶然だ偶然に決まっている。
邪念を振り払い、『心にゆとり』と頭の中で唱える。南の俺は「兄貴」が切った後牌山に手を伸ばす。
持ってきたのは東。「兄貴」に鳴かれると厄介なので「兄貴」が切った北を切る。
5巡目、待ちかねた白を持ってきた。もちろんソッコーで叩き切る。
遠藤が静かに「ポン」と言った。牌を倒しながらサインを送ってきた。
『聴牌っす。二、五萬待ちっす。ドラがアタマっす』
サシコミも考えたが、俺の手に二、五萬は無い。それにまだ相手に聴牌気配は無い。だが、持ってきたらソッコーで切ってやろう。
12巡目。「兄貴」のツモ切りが多くなった。聴牌かイーシャンテンだろう。トイツ臭い感じだ。
マスターが動かないのも不気味だった。「兄貴」のサポートをしているようには見えない。サポートをする気が無いのか必要が無いのか判断できなかった。
「兄貴」が發を切り俺のツモ番が来た。盲牌した瞬間、ラストの五萬であることが分かった。
こっちなら「兄貴」に当ることはあるまい。ソッコーで叩き切った。
「ロン」遠藤が静かに牌を倒す。
三四八八八@ABHH567 □(ポン)□□
遠藤とアイコンタクトで成功。と言い合う。その時、「兄貴」がこう言った。
「ダブロンありだよね」俺が頷くと、奴は牌を倒した。
三四DDD(赤)HH555 五(赤)五五(ポン)
「へへへ。悪いね。跳満」
俺たちをあざ笑うような手と表情だった。この一撃で俺は残り3100点になりブットビの危険も出てきた。
常居接人タソ、突っ込んでいい?
遠藤、多牌...スマソ
でも兄貴がダブロンといってるからセーフ
続きお願いします。かなりファンです。
遠藤 三四八八八@ABHH567 □(ポン)□□
おそらく八萬が多いように思われる、しかしこれは
エレベータ等で手配を増やし遠藤達に対する小手調べ。
そうにちがいない。
しまった。ミスです。
恥ずかしい。指摘どうも。
八萬見なかったことにしてください。
マジで恥ずかしい。
気にしない気にしない。
こんだけ書いてりゃミスしないほうがおかしい。
253 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/07/01 02:04 ID:ESt4zbUq
多牌か〜。ま〜、なんつ〜か、モー娘。の新垣みたいなもんだから見なかったことにf^_^; ここは荒れないし、いいスレだと思うよ!常居さんはほんとなんかの雑誌とかでデビューできる素質があるよ!
皆さん優しいですね。
続きを書かせてもらいます。
次局、サイの目は5,2遠藤がドラをめくると、發が表れる。今の点数では遠藤のアシストなどしてる場合じゃない。
配牌を取りながら『中、アンコでもってこい』と願ったが、そんなに上手くいくわけが無い。平凡な配牌だった。
ツモは非常に悪かった。要牌をほとんど持ってこない。点棒の補給が命題なのに、それが難しくなった。
11巡目、遠藤が切った1ソーをマスターが鳴く。「兄貴」が言った。
「あいたたた、俺のツモ良いのに流れ変えるなよ」
「手がいいのか?悪いな。まあ、イラつくな」
こいつらの会話が無駄話とは思えなかった。何らかの符丁が混じっているはずだ。点数に余裕があればマスターの手を見ておきたい。だが、今の俺にそんな余裕は無い。
数巡後、マスターは一萬を卓に叩きつけ、牌を倒した。
二三CDE中中中BB 1(チー)23
「中ドラ3。満貫だな」
一本場がついて、俺の残り点は2000点。まさに崖っぷち。この時点で俺は腹をくくった。この残り点で粘れるところまで粘る。
粘って、こいつらの符丁を見破ってやろうと考えた。何とかオーラスまで耐えられるように点棒の補給が急務だ。俺は遠藤にサインを送った。
『奴らの符丁を見破りたい。この半荘できる限り粘りたい。アシスト頼む』
俺のサインに遠藤は応えた。
『了解。できるだけ協力するっす。情況次第でサシコミするっす』
遠藤から心強い返事を貰った。親番が来たここは、連荘して最低でも点棒を5桁に乗せておきたい。
俺は祈るような気持ちでサイボタンを押した。
又やっちゃった。
亮の持ち点は1000点でした。
ナニやってんだ俺。
2日続けてチョンボ…恥ずかしいの通り越して情けない…
いえいえ、お気になさらずに…
続き楽しみに待ってます!
ガンガレ!
(´・ω・)つ旦ドゾー
なんだよこのスレ・・・
おもしれーじゃねーかよ
。・゚・(ノД`)・゚・。
259 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/07/02 09:35 ID:2ph9bf1e
ここもほしゅ!常タンキニシナイきにしない!
260 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/07/02 10:44 ID:AFoykKC3
応援してるぞ!常居接人!
ここはパチスロ板唯一の良スレですね。
262 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/07/02 15:10 ID:ML7JNPIu
どーしてくれんだよー
昼休みにこのスレ見つけて一気読みしてたら
上司に見つかっちまったよー
早く続き読みたいよー
常居接人ガンガレ
このまま無抵抗だったら、逆風のまま10や20はすぐに溶かされてしまうだろう。サイコロが回るのを見ながらそんなことを考えていた。
サイコロは6ゾロ。「兄貴」の山から牌を取っていく。その途中でマスターがこんなことを言った。
「おい、餓鬼。トんだらペナルティーで一人に一万ずつ払ってもらうぞ」
「ナニ言ってんだてめー!汚えぞ。急にそんなこと言いやがって」
遠藤がマスターに食って掛かる。俺は遠藤を制して言った。
「いいぜ。その条件呑んでやるよ。ところでこっちからも追加したい条件があるんだけど」
「何だ?言ってみろ」
「ポイント制を少し変えて欲しいんだ。3人マイナスにしたら。トップにプラス10、2着がマイナス2、以下マイナス3、5って言う感じにして欲しいんだよね」
俺は奴らのコンビ打ちを狂わせるためにこんなことを言った。3コロ狙いに来たらそこに隙ができると考えた。「兄貴」が笑いながら言った。
「ふーん。面白いこと考えるね。俺は良いよ賛成だ。浩史、お前はどうなんだ?」
マスターの名前は浩史というらしい。奴は少し考えて言った。
「いいだろう。その言葉後悔させてやる」
まずは第一関門突破。後はこのルールで奴らがコンビネーションを狂わせてくれればいい。
「兄貴」は一人でも打てる人間だが。マスターは「兄貴」無しでは並以下の打ち手に思える。俺の配牌はいい感じだった。
一一五(赤)六八CDFH5(赤)79東東 ドラ5ピン
ここから巻き返してやる。
265 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/07/03 19:38 ID:CyeIOwQ1
(・∀・)イイヨイイヨー
八萬を切り、遠藤にサインを送る。
『東がトイツ。でも面前で進めたい。東はあっても出すな』
『了解。手の中に東はないっす。他に俺の役目は?』
『今のところない。思いついたらまた指示を出す』
こうなったら、1ハンでも高い手に仕上げたい。自爆覚悟でリーチもあり、と俺の脳細胞は判断した。
手の伸びは順調で、6巡目でこうなっていた。
一一五(赤)六七BCD5(赤)79東東
その時遠藤からサインが来た。
『東1枚あります。すり替えしましょう』
俺は遠藤の申し出を断った。ばれるのが怖いわけではない。イカサマに関しては奴らの方が数枚上手だ。奴らに序盤からサマを行う口実を与えたくなかった。
流れを掴んでから、奴らにサマをやらせ、その現場を押さえる。そして、落とし前として大金をせしめる。これが俺の計画だ。
奴らにはゆとりのない心でサマをさせる。心にゆとりがないからあせって失敗する。俺か遠藤が見破る。落とし前をつける。我ながら賢い戦略だ。
遠藤は不満な様子だったが、俺は自分の考えが間違っていないと考えた。そして遠藤にサインを送った。
『そんなことするくらいなら、その東切ってくれ。ソッコーで鳴くから』
次巡、ツモった8ピンを切ると遠藤に『東出せ』のサインを送る。遠藤が切った東を鳴き、9ソーを切った。手牌はこうなった。
一一五(赤)六七BCD5(赤)7 東東東(ポン)
奴ら兄弟相手に赤5ソー切っての引っ掛けは通じないと思った。だからここは両面に変わりやすい待ちにしておいた。
きやがれアホ兄弟。天才の凄みを見せ付けてやる。
聴牌してから数巡、俺たちにも奴らにも動きはなかった。俺が崖っぷちにいるこの情況で奴らに動きがないのは、マスターがトス役として機能していないことを物語っている。
『この手を和りきれれば強烈な追い風が吹くはず』
俺はそれを信じて力を込めてツモる。力を込めてツモった牌は東、躊躇なくカン。「兄貴」が新ドラを指一本でひっくり返す。
表示されたのは、四萬。跳満確定。リンシャンをツモる。持ってきたのは3ソー、少し迷ってそのまま切った。
遠藤にカン6ソー確定のサインを送る。遠藤が一瞬笑ったように見えた。
遠藤が北をツモ切り、サインを送ってきた。
『次のツモ6ソーにすり替えておいたっす』
俺は少し驚いた、全く見えなかった。だが、これで鳴きが入らなければ6000オールをゲットできる。
「兄貴」は遠藤のすり替えに気づいたようで、マスターにナニか言おうとした。だが、それより早くマスターは3枚目の白を切った。
「兄貴」の顔が一瞬曇ったのを俺は見逃さなかった。奴は諦めたようにツモり、3ソーを切った。
「ツモ。6000オール」
俺は渋い声で言って、牌を倒す。結局この局は相棒の質に差が出た、「兄貴」がサインを出す前に切ったマスターのミスだ。「兄貴」が厳しい顔をしたが、マスターはその理由がわかっていない様子だった。
それにしても遠藤の早業と機転には驚かされた。こんなに頭の回転が速いとは思わなかった。俺が遠藤をリードしないとこのコンビは機能しない、と思っていた。
だが、この調子なら俺たちのコンビは上手く行くと思えた。この若さで代打ちになれるだけあって、遠藤もまた俺と同じ種類の人間。天才、なのかも知れない。
ツミ棒を1本出し、サイボタンを押す。2,3の5、目の前の山から牌を取りながら、俺の身体を凄まじい追い風が押している感覚があった。
269 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/07/04 18:46 ID:OpjYFKdu
わくわく
このすり替えは難しいぞ〜(マジで)
>>270 無茶を承知で書いたんで…
でも、ツバメ返しよりは現実的じゃないかと…(言い訳)
続き書きます。
親ッパネを和り、ブットビを回避できたことで追い風が来たようだ。
1本場、クイタンドラ1赤1をマスターから直撃。2000オールで捲れる位置まで一気にやって来た。
2本場、配牌、ツモ共に悪く、遠藤のアシストに徹することにした。遠藤からは「トイツ手」とサインが来た。
『四萬欲しいっス』
序盤、遠藤からサインが来た。さっき遠藤がやったようにすり替えも考えたが、俺はサマをやったことがない。天才の俺に小手先の技は必要ないと思っていたからだ。
だが、こういう情況になると、すり替えぐらいはできた方が良いのではないかと考えた。明日にでも遠藤に教えてもらおう。
四萬を切ると躊躇なく遠藤が「ポン」と発声した。北単騎でトイトイサンアンコだと言う。やはりすり替えぐらいはできた方がいい。痛切に感じた。
マスターが無造作に北を切った。こいつの麻雀は基本的に荒い。調子に乗っている時は良いのだが、守備に欠陥が多い。今までは「兄貴」のアシストで勝ってきたようだが、俺たちコンビの敵じゃない。
遠藤の親番になった次局。「兄貴」がマスターの切った五萬で満貫を和る。
三四八八BCD345678 ドラ8ソー
「あ、兄貴…なんで、なんでだ?」
どうやら五萬切りはサインだったらしい。マスターは信じられないといった表情で「兄貴」の手を見ていた。
「和っておかないと坊や達に追いつかれるからな。坊や達、悪いけどこの半チャンで終わりにしてくれないかな?浩史じゃ役不足だ。日を改めて勝負してくれないかな?」
随分勝手な言い分だった。だが、ここで話をややこしくするより落とし前をつけたほうが利口だと考え条件を言ってやった。
「それなら、落とし前つけてもらわないといけないな。違約金20万ずつ払ってもらおうか」
合計40万。落としどころとしては微妙な金額に思えた。だが、「兄貴」はあっさりと了承した。
「ああ、こっちの我儘だからそのくらいは払うよ。悪いね、仕事を控えてるから君達みたいなきつい相手と打って調子を崩したくないんだ」
これで、この半チャンはどっちに転んでもOK。俺達も仕事を前に調子を崩したくない。遠藤に目をやると不満そうな表情だった。
273 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/07/05 22:28 ID:APqma8gW
やばい、ホンマに面白い!
何か引き込まれるような感があって非常に面白いです
次局、遠藤がマスターからヤマゴシで満貫を和り、奴のブットビで終了。「兄貴」、遠藤、俺、マスターの順位だ。
マスターは忌々しげに手提げ金庫を持ち出し金を数えた。
「ほれ、20万とブットビのペナルティで1万ずつだとっとと持っていきやがれ」
「おい、浩史。後20出しとけ」
「はぁ?ナニ言ってんだ兄貴。なんで俺が?」
マスターが顔を真っ赤にして抗議した。「兄貴」は懐からタバコを取り出し、火を点けながら言った。
「お前が随分足引っ張ったからだよ。相方がお前じゃなかったらこの子達と腰を据えて打てたんだ。それに、お前に儲けさせてやった金は20じゃきかないぜ」
「兄貴」の顔は笑顔だったが、その目は尋常ではない光が宿っていた。マスターは金庫からもう20万をしぶしぶ出し、俺にその金を手渡した。
「それじゃぁ、失礼させてもらおうかな。お兄さん、また勝負しましょう。あなたとはケリをつけないとこいつが納得してくれないんで」
俺はそう言って、遠藤の方に目をやった。遠藤は「兄貴」を睨みつけていた。
「ああ、仕事が終わったら勝負しよう。今度はもっとマシな相方呼んでおくよ」
「しばらくの間生かしておいてやる。その相棒と一緒に地獄を見せてやる」
遠藤が静かに言った。静かに言った分その言葉には迫力があった。「兄貴」は煙を吐き出しながらこう言った。
「ああ、そうかい。3週間くらいしたらまたこの店に来てくれよ。仕事終わったら暫らく休暇取るんでね。休暇明けに勝負してやるよ」
「兄貴」を睨みつけ、今にも飛びかかりそうな遠藤を引きずるように店を出た。
「おい、落ち着けよ。あいつらと何があったかは知らねーけど落ち着けって。ここじゃぁ落ち着いて話もできねーだろうから、俺んとこ来いよ。話聞いてやるよ」
遠藤をなだめながら、俺たちは住処へ向かった。遠藤は「すんません本多さん」と呟いた。俺は奴の肩を叩き「気にすんな」と言った。
遠藤を連れて帰った俺たちを、ビールでいい気分になった香が出迎えた。
「お帰りー亮ちゃん。あら、その子は?」
簡単に遠藤を紹介すると香はこう言った。
「あなたが遠藤君?亮ちゃんがいつも言ってたよ、面白い子がいるって。思ったより真面目そうだね」
香は歯に衣着せるということを知らない。初対面の遠藤に何気に失礼なことを言う。だが、遠藤は気にする様子もなく言った。
「初めまして、遠藤っす。香さんのことは本多さんから聞いてます」
遠藤と香が余計なことを言う前に俺は遠藤を家の中へ入れた。とっとと遠藤に酒を呑ませて話を聞いてスッキリさせてやろうと思った。
「上がれよ。酒は初めてじゃないよな。まず一杯呑めよ」
遠藤にビールを注いでやると奴はそれを一気に呑み干した。香が「こんなものしかないけど…」と言って封の開いたポテチを持ってきた。
ビールを呑みながら、遠藤にあのジャンヤであったことを訊いた。注がれたビールを一気呑みしながら、遠藤がポツリポツリと語り始める。
高校を中退し、パチスロで金を稼いでいた遠藤はある日、パチヤで知り合った男にあの店を紹介された。あの店の本来のレートは100円で、マスターたちと打ち合うときだけ300円だということだった。
いい感じで勝ち続けた遠藤は、やがてマスターに300円での勝負を挑まれた。面子は「兄貴」ともう一人は遠藤にこの店を紹介した男だった。遠藤はコンビ打ちを警戒したが例の男が同盟を持ちかけ「俺に任せておけ、お前に損はさせない」と言った。
その言葉を信用した遠藤は勝負に応じた。序盤こそ遠藤たちはリードを奪ったが、結局「兄貴」たちに捲られた。遠藤がオケラになった時、例の男に金を融通してもらおうとした。だが、彼はこう言った。
「そろそろお開きにしましょうか。遠藤、金が足りないみたいだけど、どうするんだ?」
この瞬間、遠藤は自分が3人に嵌められたことを悟った。払えないことを告げると、例の屈辱的なタトゥーを彫られた。この戦いで遠藤は30万の金を失い、プライドをズタズタにされた。
どん底に落とされた遠藤は復讐を誓い、麻雀を打ち続けた。100円のジャンヤで無敵を誇った遠藤は、やがて佳代さんに見出され、代打ち候補生の一人となった。
278 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/07/07 20:36 ID:0AMEuD63
新作あげ
279 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/07/07 21:23 ID:kxK2O2Qp
常居先生、毎回楽しく読ませてもらってます。
最近ペース速いですね。僕たちは楽しいですけど無理しないでほどほどに頑張ってください。
応援してます。
>>280 上の5つは統合してもいいと思うけど下の5つは種類が違うとおもう。
俺このスレ好きだから多少偏見が入ってるかもしれんけど。
いやいやすいません、全スレ活性化プロジェクトと思って下さい。
宣伝リンクと思っていただければ幸いですm(_ _)m
おいらこのスレ好きだから統合はして欲しくないなぁ
>>282 お疲れ様です。
まぁそこら辺のスレは需要あるからまだいいけど
需要もない明らかな糞スレをどうにかしてほしいもんだね。
>>279 気を使ってくれてどうもありがとう。
でも、無理なペースで書いている意識はないので。
これからも頑張ります。
一晩で30。まともに考えたら、そんなに溶けるようなレートじゃない。遠藤は明らかに嵌められたのだ。
「まああれだな、そのパチヤで知り合った男っていうのが食わせもんだな」
「奴は。小林っていうんすけど、まだこの辺で稼いでるらしいっす」
遠藤はビールを呑むのも忘れて、悔しそうに言った。俺は、タバコに火を点けると遠藤に言った。
「で、どうするんだ?「兄貴」とはケリをつける約束したけど、その小林ってのはどうする?見つけ出して半殺しにでもしたいのか?」
遠藤は首を横に振り、はっきりとこう言った。
「博打の借りは博打で返すっす。小林には博打で復讐するっす」
「しょうがねーな、乗りかかった船だ。小林とやる時は俺も協力してやるよ」
俺の言葉は、半分は遠藤との友情。もう半分はコンビ打ちで金を稼ごうと考えてのものだった。遠藤は暫らく考えた後、こう言った。
「ありがとう御座います。でも、小林が一人だったら俺一人でやるっす」
遠藤は例のいい表情をしていた。引き締まった勝負師の顔だった。
「なんか男の友情って感じね。ねぇもうこの話は終わりでしょ、楽しくみんなで呑もうよ」
香が明るく言った。重くなっていた空気がふっと軽くなった。香の笑顔に遠藤も気持ちを解きほぐしたようで「頂きます」と明るく言った。
酒が進み、つまみがポテチだけというのも少し寂しい感じがした。香も同じ気持ちらしく俺に言った。
「ねぇアタシお腹空いた。亮ちゃんなんか作ってよ」
何も言わず、キッチンに立った俺を遠藤が不思議そうに見た。
「本多さんが作るんすか?香さん料理得意なのに」
「えっ、アタシ料理なんてできないよ」「でも、いつも本多さんが弁当は香さんが作ってるって言ってたっすよ」
二人の会話に俺は居たたまれなくなり、遠藤に言った嘘を二人に話した。二人は気にする様子もなく、みんなで笑った。
俺たちは豚キムチをつまみながら、ビールを胃に流し込んだ。明日は神山の店で調整を行うことが決まった。
287 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/07/09 02:43 ID:vc1zvZ+z
常居接人さん
毎回楽しみにしとります。
カンガッテ書いとくれ。
288 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/07/09 03:16 ID:rbnxm1Vv
これはすごいよ、読んでていきなり常居接人さんのファンになった。
応援します。
続けてください、お願いします。
>>287 アリガト。これからも頑張って書くんでヨロシク。
>>288 応援アリガト。暫らくはこのペースで書き続けます
さてと、続き書きます。小1時間ほどお待ちください。
神山の店は夕方からの営業なので、それまでの間、遠藤にサマ技を教えてもらうことにした。
だが、一朝一夕でマスターできる訳も無く、空しい時間を過ごした。
「そんな簡単にできることじゃないっすよ。まぁ暫らく手の動きを練習しといてくださいよ」
遠藤の言葉に頷いたが、天才の俺はこういった地味な練習は得意ではない。しかし、代打ちとしてデビュー目前の今、サマの一つくらいはマスターしておきたい。
神山の店に着いた時、丁度二人が待っていて、すぐに卓が立つ様だった。だが、俺たちを見ても神山はすぐに準備を始めようとしなかった。
「神山さんどうしたの?」
俺が聞くと、神山は困ったように言った。
「いらっしゃいませ本多様。こちらのお客様は太田の紹介でご来店いただいたのですが。……このあたりを荒らしている学生コンビらしいんです」
最後の言葉は俺に耳打ちするように言った。本来ならコンビ打ちくらいでこんなに過剰な反応をする男じゃない。察するにこいつらは相当えげつない打ち方をするようだ。
二人に目をやると、いかにも玄人気取りのガキといった印象だった。面白い相手だ、と俺は思った。
「いいじゃないか、神山さんこの人たちと打たせてよ」
俺がそう言っても神山はまだ迷っている様だったが、遠藤が「大丈夫っす。そういう相手ならこっちも遠慮しないっすから」
と神山に耳打ちすると、ようやく卓の準備を始めた。タンクトップのガキがこっちを見て言った。
「ヨロシク。俺らはキツイぜ、おっさん幾ら持ってんの?最低でも10持ってないと話になんないよ。もう一人はガキか、へへへ小遣い稼がせてもらおうかな」
失礼なガキだ。人を捕まえておっさんとは、俺はまだ25だ。いいぜ糞ガキ、ケツの毛まで抜いてやる。遠藤に目をやると、奴も気合の入った顔をしていた。戦闘準備は整っている。世間の恐ろしさを教えてやるよ。
もう一人のガキに目をやった。ニヤニヤと薄気味悪い笑みを浮かべ、こっちを見ていた。頭に巻いたバンダナが全く似合っていない。二人まとめてオケラにしてやる。
場所決めはつかみ取りで、タンクトップ、俺、バンダナ、遠藤の順番になった。相棒が対面同士だが、ガキどもは気にする様子も無かった。
291 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/07/10 04:06 ID:oN2a32W6
おおおお!!!
面白くなってきたぞ。
平で勝負するの?まさかね。
楽しみ楽しみ。常居接人さんがんがってね。
タンクトップがサイボタンを押す。3,4の7。それを受けてバンダナが出した目は2ゾロ、俺の山から牌を取っていく。ドラは七萬。
俺の配牌は、二三五(赤)七八八CDEF1東發 手なりで進めていきたい手だ。
遠藤に『俺は手なりで行く。まずは様子見だ。』とサインを出す。
今朝習ったばかりのすり替えも試してみたかったが、ガキどもにばれる可能性が高い。ここは自重した方がいいかもしれない。
遠藤はあまり良い手ではないらしく、『俺も様子見っす。すり替え必要なら言ってください』とサインが返って来た。
7巡目俺の手は、二三四五(赤)七八八BCDEF東 となっていた。東がまだ1枚も見えていない、ちょっと切りづらい感じだ。
バンダナの9ピンをタンクトップが大ミンカン。ドラをめくると4ピンが表示された。リンシャンを持ってきてタンクトップが言った。
「おっと、これもカンだな」
一萬をアンカン、バンダナが山を前に出しその後ドラをめくる。北が表示された。遠藤がそれを見て
「おい、妙な動きすんなよ」
と言ったがバンダナはニヤニヤしながら言った。
「山を前に出しただけだろ。言いがかりつけるなよ」
おそらくすり替えだろうが、現場を押さえられなかった。これで東がますます切りづらい。このまま抱いておくか遠藤に手渡しするしかない。
タンクトップが北を切った後、1ピンを俺がツモ切り。バンダナが「ツモ」と言って牌を倒した。東がアンコで跳萬確定かと思ったが意に反して奴の手は
五六七九九@ABEF234 Gツモ だった。ピンヅモドラ1、1300オール。すり替えはしていなかったのか?俺たちは疑念を抱いたまま一本場を迎えることになった。
>>291 期待が大きいのでかなりプレッシャーを感じながら書きました。
期待はずれだったら申し訳ない。
294 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/07/10 19:12 ID:abJ1pfyq
サマの描写がリアルでいい!
295 :
291:04/07/11 01:21 ID:UK2W9nxM
いいよ。続き楽しみだよ!
めちゃ良スレ。
常居接人さんファンクラブだね
>>294 ありがとう。これからも精進します。
>>295 期待を裏切らないように頑張ります。
続き書きます。
一本場、まだ焦る必要は無いが、バンダナの親を確実に蹴っておきたい。ペースを握られると厄介だ。
俺の手は早い手で、蹴飛ばしにはもってこいだ。遠藤に東トイツで早い手とサインを送る。遠藤から『了解』と返って来た。
遠藤は一打目で東を切り出した。当然ポン。6巡目、タンクトップの3ピンを直撃。
六六七八九@ABCD(赤) 東東(ポン)東
一本場がついて2300円。タンクトップはふてくされた様子で言った。
「なんだその手?ほらよおっさん。せいぜい小銭稼いでおけよ」
相変わらずムカツクガキだ。俺は金を受け取り、こう言い返した。
「馬鹿か?貴様。和れるノミ手と和れない役満聴牌どっちがマシだ?」
「ケッ!俺の役満は和れるんだよ。舐めるな」
タンクトップは熱くなりやすい性格のようで、俺の挑発に簡単に乗ってきた。遠藤も馬鹿にしたような顔で奴を挑発する。
タンクトップがこれでペースを崩してくれれば打ちやすくなるが。次局は遠藤の親番、連荘させて大きなリードが欲しい。
遠藤から『一色系の手が入ったっす。色はソーズ』とサインが来る。この局は遠藤のアシスト。いざとなればソーズを手渡ししてもいい。
遠藤の手は順調に進み、サマの必要など無かった。アシストも1ソーを鳴かせたくらいだ。
「ツモッ。6000オール」
23466567888 11(ポン)1 ドラ7ソー
あっさりと親ッパネをモノにする。サマの気配は無く文句なしの手だ。タンクトップは怒りを顕にしていた。だが、バンダナにはまだ余裕がある様子だった。
「落ち着けよ。まだ勝負は始まったばっかりだ。俺たちに敵う相手がいると思うのか?」
バンダナのこの言葉、自信があるのか、強がりを言っているだけなのか判断はつかない。だが、俺も勝負はこれからと考えていた。
298 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/07/11 21:46 ID:FE6fobwU
どんどん面白くなる!
299 :
964:04/07/11 23:16 ID:zv3OZun8
イイヨイイヨ!
>和れるノミ手と和れない役満聴牌どっちがマシだ?
感動シタ
301 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/07/12 07:13 ID:dzY9rCIz
いつまでもあがれないチートイ大好き
>>298 期待に応えられるよう頑張ります。
>>299 有難う。
>>300 臭いセリフかと思ったのですが、気に入っていただけて幸いです。
>>301 そういう情況はしょっちゅうだけど、俺は嫌い。
さて、続き書きます。
親ッパネをモノにして遠藤は掴んだ様子だった。一本場でクイタンをツモ和り、二本場ではタンヤオチートイをタンクトップから直撃した。
このまま遠藤の好調が続けばヒラで勝てる。そう考えた矢先にタンクトップが牌を倒した。
「よっしゃー。ド高め。へへへ、言っただろ俺の役満は和れるって」
ABC77□□□發發中中中 發(ツモ)
おそらく、卓下でのすり替え。先に動くとは思っていたが、こんな派手な手を作るとは思っていなかった。断腸の思いでご祝儀込みの18300円を支払う。
次局、タンクトップの親。おそらくはここで調子こいて攻めてくるだろう。予想通り、奴は調子こいて5巡目にリーチをかけてきた。奴は得意そうに牌を伏せた。
万事休すか。と思った俺の視界に意外なものが映った。バンダナが慌てたような表情を一瞬浮かべた。一瞬のことだったが見間違えてはいない。俺が不審に思った次の瞬間、タンクトップが叫んだ。
「ヨッシャー。一発で持ってきたぜ。今んところ倍満だな」
四五六八八CD北44556 6(ツモ)
「ああん?なんだそれ?ノーテンじゃん」
遠藤があざ笑うように言った。そしてその表情のままこう続けた。
「眉毛触ったら卓下ですり替えか。お前らが幼稚園児並の知能で助かったぜ」
「なんだと?」
タンクトップが遠藤の言葉に噛み付いた。遠藤は気持ち良さそうに言った。
「お前がサイン出した後に俺が北握らせたんだよ。こんなに簡単に引っかかるとは思わなかったぜ。ま、必要な牌まではわかんねーから一か八かって奴だったけどな」
遠藤はタンクトップを睨み顔色を変えて言葉を続けた。
「サマやるんならもっとマシなサマやれよ。さてと、親のチョンボだな4000オール払ってもらおうか」
サマのできない俺、はこの勝負ハンデを背負っているようなものだった。だが、遠藤のおかげで奴らのサマは封じ込めたはずだ。こうなれば、天才の俺に死角は無い。バンダナが醜い顔をさらに醜く歪ませるのが俺の目に映った。
304 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/07/12 21:36 ID:SImW2Mx/
新作
305 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/07/12 23:38 ID:8yXZIDnU
イイヨイイヨ
あぼーん
307 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/07/13 12:33 ID:TKH8a2td
新作期待あげ
>>常居接人
コソーリ応援してるぜ。
亮は坊や哲を超えられるか!
常居接人さんってプロを目指してる人?っていうぐらい引き込まれる感じがある。
下手な読み物なんかより無茶苦茶面白いです。
がんばってください。
>>305 アリガト
>>308 ありがとう。「麻雀放浪記」は永遠の目標です。
>>309 ありがとう。これからも頑張ります。
じゃぁ、続き書きます。
遠藤に嵌められて、タンクトップは意気消沈していた。だが、バンダナの目はまだ死んでいなかった。
だが、タンクトップが緊張の糸を切らしてしまい、コンビが機能しなくなりつつあった。
「ロン」
タンクトップの8ピンで俺が牌を倒した。
一一七八九FH789東東東 ドラ五萬
バンダナもテンパッていたらしいが、タンクトップの集中力を欠いた一打で、俺に先を越された。バンダナがつい愚痴をこぼした。
「ベタオリくらいちゃんとやれよ」
「なんだと?これは事故だ。偉そうな口叩くな」
「おいおい、仲間割れか?みっともねーな」
俺にそう言われて二人は黙った。次局、俺の親番でもタンクトップは俺のロン牌をあっさりと掴み、あっさりと振込み、集中が切れてしまっていた。
三四五(赤)七七DEF23467 8(ロン) ドラ西
タンピン赤1の5800最早バンダナは何も言わない。だが、集中の切れたタンクトップに呆れている様子だった。
ここから俺は満貫をツモ和り、7700をタンクトップから直撃。タンクトップは役満の貯金をだいぶ吐き出した。奴はあがこうとしていたが、流れが断ち切られた今、それは悪あがきにしかならなかった。
次局、俺の配牌は10種11牌。遠藤にサインを送った。遠藤は、山のすり替えと卓下でのすり替えを使うと送り返してきた。
すり替えを駆使して、4巡目でテンパッた。
一九@H199東南北□發中
案の定、タンクトップが西を掴み、そのまま切った。速い巡目での国士、全く予想していなかったタンクトップは泣きそうな表情で俺の倒した牌を見つめていた。
312 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/07/14 03:42 ID:Q5KujWXA
保全
313 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/07/14 09:24 ID:S27dl4au
友達に教えてもらってきました。そこいらの小説より遥かに面白いっす!
お節介ながら一応。
ピンズの@Aとかは機種依存文字らしいのでピンズの表記は
(1)とか(123)にするといいと思う。
以上、麻雀板住人よりでした。
続きを楽しみにしています。
315 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/07/14 18:12 ID:S27dl4au
@Aのほうが見やすい
>>313 どうもありがとう。これからも頑張ります。
>>314 忠告どうも。そのことは考えていたんですけど、こっちの方が見やすいと思い
ピンズは今の表記にしました。変えてもいいのですが
>>315さんの意見もあり、
今のところイーブンなので、しばらく保留します。優柔不断ですいません。
それでは続き書きます。
>>常居接人
毎日楽しみにしてるよ。
俺はマカだが、機種依存文字ばすた〜入れてるから桶。
一応皆に聞いてみたら?
国士放銃で、タンクトップは完全に死んだ。後はバンダナを始末して、完全勝利を目指すだけだ。
バンダナはなかなかしぶとく、腰の入った麻雀を打っていた。一打一打に「負けられねぇ」と気合を入れている感じだった。
だが、奴は俺の下家。最もヤマゴシを掛けやすい位置に座っている。このことは奴も意識しているだろう、その結果、奴は回さざるを得ない打ち方になっていた。
今、奴の意識は俺にしか向かっていない。俺は遠藤にサインを送る。
『バンダナからなら和って良いぜ』
遠藤は『了解っす』と返事を返してきた。次巡、バンダナは俺の現物である、4ソーを切る。遠藤がそれで牌を倒した。
五六七九九1235(赤)6789 ドラ九萬
跳萬放銃。この一撃でバンダナはパニックに陥った。序盤から降り打ちをしていた。こうなれば完全にこっちのペースだ。
和るのが俺と遠藤だけになり、奴らは勝負に参加できないでいた。タンクトップの親番で俺が満貫をツモッた時バンダナがこう言った。
「もうだめだ、俺は抜ける。俺たちの負けだこれ以上金を払えない」
バンダナの言葉にタンクトップもほっとした様子だった。
「これ以上金を出せねぇのか?だったらお前らの指一本10万で買ってやるぜ」
遠藤が気味悪く笑いそう言った。もちろん脅しの言葉だ。だが、効果は絶大でタンクトップは泣きながら言った。
「勘弁してください。俺らが悪かったっす。もう麻雀は打ちません。だから許してください」
「遠藤、あんまりいじめるなよ。もういいだろ。指なんか貰ってもしょうがないだろ」
俺がこう言うと遠藤は笑いながら頷いた。タンクトップとバンダナは逃げるように店を後にした。
手に入れた金を二等分して俺達も店を後にした。神山が笑顔で「ありがとう御座いました」と言った。
319 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/07/14 21:17 ID:kbFPmJdm
ほんまレベル高いな〜
>>317 どうもありがとう。ピンズの件はもう少し考えます。
>>319 これからも頑張るのでヨロシク。
続き書きます。
店を後にすると、辺りはすっかり暗くなっていた。遠藤と別れて、俺は家路を急いだ。
「お帰りー」
香がビールを片手に出迎える。見慣れた風景だが、デビューを3日後に控えた今。見慣れた風景が貴重なものに思える。
3日後もし大敗したら。などと考えてしまう。ともすれば、弱気になってしまいがちな俺の心を香が癒してくれる。癒されながら俺は改めて決意を固める。
『3日後は必ず勝つ。俺は天才だ負けるはずが無い』
決意を固めビールを呑んでいると、香が擦り寄ってきた。
「ねぇ亮ちゃん。ヤクザ屋さんになってお金儲かったら引越ししようよ」
引越しのことは俺も考えていた。身体一つで出奔してここに住み始めた時、俺の持ち物は着替えくらいだったが、もう2ヶ月近くになり、俺の持ち物も増えてこのアパートでは手狭に感じてきていた。
「そうだな。引越しは俺も考えていた。仕事が軌道に乗ったら引っ越すか」
香は頷くと俺に抱きついてきた。そのまま、流れに任せてヤッた。2回ヤッた。
翌朝は7時に目が覚めて、飯を食った後、遠藤の住処へ向かった。2日後に備えて、サマの練習をするためだ。
遠藤の部屋で牌をいじりながら、徐々に上達しているのを感じた。遠藤にこう尋ねた。
「どうだ?実戦で使えそうかな?」
「本多さん。上達は速いっす。けど、相手も裏プロっすから下手に使わない方がいいっすよ」
多少自信がついてきた俺は不満だったが、遠藤の言うことにも一理ある。練習はするけど実戦では使わない方が無難かもしれない。
夕方からは雀荘へ向かう。ただし、調整の為なのでサマやサインは一切使わない。サイン無しでどこまで意思の疎通ができるかテストする。
半チャン2回目のオーラス。トップと2000点差で遠藤が追っていた。サインは無しだが、遠藤が欲しそうな南を切る。
遠藤がそれを喰って、聴牌の気配。結局、遠藤が南ドラ1赤1をツモり逆転。俺たちのコンビは完成しつつある。この調子ならデビュー戦にも不安は無い。俺は今、出世への階段を一歩登ったような気がした。
322 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/07/15 22:59 ID:4uVGxLWb
>常居接人さん
つかぬことをお聞きしますが…
頭の中でエンディングは決まってるんでつか?
