いつもの時間に起き、いつもの店に向かうボク。
狙い台はもちろんキングパルサーだ。
スロプーを始めてからもう何日経ったのだろう…?
以前は普通のサラリーマンをしていたボクだが
上司に毎日のようにいびられ、仕事に行くのをやめた。
仕事をしていた時も当然スロットはしていたが週に1,2回程度だった。
今では毎日のように…いや、毎朝行っている。
これが今のボクの唯一の収入源だからだ。
キングパルサーで稼いだ金で家賃、電気、ガス、水道、車のローン諸々を賄っている。
そして今日もキングパルサーで稼ぐつもりだった…
A.M.9:00だ。
「いらっしゃいませぇ〜」
店員の声に導かれるように開店と同時にキングパルサーのシマに向かう。
…ん?何かが違う。
台に何か貼られていた。
『新台12:00開放』
なんと今ごろキングパルサーの増台をしていた。
一体どうなってるんだ?
ボクは腹が立った。
ナゼ新台なのに…新台なのに「黒」じゃないんだっ!?
緑のキングパルサーが6台増台されている。
一列が緑一色になっていた。
「リューイーソー…役満か…」
そんなくだらないことを考えながらも、
「たまには違う台でもやって時間潰そう」
とも思い、ボクは以前やっていた「サラリーマンキンタロウ」のシマに向かった。
とりあえず1万円を崩しシマを見渡す。
思ったよりもガラガラだ。
おっさんが一人、カップルらしき男女が一組、若い女性が一人。
さすがにまだ誰も当たっていない。
ボクがキンタロウにハマっていた頃は朝イチから混んでいたものだ。
ボクは何も考えずに適当に座った。
下皿にさっき崩した1000円札を9枚置く。
そして1枚はサイフにしまった。
キンタロウはいつも3000円単位で打っていた。
端数が出るのがイヤだったからだ。
3k使ったところで台が叫んだ。
「いくぜぇぇっ!!」
バイク演出だ。
ハッピと金マーク
左リール枠上に青7を狙う。
ずるっ…中段まで滑った。
ハ ッ ピ だ っ た。
ちぇっ…。がっかりしたのもつかの間、数ゲーム打つと今度は
「ヒダリィ!」
と台が叫ぶ。
また枠上に青7を狙う。
ビタッ!!…メット、リプ、バーの目で止まった。
「ミギィ!」
がっかりしてボクはバーを揃えた。
でも他を見渡すとまだ誰もボーナスを引いてなかった。
「…ボクが一番最初だったのか…でもレジじゃぁな…」
するとさっきまで離れた場所に座っていた若い女性がボクの隣りに座った。
チラっとこっちを見るがすぐに台に集中し始めたようだった。
結局ボクはレジ分すべて飲まれ、またお金を使い始めた。
その時だった。隣りの台が叫ぶ。
「金〜太郎〜!銀座へ直行じゃぁ〜〜!」
豹柄姉さんから発展している。
目を見ると中段ハッピテンパイだ。
隣りの女性は野球拳に勝つ前に777を揃えた。
「はぁ…」
なんか鬱になり、ついため息を吐いた。
すると、
「うふっ♪隣りですぐに出しちゃってごめんねっ♪」
隣りの女性が話し掛けてきた。
「え…?あ、うん」
唐突に話しかけられたのでびっくりしたボクは、目を真ん丸くして答えた。
彼女は更に続けた。
「最近のこの店の傾向は、レギュラー引いた右隣りの台、すぐビッグくるんだよっ」
それって遠隔か…?
と、ボクが言いかけると、
「なぁーんて、アタシのオカルトなんだけどねっ♪うふっ♪」
そう言いながら彼女はビッグを消化し始めた。
なんなんだ、このコは…?
みるみる飲まれ始めているボクは、少しムっとした。
でも
これが
ボクと彼女の運命の出会いだったとは
まだ気づいていなかった…。
「シンジとナナ篇」 第1話 完
412 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/04 23:49
相変わらず適当に書いてしまったが
前の展開と同じにならないように
違う展開になるようにがんがりまつ。
今日はここまででつ。
乙。
414 :
( ´∀`)ノ7777さん:02/12/05 01:40
一度ageますね。
脳内1さん、いつも乙カレーです。
次回も期待してます。
>>412 なんか実際のパチ屋でありそうでなさそうで、あって欲しいような展開ですねw
頑張ってください!!
シンジ新作キタ──────(゚∀゚)────── !!
「うふっ♪隣りですぐに出しちゃってごめんねっ♪」
ナナ萌え〜(*´д`*)
脳内1氏の書く文章は口元がほころぶ・・・。
417 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/05 16:13
いつもはキンパルで冷静な立ち回りをしているボクだが
さすがにキンタロウは手強い。
未だビッグが引けない。
レジを引いては飲まれ、また現金投資の繰り返し…。
一体いくら使ったのだろうか…
その時だった。
「金太郎チャンス!!」
隣りの台が叫んだ。
「キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」
隣りの女性も叫んだ。
く香具師い…なぜボクが当たるのはレジだけなんだ…。
携帯の時計を見ると11:34だった。
もうすぐキンパルの抽選が始まる。
ボクは席を立とうとした。
「あれ?やめるのぉ?」
隣りの女性がボクに聞いてきた。
「え?あ、キングパルサー打ちたいから…」
そう言ってボクはキンタロウのシマを離れた。
カウンターに行くとすでに数人並んでいた。
ボクも列に加わる。
暫くすると抽選の時間になった。
後ろを見たが2人しか並んでない。
すると店員が言った。
「好きな番号札を持って席についてお待ちください」
どうやら並んでいる人数が台数より少なかった為、抽選はしないらしい。
カウンターに並べられた札の中から狙っていた台の番号を取ると、ボクはキンパルのシマへと向かった。
「20番…20番…っと。」
角から3番目の台。
昨夜、閉店間際にチェックしにきたが、1000ちょっと回って終了していた。
据え置きでもおいしいし設定変更されててもおいしい。
もともと今日ボクが朝イチに狙っていた台だ。
開放時間と同時に隣りの席に女性が座った。
「さっきはドーモっ♪」
キンタロウのシマで隣りに座っていた女性だった。
420 :
( ´∀`)ノ7777さん:02/12/05 23:49
脳内1氏、乙でつ!!
チト足のニウォイが気になる?モンでつ
これらのアイデアはいったい!?
表情豊かな文章とアイデアに脱帽でつ
いま途中まで読み続けてまつ
もすこし時間がある時に完璧に読破しまつ!
ガンガレ〜感想はあちらで詳しくまた述べますね、ども。
隣りの女性は更に話し掛けてくる。
「実はアタシもキンパル打ちたかったんだぁ〜♪」
なんでこのコはボクに気安く話し掛けてくるんだろう?
とも思いながら
「金チャン入ってなかったっけ?」
と聞いた。
「あー、ダメダメっ単発30で糸冬了したのぉ…」
それでも十分うらやましい。
でも今度はボクのテリトリーだ!
ナゼかボクは隣りの女性にライバル意識を持ち始めていた。
数ゲーム回すと
「きゅるるきゅるるっ」
7匹演出だ。
「…ぱしゃーん…」
即帰り。
次ゲームに期待してレバーを叩いたその時だった!!
『コーンコーンコンコン…コロコロ…』
なんとレバーがポロリと落ちた。
キンパルを打ってて一番腹が立つ演出だ。
しかもドットは静かだ…。
ボクは回るリールを止めずに落ちたレバーを探していた。
「うふふっ♪」
隣りの女性が笑っている。
なんだよこいつは…。
かなり遠くまでレバーは転がっていた。
席に戻ってレバーをくっつける。
さてリールを止めようか…
ストップボタンを押そうとしたが、リールが勝手に止まった。
「デン!デン!ぎゅろろぎゅろろ…ぎゅるるぎゅるる…でれれでっでっででぇ〜ん♪」
なんとカラ回し状態で3匹カエルが出現っ!
ららららっきぃ〜♪
恐る恐る中リールを止める。
7降臨キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
嬉しかった。
1kで当たったことも、ビジだったことも嬉しかったが
隣りの姉さんより早くビジ引けたのがなにより嬉しかった。
「早かったねぇ〜」
と、隣りの女性。
なんでそんなに余裕なんだろう…。
ボク一人でライバル意識を持って
彼女より先にボーナスが来て
ちょっと「ザマアミロっ」って思った自分が恥ずかしかった。
違うのか?
ボクが間違っていたのか?
少し鬱になりながらボクはビジを消化した。
いつものようにベルハズレ判別をする為に
「ベル回数」と「ハズレ回数」ごとに台の間にメダルを積む。
ビジ消化して一度もハズレが無かった。
ベルは14回。
まずまずの出だしだった。
ふと隣りの姉さんの回転数を見る。
73回。
すると隣りの姉さんがまた話しかけてきた。
「あ〜あっ…ダメだったなぁ〜…そっちはすぐに引けていいねっ」
「う、うん。タマタマだけどね。すぐに来てよかったよ」
ボクも少しココロに余裕ができたようだ。
素直に受け答えた。すると、
『ぴょんぴょんぴょんぽてっ』
ボクの台でいきなり右カエルがコケた。
隣りの姉さんも見ていたようだった。
「あぁ〜っまた来たねっおめでとぉ♪」
「いやぁ〜」
ニヤケながらボクは赤7を揃えた。
「羨ましいわぁ〜…アタシも早く当たらないかなぁ〜…」
さすがにちょっと元気がなくなってきている。
ボクはまたベルハズレを数えながら消化した。
ハズレ0ベル12…
なんだか期待してしまう数値だ。
ノドが乾いてきたのでボクは飲み物を買いに行った。
「あ、なんか飲む?」
少し打ち解けてきたので、ボクは隣りの姉さんに飲み物をおごろうと思った。
「おごってくれるのぉ〜?うふふっありがとっ♪じゃぁ、冷たいミルクティっ」
「うん、わかった。…ちょっと待ってて」
そう言ってボクは自販機に向かった。
こうして他の客と話しながら打つのも悪くないな…。
そんなコトを思いながらミルクティのボタンを2回押す。
『ゴトン…ゴトン…』
ミルクティを取り出そうとしてから、それがホットだったコトに気づく…。
「あちちっ」
仕方なくボクはもう一本、今度は間違えないように『冷たい』ミルクティのボタンを押した。
…とほほ。。
「ほいっどーぞっ」
「ありがとぉ〜♪」
ミルクティを渡してから彼女の下皿にメダルが少々あることに気づいた。
「あ、当たったの?」
「うんっ♪レギュラー当たったのっ!これからパルチャンよぉ〜♪あ、いっただっきまぁ〜すっ」
『カシュっ』
彼女は缶を開けた。
『カシュっ』
ボクも熱いミルクティを飲む。
「あれ?2つも買って来たのぉ?」
台の脇にもう一つ置いたミルクティを見て彼女はそう言った。
「あ、う、うん。間違えて温かいの買ってしまってさっ」
「わざわざまた別に冷たいの買ってきてくれたって…コトぉ?」
「う、うん」
こんなショボイ間違い、できればバレたくなかったな…
と思ったが
「ウレシ―♪結構優しいんだぁ?」
「そっそんなコトないよっ」
「うふふっ♪あ、アタシ、ナナっ♪」
「あ、ボクは、シンジ」
「シンジ君かぁ…よしっ!今日はがんがろ―♪」
「おうっ」
なんだか知らないがボク等は意気投合していた。
暫く打つと、
『びよんびよんびよんびよん…げごごげごご…』
ナナさんの台のカエルが鳴いた。
目を見てみると
オ 回 リ
ベ 転 ベ
リ 中 オ
バ←枠下
の7匹演出でのニ確目だった。
きっと枠内BARから滑ったのだろう。
ナナさんが叫ぶ。
「ビジキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」
なんだかこっちが恥ずかしくなる…
と、ボクの方も7匹3連…ちょいアツイ。
静かにレバーを叩く。
『ぴょんぴょんぴょんぴょん…』
右カエルで4連っ!!
ベリバ狙いハサミ打ちで止めるとBARが下段にテンパイ…。
恐る恐る中リールにBARを狙ってボタンを押す。
「はぁ…」
レジだった。がっかりしてレジ消化していると
「うふふっ残念だったねっ」
ナナさんがボクを慰めながらビジを消化している。
その時ボクはココロに誓った。
『ナ ナ さ ん に だ け は 負 け た く な い っ!!』
それからというもの、ボクの台もナナさんの台も順調に出ていた。
そしてお互い2箱と下皿になり、100回転を超えた時にナナさんが言った。
「あぁ〜アタシ、お腹空いてきたなっ休憩休憩♪」
時計を見ると3時だ。
「ねねっシンジ君も一緒にゴハン食べに行かない?」
「え?」
ナナさんからの突然のお誘いにびっくりしたが、
「あ、うん、いいよ」
ボクも食事休憩するコトにした。
第2話 完
429 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/06 01:25
今日はここまでにしまつ。
430 :
( ´∀`)ノ7777さん:02/12/06 02:42
なぜかいつも、読み逝ってしまう。
ねら〜用語に、リチ目まで飛び出して・・・
ガンガレ脳内1さん。
エロは無しの方向でな〜。
>脳内1さん
いつもいつもお疲れさまでつ。
なんか、とってもほのぼのした展開ですね。
これからもガンガッテ下さい。
ってことで、期待age。
432 :
( ´∀`)ノ7777さん:02/12/06 12:48
>>1 さん 楽しませてもらってます。 内容すごいイイ!!
これからもがんがってください!! 缶
433 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/07 01:48
>>430 エロは書けないのでそのやうな展開にはなりませんでつ…
>>431 ほのぼのした展開と言うよりもむしろまたーりした展開に…。鬱。
>>432 まだまだガンガルでつっ!
434 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/07 01:49
今日は遊んできて疲れたので脳内ドラマはお休みでつ
435 :
( ´∀`)ノ7777さん:02/12/07 02:39
おもろいっすね。
マイペースでがんがってください。
もうすでにナナのあそこはグチョグチョに湿っていた・・・
食事休憩というのは、ボクのティムポを下の口で食べるということだった。
「で、出るっ!!」
ドピュ!!
