【ストク】花火百景part2【確定?】

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215憲男
ちょっと長くなるが、聞いてくれ。

俺がスロットを打ち出したのは、4年前くらいか。
ちょうど初代ハナビが出て、ホールでは圧倒的な人気を
誇っていた頃だったな。
そもそも自分でいうのもアレだが、性格的に真面目な部類に入るオレが
パチ屋にいったのは一番仲の良かった友達Kから誘われたからだった。

Kはオレにスロットをやるようになって欲しいらしく、熱心に誘われたよ。
「一緒にスロットやろうや、絶対おもしろいけん。」
なんて言われて最初は渋々ついて行ったっけな。

やり始めたときは「なんか金がスゴイ勢いで無くなりそうだな・・・」と
心配していたら隣からKが「オイ!多分はいっとるぞ!」と
嬉しそうな顔をしてオレに言ってきた。4千円くらい使った所だった。
「赤七見える?狙ってみろよ」と言われるがままに4,5プレイくらい
かかって狙ったら「七七七」ってなったよ。台がビカビカなって
知らない間に手のひらが汗で濡れてたっけな。

「とりあえず、左から押していけよ。」なんて先生っぽく、得意そうに
教えてくるKの言葉を頼りにたどたどしく消化していったら
なんかリプレイが揃って、急に一枚がけしか出来なくなってた。
「これがな、ボーナスゲームって言うんよ。さっきのやつは小役ゲーム
で、これが・・・・云々」という説明を「???」って感じで聞きながら
やってたな。

結局その日はドル箱2/3くらいで3万円も勝ってしまった。今思うと
あそこのホールはやたらデカイ箱を使っていたんだな。
換金所でピン札数枚を握り締めたオレを見てKはニコニコしながら
「な!?おもしろかったやろ?」と言って、ホールの目の前にある
ガストで晩飯をおごってくれた。
216憲男:03/03/07 01:53
それからオレはスロットにのめりこんでいったなあ・・・。
最初の2回くらいはオヤジ打ちで、そのうちDDTなるものを教えてもらい
ながら必死に打ってたよ。(結構目押し力はあったらしい。)
そうしてしばらくそんな日々が続いた。
そしてついに登場したのがハナビの後継機で大量獲得機である大花火だった。

Kとオレは新台入替の初日から店に並び、大花火の魅力にメロメロに
なりながら毎日のようにパチ屋に通ってた。
Kは本当に大花火が好きだった。
やがて来たAT機ブームの中でも、資金さえ許せばいつも大花火を打っていた。
「やっぱ、ATはダメやな。通常時が全然おもろくないもんな。」
などといいながらいつもタバコを大花火の下皿に投げ入れていた。

いやあ、ホントにKとは大花火をよくいっしょに打ってたなあ・・。
二人とも同じ日に万枚突破したり、二人とも大負けしたり、ホントに
いろんな思い出があるよ、大花火には。

この前、Kが電話で興奮しながら「オイ!オオハナの後継機がでるらしいぞ!!
その名も花火百景だってよ!!」と言ってきた。
それからKは顔を合わせるたびに
「早く花火百景出ねーかなー。早く打ちてー」
と期待に胸を膨らませながらあーだこーだと話していた。
オレもそんなKを見て、早くKに花火百景を打たせてあげたい気持ち
になっていた。
こんなに待ち焦がれてるヤツはそうそういねーだろーな、なんてな。
217憲男:03/03/07 01:53
5日前、Kの母親から電話があった。
Kがバイクで事故って病院で治療中だという。
かなり動揺しているようで、なかなか話が要領を得ない。
なんとか病院名を聞いて速攻で車を走らせた。
病院に着くと、Kの両親がいた。なんでもケガ自体はそこまでひどくないのだが
ガソリンが漏れて引火して全身に重度のヤケドを負っているらしい。
そんなドラマみたいなことありえるんか?そう思いながら両親と一緒に
治療室の外で待っていた。
一体何時間待ったのかわからない。そんなに長い間じゃないのかもしれない。
治療室を出てきたKは体中を包帯みたいな布でグルグル巻きにされていた。
しばらくするとKの意識が戻った。

白衣みたいなのとマスクをもらってKと話をした。
「よう、分かるか?オレだ、○○だ」
Kはわずかにうなずいて、
「オレ、ダメなんかな?」
「アホ、大丈夫やって。ヤケドの跡は残るやろうけどな。」
「そうやな、花火百景打ちに行くんやもんな」
「おう、そうや。はよ元気になって一緒に行こうや」
「ああ」
「じゃ、もう行くぞ。きついやろ?」
と言ってオレは病室を出て行った。

結局これがKとの最後の会話になった。

いつ花火百景が入るのか分からんが、Kの弔いのつもりで
打ちに行くよ