おもしろい!亮が自分を天才だと過信している事に気付き、落ちぶれていく展開・・・・。
亮とアミバの口癖が同じなのがイイ!
ジャギ兄さんも出てこないかな
325 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/07/16 09:48 ID:jF91v32q
常居接人は天才だ〜か〜くごはい〜いか(お〜ぼえとけ〜も可)
>>322 最初は決めていましたが、今は思いついたアイディアを優先しています。
>>323 先の展開はまだ決まっていません。
>>324 アミバか、書いておいてなんですがそれは気付きませんでした。
>>325 ???
デビュー戦の日がついにやってきた。夕方頃、増田のマンションに行くことになっていた。
「いよいよっすね、本多さん」
遠藤は随分と興奮していた。だが、それは俺も同じで、興奮を押さえられなかった。
いつものようにすり替えの練習に精を出す。だが、昂ぶった心は押さえられず、練習に身が入らない。「心にゆとり」とエンドレスで唱え、落ち着こうと試みる。
「そろそろ行くか」
午後4時ごろ遠藤にそう声をかける。遠藤は頷き、俺たちは増田のマンションへと向かった。
マンションには、増田と何人かの組の人間が待っていた。増田は迫力のある笑顔で俺たちを出迎えた。
「よう、来たな。今日のルールを説明しておくぜ」
増田の説明が始まった。ルールはアリアリで赤は無し、特に注意が必要なルールではなさそうだ。
「お前らの報酬だが…」
ルールを説明し終えた増田が続けた。
「勝ったら一人に50、負けたら報酬は無しだ」
相場がどの程度かは知らないが、初めての仕事にしてはなかなかの条件じゃないかと思った。すると、増田が口を開いた。
「みっともない負け方してみろ、もうお前らに仕事は回さねぇ。そこんところ肝に銘じておけよ」
増田の表情はなんともいえない迫力があった。遠藤が増田に質問をした。
「相手はなにもんなんすか?組み関係っすか?」
「いや、スジもんじゃない。ばくち打ちだ、個人的にうちの組に挑戦してきたんだ。ズタボロにしてやんな」
い増田は相変わらず、迫力のある表情で言った。勝負の場所へ向かう時間が刻一刻と近付ていた。
「そろそろ行くか」
時計が午後6時を回った頃、増田はそう言った。車に乗り込み、勝負の場である旅館へと向かった。
旅館に到着すると相手はまだ来ていないようで、増田に準備しておけと言われた。
茜の間と書かれた部屋には全自動卓が用意されていた。それを見て勝負前の昂ぶりを感じた。
遠藤とサインの最終確認をしているところへ、組員が部屋に入ってきた。
「増田さん。相手が到着しました」
組員に先導される形で俺たちの相手が入ってくる。入ってきたのは見覚えのある顔だった。
「あれ、坊や。どうしてここに?俺たちの相手って君達だったのか?」
入ってきたのは「兄貴」と中年の男だった。「兄貴」は相変わらずにやけた面をしていた。
「あんたの言ってた仕事って今日の勝負のことだったのか。約束した日より早いけど今日ケリをつけてやるぜ」
遠藤は早くも熱くなっていた。こうなったら、俺の言葉も耳に入らないだろう。奴の気合が悪い方向に転がらなければいいのだが…
「怖いね。それじゃぁ場所決めようか」
「兄貴」は余裕たっぷりにそう言った。相棒のおっさんは黙ったままだ。俺は場所決めのために牌をかき混ぜた。
遠藤が東、「兄貴」が西、おっさんが北、俺が南を引いた。遠藤の下家だ。遠藤が冷静な気持ちで打ってくれればいいのだが、遠藤の目は燃えていた。「俺が決めてやる」と顔に書いてあった。
遠藤が気合の入った表情でサイボタンに触れた。出た目はピンゾロ、俺の起家だ。『遠藤頼むから冷静になってくれ』と俺は心の中で叫んだ。
俺はそれを受けてサイボタンを押した。2,3の5目の前の山から牌を取っていく。記念すべき代打ちになって初めての配牌。記念になるような配牌持って来い!
>>328 自分も楽しみにして読んでます。毎日乙です!面白いっす!
麻雀はよく分からないけど、場の緊張感が伝わってきて面白いです。
亮は最初はダメスロプーだと馬鹿にしてたけどもうすっかり一人前の打ち手ですねwすごい
>>常居接人
なんか,当初の展開から変わってきたね。面白い。
それから,
>>325について少し解説すると,スロットの北斗の拳で
アミバが登場する時のセリフが325なんよ。
331 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/07/19 23:17 ID:FrgS+kIs
>常居接人さん
今日は遅いでつね…御多忙だとは思いまつが…。
楽しみにしてまつ。
御自分のペースでまたお願いしまつ。
332 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/07/20 02:25 ID:EjhrL2Aj
>常居接人さん
連休は満喫しましか?
今後の展開メチャ楽しみにしてまつ。
333 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/07/20 06:48 ID:TUj41n5j
333ゲトして今日の結果良を祈願してみる。
334 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/07/20 06:53 ID:vVAa5mGw
コロッケは?
335 :
333:04/07/20 15:01 ID:WpMBoSyx
こんな時間にもう帰宅してみた。
しかし+19.5kで終われたんで良し。
亮みたいにスマートにいきたいねぇ〜
どうも。常居です。アクセス規制のため、日月書き込めませんでした。
原稿はできてるのですぐに2日分載せます。
>>329 麻雀詳しくない人にそう言ってもらえると嬉しいですね。
>>330 どうもありがとう。アミバのセリフは知ってるけど、意図がわからなかったんで。
>>331 上に書いた事情があったんで。
>>332 連休はあまり満喫できませんでした。
>>335 ご利益あったみたいですね。
配牌は記念になるような手ではなかった。可も無く不可も無い。
一三四EFH457789西中 ドラ3ソー
西を切って遠藤にサインを送る。『俺の配牌は平凡な手。そっちはどうだ?』
遠藤の応えは『ドラと中がトイツ。ドラか中廻して欲しいっす』
遠藤に協力してもいいのだが、今の遠藤は頭が茹っている状態だ。ここは安くても俺が和って連荘しておくべきではないだろうか。
遠藤のモチベーションを保たせつつ手を進める為、俺は卓下すり替えのサインを出した。
本番では初めての芸だったが、上手くいった。遠藤から手渡された牌は一萬。偶然だが良いところをもらった。
遠藤のツモ番、気合が入りすぎて必要以上に力が入っていた。遠藤に「落ち着け」と言いたいが、そんなサインは無い。
『奴を落ち着かせるにはどうすれば?』考えながらツモッたのは五萬。なんとなく手がまとまってきた。9ピンを切り遠藤に目をやった。
遠藤は俺の視線に気付かず、「兄貴」にガンを飛ばしていた。「兄貴」はそれを気にする事も無く冷静に模打を続ける。
中盤。「兄貴」とおっさんはまだ動かない。サインを出した気配は無い。俺はイーシャンテンのまま手が動かない。遠藤に『ドラ廻せ』とサインを送った。
遠藤は俺のサインを無視して、卓下すり替えをしなかった。『山か』と思ったが、俺のツモッた牌は3ピン。遠藤はどうしても一人で「兄貴」を倒したいようだ。
俺は思わず遠藤に厳しい視線を送った。だが、遠藤は俺のメンチをシカトした。このままではこの勝負マジでヤバイ。遠藤!冷静になれ。
『この局は俺が決めるっす。本多さんはアシストしてください』
遠藤のサインが来た。俺は舌打ちをしたい気分だった。「兄貴」の実力は前の闘牌で分かっているはずなのに遠藤は自分で勝負することにこだわっていた。
『ドラを廻せ。ここは連荘重視だ』
遠藤に再びサインを送った、だが遠藤は動かない。ツモッたのは6ピン。一応7ソーを切る。
「兄貴」が發をツモ切り。おっさんが牌山に手を伸ばす。
「リーチだ」
初めておっさんの声を聞いた。渋い声だった。おっさんの手はおそらくチャンタ系、満貫は確定だろう。遠藤に意味深な視線を送る。だが、遠藤は相変わらず動く気配が無い。このままでは奴らの思う壺だ。
おっさんが牌を倒すことなく数巡が過ぎた。5ピンを持って来て、追っかけをかける。
「親リーか、ここは降りとこうかな」
「兄貴」が笑顔を崩さず言った。何かのサインかもしれない、その言葉を記憶する。
『遠藤、ドラか6ソーとすり替えろ』
改めて遠藤にサインを送るが、遠藤はそれをシカトする。一発ツモは一萬、安牌じゃない。それを切るとおっさんが手を倒した。
「ロンだ。高めだ」
倒されたおっさんの手はこうだった。
一二二三三@AB12399 ウラドラ6ソー
倍満直撃。思わず顔が歪んだ。まだ勝負は始まったばかりだが、どこかでネジを巻きなおさないとこの勝負…負ける。
残り8000点。丁度0は続行なので俺に危機感はそれほど無い。だが、早く遠藤の目を覚まさせないとこのままズルズル行ってしまう。
東2局は流局。聴牌は俺一人、3000点の補給。一息ついて東3局を迎える。もちろんまだ気は抜けない。敵は親満直撃で俺を飛ばしたいところだろう。
遠藤にアシストを求めるサインを送る。遠藤はそっけなくサインを返す。
『俺も勝負手なんでそれは無理っす』
遠藤はどうしても自分の手で決着をつけるつもりらしい。馬鹿が、コンビを機能させないで勝てる相手では無いだろうが。
結局、おっさんに白のみを和られ、連荘を許してしまった。一本場、おっさんがリーチをかけるが不発。
俺はベタオリでノーテン。遠藤は喰い散らかして、どうにか聴牌。おそらくアタリ牌を知っている「兄貴」も聴牌。
一人ノーテンで残り7500点。7700放銃でもトビだ、このまま無抵抗では増田の言う「みっともない負け方」になってしまう。
2本場。祈るような気持ちで遠藤にサインを送る。
『卓下すり替えだ。お前の欲しい牌を送る』
遠藤は初めてサインに反応した。卓下で三萬四萬を送る。無茶は承知だが、やるしかなかった。
直後、遠藤がリーチをかけた。サインは七,九萬待ち。俺の持ち点ではサシコミは難しい、ツモ和りも相手に利するだけだ。
次巡、「兄貴」が牌を倒した。「和っておこうかな」相変わらず小ばかにしたような口調だ。
一二三七八DEEEF345 九(ツモ) ドラ五萬
こんな安手を和ったと言うことはおっさんの手がまとまっていなかったのだろう。だが、次は遠藤の親だ。簡単に親番を渡したことを後悔させてやる。
だが、遠藤の目つきはまだ茹ったままだ。俺はそこに一抹の不安を感じた。
340 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/07/21 01:04 ID:/wmd17Uz
>>常居接人 さん
まつてますよ続き
341 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/07/21 10:27 ID:t4jSUYRu
常居先生待ってました!なんか遠藤カッコイイっす!
342 :
341:04/07/21 10:27 ID:t4jSUYRu
すんません。遠藤じゃなくて主人公です。
隣りのスレにいつレスが付くか気になって眠れません
344 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/07/21 17:06 ID:Ge8xLoFF
あぁ、このスレが一日の唯一の楽しみでつ。
>>340 期待に応えられるよう頑張ります。
>>341 アクセス規制で御待たせしました。
>>344 楽しみにしてくれる人のためにもテンション高めで書きます。
続き書きます。
遠藤がサイボタンに触れる。4,6の10山から牌を取っていく。配牌を取りながら、今必要なことを頭の中で整理する。
今の情況では俺がトップを取るのは難しい。遠藤に連荘させるよう動くのが妥当なところだ。しかし、ツモらせて俺の点棒を減らしてしまうのは得策ではない。難しいところだ。
遠藤からのサインは『早い手っす。1,4ソーか2,5ピン欲しいっす』だった。あいにく俺の手にはどの牌も無い。遠藤に『無い』とサインを返した。
4巡目、遠藤から『4ソー入ったっす。聴牌、2,5ピン待ちっす』とサインが来た。無論ダマ、「兄貴」かおっさんが出すのを期待する。
7巡目、おっさんが5ピンを切った。遠藤が牌を倒す。タンピン、2900点だが、これで連荘ができた。これをきっかけにできればいいのだが。
一本場、5巡目何気なく切ろうとした1ソーに違和感を感じた、嫌な感触だ。とっさに三萬に切り替えた。遠藤に『1ソー出すな』とサインを送るが、遠藤はそれを無視して1ソーを切った。
『ヤバイ』
そう思った瞬間、「ロン」の声と共に「兄貴」が牌を倒した。
23456789南南中中中
「配牌からほとんど揃っていたからね。こういう手ばっかりだと楽なんだけどね」
痛すぎる跳満放銃。この半チャンは捨てて、早く遠藤の目を覚まさせなければ。
「申し訳ないんだけど、この半チャン終わったらちょっと時間くれませんか?」
俺は「兄貴」にそう言った。「兄貴」はにこやかな顔のまま言った。
「作戦タイムかい?本当はダメって言いたいんだけど…このままじゃ面白くないからいいよ」
おっさんも黙って頷いた。俺は「すんません」と頭を下げた。南入、サイの目は5,6対面から牌を取っていく。
おっさんが山から取ったところで動きが止まった。遠藤がまだ呆然としていた。さっきのショックが大きいようだ。
「おい、遠藤」
俺が小突くと奴はやっと気付いたようで、配牌を取り始めた。早くこいつを目覚めさせなければ、俺は遠藤を目覚めさせる手段をあれこれ考えた。
あー、もう!遠藤うぜぇなあ
南一局このまま無抵抗では終われない。ここで反撃の狼煙を上げたい。だが、配牌は重く、和り切るにはてこずりそうな気配だ。
案の定、おっさんにノミ手で蹴飛ばされた。結局抵抗らしいこともできずに半チャン終了。トップはおっさん、以下「兄貴」、遠藤、俺の順で終了。
「すいません。ちょっとタイム」
遠藤を引きずるように部屋を出る。便所の前で作戦タイムだ。
「お前、なにやってんだよ。何度も俺のサイン無視しやがって」
遠藤の胸倉を掴み感情的な言葉を吐いた。こんなに感情的になるのは久しぶりのことだった。
「……どうしても、俺の手で決めたかったっす…」
遠藤は蚊のなくような声で言った。こんなにヘコんだ遠藤を見るのは初めてだった。
「お前と「兄貴」の間に因縁があるのは分かってるよ。自分の手で決めたい気持ちも分かる。でもよ、落ち着け。バラバラに打ってて勝てる相手じゃないんだ」
「アイツの面見たら落ち着いてなんかいられないっす」
「それでも冷静になるんだ。お前もこの世界で食っていくって決めたんだろ」
「…はい。俺にはこの世界しか道は無いっす」
「そこまで考えてるなら落ち着け。増田さんにも言われただろ、みっともない負け方したらもう仕事は廻ってこないんだ。俺たちには後が無いんだよ」
俺の言葉に遠藤は頷いた。だが、例の気合の入った表情にはなっていなかった。
「なぁ、この世界で出世すれば、金にも女にも不自由しないんだ。お前だって金や女は好きだろ。夢への第一歩なんだから気合入れろ」
「はい」
そう応えた遠藤の表情に、少しだが気合が入り始めていた。まだ勝負は始まったばかりだ、コンビが機能すれば勝てない相手じゃない。必ず勝って夢の生活への第一歩を踏み出してやる。
350 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/07/23 01:26 ID:TldnE91N
age
351 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/07/23 03:31 ID:Ofwn4t2u
いいねいいね。
なーんも面白みもない平日の3時30過ぎ、ふとスロ板のトップのほうを見てみると
見たことのないスレがあった。雑談固定がまたくだらねー事やってるのかと最初のほうだけ
読んでみて、、、、なーんだ駄目ぷーの話かと思って読んでいったら、、、
ずるずるとこんな時間。俺の2時間をどうしてくれる!!
おもしれーじゃねーか。いま俺はお気に入りに登録した。
>>351 あげてくれた、お前に感謝する
353 :
352:04/07/23 06:15 ID:CY5V5pDY
他の方の話も読んでみた。みなさんGJ。
まったくのフィクションなのか?少し実話はいっている?
>>89はまさに俺なんだが、、、。おれはこの3年だが、
俺も目が覚めないといいなと思い、睡眠薬大量に飲んだこともあった。
>>常
偽者が出たから鳥つけたのに、そんな簡単な鳥パスじゃいつか偽者現れるぞ。
せめて今の倍の6文字以上でな。あと同じものを重ねない。
まあ誰も真似して文章投稿しようとは思わないとは思うが。
>>常居
毎日乙です。
亮の強さの根拠が今いち分かりにくいのだが…
カイジのように博打の時だけ頭脳明晰になる?で桶?
いつも楽しく見せてもらっています
常居接人さんクラスのの文を書ける偽者が現れるとも思えないが
トリップについての話を一つ
世の中には自作で「トリップクラック検索機」なるものを作れるものなどがいて
例えば「#1234」とか「#asdf」などのような数字やアルファベットの連続では簡単に
クラックすることが可能となる
なので「#1aア3%1」のような数字とアルファベットと記号の連続であるなら
クラックはほぼ不可能となる
>>351 サンクス
>>352 気に入ってくれて幸いです。
>>354 亮は博打には真面目な人間なんです。
>>355 解説どうも。トリップ変えると混乱を招くと思うので、このままいきます。
では、続きを書きます。
部屋に戻り、勝負は再開された。オーラスは遠藤のノーテンで終了だったので、トップのおっさんがサイを回した。
起家は「兄貴」。奴がサイボタンに触れて2回戦が始まった。俺の配牌は良い感じ。
二二四六BBFGG11東西 ドラ西
チートイを狙いソッコーで和る為には、遠藤の協力が必要だ。遠藤がどこまで冷静になったか、試す為にサインを送る。
『トイツ手。四,六萬、7ピン、東、西。どれでもいい送れ』
遠藤の返答がすぐに返って来た。『了解、西廻します』。今日初めて、遠藤が俺の指示に従った。だいぶ落ち着きを取り戻したようだ。
卓下で西と7ピンを交換する。最初のツモが四萬、思わず遠藤の顔を見た。
『ツモもすり替えておいたっす』
遠藤がサインを出していた。迷わず跳満確定のダブリーをかけた。
「失礼。ダブリーです」
東を横にして、千点棒を出す。「兄貴」の顔が一瞬曇った。ここまで大胆な手を打ってくるとは、予測していなかったのだろう。
序盤でダブリーを読むことなど、どんな打ち手にも不可能だ。相手は完全に受身、それを尻目に5巡目、六萬をツモった。
裏は乗らなかったが、跳満。これで先行体勢を作れた。ここから追い風が吹くのを期待したい。
次局、おっさんの親。相手が親なのでツモ和りもありだ。だが、俺の配牌はイマイチ。遠藤が早い手のようだ。
この局は、遠藤が白ノミでおっさんの親を蹴飛ばした。遠藤に親番が廻る、北を切った遠藤からサインが来た。
『手が重い(遅い)っす。この局はアシストに徹します』
そのサインをもらった時、俺はトラップを思いついた。
358 :
常居接人 ◆qUetENTaKU :04/07/23 19:31 ID:v/Ir5mZ1
乙イイヨイイヨ
359 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/07/23 20:22 ID:ig2DQUr4
>>358はトリプ見つけたのか?てか良スレなんだから荒らしてほしくないさ、おまいさんの能力はわかったから。みんなもここが荒れることを願ってないと思う。
マターリsage進行でおながいしまつ…( ´・ω・`)
361 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/07/24 02:04 ID:DQU7/UAp
そのサインをもらった時、俺はトラップを思いついた。
↑
ここで終わってるんがいいですね。ドキドキする。なんかアツイ。
なんか偽者がでたのでもう書く気なくなりました。
未完成ですが、長い間ありがとうございました。
さてと、これが偽者かどうかな訳だが。
偽者が出たのでトリップ変えます。
これって有名税ってやつ?
夜になったら続き書きますんで。
困りましたね。これ以上偽者さんがでてくると続きを書きたくないです。
>>365-366 お前らはほぼ間違いなく偽者。
もし本物なら前のトリパス晒せよ。
っていうかまじで荒らさないでくれよ。
今まで何事もなくまったりやってきたのに…
お願いだから荒らさないでください。
#HHH
>>367 ちょっとムカつきました。
貴方のおかげで本当に書きたくなくなりました。
やっぱりスロ板じゃ駄目だったようです。文創板に戻ります。
荒らす馬鹿と反応する馬鹿。シネヨ
363 名前:常居接人 ◆qUetENTaKU 投稿日:04/07/24 08:25 ID:mvWVtPGQ
364 名前:( ´∀`)ノ7777さん 投稿日:04/07/24 08:50 ID:/EisLKNE
365 名前:常居接人 ◆kVOJOi9erw 投稿日:04/07/24 10:47 ID:tLFx/u/l
366 名前:常居接人 ◆khKhuhIRCg 投稿日:04/07/24 10:53 ID:sOB98aEZ
367 名前:( ´∀`)ノ7777さん 投稿日:04/07/24 11:05 ID:/EisLKNE
368 名前:常居接人 ◆khKhuhIRCg 投稿日:04/07/24 11:16 ID:sOB98aEZ
369 名前:( ´∀`)ノ7777さん 投稿日:04/07/24 11:27 ID:/EisLKNE
370 名前:( ´∀`)ノ7777さん 投稿日:04/07/24 11:33 ID:/EisLKNE
遠藤のアシストを受け、5巡目で聴牌。
二二二七七七EF45688 ドラ七萬。遠藤が『5ピンあります。廻しますか』と訊いてきた。
それを受けて、遠藤に『リーチかけろ』とサインを出す。遠藤は『えっ』と訊き返してきた。俺は再び『リーチだ』とサインを出した。
俺の意図がようやく分かったらしく、遠藤は5ピン切りでリーチをかける。「兄貴」呟いた。
「リーチか…」
おそらく、遠藤のノーテンリーチは読みきれていないだろう、廻しながら手を作ってくるはずだ。
8巡目、おっさんが5ピンを切り、「リーチ」と言った。俺は牌を倒した。
満貫直撃。トラップが成功したので、点数以上に意味のある和りだ。今度はリーチで和れば奴らは迷うだろう。
親番が廻ってきた。このまま引き離していきたいところだ。
1000オールを和り連荘。1本場、手は重い。遠藤のアシストに徹する。
遠藤に要牌を送り込み、奴が聴牌したところで、リーチをかけさせる。相手は俺の方に意識が向かっているようで、遠藤に危険な牌が次々出てくる。
リーチから4巡目。「兄貴」の9ピンで遠藤が牌を倒した。
二三四五五五六七ABCFG ドラ4ピン
「ロン。3900は4200」
この和りで完全にこの半チャンのペースを掴んだ。結果は俺、遠藤、「兄貴」、おっさんの順になった。
「兄貴」から笑顔が消えていた。そして奴はこう言った。
「今度はこっちがタイムもらうよ」
俺が頷くと同時に、「兄貴」とおっさんは部屋を出た。遠藤が俺に目をやり、一瞬笑顔を見せた後、例の気合の入ったいい表情をしていた。
本物キター
>>367 おまえはしねよ
367 名前:( ´∀`)ノ7777さん 投稿日:04/07/24 11:05 ID:/EisLKNE
>>365-366 お前らはほぼ間違いなく偽者。
>>常居先生
暇なヒッキーどもが邪魔しに来ますけどみんなでスルーしますんで頑張ってください。
377 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/07/24 22:09 ID:QHLsgg54
>>376 いいわけウザイ消えてクレ
こーいうこというやつはほぼチョン間違いなし。
ていうか1日中2chに居て、他のスレでIDとか調べて、
まじきもいんだけど。
378 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/07/24 22:22 ID:vr1kI5+N
作者さんにほぼ偽物とか暴言はいておいてよくもまあぬけぬけとレスできることだこと
あげてもうた。ソマソ。
380 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/07/24 22:32 ID:QHLsgg54
秋田君が見れるように上げ。もうかなり板違いになってきたし、削除人の判断を仰ぎたい。
381 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/07/24 22:33 ID:B21KWpaC
>>常居接人
いやー今回スゲーおもろかったYO!
ノーテンリーチとはね
イイ!
382 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/07/25 00:04 ID:s0I+9FP6
>>常居接人さん
天才?まじで。
しかもそうとう麻雀を理解、しかも強くないとこういった展開は思いつかない
よね!しかしながら常居接人さんのすごさを再確認しましたw
お体に気をつけて書き続けて下さいね!これからも楽しみにしています。
変な荒らしがあったようですが…みんなもスルーでいきましょう。
>>382 だからアゲないで。雑談スレの糞コテなんかに見つかった日にゃもう・・・
「兄貴」たちが部屋を出て、5分くらい経った。俺と遠藤はサインの再確認を行い、勝負再開の時を待った。
セブンスターの封を切り、火を点け煙を肺の奥まで吸い込んだ時「兄貴」たちは戻ってきた。
「お待たせ。じゃぁ続けようか」
「兄貴」の顔に、例の作り笑いが張り付いていた。おっさんは相変わらず無表情。対策を立てたのか、一息入れたかっただけなのか、判別できなかった。
ラス和りの遠藤がサイボタンに触れ、勝負は再開された。出た目は2,3の5遠藤の起家だ。
遠藤が1300オールをツモ和り出親で連荘。このまま勢いに乗って、この半チャンもワンサイドゲームにしてしまいたい。
一本場、9巡目「兄貴」がリーチ。だが、今下り坂にいる相手のリーチは、それほど怖くない。
遠藤が追っかけ、「兄貴」が一発で振り込んだ。
一二三六七八3477東東東 5(ロン) ドラ4ピン。ウラドラ白
この親マンで遠藤は勢いづいた。俺がアシストする必要も無く、2本場に2000オール3本場は7700をおっさんから和った。
点棒のアドバンテージもあり、こちらのワンツーフィニッシュは確実だった。だが、いくつか気になることがある。
「兄貴」たちがまだ妙な動きを見せないことと、俺の手が悪いことだ。
全社に関しては、10回戦の長丁場なので、手の内を見せない、という意図があるのかもしれない。
不安なのは俺の手がイマイチ伸びないことだ。俺の和りが必要な時に手が悪かったら致命傷を負う危険がある。
俺は嫌な想像を振り切って、配牌を取った。だが、相変わらず俺の手は悪いままだった。
一二四九CEG38東西□中
変換ミス。
×全社
○前者
なにやってんだ?恥ずかしいな。
387 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/07/26 08:07 ID:cgkY19H/
4本場。この配牌では、遠藤のアシストくらいしかすることが無い。だが、アシストに徹するにもツモも悪く、遠藤の要牌を持ってこない。
この局はおっさんが5200をツモり終了。俺の親番が来る、だが、手は相変わらず悪い。この局は遠藤がゴットーを和ってどうにか凌いだ。
3回戦は俺にいいところ無く、終了。序盤のリードを守りきり、遠藤がトップ。だが、俺はラスだった。
間髪をいれず、4回戦に突入、出親はおっさん、俺の手は悪いままだ。
遠藤からアシストを要請するサインが送られてくる。俺の手が悪いことを知って、押し切ってしまうつもりらしい。だが、遠藤へのアシストはイーシャンテンかリャンシャンテン止まりで、それ以上の援護ができない。結局、その隙に相手に和られてしまう。
どつぼに嵌ったまま、南入。今の情況は、「兄貴」がトップ。以下、おっさん、遠藤、俺の順だ。この順位のまま終了すると、トータルで捲られてしまう。危機感を感じながら配牌を取る。
二三五六八CDEFH3東中 ドラ2ソー
久しぶりにまともな配牌がきた。手は安いが、俺が和らなくても遠藤が和ればいい。数牌が散っているので、遠藤にアシストし易い手だ。
遠藤から『五、八萬、4,7ピン、白、9ソーのどれか送って欲しいっす』のサインが来た。五萬と4ピンを卓下に忍ばせ遠藤に手渡した。
手渡した後、遠藤から聴牌のサインが来た。待ちは白と9ソーのシャボ、9ピンだと出和がりが効かないのでリーチをかける。
5巡目、おっさんが少し悩んで、6ピンを曲げた。
「通ればリーチ」
相変わらず無表情だ。なんともいえない迫力がある。
こうなったら、遠藤にサシコミをしてでもおっさんには和らせたくないのだが、遠藤の和り牌を持ってこない。じりじりしながら山が消費されていく。
「ツモ」
おっさんが牌を倒した。メンタンピンツモドラ1、4000オール。裏が乗らなかったのが不幸中の幸い。だが、痛い出費だこの悪い流れをどこかで断ち切らなくては。
待ちは白と9ソーのシャボ、9ピンだと
そんな細かいとこまで指摘するのはいかがなものか
>>390 間違えました。申し訳ない。
>>391 細かいところでも、間違いは間違いですので。反省してます。
続き書きます。
393 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/07/27 18:39 ID:1xss4KX3
おっさん強いな〜
流れが悪いまま4回戦はズルズルいってしまった。何の手も打てず、「兄貴」たちにワンツーフィニッシュを許してしまった。
5回戦開始。出親は俺。相変わらず配牌は晴れない。今回も苦しい闘牌になりそうだ。
『お前のアシストに徹する』
遠藤にこうサインを送った。だが、遠藤からの返事は。
『俺も手が悪いっす』
だった。俺のどつぼが遠藤にも感染したのだろうか。すり替えを駆使して、俺の手の体裁を整える。しかし、リャンシャンテンまでで止まってしまった。
「リーチ」
おっさんが牌を曲げた。ツモ狙いなのか、出和り狙いなのかは分からない、だがピンチだ。このままではまたズルズルいってしまう。
遠藤にサインを送り、5ソーを鳴かせてもらう。一発回避の為の鳴きだ。
「いいのかな?無理鳴きだろ」
「兄貴」が笑いながら言った。いやらしい笑顔だった。おっさんのツモをすり替えた気配は無い、遠藤もすり替えは無いと判断した。
「うん、持ってきたな」
おっさんが牌を倒した。
一二三七八九GH西西西□□ F(ツモ) ドラ6ピン
リーヅモチャンタ、満貫だ。「兄貴」のアシストが有るとはいえ、おっさんの強さは本物だ。おっさんを止めないとこの勝負マジでやばい。
遠藤も同じことを考えているようで、気合を発していた。この半チャンが終われば場所替えだ、場所が替われば流れも変わるだろう。それまでに失点を最低限に抑えなければ。
東2局。ようやく手がまとまってきた、早い手が入った。
北ドラ1。500,1000を和り「兄貴」の親を蹴飛ばした。手は安いが、きっかけになるような気がする手だった。
東3局。「兄貴」から3900を直撃。いい感じになってきた。東ラス。この局は遠藤に連荘させておきたい。
遠藤に牌を廻し、7巡目で遠藤が牌を曲げた。待ちは6,9ソー。9ソーで三色完成とのこと、高めで和らせたい。
「兄貴」かおっさんから直撃したいところだが、二人は降り気配だ。11巡目遠藤が9ソーを卓に叩きつけた。
「ツモ。今のところ4000オール」
二三四七八九FGH78西西 9(ツモ) ドラ六萬
遠藤が気合と共に裏をめくる。そこに一萬が現れた。
「6000オールになったな」
遠藤のインパチで、流れはこっちに来たようだ。流れの悪い中「兄貴」たちは懸命にあがくが、おっさんが2着を取るのが精一杯だった。
この半チャンの順位は遠藤、おっさん、俺、「兄貴」の順だった。
5回戦終了と同時に、増田と組員達が部屋に入ってきた。
「腹も減っただろ、ちょっと一息入れようや。あっちの部屋にすしを用意してある」
増田の言葉に俺たちは部屋を出た。別室にはすし桶が並べられていた。
「すしなんて久しぶりっす」
遠藤が笑顔ですしをつまむ、呑気な奴だ、だが、これもゆとりのある証拠だ。俺たちから離れた場所で「兄貴」とおっさんが密談をしていた。
「おい、後半戦は向こうも必死こいてくるぜ。俺らも気合入れていこうぜ」
俺がこう言うと、遠藤はトロを喰いながら「分かってます。気は抜いてないっす」と目を光らせて言った。
396 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/07/28 23:01 ID:EEL4zQft
やーさんに囲まれて寿司食べてる姿が目に浮かんできます。
397 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/07/29 09:23 ID:gAj2c2XL
面白いっ!!!
小一時間ほどたって、増田が口を開いた。
「本多、遠藤。そろそろ再開するぞ。あちらさんはもう、準備できてるぜ」
遠藤はまだすしに未練があり、最後にウニを口に放り込んだ。部屋を出るときすれ違いざまに増田が言った。
「ここまでは合格点をやれる。後半も気合入れていけよ」
増田の言葉を背に、俺たちは再び茜の間に戻った。つかみ取りの結果、おっさんが東、俺が南、「兄貴」が西、遠藤が北になった。
相棒同士が対面に座る情況になり、山のすり替えも卓下のすり替えもやりにくくなった。だが、調子が上がってきている俺たちにはそのほうが好都合だ。
おっさんは、遠藤の座っていた場所を選択し、サイボタンに触れた。サイコロは3,4「兄貴」の起家だ。
大きな動きも無く、東場は終了。南1局、遠藤が中のみで「兄貴」の親を蹴飛ばす。今の順位は遠藤、「兄貴」、おっさん、俺の順だ。
点棒は遠藤が29300点、「兄貴」が26200点、おっさんが23500点、俺が21000点。
ここは遠藤の連荘を期待したい。遠藤に安全圏まで行ってもらえれば、俺が2着に上がるのも楽になる。
遠藤のサインは『遅くて安い』だった。俺の手も良くない。点差がつまっているので、ここは慎重にいかなければならない。
遠藤が第一打の9ピンを切り、南2局は始まった。この半チャンを落とすと、勝負の行方は分からなくなる。気合と共に第一ツモをツモる。
第一ツモは三萬。一面子できた。
二四七九BEG679東□□ 三 ドラ南
遠藤も俺も必死だ。「兄貴」と遠藤の点差は3100点、1600直撃で替わってしまう。
根拠は無いが、この局を凌げれば、この半チャンモノにできる。俺はそう信じながら闘牌を続けた。
毎日楽しみにしてます!