はぁはぁはぁ・・・・
ナナの膣内に精液ストックを全放出した漏れは
ナナに言った
「もう帰っていいよ」
ナナは帰った
どうですか?
漏れの小説はなかなか読ませる文章だと思うのですが・・・
スレ汚しカエレ!
440 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/07 03:39
。・゚・(ノД`)・゚・。
441 :
( ´∀`)ノ7777さん:02/12/07 03:42
しかたがないのでナナとかいう34歳元ホステスを寝てる間に川に流した
442 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/07 03:44
あまりこのスレ荒れないで欲しいでつ…
おやすみなさい
なんか、ちょっとアレ気味だね。
残念...。また、明日からガンガッテね>脳内1◆SHzlU2rkKAさん
444 :
脳内1 ◇SHzlU2rkKA :02/12/07 06:13
川に流れたナナは泳いで岸にたどり着きスロ屋に戻ったが
すでに1時間以上経過しており、空き台整理されてしまっていた・・・・
2箱あったコインもすでにシンジに換金されていたのだった。
「仕方ない・・・オナーニでもするしかないわね・・・」
ナナはそう呟くとホールの女子トイレに入った。
「ああーっ!!!マンズリ気持ち(・∀・)イイ!!!!」
ナナは潮を吹いた。
つづく
445 :
( ´∀`)ノ7777さん:02/12/07 06:14
446 :
( ´∀`)ノ7777さん:02/12/07 09:40
ツマンネーヨ
447 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/08 00:53
>>444 偽者さん…困りまつ
違う名前で書くのは構わないんでつけどね。
荒れると書きづらいでつ。
トリップで偽者だってわかるから、まだましだけどさ。
こういうスレは、荒らさないで欲しいな。
脳内1◆SHzlU2rkKA さんの文章が
好きで読みに来てる人が、かなりいるんだからさ。
449 :
( ´∀`)ノ7777さん:02/12/08 05:17
偽物がたまにエロ文章書いたぐらいで、文句いってんじゃねー!!!
ここは2ちゃんだぞ!?
450 :
( ´∀`)ノ7777さん:02/12/08 05:27
>>449 逝ってヨシ!
脳内1◆SHzlU2rkKAさんがんがれ!
449 名前:( ´∀`)ノ7777さん 投稿日:02/12/08 05:17
偽物がたまにエロ文章書いたぐらいで、文句いってんじゃねー!!!
ここは2ちゃんだぞ!?
∧_∧ ッパシャ ッパシャ
( )】
. / /┘
ノ ̄ゝ
452 :
( ´∀`)ノ7777さん:02/12/08 07:12
/ミヽ /ミヽ ミミミ /川川川\ミミミ
|||@ノハヽヽ@||| ミミ〇川||/ ヽ|||||〇ミミ
ミ/川 \l||||彡 |川\ / 卅川
|||||\ / 卅||| (|| ・ , ・ ||) ここは2ちゃんやで〜
|⌒|(|| ‘ , ‘ l|) |⌒|ヽ"ヘ "ノ(⌒ヽ
ヽ ⊃ゝ" ヘ"ノ| ヽ ⊃入ノ| ⌒ ⊂ 丿
, /_/入ノヽ ( ノ / / ★ ( ヽ─゛
/● ● ●丿/=/ ヽソヽ★ ★\|
|● ● 入ノ ヽノ , _)★ ★ ヽ
ヽ__ヽ/ ̄ ̄ヽ / ̄| __ヽ/___|
\ ヽ─ / ,\ / /
ヽ )/ ̄/ (__( ヽ゛
/─-/‖ ̄ヾ). \─ヽ
《ヽ=ヾ  ̄ ̄ =ミ 》
\___) (___/
453 :
( ´∀`)ノ7777さん:02/12/08 07:21
444のつづきが読みたい
454 :
( ´∀`)ノ7777さん:02/12/08 08:05
2chらしからぬ、口直し的役割のこのスレを汚すなよ!
>>1さんガンガレ!
455 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/08 21:13
取りあえず店を出る。
雪がパラパラと降ってきていた。
「シンジ君はなにか食べたいのあるぅ?」
と、ナナさんが聞いてくる。
「ボクはなんでもいいよ、ナナさんは何食べたいの?」
薄着をしてたボクは、小刻みに震えながらそう言った。
「うふふっ寒そうだねぇ〜♪」
震えるボクを見てナナさんが言う。
「はは…さすがにこのカッコは寒いっス」
「じゃっラーメン屋さんでも行こうかっ♪」
「おk」
「向かいのラーメン屋さんでいいよねっ」
「うんうん」
そう答えてボクが先に進もうとすると、
「あ、待って」
ナナさんがボクを呼びとめる。
『バサッ』
そして傘を広げた。
「さっ入って入って♪」
ナナさんはそう言ってボクの腕に絡みながら傘に入れてくれた。
「ふふふっ♪しゅっぱ―つっ」
一つの傘に二人で入ったのは何年振りだろう…。
少しドキドキしながらボクはラーメン屋さんに向かった。
横断歩道の信号を待っているとナナさんが
「つもるかなぁ…」
と呟いた。
「天気予報だと今週はずっと雪マークだったよ」
「アタシ、週刊天気予報見てなかったなぁ〜。今日は降るって言ってたから傘持ってきたのっ♪予報見といてよかったっ♪」
「ボクは車だから普段傘なんて使わないや」
「アタシは近所だから今日は歩いて来たのぉ〜」
そんな話をしているうちにラーメン屋さんに着いた。
『カラカラカラ…』
「ラッシャイ!」
景気のイイ店員の声が飛び込んでくる。
カウンターに座ると
「なぁ〜ににしよっかなぁ〜♪アタシ、ココに来るの初めてなのっ」
ナナさんがメニューを覗きこみながらそう言った。
「ボクはここのラーメン屋さんはミソが好きだな」
そう言うと
「あっアタシもミソ好きぃ〜〜♪」
「んじゃ、ミソにしようか?」
「うんうん♪」
注文が決まったので店員を呼ぶ。
「すいません」
「ハイヨ!」
いかにもラーメン屋さんらしい受け答えだ。
「あ、ミソ2つおながいしまつ」
「ハイ、ミソフタチョォ〜」
「アイヨォ〜」
店員はそう言うと、ミソラーメンを作り始めた。
ここのミソラーメンは野菜とひき肉をふんだんに使っていることで有名だ。
そして自家製ブレンドのオリジナル味噌。更に、コクのあるスープ。
『これはスパゲティか?』とも思わせるような太麺。もちろんコシもある。
何度もテレビや雑誌に載っているのでかなり流行っている。
『ゴクリ…』
「ヘイオマチィ〜」
すり鉢のようなドンブリに入ったミソラーメンがボク等の前に置かれた。
「おいしそぉ〜〜〜〜〜っ♪」
ナナさん、すでに箸を割って待っていた。
「んじゃ、食べよう」
「うんっ♪いっただっきまぁ〜〜すっ♪♪」
うん、やっぱりここのミソは美味い。ボクが感心していると
「きゃぁ〜っ!なにこれっ!すっごく美味しいっっ!!」
ナナさんが驚いていた。
それもそうだ。ボクも初めて食べたときはこの味に驚いたものだった。
「でしょっ?ここのミソは美味いんだよ」
「キンパルには勝てるし美味しいラーメンに出会えるし、今日はサイコ――っ♪」
ラーメンって、好みがあるけど、ナナさんも気に入ってくれてボクも嬉しかった。
よく人に『あそこのラーメン最高だぜ?」と言われて行ってみるが、「ん?」と思うことが多い。
みなさんにもそんな経験ありませんか?
…あれ?ボク、心の中で誰に話しかけてるんだろう???
ボク等が楽しく食べていると、店員が話し掛けてきた。
「アンチャン、今日ハ一人ジャナインダネェ〜」
「え、あぁ、まぁ…」
ちょっと照れながら答える。
「相変わらずここは美味しいですね」
ボクが言うと
「アンチャン、誉メタッテサービスシナイヨ〜」
と言われた。ケチだよな。まっ商売だしな…
「シンジ君、ここの常連なんだぁ?」
ナナさんが聞いてくる。
「うんうん、週に1〜2回程度だけどね。」
「いつも一人で来るんだぁ〜?…彼女いないの?」
いたら一人でなんて来ないって…と言いたかった。
前に付き合ってた彼女にこっぴどい振られ方をしてから、ボクはずっと独りだった。
親しい友人や幼馴染も上京してしまって、年に1〜2回くらいしか帰って来ない。
こうして他人と食事なんて、ホントに久しぶりだ。
「彼女なんていないよ。ナナさんは彼氏いるの?」
今度はボクが聞いてみた。
「いるよっ♪」
ナナさんはあっさり答えた。
なんだ。ボクはちょっとショックだった。
「今日はアタシだけ休みだったから、夕方から会うのっ」
「そ…そっか、んじゃ、それまで打ってるんだ?」
「うんうんっ♪デート資金稼がなくちゃっ♪」
「そ、そだねっ!じゃぁ、食べたコトだしもう一稼ぎしよーかっ」
「うんっ♪」
ボク等はラーメン屋さんを出て、またパチンコ屋さんへと向かった。
雪は更に勢いを増していた。風が無いのが幸いだ。
『バサッ』ナナさんがまた傘を開いた。
そしてまたボクの腕に絡めてきた。
イマドキのコって平気でこーゆーコトするのか…。
さっきはドキドキしたが今度はなんだかブルーになっていた。
第3話 完
462 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/09 00:39
今日は短めでつ。
うぐぅ。彼氏いるのかよ。
なんだかなぁ〜(藁
続きキボンヌ。ガンガッテね。
464 :
( ´∀`)ノ7777さん:02/12/09 08:52
またまた面白い展開になってきますたね。
続編を期待しつつ保全age
465 :
まき ◆1oDpaQGRrs :02/12/09 10:35
久し振りに覗いたら新しいの始まっているよ〜それもかなりイイよ〜(^∀^)ガンガレ〜
466 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/09 13:19
>>463 そうなんんでつ!
彼氏いるんですよね、おれもびっくりしまつた。
>>464 ありきたりな展開になるかもでつがどんどん書いていきまつ。
>>464 お久しぶりでつ!
これからもがんがって書きまつ
467 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/09 13:29
再び打ち始めるとすぐにナナさんの台が当たり始めた。
「ふふふっ♪今日は調子イイよっ」
ゴキゲンなナナさん。
一方ボクの方はと言うと、ハマリ始めた…。
でもベルハズレで設定判別してみたが6くさい。
ビジ8回で7%ほどだ。
ここで追うかどうしようか…。
辺りを見まわし、良さそうな台を探す。
…が、これといって良さそうな台もない。
帰ろうかな…。
そう思ってると
「シンジ君の台、当たらなくなったねぇ〜…。でも、きっともうすぐ来るよ!」
と、ナナさんが言った。
「そ、そうかなぁ?もうだめぽな気がするんだけど…」
「そんなコト言わないで、もうちょっと打とうよ!アタシ、もう少ししたら帰るし、シンジ君の台が出なかったらアタシの台に移ればいいじゃんっ♪」
「あ、デート?」
「うんっ!」
ナナさんの台に移動できるのなら…
そう思い、ボクはもう少し打つコトにした。
はまってビジ、はまってビジを繰り返しているうちに箱の一つがなくなりかけた。
「なかなか連チャンしないねぇ〜」
ナナさんが慰めのコトバを言う。
やはりあの時やめていれば…
一体スロットを始めて、何度この言葉を思ったコトだろう。
そう思いながらたらたら打っていると、ナナさんの台に巨大ガエルがっ!
「キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」
ナナさんがまた叫ぶ。
「ねねねっシンジ君!アタシ、このビッグ消化したら帰るから、この後座りなよっ♪」
「え、いいの?」
ボクが聞く。
「うんっ♪もう行かなきゃだしっ」
「そっか、ありがとっ」
ボクは上に置いてある箱を取りだし、下皿のメダルを箱に移し始めた。
「じゃ、アタシ帰るねっ!今日は一緒に打ってくれてありがとっ」
ナナさんが席を立ってそう言う。
「うん。ボクも楽しかったよ。」
「ふふっ♪また一緒に打てるといいねっ!」
「ボクなら毎朝いるから、ナナさんを見つけたら声掛けるよ」
「うん、うん、アタシもシンジ君見つけたら声掛けるぅ♪」
ニコリと笑ってナナさんが言った。
笑顔がとても印象的だ。
小さい頭に大きい瞳。
白い肌にやや明るい茶色い髪。
もしあんなコが彼女だったら…
いやいや、ボクにはとてももったいない。
知り合えただけでも儲けモノだ。
「バイバイっ♪がんばってねっ」
「うん、ありがとっ」
そしてナナさんは帰って行った。
「さぁ―て、ナナさんがくれた台を打つかっ」
ビジ後0回転からのスタート。
『きゅろろきゅろろ…』
いきなり7匹演出だ。
『びんっびんっびんっびんっ』
第一リールを止めてもまだ残っている。
きてるのか?きてるのか??おっと、機種が違う。
ボクは気合いを込めて第二リールを押した。
『ぎゅろろぎゅろろ』
まだ残っている!しかも、ベリバのトリテン!2確!
1ゲーム解除なんて長いこと打ってて初めてだ。
ナナさん、ありがとう…
感謝の気持ちを込めてボクは第三リールを止めた。
『ぐぇっぐぇっぐぇっぐぇっ♪でん!ででれでっでっででぇ〜ん♪』
パルチャンランプ点灯!
BARを狙ったがチェベチェまで滑った!
