★☆巨人の星part31☆★

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客のまばらなパチ屋で巨人の星を打っていた。
お昼過ぎ。島にはぼく一人。
128超えたらやめようて帰ろうと思っていた。
ふらふらとやってきた女の子が隣に座る。ぼくが128やめした台に。
「や〜りおった」
客のまばらなパチ屋に君の台の一徹の声が響く。
君は淡々とリールを止めるだけ。
せっかく1000円で引いたのに、コインがなくなってしまって追加投資しようとする。
「そろえてあげようか?」
たまらなくなってぼくは声をかけた。
こくりとうなずく君。
「よかったね、ビッグだよ」
君はちょっと笑った。
打ち方を教えてあげながら、気づくとぼくの台は128を超えていた。
彼女の連荘が終わるまで。
ぼくは隣でゆっくりと打っていた。
君の連荘とぼくのハマリ。
ぼくのコインがなくなったとき、君の台が128を超えた。
「128超えたらもうやめてもいいと思うよ」
君に言い残してぼくは帰った。
翌日、島にはまたぼく一人。
昨日と同じぐらいの時間に君はやってきた。
またぼくの隣に座る。前にいた人が128やめした台に。
「あっちの台のほうがいいんじゃない?800回ぐらいまでにくるかもよ?」
ひとつ向こうの台が600回ほどで放置されていた。
「昨日はありがとう」君は恥ずかしそうに言う。
「はじめて打った台で勝てました。だから今日もこれを打つの」
ぼくはちょっとうれしかった。
負けてもいいから。君と話ができるなら。

その日はお互いのことをちょっと話ながら打った。
ぼくが仕事をやめて今プー太郎なこと。
君がちょうど転職前でひまだったこと。
意外と家が近かったこと。
ぼくは本当に楽しかった。

やりおったで始まった恋。
ぼくは仕事を始めた。
毎日が楽しかった。生きる目的があるってすばらしい。
あのやりおったの日から半年。君は仕事をやめた。
一緒になる準備をするために。
ぼくらの住む家を探し、ぼくらが使う食器を買い、ぼくらが寝るベッドを探してくれた。
ぼくは仕事が忙しく、全部君に任せっきりだった。

その日、君は区役所へ行っていた。婚姻届をもらうため。
朝から機嫌のいい君。
ぼくは君を見ているだけで幸せだった。

区役所の帰り、神様は間違いをおこした。
君はトラックにはねられて、短い一生を終えた。
たった一瞬の不注意、ほんの少しのわき見運転。
まだまだこれからだったのに。
一緒にハワイに行く約束したよね。
子供は一人でいいって決めたよね。
二人の名前から一文字ずつ取ろうって話したよね。
幸せそうに笑っていた君の笑顔はもう戻らない。

今日ぼくは久々に巨人の星を打ちました。
君が隣に座ってくるのを待ってた。
ずっと待ってたよ。
誰も座ろうとしない、右の台。
君のために空き台になってたのに。
ひとりじゃつまんないよ。
君が笑ってたから、ぼくも輝いていられたのに。

やりおったで始まった恋。
ぼくの中でまだ生きてるよ。
もう少し待ってて。いずれぼくもそっちに行くから。
そしたらこっちでできなかった続きをしよう。
(ノД`)∴
↑コピペだろうけど、泣けた。
122( ´∀`)ノ7777さん:03/11/02 00:33
泣いたー
123118:03/11/02 00:51
実話です。
空気読めなくてごめんなさい。


さみしい。。。