スゴい面白くて本当にハマってしまいました。
これからも頑張って下さい。
( ´・ω・`)つ旦~~ソチャデスガドゾー
>>400 ありがとうございます。
頑張って続き書きます。
3巡目に白をツモる。早和りにどうしても必要なところを持ってきた。だが、シュンツが多いのでここから苦労しそうだ。
遠藤からは何もサインが来ない、苦労している様子だ。ここは俺が何とかしないとならないようだ。
4巡目、8ピンを持って来た。頭で苦労することを覚悟していたが、思いがけずあっさりと頭ができた。このまま和りまで持っていければ文句なしなのだが。
おっさんが八萬を切った。間をおかずに鳴きを入れる。これで5,8ソー待ちの聴牌。巡目も早く、点差がつまっているので、遠藤に差し込ませるのはためらわれた。
遠藤に待ち牌を知らせ、数巡が経過した。これ以上グズグズしてはいられない。だが、俺のツモは空振りばかりで、誰も当り牌を出さない。
「ツモ」
静寂を破ったのは「兄貴」だった。鮮やかな手つきで牌を倒した。
四五六FF11167南南南 8(ツモ)
満貫をツモられ捲られてしまった。しかも俺とオナテン、偶然だろうが俺は不気味さを感じた。
次局、おっさんの親。遠藤が捲り返そうと、大振りになってきている。
俺の手が早ければ、ここは俺に任せるように指示もできるが、俺の手は遅く、遠藤に任せる他に術は無い。
結局、「兄貴」がクイタンをツモり、この局は終了。オーラス、ここで俺が捲りを目論むが、おっさんがチートイをツモって終了。大事な半チャンを落としてしまった。
7回戦、出親は遠藤。6回戦を落としているので、ここはきっちりとモノにしておきたい。
俺の手は遅いものだったが、遠藤の手は早い様子だ。遠藤に連荘させて、主導権をこっちのものにしておきたい。
5巡目に遠藤から東鳴かせて欲しいとサインが来た。遠藤のアシストのために字牌は手に残してある。俺はソッコーで東を切った。
GJ GJ GJ
404 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/07/31 12:35 ID:gZsLPA6p
sageばっかやと落ちるで!
ところで常居センセー、この小説ってタイトルないの?
おちねーよ
知ったか厨房は氏ね
落ちるっちゅうねん!
もう夏休みか。シッタカ夏厨の時期だな(プ
間違いがわかった後で、あれは釣りだったとか
顔真っ赤にして言い出すんだろうな藁
今ちょっと調べてるからまっとれよ!
409 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/07/31 15:16 ID:gZsLPA6p
初心者のとこで聞いてきた!定期的に書き込まな落ちるらしいやんけ!
ここって定期的な書き込みありますよね・・・ほんま僕がアホでした。すんません・・・
これか?(プ
821 名前:ひよこ名無しさん 投稿日:04/07/31 15:12
sage ばっかりだとスレッド落ちますか?
826 名前:真美 ◆MamiiiQx6g 投稿日:04/07/31 15:12
>>821 落ちるかも。
830 名前:ひよこ名無しさん 投稿日:04/07/31 15:13
>>821 いいえ
834 名前:ひよこ名無しさん 投稿日:04/07/31 15:13
>>821 だんだん板の下の方にいきますが、定期的に書き込めば落ちません
412 :
410:04/07/31 16:11 ID:c9TZCfkY
>>411 それや。いちいち探さんでもええやろアホ。
>>403 サンクス。
>>404 タイトルね。今考えるよ。「ごくつぶし 本多亮の博打日記」
あんまりいいタイトルじゃないな。でもこれでいいや。
続き書きます。
ご く つ ぶ し
−本多亮の博打日記−
俺の切った東を遠藤が鳴き、イーシャンテンのサインを出してきた。
次巡、「兄貴」の切った一萬を喰って、遠藤が聴牌。『待ちは2,5ソー、ダブ東だけっす』
遠藤に了解のサインを出す。手が安いので差し込んでもいいのだが、初めて「兄貴」と闘った時のことや、さっきのオナテンのことが頭に浮かぶ。
3巡後、遠藤が5ソーをツモり1000オール。「兄貴」に目をやると、一瞬笑ったように見えた。
オナテンだったかどうかは分からない。だが、なにか嫌な感じを覚えた。
1本場、遠藤の連荘を期待したい。だが、おっさんが發を1鳴き、手が早そうだ。6巡目で發ドラ1をおっさんがツモ和った。
おっさんに親が廻る。ここは連荘させるわけにはいかない。俺の配牌はかなり楽しみな手だ。
一二二三四六七八九359南 ドラ五萬
ここは当然染めにかかる。第1ツモは九萬、いい感触だ。このまま萬子が順調に伸びてくれれば決定打を打てる。
7巡目俺の手は順調に伸びていた。
一二二三三四四六七七八九九
順調すぎて怖いくらいの伸びだ。次のツモは一萬、七萬を切った。俺の頭の中にあの役満がちらついてきた。
『…狙うか。だが、無理に役満を狙う必要は無い。だが、しかし…』
俺は大いに迷った。チューレンは麻雀打ち憧れの役満の一つだ。ここで和れればまさに天才の証明、俺の伝説が語り継がれるだろう。
『落ち着け。役満を和ることがこの勝負の目的なのか?違うだろ、勝つことだろ。冷静になれ、心にゆとりだ』
俺の心の中で冷静な俺がそう語りかけた。俺は心を落ち着かせる為、お茶を一気に飲んだ。
ごくつぶし 本多亮の博打日記・・・いいタイトルっすね!
>>416 はいはい、俺がなんも知らん素人でしたよ。無知ですんませんね、2ちゃんねる博士。
博士みたいに初心者板に調べに行くような時間ないから、あんま深くは仕組み知らんねん。
そうやって初心者みつけて喜んで楽しいんやろな。さすが博士や。
ミンナマターリイコウヨ( ´・ω・`)_且~~ イカガ?
頑張ってくれている常居接人さんを応援しよう。
419 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/07/31 20:44 ID:mdGML1BU
知ったかしちゃって弁護に必死な人がいるスレはここですか?
上げとかないと落ちちゃうので上げ
420 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/07/31 20:46 ID:LvIINMKd
2chに書くのは1月くらいROMってからにすれば?
夏厨の時期だからって即書くなよ。
あげるな。
下げでも保守できるんだよしったか夏中は氏ね。
404 名前:( ´∀`)ノ7777さん 投稿日:04/07/31 12:35 ID:gZsLPA6p
sageばっかやと落ちるで!
ところで常居センセー、この小説ってタイトルないの?
406 名前:( ´∀`)ノ7777さん 投稿日:04/07/31 14:06 ID:gZsLPA6p
落ちるっちゅうねん!
408 名前:( ´∀`)ノ7777さん 投稿日:04/07/31 15:09 ID:gZsLPA6p
今ちょっと調べてるからまっとれよ!
409 名前:( ´∀`)ノ7777さん 投稿日:04/07/31 15:16 ID:gZsLPA6p
初心者のとこで聞いてきた!定期的に書き込まな落ちるらしいやんけ!
410 名前:( ´∀`)ノ7777さん 投稿日:04/07/31 15:17 ID:gZsLPA6p
ここって定期的な書き込みありますよね・・・ほんま僕がアホでした。すんません・・・
423 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/07/31 20:54 ID:O9r6V7R7
かわいそうだからAGE
>>423 さげろアホ
下げても落ちねーんだよ←知ったかじゃないよ
425 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/07/31 21:31 ID:U+IWMOic
落ちるっちゅうねん!
もう夏休みか。シッタカ夏厨の時期だな(プ
間違いがわかった後で、あれは釣りだったとか
顔真っ赤にして言い出すんだろうな藁
今ちょっと調べてるからまっとれよ!
ほんましょうもないヤツやな。よっぽどやることないねんな。
俺2ちゃんねるは4年も前から見てるぞ。あんま書き込んだりせーへんねん。
でも小説はほんま面白かったからどうしても書き込みたかったんよ。
だからよっぽどのことがないと書き込まん。
お前みたいに ぬるぽ ガッ とかやってる暇ないねん。
ageたんは確かに俺が悪い。ほんまごめんなさい。だからもうくだらんことはやめてくれ。
名スレ台無しや。
(´-`).。oO(4年前は2chじゃなかったんだけどな・・・)
430 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/07/31 22:30 ID:yM9AVERy
まだいいわけ?
4年も2chにいるベテランさんなのにsageで落ちないなんて
一番の根幹部分知らないはずないだろ。
もっとうまい言い訳しろよプ
( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ\ / \/ \
ID:PLcsyB0T
ってまだいるの?早く消えろよ
流石にもう恥ずかしくていれないだろ
ID変わったからいられるよ。
ちゃんと謝ってるのに執拗に攻撃するヤシのがよっぽどキモイ。
名スレ台無し。
>>434 ID:PLcsyB0T さん
その通りですが、レスしないで放置しておけばいいんですよ。
436 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/08/01 02:29 ID:aO3w5p9j
>>428 >あんま書き込んだりせーへんねん。
うーん嘘はよくないなぁ。たかスレの常連ジャンおまえ藁。
ガリスレの常連でもあるのに、>どうしても書き込みたかったんよ。
っていうのはどういうこと?わら。まぁ俺も鷹スレの常連だから仲良くしような。
315 名前: ( ´∀`)ノ7777さん 投稿日: 04/07/31 20:26 ID:PLcsyB0T
明日の設定
573号5943部
ちょっと冷静に考えたら
「うちの店の開け閉めの情報使ってください!」ってたかに協力する人なんかおるんかな?
なんのためにそんなことするんやろ?しかも等価から7.6まで一個ずつ。
まさかガリぞうみたいに捏造とかじゃないよね。
319 名前:( ´∀`)ノ7777さん 投稿日:04/07/31 22:06 ID:PLcsyB0T
>>常居接人さん
乙です。いつも楽しみにしてます。
>>お前ら
他所でやれ。基本はsage進行。
あーあ、マジかんべんしてよ。頼むからアゲないで。
雑の糞コテなんかに見つかったら最悪だよ?
440 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/08/01 18:45 ID:drpmo6+L
雑コテが来たとしても、そいつらを放置できないのが悪いだけ。
442 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/08/01 21:19 ID:DuaRTiz1
ID:PLcsyB0T の言い訳マダァ???
お茶を飲み干して、俺の心は少し落ち着いた。
だが、さっき頭をよぎったチューレンの誘惑はまだ俺を放さなかった。
このままでは一萬か九萬をツモッた時、素直に手を倒せないような気がした。ドラなんか持って来たらそのままチューレン一直線に走ってしまいそうだ。
『心にゆとりだ。心にゆとり』
俺はまたこの言葉を心の中で唱えていた。『ツモり倍満で充分だろう』俺の心の中では、冷静な俺が主導権を握りかけていた。
冷静でゆとりのある心で数巡を経過した。この間、萬子は一枚も引かなかったが、もう俺に迷いは無い。一萬か九萬を引いても素直に手を倒す。
俺が冷静さを取り戻せたのは、数日前、神山の店でガキどもを相手にしたとき俺が言った言葉を思い出したのだ。
『和れるノミ手と和れない役満聴牌どっちがましだ?』
あの時は、タンクトップの態度にむかついて発した言葉だったが。今考えてみると、俺はかなりいいことを言っていた。
ゆとりある心でツモ牌を持って来た。盲牌して、一萬である事が分かった。俺は華麗に牌を倒した。
「ツモ。8000、4000」
俺の倒したパイを見て、「兄貴」が呟いた。
「チューレン狙わないんだ。…流石だな」
俺は奴にウインクしてやった。そして自然に口からこんな言葉が出てきた。
「和れなきゃ役満聴牌しても無意味でしょう」
俺の言葉に「兄貴」は笑顔を見せた。だが、それが作り笑いであることはすぐに分かった。
倍満を和って親番を迎える。最高のシチュエーションだ。ここから俺の大爆発が始まる予感がした。
/^l
,―-y'"'~"゙´ |
ヽ ・ ⊥・ ゙':
ミ ミ., γ⌒'ヽ
':; ミ;,,.,.,) (,.,ミ 〜i ミ(二i
ミ :; 〜ヽ、,,_| |ノ
ミ゙゛';:, ~) :,, ~) r-.! !-、
`゙ "`'''~^"~'''゙"''" `'----'
上がる反撃の狼煙!!
次回! 亮の猛チャージが始まる!!!?
446 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/08/01 23:06 ID:xRqn9jNn
おもろい、がんがれ!
447 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/08/01 23:23 ID:DuaRTiz1
ageんなsageでもおちねーーんだよボケ
age
この一撃で、流れが傾いてきた。2000オールをツモり、1本場。「兄貴」から7700の一本ヅケを和った。
完全に俺のペースになった。後は適当なところで遠藤に和らせ、ワンツーを決めるだけだ。
2本場、俺の手は落ちる気配が無い。ヒラでどんどん伸びていく。
8巡目で聴牌。かなりの手になった。
七八九@@ABFGH789 ドラ7ソー
「兄貴」から出れば安目でも終了。ここはもちろんダマ。
「…弱ったね」
「兄貴」が呟いた。少し迷って、9ソーを切る。「兄貴」も聴牌の気配、トビを覚悟で正面からぶつかってくる様子だ。
覚悟を決めた以上は「兄貴」の手も高いはず。お互いに相棒からのサシコミは期待できない。めくりあいだ。
お互いにツモれないまま3巡が経過した。今度は俺が迷う番だった。
ツモったのは6ソー。「兄貴」の捨て牌にソーズは9ソーのみ、おっさんも俺たちにヒントを与えない為にソーズを絞っている。
「…失礼…」
俺はなにを弱気になっているんだ?この手で一気に決めてしまわないでどうする?
自分に気合を入れながら6ソーをツモ切った。次の瞬間、意外なところから声が聞こえた。
「ロン」
声の主はおっさんだった。おっさんはゆっくりと牌を倒した。
33445567788西西
掴みかけた流れが止まる時・・・!
次回!ベールを脱いだ伏兵に、亮達の警笛が鳴り響く!!!
451 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/08/03 08:20 ID:rBA7WbHs
ホンイツ リャンペーコー ガクガク(((( ;゚Д゚))))ブルブル
452 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/08/03 08:38 ID:SH1PGrD/
おいっ!!おもしれーじゃねーかっ!!
これを見ないと朝が始まんねーんだよっ!!
453 :
451:04/08/03 09:01 ID:6H58Z+5b
sage忘れスマソorz
常居タソ乙!まぁ一献( ・∀・)っ旦~ドゾー
これを読んでからスロで負けている時やトラブルが起こった時に「心にゆとりを」使わせてもらってます。
>>450 次回予告面白いですね。
>>451 こんな手振り込んだらかなりへこみますね。
>>452 どうもありがとう。さわやかな朝は迎えられましたか?
>>454 お酒どうも。どんどん使ってやってください。
続き書きます
おっさんは無表情のまま点棒を受け取る。意外なところから奇襲を受け俺は動揺していた。
『「兄貴」が勝負に来てると思ったのに、本命はおっさん。俺らがやったノーテンリーチの応用か?』
セブンスターを咥え、火を点けようとした。だがライターがなかなか着火しない。
『…だとすると…「兄貴」の手はバラバラ?』
ようやく火を点け、煙を肺まで吸い込んだ。いつもよりのどを刺す感触がした。
「兄貴」に親が廻る。おっさんに強烈なカウンターを喰らったが、まだ俺がトップ。ここは気を引き締めていかないと。
「兄貴」がサイを回す。5,6の11、おっさんの山から牌を取っていく。ここは相手の出方が気になるところだ。
おっさんが一気に捲りに来るのか、「兄貴」に連荘させるのが狙いなのか、判断が難しい。
だが、配牌を取ったばかりの今、そんなことを考えても意味は無い。相手も配牌を取ってからでなければ戦略も決まらないだろう。
俺の配牌は平凡な手だ。平凡だが、ここはきっちりと和りきっておきたい。今の順位のまま終われば遠藤が3着なのでこっちのプラスになる。
六七九@@BC3349中中 ドラ一萬
遠藤にサインを送る、中は持ってないと返って来た。中持ってきたらすぐに切れとサインを送った。
動きの無いまま3巡目に入った。「兄貴」が少し迷って8ピンを切った。ブラフなのか本当に迷ったのか判断できない。
遠藤がツモ切り、中だ。ソッコーで中を2枚さらし、9ソーを切った。手は安いが、ここは和り切らないと流れが完全に向こうに行ってしまう。
そんな気がしてどうしようもなかった。俺は焦りにも似た気持ちで闘牌を続ける。焦りを静めようと、『心にゆとり』と心の中で唱え続けた。
おつ
心にゆとり・・・・唱え続ける言葉だけが空しく響く・・・!
再び相手に傾きかけた流れ・・!!
次回!亮達が激流に呑み込まれる!!!??
459 :
初心者:04/08/04 11:03 ID:7+xF5Wnj
心にゆとり心にゆとり心にゆとり
sageってなんだ?
教えてエロイ人。
E-mail欄にsageと入力して書き込め。
中を鳴き、一歩前進。だが、心にゆとりは生まれない。おっさんとの点差は4300点簡単に捲られる点差だ。
焦りを感じながら牌山に手を伸ばす。持ってきたのは五萬。手が進行したことに胸を撫で下ろし、九萬を切る。
遠藤に、1ピンか3ソー鳴かせろとサインを出した。遠藤は持っていないと返して来る。急がなければ、と気ばかりが焦る。
次巡、おっさんが2ソーを切った。ノータイムで34ソーをさらし、3ソーを切る。
『この局凌ぎきれる』
俺の頭の中にそんな言葉が浮かんできた。5,8ピン待ち。早めに和りきってしまいたい。
遠藤から5,8ピンは持っていないとサインが来た。持ってきたらすぐに切れ。と返す。
下家の「兄貴」が小考する、しばらくして口を開いた。
「ごめんね。…リーチかな」
親リー。まともに考えれば正面からぶつかるのは得策ではない。だが、このリーチは囮臭い。本命はおっさんではないかと感じた。
遠藤が迷っていた。こいつも俺と同じことを考えている様子だ。だが、もし「兄貴」に手が入っていたら。その思いが遠藤に迷いを生じさせる。
「……」
遠藤は無言で2ソーを切った。「兄貴」にはキツイ牌だ。「兄貴」は囮と判断したのだろう。
「通るよ」「兄貴」が言った。その表情は相変わらず人を喰ったような笑顔だった。
おっさんが素早く四萬を切った。これは「兄貴」の安牌、どちらが本命なのか判断がつかない。だが、俺は真っ直ぐ行く、と決意を固め牌山に手を伸ばした。
覚悟を決め、牌山に亮が手を伸ばす・・
その手が掴む亮達の運命は!!??
次回!強気の亮に待ち受ける罠!??
sageしたらどうなるんだ?
465 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/08/05 09:43 ID:BGDrQyhO
なんかどんどん面白くなるね。
早く続き読みたいゼ?
力を込めてツモった牌は北。迷わずツモ切り。どこからも声はかからない。
5巡後、「兄貴」が牌を倒す。
「ツモ、裏が乗ればいいんだけど…」
一一六六九九8899南西西 南(ツモ)
表向きにされた牌は三萬。裏が乗らなかったのは不幸中の幸いだったが、ここでツモられたのは大きい。
勝利の分岐点と思われる局を落としてしまった。まだトップだが、流れは向こうに傾いてしまったか?
ここで、一気に捲りが来ると思われた。だが、一本場は流局。遠藤とおっさんが聴牌、「兄貴」の親は流れた。
まだ、流れは決定的に向こうへ移ったわけではないようだ。
南入。配牌は遅いの一言で片付けたい手だった。
俺の流れが悪くなってきた分、遠藤に連荘させてトップ争いに参加させたいところだが、遠藤の流れは俺以上に悪いようだ。
『南が2枚。これを足場に連荘狙うっす』
配牌を取った遠藤からサインが来た。俺は訊き返した。
『南は1枚ある。他にトイツは無いか?』
『二萬っす』
遠藤のキー牌である南は持っている。二萬は1枚がドラ表示牌になっているが、南をいつでも喰わせられるのでアタマにしてしまえば問題は無い。
遠藤は『ツモの様子を見たいんで、しばらく出さないで下さい』とサインを送ってきた。
『了解』と応えたものの、あまりのんびりとはしていられない。遠藤が西を切って南1局が始まった。
焦りばかりが募る展開に、心のゆとりも消えかける・・
次回!ついに勝負を分ける大きな動きが!!!??
暑い中御苦労様です!
実際本とかで買ったら結構するんだろうなと
不純な事考えながら読んでます。
読み手の取込み方、上手い(・∀・)!!
>>469 次回予告、毎回楽しみにしてます。
>>470 どうもありがとう。
外は暑いけど、部屋は涼しいんで落ち着いて書けます。
続き書きます。
遠藤から『流れ変えたいっす。南欲しいっす』とサインが来たのは4巡目だった。手の進みは悪いようだが、あがこうとする気迫が感じられた。
手が悪く、あがきようの無い俺は、遠藤の気合に応える為に南を叩き切った。
「ポン!」
発声した遠藤の表情は、俺の好きな気合の入ったいい表情だった。
遠藤の鳴きで流れが変わったらしく、おっさんと「兄貴」のツモ切りが続く。逆にムダヅモばかりだった俺の手がまとまってきた。
三四五六八DFH35699
1面子、1雀頭だが、牌牌が最悪だったので、それと比べれば随分と進展していた。
遠藤のほうも、手出しが多くなり、こちらも順調に進んでいるようだ。6ピンを切った遠藤からサインが来た。
『聴牌っす。三,六萬っす』
待ちかねたサインだ。ここで遠藤が和れば流れを引き戻せるかもしれない。まだ、相手に動きは無い。絶好のチャンスだ。
2巡後、遠藤が三萬を表にして牌を倒した。
「ツモ、1000は1200オール」
二二四五123678 三 南南(ポン)南
この和り安いが、意味のある和りだ。相手の流れを断ち切り、遠藤をトップ争いに参加させることができた。
ラスの遠藤から、トップの俺までの点差は8100点。トップ争いは混沌としてきた。
3本場。6巡目。俺に手が入った。
二二二四五EEE33777 ドラ九萬
俺は心にゆとりと追い風を感じた。
最後の一行カッコイイっすね!
取り戻した心のゆとりと勝負の流れ!
次回!!追い風と共に亮が突き進む!!!!!
一手替わりでスーアンコだが、遠藤が親であることと、点棒情況を考えるとツモ狙いにはいけない。
『相手から和りを引き出すには?…』
考えているところに、遠藤からサインが来た。
『リーチかけましょうか?』
遠藤の考えは理解できる。だが、ここでのノーテンリーチにどこまで効果があるか。俺には疑問が残った。
『リーチはかけるな』
遠藤にサインを返した。相手の裏をかいたつもりで、その裏をかかれることも怖かったが、それよりも遠藤に余計な失点をさせることのほうが怖かった。
「リーチ」
発声したのはおっさんだった。わざわざリーチをかけてきた、ということは、リーチしないと和れないのか?それとも本命は「兄貴」なのか?
判断に迷ったが、ゆとりある心で考えればこれはチャンスだ。リーチをかけた以上、ツモ切るか牌を倒す以外に選択肢は無い。
「カン!」
俺はラストの7ソーを持ってきてさらした。「兄貴」が新ドラをめくる。そこには四萬が現れた。満貫確定、リンシャン牌の南を切る。
同巡、おっさんが苦虫を噛み潰したような顔で六萬を切った。俺は渋く牌を倒した。
この満貫が決定打だった。俺のトップ、遠藤も「兄貴」を捲り2着に食い込んだ。
まだ、勝負はどちらに転ぶか分からない情況だったが、「兄貴」は笑いながら言った。
「面白いね。俺はこんな勝負にずっと憧れていたんだ。君達が相手で本当によかった」
「兄貴」は心から楽しそうな表情を見せた。それは、初心者のように麻雀が楽しくて仕方が無いといった顔だった。
いい位置まで下がってきたね。
続き期待してます。
>>477 期待に応えられるように頑張ります。
続き書きます。
アゲなくていいのか?
8回戦に突入。起家は「兄貴」。やつは相変わらず笑顔のままだ。
「楽しいな。本当に楽しいよ」
そう呟くと、「兄貴」はサイボタンに触れた。出た目は3ゾロ、俺の山から切り出される。
東1局、「兄貴」の笑顔に不気味さを感じた俺は、ソッコーに出た。遠藤のアシストもあり、500,1000で「兄貴」の親を蹴飛ばした。
東2局は遠藤に連荘させたかったが、おっさんが1000,2000で蹴飛ばす。
東3局、おっさんと「兄貴」がノーテンで流局。安手で進行していく。こういう時は大物一発に警戒しないといけない。
親番が廻ってきて、配牌を取る、なかなかの好形だ。
一一一二三@BGGH1259 ドラ9ピン
純チャン三色の2シャンテン。この展開で早くて重厚な手が入った。流れを断ち切りたくない俺は遠藤にサインを送った。
『手が入った。流れを変えたくない。動かないでくれ』
俺のサインに遠藤は『了解』と返してきた。
俺の手は順調に伸びた。7巡目でペン2ピンの聴牌。
一一一二三@BFGH123
ここで和れれば、この半チャンだけではなく、勝負も決することができると感じた。
自然とツモる指にも力が入る。持ってきたのは五萬、当然ツモ切った。
「ロン」
発声したのは「兄貴」だった。相変わらず不気味な笑顔だった。
三四六七八22345678
「へへへ。安いけど和っておかないとね」
「兄貴」に親を蹴飛ばされた。この半チャン、どちらに流れが転ぶのか分からない情況になった。
兄貴チーム強いな〜
うほ
アニキキター
>>480 ペン2ピン⇒カン2ピン...
ツッコミスマソ
確かにありえないな>ペン2ピン
普通は状況だな
だがGJGJ
485 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/08/09 02:32 ID:yiwSiBYK
最近,北斗打ってて,継続抽選時に『心にゆとりを・・・』と
思わずつぶやいてしまいます。
でもその成果か,気持ち継続率いいみたい。
今日も,北斗揃ってちゃんと9連しました。。orz
また間違えてしまいました……。
しかも2ヶ所。
申し訳ありません。
なにやってんだ?俺。
>>481 「兄貴」とおっさんはプロのコンビ打ちなんで。
>>482 ここに来て「兄貴」がトップギアに入りました。
>>483 こちらこそ申し訳ありません。
>>484 アホな間違いすみませんでした。もう睡眠薬飲んでから書くのはやめます。
>>485 継続率もっと上がるといいですね。
反省しながら続き書きます。
親番が廻ってきた「兄貴」は、相変わらず不気味な笑顔のままだった。その目つきは尋常なものではなかった。
南1局が始まった。ここは早めに流してしまいたい。遠藤に目をやると、俺と同じことを考えているらしく、真剣な表情をしていた。
俺の手はまだ勢いを保っていて、和り切れればこの混戦を抜け出せる手だった。
二三四六六八14南南□中中 ドラ八萬
ここは当然、遠藤にサインを送る。遠藤から南はあるが、中は無い。と返ってきた。遠藤の切った南をソッコーで喰った。
「ツモも見ないで鳴きか。随分焦ってるね」
「兄貴」があざ笑うように言った。だが、そんな安い挑発には乗らない。ここはスピード勝負だ。
「兄貴」が手から西を切った後、遠藤が渋い顔でサインを送ってきた。
『六萬持って来たっす』
遠藤のサインに俺は嫌な予感がした。本来なら俺がツモるはずだった六萬、「兄貴」の言うように焦りすぎたか?
嫌な雰囲気を断ち切る様に気合を込めてツモる。持って来たのは9ソー、どう考えてもムダヅモ。焦りすぎたかと後悔の念が生じる。
その後もムダヅモが続き、俺の手は進まなかった。いちいちサインは送ってこないが、遠藤の表情から萬子のツモが多いことが見受けられた。
8巡目、「兄貴」が牌を倒した。
三四五ABCEFG3367 8(ツモ)
「ツモ。安いけどね」
確かに安い。だが、「兄貴」の麻雀は安手での連荘、ここに本質があるように思える。
俺は真綿で首を絞められるような感触を感じていた。
1本場、「兄貴」との点差は僅か3200点。簡単にひっくり返せる点差だ。
「兄貴」はここもスピード勝負に出るだろう。奴のスピードに負けないような牌牌が欲しいところだ。
配牌は俺の望み通り早い手だ。
三三四五DEG22267北 ドラ1ソー
456、567の三色も狙えるが、派手な手が実らないこの半チャンはスピードが重要だ。ここで「兄貴」の親を蹴飛ばしてしまいたい。
第一ツモは三萬。かなりいい感じだ。ここは簡単に和れる、そんな予感がした。
次巡、おっさんの切った東を「兄貴」が喰った。奴も早和りを考えているらしい、「兄貴」とのスピード勝負。ここは負けるわけにはいかない。
しかし、「兄貴」の鳴きで俺の勢いは断ち切られた、要牌を持ってこないまま8巡目が過ぎた。
「うん?ツモった」
「兄貴」が牌を倒した。
五六七九九@AB78 9(ツモ) 東東(ポン)東
「500は600オール。また安いね」
「兄貴」の表情は相変わらず不気味なものだった。この蟻地獄のような展開、俺の心にゆとりは芽生えない。
『ピンチだ。この展開を打破しなければ』
俺の焦りは遠藤にも伝染したようで、遠藤の表情にも焦りの色があった。
otu
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2本場開始。遠藤から『早い手っす』とサインが来た。俺の手は遅いもので、スピード勝負に対応できそうに無い。
遠藤に『任せる』とサインを返した。遠藤の手の中には白と南1ピンがトイツ。ドラ面子有りとのことだった。
遠藤が南家なので、ここは南をモノにして和りたい。だが、俺の手には南も白も1ピンも無い。
安手だが、いいリズムを刻んでいる「兄貴」のスピードに追いつけるか、そこが不安だった。
「兄貴」が第1打に西を切った。遠藤が牌山に触れてツモった後、サインを送ってきた。
『南持って来たっす』
朗報だ。初手から最高のところを持って来た。後は遠藤のツキと俺のアシスト次第で、あっさりと「兄貴」の親を蹴飛ばせるかもしれない。
2巡後俺は白を持って来た。遠藤に『切るか?』と訊ねた。遠藤からは『もちろんっす』と返ってきた。
白を切り、遠藤が喰った。遠藤から『三,六萬待ちっす』のサイン。ドラ面子があるので満貫は確定している。
今のところ「兄貴」にも、おっさんにも目立った動きは無い。チャンスが来たと感じながら俺のツモ順が来た。
俺は九萬をツモ切った。「兄貴」がツモり、手から五萬を切り牌を曲げた。
「リーチ」
「兄貴」のリーチは珍しい。しかも親リー、遠藤が必死の形相でツモる。だが、3枚目の中をツモ切り。
一発を消し、ツモ順をずらしたいが、おっさんが切ったのは遠藤と同じく中。俺がツモったのは9ソー。
手の中に三,六萬は無く、遠藤へのサシコミもできない。安牌の西を切って俺は目を閉じた。『一発はやめてくれ』祈るような気持ちで「兄貴」の指先を見つめた。
「兄貴」は不気味ににやけながらツモり、牌を倒した。
「イッパーッツ!!ツイてきたね」
三四五七八九5678899 8(ツモ) ドラ五萬、ウラドラ南。
この満貫が決定打だった。8回戦は「兄貴」のトップ。俺は2着に食い込むのがやっとで、遠藤のラスで終了した。残り2回戦、勝負の行方は予断を許さない状況だ。
うおおおおお
アニキ、シャンポンいぱつツモ
つえー
>>495 流れが「兄貴」に傾いてきました。
続き書きます。
見てるよーかんばってー
9回戦はおっさんの起家で始まった。そろそろトータルポイントが気になってくるところだ。
俺は明晰な頭脳で脳内計算を実行した。何度、計算してもトータルポイントは僅差だ。
ここでワンツーを決められれば、10回戦は非常に楽な展開になる。相手も同じことを考えているだろう。
東1局はおっさんの打一萬で始まった。俺の牌牌は平凡なものだった。
三四五八八九EFH235南 ドラ8ソー。
遠藤に牌牌の様子を訊ねると、奴からは『並っす』の応えが返ってきた。ここはアシストを考えずにお互いに和りに向かうほうが得策だろう。
10巡目、誰も動いていないが、「兄貴」に聴牌の気配がある。俺は6巡目からイーシャンテンのまま進まずにいた。
三四五八八DEFH2345
遠藤も苦戦している様子で、聴牌までまだ時間がかかりそうな雰囲気だった。
次巡、ようやく6ソーを持って来た。絶好の3面待ち、即リーも考えたが「兄貴」が不気味だ。とりあえずダマで様子を見る。
遠藤に聴牌のサインを送り、下手に動かないように言い渡した。
おっさんが3ソーを切り俺にツモ順が廻る。俺がツモったのは7ソーだった。
「ツモ、700,1300」
俺は牌を倒しながら、自分から勢いを手放してしまったのでは、と思った。即リーに行っていれば最低でも満貫だった。
『焦るな。悔やむな。リーチに行っていれば、鳴きが入ったかもしれないだろ。心にゆとりだ』
俺はネガティブになりそうな自分を鼓舞する為にそう考え、気合を入れなおしサイボタンに触れた。
激乙。
牌牌⇒配牌
まーお盆ですから。
しまった、ミスです。
申し訳ありません。
501 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/08/13 00:57 ID:6dDMnzJH
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>>497 応援ありがとうございます。
>>499 最近ミスが多くて申し訳ありません。
続き書きます。
おまえが謝ることなんて何も無いぞ。
東2局、俺の配牌は相変わらず平凡。またネガティブになりかけるが、ツモが良かった。
五六七八DFG679東北□ ドラ九萬
この配牌が8巡で化けた。
五六七八DEF56799東 七(ツモ)
上ツモなので、下ツモより仕事がしやすいこともあり、遠藤が仕事をしたのか。とも思ったが、遠藤にそこまで細かくサインは送っていない。
本格的な追い風、それも突風が吹いたのか、それともそよ風なのか。判断はつかない。リーチに行くべきか否か、俺は小考した。
「失礼…」
時間をかけてしまった以上、相手に不信感を与えただろう。こうなっては何らかのアクションを起こさないと不自然だ。
「リーチ」
東を横に倒し、千点棒を出した。「兄貴」の目が無気味に光った。ツモった牌を手牌の中に入れて牌を切り出した。
「通れば……。通るみたいだね」
俺が何も言わないのを受けて、四萬を横に曲げ、千点棒を出した。
「兄貴」は真正面から喧嘩を仕掛けてきた。この勝負は殴り合いなんかじゃない。殺し合いに発展するような取っ組み合いだ。
技術が介入する余地は無い。馬乗りになって、相手をタコ殴りにし、頭を地面に叩きつけ、首を絞める。
マジで泥臭い闘いだ。そして、俺は、こんな勝負が嫌いじゃない。「兄貴」はガキのように無邪気な顔をしていた。おそらく俺も同じような顔をしているだろう。
ドラマチックリーチキター
一発ツモはお互いに空振り。掌が汗でびっしょりと濡れていた。ハンカチをポケットから取り出し汗を拭った。
汗を拭いつつ、俺はこんなことを考えていた。
『この勝負、ここまで互角で来たんだ。負けたとしても、増田の言う「みっともない負け方」にはならないはずだ。
負けても増田はこの後も仕事を廻してくれるだろう。でも、勝ちたい。どんなに泥臭い勝ち方でもいい。この勝負絶対に勝ちたい』
俺は自分自身でも不思議な気持ちだった。こんなに熱くなったのは何時以来だろう?初めてのことかもしれない。
ガキの頃からそうだった。勉強も、スポーツも、14で覚えたギャンブルも、今までこんなに真剣になったことなんか無い。
俺を変えたのは、俺を信じてくれる香の思いや、俺より8つも年下のくせに、ギャンブルで夢を叶えたいという、遠藤の悲壮な決意だ。
考えているうちに俺のツモ番が来た。持って来た四萬をツモ切った。俺は余計な考えを振り払って勝負に集中した。
「兄貴」が舌打ちをして、ツモった1ピンを切る。厳しい表情だったが、俺の視線に気付くとまた作り笑いになった。
お互いにツモれないままさらに3巡が過ぎる。俺のツモ番、牌山に触れた瞬間、嫌な感覚が走った。持ってきたのは生牌の發だった。
和り牌ではないので、当然ツモ切り。「兄貴」が牌を倒すかと思われたが、奴は無言だった。声を発したのは遠藤だった。
「ポン」
「兄貴」のツモ番を飛ばす鳴きを入れる。ツモった時に感じた嫌な感覚が再び襲ってきた。
遠藤が一萬を切った後、おっさんが1ピンを切って、俺のツモ番が廻ってきた。嫌な感覚を振り払って、牌山に手を伸ばした。
'`ァ(*´Д`)'`ァします!