そしてボクは次ゲームで7を揃えた。
「ナナさんサイコ―♪」
心の中でそう叫び、ボクはビジを消化した。
その後も順調に伸び、箱は4つ目になっていた。
「ここまで出ればもういいや。」
128まで回し、ボクは席を立つ。
ボクが最初に座っていた台は、数人が打ったがほとんどの人が飲まれていた。
今日はラッキーだった。
ナナさんというかわいいコに知り合え、しかもそのコが出てる台をくれた。
更にその台が連チャン。美味しすぎる一日だ。
ボクはゆっくり目を閉じ、心の中で
「ゴチソウサマデシタ」
と、台に向かって感謝した。
最初に座ったキンタロウが10000枚オーバーしていたのを見ないようにボクは店を出た。
第4話 完
472 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/09 14:06
やっとシンジ&ナナ篇の一日目が終わりました。
今回も長そうでつ…
474 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/09 14:27
>>473 お久しぶりでつ
これからもがんがりまつ
それから数日経ったある日のこと…。
今日は月に一度のイベントデーだった。
ボクはいつものように朝イチにパチンコ屋さんに並んでいた。
「シ―ンジ君♪」
「あ、ナナさん…久しぶりっ今日は休みなの?」
「うんうんっ♪だって今日はイベントでしょっ!この日に休みを取らずにイツ休むのっ♪ふふっ♪」
「気合い入ってるねぇ〜」
「だってアタシ、スロット大好きだも―ん♪」
「ボクも、スロット大好きだよっ」
「ふふふっ」
「アハハ」
そんな話をしているウチに開店の時間が来た。
ボクはいつものようにキングパルサーのシマへ行く。
ナナさんも今日は最初からキングパルサーのようだ。
「がんばろうねっ♪」
ナナさんはボクにそう言いながら台選びを始めた。
「オマエモナー」
ボクがそう答えると、
「シンジ君も、2ちゃんねらなんだぁ?ふふふっ」
と言った。
あぁ…ナナさんもちゃねらなのか…。
どおりでボーナス来る度に『キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!』と言ってるハズだよな。
思わず納得してしまった。
早速打ち始めるが、何か様子がおかしい。
ほぼ席は埋まってるハズなのに、ボクが30ゲーム回しても、ボクどころか他の人も当たらない。
今までは3〜4台は当たっていた。そう、この店は毎日設定変更していた。
だから今までボクはこの店に毎朝通いつめていた。
それなのに、今日、月に一度のこの日に限って、誰もボーナスを引かない。。
すると隣りで打ってる数人のウザが
「あぁ〜、ブルリプだよ。ストックねぇな、これ」
と話しているのが聞こえた。
いまどき『ブルリプ=ストック無し』と考えてる香具師もいるんだな…。
「シンジ君!」
ナナさんがボクの後ろに来て話しかけた。
「ん?どーしたの?」
ボクが聞くと、
「今、アタシの台、ブルリプ来たんだけど、ひょっとして今日、ストック飛ばしてるんじゃないのかなぁ…?」
あ ん た も ブ ル リ プ 信 者 か … 。
と言いたかったが、そっとしておいてあげようと思い、
「確かに今日のキンパルは変だね。まだ誰もボーナス来てないし…。」
「うん、ガセイベントなのかなぁ…。ぶぅ…。」
さすがに12月は回収月なのか…。
「今日はやめた方がいいみたいだね」
「だよねっ」
ボク等は店を出ることにした。
「あ、これからどうするの?」
ボクがナナさんに聞く。
「せっかく有給取ったのにぃ…」
そこまでするか…?
「どこか別の店に行く?」
ボクが尋ねると、
「シンジ君はどうするの?」
「う〜ん…ボクはスロット以外することないから…」
つまらない人間だと思われただろうか…?
「アハっ♪無趣味ぃ〜♪」
ぐっさり…。鬱だ。氏のう…。
ボクが鬱になってると、
「ふふふっ冗談よ、冗談っ♪アタシも似たようなもんだから…」
「休みの日はいつも…?」
「うん、彼と休みが合わない時は、大抵スロットしてるよっ」
最近こーゆーコが独りで打ってるの見るけど、そーゆーコトだったのか…。
「じゃ、どこか別の店に行く?」
とボクが誘うと
「うぅ〜〜〜ん…。やめとくっ!」
と、あっさり断られた。しかたない、一人で移動するか。
「じゃぁまた…」
と言ってボクが車に乗りこもうとすると、
『ガチャ…バタン!』
なんと助手席にナナさんが乗ってきた。
「シンジ君!どこか遊びに行こう♪」
「ほぇっ!?」
「だってぇぇ〜〜…ヒマなんだも―ん♪」
「ボ、ボクは別に構わないけど…」
「じゃぁ、ケテーイ!ワショーイ!」
「あ、うん、おk。ドコか行きたいトコはある?」
「うぅ〜〜んとぉ〜〜〜…オマカセっ♪」
ニコリとナナさんが笑う。
ボクは心拍数が一気に上がるのを感じた。
ナナさんの笑顔って、とてもカワイイ。
…でも彼氏持ちじゃぁなぁ…。
「アタシ、買物したぁ―いっ」
『オマカセ』と言っておきながらナナさんはボクをデパートに誘導していた。
「何か欲しいものあるの?」
ボクが聞くと、
「え?買ってくれるのっ!?」
と調子のいいコトを言ってきた。
なんでボクが彼女でもない、たった2回しか会ったコトのない人に買ってあげなきゃいけないのだ…?
「あんまり高くなければいいよ」
「ホントにぃ!?冗談で言ってみただけなのにぃ〜〜♪らっきぃ♪」
NOと言えないボクのバカ――――!!!
「アタシ、服が欲しいっ!」
ボク等は洋服売り場へ向かった。
…トホホ。
「これ、どうかなぁ?」
ナナさんが洋服を体に当てる。
「うん、似合うよ」
「じゃぁ、これは?」
「うん、似合うよ」
「んじゃ、こっちは?」
「うん、似合うよ」
「そればっかりかいっ!!!」
ナナさんに突っ込まれたが、実際ナナさんはどんな格好も似合っていた。
「どぉ〜れにしようかなぁ〜♪スンスンスーン」
鼻歌を歌いながらナナさんは洋服を選んでいる。
女のコの洋服売り場なんて何年振りだろう…2年…いや、3年かな。。
前に付き合ってた彼女、アスカに連れて来られて以来だ。
『ドン!』
おっと、女のコにぶつかった。
「あっゴメンナサイっ」
そのコを見てボクはびっくりした…
「ア…アスカ…っ!?」
「シっシンジ!?」
第5話 完
481 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/09 17:26
こんな展開にしてみますた
482 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/09 17:54
今気づいたが、シンジとアスカってなんかにカブってるな…。
乙!
いいペースで話が進みますね。スゴイ。
鼻歌が「♪スンスンスーン」なのがワラタ。
484 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/09 18:14
>>483 今日は休みなのにいきなり朝負けたので素直に帰ってきてヒマしてました。
「シンジ君〜〜っ♪アタシ、これに決めたっ!…あれ?お友達ぃ?」
ナナさんが服を決めてきたようだ。
「え、あ、うん…」
ボクは歯切れの悪い返事をした。するとアスカは
「あら、彼女さん?仲良さそうねっバイバイっ」
と言ってそそくさと帰って行った。
「あっアス…」
呼びとめようと思ったが、呼びとめて今更なんになるんだろう…?
と思い、言葉を飲みこんだ。
「あらぁ〜…アタシ、なんか勘違いされたみたいねっ」
「ううん、いいんだよ、別に」
「ふぅ〜〜ん…」
一瞬の沈黙の後、
「…今のコ、元カノでしょ?」
ナナさんがするどく指摘した。
ギクリとしたボクの表情を読み取ったのか、
「やっぱりぃ〜♪そんなカンジだったもんねっふふふ♪」
ナナさんはニヤニヤと笑った。
ボクって顔に出やすいのかな…
値札をチラリと見ると
\13,000-
と書かれている。
思ったより安くてよかった…。
ボクがホっとしているとナナさんが
「やぁ〜ねぇ〜♪そんな高いの買ってもらえないってぇ〜」
と、ボクの背中をツンと押した。
アハハ、なんかまるで恋人同士みたいだ。
「はい、ドーゾ」
ボクがナナさんに渡すと、
「シンジ君っありがちょっ♪アタシ、すっごく嬉しいっっ!」
と、ナナさん。
買ってあげてよかったと思った。
「ねねっシンジ君!ゴハン食べようっ♪」
「あぁ、そーいえばそんな時間だね」
「ココのデパートのレストラン街に、すっっごく美味しいパフェがあるのっ!!」
え?今、パフェって言った…?まっいっか。
ボク等はデパートの最上階へと向かった。
レストラン、スパゲティ屋さん、ソバ屋さん、ラーメン屋さん、カレー屋さん。
さすがに色々な種類のお店がズラリと並んでいる。
「シンジ君はぁ、パスタは好きぃ?」
ナナさんが首を傾げて、ボクの顔を覗きこむような姿勢で話しかけた。
その仕草にちょっとドキっとしながらも
「うん、カルボナーラが好きなんだ」
「よし!ケテーイ!」
ボク等はスパゲティ屋さんに入って行った。
中に入ると、まるでジャングルをコンセプトにしたように、樹木や小川があり、鳥の囀りが聞こえる。
窓が無く、少し暗めの照明がムードを駆り立てている。
「昼メシにムードも何も関係ないよな…」
ボクはぽつりと呟く。
「ン?何か言った?」
「え、ううん、なんでもないなんでもないっ」
「いらっしゃいませぇ〜♪こちらへどうぞっ」
ウエイトレスに導かれるままボク等は席についた。
「シンジ君はぁ、カルボナーラだよねっ」
「うんっナナさんは決まった?」
「ちょっと待ってね、デザートのパフェは決まったんだけど…」
やはりそっちがメインのようだ。
「アタシは、サーモンとキノコのクリームスパゲティにするっ!」
暫くするとウエィトレスがやってきた。
「ご注文はお決まりでしょうか?」
「あ、サーモンとキノコのクリームスパゲティと、カルボナーラ…あと、パフェだっけ?」
ナナさんに振る。
「うんっ!食後にぃ、『雲の王国』っ!」
なっなんだそれは…?
メニューを見たが、写真は載っていなかった。
「後、ボクは食後にレモンティを…」
「はい、かしこまりました」
雲の王国…。一体どんなパフェなんだろう…?
うんっ!中々の出来だ。
カルボナーラを食べたボクの、率直な感想だ。
「こっちのパスタも美味しいよっ」
口に頬張ったまま、ナナさんが話す。お行儀悪いぞ。
「シンジ君、この店初めて?」
「うん、このレストラン街に来たことはあったけど、別の店にしか行った事無かったよ」
「美味しいでしょぉ〜♪彼女出来たら、連れてきなよっ」
「あ、はい…」
釈然とした気分で答える。
別に今、彼女なんて欲しいと思ってないし、作る気もなかったからだ。
暫くすると、ウエィトレスがやってきた。
こ…これが…
「『雲の王国』です、お待たせいたしましたぁ〜」
すごいっ。
バスケットボールくらいはあるのではないかと思うほどの大きなワタアメが乗っている。
パフェの部分なんて見えやしない。
「これが美味しいんだってばぁ〜♪」
そう言ってナナさんは『雲の王国』を食べ始めた。
「この中の、アイスの部分がねっ、パチパチするのっ」
「パ…パチパチ?」
ワケがわからずボクが聞くと、
「うん、口の中で、パチパチするのっ♪カミナリをイメージしてるんだってっ♪」
…なるほど。そう言う美味しさか。
つまり、味ではなく、演出。口の中での演出効果が目的のパフェ…すばらしい。
「これねっ早く食べないとワタアメが溶けちゃうのっ」
ナナさんはそう言って黙々と食べ始めた。
ボクは静かにレモンティを飲んだ。
『雲の王国』はみるみるうちにナナさんの胃袋へ消えていった…。
「はぁ〜〜っっ!美味しかったっ♪」
満足そうなナナさん。
一緒にいる人が満足していると、自分まで満足した気分になる。
「美味しかったね」
ボクが言うと
「でしょでしょっ♪ココ、アタシのオススメなんだぁ〜♪」
ナナさんは得意気だった。
会計を済ませ、ボク等は車へ戻った。
「これからどうしようか?」
ボクが尋ねる。
「ん〜〜〜〜〜〜…どうしよぅ?」
曖昧な返事だ。
「後どれくらい大丈夫なの?」
「ん〜〜〜何時まででもっ♪」
あれ?
「カレと会うんじゃなかったの?」
「シンジ君といると楽しいから、カレとのデート、断ってもいいよっ」
はいっ??
ボクがキョトンとしていると
「アハっ♪じょ、冗談よぉ〜〜っ♪やぁ〜ねぇ〜♪」
…カラカワレタ。。ちょっと喜んだ自分がバカみたいだった。
「でも、シンジ君と一緒にいると、楽しい…ってのはホントだよっ」
「へっ?」
「うん、ホントっ♪」
ナナさんの偽り無い笑顔にボクはドキドキした。
結局ボク等は帰るコトにした。
ナナさんのアパートまで送る。
ホントにパチンコ屋さんのすぐ近くだった。
「今日はありがとっ♪この服、大事にするねっ」
「いやぁ、こちらこそ、楽しかったよ」
「あ、シンジ君っ携帯番号とアドレス教えてっ」
「え、うん。えっと、0990の…」
「Q2かいっ!!!」
ボクのボケにナナさんが鋭く突っ込んでくれた。
「ふふふっ」
「アハハっ」
くすくす笑いながら番号とアドレスを教える。
「よしっ登録完了!ありがとっ!あとでメールするねっ♪」
「うん、わかった」
ボクはナナさんに別れを告げると、アクセルを踏んだ。
予想外な一日だったなぁ…。
家に帰り、ベッドに転がりながらそう思った。
そして小1時間ほどボクは眠りについていた…
『…にょーにょーにょー♪にょーにょーにょにょーにょ♪
にょーにょーにょー♪にょーにょーにょにょーにょ♪』
キンパルの着メロの音で目が醒めた。
「ナナさんかなぁ…?でも、今ごろ彼氏と会ってるハズだけど…」
そう思いながら携帯を開く。
『アドレス変わってなかったんだね』
送り主は…アスカだった。。
第6話 完
494 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/09 20:54
ちょっと疲れたので一旦休憩でつ。
495 :
( ´∀`)ノ7777さん:02/12/09 21:29
>1
乙。
2ちゃんねら丸出しの会話がオモロイっす。
496 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/09 21:31
「ウエィトレス」って…
ウェイトレスだよね…鬱だ。
497 :
( ´∀`)ノ7777さん:02/12/09 21:34
>>495 どもでつ。
文章書くのは意外と疲れるので誤字脱字が多いでつけど
気にしないでください。
498 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/09 21:46
はうっ…
>>497に名前入れるの忘れてました…。・゚・(ノД`)・゚・。
驚いた。
なんで今ごろアスカからメールが…。
もう吹っ切れたハズの想いが蘇ってきそうになった。
件名 「アドレス変わってなかったんだね」
送り先 アスカ
内容は…
ボクはメールを開いた。
『今日、久しぶりにシンジを見て、なんとなくメールしてみました。
彼女…出来たんだね、おめでとう(^0^)
アタシはね…振られちゃったっ(T_T)』
何を今更…ボクの友人のコトを好きになり、ボクの元を去って行ったのに
なんでメールなんてしてくるんだっ!!