オリンピックよりおもしろいよー!
五輪とは別問題。面白さの土俵が違う
>>508 もっと興奮できるように頑張ります。
>>509 ありがとう。でも、
>>510さんの言うとおり、オリンピックとは別物だと思います。
続き書きます。
ふぁいとー
一発
ツモ
気合と共にツモったのは8ソー。『ヤバイか?』と思いながら切った。「兄貴」は動かない。黙って牌山に手を伸ばした。
「兄貴」が東をツモ切った。遠藤が牌山に手を伸ばす。盲牌をしながら苦虫を噛み潰したような顔になった。
『……ドラ、持ってきたっす』
遠藤が鳴きを入れたときに感じた、嫌な感覚の正体はこれだったのか?ハネツモを逃してしまった。
遠藤に『出すな』とサインを出そうとした刹那、奴は九萬を叩き切った。
場の空気が一瞬凍りついた。遠藤が『和ってください』とサインを出していた。
遠藤の考えは痛いほど分かる。この手を和りきればこの半チャンの主導権を取れる。遠藤の気持ちに応える為にも俺は牌を倒した。
「ロン」
ここまでで満貫、ウラドラをめくる。そこには四萬が現れた。
「18000」
「兄貴」との一騎打ちはケリがつかなかったが、トップ争いはリードできた。点棒の余裕もあるので、遠藤を少しでも上に押し上げたい。
1本場、俺は遠藤のサシコミで流れに乗った。配牌からかなりいい感じだ。
一二三三四四五六七七F19□ ドラ一萬
流れを掴んだのは良いのだが、あまりにも派手な手だ。遠藤の持ち点を考えると、下手に和った場合、奴を飛ばしてしまう可能性もある。
遠藤にサインを送り、返事を待った。奴は、『本多さん、トップ取ってください』と返してきた。
小学生の時、両親が共働きで所謂「鍵っ子」だった俺。
風呂を洗っておいたり、玄関の掃除をしなくてはいけなかったので友人達とは中々遊べなかった。
ある日親父が仕事から帰ってきた時にFC本体と「ドラクエ3」を買ってきてくれた。
仕事から帰ってきた両親と夕飯を食った後3人でそれをやるのが俺の最大の楽しみだった。
中学生に上がって反抗期を迎えた俺は毎日両親とケンカばかりしていた。
ある日いつもの様に両親とケンカになり消防の時買ってもらったFCと唯一のカセット「ドラクエ3」を投げつけた。
その時はなんとも思わなかった・・・・。
中学卒業後、俺は高校にいかずペンキ屋に就職する事になった。両親は中学卒業前に既に離婚していた。
俺はどちらにもついて行かず父方の祖母の家に祖母と二人で住む事になった。
現在、祖母の家に住み始めて7年目。
先日祖母に頼まれて物置を整理していた。
奥の方にボロボロになったダンボールを見つけたので中を開けてみた。
そこにあった物は粉々になったFC本体とカセットの中身が剥き出しの「ドラクエ3」。
不器用に接着剤で修理しようとした痕がみられるが修復出来なかったらしい、・・・俺達家族の絆と一緒だ。
おいおい、プレステがある時代に「ドラクエ3」かよ、と思った。
だが心とは裏腹に「ドラクエ3」がやりたくなりニューFCを買ってきてTVと繋げ電源を入れてみた。
懐かしい。勇者の名は俺の名前、戦士に親父、僧侶にはお袋の名前。3人パーティでプレーしてたのだ。
忘れ様としていたあの頃の思い出が頭を駆け巡り涙が止まらなくなった。
3人パーティはイシスの町で止まっていた。クリアは当時の俺には難しくて出来なかったのだ。
父母とはあれから会っていない。今どこで何をしているのかも知らない。
そして俺は今ドラクエ3をやっている。なんとしてもクリアしたくなったのだ。
もちろん4人目は入れない。3人パーティでだ
517 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/08/15 22:40 ID:FrOXYvkp
なぜコピペを?
常居先生の小説は熱くさせるものがあっていいですね!
麻雀したいけど、まわりに相手いないんで最近また東風荘やりはじめました。
常居先生がんばってください!
>>512 アリガト。
>>518 ありがとうございます。
フリーには行かないんですか?フリーの緊張感も捨てがたいですよ。
続き書きます。
俺の第1打は1ソー。このまま萬子が順調に伸びて、「兄貴」かおっさんから直撃できれば最高だが。
3巡目に八萬、6巡目には七萬をツモった。萬子の伸びは順調と言ってもいいだろう。
この手を和れば、トップは決定的になる。そうなれば、後は遠藤のアシストに徹して、ワンツーを目指すだけだ。
緊急事態であることは、「兄貴」もおっさんも理解しているだろう。心なし「兄貴」の作り笑いが引きつって見える。
7巡目、2枚目の白を持ってきた。ホンイツにするつもりなどないので、ツモ切り。「兄貴」がそれに喰いついた。
「ポン」
「兄貴」の顔に、いつもの人を喰ったような雰囲気は無く、真剣なモノに変わっていた。
「兄貴」が9ソーを切り、遠藤が南を切る。おっさんが躊躇無く切った7ソーで「兄貴」が牌を倒した。
一一四五六FGH56 □(ポン)□□
「ロン。3900は4200」
おそらく、俺に手が入っている、と判断してのサシコミだろう。大物手を逃したのは残念だが、相手が相当焦っていることが覗えた。
「兄貴」に親が廻り、サイが回るのを見つめつつ俺はこれからの基本戦略を考えていた。
『今のサシコミを見ても、相手の意識は俺に向かっていると思われる。おそらく遠藤はノーマークだろう』
サイコロが1,6を表示した。配牌を取っていく。俺の頭脳は回転したままだ。
『だが、今の遠藤に手が入るとは考えにくい。ここはリードを守り逃げ切るのが妥当か?』
理牌をしながら考え続けた。今、必要なのは遠藤に手が入ることだが、遠藤からは『配牌は悪いっす』とサインが来た。
俺の配牌は早いものだった。
五六七AABC4679中中 ドラ2ピン
幸い遠藤からは中あり、とサインが来ている。ここは早和りで決めてしまいたい。
遠藤を引き上げるのは、もっとリードを広げてからでも遅くない。俺はそう考えながらおっさんが切るのを眺めつつ牌山に手を伸ばした。
俺の第1ツモは西。おっさんに鳴かれる危険性はあるが、廻し打ちが必要な状況じゃない。当然ツモ切り。
どこからも発声は無く、「兄貴」が牌山に手を伸ばす。
5巡目に入り、俺のツモはムダヅモだけで、手は一向に進行しない。遠藤に『中鳴かせろ』とサインを出した。
遠藤の切った中を鳴き、9ソー切り、イーシャンテンだ。ここにドラでも持ってくれば最高の展開なのだが。
こう着状態のまま数巡が経過した。相手に動きは無く、俺もイーシャンテンのままじりじりしていたが、ここで状況を一転させる牌をツモった。
ドラの2ピン。これで満貫の聴牌。4ソーを切って遠藤にサインを出した。
遠藤の返事は『持ってきたらすぐ切るっす』だった。
俺はこのサインに面食らった。だが、冷静に考えればここで遠藤を飛ばしても、この半チャンは俺のでかいトップで終われる。
トータルポイントを計算すると、俺たちが10ポイントほどのリードになる。ここでの10ポイントリードは非常に大きい。俺は遠藤にサインを返した。
『持ってきたらソッコーで切ってくれ』
「兄貴」たちが必死こいて和りを目指していた。だが、もう遅い。俺たちは1巡で2回ツモれるのと同じだ。俺か遠藤が5,8ピンをツモればこの局は終了。
遠藤がツモればこの半チャン自体が終了。俺がツモった場合はリードがさらに広がる。『この半チャンはもらった』
俺がそう考えていたところに、「兄貴」がリーチをかけた。抵抗する姿勢は認めるがそれは悪あがきだ。あいにく遠藤のツモは5,8ピンではなかった。
次巡、おっさんが3ソーを切った。
「ロン!」
「兄貴」がでかい声を出すのを見るのは初めてだった。ゆっくりと牌を倒す。
一二三@AB1122399
この親倍でおっさんが飛び、「兄貴」のトップが確定した。これでポイントは「兄貴」チームのリードのまま最後の半チャンを迎えることになった。
アバウトな計算だが、俺たちと相手のポイント差は20前後。今度は俺たちが必死こく番だ。「兄貴」が出親を決めるためサイボタンに手を触れた。
逆転された・・・
ま、まじっすか…
ぐぇ
サイコロの出た目は1,4、「兄貴」の起家だ。厳しい状況だが、迷いや気後れを感じている暇なんか無い。
俺の牌牌は、ツモ次第で楽しみな手に伸びそうな雰囲気だ。
四四七BBB44669西發 ドラ七萬
トイツからアンコになれば話は別だが、チートイツ狙いが順当なところだろう。ドラを早めに引き込んでしまいたい。
7巡目までで、手を進めるツモは西だけだった。配牌はまずまずだったが、ツモが悪い。
遠藤は『はったっす。4,7ピン待ち、安手っす』とサインを送ってきていた。相手に動きが無い限り、遠藤に和らせるのは得策じゃない。
『俺に任せろ』
遠藤にサインを送ったものの、手が進まない。次巡、ようやくといった感じで9ソーをツモった。
四四七BB446699西西
3ピンを切ってドラタンキの聴牌。
出和りの可能性は低いので、リーチをかけてもいいのだが相手が仕掛けて来た時、身動きが取れなくなることを危惧してダマで進めることにした。
9巡目、「兄貴」のツモ切りが多くなっている。相手はどちらかがトップを取れば勝ちなのだが、おっさんにアシストする動きは無い。
俺が9ピンをツモ切り、「兄貴」が牌山からツモって小考した。「兄貴」が切り出したのは7ピン。遠藤が牌を倒した。
一二三七八九DE45688
「ロン。1000点」
遠藤の倒した牌を見て「兄貴」はため息をついた。
「はぁ。通らなかったか」
その言葉に俺が感じたのは、口では説明できない違和感だった。俺に手が入っていると判断して、遠藤を誘い出したのではないかと思った。
無論、根拠は無い。だが、俺には「兄貴」の手の上で踊らされているような感覚があった。
えーよえーよ
ふぁいとーいつも見てるよー
先に和りを手にして、「兄貴」の親を蹴飛ばした。俺の感じている嫌な感覚を拭う為にも、ここは遠藤の連荘を期待したい。
サイコロが回り、5,2の7。俺の山から牌を切り出していく。俺の手はあまり良くない。
四四六七@EG2446南□ ドラ東
三色が見えないことは無いが、ここは遠藤のアシストに徹するべきだろう。
遠藤からのサインが来た。
『ドラがトイツ。他にもトイツが多い手っす』
『ドラは無い。他に喰いたい牌あったら教えてくれ』
『1ソーか二萬欲しいっす』
俺は遠藤に、持ってきたらすぐ切るとサインを返す。
遠藤が9ピンを切って東1局が始まった。遠藤のツモは順調な様子で、5巡目でサインが来た。
『東鳴ければ聴牌っす』
サインを受けて俺は、東を持ってくるように気合を込めてツモる。だが、気合だけでどうにかなるモノではなく、ツモったのは7ソーだった。
南を切って、自分の手を改めて眺める。三色が明確に見え始めていた。
四四六七EFG24467□
色気を出したくなるが、ここは遠藤の連荘が重要だ。
東の姿が見えないまま場は進んでいった。俺も遠藤もじりじりしながら中盤が経過していく。
俺の手の中には八萬が入り、ますます色気づいていた。『遠藤が苦戦しているなら俺の手で…』
俺はそんなことを考え始めていた。
ギャンブルの最大の敵は色気
がんばれー
こう着状態が続く中、終盤戦に突入。俺も遠藤もイーシャンテンのまま動きが無い。
こうなっては、東が場に出てくることは無いだろう。遠藤の和り目はほとんど無くなった。
俺が決める。そんな決意を込めて牌山からツモる。持ってきたのは3ソーだ。
終盤に来て、この手の急所と呼べるカンチャンをツモった。『これは案外あっさりと高目をツモるんじゃないか』
俺の期待は膨らんだ。残りの牌は少ないが、上昇気流に乗ったような感じがした。
4ピンを切ると、それを確認した「兄貴」が声を上げた。
「チー」
おそらく、ケイテン狙いの鳴きだろう。「兄貴」らしくない打ち方だ。その上、俺にハイテイを渡してしまった。そのことを後悔させてやる。
お互いに動かないまま進み、最後のツモを俺が持ってくる。
俺のハイテイツモは三萬だった。結局、奴らを後悔させることはできなかった。遠藤が手牌を伏せて、力なく口を開いた。
「ノーテン…」
残る3人が同時に同じ言葉を吐いた。
「聴牌」
「兄貴」とおっさんの手を見て、俺は渋い顔になるしかなかった。「兄貴」の手は。
一二三CDE1155 234(チー)
おっさんは
二三七八九345888東東
だった。俺と遠藤の欲しいところを完全に止めていた。
普通の打ち手は、この展開にビビルかも知れない。だが、俺は違う。かえって闘争心を燃やした。遠藤も同じ思いだろう。
おっさんに親が廻り、奴は相変わらず無表情でサイボタンに触れた。
もっとさ、状況説明を書き込んだ方がいいよ。
せっかく一人称で書いてるのに、もったいない。
これでは、書き込みが足りないので、レベルが低いだけに見える。
「俺」の状況展開だったら、もっと比喩や例えを使ったほうが見やすいし、
「俺」が他人の手を見えるのはおかしい。
淡々と書きたいなら、キャラを練りこんだ方がいい。
全てが中途半端。
>>534 はい?言いがかり厨房うざ。
最初から読んでないだろお前。
>「俺」が他人の手を見えるのはおかしい。
どこで見えてるの?
常居タン、応援してるよ
毎日チェックが楽しみデス (*´д`*)
ほんと毎日楽しみ!
土曜日は久々に麻雀だ。
539 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/08/20 17:11 ID:naapeTbx
,一-、
/ ̄ l | / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
■■-っ <
>>534んなーこたーない
´∀`/ \__________
__/|Y/\.
Ё|__ | / |
| У.. |
出勤してパソ立ち上げて、最初に見るのがココだよ。
小さい頃、毎週発売日にジャソプを買いに走ってたようなもんだ。
541 :
りえ:04/08/20 17:24 ID:xcf3GlPu
>>534 じゃぁ先生もすごいの書いてくださいよw
>>534 状況説明はこれ以上やるとくどくなると思うから。
>>535さんが言うとおり、そんな描写はしてないと思うけど。
最近は作品書くのが俺だけになっちゃったけど、ここは自由に作品書けるスレなんだから何か書いてみてよ。
>>537 応援ありがとう。
>>538 勝てるといいですね。
>>540 ありがとうございます。俺もジャンプ世代なんで、そう言ってもらえると光栄です。
ごめんね 真剣に書いてると思って、ついアドバイスしてしまいました。
作家を目指してる学生かな、と勘違いしてしまいました。
読んだのは、
>>533だけですけどね。
まぁ、書き込みは、努力で補えるので頑張って
おっさんの回したサイは6,5。配牌を取りながらさっきの流局のことを考えていた。
『サインが読まれたか?』
そう考えれば、さっきの状況も説明しやすい。俺と遠藤の間で交されるサインはそんなに複雑なものではない。
この長丁場、サインを読まれたとしても不思議ではない。サインを読まれても、俺に危機感は無かった。これを逆手に取れないかと考えた。
相手をはめる手段を考えていた俺の心に、あの言葉が浮かんできた。
そう、「心にゆとり」だ。現状を考えれば、点差は無いに等しい。ここで重要なのはゆとりある心だ。
俺の配牌は良いとは言えない代物だった。だが、ゆとりのある心で10巡目には聴牌にこぎつけた。ここまでの動きは「兄貴」が白をおっさんから鳴いていた。
五六七八八ABC33367 ドラ一萬
ソッコーで遠藤に5,8ソー待ち、手は高い、とサインを送った。この手はツモっても倒す気は無い。
相手がサインを読んでいるのかどうかを確認したかった。後は、俺の手を見せることなくこの局が終わればいいのだが。
終盤に入ったところで「兄貴」が牌を倒した。
「ツモ」
五六七GG55789 G(ツモ) □□(ポン)□
「兄貴」の捨て牌に6ソーがあった。両面を捨ててのシャボ待ち。俺の当り牌を避けての打ち回しだ。
俺は渋い表情を作って牌を伏せ、穴の中へ放り込んだ。だが、これで相手が、こちらのサインを読んでいることがほぼ決定的になった。
あとは、この状況を逆手に取る為、相手に大打撃を与える手が入るのを待つだけだ。だが、そんなに都合よく手が入るのか、そこが不安だった。
>>543 >>533よんで人の手配が見えるって・・・。。。
おまえマージャン知らないだろ。
リュウキョクって知ってる?
荒らしはヌルーで行きましょう!
常居タンの作品だけが真実です。
マジレスするとネットで万人に受ける小説を書かなくていい。
楽しめる人が気軽に見れる文章でいいだろ。
いちいち突っ込むなよ。
作品投下する人と応援レス付ける人以外はごちゃごちゃ言うな。邪魔
>>543 こちらこそ、挑発するようなこと書いてごめんなさい。
>>546 荒らしは無かったと思うんですけど。
続き書きます。
東ラス、親は俺、配牌は安い手だった。
五六八九@ABC67東東西中 ドラ一萬
相手をはめる布石を打つために、読まれているのを承知で遠藤とサイン交換をする。
手が安ければ、相手も、俺たちのサインを確認する為に和らせるだろう。ここで和り切れれば、勝負手が入ったときにかなり楽になる。
早い巡目で遠藤が東を切り、俺の手は6巡でこうなっていた。
四五六八九@AB67 東東(ポン)東
次巡、ここに八萬をツモって5,8ソーの聴牌。遠藤に待ち牌と役を報せた。
10巡目、8ソーをツモり牌を倒した。
「ツモ」
俺の手牌を見て「兄貴」は複雑な表情をしていた。いかにも、連荘されてヤバイと言った表情だった。
こいつの芝居の上手さには感心させられる。内心では、俺たちのサインを読みきったことに、ほくそえんでいるだろう。
1本場が始まった。俺の配牌は、まだトラップを発動するような手になりそうもない。だが、俺の心にはゆとりがあった。焦りは全く感じられなかった。
二三四七八九九3348西北□ ドラ4ピン
焦りは感じないが、良い意味で緊張感と興奮があった。
『この勝負必ず勝つ』
俺は気合と共に西を切った。そして俺には予感があった。
『この局、和り切れば追い風が来るんじゃないか?そうなれば小細工なんか必要ない。ツモりまくって圧倒することができる』
俺の脳裏に勝利の女神の顔が浮かんできた。その笑顔は、どことなく香に似た悪戯っぽい笑顔だった。
551 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/08/22 03:47 ID:z6z8yUVk
1本場、俺の手は9巡でこうなっていた。
二三四七八九九34568□ D
早いとは言えない。それに、配牌から萬子が動かないことも気になっていた。
しかし、気に病んだところで、どうにかなるモノではない。俺は白を切って、5ピンに繋がることを期待した。
山からツモった遠藤から、二,五,八萬待ちのサインが来た。そのサインに『了解』と返したが、サインが読まれている以上、相手からの直撃は期待できない。
遠藤に、サインが読まれていることを報せる術はないし、報せたところで、今俺の考えているトラップ以上に効果的な手段があるとも思えない。
ここは、遠藤はあてにしないで、俺が何とかしなければならない。「兄貴」のツモ切りが多くなってきた。聴牌か?
気負ってみたものの、俺の次ツモはムダヅモだった。「兄貴」が作り笑いを顔に貼り付けながら、一萬を切った。
「ロン!!…高目だ」
聞きなれた声が、意外なタイミングで響いた。声の主は遠藤だった。その表情は俺の好きなあの表情だった。
二三四五六七八九CC567
牌を倒し、気合の入った表情のまま遠藤が言った。
「途中から俺らのサイン読んでたんだろ。それを逆手に取れる手がやっと入った。あんまり舐めるんじゃねぇぞ」
遠藤は、俺と同じことを考えていた。俺の考えていたトラップを遠藤が先に決めた。
「フーッ。分かってたんだ。気付いていたんだ。読めた時はこれで勝てるって思ったんだけど…甘くないね」
「兄貴」がため息をつきながらそう言った。この満貫で遠藤がトップに踊り出た。
だが、勝負はまだ終わったわけではない。ここで、決定的な一撃を炸裂させたい。
otu
遠藤トウシしてたこと、口にしたらまずいだろ。
たとえやっていても口には出さないだろ。
口に出した時点でいかさま白状してるって事ジャン
毎日楽しみにしています マジで
でもひとつ悩みが
どんなサインで遠藤と会話しているのかと
考えてはいけないと思いつつ考えてしまう
これはあくまでフィクション(たぶん)
しかし今回 報せる術はない えっ
あんなに楽しくおしゃべりしていたのに
あぁ すいません スルーお願いします
常居接人先生 レスペクトです
通しは、たとえば頭の右のほう触ったらピンズの上のほうとかでやってるだろうから
マチハ分かってもマージャン以外の情報は通せ無いわけ。
>>553 遠藤にカミングアウトさせたのは、2対2の勝負なので通しはあるという前提で書きました。
もうすぐ終わるので、ちょっと焦りすぎたかな。おかしいって意見が多ければ書き直します。
>>554 基本的には指です。
言い訳っぽくなりますけど、二人の間で交されるサインは手の進み、欲しい牌、リーチをかけるか否か。などです。
喋っている様に見えるのは、二人の意思疎通ができているって言うことで。アホみたいな説明で済みません。
>>556 オイラは(通しがあること前提と)すんなり読めましたよ。
モノホンの玄人ならニヤっとするだけのほうが良い演出かもしれないけど、
「遠藤故の若さ」ということで、このほうが面白いと思う。
>>557 ありがとうございます。
そう言ってもらえると救われる思いです。
続き書きます。
がむばれー
南場に突入。親は「兄貴」、奴はさっきの満貫放銃でラスに落ちた。ここは巻き返しを図ってくるだろう。
俺の配牌は蹴飛ばす為にはもってこいのモノだった。
六七BBCF2349北中中 ドラ一萬
「兄貴」が1打目に中を切ってきた。字牌を絞る余裕もないのか?
北家の俺が鳴くと、「兄貴」のツモが増えてしまう。だが、1打目から役牌を切ってくるということは、手が早いとも推測できる。
遠藤が牌山に触るまでの間、そこまで考えた。結局、1枚目の中は見逃した。わざわざ「兄貴」のツモを増やす必要はない。
3巡目、俺の手はこうなっていた。
六七八BBCF234中中中
ツモが好調で、あっと言う間にイーシャンテンまで育った。何よりも中を持ってきたのがでかい。
これで、「兄貴」の親を蹴飛ばせると思った矢先、「兄貴」がヘラヘラ笑いながら牌を曲げた。
「リーチ」
第1打で役牌を切ったのは、はったりじゃなかった。早いリーチは偶発的な待ちが多いので、読もうと思うのは無意味だ。ここは真っ直ぐ行ったほうが得策だろう。
遠藤が1ソー、おっさんも同じく1ソーを切って、俺にツモ番が廻ってきた。ツモったのは9ピン、真っ直ぐ行くと決めた俺は通っていない4ピン切りで勝負に出た。「兄貴」は黙って牌山に手を伸ばした。
手は安いが、これで「兄貴」に追いついた。
リーチをかけようかとも考えたが、1ハンを2ハンにするためだけに、両面に変わる可能性や、和り牌以外はツモ切りといったリスクを背負う必要はないと考え、ダマで進めることにした。
遠藤にはサインを送らなかった。ここでサインを出せば、それが本物か否かで、相手は迷うだろう。だが、同時に遠藤も迷うはずだ。迷った挙句に遠藤が「兄貴」に振り込んだら元も子もない。
俺は信じていた。この局を和りきれば追い風が吹くと。
もうすぐ終わってしまうのか・・・
「兄貴」はツモった三萬を黙ってツモ切った。俺には中のアンコ落しという逃げ道があるが、「兄貴」に退路は無い。
逃げ道がある分、俺のほうが有利に見えるが、俺にそんな思いは無かった。ヒリヒリとした緊張感と、口の中が渇ききって、舌に粘膜が貼り付く感触を感じていた。
おっさんと遠藤が、降り気味な打ち回しで場を廻し、俺のツモ番がやってきた。持ってきたのは6ピン、これで両面に変わる。心の中で『勝負!』と叫び9ピンを切った。
「兄貴」は動かない。ゆっくりとツモり、4ピンを切った。
中盤に差し掛かり、俺も「兄貴」も牌を倒せないでいた。俺の口の渇きは相変わらずだった。
「…すんません…水を…」
粘り気のため、上手く回らない舌で、俺は世話役の組員に水を注文した。部屋を出ようとした彼の背中に、俺は粘り気に抗いながら言った。
「……多めにお願いします」
しばらくして、500mlのペットボトルが俺の横に置かれた。俺は取り付かれたようにキャップを開け、口中の粘膜にしみこませるように水を口に含んだ。
水を口に含み、口中の粘り気はいくらか治まった。
俺のツモ番で、ツモったのは安牌の4ピン。当然ツモ切り。「兄貴」が山から牌をツモった瞬間顔色を変えた。
「兄貴」が切った牌は8ピンだった。「ロン」。ようやく回り始めた舌で発声して牌を倒した。安手だが、「兄貴」の連荘を阻止できた。
南2局は俺とおっさんの聴牌で終了。南3局は遠藤が南のみを俺から和って終了。いよいよオーラスに突入。ここを凌ぎきれば俺たちの勝利だ。和りヤメありなので軽い手が欲しい。
俺の手は、望み通り軽い手だった。
四五六GGH13478南□□
第1打に1ソーを切り、このまま押し切って、勝利することを俺は確信していた。
564 :
大阪:04/08/25 00:00 ID:66CchIKE
565 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/08/25 00:39 ID:KnaLpBPt
一応ツッコミを…
× 取り付かれた
◯ 取り憑かれた
…では?
スマソ
今日の日課も終わっちゃった・・・。哀
>>562 もう、ゴールは見えている感じです。
>>564 サンクス
>>565 どっちも正解だと思うけど。(間違ってたらスミマセン)でも、「取り憑かれた」のほうが良い感じですね。
>>566 悲しまないでください。
続き書きます。
ふぁいと
え?これもうすぐ終わり終わり終わりなの???
マジかよ…。・゚・(つД`)・゚・。
この編は、じゃないの?
という事はスロ編が始まるっ!!
4巡目に遠藤から白を喰った。ノーサインだった。俺の手はこうなっていた。
四五六GG3478南 □□(ポン)□
ここから手の伸びが止まり、中盤に差し掛かろうとしていたが、焦りは全く無かった。心にゆとりがあった。
西入無しなので、相手に親が廻ることはない。おっさんが1000,2000で捲れる位置にいたが、ドラの三萬は、遠藤がトイツで持っているとサインを受け取っていた。
役牌も中以外は2枚以上見えている。赤無しのルールなので、おっさんはそれなりの手作りをしなければならない。そのことも、俺にゆとりを持たせていた。
10巡目に9ソーを持ってきた。待ちに待った聴牌。当然南を叩き切った。2,5ソーでこの勝負は終了する。
ここまで来たら、サインを読まれる事など気にしていられない。それに、サインを読ませることで相手の手が進むのを妨げることができる。
俺は遠藤に『2,5ソー待ち』のサインを送った。遠藤の返事はこうだった。
『無いっす。持ってきたらすぐ切ります』
同巡、おっさんが、無表情のまま5ソーを4枚晒した。
「カン」
両端の2枚を裏にして、リンシャン牌をツモる。新ドラは7ピンだった。
おっさんは、リンシャンで持ってきた牌を手の中に入れると、六萬を切った。おっさんが聴牌しているかどうかは判断できなかった。
おっさんの動きに、焦る気持ちが心に生じた。祈るような気持ちで、遠藤が2ソーを持ってくることを願った。だが、遠藤が切ったのは三萬だった。
こうなったら自力で。気合と共に牌山からツモる。だが、持ってきたのは3ピン。『通せ!』と心の中で叫び、ツモ切った。
おっさんは動かなかった。おっさんはツモった2ピンを静かに切った。次巡、俺がツモったのは白だった。
おっさんのドラを増やさない為にも、ツモ切るかと考えた瞬間、心の中で「切るな!!」と叫ぶ声が聞こえた。
うほ
アニキ国務氏聴牌きたー
ほ
>>568 サンクス。
>>569,570,571
この勝負が終わったら、とりあえず第一部完です。
しばらく休みます。
>>573 ばれちゃった。
続き書きます。
野生のカン、とでも言うのだろうか?心の中から聞こえた叫び声に、俺は場を見渡した。
場に、4枚切れのヤオチューハイは1種類もなかった。
「兄貴」が、国士をはっている可能性は低いだろう。だが、勝負に絶対は無い。おっさんに通りそうな9ソーを切って、凌ぐ。
はっているかどうかも分からない相手、そんな相手に勝負を避けた。情けないと思う反面、勝つためには格好など気にしていられないという思いもあった。
葛藤しながら、いよいよ終盤に差し掛かった。俺が和れないなら遠藤に、と考えたが、遠藤から聴牌のサインは送られてこない。奴も凌ぐのに必死の様子だ。
終盤に入っても、4枚切れのヤオチューハイは出ていない。息が詰まるような思いがした。
ペットボトルの水はとうに空になっていた。水のお代わりを頼み、やがて運ばれてきたそれを口に含んだ。
水分を補給して、いくらか気分が楽になった。だが、まだピンチは続いている。これほど流局を待ち望んだのは初めてだった。
残り10枚。いよいよ大詰めだ。緊張の為、俺は2本目の水をあっと言う間に飲み干していた。
一人一人の動作がひどく緩慢なものに感じられた。山は確実に短くなっていた。目的の地点まであと少しだった。
おっさんが、おそらく最後のツモになる1ピンをツモ切った。俺はまだ気を抜かずに山からツモる。持ってきたのは安牌の東ソッコーで切った。
「兄貴」がゆっくりと山に触れた。実際は普通の動きだったかもしれないが、俺にはゆっくりした動きに見えた。
「兄貴」は舌打ちをして二萬を切った。「兄貴」がそんな素振りを見せるとは思ってもいなかった。
ハイテイを遠藤がツモり、奴が一瞬笑った、そして、おっさんの安牌、六萬を切った。
「ノーテン」俺はそう言うと牌を伏せた。「兄貴」と遠藤も同じ言葉を吐いて牌を伏せた。
牌を表向きにしているのはおっさんだけだった。
四五六ABCFF33 5555(アンカン)
結局「兄貴」が、はっていたのか否かは俺たちにはわからない。だが、「兄貴」ならはっていても、逆転しなければ意味の無いこの状況で、これ見よがしに役満聴牌を公開するとは思えなかった。
いいねいいね。うまいよ。
おれなら喜んで見せちゃう国司張っていたのに・・って OTZ
578 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/08/27 14:44 ID:rqrPXirc
勝負がついたと同時に別室にいた増田たちが部屋に入ってきた。増田は俺と遠藤の肩に手を置くとこう言った。
「やるじゃねぇか。俺の見込んだとおりだったな」
増田の言葉を聞いて、俺はようやく勝ったと実感できた。そして緊張感から解放され、全身の力が抜けた。
胸のポケットから、セブンスターを一本抜いて火を点けた。今まで最も美味いと感じる一服だった。煙を吸い込みながら、俺はこんなことを考えていた。
『今日、勝負中に味わった緊張感。あれは、気が狂うかと思うほどのものだった。そんな思いをしたのに、またあの緊張感を味わいたいと心が求めている…』
俺は、「兄貴」とおっさんが個人的に組織に勝負を挑んできた、その理由が分かるような気がした。組織の人間を相手に大金を賭ける。二人の感じた緊張感は俺たち以上のモノだっただろう。
『俺もいつか「兄貴」たちのように、自分の金を賭けて大勝負を…』
俺がそんなことを考えていると、増田が声をかけてきた。
「今日はご苦労さん。表に車が用意してある。送るぜ、乗りな」
俺と遠藤は今日の報酬を受け取り、車中の人になっていた。この勝負で負けていたら、駅前で始発電車を待っていたことだろう。車がコンビニの前を通りかかった時、俺は運転手に声をかけた。
「そこのコンビニでちょっと止めて」
運転手は、無言で駐車場に車を止めた。俺はビールを2本購入して車に戻った。遠藤に1本を渡した、奴は不思議そうな顔をしていた。
「祝杯だ。デビュー戦勝利の記念だ、呑めよ。本格的な祝勝会は日を改めてやろうぜ」
俺の言葉に遠藤は頷き、俺たちは乾杯した。車は大宮駅前に向かっていた。
駅前で遠藤が口を開いた。
いつもいい所で止めるなw
「本多さん、1回戦、終わったところで俺の目を覚ましてくれて、ありがとうございました」
「気にすんな。あのままお前が焦ってたら今日の勝負、負けてたからな」
車は、遠藤の住処である、マンションの前で止まった。車から降りる遠藤に声をかけた。
「祝勝会、今日やるか?」
俺の言葉に遠藤は首を横に振った。
「今日から小林を探すっす。祝勝会は、俺が小林に落とし前をつけてからにしてください」
遠藤の目つきからは決意が感じられた。小林を見つけるまでテコでも動かないだろう。俺は奴にこう言った。
「…分かった。邪魔はしない。でも、相手が複数だったらすぐに連絡しろ。約束通り手伝うぜ」
遠藤は頷くと、建物の中に入っていった。車は俺の住処へと向かっていった。
アパートの前で、車は止まった。俺は車を降りると、運転手に礼を言い、アパートのボロイ階段を登った。
鍵を開け、扉を開くと香が待っていた。どうやら、酒も呑まず、眠らずに待っていたようだ。俺の姿を認めると香が飛びついてきた。
「お帰りー。亮ちゃん、勝ったよね、勝ったよね」
香を抱き止めると、俺は彼女の耳元で囁いた。
「勝ったぜ。何しろ俺は……」
「天才だから!」
俺たちは同時に叫び、最高の気分で笑った。
第一部完
今まで拙い文章にお付き合いいただきありがとうございました。
「ごくつぶし」はここで、いったん終了です。
皆様の励まし無しにここまで書くことはできなかったと思います。
励ましのレスをくれた皆様には本当に感謝しています。
ここまで見守ってくれて、ありがとうございました。このスレに栄光あれ。
584 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/08/27 20:35 ID:nWeMzbjz
おつ
常居接人 「終わったぜ。何しろ常居接人 は……」
スレ住人 「天才だから!」
おつ。
>>接タソ
お疲れ様でした。第二部楽しみにしてます。
長い間お疲れさん。
マジで楽しかったよ。
第2部も期待してるからがんばって。
面白かったよ。また頼むよ。
589 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/08/27 23:57 ID:LAJdlX5s
>>常居接人
正直おもろかったです
第2章きたいしてますよー
第1章、乙でした!