…と言う怒りと同時に、少し嬉しかった。
振られたコトのある人は、この気持ち解ってくれると思う。
ボクも返事を出す…。
『久しぶりっ!
あのコは彼女じゃないよ^^;
パチンコ屋さんで知り合った友達だよ。
彼氏いるしね。
そっか、ジュンタに振られたか…
ザマーミロッ♪( ´,_ゝ`)プッ』
「ちょっとヒドイかな…」
とも思ったが、送信した。
すぐに返事が来た。
『ヒッドーイっ!
アタシが落ちこんでるのにぃ!o(>□<;)o
シンジったら、相変わらずだね( ̄m ̄)プ
仕事はまだ、続けてるの?』
更に返事を出す…。
『仕事なんかとっくに辞めたよ。
今は働いてないよ^^;
アスカは今、仕事は何してるの?
まだ花屋さん、続けてるの?』
すぐにまた返事が来た。
…アスカもヒマなヤツだな。。
『うん、まだ続けてるよ♪(^0^)
シンジは仕事してなくて、生活どうしてるの(?_?)』
また返事を書く。
『今はスロットで稼いで生活してるよ。
そっか、まだ花屋さん続けてたんだ?
アスカに振られてから、あの街には行ってないから…
今度近くに行ったら寄ってみようかな』
送信。
…またすぐに返事が来た。
『うんっ♪おいでよっ!
お店、最近結構ヒマになって退屈ぅ〜(>_<)
スロット、まだ続けてたんだ?
それで生活してるなんて、すごいじゃんっ!
今度教えてよっ♪』
なんだか昔の関係に戻ったような錯覚になってきた。
『ボクは毎日ヒマだから、いつでもスロット教えられるよ』
送信。
暫くしてまた…着信。
『ホントにっ?
じゃぁ、来週の火曜!』
をいをい、急だなぁ…とも思ったが
『OK!
ボクの行くパチンコ屋さん、覚えてる?
開店前から並んでるから、おいでよ!』
と送った。
『うんうん!わかった!
楽しみにしてるねっ♪』
来週アスカに会える…!!
なんで一度こっぴどく振られたのに、ボクはこんなにウキウキしてるんだろう…。
なんだかんだいって、ボクはまだアスカのコトを引きずっていたのか…。
情けない。
数日後…
今日は月曜日。
アスカと会えるのは明日だ!
朝イチに並びながらルンルン気分(死後)でいると
「シンジ君っ♪」
「あ、ナナさんっ!久しぶりっ!…あ、その服っ」
ナナさんが来た。
しかも、この前ボクが買った服を着ている。
「へへぇ〜♪どう?似合うぅ?」
あの、たまらない笑顔で聞いてくる。
「うんっ!似合ってるっ!!」
「ふふっ♪ありがとっ♪今日もがんがろぉ〜!」
「お、おうっ!」
そして開店時間が来た。
「今日はっと…」
予め狙っていた台に向かう。
すると、隣りにナナさんがやって来た。
「今日はシンジ君の隣りで打とぉ〜〜っと♪」
そう言って席についた。
先週のイベント以来、店は通常どおり毎日設定変更していた。
「この前はボッタクリイベントでやられたから、今日は勝たなくちゃっ♪」
ナナさんが気合いを入れてる。
ボクも負けられない。
ライバル心を燃やしながら打っていると、ナナさんが話しかけてきた。
「シンジ君、明日…ヒマぁ?」
「え…?」
「アタシ、連休もらって、今日明日休みなの…」
「あ、そうなんだ?」
「シンジ君、ヒマだったら、明日、どこか行かない?」
「うん、いいよ。ドコ行こうかっ?」
と言ってから、ボクは明日、アスカと約束してたコトに気づいた。
「ホントにぃっ?嬉し――――っ♪」
…しまったっっ!!!
第7話 完
505 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/09 22:55
そろそろ寝まつ。
続きはまた今度。
506 :
( ´∀`)ノ7777さん:02/12/09 23:42
507 :
まき ◆1oDpaQGRrs :02/12/10 01:18
いや〜今日はいっきに進みましたね〜イイ〜やっぱイイでつね〜(^∀^)ハナシカワルケドサイキンミセガサムイネ・・・
新作キタキタキタキタ━━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━━!!
おひさっす♪
乙っす♪
ガン( ゚д゚)ガレっす♪
ようやく折り返しですなぁ。
密かに応援sage
いい展開でつね。
これからも良作よろです。
511 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/10 14:58
>>507 昨日はヒマだったのでガンガン書きますた。
確かに最近どの店も出さなくなりますたね。
おれも、この間までは勝ってたけど先週辺りから回収されてまつ…
>>508 お久しぶりでつ。
あっちの方、がんがってください。
>>509 応援どうもでつっ!
>>510 良作になるかどうかわかりませんが、がんがりまつ。
今日は読みに来れないので、
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
俺様用しおり
∧_∧
( ´∀`)< 今日はここまで読んだ
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
脳内さんこれからも良作よろしこ。
乙〜〜。
ドキハラな展開になってきましたね〜〜。
あっちでまたユキタン借りて続き書いてまつ。
514 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/11 00:23
>>512 あはは、栞挟んでもらえて嬉しいでつ
これからもよろしくでつ
>>513 使ってもらえると嬉しいでつ
515 :
( ´∀`)ノ7777さん:02/12/11 00:32
ある意味凄いが、この情熱をほかの事に向ければ・ ・ まあこんな奴らが二チャンの宝なのだが・・有る意味・・・
516 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/11 00:41
「あ、あの、ナナさん、やっぱり…」
ボクがアスカとの先約があったコトを話そうとした時だ。
『ズゴゴゴゴゴゴ…ザッパ――!!』
ナナさんの台に巨大ガエルが降臨した。
「キタ━―━―━―(゚∀゚)━―━―━―!!」
ナナさんが叫ぶ。
「シンジ君!やったよっ♪今日も、よっしゃぁぁぁ〜〜だわよっ!」
興奮気味のナナさん。
あぁぁ…断るタイミングがぁ…。
まぁいいや、ナナさんがビジ消化してから話そう…。
すると、ボクの台の第3リールが…
『ガクン』
…ブルった。
ボクは心の中で
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
と、叫んだ。
でもハサミ打ちなのでビジ確定ではない…
どっちだ!?
ボクはビタ押しが出来ないので、中押しで一発判定は出来ない。
左リールの単独BARを狙う。
ずるっ!
オベリまで滑った。ボクは再び心の中で叫ぶ。
キタァァァァァァ(゚∀゚)ァァ( ゚∀)ァァ( ゚)ァァ( )ァァ(` )ハァ(Д`)ハァ(;´Д`)ハァハァ
最初のボーナスはやはりビジじゃないと萎える。
「やったね♪シンジ君!」
「うんっ!ありがとっ!!」
ボクは昂ぶる感情を押さえきれず、声のトーンも上がっていた。
「ふふふっ♪今日のシンジ君、かぁ〜なり気合い入ってるぅ♪」
そう言われて初めて自分がガッツポーズをしているのに気づいた。
カコワルイ…
ボクがビジを消化していると、ナナさんはビジを消化し終わっていた。
「連チャンさせるわよぉ〜っ!」
こちらもかなりの気合いだ。
ボクはベルハズレ判別しながら、ナナさんの台もチラチラ見ていた。
ボクが第3ラウンドを消化していると、ナナさんの台に7匹3連プラス右カエルでリプ!!
「きてるのか?きてるのかっ!?」
ボクはナナさんをすっとこ珍道中風に煽った。
「・・・。」
ナナさん、かなり集中している。ボクの声が聞こえてないようだ。
ボクも手を止め、ナナさんの台に見入ってしまう。
第一リールでシオバを止めると
『ガクン』
ブルってオレンジ否定。
「ぐっじょぶ!!」
ナナさんもガッツポーズ。
速攻でビジ連だった。
ナナさんには負けられない!!
明日のコトを断るのも忘れ、ボクも気合いを込めてまた打ち始めた。
しかし判別はハズレ4ベル6/23…
いまいちだ。
しばらく回すがドットも静かだった。
気がつけば100ゲームを超えている。
ナナさんの台は相変わらず順調に連チャンしていた。
「キンパルマンセ―!」
かなりはしゃぎながら打ってるナナさん。
ボクは128まで回すと、他の台をチェックした。
まだ22回しか回して無い台をハケーンしたので、メダルを箱に移し始めた。
「あれ?移動するのぉ?」
ナナさんが聞いてくる。
「うん、あっちに良さそうな台があったから…」
「そっか!がんがぁれっ♪」
「おう!」
そしてボクの台移動は大成功した。
36ゲーム目でビジ!
1kカニ歩きウザを退治した気分だ。
しかもベルハズレ判別もハズレ0ベル15/24…
やはり最初のビジでハズレ0だと期待してしまう。
6なのか?6なのかっ!?
順調に4連チャンして、未だハズレ0だ。
「ナナさんはどうなったんだろう…?」
ナナさんの打っていた台を見ると、別の人が打っている。
「あれれ?」
他の台を見てもナナさんがいない。
すると、携帯にメールが来た。
ナナさんからだ。
『友達から遊びに誘われたから、今日はもうやめるねっ♪
明日、楽しみにしてるよっ♪
何時からにしよぉかぁ??』
やっべ――――っ!!!
ぼくはナナさんに断るの忘れてたコトを思い出した。
はぁ〜〜〜〜どうしようどうしよう…
素直にナナさんに、『先約があったの忘れてた』とメールすればいいのだろうか?
それともアスカに、『急用ができた』とメールすればいいのだろうか…?
いっそのコト、なんとか両方こなせないだろうか…???
「逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ…」
ボクはどこかの違うシンジの言葉を呟いた。
ボクはどうしたらいいんだ?
考えていたら、頭が痛くなってきた。
スロットの音が頭に響く。
ボクは悩みながら打ちつづけた。
『早くナナさんに、断りのメールしちゃえよ!』
心の中でボクが語りかける。
『何言ってんだよ!アスカの方を断れよ!』
もう一人のボクが邪魔をする。
『をいをい、どうにかして二人とも遊んじゃえよ!』
更にもう一人のボクが割って入る。
あ――――!!どうしたらいいんだっ!
考えれば考えるほど解らなくなってきた。
連チャンが終わり、ベルハズレを計算すると、19%にまで上がっていた。
メダルも3箱になっていたので、ボクは帰るコトにした。
部屋に戻ってもボクはまだ悩んでいた。
するとまたメールが来た。
「よし!このメールの相手と遊ぶコトにしよう!!」
ボクは腹をくくり、受信メールを見ると、アスカからだった。
そうか。ボクは明日、アスカと遊ぶのか…。
メール内容は
『明日は久しぶりにシンジと遊べるね!
楽しみぃ〜♪
また明日ねっ☆』
と書かれていた。
うん、明日はアスカと遊ぶコトにして良かったんだ。
ボクはナナさんに断りのメールを送ろうとした。
だが、携帯を見ると、まだ未開封メールが残っていた。
…ナナさんからだった。
『明日はアタシ、遊園地に行きたいなっ♪
あっ!ワリカンでいいからねっ(*^-゚)⌒☆Wink!』
どどどど…どうしよう…!!!
結局またフリダシだ。
悩めば悩むほど頭がカッカしてきた。
意識も朦朧としている。
「寝不足…かなぁ…?」
毎晩パソコンで遅くまで遊んで、毎朝9:00にはパチンコ屋さんに並んでいる生活だ。
寝不足になって当然といえば当然。
でも…早く…決断…しなくては…早…く…。
二人のコトを考えながらも、ボクの意識は遠のいていった…。
何時間くらい気を失っていたのだろう…?
気がつくと、外は真っ暗だった。
部屋に戻ったのは昼過ぎくらい。
3〜4時間は眠っていたのだろうか…
「イテテ…」
頭は相変わらずガンガンしている。
「風邪かなぁ…」
熱を計ると38.8℃だった。
「ゲホッゲホッ!!」
ノドも少し痛い。
毎日、空気の悪いパチンコ屋さんに行っていたせいだろうか…。
しかし、こんな状態じゃ、明日遊びになんて行けやしない。
仕方なく、ボクは二人に明日の予定を断るコトにした。
『ゴメン。風邪ひいたみたいだ。
38℃以上あるよ。・゚・(ノД`)・゚・。
残念だけど、明日は無理っ!!(´・ω・`)ショボーン 』
残念なような、ホっとしたような、複雑な気分に襲われながらメールを送った。
第8話 完
524 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/11 02:04
実際みなさんだったらどっちを選びますか?
「先約のあった元カノ」
「ちょっと気になるケド、彼氏持ちのコ」
とりあえず今日はもう寝る時間でつ。
おやすみなさい。
ああー悩むぜ
後者がもう彼女一歩寸前なら…
いや、しかし前者は高確率で夜…(不毛
振られた元カノからのメールってほんと一瞬むかつくけど、なんか嬉しいな。
喜んでる自分が一番むかつくんだけどな。
楽しみにしてます。ガンガッテ!!
526 :
( ´∀`)ノ7777さん:02/12/11 02:20
>1
乙です。
これは悩みますな〜。
今後の展開が楽しみ。
>脳内1氏
乙。
う〜〜〜、究極の洗濯でつね。く〜〜っつ。
2択は好きな娘の方かな。
ドラマ的には、3人でデートってのも。
・・・・えっ?次のオチ言っちゃった?