590 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/08/28 00:06 ID:imXUPw5k
>常居接人さん
ありがとう!
もう一度最初から読んでみるよ!
また来てね!
おつです!
本当に毎日楽しめました。
充電して是非また戻ってきてねー!
常居さん乙!( ・∀・)っ旦~ドゾー
毎日ここを見るのが楽しみでした。ゆっくり休んでくらはい第二部もたのしみにしてます。
あと誰か作品がある人はどんどん書いちゃってください。我々は暖かく見守ります。ヽ(´ー`)ノ
毎日毎日このスレを見るのが楽しみでした。
本当にありがとう。
また作品がまとまったらよろしくお願いします!!!!
沢山のレスありがとうございます。
第二部は今、構想中です。
その前に、遠藤を主役に番外編を短編でまとめられそうです。
構想がまとまったら書こうと思います。
あと、
>>592さんと同じようなことを俺も考えています。
作品を書きたいと思っている人は、遠慮しないで書いてください。
俺にとってもいい刺激になります。
ここが落ちてしまうと俺も寂しいので、新作待ってます。
いいねいいね!これで終了だったらちょっとせつなかったでつよ・゚・(ノД`)・゚・
第二部期待してます(・∀・)
596 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/08/29 15:18 ID:F/e2ZlZo
ほんま文章がいいですね!緊張感とかがビンビン伝わってきます。
主人公以外の登場人物も、短い文章なのに頭の中にはしっかりイメージが出来あがってます。
常居先生ありがとうございました!
保守
598 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/08/30 10:17 ID:7v8kuGOj
age
599 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/08/30 23:16 ID:garHqD1g
hosyu
保守
執筆者期待sage
常居先生の作品が読めるのはこのスレだけ!
という訳で、次回亮が挑む博打について予想してみる
つ【競馬】
いやいや、やっぱ麻雀でしょ。
604 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/09/01 00:17 ID:xmImJMHC
hosyu
つ【羽物】
606 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/09/01 06:50 ID:ZOV1uUN8
つ【17歩】
つ【ミニロト】
つ【おいちょカバ】
次回は回想編。
つ【コンチ4枚入れ】
回想編。
つ【ブラボーキングダム】
つ【田山プロとの死闘池袋】
タイーホ編。
つ【ナビ太君】
612 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/09/02 22:45 ID:rbvkDfjl
誰か気軽に書いてみてくれない?
出だしは
朝起きたらケンシロウになっていた・・・
コレで!
南斗獄屠拳iteeeeeee!!とか剛掌波痛杉もうだめぽ!とかやって!!
613 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/09/02 22:48 ID:24UvAWwB
ちんぽ
バット「ケーン!見てくれよ、こんなん拾ったぜ。」
ケン「こ、これは・・・サクランボ!?
いくつだ?」
バット「一つッきゃ落ちてなかったんだけどよ、でもよ、何でこんなとこに・・・」
ケン「むぅ、この気配は!?」
ザコ「ヒャハァアアァッ!!ケンシロウ!!
・・・わびゅっ」
サウザー「でかくなったな、小僧!!」
バット「何でこんなところにピラミッドが・・・」
ケン「うわああああぁぁぁぁぁ」
バット「負けてる・・・」
もみもみぷりん
(1)
朝起きたらケンシロウになっていた。
鏡の前で呆然とすること約3分。いかん、開店に遅れてしまう。今日はアツいイベントデー
なのだ。少々のことには構っていられない。そのうち元に戻るかもしれないし。
顔も洗わず家を飛び出すと、通行人による二度見、チラ見の嵐だ。そりゃそうだろう、俺だ
ってケンシロウが普通に小走りしてたら見るし。サインとかもらうし。
幸い「サインくれ」と言ってくる人もおらず、開店直後のホールに到着。スロのフロアであ
る2階への階段を駆け登る。気分は「南斗最後の将」だ。
やべぇ、もう8割方客がついてやがる。とにかく一番近くの台に座るが、両隣りの肩がぶつ
かってしょうがない。ほどなく「うわっ!」という声が上がって、両隣りの奴らは逃げていっ
た。俺が悪かったよ。右の奴はたまに喋ったりする常連だったのに。
ここへ来る道中、ひとつ決めたことがある。何があっても喋らないことだ。ヘタに弁解でも
しようものなら、小何時間ほど問い詰められるか分からないし。さ、集中集中!いつものよう
にコインを投入しレバーを叩くが、あれ!?液晶にケンシロウがいない!すると、ふっと意識
が遠くなって・・・
(2)
気付くと、俺は見覚えのある廃虚のような街を歩いていた。
「ちょ、ここってシンステじゃねぇの!?」歩みを止め、思わずつぶやく俺。なんてこった、
ついにモノホンになっちまったのか?つうことは・・・デーレン!!
「おいおい、置いてかないでくれよ」わぁ、本物のバットだ。サインはいらんけど。
「あのさ」恐る恐る奴に尋ねる。「俺、どこへ行けばいいのかなァ?」
「はぁ?そんなことおいらが知る訳ないだろ?おいらはケンについてくだけなんだから」
「うん、まァ、それは知ってるんだけどさ」
「じゃぁ聞くなよ」・・・なんて生意気なガキなんだ。
「ホラ、とにかく歩こうぜ。ここにつっ立っててもしょうがねぇだろ」
仕方なく歩き始めた俺とバットの前に、ギター音とともに村人が。しかもピンクの服。
「ちょ、今のって2チェ?」取り乱す俺。
「だから、おいらが知る訳ないだろ?落ち着けよ」
もし今がハイモードだったら・・・などと思う間も無くデーレン!!
「ヒャッハー!! こかァ通さねぇぜ」おいおい・・・。
「ケ、ケンシロウ!?ヒィィィィッ!!」おいおいおいおい!あ・・・。
「久しぶりだな、ケンシロウ」キターーーーー、じゃねぇって!やべぇって!
ジャラララジャッチャッチャーーーン!!
「あの、シンさん、ですよね?これには訳がありまして」
「やかましい!ワター!!」あ、なんか手掴めた。「バカな!」
ひょっとして、俺百烈拳とか出せる?
「アータタタタタタ!!」おおっ、イイ感じ。ちょっと声が違うけど。
「ハハハハハ」まァね、そう簡単に当たれば、俺も北斗でひと財産減らしてないし。
「ウアァァァッ!!」あ、獄屠拳だ。俺も飛ばなきゃ!
wwwwwww バシュー wwwwwwww
「いてててて・・・なァバット、さっきのは4チェだったみたいだね」
「うるせぇよこのヘタレ、さっさと歩けよ」
「うん・・・」バットは嫌いだ。
(3)
その後は、北斗を打ったことがある人なら誰もが知ってるようなことが続いた。バットが
空き缶や果物落としたり、リン(ちょっと触ってみた)が出てきて転んだり。
雑魚敵くらいなら軽くあしらえるようにもなったし、レインボー以外のオーラも出せるよ
うになった。アレは結構体力使うが、バットがウザい時は嫌がらせにちょうどいい。
初めてレイに会った時はうれしかった。もちろんサインをもらったが、せっかくのサイン
もろとも切り裂いて、俺を遂にラオステに送り込んだ。
ひとり歩きは気楽でいいが、少しばかり心細くもある。そしてやっぱり、俺はあの男に恐
怖心を抱いているのだ。
そんな俺をあざ笑うかのように、緑とピンクが出るわ出るわ。俺は覚悟を決めた。誠意を
込めて状況を説明しよう。奴だって鬼じゃなし、分かってくれるハズだ。
足跡→崖→黒王ときて、初めてラオウに会った。
「待っていたぞ、ケンシロウ」
「これはこれは拳王様、ご健勝のようで何よりです」
「何をほざいておる。行くぞ、コロシアムはすぐそこだ」
「お待ちください。確かに私はケンシロウそっくりですが、私は彼ではないのです」
「ではうぬは何者なのだ?」
「いや、私は名も無きスロプーでして、とても拳王様の御前に出られるほどの者ではなく」
「ではなぜうぬは儂の前におる?」
「さ、それでございます。今朝ホールへ行きましたら、液晶が」
「液晶とは何だ?うぬはこの儂をからかっておるのか?」
あぁ、こりゃダメだな・・・
(4)
思えば短い人生だった。振り返れば悔いることばっかりだ。とりあえず、リンにはもうち
ょっと触っとけばよかった。しかし、スロプー一匹生きようが死のうが、大勢に影響は無い
だろう。潔く散るのもまた男ってもんだ。開き直った者だけが持ち得る捨て鉢な勇気を胸に、
俺はラオウと対峙した。
「ええと、最初は演舞だったな。こうか?」
我ながら結構決まってる。この勢いで、最初の一発ぐらいは見舞ってやりたいもんだ。
しかし先制はラオウ。まずはパンチで様子見ときやがった。確かこんな感じで避け・・・
「ぐはァッ!」
無理!絶対無理!薄れゆく意識の中、不意に俺は3つ年上の兄貴のことを思い出していた。
あのバカ兄貴にも、ずいぶん殴られたんだよなァ。だいたい長男ってのは親にしか叩かれね
ぇから、限度とか知らねぇんだよ。おやつの分け方も間違ってるし、お袋の金盗んだ時は俺
のせいにしやがったし・・・ふざけやがって・・・兄貴なんぞ嫌いだ!うおぉぉぉぉっ!
俺は立ち上がっていた。それは不思議なパワーだった。もうダメかと思った時も、リンの
声を聞けば再び力が漲った(下半身にも)。
殴り殴られ蹴り蹴られ、とどめにミカンを喰らって俺は意識を失った。
wwwwwww バシュー wwwwwwww
俺は目を醒ました。なんてリアルな夢だったろう。
俺が真の継承者になる前によく見た夢。最近は思い出すことさえなかったのに。
いつものように、バットを起こす前にリンにちょっと触ってみる。今日もイイ感じだ。
「まだ早いじゃねぇか、ケン」
「そう言うな。今日は」
今日こそラオウを、あのバカ兄貴を天に還せそうな気がするんだ。
「今日は、何なの?」眠そうな声でリンが聞く。
「今日は・・・いい天気だぜ」
(終)
ホイコーローさん。面白かったですよ。
新作読めてよかったです。
すごい面白いな。素人とは思えん。
うんこてが面白いことかいてるじゃねーか
625 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/09/03 22:05 ID:I3qpfDGI
age
626 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/09/03 22:11 ID:H9x1Oc6G
面白かった。
最初は何だ?と思ったが…
面白かったでつ(・∀・)イイ!!
628 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/09/05 13:03 ID:xvzCGUKQ
あげ
ポリバケツに入らざるをえない不二子のお話とか読みたい〜
630 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/09/05 22:32 ID:nNUP5bPq
>ほいこーろー
続き(第2部
キボンヌ
まだまだ話伸ばせますね!
うまいなあ。面白かったよ。
おもしろかった!
>「今日は・・・いい天気だぜ」
これはジャギステのことすな。深い。
うほっ、みなさんさんくすです。
>>622 第一部乙でした。俺も麻雀好きなんで面白かったですよ。
>>624 おまい、スロ板歴長いですね。
>>630 この手のネタは長くやると間延びしそうで・・・
>>632 そしてエンディングの青空へ続きますように、という祈りでもあります。
仕事の合間を縫って、また参加させていただきます。
634 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/09/06 10:11 ID:YXmF4k61
hoshu
635 :
age厨 ◆iZUzee/.RE :04/09/06 20:28 ID:uXX43ckW
>>633 不覚にも客がいるところで(・∀・)ニヤニヤしながらよんでしまったp
デビュー戦から3ヶ月が経過していた。その間、数回仕事をこなしたが、安定した結果を残し、俺の評価は高まってきていた。
本業の調子は良かったが、副業である他のギャンブルの調子は今ひとつで、今日もパチヤに3万ほど寄付してきた。
「難しいモンやねぇ。本業が好調だと副業が調子悪いで」
引っ越したばかりの南浦和のマンションで、インチキな関西弁を駆使して、香にそうこぼした。
「いいじゃん。本業が良い感じなんだから、副業は趣味って考えれば。第一、本業が好調じゃないとここの家賃も払えなくなっちゃうよ」
香の言葉に応えて、「そうなんだけど、ほら、俺って天才じゃん。天才が負けるっていうのは、なんか、ほら、かっこ悪いって言うか…」
そこまで言ったところで、電話が鳴った。香が「ワタシ出るね」と言って立ち上がった。
俺は、形の良い香のヒップを眺めながら、次の言葉を考えていた。
「もしもし。本多です。……あっ、いつも亮ちゃんがお世話になってます。…はい。今替わります」
香が電話機を片手に、こっちに近付いてきた。
「亮ちゃん、増田さんだよ」
俺は、香と電話を替わった。
「相変わらずラブラブみたいだな。香ちゃんは良いカミサンになるぜ。早く籍入れちまえよ」
増田はからかうように言った。
「その時は増田さんに仲人お願いしますよ。ところで、からかう為に電話してきたわけじゃないですよね。仕事ですか?」
「そう、仕事だ。詳しい話は直接会って話したいんだ。悪いけど8時ごろ俺のマンションに来てくれ」
「分かりました。8時ごろお伺いします。失礼します」
電話を切ると、香が俺を見て言った。
「お仕事?」
「ああ、結構でかい仕事かもしれない」
でかい仕事を想像して、俺の気持ちは昂ぶっていた。
キ…キ…キ…キタ━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━!!!!
亮復活キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
>>常居接人
復活オメ。また楽しませて頂きます。
>>637,638,639
恥ずかしながら帰ってきました。
書かないと、満たされないような気持ちがして、書き込んでしまいました。
Σd(・∀・ )!!
>常居
復活オメ。つか、舞台設定が俺の地元と近くて妙に
親近感が沸くw 大宮だと思ったら今度は南浦和って…。
だんだん俺の家に近づいて来たYO。
常居さんはこの辺の出身なの?
増田のマンションへ歩を進めながら、俺の昂ぶった気持ちは押さえが効かなかった。
デビュー戦で味わった緊張感、あれに劣らない感覚をまた味わえる。そんな予感が俺の心を支配していた。
増田のマンションに着いたのは7:50頃だった。増田はいつものように、片手を挙げて俺を出迎えた。
「よう、来たな。早速だけど詳しい話をしようか」
応接間に通され、ソファーに腰を下ろす。出入りしている若い衆が、コーヒーを俺たちの前に置いた。それと同時に増田がこう言った。
「仕事の内容なんだが、お前をしばらく代打ちとして貸して欲しいって人がいるんだ。で、その人は、借りる前にお前をテストしたいって言ってるんだ」
「ヒヨッコの俺をわざわざ指名してきたんですか?」
組と関係の深い有力者に、代打ちを貸している事は俺も知っていた。だが、まだこの世界では無名に等しい俺を、貸して欲しいなんて、おかしな話だ。
「クライアントが条件を出してきたんだ。面が割れてなくて、センスのある人間ってな。で、最後まで残ったのはお前と遠藤。協議した結果、お前のほうが向いてるって判断したんだ」
有力者の代打ち。闘う相手も半端ではないはずだ。勝利すれば俺の名前も大いに売れるだろう。そんなことを考え、俺は興奮していた。
「やります。やらせてください」
俺は興奮のあまり即答していた。増田がニヤリと笑い、口を開いた。
「種目は麻雀じゃないぜ、即答してもいいのか?」
「えっ?麻雀じゃないんですか?」
「麻雀だったら佳代に変装させてやらせるよ。種目は決まっていないが、麻雀じゃないことは決まっている。クライアントとの合流方法は決まり次第教える。頑張れよ」
「分かりました。頑張ります」そう応えながら、俺の心は期待と不安で一杯だった。クソッなんでこんなに緊張してるんだ?こんな時こそ「心にゆとり」だろ。
朝の楽しみ復活!!!
わっしょいわっしょい!!
復活キター!
楽しみにしております。
>>642 出身は多摩地区。大宮を舞台にしたのは、競輪場帰りに立ち寄ることが多く、
この話の舞台に、良い雰囲気だったので使いました。
>>644,645
期待に沿えるように頑張ります。
増田のマンションを出たのはPM9:30ごろだった。種目が分からないのが不安だったが、今から心配していてもしょうがない。
頭を冷やすためにも、気分転換が必要な気がした。俺は歩きながらケイタイを取り出し、香に電話をかけた。
「亮ちゃん、お仕事の話は終わったの?」
「ああ、今日は終わった。詳しいことは後で連絡をくれるらしい。それよりも駅前まで出て来いよ。呑もうぜ」
「分かった。外で呑むの久しぶりだね」
駅前で合流した俺たちは、居酒屋の客になった。とりあえず頼んだビールを呑みながら、俺たちはくだらないことを話し、楽しんでいた。香がカルピスサワーを頼んだ後、話題を変えた。
「今度はどんな仕事なの?」
「なんか、俺を貸し出すらしいんだ。ひょっとしたら何日か家を開けるかも」
「外泊するの?遠くに行くんだったらワタシも行きたい。ね、いいでしょ」
「無茶言うなよ。仕事なんだから。第一、増田さんが許すわけねぇだろ」
俺がそう言うと、香は頬を膨らませた。だが、すぐに何か思いついたらしく、笑顔で口を開いた。
「じゃぁ、増田さんが良いって言ったら連れてってくれる?」
「いいぜ、でもそんなこと許可しないと思うぜ」
「ワタシが頼めば大丈夫よ。増田さんワタシのファンだもん」
この話はここで終わり、充分に呑んだ俺たちはじゃれあいながら住処に戻った。そのまま勢いで2回ヤッタ。
翌日は戸田に出勤。日当は5万円ほど出た。久しぶりに良い気分で帰ると増田から電話がかかってきた。
「場所が決まったぜ。小田原だ。1週間後の午後1時、小田原のキャンパスっていうサテンに行ってくれ。増田の紹介って言えば分かるようにしてある。地図は後でFAXする」
「分かりました。…増田さん、香が、増田さんに話したいことがあるみたいなんですけど、良いですか?」
「香ちゃんが?いいよ、替わりな」受話器越しにも、増田が不思議そうな顔をしているのが分かった。俺は受話器を香に渡した。
おつです!!
俺にも電話代わってくれよ!!
649 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/09/09 18:55 ID:BnGVtQkD
ホイコーロもっと書いて
いいよーいいよー
「増田さん。今度のお仕事、長くなりそうって亮ちゃんから聞きました。心配だからワタシも一緒に行っていいですか?」
香の要求はストレートだった。海千山千の増田には効果的な手段と思えるが、今回ばかりは通用しないだろう。
どこの世界に、女連れで仕事に行く代打ちがいるんだ。香の表情は一瞬曇ったが、次第に明るくなっていった。
「はい、…はい。……ホントですか。ハイそうゆうことにします。亮ちゃん。増田さんが替わってって」
香はキュートな笑顔で、俺に受話器を返した。表情から察するに、上手くいった様だった。
「増田さん。許可したんですか?良いんですか?」
「許可なんかしてねぇよ。ただ、お前の出張中、香ちゃんが旅行するのは自由だって言っただけだよ」
それは許可と一緒じゃないっすか。と、遠藤の真似をしそうになったが、それを飲み込み、別の言葉を口にした。
「俺としてはありがたいですけど。クライアントからクレームがつきませんか?」
「大丈夫だよ。女連れて来たくらいで何か言うような人じゃないから。嬉しいだろ、香ちゃんと旅行ができるんだから。でもよ、仕事は真面目にやれよ」
増田の言うとおり、香と旅行できるのは嬉しかった。代打ちになって以来、まとまった休暇など取れずにいた。仕事以外のときは、香と楽しんで心にゆとりを持とう。と考えた。
「ありがとうございます。でも、テスト落ちるかもしれないんで、約束の日の前に小田原に入って、楽しんでおきます」
「テストは合格してくれよ。ウチにとって大事なお客さんなんだから」
「頑張ります。失礼します」
受話器を置くと、香は相変わらずキュートな表情で言った。
「やっぱり増田さんは話のわかる人だね。楽しみー、小田原ってなにが有名なの?」
俺は小田原に競輪以外で行ったことは無い。他には笹かまぼこくらいしか思いつかなかった。
「笹かまぼこ…かな?あと、競輪場の近くに小田原城があるよ」アホみたいな答えだったが、香は気にした様子も無く、「楽しみー」とはしゃいでいた。
3日後、俺たちは、小田原駅に降り立った。時間はAM11:30。今日は小田原競輪が開催している。俺は迷うことなく、競輪場へ香を案内した。
なにっ!!今度は競輪編かっ?!
がんばってぇぇぇぇぇ!!
最終日だったが、A級戦であることも手伝って、小田原競輪場は閑散としていた。見渡してみても、若い客は俺たちだけだった。
入り口の前で購入した小田競に、ざっと目を通す。堅そうなレースが2つあるが、その2つは当っても低配当確実だった。
俺が注目したのは第7レース。5番Mと7番Nがもめそうな雰囲気だった。ちなみにMは埼玉の選手。Nは神奈川の選手だ。
この二人が最近一緒に走ったのは1ヶ月前、大宮の決勝戦、俺はその現場にいた。その時はMが先行一本の若手Sの番手で本命だった。
大宮では、千葉勢が2人居たが、Nは南関の3番手を拒否。コメントでも地元相手だがS君の番手勝負。と強気なことを言い、顔見せでもMの横に張り付いていた。
レースでは最初からガンガンやりあって、そのためSは先行できず、捲り発進した瞬間、NがMをインに弾いて番手をモノにした。優勝は最後に捲り追い込みに出たNが獲得した。
今日のレースでは二人の立場が逆になっていた。小田原はNの地元で、先行選手の番手につける。
一方、Mは群馬コンビの3番手につけるのが普通だが、コメントは大宮での借りを返す。とNに喧嘩を売っていた。俺の狙いは競が長引いての伏兵の台頭だ。
北日本トリオのウマは3番のK、忘れた頃の捲り一発屋。北日本ラインの前売りオッズは俺の目論み通り高かった。だが、ここではまだ買わない。競輪のオッズは中央競馬とは違い、簡単に上下する。
「亮ちゃん、買わないの?」
香の声に、俺は自分が新聞片手に、固まっているのに気付いた。競輪の展開予想は、忘我の境地へと引き込む。この辺りが公営ギャンブルの終着駅と呼ばれるゆえんかもしれない。
「狙い目は7レース。それまでは買わない。香はどうする?」
「うーん、どーしよーかなー。このレース買おっかな、4番と6番が友達と同じ苗字なんだけど亮ちゃんはどう思う、来るかな?」
このレース、4番は南関の3番手、6番は一応自力型だが、マークする選手はいない。ラインの切れ目からの単騎勝負。大量落車でも無ければ来るとは思えない。
「4−6、6−4か。来たら十マンシュウだぜ」
「十マンシュウって10万円以上?ホント?スゴイ、亮ちゃん買い方教えて」
香は無邪気に喜び、もう当ったような気分になっている様子だった。俺は苦笑しながら買い方を説明した。
香はマークシートを塗りつぶし、4−6、6−4を100円ずつ購入した。俺たちは、2コーナー付近の最上段からレースを観戦することにした。
出店で買ったイカフライを喰いながら、まったりとした気分でレースを眺めていた。
「鐘が鳴ったらみんな動くんだよね」
誘導員を先頭に、一列棒状に並ぶのを見て、香が言った。俺は頷き、イカフライを飲み込んだ。
ジャンが打ち鳴らされ、誘導員が引いた。直前に7番手から上昇してきた1番が先行。6番手に居た6番が切り替えて、1番のラインを追走。4番手から捲りを狙う構えだ。
前受けの南関勢は引いて、即、捲りに出る。南関の先頭、9番はしばらく1番と並走し粘っていたが、失速。南関勢の後ろに居た、7番、3番の栃茨コンビが捲って出た。
7番の捲りが綺麗に決まり、そのまま、7−3で決まった。払戻金は530円。波乱は起こらなかった。
「これはずれなの?」
車券を俺に見せながら、香が俺に尋ねた。
「ああ、でも夢を見れたんだからいいだろ。100円が10万以上になるなんてなかなか無いよ」
「それもそうだね。次は3連単っていうの買ってみようかな」
『この手のギャンブルは、こんな楽しみ方もアリかな』
それなりに楽しんでいる様子の香を見て、俺はそんなことを考えていた。100円玉1枚で楽しむのも結構いいかもしれない。
その後も、香はテキトーに数字を決めて、1000倍以上のところを買っていた。だが、それが簡単に来る筈も無く、外し続けた。
そして、いよいよ、俺が勝負レースと決めた7レースの選手紹介が始まった。地乗りでは、MがNの横に張り付いていた。競りは確定的になった。
俺の目論見通り、北日本勢は人気薄。勝負をかける時が来た。
競輪のことは分からんぜ
絶不調のため、しばらく休みます。
失敗作書いてしまって、済みません。
多分書き直すことになります。
期待してくださった皆様には申し訳ありませんでした。
気にしないでいいと思うが
660 :
1:04/09/13 00:31:43 ID:DlC2FX8o
まぁゆるりと充電してください
誰か書いてー
執筆者期待サゲ
誰か僕に楽しみを与えてっ!!
>>658 群集博打を題材にするのって難しそうですね。
復帰を心待ちにしております。
>>659,661
同意です。
では、エースの復活までヒマ潰しの駄文でも。
(1)
今日は俺が一ヶ月の中で一番イヤな日だ。
重い足を引きずるように会議室へ向かう。都合良く地震でも起きてくれないものか。
程なくすべてのメンバーが揃った。いつもは温厚な部長も、今日ばかりは終日、苦虫を噛み潰した
ような顔で過ごす。そしてこの日だけ、「次!」というひと言が口癖になるのだ。
「ではこれより、9月の企画会議を始めます」
「はい!はい!まずは私から提案させてください!」
田中だ。カブっては大変とばかりに真っ先に発言したがるが、誰の提案がこのバカとカブるものか。
「やはりですね、時代はタイアップだと思うんですよ」
先月と同じこと言ってやがる。部長も(またか・・・)という表情だ。
「で、先月はガンダムのリメイクをご提案致しましたが、今回はゼータガンダムを」
このガンヲタめ。
「ゼータ?それはちょっと違うんじゃないかなぁ」と小林。「自分のことはハヤトと呼んでくれ」と
公言してはばからないファースト信者だ。
「小林君、ゲームセンターへ行ってみたまえ。今は『エウーゴ vs ティターンズ』の時代じゃないか」
田中の応酬にしては上出来だったが、これが小林のファースト魂に火をつけたようだ。
「部長、田中さんはオールドタイプです!」
「小林、田中、頼むから私に分かる言葉で発言してくれ」
「だから、通常の3倍の速さで売れるんですって!」
「悲しいけど、これって会議なのよね」
「次」
「平社員発言薄いよ!何やってんの!」
「これで売れねば、貴様は無能だ」
「次!」
紛糾する会議がようやく落ち着いたのは、ガンダムシリーズからマクロス、ザブングル、ボトムズと
話が横滑りし「イデオンってなんであんなにデカいの?」という話題の途中で昼休みのチャイムを聞い
てからだった。たっぷり2時間、ヲタの無駄話で潰れたことになる。しかも会議はまだ続くのだ。
全員が昼食に出かけ無人となった会議室で、俺はテーブルにつっ伏していた。
できればこのまま消しゴムになりたいと思った。
(2)
「次は私から提案させていただきます」
飯村が言う。こいつの話は田中ほどひどくはないが、やはり採用された試しはない。ふた言目には「
新機軸」という言葉を使いたがる男で、AT、RT機全盛の頃に『突入率最高のAT機』なる台を提案したが、
『メイン小役の払い出し枚数は4枚』と真顔で言い切ったため、その日から『ケチ村』と呼ばれている。
「本日ご提案致します『新機軸』ですが」
「飯村」
おもむろに部長が遮る。
「その新機軸というのが、リールが横に回る、ましてや斜めに回る、リール自体が液晶だ、いや、むしろ
フィーバークイーンの流用だ、ステッピンモーターマンセー、いやいや禁断の5コマスベリ、すべてのヒ
ットのカギはスーパージャックポットにあり云々以外のことなら発言したまえ」
言わんとしていたことをすべて先取りされ、無言のまま座り込むケチ村。会議室に重苦しい空気が澱む。
「次、田代」
チビデブハゲヲタの田代が、携帯をいじくりながら薄笑いを浮かべて
「美麗HGV」とひと言つぶやいた。
なぜコイツはクビにならないのか?部長の顔が怒りで真っ赤に染まるのをぼんやり眺めながら、俺はこ
の会社を辞める決意を固めつつあった。
(3)
「このままではラチが開かん」
腕時計に目をやり、うめくように部長が言う。
「仕方がない。私からお題を出すから、それに沿ったアイディアを出してみたまえ」
これは新展開だ。部長も部長なりに考えてきたのだろう。一同、緊張の面持ちで彼を見つめる。
「お題は・・・そうだな、『○○という名の××』なんてどうだ?」
まともに見える部長も、すでに部下のバカ菌に汚染されていた。残念。
「それは例えばこういうことでしょうかね?」また田中だ。しかもノリノリだ。
「ケンシロウという名の競歩選手、みたいな」
「あぁ、なるほどね」小林がしきりにうなずきながら乗っかる。
「じゃぁ、アミバという名のムーンウォーカー」
「お、きれいきれい!」違う、何かまるっきり間違ってる。
「ジャギという名のクレー射撃・北京オリンピック代表」
「言い得て妙だね。バットという名のフルーツパーラーとかね」
「それは直球すぎるなぁ。トキという名のニュータイプ」
「もうガンダムから離れろって。信長という名の平和主義者」
「戦しろよ!飛雄馬という名のバッティングピッチャー」
「待て待て!おまえら、そんな台打ちたいか?」
自らの過ちに気付いた部長が割って入るが、時すでに遅し。
「どんちゃんという名の自爆テロリスト」
「ほぅ、時事ネタがらみか。やるねぇ」
「朝岡美嶺という名の美麗HGV」
「ハハハハハ、田代は美麗から離れろって!」
「しかも朝岡美嶺なんてきょうび誰も知らんだろ」
「おや?部長はご存じなんですか?」
「あ、イヤ・・・」
「そうかぁ、部長は当時そっち系でしたかぁ」
もう滅茶苦茶だ。しかし俺は、自分がかすかに笑っていることに気付いた。人を楽しませるモノとは、
こういう空気の中から生まれてくるのかもしれない。まァ、俺が作りたいモノとは違うけれど。
「おい伊藤、笑ってないで、お前も何か言えよ」
まるで照れ隠しのように、部長が俺に振ってきた。
(4)
新しいモノは注目を集めるだろう。しかし、それが良いモノだとは限らない。逆に、例え古くても、変
わらぬ価値を持つモノだってあるはずだ。そう、それが俺にとっては・・・
「私は、ですねぇ、AT、RT、ST無し、DDT効きまくり、ハズシ効果大、演出控えめリーチ目満載。純A-
400の復権を」
「伊藤、おまえまだそんなことを考えてるのか」出鼻を挫く部長の声。
「伊藤君は古いっつーか、頭がカタいね」くっ、田中のくせに・・・
「これは新しいモノを作ろうという企画会議なんだから、柔軟な発想をしてくれないと困るんだ。はっき
り言うが、君の意見は企画部全員の中で最低だよ」
田中や田代の下かよ・・・
「明日から君は、田代のアシスタントをやりたまえ」
「・・・はぁ」
「それから、今日の会議の議事録も作成しておくように」
「・・・」まったく要らんだろ。
「さて、そろそろ時間だし、今月はこのへんで終わりにしようか」
会議室に安堵の雰囲気が漂う。
「お疲れ様でした〜」
「お疲れっす〜」
「おい、たまには揃って一杯やるか」
「お、部長の奢りですか〜?」
ガヤガヤと出ていく、かつての上司と同僚たち。俺は今、この会社を辞めることを決意した。
誰が何と言おうと、俺は純A-400が作りたいんだ。
(5)
「伊藤君」
椅子に座ってうなだれたままの俺に、田代が声をかけてくる。
「明日からよろしく頼むよ」
「はぁ・・・」お生憎様だが、お前のアシなんて絶対お断りだ。
「君は入ってまだ2年にもならん新米だろ。ここらで先輩方の手伝いでもしながら、自分が作りたい台の
構想をじっくり練るのもいい経験になるはずだよ」
お前の下でなけりゃぁな。
「純A-400だって悪くはない。でも、今じゃないんだ。ヒットってのは流行を追い掛けてもダメ。流行
が自分に追い付いてくるのを待つのがいいのさ。つまりはタイミングなんだよ」
美麗の時代が来るとは思えないが、田代のくせにいい事言うもんだ。いや、今日からは田代さんと呼ぶ
べきか。
先程の悲壮な決意はどこへやら。俺はもう少しここで修行してみる気になっていた。
「お〜い、チーム美麗!何やってんだぁ?」
「早く来ないと置いてくぞ〜」
ちょっと恥ずかしいチーム名に苦笑する俺に、田代さんが言う。
「とりあえず明日からは資料集めだな。伊藤君、ここらの本屋、古書店をまわって、熱烈投稿とデラべっ
ぴんとURECCOのバックナンバーを買い漁ってきてくれたまえ」
「・・・はぁ」
う〜ん、やっぱ辞めようかなァ・・・
(終)
何かよく分からんかったが面白かったです。
美麗HGVに爆笑w
673 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/09/15 01:33:51 ID:V2cmphLj
____
/∵∴∵∴\
/∵∴∵∴∵∴\
/∵∴∴,(・)(・)∴|
|∵∵/ ○ \|
|∵ / 三 | 三 | / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|∵ | __|__ | < うるせー馬鹿!
\| \_/ / \_____
\____/
>>671 スロに関係ない話でスマソでした
>>672 さんくすです。ちょっと打ってみたいですよね?
>>673 「言われなくたって!」
>>674 「えぇい、ホイコーローはいい!常居を映せ!常居の新作を!」
って言わないでね。
なかなか乙でした!
俺は中学まではまったくと言っていいほどパチスロなんて知らなかった。
パチンコはしっていたけど、
スロットなんてゲーセンのようなものしか知らなかった
スポーツ少年で、サッカー部だった。
高校入ってから、だんだんとだらけた生活を送るようになる。
学校もほとんど行かず、彼女がいるから学校え行くようなもので、
多分彼女がいなかったらソッコ−やめてたと思う。
初めてパチスロ打ったのが、「パチスロはくえる!」と
友達から聞いたからだ。
当時俺はバイクがほしくて、バイトばっかりしていた。
ギャンブルで稼げるなんて考えてもいなかったが、
友達はスロットで月20万かせいでいて、
「俺もやってみようかな」
と思い、正直胡散臭さを感じつつも、友達に頼んでスロットをいっしょに打たせてもらった。
初めて打ったのは「クランキーコンドル」
始めはスッゲーうるさくて、何がなんだか覚えていなかったけど、カナリの高額な金を
手に入れた事は確か(5万くらい?)