528 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/11 14:28
なんだか今回の話は問題提起ぽい感じになってしまいますたね。
>>525 おぉ!
おれもそう思いまつ!!
共感してもらえて嬉しいでつ!
>>526 これってやっぱり悩みまつよねぇ〜
>>527 そういう展開は考えてなかったでつ。
あぁ〜!コソーリ教えてくれたら使えたのにぃっっ!w
529 :
( ´∀`)ノ7777さん:02/12/11 14:34
脳内さん乙でし。
打つ台は禁パル以外もおながいします。
530 :
まき ◆1oDpaQGRrs :02/12/11 14:47
乙〜あいかわらずイイー悩みますね〜自分ならナナでつね〜(^∀^)想像の中の顔でカナリハマッテマツ
うぅ…だるい…。
二人にメールを送った後、ボクは更に具合が悪くなってきた。
頭の中がグルグルしている。
ベッドで横になっているが、起きているのか夢を見ているのかわからない状態だ。
すると、携帯が鳴った。
…アスカからのメールだ。
『大丈夫?
お見舞いに行こうか?』
アスカが見舞いに!?
ダメダメ!こんなに散らかった部屋に人なんて呼べない。
『かなり具合悪いけど大丈夫だよ
心配してくれてありがd』
するとすぐ、アスカからメールがきた。
『うん。わかった。お大事にねっ』
さて寝るか…と思ったらまたメールが来た。
今度はナナさんだ。
『そっかぁ…残念だけど、風邪引いたのならしょうがないよねっ!
早く元気になって、また一緒にキンパル打とうねっ!!
あっ!アタシ、これから彼氏とデートだからっ、またねっ!
お大事にぃっ♪』
ナナさん、これからデートかぁ…。
暫く横になっていたがあまりにもひどい頭痛は依然変わりない。
しかしボクの部屋には薬がなかった。
時計を見るとP.M.10:00を過ぎていた。病院はもう終わっている。
耐えきれなくなってボクは薬局に行くことにした。
『カン…カン…カン…カン…』
ゆっくりアパートの階段を降りるその音が頭に響く。
とてもじゃないが車の運転なんてできやしない。
しかたなくボクは歩いて薬局まで行った。
外の寒い空気に触れれば少しは意識もしっかりするだろうと思ったが更に朦朧としてきた。
「あと少しだ…」
薬局の明かりが見える。
12時までやっている薬局が近くにあって良かった。
『がぁ〜〜』
自動ドアが開く。
薬品の、なんともいえないツンとした香りが鼻を通る。
中年の店員に声をかける。
「あの…ノドと頭痛の薬、下さい…」
「風邪ですか?それじゃ、これなんかどうだい?」
そう言って、ボクに『新ジキニン錠D』という薬を見せた。
「あ、ハイ、じゃぁ、それで…」
「はいよ、お大事に」
やっと薬を手に入れたボクは、フラフラしながら部屋へ戻って行った。
「ついでに飲み物でも…」
と思い、コンビニに立ち寄る。
「いらっしゃいませぇ〜」
店員の明るい声。でも今のボクにはただの騒音だ。
頭の中で何度も『いらっしゃいませぇ〜』が、コダマしている。
なんだか視界も狭くなったような気がする。
やっとの思いでボクは滋養強壮剤と『冬づくり』というお茶を買った。
店を出ようとしてドアを押すと、誰かが入ってきた。
ボクはその拍子で、前につんのめってしまった。
「あっ…シンジ君!!!」
誰だろう…ボクの名前を呼ぶのは…?
顔を見上げると、そこには…
「な…ナナさん…」
「ちょっとぉ、大丈夫ぅ!?」
「う…うん、なんとか…」
なんとそこにはナナさんがいた。
「ナナさん…デートは…?」
まだ22時過ぎだ。デートが終わるには早すぎる。
「あ、ちょっとカレとケンカ…じゃなくって、アタシのコトはいいからっ!シンジ君、ホラ、立って!…立てるぅ?」
そう言われて初めてボクはヒザをついてるコトに気づいた。
「う、うん…大丈夫大丈夫…」
立とうとしたその時だ。
ボクの意識は段々となくなっていった…。
「シンジ君!シンジ君!!」
ナナさんの、ボクを呼ぶ声が遠くで聞こえていた。
オデコに冷たい感触がある。
「う…ん…」
ボクは意識を取り戻した。
目を開けるが焦点が合わない。
「あっ!気がついたぁ?」
聞き覚えのある声。…隣りにナナさんがいた。
「ココは…?」
ようやく焦点が合ってきたので辺りを見渡すと、見覚えのない部屋にボクはいた。
「アタシのウチだよっ!シンジ君、気ぃ失っちゃうんだもん!びっくりしたよぅ」
オデコには濡れタオルがかけてあった。
「ここまで…運んでくれたの…?」
ボクの体重は60`だ。女のコ一人で運べたのだろうか…?
「コンビニにいた他のお客さんが手伝ってくれたのよっ」
そっか…ボク、コンビニの前で気を失ったんだ…。
「すごい熱だねぇ。さっき計らせてもらったら、39℃だったよぅ。でも気がついてくれてよかったぁ♪ふふふっ♪」
「あ、ありがとう…」
そう言って起きあがろうとする。
でもまだボクの頭はガンガンしていた。
「ダメだよぅ!横になってなきゃっ!」
ナナさんにいわれるがままにボクはまた横になった。
「あ、今、薬とお水持ってくるね!」
そう言ってナナさんはキッチン(らしき場所)へと向かって行った。
「何か食べたいのあるぅ?」
薬を飲むボクにナナさんが聞く。
でも食欲なんてなかった。
「いや、今は別に…」
「ん、そっかっ♪じゃ、ゆっくり寝てるコト!!」
「え…寝てていいの…?ボク、帰るよ…」
また起きあがろうとすると、
「だめだめぇ!!そんな体で歩いたら、まぁた倒れちゃうよっ!今日はアタシんチに泊めてあげるっ♪」
と、言われた。実際起きあがろうとするとクラクラする。
ボクはナナさんのお言葉に甘えて泊まらせてもらうコトにした…。
第9話 完
537 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/11 15:51
仕事に行くのでとりあえずここまででつ。
538 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/11 15:54
>>529 最近の台、打ちこんでないからわからんのでつ…スマソ
>>530 毎度でつ!
おぉ!マキさんはナナさん派でつか!
これからも応援よろしくでつっ!
乙〜〜。いい調子でつね〜〜。
コソーリ。アツアツの鍋焼きウドソキボンヌ。ナナタンの手料理(*´д`*)ハァハァ
めっちゃおもろい〜〜〜〜。乙〜。
541 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/11 21:52
それから暫くして、『薬を飲んだ』という暗示にかかったのか実際に薬が効いたのかわからないが、
薬を飲んだボクは、少しラクになった。
「ねぇ、ナナさん…」
ボクが横になったまま話しかけると
「あ、シンジ君、まだ起きてたんだぁ。寝てなきゃダメでしょっ」
と言われた。
だがボクは続けた。
「ナナさんさっき、彼氏とケンカした…って言ってなかった?」
「えっ…?」
「仲直りした?」
「あっアタシ、そっそんなコト言ったっけなぁ〜」
ウソをウソと見抜けない香具師は(このまま会話を続けるのは)難しい。
どうやらナナさんはウソをつくのが下手なようだ。
「ケンカの原因って、なんなの?」
「……。」
ナナさんは暫く黙っていたが、
「聞いて…くれるぅ?」
と、言って、話し始めた。
「アタシさぁ、スロット大好きでしょぉ?」
「うん」
「でもねっ、カレ、スロットやらないのねっ」
「うんうん」
「それで…今日、カレとの待ち合わせまで時間があったから、それまで打ってたの。」
「うん」
「そしたら、当たっちゃって…」
「うん」
そうなのだ。時間つぶしに打ってると、ナゼか良く当たる。ボクも何度か経験したことがあった。
「ほら、キンパルって、即ヤメできないでしょ?」
「うんうん、確かに」
「だから、せめて64まで回そうと思ったら…」
「連チャンしたんだ?」
「……ビンゴぉ」
「あららら…」
「で、カレとの約束の時間になったんだけど、全然止まらなくって…だから、カレに電話したのねっ」
「うん」
「『今、打ってたら連チャンしたから、こっちに来て!』…って。でもね、カレ、『オレはスロットなんてやらねぇよ』って言って…」
「うんうん」
「『お前がやめて、こっちに来い』って言うの。せっかく連チャンしてるのに、やめられるワケないでしょ?」
「う、うん。」
ナナさん、よっぽどスロット好きなんだな…と思った。
「でね、カレ、『さっさと来い!』の一点張りなの。だから、仕方なくやめるコトにしたのねっ」
「うん」
「それでね、会ってから、ゴハン食べたの」
「うんうん」
「そしたら、会計の時、『お前スロット勝ったんだろ?お前のおごりだよな?』って言うのよ――――!!」
ナナさん、怖いよっ。((((((( ;゚Д゚))))))ガクガクブルブル
「ヒドイと思わないぃ〜〜っ!?『スロットキライ』とか、『さっさと来い!』とか言っときながら、アタシが勝ったら、『おごりだよな?』って言うのよっ!?」
更に続ける
「だったら連チャン終わるまで打たせろぉぉぉ〜〜〜〜っ!!!」
ナナさんの目に炎が浮かんだ。
「それで、ケンカして、帰ってきたの…?」
「うん、そうなのっ!」
なるほどね…。
「それで、ムシャクシャしてたから、コンビニでお酒でも買って帰ろう…って思ったら」
「…ボクがいた?」
「ビンゴぉ♪」
そーゆーコトだったのか。
「シンジ君も、だいぶ元気になってきたねっ」
確かにさっきより体が軽い。
「うん、かなり良くなってきたよ、ナナさん、ありがと」
「食欲は、あるぅ?」
『ぎゅるるるるぅ〜〜〜』
ボクのお腹が鳴いた。
「ふふふっ♪待ってて!今、何か作るねっ」
そう言うと、ナナさんはキッチンへと向かった。
『たんたんたんたん…』
包丁の音が聞こえる。
スロットをやっているときのナナさんからは想像もつかない包丁さばきだ。
「料理、できるんだ?」
横になりながらナナさんに言った。
ナナさんは切り物をしながら返事をする。
「失礼ねっ♪これでも一人暮しの女のコなんだからっ!」
暫くすると、ナナさんが料理を持ってきた。
「はい、病人さんだから、おかゆだねっ」
見ると、おかゆに梅干が乗っていた。
さ っ き ま で 何 を 切 っ て い た ん だ っ !?
と、聞きたかったが、やめておく。
「ありがとっ!いただきますっ」
そう言ってボクがレンゲを取ろうとすると、
「はい♪」
と言ってナナさんがレンゲですくった。
「あぁ〜〜ん♪」
ニコリと笑ってナナさんが言う。
「あ、あぁぁぁん」
ボクは口を開けた。
「あちっ!!」
さすがに作り立てのおかゆは7匹4連くらいアツイ。
「あっ熱かったっ!?ごめぇんっ」
ナナさんはそう言うとレンゲですくったおかゆに息をふきかけていた。
『ふ〜〜〜っふぅ〜〜っ』
「今度は大丈夫っ♪はいっ」
「あ、ありがと」
パクリと一口で食べる。
なんてことないただのおかゆだが、今のボクには最高の一品だった。
「ゴチソウサマデシタ!」
「オソマツサマっ♪ぜぇ〜んぶ食べちゃったねっ」
「うん、おいしかったからっ」
「あははっ♪ありがとっ♪あ、お薬、飲んでおこう!」
ナナさんが薬を持ってきてくれた。
『ゴクン』
水で一気に流し込む。
「早く元気になるといいねっ」
「ナナさんが看病してくれたから、すぐに元気になれるよ!」
「まぁ〜たウマイこと言ってぇ〜♪今日だけなんだからねっ」
「いや、ホントに助かったよ、ありがとっ」
「ふふふっ♪さっもう寝よう!」
「あ、でも、ナナさんの寝る場所…」
ボクがベッドを使っているので、ナナさんの寝場所がない。
「アタシはこたつで寝るからヘーキだよぅ」
そう言ってコタツにもぐって行った。
「じゃっおやすみっ♪電気、消すねっ」
「あ、うん、じゃぁ、ベッド借りるね。おやすみ…」
『かちっかちっ』
真っ暗になると、ボクはすぐに深い眠りについた…。
第10話 完
548 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/12 00:01
今日はここまででつ
549 :
( ´∀`)ノ7777さん:02/12/12 00:25
乙。
いや〜、いいね〜。
これからもがんがってください。
550 :
まき ◆1oDpaQGRrs :02/12/12 00:35
イイ〜〜〜〜(^∀^)すごいね〜ホントに脳内1さんの頭ん中!チョットシタギャグモイイー
>脳内1さん
乙でつ。毎度楽しみに読んでまつ。
とりあえず...
>さ っ き ま で 何 を 切 っ て い た ん だ っ !?
に激しくワロタ。
とにもかくにも、これからも、ガンガッテ書いてくださいね。
552 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/12 01:12
>>549 どーもでつっ
ヒマ人なんでこれから脳汁流しまつ
>>550 毎度でつっ
テキトーにタラタラ書き綴ってるだけでつ…
>>551 それは今回の話の中でイチオシのネタでしたっ
これからも脳内フル稼働でがんがりまつ!
553 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/12 01:15
↑の訂正
×ヒマ人なんでこれから脳汁流しまつ
○ヒマ人なんでこれからも脳汁流しまつ
今日はもう書けませんでつ…
>>脳内1
あのさ、今最初のやつ読んだんだけどさ、一つだけ言わせてくれ。
眼鏡とったら美人なんてのはきょうびはやらねぇんだよボケが。
眼鏡はかけたままだ。わかったか?
わかったら帰ってよろしい。
シンジとナナ編も期待しています。
(゚д゚)!!何気に555。
>>脳内1さん
今日もよろしこ。
乙〜〜。
いや〜〜、(・∀・)イイ!!っすね。
じつに(・∀・)イイ!!あったかいんでつよね。
漏れのはいくら書いてもこんなあったかみは出ないね〜・゚・(ノД`)・゚・
>>554の言うように
眼鏡取ったら美少女だった、とか、
脱いだらスゴ(☆∀☆)かったとか、(・・・いや、これは使ってないかw)
使い古された手法なんだけど、使いこなしてるよね。
上手く使ってるのか、新鮮に感じるのは漏れだけれすか?