初めて行ったときでそれだったから、もうバイトなんてバカらしくてやっていけず、
学校もサボり、ひたすら情報収集に励んだ。
当時クランコは全盛期で、ほんとに人気だった。
俺は初心者ながら、必死にクランコを打って、
リプレイはずしが出来るようになったのは本当に嬉しかった。
でも、パチスロを始めてから、周りが変わった。
つるんでる仲間も減っていき、いつしか浮いた存在になった。
それが自然だとは思うが、正直辛かった。
高3になって、周りが就職や進学に一生懸命になり始めたとき、自分にこの先の進路が決まってないことで、
あせりを感じた。 高3の夏に、俺は両親と大喧嘩した。俺がいつまでも進路を決めず、
ダラダラした生活を送るから。俺は正直答えを先延ばしにして、パチスロの収入で自分を
ごまかしていたんだと思うけど。
おれはそのとき、パチスロで食っていこうと決めた。ほんとに追い出されるかと思ったけど、
パチスロが好きでしょうがない。仕方なく親も高校の間は家に置くが、卒業したら出て行けという
話になったのだ。
それからは仕事のようにパチスロに没頭した。そん時は確かタコスロを打っていたと思う。
ただ、ココで俺の人生を左右する事件が起こった。
「スロットなんかしてないで、就職してよ!」
高3の冬、彼女とついに衝突した。
それまでもパチスロをすることで、だんだんと溝が出来ていってた。
彼女は働いて稼ぐ俺じゃないと、親に紹介も出来ないし、やっぱり彼氏がどの大学行くかとか、
どんな仕事するかの話題でつらいらしいのだ。
一度だけ彼女の約束をすっぽかしてしまったことがある。
付き合って2年目かの記念日だったと思うんだけど、あろうことか俺はタコスロを打っていたのだ。
(たしかイベントだったと思う)
ここで修羅場となるんだけど、その日の夕方5時ごろ、のんきにたこちゅーテーブルで
ホクホクしてた俺の目の前に、顔を真っ赤にした彼女が参上
俺は一瞬固まってしまったが、すぐに体は動いた。
というか、ひっぱたかれていすから転げ落ちた(女に吹っ飛ばされてしまったのだ)
彼女はなみだ目で「サイテー」とだけいって、その場を後にした。
俺はそのとき終わったと確信した。ほんとに傷ついた。
好きなことに打ち込んでいるに、どうしてこうなってしまうんだろう。
そのときすでに学校には俺に友達はいなく、皆敬遠していたので、実質
一人になってしまったときでもある。
(なぜか千円に対する価値観の違いで、友達は皆ウザがって去っていってしまっていた)
すきなパチスロにのめりこむほど、自分の居場所が分からなくなる。
俺は学校はめったに行かず、ぎりぎりの単位で卒業した。
それから、すぐに俺の(セミ)プロ生活が始まる。
最初はビビッて安いアパートにした。初めての引越しはすごく大変だった。
でも何より一番大変だったことが、保証人。親父に土下座して、月の収支表で
納得させて、両親に金まで出して、やっと自立できたのだ。
そのときの貯金は、確か引越しした後で家具がそろった時点で150万ちょいだったと思う。
それから花火がはやり始め、俺は自分との戦いになった。
そのころはほんとにビビッてパチスロを打っていた。
親にいかに甘えていたかが良く分かった。負ければ貯金が減り、勝ちを続けていく。
高校のころはほんとに楽だったけど、それがほんとに難しく感じた。
同じホールで同じ機種で勝ち続ければ、店員に怪しまれ、かといって店をはしごしていたのでは
対応できなくなる。高設定を探し、終日打つことが必須だったが、そのころはほんとに
パチスロがはやってて、皆目をぎらつかせるもんだから、やりづらい。
はじめの月は爆死した。今でも覚えている、−8万。
俺は自分のふがいなさでいっぱいだった。月でマイナスになったのが初めてで、
それが自立して最初の月だったから。
あれだけ息巻いておきながら、勝つことさえ出来ない。しかも一人暮らしの適度な水道の
使い方も知らんもんだから、(後に明細で知ったんだけど)最初の一ヶ月が一番水道代も電気代もやばかった。
俺は自分に自身が無くなった。でも、誰も助けてくれない。
今思うと、パチスロで生活することの辛さを思い知ったときでもある。
でも負けず嫌いの俺は、一からスロットの勝ちを体に覚えさせるため、
とにかく確率に身を任せ耐えた。勝てる機種のタコスロで粘り、店の情報収集。
何より体を大切にする(一度大熱を出して3日家から出れなかったときがある)
そうして、二ヶ月は大きな勝ちをつかむことが出来た。
ほんとに嬉しかった。いまあのころの収支表を見ると、今でも嬉しい気持ちになる。
プロとしての生活が身についてきた俺は、さまざまな機種に
手を出すようになっていたのだが、そのときであったのがニューパルサー。
だいぶ遅いんだけど、俺はずっとニューパルを敬遠していたのだ。
というより、俺はカエルがだいっきらいなのだ。それだけの理由。
だが、打ち始めて、なぜもっと早く出会っていなかったのかと後悔した。
ニューパルはホント面白い。今でもリバイバル機種が出ているけど、初代ニューパルは
最高だった。しかも、この機種を通して彼女まで出来てしまったんだから、もう最高。
ほど無くして俺は自称ニューパルマスターとなる(笑)
彼女は学生だったんだけど、ニューパルがきっかけで知り合い、付き合った。
結構かわいい子で、俺がスロプロって言うことにも何にもいわなかった。
思えばそのころがプロでの最高に楽しい時期だったと思う。
車の免許も取り、順風満帆だった。
だけどプロ生活を脅かす事件がおきた。当時ルパンを打っていた俺は、
(俺は根っからのルパン好き)ちょっと怪しいけど、あの機種で常勝していたのだ。
ただ、それがやばかった。店の人に目をつけられ、いちゃもんをつけられたのだ。
毎日続く嫌がらせに、俺は頭きてついに切れてしまったのだ。
それが原因で、初の出禁を食らってしまったのだ。
ほんとにまずった。しかも俺の地域のパチ屋は、近所はつながっていて、一つの店で
出禁になると、2,3件は出入り禁止になってしまうのだ。
結局、引っ越すことになるのだが、それがまた面倒で面倒で。
スロプロなんてただのプーだから、引越し先を見つけるのが大変。
結局俺は引越し費用に(色々な交通費含め)50万近く使ってしまったのだ。
貯金は問題なかったが、やっぱり辛かった。
しかも彼女との間に大きな事件までもが起こる。
彼女が浮気した。
それだけの理由なんだけど、別れた。
「あなたはスロットしか見ていない。」
「いつもスロットばっかりで、ほんとに私の事考えてくれてるのか、急に怖くなった」
くらいしか覚えてないけど、別れのやり取りはそんな感じ。
最初のときとおんなじだ。どうしてスロットにのめりこめばのめりこむほど、彼女との間に溝が出来るんだろう。
好きなことに熱中しているだけなのに。
自分がふがいない。あの時と何も変わっていないから。
>>687 空気嫁。
せめて全部書き終えてからにしる!
>>688 お前はバカか?
これは小説じゃなくて>687のスレの>1の人生だぞ?
その>1の了承もなしに勝手に自分が書いた小説みたいにレスしてる
>>677-686が悪いだろ。
690 :
1:04/09/16 23:17:22 ID:Zq4Wi+bp
そこで彼の出番が!!
>>690 同意。
気になって一日一回覗いてしまう。
他の作家さんの作品も読んでみたい。
>>691 同意。楽しみが減った・・・。
リャンペーコーを両面で待ってるのに
必ず逆目がくる感じ。
693 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/09/17 12:16:49 ID:2BsVj4vY
>>692 お前なんかまだマシだ
俺なんてチートイツだと思ってたら全然違ったとかそういう感じだ
四四四四六六六六AAAA33
チートイツだと思ったら(ry
その日は、何もしたくない気分だった。2週間前に本業を終え、その後は他のギャンブルをやりまくっていた。
3ヶ月前のデビュー戦後、俺たちはすぐに南浦和のマンションに引っ越した。本当は都内が良かったのだが、増田の組が埼玉にあることを考えると、どうしても埼玉県内から動けなかった。
「ねー、亮ちゃん。どっか遊び行こうよ」
さっきから香が俺を揺さぶっている。俺は起き上がりこぼしのように、それに身を任せていた。
「そんなこと言ったって、昨日とおととい、西武園に連れてったじゃん」
「なにいってんのよ。競輪場じゃない」
「西武園のソフトクリーム美味かっただろ。香も結構気に入ってたじゃん」
「それとこれとは話が別。西武園行くんなら、競輪場の隣に連れてってよ」
香が不機嫌そうな表情を浮かべ始めた。香と暮らし始めて4ヶ月ほどになるが、普段はめったに自己主張するような女じゃない。だが、一度自己主張が始まるとダダっ子より性質が悪い。
香の勢いに、観念しかけた時、俺のケイタイが「ラストキッス」を奏でた。相手は神山だった。
「あっ、電話だ。ちょっとゴメン。もしもし、神山さんどうしたの?」
「急に連絡して申し訳ありません。本多さんにお願いしたいことがありまして。本日お時間いただけますか?」
俺は「いいよ」と即答しそうになったが、香の表情を見て、考え直した。今日こそはどこか香の楽しめる場所に連れて行かないと恐ろしいことになる気がした。
「ごめん、今日はちょっと都合悪いんだ。明日でいいかな?」
「話を聞いていただけますか。ありがとうございます。それでは、明日、本多さんの都合のいい時間に店までご足労願えますか」
神山の口調は、相変わらず落ち着いたものだったが、どこか緊急事態を感じさせるモノがあった。電話を切ると、俺は香の正面を向いて言った。
「分かったよ。今日はギャンブルはしない。香の行きたいとこ、どこでも行くよ」
うひょー待ってたよ
どうも、常居です。前の失敗の原因は、香を前面に出そうとして頓挫しました。
書いてるうちに、オナニーになってしまうと自覚した為、打ち切りました。
今回は書き上げる覚悟なので、よろしくお願いします。
リャンペーコー キタ━━━(゚∀゚)━━━ !!!!!
待ってたぜ!!!
東東南南西西北北□□發發中 中←
>>695 キタ━━━(゚∀゚)━━━ !!!!!
一一一二三四五六六七八九九 四
コネー━━━(゚∀゚)━━━ !!!!!
(リアルタイムで神との遭遇)来たか。
池袋に着いた俺たちは、あちこちを見て回った。歩いている途中、ペットショップの店頭で香の足が止まった。
「可愛い。ねぇ亮ちゃん、ワンちゃん飼いたいね」
香の視線の先には豆柴の子犬が映っていた。俺も犬は好きだが、相手は生き物、本業や副業であちこち歩き回る俺と、あらゆることに、いい加減な香がきちんと世話をするのは難しいと思えた。
「飼っても良いけど、ちゃんと世話できる?相手は生き物なんだから。もう少し考えてからのほうがいいよ」
「そうだよね、…バイバイ、ワンちゃん」
ガラス越しに、子犬は淋しそうな眼でこっちを見ていた。そんな眼で見ないでくれ、お前を連れて帰りたくなるじゃないか。
この日は、池袋で飲んだ後、家路についた。翌朝は8時に目を覚まし、昨日のデートで機嫌を直した香と馬鹿話をしながら3時ごろまで家で過ごした。
「じゃぁ、ちょっと神山さんのとこに行ってくるよ」
「いってらっしゃい。早く帰ってきてね」
香の言葉を背に、タクシーで神山の店に向かった。インターホン越しに「本多だけど」と言うとオートロックが解除され、俺はマンションの中に入った。
部屋の中では、神山と、神山に良く似た男が、深刻な顔で俺を出迎えた。
「本多さん、ご足労いただきありがとうございます」
「神山さん、話って?それとその人は?」
俺の質問に、神山を制して男が応えた。
「はじめまして。神山康二郎の兄で神山康と申します。本多さん私を助けてください」
神山康と名乗った男は、いきなり土下座をした。突然のことに俺は面食らった。
「ちょ、ちょっといきなりなにしてるんですか?頭上げてくださいよ。それから詳しい話を…」
康を抱き起こしながら、神山が口を開いた。
「兄さん、いきなりそんなことされたら本多さんも困りますよ。さぁ、立って」
康を立たせると神山が言葉を続けた。
703 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/09/19 16:43:29 ID:Da6YqBXe
職人募集あげ!
「本多さん、単刀直入に言います。兄は2週間後、麻雀で自分の土地を賭けさせられるんです。そこで、その勝負、本多さんに代打ちになっていただきたいんです」
「何で俺なの?神山さんでも良いんじゃないの?」
神山も相当な打ち手、俺は疑問に感じたことを、直球で神山に投げ返した。神山はクールな雰囲気で応えた。
「私の手におえる相手じゃありません。お願いできるのは、本多さんの他に思い浮かばなかったんです」
神山ほどの打ち手が手におえない相手。心の中で食指が動く。だが、即答はできない。クリアしないといけないハードルがいくつかある。
「ちょっと待って。神山さん、俺は増田組の構成員なんだ。増田さんの許可は取ったのか?」
俺の言葉に神山はうつむいて応えた。
「いえ…それはまだです。増田さんに内緒というわけにはいきませんか」
「…無理だよ。余暇に、他のギャンブルをする、っていうのとはちょっと違うんだ。ばれたら落とし前&首だよ」
「分かりました。まずは増田さんに話を通します」
神山の言葉に「そうしてよ。増田さんの返事をもらってからにしてよ」と応え、店を出ようとした俺を神山が引き止める。
「今、今すぐ増田さんに連絡します。しばらくここにいてください」
神山は受話器を手に、増田に電話をかけた。話が長引くことが予想されたので俺は適当な場所に腰を下ろした。俺は暇つぶしに意気消沈している神山康に声をかけた
「お兄さん。土地を賭けて勝負なんて話が大きいですね。良かったらいきさつを教えてくださいよ」
康は俺の質問に戸惑っているように見えた。だが、やがて決意したようで、口を開き始めた。
「…くだらない話ですが、聞いていただけますか。私は川越の駅前で、バーを経営しているんです。今度、駅前にできる新しいビルの計画に、私の店が引っかかったんです」
「よくある話ですね、で、土地を売るのを断ったんですね」
「そうです。断り続けて1月が経った頃から店にチンピラが出入りするようになりました…」
「で、店の雰囲気が悪くなって、常連が少しずつ減っていった。そんな感じですか?」
康は「はい」と力の無い声で言った。俺はこの勝負への熱が引いていくのを感じた。はっきり言って「知ったこっちゃねぇ」と言う心境だった、康の次の言葉を聞くまでは。
次の言葉なんだー?
ああああああああ!
もう最高
707 :
常居接人 ◆uBn9oxeVFg :04/09/20 18:44:03 ID:3/K6StZ9
>>705 そんなに重い言葉じゃないです。
続き書きます。
皆さんにお聞きします。
北斗の設定5ってわかってて打った事あります???
どうでした??
普通に勝てる勝率はどれぐらいですか??
教えてください。
あれ、パソコン買い換えたら、トリップ変わってしまいました。
なんでだろ?間違えたかな。誰か教えてください。
おまけに「sage」忘れた。気を取り直して続き書きます。
興味を失った俺の表情を見て、康はあわてた様子で報酬のことを口にした。
「本多さん、康二郎にこういった場合お礼の相場は100万ほどと聞きました。今回、私のほうでは500万用意しました。金で釣るようで失礼とは存じますが、これでご了承いただけませんか?」
「ごく」俺は思わずつばを飲み込んだ。はっきりいって破格の条件だ。康は現金で500用意していた。目の前に札束が置かれた。
現金を目の前にして、俺の心にゆとりはなかった。条件反射で頷きそうになった。そこへ、電話を終えた神山(弟)が近づいてきた。
「本多さん、増田さんが換わって欲しいそうです」
神山(弟)の言葉にわれに返った。電話を換わると、受話器越しにも増田の機嫌がいいことが分かった。
「もしもし。本多です」
「本多、このバイトやっていいぞ」
「いいんですか?組のほうにはメリットが無いじゃないですか」
「メリットならあるぜ。今日から2週間、お前を140万で神山に貸した。気にしないでがんばれよ、ハハハ」
なんて腹黒いおっさんだ。俺の意思など関係なくレンタル契約を決めてしまったようだ。もうこうなったら俺に選択の余地は無い。この仕事絶対に成功させて、500万を手に入れてやる。
電話を切って、まだ気になることがあった。神山(弟)がなんでこれほど必死なのかが腑に落ちなかった。
「神山さん、お兄さんがピンチなのは分かるけど、何でそんなに必死なの?」
俺の言葉に神山(弟)はこう言った。
「親孝行です。恥ずかしい話なんですが聞いていただけますか?」
神山(弟)の言葉に俺は頷いた。仕事をする上で、モチベーションを高められる話を聞けるかもしれない。こんな展開になるなら、ゴルゴのようにクールな雰囲気で喋るべきだった。
俺の正面に座った神山(弟)はダビドフを取り出して「失礼、吸いながらでよろしいですか?」と聞いてきた。俺が頷くと、神山(弟)はオイルマッチでダビドフに火をつけ、話し始めた。
711 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/09/21 00:16:43 ID:bu9VRpPI
マジでおもしろいです。
ただで読めて感謝!
このスレまとめて出版すれば売れると思う。
スロッターしか買わないかもしれないがw
オレは必ず買います。
>>常居さん
(・∀・)イイ!!
>>708 ここで聞くな、ボケが!俺は、継続率が低くて負けた。
平均3連越える自信あれば大丈夫だ。
>>708 こんな所で聞くんじゃねーよ!!
この喰い断がっ!!
キタキタキターーーーー!!
>>771 出版ですか。俺の場合、相当書き直しが必要な気が…。
>>712 サンクス。
>>714 亀ですけど、朝岡美嶺笑ってしまいました。
お互いにがんばりましょう。
続き書きます。
煙を吐き出しながら、神山(弟)は父親のことや、自分の幼い日々のことを語り始めた。
神山たちの父親は、「川越の狂犬」の異名を持つ代打ちで、その報酬で今は康の店になっているバーを買ったらしい。
兄は麻雀に興味を示さなかったが、康二郎は幼い頃から麻雀に興味を持ち、父親の手ほどきを受けていた。成長した康二郎は、父の跡を継ぎたがったが、そんな次男に、父はこう言った。
「代打ちは甘いもんじゃない。俺としては、お前にも店を持たせて、誰にも縛られない生活を送ってもらいたいんだ」
この言葉に、康二郎は、ジャンヤをやりたいと父に言った。この言葉に、父親は苦笑しながら大宮のマンションを買い与え、営業担当兼相談役として舎弟の太田を紹介した。大田の紹介で良質の客が店の常連となり、神山の店は軌道に乗り、結構繁盛しているということだった。
「それじゃぁ、川越の店はお父さんの思いが詰まってるんだ。ところで、お父さんは?」
俺の質問に康二郎が答えた。
「半年前に脳梗塞で倒れまして、それから寝たきりになってしまいました」
「今回のことは話したの?」
この問いには康が答えた。
「いえ、まだです。このまま父には報せずにおいて、私たちだけで決着をつけたほうがいいと思いまして。父に余計な心配をかけたくないんです」
俺はその言葉をセブンスターに火を点けながら聞いた。そして、煙を吐き出しながら言った。
「報せたほうがいいと思うよ。もちろん俺は勝つつもりだけど、勝負に絶対は無い。負けた場合お父さんのショックはでかすぎると思う。ちゃんと話しておいたほうがいい。その時は俺も同席する」
俺の言葉に神山兄弟は納得した様子だった。俺がこんなことを口にしたのはもちろんウラがある。買った場合、父親からボーナスが出ることを期待しての発言だ。
話はまとまり、俺は家路についた。康から車代として5万円を受け取った。タクシーを拾い、その車中で俺は興奮していた。500万の仕事だ、興奮しないほうがどうかしている。
3日後に神山の実家で父親に会うことが決まっていた。ボーナスも楽しみだったが、かなり名前を売った代打ちに会えることのほうが楽しみだった。彼が俺にどんな評価を下すのか。今から楽しみでしょうがなかった。
タクシーがマンションの前で止まり、俺は中へ入っていった。「お帰り」と出迎えた香に今日のことを話した。
早くもミス。
×買った
○勝った
相変わらずアホです。すみません。
そこがいいんじゃねーか
(゚ε゚)キニシナイ!!で
いいね〜。毎日コレが読めるってのは。
fight
「ええー。500万!?そんなにすごい仕事なんだ」
報酬のことを口にしたとたん、香が驚いた顔をした。
「勝てばな。増田さんも許可してくれたし、今回はいつも以上に気合入れるぜ」
俺の言葉に、香の眼には¥マークが映っていた。俺の眼にも同じものが張り付いているだろう。
そんなことを考えながら、俺は神山の父親の風貌を想像した。俺の心の中に仙人のような爺さんが浮かんできた。
その夜は、俺も香も500万に興奮して、なかなか寝付けなかった。どちらからともなく、求め合い、結局3回ヤッタ。ヤッタ後、自然と眠気がきた。
翌日、昼過ぎに、神山(弟)の自宅もかねるジャンヤに集合した。店には、康二郎、康、太田の3人が俺を待っていた。
「あれ、太田のおっさん。今日は仕事はいいの?」
「兄貴分のピンチなんだ。それどころじゃねぇよ。アンちゃん今回は頼むぜ」
康二郎の運転する車に乗り込み、川越へ向かった。車中は重い雰囲気が漂い、俺も得意の軽口をたたけなかった。
川越の神山家は、どこにでもあるような一軒家だった。居間に通されると、そこには車椅子に乗った、70代と思しき、痩せて気の強そうな爺さんと、後ろで車椅子を押す60代の上品そうな婆さんがいた。
「お前さんが本多君か。今回は面倒なことを頼んで申し訳ない」
爺さんはそう言うと、ちょっと頭を下げた。爺さんの態度は偉そうなものだったが、不思議と不快感は無かった。代打ちとして成功した彼のことを、どこかで尊敬しているのかもしれない。
「神山さん、本題に入りましょうよ。俺を呼びつけたのはテストしたいからですよね」
俺の言葉に爺さんは苦笑した。
「頭の回転はなかなか速いようだな。ワシもくどい話は苦手だ。お前さんの言うとおり、ここに来てもらったのはお前さんの実力を見たいんだ。今から一勝負いいかな?」
「麻雀ですか?」
「他に何がある。あとの面子は康二郎と太田だ。ワシを納得させる麻雀を打ってくれよ」
爺さんを先頭に、通された別室には最新式の麻雀卓が用意されていた。「川越の狂犬」と呼ばれた男との勝負を前に俺の心は昂っていた。
また間違えました。
前回書いた3日後は翌日です。
ミス連発ですみません。
ドンマイ。
今後の展開が楽しみです。
執筆がんがって下さい。
>>724 ありがとうございます。
続き書きます。
「さてと、場所決めだな」
部屋に入ると、爺さんが太田のほうを見て顎をしゃくった。太田がすばやく動き、4枚を裏返し手の中でかき混ぜた。
「本多君、お前さんから取りな」
爺さんに促され、表にした牌は南。康二郎が西、爺さんが北、太田が東を引いた。
太田がドアを背にした席を選択して、それぞれが着席した。爺さんの席には今まで車椅子の後ろに居た初老のおばはんが座った。
「病気してから手が少し震えるんだ。場所決めくらいなら不自由しないが、打つのはちょっとな。ワシが後ろから指示するから、ワシが打つのと一緒だ。少しうるさいが辛抱してくれ」
「その方は、まだ紹介してもらってないですけど。奥様ですか?」
「あぁ。康と康二郎の母親だ。手先は器用だから滞ることは無いと思うぜ」
太田がサイボタンに手を触れた。出た目は2,3、チーチャマークをセットして太田が再びサイボタンに手を触れた。
サイコロは4ゾロ。爺さんの山から切り出していく。配牌を取りながら、俺の気持ちは昂ぶり続けていた。
配牌は平凡な手だったが、ここは和りきっておきたかった。
一二九九ABDF689南西 ドラ8ピン
俺の好きなチャンタ系が見える。123ソーのどれかを持ってくれば三色も無理じゃない。楽しみな手を貰って、俺の気持ちはいっそう昂ぶった。
第一ツモは8ピン、かなりいい感じだ。5ピンを切ってチャンタを目指す。神山が9そーを切って、おばはんがツモった。
爺さんが口を開いた。
「右から5番目」
おばはんが、爺さんの言うとおり、右から5番目を切った。六萬が切り出された。
wakuwaku
>>727 期待に応えられるようにがんばります。
続き書きます。
中盤まで、爺さん以外に声を発するものは無く、淡々と進行していった。
11巡目、俺に聴牌が入った。
一二九九@ABFGH89西 ツモ7
ここは黙って西切り。聴牌まで時間がかかった以上、リーチは得策ではないと思えた。
神山が1ピンをツモ切り、爺さんのツモ番。ツモった牌と手牌を見て少し考え込んでいた。
「うむ…左から2番目。妙子、タバコ吸わせてくれ」
爺さんの言葉に、妻は頷きハイライトを取り出すと言った。
「5本までですよ。それ以上はだめですからね」
爺さんはタバコに火を点けてもらい、美味そうに煙を吐き出した。
15巡目、俺のツモ番。盲牌した瞬間三萬ということが分かった。ツモ牌を倒し、華麗に手を倒す。
「ツモ、2000,4000」
俺の倒した手を見て、爺さんは感心したように言った。
「綺麗な手だな。ワシもチャンタ系は好きだ。三色がつけばもっと綺麗だったな」
先制打を決めたが、爺さんに焦りは全く感じられない。数十年に渡る代打ち人生が、この余裕を生んでいるのだろう。
俺の心の中に、こんな気持ちが生まれてきた。
『本気になった狂犬を見たい。子の爺さんを本気にさせたい』
いい感じで気合が入ってきた。俺はセブンスターを咥え、火を点けた。気合の充実を感じながらサイボタンに手を触れた。
先に言っとく。謝る必要無し。
>子の爺さん
732 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/09/24 22:40:10 ID:APghPrzd
常居接人さん
何言ってるんですか!
俺は常居接人さんが本出したら買いますよ!
その時はここで教えてね!
常居接人さん!!
毎日楽しみに読ませてもらってます。
面白すぎです。
間違いは気にしなくていいです。
これからも頑張って下さい!!
>>732 出版ですか、実現したい夢の一つですね。
>>733 ありがとうございます。これからも頑張って書きます。
続き書きます。
サイの目は5,6、爺さんの山から切り出していく。配牌は軽い感じだった。
四五七八ABC578東東□□ ドラ三萬
軽い上に、ドラが絡めば満貫も簡単に狙える。いい感じだ。ゆとりのある心で5ソーを切った。
「脂っこいところから切ってきたな」
俺の切った5ソーを見て、爺さんがつぶやいた。俺が笑みを浮かべると、爺さんは苦笑した。
「右端」
ツモ牌を見て、爺さんはそう言った。出てきたのは7ピン。爺さんも脂っこいところから切ってきた。
3巡目、爺さんが動いた。4ソー切りでリーチをかけてきた。
情報が不足している上に、こっちの手も早い。ここは勝負だ。太田が安全そうな北を切って凌ぐ。俺がツモったのは東、ソーズ落しで様子を見る。
俺の切ったのは7ソー、爺さんは無反応。康二郎が牌山に手を伸ばす。康二郎の切った北は当然スルー。おばはんが山に手を伸ばした。
「…」
爺さんが無言で首を横に振った。ツモ切りは8ソー、これで俺としては凌ぎやすくなった。
『追いついてやるぜ。そして、勝負だ』
太田が小考して、通っていない一萬を切った。同時に爺さんが発声した。
「ロン。高めだ」
二三四五六七八九FF345 ウラドラ九萬
「跳萬。いやー、ついてたな。毎回こんな感じなら楽なんだけどな」
爺さんは笑いながら言った。俺は狂犬の牙がまだ抜けていないことを感じた。
緊張するなぁ
>>736 上手く緊張感が出ていればいいんですが…
続き書きます。
東3局。俺と爺さんは派手な手を一度ずつモノにして流れは互角に思えた。
俺たちの間には、意地がぶつかり合うような重苦しい空気が流れているような感覚があった。
『ここは安手でも和り切らないと…ここが勝負の分岐点になるはず』
過去の勝負で、俺に重要なヒントを与えてくれた勘が、ここでも俺に囁きかける。配牌を取っていく俺の掌は汗で濡れていた。
三四六八八CE2356西北 ドラ7ピン
無難な手だ。ここは手堅く、タンピンまたは、4ソーが鳴ければクイタン狙いで進めることにした。
「左から4番目」
相変わらず、爺さんの声が部屋に響く。爺さんの声がした後、ワンテンポ置いておばはんが切り出す。
仕事で素人と打つ機会も多い俺は気にならなかったが、ある程度熟練した相手としか、打つ機会の無い神山は、このテンポにリズムを狂わされている様子だった。
5巡目に入り、俺の手はイーシャンテンまでこぎつけていた。
三四五六八八CE12356
次に入る有効牌が重要だ。5ピンならリーチ無用の手だが、4,7ソーならドラの引き込みを待つ。あとは萬子の有効牌または、3ピン、ドラを引いた場合は手広く構える。
基本戦略を考えていると、太田が3ピンを切り、俺のツモ番になった。心にゆとりを持って牌山に手を触れた。持ってきたのはドラ、4ピンを切り両面待ちに持っていく。どうやらリーチ不要の手になりそうだ。
神山がツモり、テンポ良く九萬を切り出す。おばはんがツモり、爺さんが口を開く。
「右端」
ワンテンポ置いて、1ピンが切り出された。神山は相変わらずこのリズムに戸惑っている様子だった。
7巡目、赤5ピンを引き込み、聴牌。三萬切りで高目三色の形だ。
『爺さんからなら安目でも倒すか…』
考えていた矢先に神山から4ソーが出た。当然牌を倒す。爺さんがニヤリと笑って言った。
「やるな、お前さんいい打ち手だな」
「どうも、ここまでは合格点を頂けるようですね」
「まあな、あとは守備が見たいな。追い込まれたときの凌ぎを見たいな」
「俺がツキまくったら守備はお見せ出来ませんよ」
俺の言葉に爺さんは苦笑した。東4局が始まり、おばはんがサイボタンに触れた。
俺の感じた通り、前局がヤマだったようだ。俺の配牌は軽く、警戒が必要な、爺さんの親を蹴飛ばすにはもってこいの配牌だった。
四五七八BCC123東□□ ドラ中
3巡目で神山から白を鳴き、ソッコーで蹴飛ばせそうな気配があった。
四五七八BCC123 □□□(ポン)
ここで、俺の切った東に、爺さんが喰いついた。どうやらこの局は爺さんとのマッチレースになりそうだ。
俺が微笑みながら爺さんに目をやると、爺さんも笑い返してきた。勝負だ。
おもろい
ん?ちょっとおかしいかな?
5順目
三四五六八八CE12356 ツモF→三四五六八八EF12356 打C
6順目不明
7順目(仮定)
三四五六八八EF12356 ツモD→四五六八八DEF12356 打三
となるから高め三色はおかしいかな?
もし6順目に七を持ってきたとしても
三四五六七八八EF12356
打牌候補は三四八56。
まぁここで亮タンが四を選らんだんなら問題はないんですけどね。
エーとそれはだな、河から4ピンを抜いたんだよテンパイ時に
爺さんが卓を離れてる状態だからサマ出来るかためしたんだ
「ふっやっぱ爺さん牙抜けているのか」
「ここは心にゆとりを持って時局に臨む」
無理だ。俺には弁護できぬ
切り替えたの忘れていました。
アホ丸出しで申し訳ありません。
あまりにもアホな間違い。恥ずかしい。
申し訳ありませんでした。
ま〜、えーじゃないの。
こんなすばらしい作品を毎日読ませて
もらえるんだからよ〜。
つーかマジで金払っても読みたいレベルだよな
どうも、アホの常居です。
足りない頭で考えた結果、作品を書き続けることでお詫びに変えたいと思います。
続き書きます。
「左から3番目」
爺さんの声が響いた。8ソーが切り出される。誰も動かない。太田が牌山に手を伸ばし、九萬を切った。
『…鳴くか…』
一瞬考えたが、まだそこまで切羽詰った状況じゃない。スルーして牌山に手を伸ばす。
7ソーを持ってきてツモ切り。『鳴くべきだったか?』焦りの気持ちが生じたが、心にゆとりを持つためにセブンスターに火を点け、煙を肺の奥まで吸い込んだ。
3巡後に三萬をツモり聴牌が入った。爺さんはツモ切りを続け、聴牌の気配はまだ無い様に思えた。3ピンを切って、後は和りを待つだけだった。
「リーチ」
意外な場所から声が聞こえた。神山が千点棒を出し、中を曲げた。この勝負、傍観しているだけと思われた神山の参戦は意外だった。
「父さん、本多さん。私も勝負に参加しますよ」
神山の表情は、幾分熱を帯びたものになっていた。神山が勝負に参加するとは計算違いだ。中を見て動くものは居なかった。
「強いな。ドラ切ってリーチか…」
爺さんが呟き、おばはんが山に触れた。
「左端」
爺さんが久しぶりに手出しをした。3人聴牌の気配が濃厚だ。マッチレースに参加してきた神山の真意は量りかねたが、俺は心地よい緊張感を感じた。
ずーーーーーーーーっと書きつづけてちょうだい!
>>747 神様・阿佐田哲也氏だって
字牌が5枚出てくる短編書いちゃったことがあるんです。
気にしないでがんばってください。
751 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/09/29 17:38:11 ID:uJacDYlH
保守(`・ω・´)
sageでも書き込みあるから落ちないよ
次から気を付けてね
>>749 出来る限り頑張って書きます。
>>750 「海道筋のタッグチーム」ですね。でも俺と色川さんではレベルが違いすぎますね。
(阿佐田作品も大好きなんですが、ものを書く上で、影響されたのは色川作品なので、俺は色川さんと呼んでいます)
続き書きます。
神山の参戦で場は混沌とし始めていた。緊張感からか、爺さんは1日5本と決められているタバコの2本目を咥え、渋い表情で煙を吐き出していた。
動きの無いまま、3巡が経過。俺は相変わらずこの緊張感を心地よく感じていた。
「カン」
爺さんがツモった牌を見て曝させた。東が表向きにされ、新ドラが表示された。表示されたのは3ピン、俺の手が高くなった。
「…失敗したか。本多君、無理カンに見えるだろう。でもなこれがワシの打ち方なんだ」
爺さんの言うとおり、無理カンに思えた。だが、この打ち方が「狂犬」の由来なんだろう。失敗を恐れず、前を向いて突撃。
リードを守るのではなく、リードを広げようと前進する。特攻隊のような麻雀だ「狂犬」の名は伊達じゃない。爺さんが打ち破ってきた相手は、このクレージーな打ち筋に、思考回路を狂わせただろうと想像した。
俺がツモ番に持ってきたのは4ピン。小考して切ったのは八萬。新ドラを切るのが怖かったわけじゃない。貪欲に、1ハンでも高くしたかった。
八萬は通り、神山が力を込めてツモる。いつものクールな雰囲気は無く、必死の形相だった。神山の表情がゆがみ、七萬をツモ切り。俺は低い声で「ロン」と言って牌を倒した。
「白ドラ3満貫」
俺が牌を倒すと神山は表情を暗くした。何時ものクールな雰囲気は全く無かった。
トップ目で南入、かなりいい感じだ。爺さんの目はまだ死んでいないが、このリードはでかい。俺の心にはゆとりがあった。だが、少し引っかかることがある。
『ただ勝つだけじゃ認めてもらえないのでは?』
何しろ500万がかかった仕事だ。なんとしても爺さんに認めてもらいたい。だが、どうすれば?
俺の心の中では『ゆとり、追い風、真理』とさまざまな言葉が渦巻いていた。
>>753 色川作品も読んでますよ。
一番好きな短編集は「百」ですね。
特に「百」、「永日」は、何度読んでも唸ってしまいます。
>>755 俺が好きなのは「怪しい来客簿」です。
作品全体から、色川さんの人を見る眼の優しさが感じられて好きですね。
続き書きます。
南場に入っても俺の勢いは落ちなかった。南1局、太田からダブ南を和り、太田を土俵際に追い詰めて親番を持ってきた。
太田の持ち点はこれで7000点。これで、トばして終了に持っていきやすくなった。
南2局、爺さんは、俺の連荘阻止に必死こいていた。だが、抵抗も虚しく、俺の4000オールに先を越された。
「ツモ、4000オール」
三三五五(赤)八八BBFF466 4(ツモ) ドラ西
俺の手を見て爺さんが呟いた。
「やるな…」
俺に視線を向けた爺さんの眼は、通り名どおり狂犬のような眼だった。俺は眼を逸らさずに、爺さんを真っ直ぐに見つめた。
刺すような視線をお互いに送りながら、1本場を迎える。俺の心は沸き立つ高揚感を抑えられなかった。
『この爺さん本物だ。本物のばくち打ちだ。畜生、欲しかった玩具を貰ったガキみたいに興奮している。この気持ち抑えられねぇ』
最早、俺の心にゆとりなど無かった。この爺さんに勝ちたい。その気持ちで一杯だった。
1本場、8巡目に太田が五萬を切った。その時、爺さんが口を開いた。
「ロン」
爺さんの手はこうだった。
三四八八BCDFGH345 ドラ六萬
「終わりだな。本多君、ワシが2着キープでがっかりしたか?でもな、お前さんが独走しているこの状況、ここで終わらせておくのもバイニンの打ち方だ」
「……」
俺は何を言えばいいのか分からなかった。爺さんが言葉を続ける。
「この和りでワシは浮きだ。本多君、バイニンは沈むことを避けるんだ。そして、ワシは今でもバイニンなんだ」
爺さんの言葉に、俺は何も言えなかった。そして、その言葉を心に刻みつけた。
爺、カコ(・∀・)イイ!