557 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/12 15:00
>>554 妙に納得しますた
おれもメガネ萌えでつ
前好きだったコが久しぶりに会ったらコンタクトに変えてて(´・ω・`)ショボーン でした
>>555 555げとおめでdでつ
あとでまた続き書きまつ
>>556 そう言ってもらえると嬉しい限りでつ
『ピンポーン♪ピンポーン♪』
『ドンドンドンドン!!』
「ナナ――!いるんだろ―っ!!」
やかましいチャイムとドアを叩く音。誰かの叫び声。
ボクはそれで目が醒めた。
「…ん?誰だろう…」
そう言ってから、ボクはナナさんの部屋にいたことを思い出す。
携帯の時計を見るとA.M.7:00を過ぎていた。
ナナさんはコタツでぐっすり眠っている。
「ナ、ナナさん、誰か来たよっ」
小声でナナさんを起こそうとする。
「ん…ん〜〜〜…」
寝返りをうつが起きない。
「ナナ――!いるんだろ――!」
『ドンドンドンドン!!』
ドアの向こうではまだ誰かがナナさんを呼んでいる。
「ナナさんってばぁ〜っ」
ナナさんの肩を揺り動かすと
「ん…なぁにぃ…?」
やっとナナさんは起きた。
「ナナ――!開けてくれ――!」
まだドアの向こうで誰かがナナさんを呼ぶ。
「あっ!ま、まーくんだっ!!」
「まーくん…?」
ボクが小声で尋ねる。
「うん、カレシ!」
低血圧でもないのにボクの顔は血の気がひいていった。
「ちょっ…シンジ君、か、隠れてっ!!」
隠れろと言われても隠れる場所なんてわからない。
ボクがおろおろしていると、
「ココっっっっ!」
と、小声でボクを風呂場の方に先導した。
「ゴメン、ちょっとだけココにいてねっ♪」
ナナさんはそう言うと、玄関の方に向かって行った。
「はぁ〜〜いっ、今開けるねぇ〜っ!」
と、ナナさんの声が聞こえる。
「つめてぇっ」
12月の朝の、風呂場のタイルは冷たかった。
吐く息も白い。
ボクは風呂場の中で腰を下ろした。
風邪を引いてるのにこんな寒い場所に閉じ込められ、じっと黙っていなければいけない。
ボクは耐えきれるのだろうか…?
「まーくん、おはよぅ。どうしたのぉ?」
ナナさんの声が聞こえる。
ボクはつい、聞き耳を立ててしまった。
どうやら『まーくん』は部屋に入ってきたようだ。
「ナナ、昨日、怒って帰っただろ…?だから心配で心配で…」
「ふふっなぁ〜んだっ♪そのコトだったらもう怒ってないよっ」
「そっそうかっ!…良かった…あれ?ナナ、お前コタツで寝てたのか?」
「…え?」
「だってお前、今起きたばかりなのにコタツが暖かいぞ?」
ギクリ…。そうです、ナナさんはコタツで寝てたんです…。
「…あ、あぁ、うっかり電源入れっぱなしだったみたいっ!」
「危ないなぁ〜…火事になるぞっ!お前はホントおっちょこちょいだなっ」
「ひっどぉ〜〜いっ!アタシだって、たまにはうっかりしますぅっ!ぶぅ…」
ナナさんはなんとか誤魔化したようだった。
…ほっ。
一安心していると、ボクはクシャミが出そうになった…!
必死で鼻と口を押さえつけ、ガマンする。
耐えろ!耐えるんだ!!
すると、
「まぁ、もう怒ってなくて安心したよ。じゃぁオレ、これから仕事だから」
『まーくん』は帰るようだ。
ふぅ…。クシャミの出そうなピークも過ぎたし、なんとか乗りきれたようだ。
すると、
「あ、ちょっとトイレ貸してくれ」
と、『まーくん』が言っているのが聞こえた。
「え…?」
ナナさんの驚く顔が目に浮かぶ。
ト…トイレって…ココ、ユニットバスだよっっ!!!!!
焦った。どどど―しよう!!
ボクは湯船のフタを静かに開けてみた。
な ん と 水 が は っ て あ る !!
えぇ〜〜いっ!かまうもんか!!ボクは静かに湯船に隠れた。
急いでフタを閉じる。
と、同時に『まーくん』が入ってきた。
『ガチャ…』
つ…冷たいっ!!
いや、冷たいなんて通り越して、すでに痛いっっ!!『まーくん』よ、済ますなのらさっさと済ましてくれ!!
『じょろろろろろろぉ〜〜〜…じょろっ…じょろっ…』
聞きたくない音が聞こえる。
「ふぅ〜〜…」
満足そうな声が聞こえる。
『バタン…』
「じゃ、行って来るよ」
「え、あ、う、うん、行ってらっしゃい…」
二人の会話が聞こえた。
今度こそ『まーくん』は仕事に行くようだった。
ボクの体はもう限界だった。
『バタン…』
どうやら『まーくん』は部屋から出て行ったようだ。
すぐにナナさんがやってきた。
「シンジ君!!」
だがボクはまだ湯船の中だ。
「…あれ?シンジ君??」
「…こ…ココだよ…」
湯船のフタを頭で押し上げてボクは立ちあがった。
「シ…ンジ君…?」
「さ…サムい…」
「ちょっとぉ!大丈夫っ!?」
「バ…バレなくって…ヨカタネ…」
((((((( ;゚Д゚))))))ガクガクブルブル していると、ナナさんがすぐにタオルを持ってきてくれた。
「シンジ君って、思ったよりムチャするんだねっ」
風呂場のドア越しにナナさんが話す。
「だって…バレたら困るんでしょ…?」
服を脱ぎながらボクは言った。
「そっそりゃぁ〜そぉだけどぅ…」
「だったら…ボクの取った行動は…正解だったワケだ…」
「う、うん…ありがとっ。今、温かいココア入れるねっ」
「うん、さんきゅぅ…」
第11話 完
563 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/12 16:19
って書いたはいいけど。
アパートにあるようなユニットバスってトイレと浴槽だけだったかな?
おれの知ってるユニットバスってそういったコンパクトのヤツなんだが…。
この話だと、かなり広く感じられてしまう…。
浴槽とトイレの間に人がしゃがめるようなスペースのある、ラブホくらいの大きさまではいかないけど
大きめのユニットバス…ってコトにしておきまつ。
付け足しスマソ。
ボクはコタツに入って暖まっていた。
『ぐおぉぉぉん…ぐおぉぉぉぉん…』
洗濯機の音が聞こえる。
ココアを飲むと、ナナさんはボクの濡れた服を洗濯してくれた。
「乾くまで、これ着ててねっ」
と言って渡されたジャージ。
ナナさんだったらだぼだぼなんだろうけど、ボクにはさすがにパツパツで破けそうだ。
「アハっ♪似合ってる似合ってるっ♪」
「そ、そう…?かなりキツキツだよ…」
ノーパンでジャージを着ていると、ボクの描写できない部分がスースーしてコタツの温風が直に当たる。
なんだか落ち着かない。
「さすがにアタシのパンツは履けないもんねっ」
ボクの思考回路を読みとったかのようにナナさんは言った。
「え、貸してくれるのなら履くけど?」
冗談半分でボクは答えた。
「アハハハっ♪シンジ君って、面白いねっ」
半分は真剣と書いてホンキだったのに…ちぇっ。
『ピーっピーっピーっ』
「あっ洗濯終わった!すぐに乾かすからねっ」
ナナさんは洗濯物をカゴに中につめこんだ。
チラっと覗くとナナさんの服も一緒に洗濯されていた。
…当然と言えば当然だが。
「うん…っ!あんまりジロジロ見ないでよぅ」
ボクの視線に気づいたのか、ナナさんが恥ずかしそうにそう言った。
「あ、ご、ごめんっ」
ボクの服だけをハンガーにかけ、部屋の隅に吊るす。
「あれ?ナナさんのは干さないの?」
と聞くと、
「だって下着もあるもんっ」
と言ってアッカンベーをした。
…かわいいっス、ナナさん!
「あ、今日、仕事は…?」
と聞くと
「シンジ君っ!アタシ、昨日今日と連休だって言ったじゃぁ〜〜んっ」
と言われた。
あ、そっか。色々ありすぎて忘れてた。
「せっかくシンジ君に遊園地にでも連れてってもらおうと思ったのになぁ〜…」
「あぅ…ご、ごめぇん」
「ううん、いいのいいのっ!風邪っぴきさんなんだから、しょーがないよねっ」
「う、うん…」
「よぉ〜〜しっ!今日はなんにも予定無いから、シンジ君をつきっきりで看病しちゃうぞっ♪」
「え、いいよ、ボク、服乾いたら帰るよっ」
ナナさんにそこまでされたら、ボクはナナさんにホンキになってしまいそうで恐かった。
「誰か他に看病してくれるコでもいるのかなっ♪」
一瞬アスカのコトが頭をよぎったが、
「いないいない、そんなコいたらとっくにボクのウチにきてもらってるよっ」
と答えた。
「そっか、それもそ―ねっ」
「うんうんっ」
「…だったらやっぱりアタシが今日一日看病したげるぅっ!!ふふふっ♪」
そんなナナさんに見惚れているボクがいた…。
「アタシ、お腹空いちゃったっ♪シンジ君も食べるでしょっ」
「あ、うん。」
「んっ!よぉ〜〜しっ!ナナさんが腕によりをかけて作っちゃうから、そこで待っててねっ♪コタツから出たらダメだよっ!」
そう言ってナナさんはキッチンに行き、ドアを閉めた。
なんでコタツから出たらダメなんだろう?ま、いいか。
またワケのわからない切り物をするのだろうかと期待したが、今度は包丁さばきの音が聞こえない。
「…何を作ってるの?」
コタツに入ったままボクが聞くと、
「ふふふっ♪そんなの秘密に決まってるでしょっ♪」
と、少しドアを開けてこっちを覗きこみ、ウインクされた。
一体何ができるのだろう…?
なんにも調理の音が聞こえない。
無音のまま時間だけが過ぎていった…。
『ピンポ―ン』
30分ほどすると呼び鈴が鳴った。
「あっ、はぁ〜〜いっ」
ナナさんの声が聞こえる。
耳をすますと、なにやら小銭の音が聞こえる。
…誰が来たんだろう?
カチャカチャと音がしたと思ったら、ナナさんが部屋に戻って来た。
「じゃ―――んっ♪おまたせっ」
すっすごいっ!!
チャーハン、スブタ、ギョウザ…更にポーミータン(中華風コーンスープ)まであるっ!
「こ、これ、ナナさんが作ったのっ!?」
ボクが驚いていると、
「え、え――っと、うんっ♪どぅおぉ?すごいでしょ――♪さっ食べよう♪」
と言って、『来々飯店』と書かれた割り箸をボクに渡した。
ナ…ナナさぁん…。
さすが来々飯店の料理は美味しい。
この辺りでは一番評判のいい中華料理屋さんだ。
出前も迅速、料金も安い。
「ナナさん、すごいねっ!これ、すっごく美味しいよっ!」
ボクは、あえてこれが出前だと気づいてないコトにした。
「う、うんっ!でしょ〜〜〜っ!アタシがホンキを出せばざっとこんなモンよっ!ホホホホホっ♪」
ナナさんの昨日のおかゆを思い出しながらボクは勢いよく全部たいらげた。
あっちの方がよかったよぉ…。
「ゴチソ―サマでしたっ!美味しかったよっ!」
「あ、う、うんっありがとっ♪」
ナナさんは食器を片付け始めた。
「あ、今、お薬と水、持ってくるねっ」
「うん」
ナナさんの手料理…食べたかったな…。
薬を飲み終わると
「シンジ君、寝てた方がいいよっ」
とナナさんに言われたのでボクはまたベッドを借りて寝るコトにした。
するとボクの携帯が布団の中で鳴った。
そっか、ボク、起きた時にここに置いたままだったんだ。
『まーくん』にばれなくてよかった…。
携帯を開くとメール着信があった。
メールを開く。
…アスカからだ。
『シンジ、ドコにいるの?
風邪ひいたって言うから様子見に部屋に行ったけど
留守なんだもんっ』
第12話 完
571 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/12 23:06
疲れたでつ。
572 :
( ´∀`)ノ7777さん:02/12/12 23:49
乙。
風呂に潜らせるなんて無茶させますなぁ(w。
乙でつ。今回も
>またワケのわからない切り物をするのだろうかと期待したが、今度は包丁さばきの音が聞こえない。
で、思わずワロタ。うまいこと引っ張りますね。
それはそうと、また一波乱ありそうな雰囲気...。
期待してます。
乙〜〜。
>>570 もてる男はつらいね。
『最大のチャンスは最悪のタイミングでやってくる』ってやつね。
575 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/13 02:54
>>572 やはりムチャでつか…
書いてるうちに勝手にシンジが入ってますた
>>573 毎度でつ!
一応波が無いとあれなんで…
>>574 ドラマの基本でつっ!
脳内1さんがんばってるね!
新作始まってるし〜
後でお昼食べながらゆっくり読みます。。
イイですな〜パツパツのジャージ(^∀^)マーくん登場も〜 キョウハ6ジオープンナラビマツ
578 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/13 14:45
>>576 お久しぶりですっ
カゲでコソコソがんがってますた!
またよろしくでつ
>>577 結果報告きぼんぬでつ!
なんで、アスカがボクの部屋に様子を見に来るんだよっ!
う〜〜〜ん…困った。
なんて言って返信すればいいのだろう…?
具合悪くてアスカとの約束キャンセルしたのに、『女友達のうちにいる』…なんていえっこないっ!
せっかくアスカとまた連絡取り合えるようになったのに音信不通になってしまうっ!
それだけは避けたい。
ボクがうなりながら色々考えていると、ナナさんが
「シンジ君、具合、また悪くなってきたの?」
と聞いてきた。
「え、ううん、薬のんだから今は落ち着いてるよ」
と答えると
「そう?だったらいいけど、あんまりひどいようならお医者さんに行ったほうがいいよ」
と言った。
それだっ!!病院に行ってたコトにしよう!!
ナナさんナ―イス!!
ボクはアスカにメールを送った。
『今、病院に向かってるとこだよ』
よしっ!完璧っ!
するとすぐメールが来た。
『そっかぁ、あんまり具合悪いようなら、アタシ、看病してあげるのにぃ…
そうだっ!あとでまたシンジの部屋に行くねっ』
そうだった…アスカは昔っからおせっかいだったんだ…。
ボクは急いでアスカの申し出を断るメールを送った。
『アスカにうつすと悪いし
昨日よりも良くなったから大丈夫だよっ』
暫くするとアスカから
『うん、わかった。
お大事にねっ♪』
と返信が来た。
助かった…。
一安心していると、ボクの挙動をずっと見ていたのか、
「さっきから忙しそうだねっ」
とナナさんに言われた。
「えっう、うん。友達がヒマつぶしにメール送って来ててさぁ…」
慌ててボクが答える。
「ふぅ〜〜ん…そっか。」
と、言った後に
「…女のコでしょぉ?」
と続けてきた。
「え、う、うん…」
「ふぅ〜ん…」
暫く沈黙が続いた。。。
581 :
禁断症状 ◆Ez5/LA94t6 :02/12/13 23:32
「あのさ…」
コタツで雑誌を読みながらナナさんが話しかけてきた。
「え?なに?」
ベッドで横になりながらボクが聞く。
「…シンジ君ってぇ、彼女いないんだよね?」
「…うん、いないよ」
「…好きなコもいないのぅ?」
ボクはギクリとした。
段々ナナさんに惹かれてきているからだ。
「い、いないよっ!毎日スロってる生活だし、そもそも出会いが無いからねっ」
ナナさんの方を見ないように答える。
「そ―なんだぁ…」
「ど、ど―してっ?」
「ん―ん、なんでもなぁい」
ああああああああああ!!!
ごめんなさい!!
邪魔しちゃった。ほんまごめん。
今度はボクが質問してみる。
「ナ、ナナさんは…」
「ん〜?」
「ナナさんは、カレシとどれくらい付き合ってるの?」
「ん〜〜…。古い付き合いだよぅ…アタシがまだ高校生だったからぁ…ん〜〜とぉ…5年かなぁ…。」
「結構長いんだね」
「そかなぁ?ここまできたら"情"みたいなもんだよぅ」
「やっぱり長く付き合ってると、ドキドキしなくなるモン?」
「そぅだねぇ〜…最近はケンカも多いしぃ…」
「ケンカするほど仲が(・∀・)イイ!!ってゆーし、イイコトなんじゃない?」
すると、こっちを見て、
「でもたまにはドキドキしたいよぅ」
とナナさんが言った。
「チナミに、シンジ君といるとちょっとドキドキするかなっ♪」
そんなコト言われたらこっちがドキドキしてくるよ。
「アハハっ♪冗談だってばぁ〜〜♪」
ボクが真っ赤になってると
「シンジ君っ、ホンットからかいがいがあって楽しいよねっ」
…ボクはナナさんの玩具かよぉ…。
ボクがむくれていると
「あ、怒っちゃったぁ?」
とナナさんが言った。
「ボ、ボクだって一応男だから、ちょっとは嬉しかったんだけどな…」
顔を半分布団で覆ってボクが言うと
「アタシみたいなのに言われても、嬉しいモンなんだぁ?」
とナナさんが言った。
当たり前じゃないかっ!!!!だってボクはナナさんのコトが…っ!!!
ノドから出かかった言葉をボクは飲みこみ、
「お、おやすみっ!!」
ボクは顔を全部布団の中に潜りこませてそう言った。
「うん、ちゃんと休んで元気になってねっ♪」
ナナさん…ボク、ナナさんのコトが…す、す、…。
す―…す―…。
布団に入っているうちにボクは寝息をたてていた。
586 :
( ´∀`)ノ7777さん:02/12/14 00:19
今日発見してイッキ読みしますた!!
1さんの脳内って…すごいでっすね!(o^ー')b
続きが気になる…邪魔してスマソ。
夢を見た。
ナナさんと『まーくん』(想像図)が出てくる夢を。
ナナさんと『まーくん』(想像図)はレストランで食事をしている。
ボクはそのレストランの窓の外から二人を見ている。
すると雪が降ってくる。
…どんどん降ってきて、ボクの体に雪が積もる。
それでもボクはじっと二人を見続ける。
楽しそうに会話をしている二人を見続ける。
その間にも雪はどんどん降っている。
雪はボクの周りにだけ降り積もっていく。
雪の勢いは更に増す。
段々とボクを埋め尽す。
窓の中ではナナさんが暖かいスープを飲んでいる。
すると一緒にスープを飲んでいた『まーくん』(想像図)が倒れる。
続いてナナさんも倒れる。
『ナナさん!!』
叫ぼうにも声が出ない。
ボクの体は完全に雪に覆われている。
『ナナさん!ナナさん!!ナナさん!!!ナナさん!!!!』
「ナナさん!!!!」
ん…??
ボクは自分の声で目が醒めた。
ゆ…夢…??夢か…。
「ん〜〜〜…?なぁにぃ?」
ナナさんもコタツで眠っていたらしい。
ボクの声で起こしてしまったようだ。
「あ、ご、ごめんっ、変な夢見ちゃってて…」
「具合悪いときって、変な夢見るのよねっ!ふぁぁぁ…」
目をこすりながらナナさんが言う。
「でも、ひょっとして今の夢、アタシが出てたぁ?」
「え…っ」
ギクリとすると、
「やっぱりぃ〜〜っ」
イタヅラな目をして、
「出演料貰わなくっちゃっ♪」
と言った。
「で、どんな夢だったのぉ?」
と、ナナさんが聞いてくる。
「えっとぉ…忘れちゃった…。」
思い出そうにも、もうすでに忘れていた。
>>587を読み返せばわかるコトなのだが文章の中だけ存在しているボクにはそうするコトが出来ない。
「夢って、すぐ忘れちゃうもんねっ♪」
「うん。でも、なんだか恐い夢だった」
「夢でよかったねっ♪ふふふっ」
ナナさんが無邪気に笑った。
どんな夢かは覚えてないが、夢で良かった…。
外を見ると真っ暗になっている。
時計は…18時だ。
思ったより眠っていたんだな…。
「あれ?今日、デートじゃないの?」
と、ボクが聞く。
「今日、カレ、会社の忘年会なんだってっ!あぁ〜〜あぁ…」
ボクの前でそんなに残念そうな顔をしないでくれよぉ…。
ちょっと切なくなった。
「さってっとっ♪夕飯の準備するねっ♪何か食べたいのあるぅ?」
コタツから出て、背伸びをしながらボクに聞いてきた。
「ナナさんの手料理が食べたい…」
ボソリと言う。
「ん?何??」
聞こえなかったようだ。
「なっなんでもいいよっ!まかせるよっ!」
「うんっ♪わかったっ♪」
そう言ってナナさんはキッチンへと消えた。
「あっ!キライな物ってあるぅ?」
ドアを開けてナナさんが聞いてきた。
「ん〜〜。シイタケとピーマンが苦手かなぁ…」
あんな物は人間の食い物じゃないっ!!!
「ふふふっ♪オコチャマだねっ♪」
ナナさんは、またキッチンへと戻っていった。
『たんたんたんたんたん…』
紛れも無い包丁の音。
すると、
「痛っ!!」
と叫び声が聞こえ、包丁の音が止まった。
「ナナさん!大丈夫っ!?」
布団の中からボクが言う。
「う、うんっ」
ナナさんがキッチンから戻ってきた。
右手の薬指から血が出ている。
「あれ?ナナさん、左利き?」
ボクが聞くと、
「え?なんで?右利きだよぅ?」
と言って指を舐めている。
ど う や っ て 指 切 っ た ん だ ろ う … ?
すると、
「ばんそーこー、ばんそーこー」
と言ってボクの方に来た。
ベッドと壁の間の棚にあるらしい。
「ちょっとごめんねっ♪一番上の引き出しなのっ」
ナナさんはボクの上から棚の中の救急箱を探している。
「んっ!!?」
ナナさんのトレーナーの、お腹側の隙間から、白い肌が見えた。
もう少しで…更に上が…見え…そうだ…。
と思い顔を少しずらそうとしていると
「シンジ君のえっちぃ〜〜っ!!」
…見抜かれていた。。ちぇっ。
「大丈夫?」
バンソーコーを貼っているナナさんに聞くと
「うんっヘーキヘーキっ♪」
と言ってまたキッチンに戻っていった。
…暫くすると
「はいっ♪おまたせぇ〜〜♪」
と言ってナナさんが料理を運んできた。
卵焼き、目玉焼き、プレーンオムレツ、ゆで卵、温泉卵…。
「すごいでしょっ♪5品も作っちゃった♪」
「う、うん…さすがナナさんっ!!」
「さっ♪食べようっ!」
一瞬何かが頭をよぎったが、考えないコトにした…。
「い、いただきまぁ〜す」
美味かった…いや、美味かった。えっと…うん、美味かった。
「ゴチソーサマっ!」
「うんっ、オソマツサマっ♪」
卵料理フルコースを食べ尽くしたボクは、ゴロンと寝転がった。
「ふぅ〜〜〜っ」
「どぅしたのぅ?」
「お腹いっぱいで動けないよ…」
「アハハっ♪無理しなくてよかったのにぃ〜」
「無理なんてしてないよ。ただ、こういう"手料理"って久しぶりだったから、ついパクパク食べちゃったよ…」
いつもコンビニやインスタントラーメンの生活だったボクには、例え卵づくしでも嬉しかった。
「ふふっありがとっ♪アタシもね…」
「え?」
「こうして誰かに作るのって、久しぶりなんだぁ〜」
「え?カレシに作ってあげないの?」
不思議に思い、ボクが聞く。
「うん…最初の頃は作ってたんだけどぉ、カレ、あんまり食べてくれなくって…。それに、最近はカレと会っても外で会ってるから、外食が多いカナっ」
なんとなくカレシの気持ちがわからないでもない。
きっと毎回の様にタマゴ料理だったんだろうな…。
「さっお薬飲んでっ♪」
ナナさんが水と薬を持ってきてくれた。
「あ、ありがと」
ゴクリと流し込む。
「今、紅茶入れるねっ」
「うん」
食後のクツロギタイムだ。
他愛ない会話をしながらただただ時間が過ぎていった。
当然会話の中心はキングパルサーだ。
「あの店、増台したけど、黒じゃなかったね―」
「うんうん、アタシも広告で『増台』って見た時、黒パル打てる―♪って思ったのに、残念だった…」
そんなコトを話していると23時を回っていた。
「あ、服も乾いたし、そろそろ帰るよ…」
そう言ってボクはトイレに行き、着替えた。
「もう帰っちゃうのぅ?」
「うん、今日はありがとう」
「…そっか、うん、こちらこそありがちょっ♪」
屈託の無い笑顔。
抱き締めたい想いをこらえながらナナさんの部屋を出ようとすると
「あれぇ?靴がないっ」
「え?あ、あぁ!そぅだっ!今朝、カレが来た時に…」
と言って下駄箱からボクの靴を出してくれた。
「じゃぁ、ホントに今日はありがとっ!また…」
「うんっ♪パチンコ屋さんで会おうねっ♪」
そして玄関のドアを開けた時だった…。
「お前…誰だ…?」
玄関の前に見知らぬ男がいた。
この声…。
今朝聞いた声…。
『まーくん』だ…。
第13話 完
596 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/14 02:08
ヤバイでつ…
こんな展開にしたけど、この先なんにも考えてないでつ…
まーくんのバカ―――!!
597 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/14 02:11
>>583 ちょっとびっくりしたけどぐっじょぶ
>>586 イッキ読みすごいでつ!
これからもよろしくでつ
598 :
( ´∀`)ノ7777さん:02/12/14 02:26
乙。
前回の包丁の音と今回の手切る所オモロかったよ(w。
まーくん登場か〜、大丈夫なのか?
大丈夫なのか〜>シンジ&脳内1氏
599 :
( ´∀`)ノ7777さん:02/12/14 02:43
>>598 即レスさんくすでつ!
まだこの先は考えてないけど
脳内ほじくりながらがんがりまつっ!
600 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/14 02:44
↑はぅあ…
名前抜けてたでつ…。・゚・(ノД`)・゚・。
昨日は読んでる途中で寝てしまいました(´д`)マーくん登場ドキドキ〜ヤバソウ〜あっ収支4ノリデヒトリ45Kデシタ(^∀^)
602 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/14 15:13
>>601 昨日は沢山勝ったようで羨ましいでつ…。
今、禁スロなのでたまには打ちたいでつっヽ(`Д´)ノ ウワァァン
続きまだでつか…?(´Д`)ドキドキ...
『まーくん』はボクに更に聞いてくる。
「お前、ナナの部屋で何をしてた?」
180aはあるだろう。ボクを上から見下ろしている。
アメフト選手のようなデカイ体つきだ。
「あの、えっと…その…」
ボクが慌てていると『まーくん』は丸太のような太い腕でボクのむなぐらをグイっとつかんだ。
なぐられるっ!!
ボクは目をぎゅっと閉じた。
「まーくん!待ってっ!!!」
ナナさんの声が聞こえると同時にボクの左頬に激痛が走った。
『ごんっ!』
何かの角に後頭部がぶつかる。
「うぅ…」
あまりの痛さにうめき声をあげるコトしかできないボクに『まーくん』は更に飛びついてくる。
「まーくん!やめてってばっっ!!!」
ナナさんの悲痛な叫び声がボクの意識の遠くで聞こえている。
ボクはもはや抵抗するコトもできないくらい殴られ続けていた…。
どれほど殴られたのは解らない。
「ハァ…っハァ…っ」
『まーくん』は殴り疲れたのだろうか…?