759 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/10/01 14:43:03 ID:Vp3x3ESb
ジャキーーン!
ダブルライン7!!おめ!
>>758 俺なりに考えた「バイニンの条件」です。
かなりクサイセリフになってしまいました。
続き書きます。
がんがって
「さてと、2回戦。と言いたいところだが、疲れた。本多君、悪いがこれで終わりにしてくれんか?」
正直なところ、俺はまだ喰い足りなかった。爺さんともっと打ちたかった。
「半チャン。いや、東風戦1回でもいい。もう一度俺と打ってくれませんか」
俺の言葉に、爺さんは寂しそうな笑いを浮かべ、言った。
「すまんな。倒れてから集中力や体力が続かないんだ。今のワシには半チャン1回が限界だ」
俺が何を言おうかと、言葉を選んでいると、爺さんが先に口を開き、言葉を続けた。
「本当なら、今度の勝負は他人に任せないで、ワシが打ちたかった。だが、今のワシには無理だ。そこで、息子が連れてきた打ち手を試したいと言ったんだ」
そこまで言うと爺さんは、視線を俺に向けてこう言った。
「本多君、息子の店を守ってやってくれ。お前さんなら安心して任せられそうだ」
「それじゃぁ、俺は…」
「合格だ。「川越の狂犬」に勝った男として、堂々と闘ってくれ」
爺さんと、これ以上闘えないことは心残りだったが、これで500万の勝負に挑める。俺の心には、闘牌中とは違った高揚感があった。頭の中は500万のことで一杯だった。
爺さんの家を辞して、神山の運転する車に乗り込んだ。途中にある、高級スーパーで降ろしてもらう。前祝のため、いつもより高価い生ハムとワインを買い、俺は家路についた。
家に帰ると、香が雑種の子犬を抱きながら出迎えた。
「ただいま…その犬どうしたの?」
「えへへ、近所で捨てられてたの。可哀相だから連れてきちゃった。ねぇ、飼ってもいいでしょ」
子犬は潤んだ瞳で俺を見つめていた。か、可愛すぎる。俺は考える間もなく、首を縦に振った。香が無邪気に喜んだ。
「よかったねー。ワンちゃん、あなた、今日からうちの子だよ」
香も嬉しそうだったが、俺も嬉しかった。俺だって犬は大好きだ。俺の頭の中にこんな言葉が浮かんだ。「犬のいる生活、プライスレス」
無邪気に喜ぶ香に、500万の仕事が正式に決まったことを伝えた。香は大いに喜んだ。俺たちはワイン、子犬はミルクでこの仕事が成功するように乾杯した。
「犬のいる生活、プライスレス」
グー(・∀・)
イイヨー
子犬の名前は、「アニキ」に決まった。デビュー戦で打ち破った相手の名前をつけるのは、少し悪趣味な感じもしたが。他にいい名前も思いつかなかった。
「変な名前。…分かった、亮ちゃんもっとワンちゃん増やしたいんでしょう。それで、この子が長男で「アニキ」なんでしょう」
香は勝手にそう解釈した。俺は否定も肯定もしないでワインを飲んだ。
翌日から、勝負への準備が始まった。準備と言っても神山の店に1日1回顔を出す以外は自由に行動していた。
スロットや他のギャンブルをしながら、気楽な1週間が過ぎた。
アニキはすっかり俺たちに懐き、俺は香とアニキによってダブルの癒し効果を受けていた。俺の心はゆとりで充満していた。
「それじゃぁ行ってくるよ」
この日もスロヤに並ぶため、9時ごろ家を出た。香がアニキを抱きながら、前足を横に振り「いってらっしゃい」と見送った。
タバコを咥え、通りなれた道を歩く。十字路に差し掛かったとき、衝撃が俺を襲った。
何が起こったのか瞬時に理解できなかった。我に返ると、俺は倒れていて、左腕がありえない方向に曲がっていた。
「な、なんだ?なんだ?」
とっさに出た言葉はアホ丸出しのセリフだった。あたりを見渡すと、人が集まっていた。そして、全盛期の吉岡のような勢いで逃げていく、チャリンコのおばはんの姿が見えた。
状況から判断すると、俺はチャリンコに撥ねられ、転倒、左腕がどうにかなったらしい。集まった人たちが口々に「大丈夫ですか?」「左腕折れてるんじゃないんですか?」「救急車!」などと言っていた。
逃走したおばはんは、ガタイの良いアンちゃんが捕まえ、現場に戻された。やがて、救急車とパトカーが到着した。
救急車に乗せられ、病院に到着。レントゲンやら問診で時間が経過すると、左腕が痛んできた。診察した医者はあっさりと言った。
「折れてます。ギプスで固定しましょう」
俺は間抜けな表情で「あぁ。折れてますかぁ」と言った。俺がその時思ったのは、最近、上達してきていた、すり替えなどの芸が、勝負のとき使えないこと。そして香とヤル時不自由するな。などと考えていた。
>全盛期の吉岡のような勢いで逃げていくおばちゃん
ワロタ
>>767 分かってくれる人が居てよかったです。
続き書きます。
左腕を固定され、診察は終了。続いて、警察の事情聴取を受けた。
俺に非は無いとはいえ、商売柄、警官から質問を受けるのは緊張した。
「本多さん、お腹空きませんか?たいしたものは出せませんが、用意できますよ」
時間は12時45分を回っていた。その言葉を聞いて、思い出したように空腹感を覚えた。
「そうですね。片手で食べられるモノをお願いします。サンドイッチとか」
やがて、サンドイッチとコーヒーが運ばれてきた。サンドイッチとコーヒーは、お世辞にも美味いものではなかった。
事情聴取が終わり、パトカーで自宅まで送ってもらった。ここでも、商売柄、逮捕されたことを想像し、あまり良い気分ではなかった。
自宅前でパトカーを降り、警官に礼を言ってマンションに入った。インターホンを押すが反応は無い、香は外出中のようだ。エレベーターに乗り込んだ。自室の前に着き、右手だけでもどかしく鍵を開け、ドアノブを回した。
部屋に入ると、腰を下ろし、セブンスターに火を点けた。
「一人きりの部屋って、香と出会ってから初めてだな」
俺はつぶやいて、大好きなパールジャムのCDをコンポにぶち込んだ。
CDが「ベターマン」を演奏し始めた頃、香とアニキが帰ってきた。香は俺の格好を見ると、素っ頓狂な声を上げた。
「亮ちゃん帰って……どうしたの?それ!」
「チャリンコババアに撥ねられた。こけたときに、左腕から変な形で落ちたみたい。折れてるって医者は言っていた」
「エッ!マジで!?痛くない?大丈夫なの?」
香は慌てまくっていた。香の態度に、異変を感じたアニキも、俺の周りをぐるぐる回り、心配そうな鳴き声を上げた。
「心配しなくても大丈夫。痛み止めは貰ってあるし、左腕以外は怪我してないから」
俺の言葉に、香は少し冷静になったようだ。「神山さんに話さないとな」俺は受話器を取り、肩と頬に挟んで神山の店にダイヤルした。
770 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/10/04 14:34:56 ID:l9P6oJ50
子犬ちゃん…
ア、アニキ…ですか…
>>770 悪趣味な名前ですいません。
続き書きます。
2コールで神山は出た。
「はい、神山でございます」
相変わらず冷静な雰囲気だ。俺は努めて明るい声で言った。
「あっ、もしもし本多です。神山さん、俺左腕折っちゃった」
「…誰かに襲われたんですか?」
神山が少し慌てたような声を出した。こんなことは初めてだった。
「いや、事故だよ事故」
「事故ですか。本多さん、相手は手段を選ばない連中なので、行動には十分注意してください」
「俺が仕事引き受けたこともばれてる?」
「…恐らく……顔までは特定していないとは思いますが…代打ちを雇ったことは分かっているはずです」
神山の言葉に、俺は気を引き締めた。それにしても気味が悪い。神山一家の周りを、ストーカー以上の執念深さで見張っているのか?
「まるでストーカーだな」
俺がそう言うと、神山は即座に返した。
「それ以上です。本多さん、勝負の日まで外出は控えてください。私との連絡も電話だけにしておきましょう」
「盗聴とかの危険は?」
「盗聴くらいなら、自由にやらせておきます。電話なら顔までは分かりませんから。とにかく本多さんの身に危険が及ぶのが心配なので、くどいですが外出は控えてください」
神山に言われなくても、この怪我でスロットを打つのは不便だし、他のギャンブルを打つ気にもならない。養生を兼ねて、家でゆっくりすることに決めた。受話器を置くと、左腕がまた痛み始めた。
イイヨーイイヨー
外出を控える生活も、なかなか乙なものだった。食事はコンビニがメインで味気ないものだったが、それさえ我慢すれば快適と言えた。
アニキや香と戯れながらすごす時間が、とても貴重なものに思えた。今までは仕事のことばかり考えて突っ走ってきたが、たまには仕事を忘れ、立ち止まる時間も必要だ。戦士の休息ってやつだな。
つかの間の休息は、終わりを告げようとしていた。いよいよ明日、勝負の日がやってくる。気力は充実している。この休息で充電は十分にできた。
「アニキちゃん。拾っておいで」
香がゴムボールを投げて、アニキがそれを無邪気に追った。この光景を見て、俺は決意を新たにした。
『今の生活を守るためにも、今回の勝負絶対に勝つ』
あっという間に、勝負の朝を迎えた。神山は午後6時ごろ迎えに来ると言っていた。当然徹夜が考えられるので、昼ごろに一回寝ておいたほうが良いだろう。
「今日お仕事だよね」
玉子サンドをつまみながら香が言った。俺は頷き、ツナサンドを飲み込んで、口を開いた。
「500万の仕事だ。絶対に勝つぜ」
気力は充実していた。香が口を開いた。
「頑張って。ワタシとアニキちゃんここで応援してるから。他に何もできないけど、応援だけはできるから」
俺は力強く頷いた。顔を上げると、香が俺のほほにキスをした。悪戯っぽい笑みを浮かべて香が言った。
「勝利のおまじない。負けないでね」
俺は微笑んで、香の唇に、俺の唇を重ねた。香は俺に身を任せ、お互いに抱きしめあった。
昼食後、一眠りして、5時ごろ目を覚ました。神山が5時55分に到着。ぞろ目でなんだか縁起が良いように感じた。
「じゃあ行ってくるよ」
香にそう言って、俺はマンションを出た。神山の車に乗り込み、勝負の場所である川越に向かった。俺は車の中で神山に言った。
「神山さん。ヤバイよ。俺気合入りまくってる。負ける気がしないんだ」
俺の言葉に、神山は頼もしげに頷いて言った。
「期待してますよ」
車は川越市内に入り、勝負の場はもう目と鼻の先だった。
たたりじゃあああああああああああああああ
たたりじゃああああああああああああああああああああああああ
た〜〜〜〜た〜〜〜〜利〜〜〜〜じゃあああああああああああああ
777(・∀・)v
778
本多さんは勝ちますm9っ‘へ‘\
最近ID:SEX多いな
781 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/10/06 19:11:30 ID:5NRDymbq
思い出より モノ
車は洒落た雰囲気のビルの前で止まった。ここの10階が勝負の場所だと言う。
受付で神山が割符を出すと、誰何もされず通された。エレベーターホールの豪華な雰囲気に、俺は思わず素直な感想を述べた。
「すげービル。こんなビル持ってんなら、もう十分じゃないの?」
俺の言葉に、神山はクールな雰囲気を崩さないで言った。
「人間の欲望には限りがないんです。私はそう思います。やつらが兄の土地を狙っているのはもっと立派なビルを建て、自分の力を示し、もっと金を儲けたい。そんな考えなんでしょう。私はそう思います」
「そんなもんかねぇ」
俺がそうつぶやくと、エレベーターがやってきた。俺たちは乗り込み、神山が10階を押した。
10階に到着すると、神山は迷わずに「応接室」と書かれた部屋に向かう。部屋に入ると、奥に偉そうにふんぞり返ったジジイが背後に美人秘書を従えていた。
部屋の端には神山の兄、康と神山の母親がいた。二人は、俺の吊られた左腕に不安そうな視線を送った。
俺は二人にウインクして、「心配ない」という視線を送った。その時、ジジイが康に視線を送り、口を開いた。
「神山君、その腕を吊った小僧が代打ちか?情けない顔だな。ワシの勝ちは決まったようなモノだな」
ジジイの言葉に俺は反応してしまった。挑発するために発した言葉だろうが、反応せざるを得なかった。
「ジジイ、人を見かけで判断するんじゃねぇ。舐めるな」
俺はセブンスターを咥え、火を点けた。そして、煙をジジイに向かって吐きかけた。ジジイは顔を真っ赤にして言った。
「無礼者、ワシに向かってなんと言う口の利き方だ?分をわきまえろ!」
俺は顔色を変えたジジイを、ゆとりある心で見つめた。そして、この調子なら勝てるなと考えた。
「万田さん、1対1の二人麻雀という約束でよろしかったですね」
ジジイと、俺の間に緊張感が走った瞬間。割って入るように神山が口を挟んだ。ジジイが唇を歪めて応える。
「そのことだがな、二人麻雀ではつまらんだろう。通常の四人打ちにしよう」
その言葉に、神山が珍しく顔色を変えて抗議した。
「約束が違う!それでは三対一になるじゃないか!」
「そうは言っても、二人打ちじゃ面白くなかろう。それとも勝負を放棄するか?」
「お話中悪いんだけど」
俺は神山の肩を叩き言った。
「神山さん、二人打ちの予定だったの?まぁ、俺はどっちでもいいんだけど。そういうことは事前に言っておいて欲しかったな」
「申し訳ありません。事前に知らせると断られるような気がして…つい」
神山はばつが悪そうに応える。ジジイが下卑た笑いを浮かべながら口を開く。
「仲間割れか?みっともない」
この言葉に神山が反応したその目には決意が宿っていた。
「万田さん。4人打ち呑みましょう。ただし、私も打ちます。二対二で勝負させてもらいます。これを了承していただかなければ、土地の問題は裁判沙汰になっても闘うことにします」
「裁判沙汰になったら時間がかかるぞ。お前らに長い裁判を闘う財力があるのか?」
「覚悟の上です。徹底的に闘います」
「チッ、分かった。その条件、呑んでやろう」神山の目つきに、ジジイが引いた。こうして、俺、神山対相手の打ち手という構図が出来上がった。
wakuwaku
面白い
接人(・∀・)マンガレー!
ジジイが目配せすると、二人の男が立ち上がった。
くたびれたスーツを着た30前の小男と、190cm近い長身で、気持ち悪いほど痩せた男だった。
この二人が出てきたとき、俺は「おや」っと不信感を覚えた。
小男が対戦相手であることは予測できた。問題はのっぽの方だった。
勿論、のっぽが麻雀打ちであることは一見して分かった。だが、のっぽより、端に座っている、暗い眼をしてタバコを吸っている男のほうが格上と俺は感じていた。
「高谷、会田。徹底的にやり込めろ」
ジジイが二人に気合を入れる。小男が高谷、のっぽが会田というらしい。会田がゆっくりと卓に近づいた。
「場所決めするぜ。引きな」
会田が手の中で牌をかき回して言った。俺が引いたのは北、神山が西。高谷が東を引き、ドアを背にする場所を選択した。
勝負は半チャン5回。合計得点の高いチームの勝ち。場所変えは無し。アリアリで赤は5、三色全てに1枚ずつ。と決まった。
高谷がサイボタンに触れ、出た目は3,4神山の起家だ。起家マークを置く神山の表情は落ち着いていた。
急な話で、神山とは通しなど決めていなかったが、俺に焦りは無い。平で打っても勝てる。俺の心はゆとりと自信で満ち溢れていた。
神山が出したさいの目は3,5の8。会田の山から切り出す。配牌を取りながら、俺は左腕の痛みが消えていることに気づいた。
『いい感じだ。これならいける』
配牌も左腕同様いい感じだった。
五六七八@CD(赤)G3456中 ドラ八萬
なかなか楽しみな感じの手だ。神山が9ソーを切って、東一局がスタート。
俺の第一ツモは四萬、ツモの感触もいい感じだ。1ピンを切り、『この調子なら一気に突っ走れる』などと考えていた。
ツモの伸びは順調で、6巡目で聴牌。満足のいく手に育った。
四五六六七八CD(赤)33456
勢いに乗って、牌を曲げてもよかったが。ここは確実に先制打を打っておきたい。ダマで進める。
通しを決める暇もなかったので、神山の動きが気になった。神山と俺に手が入っている場合、お互いに足を引っ張ってしまわないか、ということを危惧した。
この局は、神山に目立った動きはなく。俺が先制打を狙えばいい展開だが、『俺に任せろ』『お前に任せる』程度の簡単な通しくらいは決めておきたい。
神山と二人で話す時間が欲しい。俺は真剣に願った。
「ポン」
会田が、高谷の切った東に喰いついた。ツモ切りだった。当然こいつらは、ばっちり通しをやっているだろう。
通しの解析と、奴らの裏を取る手段を考え、俺の頭脳はフル回転する。背負っているハンデが結構でかいので、俺も必死だった。
高谷がタバコを咥え、火を点けた。これも何かのサインかと思ったが、やつらに動きはない。二人の両手も見える位置に置かれていた。すり替えも考えにくい。
このとき、俺の心の中にあの言葉が浮かんだ。
『心にゆとりだ。焦るな。いい手張ってるじゃないか、落ち着いて打て』
俺はその言葉に従い、ゆとりを持って牌山に触れた。
ゆとりある心で、ツモったのは九萬。当然ツモ切り。誰も動こうとはしない。
高谷が山に触れ、間をおかずに、南を切った。
『会田へのトスか?』
そう思ったが、会田はそれをスルー。牌山に手を伸ばした。積もった牌を見ながらやつは少し考え込んだ。
「失礼。…ここは真っ直ぐ」
会田が切り出したのは3ピン。俺は右手だけで不恰好に牌を倒した。
「ロン。安目だけど満貫」
「いい手だな。ほらよ、8000」
会田は俺の右手に点棒を乗せた。左腕が不自由な俺に気を使うように、丁寧な置き方だった。
東二局、満貫和了で、俺に勢いがついてきた。1300オールをツモり、一本場は5800の一本ヅケを会田から和った。
「ヤバイな。次9600振ったら飛びだよ。高谷、何とかしてくれよ」
会田は余裕があるのか、そんな軽口を叩いていた。高谷は表情を変えずに言った。
「会田。ふざけてないで真面目に打て。短期決戦なんだ、ハナから真面目にやれ」
高谷に言われ、会田は「怖いね」とだけ言った。二本場、会田の言うとおり、9600以上をやつから直撃できれば一回戦は終了。
俺の狙いは勿論会田からの直撃。二本場も会田が俺に3900を打ち込んで終了。
これが会田の実力なのか、手を抜いているのかは分からなかった。だが、この調子なら会田があっさりと出して終了というのも十分考えられる。
『おいおい。この程度なのか?それとも馬鹿にしてるのか?こうなったら5連勝狙ってやるぜ』
もう、俺の眼は勝敗など見ていなかった。5連勝。そこだけを見ていた。舐めやがって。余裕持っているのかなんだか知らねぇけど、俺に主導権握らせたこと後悔させてやる。
俺はツミ棒を出し、ゆっくりとサイボタンに触れた。
791 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/10/10 23:30:24 ID:yORoipEy
>>常居接人タン
乙です!
盛り上がってきましたねー麻雀打ちたくなってきたよ。
これからも楽しみにしてますよ!
>舐めやがって
これは「なめやがって」では?
>>791 これからも楽しめるように頑張ります。
どっちも正解だと思いますが(間違ってたら済みません)
続き書きます。
サイの目は2,3。俺は右手を駆使して牌を取っていった。
流れを掴みきったと思っていたが、本格的な追い風は吹いていないようで、可もなく不可もない配牌だった。
一三四六八DFHH238北 ドラ1ピン
ここは神山に期待したいところだが。神山は俺の足を引っ張らないことばかり考えている様子で、期待するのは難しいようだ。
どこからも目立つ動きの無いまま6巡目に入った。俺の手の進みは悪く、ここまでしか育っていない。
一二三四六八DFHH238
神山に手が入っているのなら、差し込んでも構わないのだが。神山に聴牌の気配は無い。
『こうなったら自力で……』
気持ちばかりが焦るが、有効牌は引いてこない、2ピンをツモ切り。高谷が白を切った。ツモ番の廻ってきた会田の表情が明るくなった。
「持ってきたぜ。リーチ!」
長身だが、幽鬼のように痩せた身体からは想像できないほどの大声で会田が牌を曲げた。神山の表情に焦りの色が浮かんだ。神山は小考して1枚の牌を切った。
「ロン!イッパーツ」
神山の切った六萬で会田が牌を倒した。
五(赤)七@@ABC445566
会田が長い指でウラドラをめくった。表示されたのは3ソー倍満に化けた。
一流の代打ちを父に持ちながら、父親から指導を受けられなかった神山の悲劇を見たような気がした。
神山自身は及第点を与えられる打ち手だが、今回のように、大きなものを賭けた勝負は初体験だろう。本人が自覚しない間にパニックに陥ってしまったようだ。
神山の打ち筋は、攻めの気持ちを忘れてしまっていた。俺は神山を見つめて、一言だけ言った。
「神山さん、親父さんの言葉を思い出せ」
『バイニンは沈まない…』神山がこの言葉を思い出せたかどうかは疑問だ。だが、俺には他に言葉が思い浮かばなかった。高谷がサイボタンに手を伸ばし、東三局がスタートした。
東三局、高谷がリーチをかけるが、俺が東のみを会田から直撃して凌いだ。
神山に目をやると、冷静さは取り戻している様子だった。
俺が独走する今の状況を考えると、神山に手が入り、相手から直撃して、2着争いを混沌としたものにしてもらうのが理想的だ。
だが、神山に手が入る保障など、どこにもない。
東ラス会田の親番。不気味な雰囲気を漂わせ、会田がサイボタンに触れた。
サイの目は1,2。配牌を取りながら、神山を引き上げるための有効な手段を考えた。だが、そう簡単に思いつくモノでもなく、俺は神山のことを考えるのを中断し、勝負に集中した。
三三五六八九457東東發中 ドラ八萬
俺の配牌は、ツモしだいで楽しみな手になりそうな感じだ。このとき、俺はゆとりある心で神山を引き上げるより、相手を引きずりおろすかと考えた。
幸い点棒には余裕がある。焦って仕掛ける必要は無い。
第1ツモは發、いきなり良いところを持ってきた。だが、その後が続かない。ムダヅモが多く俺の手は止まってしまった。
場は萬子と字牌が高く異様な雰囲気だった。9巡目会田が三萬を切った。動こうかと考えたとき、神山が先に動いた。
「チー」
神山が動くなら邪魔をする必要は無い。俺は神山が一二萬を倒すのを黙って見ていた。
神山の鳴きで流れが変わることは無く、俺は相変わらずムダヅモばかりだった。
だが、神山のほうは流れが変わったらしく、手出しが多くなってきた。今の状況を考えると、このほうが俺にとってはいい流れなのかもしれない。
高谷と会田にも目立った動きは無く、神山だけが順調に進行している様子だ。
「ツモ2000,4000」
七八九FGH1189 7 一二三(チー)
神山が牌を倒した。これで神山も安全圏に入った。俺は神山にウインクした。神山は苦笑した。
795 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/10/13 02:48:01 ID:0IsVbzzW
あwせdfgtyふじこlp;@:「」
南入と同時に、ジジイが席を立った。
「会田!高谷!何をやっておる。不愉快だワシは帰る。岡部、後は任せた。きっちり始末をつけておけ」
ジジイと美人秘書、取り巻き連中が部屋から出て行った。残されたのは、卓を囲む4人と、神山の家族、例の暗い目つきの男とチンピラ数人だった。
「後のことはお任せください。会田、高谷。気合入れなおせよ」
暗い目つきの男、岡部が口を開いた。ジジイが退室しようとしたとき、俺はジジイに言った。
「あんたが見てないから、この勝負無効とか言うなよ」
ジジイは殺意すらこもった目つきで俺を睨み、何も言わずに部屋を出た。
「南入ですね。早く再開しましょう。こっちに流れが来ているからって中断しないでください」
神山がクールに言い放った。神山の言うとおり、妙な中断で流れを断たれたくなかった。神山はすでに起家マークを裏返し、後はサイを振るだけだった。
南一局、妙な空気が流れ始めた。会田と高谷のペースがゆっくりしたものに変わっていた。それは初心者と打っているようにゆっくりとしたペースだった。
「早く打てよ」
何度かそんな注意をしても、やつらはお構いなしでスローペースを続ける。時間のかかった南一局は、神山が高谷から4800を和り終了。神山がツミ棒を出した。
神山の弱点を突いてきたのか、と思っていた俺は、この放銃を意外に思った。急にペースを落とした、やつらの狙いが何処にあるのか計りかねた。
一本場に入っても、やつらのスローペースは相変わらずで、とても大勝負の場とは思えなかった。
小一時間かかってオーラスまでやってきた。順位は俺、神山、高谷、会田の順だった。
『うざってー。こいつらこのペースで打ち続けるつもりか?』
配牌を取りながら、そんなことを考えていた。次の瞬間、ドアが開き、意外な連中が俺の眼に映った。
ト、トキ!
「はい、皆さん動かないで。警察です。動かないでください」
スーツの男が警察手帳を見せながら、4人の制服警官を従え、室内に入ってきた。
「警察?警察が何でここに?」
俺の問いに刑事が答えた。
「このビルで、たびたび高レートの麻雀をやっている、って情報があってね。とりあえず、卓を囲んでる4人。賭博罪の現行犯で逮捕」
俺たちは警官に取り囲まれ、逮捕された。俺たちが部屋を出るとき、刑事は周りにいた人間にこう言った。
「他の皆さんも署までご同行願います」
こうして俺たちは、パトカーで署まで移送されることになった。
「まずは名前と生年月日、職業。答えたくなければ、答えなくてもいい。弁護士を呼ぶこともできるぞ」
俺への取調べが始まった。担当の刑事は俺にそう言うと、お茶を飲んだ。こんな微罪で話をややこしくする気のない俺は素直に答えた。
「本多亮、昭和53年12月13日生まれです。職業は無職です」
その後、俺は質問攻めにあった。あのビルで麻雀を打っていた理由を聞かれ、神山との関係を聞かれた。
その尋問の次は、俺の生い立ちなど事件とは関係のないことを聞かれた。
1時間ほどで取り調べは終了した。その後写真と指紋を採取された。俺は衣類以外の所持品を預け、留置所に移動した。
留置所には先客はなく、俺1人だった。就寝時間を過ぎていたため、敷布団と毛布を支給された。左腕を吊った状態で布団を敷くのは苦労したが、なんとか1人でできた。
布団の中にもぐりこむと、看守の靴音が聞こえる。俺は靴音を聞きながら今日のことを反芻した。勝負中に警察が踏み込んできたのは、どう考えてもジジイの差し金だ。
流れがこちらに来ていることを感じて、こんな手を打ったのだろう。汚い手を使いやがる。絶対に再戦を申し込んで、やつらをズタボロにしてやる。俺の気持ちは昂ぶり、結局、起床時間まで眠れないでいた。
うはwwwwwタイーホwwww
金品の授受が証拠として残っていれば話は別だろうが、あのシチュエーション
で即現行犯逮捕はありえないだろうな、と思う。
まあそんなことより 常居 がんがれ(・∀・)イイゾイイゾー
漏れもまた書こうかな・・・って書いてるんだけど、載せる勇気ない。
>>800 俺もかなり無理あるかな、と思いながら書いたんで。
思い切って載せてみようよ。期待してます。
続き書きます。
朝食の時間が来た、飯を喰いながら、俺の心はリベンジに燃えていた。
『あのジジイ、人をはめやがって。俺を怒らせたこと後悔させてやる』
飯は不味かったが、怒りを燃やすエネルギーに変えるために喰いきった。満腹になると無性にタバコを吸いたくなったが、それは無理な相談だ。
ぐわータバコ吸いてー。俺が悶々としていると、鉄格子の前に看守が立っていた。
「28番、出ろ。運動だ」
運動?何だろう?ラジオ体操でもするのか?だが、左腕が吊られたこの状態で運動などできっこない。俺は不審に思いながら房を出た。
看守に先導される形で、留置所と上の階をつなぐ階段の踊り場にやってきた。そこには木箱の後ろにもう1人の看守が控えていた。
「お前の番号のタバコを取って中庭に行け」
俺は28と書かれた横にある二つの穴に突っ込まれたセブンスターを、2本とも引き抜き中庭に向かった。
『運動とはタバコのことだったのか。でも火はどうするんだろう?』
タバコを渇望していた俺はソッコーで中庭に向かった。中庭には看守と二人の男がいた。二人の男は無表情でタバコを吸っていた。
「火はこっちだ」
看守が俺に声を掛ける。看守に火を点けてもらい、俺は煙を肺の奥まで吸い込んだ。生き返った感じがした。
「運動」の後、ニコチンを注入できた所為か、少し気持ちが落ち着いた。落ち着いてリベンジの方法を考えていると、看守がやってきた。
「28番出ろ」
『…今度は何だ?』そんなことを考えながら房を出た。看守は階段を上り、俺はその後ろに従った。看守がドアの前で止まった。
「入れ」言われたとおりに、ドアを開き部屋の中に入った。室内には俺の私物が並べられ、過不足が無いかの確認が行われた。確認が終わると、俺はロビーに向かわされた。どうやら釈放らしい。
ロビーには増田が居た。俺の姿を認めると増田が口を開いた。
「本多、災難だったな。ちょっと時間貰うぜ、色々話したいことがあるんだ」
俺たちは連れ立って増田の車に乗り込んだ。増田はキャスターマイルドに火を点けると迫力のある笑顔で口を開いた。
いいね、こういう予想外の展開。
亮骨折の伏線、消化まだ?
>>803 サンクス。
>>804 最初に考えていた展開がクソだったので、今必死こいて考えてるところです。
続き書きます。
「その腕どうした?」車を浦和方面に走らせながら増田が言った。
「チャリンコのババアに引っ掛けられて、こけたとき折っちゃいました」
「お前、カルシウム足りないんじゃないか。牛乳とか骨ごと食える小魚とか食ったほうがいいぜ」
増田はなかなか本題を切り出さなかった。俺は思い切って増田に尋ねた。
「あの、増田さん話って何ですか?」
俺の言葉に増田は少し唇を歪めた。
「お前を、神山のところに貸し出すのは、夕べまでだったよな」
「はい」俺は頷いて言った。増田が言葉を続けた。
「色々調べたら、今回かなりでかい話のようだな。で、うちの組もこの話に乗りたいんだ」
「俺が組の代表になるんですか?それともこの話、降りろと?」
「どっちも不正解だ。お前は神山に貸し出したままにしておく。お前にはうちの代打ちのアシストをして欲しいんだ」
増田の言葉は俺の気持ちを萎えさせるのに十分なものだった。
その提案は、非常に腹黒いもので。神山から延長料金を吸い取った上に、土地を巻き上げる腹だとすぐに分かった。
「…神山さんが、俺を引き続き雇うかどうか分かりませんよ」
「大丈夫。今からお前以上の打ち手を捜すのは不可能だ。この勝負、きっちり仕事すれば、お前にもっといい仕事廻してやるよ」
「でも、うちの代打ちが参加するって分かったら。神山さんがうんって言うわけないですよ」
「うちがこの勝負に噛むってことは、ぎりぎりまで分からないようにする。心配するな」
車は南浦和の駅前まで来ていた。こんなことでは代打ちとして失格なんだろうが、増田の策略に納得できない気持ちで一杯だった。
俺は口を開き、増田に言った。
夜の楽しみの一つです。
応援してます。 ガン( ゚д゚)ガレ
>>807 応援ありがとう。
期待に応えられるように、頑張ります。
続き書きます。
「増田さん。即答はできません。少し考えさせてください」
俺がそう言うと、増田はタバコに火を点けながら言った。
「おいおい、悩む必要なんか無いだろ。こんな美味しい仕事、滅多に無いぜ」
「…確かに美味しい仕事だと思います。でも、考えさせてください」
「まぁいいだろう。明日神山たちと会うことになってる。お前の住処まで迎えに行くから、車の中で返事をしてくれ」
南浦和の駅から、俺の住処目指して車は進んでいった。マンションに到着すると、増田が言った。
「いい返事期待してるぜ」
マンションの中に入り、部屋に帰った。ドアを開けると、アニキが俺めがけて飛びついてきた。
「どうした?アニキ。俺がいなくて淋しかったのか?」
右手一本でアニキを抱き上げ、部屋の奥へ進んだ。アニキは甘えた声を出し、俺の顔を舐めまわしていた。
リビングでは、テレビの前で力尽きたように香が眠っていた。
「香…寝てるのか。なんか掛けないと風邪ひくな。アニキちょっと降りて」
アニキを下に降ろし、毛布を香に掛けてやった。香の寝顔に少しムラムラしたが、そのままそっとしておくことにして、アニキと存分に遊ぶことにした。
アニキと遊んでいるうちに、時間は1時を回っていた。「腹減ったな。アニキお前も腹減っただろ。今用意するからな」
俺は、ドライドッグフードに牛乳をぶっ掛けたモノを兄貴に与え、自分のために冷食のピラフを皿にあけレンジに突っ込んだ。
「アニキ、美味いか?ゆっくり食えよ」
アニキは旺盛な食欲で皿の中のえさを食っていた。それを眺め、和んでいると、香が起きてきた。
「亮ちゃんやっと帰ってきたんだ。毛布、亮ちゃんが掛けてくれたの?アリガト。今日は遅かったね、ごめんね途中で寝ちゃった」
「気にしなくていいよ。遅くなったのは、理由があってね」俺は事の顛末を話した。
変換ミス。
×兄貴
○アニキ
済みません…。
常居さんおつ。
作中に「」が多いのは意図してやってる事?
気に障ったらごめんね
812 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/10/18 01:13:54 ID:RobzSbca
age
>>811 意図的にやってます。
別に気に障るようなことは書かれていないと思いますが。
続き書きます。
814 :
どざエモン:04/10/18 18:27:38 ID:Y0tTRgWa
毎日ありがとうございます。読んでいると学生時代雀荘で
バイトしていたときにヤ○ザがセットで打っていて
ティッシュボックスに万札つめてティッシュを引き出すように
金のやり取りしていたことを思い出します。
これからもがんばって下さい。
逮捕されたことを話すと、香は特に気にした様子も無く笑いながら言った。
「捕まっちゃったんだ。でも、逮捕されても仕方ない仕事してるんだから。気にしなくていいじゃん」
俺は香が慌てると思っていたが、そんな様子は全く無かった。俺は少し拍子抜けして言った。
「それもそうだな」
昼飯を食い終えてから、香がアニキの散歩にいくと言った。気晴らしのため俺も散歩に付き合うことにした。
近所の公園で、アニキは嬉しそうに走り回っていた。香や俺にじゃれ付きながら遊ぶアニキの姿を見て、心が洗われる思いだった。
ボーっとしながら小さな幸せを味わっていると、着メロが俺を現実に引き戻した。電話の相手は神山だった。
「もしもし」
「本多さん、神山です。さっきようやく釈放されました。夕べはあんなことになって申し訳ありませんでした」
「気にしなくていいよ。悪いのはあのジジイだ。神山さんも俺も被害者みたいなもんだから」
「ありがとうございます。ところで本多さん、増田さんには会われましたか?」
「あぁ、俺の身元引受人になってくれた。昼前まで一緒にいたよ」
「増田さんは、今回のことで何か言ってましたか?」
「神山さんが望むなら引き続き貸しておくって言ってた」
俺は、増田の腹黒い計画には触れずに、そう言った。受話器の向こうで神山がほっとした声で言った。
「そうですか、良かった。本多さん引き続きお願いします」
「神山さん、明日俺と増田さんと会う話は聞いてる?」
「そのことは兄から聞いています。でも、その前に増田さんの考えを知っておきたくて電話しました」
「それじゃぁ、明日。やるんだったら俺は全力を尽くすから」
そう言って、電話を切った。『…増田がはめようとしているのに…そこまで他人を信用できるなんて…』
俺は、手放しで俺たちを信頼する、神山を哀れに思った。「なんでそこまで他人を信用できるんだよ」今度は声に出してつぶやいた。
タバコを咥え火を点けた。ゆっくりと煙を吐きながら、「なんでだよ…」もう一度つぶやいた。
816 :
800:04/10/19 10:48:06 ID:/jnghlav
なんつーか意外な展開ですねえ、常居タン乙。
載せる勇気がないって言うか、
>>127なんだけどね、実は。
話の内容がスレ違いになりそうな気がしてならないのよね・・・
あとでさわりだけうpしようかしらね。
1.Prologue(旅立ち)
どこにでもあるような家庭の居間。家族でくつろいでいるようだ。男が少女とトランプ遊
びをしている。どうやら親娘のようだ。母親はみあたらない。手馴れたさばきでカードを
シャッフルし、娘の前に出す。娘はカードを全て受け取り、ぎこちない体裁でカードを
シャッフルし始めた。どうやら父親のマネをしたいようだ。少女は10歳くらいだろうか。
まだ膨らみもほとんどない胸の前で必死になってカードを切っているが、うまく下段から
上段へカードをすべらせることが出来ないようだ。それでも必死にやっている少女を父親
は優しいまなざしで静かに見つめていた。いつもであればすぐ父親にカードを返し、いつ
ものように華麗なカードさばきを見せてもらうのが少女の毎日の楽しみであった。
今日はいつもより長い時間カードが少女の手元にある。飽きてすぐに父親に返してしまう
カード達がいつまでたっても少女の手元で必死になってもがいている。少女の目は真剣そ
のものになっていた。
飽きたのであろうか、ふとシャッフルする手を止め首を上げた。視線の先には父親の顔が
ある。まなざしは先ほどのまま。そのまま視線を動かさずに、カードの1番上をめくって
床に置いた。スペードのジャック。そしてそのまま2枚目をめくって隣に置いた。カード
の中央に大きなスペードマークが描かれていた。
「リオはねえ、でぃーらーになるの!」
2.
少女の口から聞く初めての決意の言葉に父親は一瞬とまどった。娘の口からその単語が出
てくるとは想像もしてなかったからだ。Dealerという単語は彼にとって大きな意味があっ
たから。その忌まわしき単語を今目の前で娘が口にしている。
「リオ、ディーラーなんて言葉、どこで知ったんだい?」
「へへ、内緒だよ」
父親の顔がみるみるうちに青ざめていった。よほどのことがあるのかもしれない。リオは
そんな父親に対し驚いて言葉を付け加えた。
「あ、ウソウソ。あのね、リオはお母さんみたいにでぃーらーになりたい」
「・・・リオ、どこでそれを知ったんだ?お母さんがディーラーだったなんて」
根が正直なのだろう、リオはためらいもなく説明を始めた。真剣なまなざしはまだ途切れ
ていない。
「・・・お母さんの日記、読んだんだ。お母さんいなくなってもう2年くらいだっけ?い
なくなったお母さんの部屋でゆっくりするのがすごく落ち着くから、いつもそうしてた。
ベッドの下から日記を見つけたの。お母さんはカジノのディーラーだったんだね。わた
し、カジノって行ったことないからどんなトコだかさっぱりわからないケド」
「・・・」
「お母さんが突然いなくなったあの日のことわたしは覚えてる。お母さん、ものすごく苦
しそうな目をしてた。でも、精一杯のおめかしをして出かけていった。いつもより、すご
くすごくおめかししてた」
父親の表情を見据えたままリオは話を続けていた。
「お母さん、まだどこかにいると思う。だからわたし、お母さんを見つける」
>>814 そのような場面は、漫画でしか見たことありませんが。
実物を目の当たりにしたら、かなり引きますね。
>>816 待ってました。
カジノのカードゲームはポーカーとブラックジャックぐらいしか分からないけど。
続きが楽しみです。
続き書きます。
神山が俺に信頼を寄せる理由をあれこれ考えていた。だが、いくら考えても、納得のいく答えは出てこない。
ジャンヤのオーナーと客。神山と俺の関係は、それ以上でも以下でもない。
神山の店は、レートがレートなので結構きつい打ち手が多い。中には俺に勝るとも劣らない打ち手もいる。それでも俺に仕事を依頼してきた。どうして?
そこまで考えたとき、タバコの火がフィルターの近くまで燃やしていた。タバコを足元に落とし、もみ消しているとアニキが俺に向かって駆け寄ってきた。
「亮ちゃん、そろそろ帰ろう」
香が息を切らしながらアニキの後を追って、走ってきた。ケイタイを見ると5時近くになっていた。
家に帰り、夕食に出前を頼んだそばをすすりながら、香が言った。
「今度のお仕事どうなったの?」
「増田さんが、もうしばらく俺を貸しておいて、再勝負するってことになった」
「じゃぁ、勝ったら500万?」
「そういうことになるね」
「亮ちゃん落ち着いてて、なんか頼もしい。きっと勝つよね」
香の言葉に俺は曖昧に頷いた。香には落ち着いているように見えるのだろうが、俺の心は迷いに迷っていた。
『…増田の提案は、とても納得できるものじゃない、汚すぎる。でも、神山に尽くす義理も無い。だが、神山は俺を信じている。
できれば期待には応えてやりたい…こんなこと、まともな代打ちなら悩んだりしないんだろうな…』
「亮ちゃん、片手じゃ食べづらい?食べさせてあげようか?」
俺の動きが止まったのを見て、香がそう言った。「え、あっ。ちょっと考え事してて。大丈夫だよ」
俺はそう言ってそばをすすった。いくら考えても結論は出なかった。俺だけだったら、一匹狼でもどうにかやっていける。だが、今は香とアニキがいる。このことが俺を悩ませた。
ディーラーで、リオで、スロ板とくれば期待しまくりです!
がんがってください!
822 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/10/20 01:46:10 ID:aa/gWPeI
新しいのキテル!楽しみにしてますよ!127=800タン鳥つけたら?
人間ってのは、いろいろな事を考える。
好きな女の子の事とか、エリオット・スミスの透明な歌声の事とか、ゴダールのカット割の事とか、そりゃもう何でも考える。
人間の脳は宇宙と例えた人もいたけれど、全くその通りだと思う。
それで、僕たちはいろんなことを考えるんだけど、いつも楽しい事やハッピィな事を考えてるってわけでもない。
そりゃ、楽しい事ばっかり考えていられるのならそうするんだけど、僕たちはなぜか悲しい事、苦しい事も考えてしまう。
うまくいかないんじゃないか、って、失敗する事ばっかり考えちゃう時も、ある。
その時はもう本当に苦しくて、いっそ消えてしまいたいと思うのだけれど、時間が経って、あらためてその事を考えてみると、
ああ、あの時は悩んでたなぁって、微笑んじゃったりする。それで、人間ってのはやっぱり悩んで悩んで成長するんだな、なんて
思ったりする。で、また悩む時がやってくる。繰り返し。
この話は、僕と、僕が好きだった女の子と、やっぱりその女の子の事が好きな、今はもういない僕の友達の話。
今はもう3人が揃う事は無いのだけれど、3人揃えば無敵だと思えた、10代の話。
僕が今ほど擦り切れてなくて、嘘をつくのもそれほど慣れていなかった時の話。
僕が12歳の頃、1991年、ニルヴァーナは後に世界にでっかい影響を残す事になる「ネヴァーマインド」を発表した。
多国籍軍はクウェートからの撤退を拒否したイラクに対し、空爆を開始した。
ルイス・フィーゴとルイ・コスタ率いるポルトガルがワールドユース選手権でブラジルをPKの末、4-2で下した。
僕たちは毎日テレビやなんかでその「世界のどっかで起こっているであろう出来事」を知っていたけれど、
それはどっか、現実じゃないみたいだった。
そんなことより、新学期にどっかのクラスに女の子の転校生が来るとか、誰かと誰かが付き合ってるとか、ボールペンをいやらしいことに
使って惨事になったとかそういうことのほうが僕らにとってはよほど現実的だった。
もちろん、ニルヴァーナは僕も大好きだったし、ルイ・コスタのファンでもあったのだけれど、別にそれがニルヴァーナやルイ・コスタ
じゃなくてもよかった。結果として、クールなロックンロールがあればよかったし、エキサイティングなプレイが見れればそれでよかったのだ。
僕たちにはやるべき事があった。
将来について考える、それだけが僕たちのやるべき事だった。
「このまま、3年生になって、どっかの塾かなんかに行って、そこそこの高校に入って、んでまた3年生になって、どっかの予備校か
なんかに行って、そこそこの大学に入ったり一浪したりして、んで4年生になって就職活動してどっかの会社に入って、何年かして
結婚したりなんかして、30歳位で親父になってどっかの郊外に30年ローンで家建てて定年まで働いて、当たり前のように病気になって
ああ俺は幸せだったなぁって死んでいくのは俺はイヤだ」
と、中学2年の夏、突然桜井冬樹は僕に言った。桜井冬樹というのは小学校の頃から僕と一緒につるむようになった苗字が桜なのに冬樹という
変わった名前をもつ、僕にとって唯一の親友だった。
僕たちは放課後いつものように帰り道にある大型レコードショップでぶらぶらとCDを物色したあと、となりにあるマクドナルドで
ぼんやりとハンバーガーを食べながら店内の女の子を眺めたりしていた。要するにやることがなかったのだ。
「なぁ、ヒロ、おまえは将来どうなるんだ?そうやって生きたいか?おれはイヤだ。俺は拒否する。あらゆる平凡を、だ。」
岡田博人というのが僕の名前でおそらくヒロトという名前の人間の80%はそう呼ばれる様に僕のあだ名はヒロだったが、まぁ名前の事はいい。
「お前ね、今俺たちがいるこの状況の、どこが平凡じゃないって言うんだよ?」と僕は冬樹の目も見ずに切り返した。
「そこなんだ」と、冬樹は言った。
「問題は今じゃない。これからどうするかだ。今俺たちは12歳の誰もがいてもおかしくない状況にある。で、ずうっとこのままっていうのは
俺は耐えられそうにない。じゃあ、どうすればいいか?」
まるでどっかの大学の教授みたいな言い方で冬樹は訊いてきた。
「平凡がイヤなら、とりあえず義務教育なんてのは放棄してどっかの発展途上国に地雷でも掃除しに行けばいい」と、僕は少し強く答えた。
「違うんだ、誰かのために生きるのはまっぴらだ。地雷なんか撤去したって喜ぶのは俺じゃない、俺は自分自身のために喜びたいんだよ」
キタキタキターーーー!!!
どれも続きが楽しみです。
その日は結局結論が出ないまま過ぎていった。夕べほとんど眠れなかった所為か、10時ごろに睡魔が襲ってきた。ベッドに入るとすぐに眠れた。
翌朝は7時ごろ目を覚まし、増田が迎えに来る午後3時近くまで悩んでいた。
「亮ちゃん、難しい顔。昨日の考え事の続き?」
香がアニキを抱きかかえながら心配そうに俺の顔を覗き込んだ。それをきっかけに俺は我に返った。
「そんなに難しい顔してる?」
香は頷きこう言った。
「うん、なんか今日、タバコのペースも早いし、ご飯もほとんど食べてないから。ワタシで良かったら相談に乗るよ」
その言葉に、いっそのこと香に打ち明けてしまおうかとも思ったが。それは神山と増田、両方を裏切るような気がしてはばかられた。
「心配かけてごめん。ちょっと仕事のことで考え事してたんだ。今日増田さんと会ったときに相談するから。香は心配しなくても大丈夫だよ」
俺は笑ってそう言った。その時インターホンが鳴った。
「本多さん、お迎えに上がりました」
相手はよく運転手をしている組員だった。俺は「すぐ下に行くよ」と答えて、香にウインクしながら「行ってきます」と声をかけた。香は投げキッスでウインクに応えた。
車内にはすでに増田が後部座席でくつろいでいた。組員が後ろのドアを開け、俺は増田の隣に腰を下ろした。
「本多、結論は出たか?」増田は笑顔で聞いてきた。その笑顔は、本人が意識しているのかどうかは分からないが威圧感があった。俺はプレッシャーを感じながら答えた。
「はい。増田さん、申し訳ありませんが今回は神山さんに協力します。組が金を取って俺を神山さんに貸している以上、今回は神山さんに付くのが筋だと思います」
増田が怒り出すだろうな、そう考えていたが、増田は冷静に言った。
「フン、筋は通っているな。お前の考え方、自分に酔ってるところがあるけど俺は嫌いじゃないぜ、
分かった。今回はうちの代打ちとガチンコでぶつかってきな」
増田の反応は予想外のものだった。「わがまま言って申し訳ありません」俺は増田に頭を下げた。
亮タン カコイイ !!
3.
「リオ・・・」
「これからディーラーの勉強いっぱいして、世界で1番のディーラーになるの。そしたら
お母さんにまた会えるような気がする」
「わかった。リオ、お前の気持ちはよくわかった。でも、今はダメだ」
真剣なまなざしで見つめるリオに向かってそういうのがやっとだった。
「リオ、今は普段の勉強に集中するんだ。普通の勉強も出来ない子はディーラーにはなれ
ないぞ。ちゃんと学校に行っていい子にしてる子だけがディーラーになれるんだ」
大きな手をリオの頭にのせ、くしゃくしゃにかき回した。リオは父親のこの愛情表現が大
好きだった。なでられた猫のように目を閉じて身をゆだねる。
「だからな、リオ。今はお母さんのことは忘れて普通の勉強をするんだ。大人になって、
それでもディーラーになることを諦めていなかったら、そのときはリオ、お前の好きにし
なさい。わかったね?」
「・・・うん・・・」
リオは顔いっぱいに不満げな表情を浮かべていたが。
>>816>>821 ありがd。常居タンが硬派でいってるので同じ路線もね、って思ってます。
いわゆる「萌え系」になっていくような気もしないでもありませんw
カジノ話はあくまでもオマケになりそうな悪寒。
>>822 ぶっちゃけ、続きまだ書いてませんwww自宅からうpできる環境がない
(ていうか正引き逆引きで蹴られてるorz)ので、うp頻度はかなり遅くな
ると思いまつ(´・ω・`)スマソ
なんかね、変に期待されると申し訳なくて・・・もすこし内容がかたまっ
て自信が出来たらコテ&鳥つけようかな、と。
>>828 ありがとう、頑張ります。
>>829 また臭いセリフ書いてしまいました。
続き書きます。
神山の店に入った時、部屋の中では神山と康が待っていた。
「神山、再戦の日取りは決まったか?」
開口一番、増田が神山に尋ねた。神山は冷静に答えた。
「はい、明後日の21時。場所は川越の前田屋という旅館に決まりました。増田さん、時間がありません本多さんを引き続き貸していただけますか?」
「ふーん、明後日か。いいぜ、本多を延長して貸しておく。ところで面子はどうなってる?また2対2とか3対1になるのか?」
「いえ、土地目当てに、2つの組が万田に参加することを要求し、万田も私たちも了承しました。その組が一人づつ代打ちを用意するようです」
神山の言葉に、顔色ひとつ変えずに増田は「そうか」とだけつぶやいた。俺は増田の腹芸にあきれるのを通り越して感心した。
その後、俺を貸し出す条件が話し合われた。今回は個人戦になった為、俺がトップを取り、賭けた金を得た場合追加料金が発生することになった。
「本多、頑張れよ。勝って追加料金発生させろよ」
増田が俺の肩に手を乗せて言った。俺は『このおっさんホントに芝居上手いな』と呆れつつ「頑張ります」と言った。
話し合いが終わったとき、俺は神山に聞きたかったことを尋ねた。
「神山さん。なんで俺にこの仕事依頼したの?麻雀の腕だけだったら俺とタメの人、ここの客にもいるのに」
俺の質問に、神山は少し考えてからこう答えた。
「本多さんの、負けてるときの打ち方が好きなんです」
「負けてるときの打ち方?」
「はい、腐らず熱くならず。冷静に事態を好転させようとする。そして必要なら、いくらでも大胆になれる。
それにお仕事柄、大きな場で打ちなれているから畏縮したり、変に気負うこともないでしょうから」
神山の賛美に、ケツが痒くなる思いだった。「期待に応えられるように頑張るよ」俺はその言葉を残して、増田とともに神山の店を辞した。
4.
7 Years Later(7年後・・・)
「リオ〜、ホント学校つまんないよね〜」
「そうだね〜。ホント眠くなるね」
はあ〜、学校は退屈の一言。いいかげん毎日毎日あんなに眠くなる授業ばかり受けてたら
頭がおかしくなっちゃう。隣の席にクリスが座ってなかったらあんな授業サボって近くの
公園でお昼寝でもしてるに違いないわ。
え?わたしが誰かって?
わたしは、リオ。どこにでもいる高校生の女の子(だと思うけど・・・)。この街で生まれ
てずっと暮らしてる。絵描きのお父さんと今は二人暮し。お母さんは・・・わたしが10歳
のときに家を出て行ったきり戻ってこなくなってしまった。お父さんはそのことを全然気
にしてないみたいだけど、何故かはわからない。お母さんがいなくなった後、わたしの心
の中にあるのは「ディーラー」という言葉だけ。わたしとお母さんを繋ぐのはそれしかな
いから。お父さんが気にしてないのには何かワケがあるに違いない。だからわたしは
「ディーラー」になってお母さんが何故いなくなったのかを確かめたい。それだけを胸に
この7年間を生きてきた。
なーんて、堅っ苦しいことはナシナシ。もちろんソレも大事だケド、今はクリスと仲良く
ランチ食べに行ったり、ショッピングしたり、時には学校の男の子のことについて話しを
してみたり。そんなことをして過ごしてるのが楽しいのよね。クリスはわたしよりちょっ
と背の低い金髪のかわいい子。太陽がとっても似合うわたしの一番大事なフレンド。でも、
クリスってキレると手がつけられないのよね・・・敵には回したくないかも。わたしには
教えてくれてないけど、実は既にボーイフレンドがいるとかいないとか。休みの日、あま
り遊んでくれないのよね。なんか「忙しいから、あとでっ!」とか言っちゃって。電話の
先からなんか銃の音やらすごい轟音が聞こえたりするのはわたしの気のせいなのかしら。
クリスに聞いてみても「な・い・しょ」とか言ってまともに取り合ってくれないし。
そんな楽しい高校生活、楽しい友人との時間も終わりを告げようとしていたのに気づいた
のは、数日後のこと・・・
神山の店を出て駐車場の近くまで歩いた、俺が「失礼します」といいかけたとき、増田が口を開いた。
「本多乗れよ、お前の家まで送るぜ。それとよ、今面白いこと思いついたんだ」
後部座席に乗り込み、増田はキャスターマイルドに火を点け、笑顔で言った。
「本多、今回の勝負俺と握らないか?うちの代表とお前で点数の多いほうが勝ち。50万ぐらいでどうだ?」
「増田さん、相手もわからないのに受けるほど、俺は間抜けじゃないですよ。組からは誰が出てくるんですか?」
握っても構わないが、相手による。例えば遠藤が相手なら苦戦は免れないだろうし。組で最強の佳代さんが出てくるようなら、玉砕覚悟で闘わないといけない。
「うちの代表は長塚だ。お前も一度はやってみたい相手だろ?」
長塚は、俺より2週間早くデビューした若手の代打ちで、周囲からは俺と遠藤そして長塚が若手の三羽烏と呼ばれている。
「…長塚が相手ですか…面白いですね。どっちが上か、一度大舞台でやってみたい相手ですね」
俺は増田にそう答えた。答えながら、俺は長塚の風貌を思い浮かべた。
長塚は180を越える長身で、プロレスラーのような体つきをしている。その外見からは大味な麻雀を打つような印象を与える。だが、実際は非常に冷静で緻密な麻雀を打つ。一筋縄ではいかない相手だ。
「決まりだな」
増田はそう言うと右手を差し出した。俺はその手を握りサシ馬は成立した。車は俺の住処に向かって走っていた。
住処で降ろしてもらった俺は、気合を入れなおし、この勝負の必勝を誓った。
再勝負でも俺が打つと決まった瞬間から、調整は始まっていた。
調整などというと、大げさに聞こえるかもしれないが、平常心でいつもどおりの生活を続けるだけだ。
バイニンの中には、酒や女を断つ者もいる様だが、俺は我慢しない。下手に欲求を抑えると、ストレスが溜まり心にゆとりを持てないからだ。
いつもと同じく、香と酒を呑み、馬鹿話で盛り上がる。馬鹿話はじゃれあいに変わり、お互いに気分が高まったところでヤル。欲求が満たされ、心にゆとりが生まれるのを感じ、二人同時に絶頂に達した。
一戦終えると、俺たちは枕を並べまた馬鹿話を始めた。30分ほど経過すると、香の反応が鈍くなり、やがて寝息を立て始めた。
香を起こさないように、慎重にベッドから降りて、冷蔵庫からビールを取り出した。右腕一本で缶を開け、のどを鳴らしビールを流し込んだ。
「かーっ。美味すぎ」
のどが渇いていたので、飲み下した瞬間に思わず声が出た。今の俺は、心のゆとりと良い意味での緊張感、このバランスが絶妙なものになっていて、気合も充分に入っていた。
時計が午前3時を指し示した頃、睡魔が襲ってきた。俺は慎重にベッドへもぐりこみそのまま眠った。
俺が目を覚ましたのは、正午だった。充分な睡眠を取って、心地よい目覚めだった。
この日俺は、部屋から一歩も出なかった。香と馬鹿話、そしてアニキと遊ぶことによってゆとりを持ち。報酬のことを考え、緊張感も注入できた。
この日は、午前4時ごろまで起きていて、午後2時30分まで寝ていた。あくびをしながらベッドから降りると、香がこう言った。
「亮ちゃんおはよー。今夜のお仕事きっと勝つよね」
香の表情は興奮していた。無理も無い。成功すれば500万の勝負だ、興奮しないほうがどうかしている。
「任せておけよ。今の俺は絶好調だぜ」
俺も興奮を抑えられずに、顔を赤らめていた。
838 :
( ´∀`)ノ7777さん:04/10/24 09:52:52 ID:qw6ihMzW
さ 拙 / ,、r'";;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`';,、 ,r';;r" _ノ
く 者 L_ /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;\ ,';;/ ) お 隣
ら //;;/´ `' 、;;;;;;;;,,l;;' /ヽ 主 ど
ん. /.,';/ ヽ;;;;,l;L_ .,,、,--ュ、 ';;;;;;;;;i と お
ぼ l |;|┌--‐フ ┌----、、 |;ヾr''‐ヽ, ,、ィ'r-‐''''''‐ヽ ';;;;;;く し
i |l ~~__´ 、 ``'__''''┘ |;;;;;l rO:、; ´ ィ○ヽ 'i;;;;;厶,
l _|. <,,O,> 〉 <,,O,,> |;;;;;| `'''"/ `'''''"´ !;;;;;;;;ヽ
._ゝ'|. / 、 |; ,' / 、 |;;;;;;;;;;;;;レ、⌒Y⌒ヽ
「 | | ( ) .ソ l ,:' _ ヽ .|;;;;;;;//-'ノ
ヽヽ | _,ニ ニ,,,,,_ ', ゞ,' '"'` '" i;;;;;i, `' /
⌒レ'⌒ヽ厂 ̄ `| ,、ィ-‐''__'''‐-`,、 '' ', i、-----.、 `''"i`'''l
人_,、ノL_,iノ! ', :i゙''''''''''`l' ` _人__人ノ_ヽ ヾ゙゙゙゙ニニ'\ ,' ト、,
/ ヽ. L__」 「 止 笑 L_ ヽ〈 i| Vi゙、
ハ ワ {. ヽ. -、、、、 ' ノ ま い 了゙, ,ヽ===-'゙ ,' , // ヽ
ハ ハ ヽ. ハ ) ら が | ',.' ,  ̄ , ' ノ /./ ヽ,
ハ ハ > /|ヽヽ、___,,,,、 'く ん > ヽ.  ̄´ / ,、 ' / / \
ハ ハ / ノ. | ヽ フ / ノ:lゝt-,-‐''" / ,.ィ゙ /
神山が迎えに来たのは、19時ちょうどだった。車に乗り込むと、神山が口を開いた。
「本多さん、今回は本多さんに全てを任せます」
「ああ、ブタバコに放り込まれて、逆に気合がみなぎってきた。神山さん、大船に乗ったつもりで安心していいよ」
神山は「頼りにしてます」と言い、車は川越に向かって順調に進んでいた。
前田屋には20時前に到着した。応対に出てきた仲居に神山が名乗った。「お連れ様が杉の間でお待ちです」仲居に先導され俺たちは「杉の間」に入室した。
部屋の中には、康が待っていた。俺の姿を認め、康が近づいてきた。
「本多さん、この前の勝負で本田さんの実力は分かりました。今夜もあの調子でお願いします」
俺は康の肩に手を置いて、こう言った。
「任せてください。あの日以上に気合が入っているんで安心してください」
俺の言葉に、康は安心したようで、何度も「お願いします」と言い続けた。
「杉の間」でお茶を飲んだり、菓子を食いながらまったりと開始時間を待っていた。康が買ってきた芋羊羹を食っていると、部屋の電話が鳴った。
神山がその電話に出ると、「はい。分かりました」と答え、受話器を置いた。
「本多さん、全員そろったようです。場所は萩の間。行きましょう」
俺たちは部屋を出て、神山兄弟を先頭に、「萩の間」へ向かった。
(*´д`*)ハァハァ 楽しみデス
>>840 期待に沿えるように頑張ります。
続き書きます。
「萩の間」には、人相の悪い連中が集合していた。長塚のほうに目をやると、そばに神山と面識の無い児玉という幹部が立っていた。
神山と面識の無い児玉を寄越したということは、うちの組がこの勝負に噛んでいることを、神山に悟らせないためだろう。
俺はすぐに二人から視線をはずし、タバコに火を点けた。
「小僧、また貴様か」
はずした視線の先には、万田が会田、岡部、美人秘書といった連中に取り囲まれ座っていた。
「ジジイ、この前はよくもはめてくれたな。たっぷりとお礼をさせてもらうぜ」
俺の言葉に、万田は醜い顔をさらに醜くゆがめ、こう言った。
「今回は岡部が打つ。貴様に地獄を見せてやる」
俺はジジイの言葉を聞いて、こう言い返した。
「ああ、そうかい。今回はサツは呼べない。貴様に地獄を見せてやる」
俺の言葉にジジイは顔を真っ赤にした。いい年こいて単純なジジイだ。からかうと本当に面白い。
最後の集団は見覚えの無い顔が並んでいた。こいつらが、勝負を申し込んできたもうひとつの組の連中なのだろう。
その中に、不気味な雰囲気を漂わせた25,6の女がいた。『この女が代打ちなのか?だとしたらかなり打てる要注意だ』
「さてと、始めようぜ」
児玉が長塚を促し、長塚が卓に近づき、そのゴツイ手の中で4枚の風牌をかき回した。
俺と岡部そして女が裏になった風牌に手を伸ばした。女が東を引き、無言で着席した。西を引いた俺が対面に座り、岡部が女の上家に腰掛けた。
長塚が席に座ると、女がサイボタンに触れた。サイコロは5,6俺の起家だ。俺は起家マークをセットして、サイボタンに手を伸ばした。
5.
「きゃはは、そうなのよ〜」
「そうなの?リオ、あったまわる〜」
例によって例のごとく悪友(とでも言うべき)リオとクリスの学校からの帰り道。それは突
然の切り出しだった。
「でもさあ、もうすぐ高校ともお別れよね。なんかやっぱり長いようで短かったね」
「う、うん。そうだね、クリス。なんかはやかったよね」
「あたしたち、いつまでも友達よね。あたしがどんな人間だったとしても、あたしと友達
でいてくれる?」
「え?どういうこと?いつまでも友達だけど・・・」
突然のクリスの問いかけに言葉を詰まらせたリオ。
「どうしたの?クリス。突然そんなこと言うなんて・・・らしくないじゃない」
「う、ううん。ちょっと、ね」
「クリス、わたし達何も隠し事しないって誓い合ったんじゃないの?なんでそんなに中途
半端なこと言うの?」
「うん・・・ごめん、リオ。実は・・・」
当人達はまったく気づいていなかったが、今まで晴天だった空はいつのまにかどす黒く、
雨雲に変わっていた。雨が降るのは時間の問題なようだった。
内容がない上にどこまで書いたか分からなくなる(´・ω・`)
更新遅くなってすんまそん。っていうか挫折しそうだよママン・・・
>常居殿
わしは何も言わずとも毎日楽しみに見ておるからのぅ。
がんばってくれたまえ。
>>843 ありがとう、頑張ります。
>>846 期待に応えられるように頑張ります。
続き書きます。
サイの出した目は4ゾロ。長塚の山から切り出された。配牌はこんな感じだった。
四五六八八BDF239北□□ ドラ二萬
『白を鳴ければ絶好の形だが…』
この面子が、簡単に字牌を切ってくるとは思えない。苦戦を予感しながら9ソーを切った。
予想通り字牌が高い展開になった。半チャン5回の長くない勝負だ。この展開は充分予想できた。
5巡目、俺は1ソーを持ってきて、鳴かれることを覚悟しながら北を切った。
字牌を切ったことで、一瞬場の空気が重くなった。だが、誰も動かず、岡部が牌山に手を伸ばした。
俺の北切りをきっかけに、他の3人も動き始めた。俺の手が早いと読んでの行動だろうが、字牌が切り出され始めた。
7巡目、岡部が小考して白を切った。俺は間髪をいれずそれを喰った。
「ポン!」
俺の鳴きで場に緊張感が走る。手の高低にかかわらず、今回のような勝負では先制打が重要だ。俺は鳴いたことで一歩リードできたと感じた。
7ピンを切ってカン4ピンの聴牌。岡部が鋭い目つきで牌山に手を伸ばした。
「…失礼…」
岡部はまた小考して7ピンを切った。恐らく廻し打ちだろう。動きは無く、女が牌山に手を伸ばす。
「…リーチ」
女が手から一萬を出し曲げた。ここは俺が和りを目指し、他の3人がそれを阻止する展開になる、と予想していた俺は意外な感じがした。
『どういうつもりだ?確かに俺の手は安い。だが、まだ真正面から向かってくる状況じゃないだろう。和れる確信でもあるのか?』
長塚が降り気味に北を切った。女は動かない。俺は『4ピン持ってこい』と祈るような気持ちで牌山に手を伸ばした。
わくわく
盲牌した瞬間、それが4ピンであることが分かった。右腕一本なので華麗とはいえない動作で牌を倒す。
「ツモ、500オール」
小さいが先制できたことにほっとしながら、女をチラッと見た。彼女は無表情で牌を崩し、それを流し込んでいた。
『惜しいな、よく見ると美形なのに。あの無表情は綺麗な分、不気味さをかもし出すな』
などとくだらないことを考えながら、ツミ棒を出し、サイボタンに触れた。
サイコロが1と6を上にして止まった。対面に座る女の山から切り出す。初っ端は連荘を重視した打ち方だったが、一本場はある程度の手を狙いたい。
四五六八@CD(赤)E55東西北中 ドラ1ピン
楽しみな手になりそうな配牌だ。鳴かれても構わないと考えながら北を切り出した。
北に喰いつくものは無く、場は静かに進んだ。8巡目でこんな手に育った。
四五六七八@CD(赤)E4556
言うまでも無くドラを頭に、高め三色となるのが最高だが、そう都合よく行くとは思えない。それよりも三六九萬を先に引いて、つまらない手になる可能性のほうが高い。
俺がこの手をどのように持っていくか、と考えていたとき、長塚の切った發に岡部が喰いついた。
「ポン」
岡部が動いたことで流れが変わった。割と順調に来ていた俺の手が伸びなくなった。
ツモ切りを繰り返し、流れてしまった。岡部の一人聴牌。69ソー待ちの發のみ。俺は場の空気が、非常に重たく感じられ、軽い疲労感を覚えた。
東二局、女が5巡目で岡部からクイタン赤1を直撃。ソッコーを決めて岡部の親を流した。
和って親番を持ってきた女は、相変わらず無表情のままサイボタンに触れた。サイコロは1と4、女は流れるような手つきでドラをめくり配牌を取っていった。
俺の配牌はあまり魅力的なものではなかった。
二六九@DG599東西西中 ドラ1ピン
『…チートイかトイトイ。どっちにしても育てるのに苦労しそうだな…』
第1ツモは九萬。とりあえず一歩前進。無難に8ピンから切り出した。
俺はこの時、他の3人に大物手が入らないことだけを祈っていた。
ほとんど点棒が動いていないこの状況で大物手を成就されると、そのまま流れを掴まれてしまう可能性が大きい。ここは凌ぐことが重要だ。
廻しながら打ち進めて9巡目、3人に動きは無く、聴牌の気配も無い。廻しているうちに俺の手が妙にまとまってきた。
六九九@D99東西西□中中
どうやらこの局が、一回戦のターニングポイントになりそうだ。俺は追い風が吹いているのを期待しつつ牌山に手を伸ばした。
6.
山の天気のように、いきなり雨が降ってきた。近くを歩いていた人波が一斉に動きを早め、
あるものは店の中へ、あるものはカバンを頭上にかかげながら雨に対抗している。2人は
とりあえず手身近な店の軒下に立っていた。ちょうどその店は休みだったようで、ぴっち
りとシャッターが閉まっている。立ち話をするには十分な空間だった。その間にも人の波
はエサを見つけた蟻のようにせわしなく動きつづけているようにみえる。ただ、2人の目
にはまったくその光景は入っていないようであったが。
「怒らないで聞いて。リオ、実はあたし、これでリオとお別れしなきゃならない」
「・・・どうしたの?突然」
リオはそういうのが精一杯だった。使い古された疑問系のセリフ。
「リオとはもしかすると二度と会えないかもしれない。そんな遠いところに行かなければ
ならなくなったの」
2人は顔を見合わせることもなく、ただただ降る雨を見つめながら話を続ける。
「ごめん、ホントに・・・理由は話せない。もしリオと再び出会えたとしても・・・」
「出会えたとしても?」
「その時は、リオの敵になって現れているかもしれない!それでもリオ、あたしのこと友
達でいてくれる?」
当然のことながら、リオにはクリスの言っていることがまったく理解できていない。クリ
スがどこかに行ってしまうのは百歩譲って理解できる。しかし、何故次に会うときは敵に
なっているのか・・・リオはこのとき初めてクリスが泣いているのを見た。いつも明るく
太陽のような少女だったクリスが泣いている。まるで外で降る雨と連動しているかのよう
に。今降っている雨はクリスの涙なのだろうか。とめどもなく降る雨とクリスの涙。
「なんでクリスがそんなこと言うのかわたしには分からないけど、わたしはずっとクリス
の友達よ。二度と会えないからって、敵になったってわたしはクリスの友達よ」