うっすら目を開けると、ボクの焦点は合っていないが、ぼんやりとナナさんが『まーくん』にしがみついているのが見えた。
「まーくぅん…お願いだから…やめてよぅ…」
「ハァ…っハァ…っ」
『まーくん』の荒っぽい息遣いが聞こえる。
「違うの…ヒック…この人は違うのよぅ…」
ナナさん…泣いている…。
ボクは段々と五感が薄らいでいった…。
すでに『痛み』しか感覚がない。
何も見えないし何も聞こえない。
ただただなぐられた部分が痛いだけだ。
体を動かすコトもできない。
骨…折れてるのかな…。
今まで骨折したコトはないけど、きっとこれだけ殴られ続けたのなら、折れてるかも知れない。
真っ暗闇でポツンと取り残されたように静かな中、
「シンジ君!シンジ君!!」
と、誰かがボクを呼んでいる。
ボクはこの声を知っている。
とても心地よい声…ナナさんだ…。
ボクの視界が急に明るくなった。
「ナナ…さん…」
「シンジ君っっ!!」
「シンジ君っ!スマン!!」
ボクが起きあがると、『まーくん』がボクに頭を下げていた。
「オレの早とちりだったっ!ホントにスマン!!」
更に深々と頭を下げる。
「???」
ボクは、にゃーにがにゃんだかわかんにゃー、だ。
ナナさんの方を見ると、『もう大丈夫よっ♪』といった顔をして、ウインクした。
そっか、ナナさん、ボクが気を失ってる間に、上手く『まーくん』を丸め込ませたナ…。
でも、ボクはそんなコトよりも、
救 急 車 を 呼 ん で い て 欲 し か っ た 。
なんでこんなにケガしてるボクを放っといて『まーくん』を丸め込ませてるのだ?
ケガして意識失ってるんだから救急車だろ??
違うのか?
ボクが間違ってるのか?
朦朧としながら考えていると、
「ちょっと待っててねっ」
と言ってナナさんが濡れタオルを持ってきてくれた。
腫れた頬にそっと当ててくれる。
まだ頭がグワングワンしているが、ひんやりとして気持ちが良かった。
「シンジ君!大丈夫かっ!」
『まーくん』がボクに聞いてくる。
あんたが殴ったんだろ?
「え、えぇ、大丈夫っスよ」
と、答えた。
「オレの勘違いで君をこんな目に合わしてしまって、オレはいったいどうしたらいいんだぁぁぁ〜〜!」
「き、気にしないで下さい」
「おぉっ!!君はこんなオレを許してくれるのかっ!?」
「痛かったですけど、もういいっスよ」
「君 は な ん て 心 の 広 い 人 な ん だ っ っ !」
…この人、なんか変…。
ボクが怪訝そうな顔をしていると、ナナさんがそっと耳打ちをした
「あ、今、この人酔ってるから。普段はもっとマトモなのよっ」
「え?」
「お酒弱いくせに好きなのよねっ」
「え??」
「今日のことも明日になれば忘れてるわ」
「えぇっ?」
「いつもそうなのっ」
ってコトは…。
ボクは酔った勢いで殴られたのか…?
なにやらお祈りの仕草をしている『まーくん』を尻目に
「ボク、もう帰るよ」
と、ナナさんに告げた。
「そんな体で歩いて、大丈夫?」
「うん、ココにずっといるよりは大丈夫」
『まーくん』の酔いが冷めたら大変そうだ。
「…それもそうね。じゃ、玄関まで送るねっ」
ナナさんが玄関までついてきてくれた。
「じゃぁ、また…」
ボクが外に出ようとすると
「あっ…」
と、ナナさんが何か言いかけた。
「え?」
ボクが聞き返す。
「う、ううん。なんでもない。気をつけてねっ」
「うん。」
今度こそボクは自分のうちに戻っていった。
第14話 完
610 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/15 01:03
このまま勢いで次行ってみまつ。
611 :
( ´∀`)ノ7777さん:02/12/15 01:08
よっしゃあ〜 こ〜い!! 缶
部屋に戻って暫くすると、ナナさんからメールが来た。
『今日はホントにごめんねっ
おやすみぃ』
ボクは
『おやすみ』
とだけメールを返した。
…ふぅ。しっかし長い2日間だったな…。
風邪でダウンしたかと思えば、ばったりナナさんと会って、しかもナナさんの目の前で倒れて気がつけばナナさんの部屋で…。
一晩泊めてもらったはいいけど朝から『まーくん』がナナさんの部屋に来て、ナゼかボクはびしょぬれで…。
ナナさんの部屋から帰ろうと思ったら『まーくん』にコテンパに殴られて…。
ん?なんでボクはまとめを書いてるのだろう?…まぁいいか。
そんなコトを考えながらボーっとしていると
『ピンポーン♪』
呼び鈴が鳴った。
「誰だ?こんな時間に…」
ドアを開けてみると、そこには
「シンジっ!!!」
…泣きそうな顔をしたアスカがいた。
「ど、どーしたの?こんな時間に…?」
と尋ねると
「悪いヒトにねぇ今追われているの…シンジ!守って!」
とアスカ様。
何かの歌詞にこんなのがあったな…。
と思ったが
「わ、悪いヒト??」
と聞いた。
「うん、アタシ、実は、ずっとストーカーされてるの…」
「ス、ストーカー!??」
「うん…さっきも、コンビニに車で買物に行ったら、ずぅ〜〜っと後つけられてて…」
アスカはもう半べそだ。
「そっか…まぁ、上がりなよ。あ、散らかってるけどね。」
ボクはアスカを部屋に入れた。
ずっと俯いていたアスカだったが、
「シンジぃっ!!」
部屋に入るやいなや、ボクに後ろから抱きついてきた。
「あ、アスカ…?」
「アタシ、恐いのっ!すっごく恐かったのっ!」
小刻みに震えている。
「アスカ、落ち着いて…」
と言ってアスカの顔をみる。
「シンジぃ…」
アスカもボクの顔を見た。
「しっシンジっ?どーしたの、その顔っ!??」
ボクの顔を見ると急にアスカは驚いた。
そーだった。
今のボクの顔は、『まーくん』に殴られてボコボコだった。
「いやぁ、さっきハデに転んで…」
苦しいイイワケだったが
「シンジぃ、ドジだからねっ、待ってて、今手当てしたげるっ」
「え、いいよいいよ」
ボクが断ろうとすると
「…何かしてないと、恐くって…」
とアスカは言った。
「いてっ」
「あ、ごめん、しみた?」
「あ、いや、大丈夫」
アスカはボクに赤チンを塗ってくれている。
「まるで誰かに殴られたみたいな顔だねぇ…」
「え、いやぁ、かなりハデに転んだからねっ」
「気をつけなきゃダメだよ?シンジぃ、ドジなんだからさっ!はいっ糸冬了〜♪」
そう言ってアスカは救急箱を片付け始めた。
「ところで…」
ボクが聞く。
「ん〜?」
「さっき言ってたストーカーって…?」
「あ、うん…。」
「イツ頃からなの?」
「1ヶ月くらい前からかなぁ…」
「うん」
「アタシ、ジュンタに振られてから、一時期出会い系メールやってたのね…」
「うん」
「よくわかんないから、返信がきた人にはすぐ直アドと電話番号教えてたのね」
「うん」
「その中で、何人かとは会って、食事したり、カラオケしたりしてたのね」
「うん」
「でも、暫くしたら気持ち悪いメールが来るようになったの…」
「え…気持ち悪いって…?」
「あのね、例えば、『オレとは会わないであんなヤツとは会うんだね』とか…」
「う、うん」
「あと、『今日の服、似合ってるね』…とか…」
「う、うん…」
「アタシ、途中で気に入らなくなったりすると、返信しないで放っといてたのね」
「うん」
「だからその中の誰かなんだとは思うんだけど、気に入らなくなった人はアドレス消去しちゃうから誰だかわかんないの…」
「その、切り捨てた相手ってのがアドレス変更してればなおさらわかんないしね」
「うん、そうなの…でも、最初はそういうメールだけだったんだけど…」
「2週間くらい前から、周りに変なコトが起こってきたの…」
「へ、変なコトって?」
「部屋に一人でいると、窓の方から視線を感じたり…」
お 前 は 超 能 力 者 か ?
「う、うん」
「部屋のドアが急に『どん!どん!』って叩かれたり…」
お 前 は 何 か の A A の
>>1 さ ん か ?
「う、うん」
「さっきみたいに、ずっと車でつけられたり…」
カ ー チ ェ イ ス か ?
「う、うん」
「とにかくもう、これはストーカーなのよっ!!!」
アスカが泣き崩れそうに叫んだ。
「シンジぃ…今、仕事してないんでしょっ?」
「うん」
「ねぇ、暫く、アタシの傍にいて…」
潤んだ瞳でボクに切願するアスカ。
断れるハズもない。
「わかった。ボクがなんとかするよ!」
「ありがとう!シンジぃっ!」
アスカはボクに抱きついてきた。
第15話 完
618 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/15 02:03
そろそろ寝るでつ。
続きはまた今度でつ。
619 :
( ´∀`)ノ7777さん:02/12/15 02:08
乙です。
シンジとアスカは、この後ナニするんでしょうか?(w
620 :
( ´∀`)ノ7777さん:02/12/15 13:33
お〜〜〜乙です!
アスカのあきれるような話しにたんたんとうなずく様は…さすが元彼だな、と。w
続きがきになる〜!
621 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/15 15:19
その日ボクは久しぶりに女のコを自分の部屋に泊めた。
『まーくん』に殴られた傷が痛いせいなのか、ソファーで寝ようとしているせいなのかわからないが、なかなか寝つけない。
でも、ベッドに横たわっているアスカの寝顔を見ているうちに不思議と気分は落ち着いていった。
まるで昔の関係に戻れたようにも思えた。
そんなコトを考えていると
『ピリリリリ…』
…アスカの携帯が鳴った。
なんてあたりさわりの無い着メロなんだろう…?
と思ったが、ボクは気にせず眠ろうとした。
するとまた、
『ピリリリリ…』
…アスカの携帯が鳴る。
「アスカ…電話…鳴ってるよ…」
ボクが、ベッドに行き、寝ているアスカを揺り動かすと
『ピリリリリ…』
…また携帯が鳴る。
「アスカ…アスカっ」
少し気味が悪くなり、急いでアスカを起こす。
「ん……ダメだよ、シンジぃ…」
何を勘違いしてるんだっ?
その声にドキリとしたが、気持ちを抑えて
「携帯、鳴ってるよっ!」
と言った。
アスカを起こし、テーブルに置いてあった携帯を手渡す。
「ん…ありがと…」
目をこすりながら携帯を開いたアスカの表情がみるみる変わっていく。
「いやぁぁっ!」
急に叫んだかと思ったら、アスカは携帯を投げ捨てた。
「ど、どーしたの?」
ボクが聞くと、
「…メール…」
アスカは虚ろな目でヒトコト、ポツリと言った。
アスカの携帯を拾い上げ、中を見てみる。
『今日は その部屋に 泊まるんだね』
『今 君の泊まっている 部屋の前にいるよ』
『入っていいかな』
と、メールが来ていた。
ゾクリとしてボクが玄関まで行くと
『カツン…』
と、外で音がした。
急いでドアを開ける。
…が、誰もいなかった。
ふぅ…。と、胸を撫で下ろし、部屋に戻る。
「アスカ、誰もいなかったよ」
ボクがニコリとしてアスカに近寄る。
「そ、そっかぁ…」
ホっとするアスカ。
すると、
『ガシャ―ン!!』
急に窓が割れた。
「な、なんだっ!?」
驚くボク。
「キャ――っ!」
叫ぶアスカ。
冷たい風が部屋に入ってくる。
ガラスを踏まないように窓の方に行くと
『ブロロロロロ…』
一台の車が走り去って行った。
アスカの方を見る。
アスカは蹲って震えていた。
その時ボクは決心した。
絶対ストーカーを捕まえてガラス代弁償させてやるっ!
散乱したガラスの破片を拾い集めていると、妙なものを見つけた。
紙だ。
石を包んでいる紙だ。
きっと"ホシ"はこれをボクの部屋に投げつけたのだろう。
ボクはそれを手に取り、広げてみた。
文字が書いてある。
『愛してるよ アスカ』
アスカをチラっと見ると、まだじっと固まったままだった。
ボクはその紙を、アスカに見つからないようにゴミ箱へ投げ捨てた。
「アスカ…」
ベッドで固まったままのアスカの横に座り、そっと抱き寄せた。
「もう、大丈夫だよ、アスカ…」
アスカは依然俯いたままだが、ボクに解る程度にコクリと頷いた。
「明日から暫く、ボクが徹底的にアスカを見ててあげるからなっ」
「うん…。ありがと…しっかり見ててねっ」
「まかせろっ!あのストーカー以上にストーカーになってやるっ!」
「…バカぁ」
そう言ってアスカはボクにもたれかかった。
「さぁ、もう寝よう」
「…ん」
第16話 完
626 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/15 23:57
一旦休憩しまつ
>脳内1さん
乙〜。何なら、話が凄い方向へと向かいつつあるみたいでつね。
楽しみにしながら、待ってます...。
628 :
( ´∀`)ノ7777さん:02/12/16 00:18
脳内1氏乙です。
オモロイ展開になってキタ━━━(゚∀゚)━━━!!!
629 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/16 02:28
630 :
( ´∀`)ノ7777さん:02/12/16 02:32
ラー○ン オヤシミ。 Fより
このスレ怖いよー 。・゚・(ノД`)
くんくんくんくん…
なにやらイイ匂いがする。
目が醒めると同時に嗅覚が働いた。
「シンジぃ〜っ!ゴハンできたよっ」
え…?
ソファーから起きあがり、テーブルを覗いて見る。
「これ、アスカが作ったの?」
「うんっ♪でも、冷蔵庫見たら食材があんまりなかったから、これしか作れなかったんだけどねっ」
見ると、お皿にスクランブルエッグとウインナー、もう一つの皿にはトースト、コップには牛乳。…そして納豆があった。
またタマゴ料理か…。
スクランブルエッグを見て少し萎えたが、「トーストに納豆」は更に萎えた。
「い、いただきますっ」
「うんうん、食べてっ♪」
あの頃と変わらない笑顔。
「…どう?」
アスカが聞いてくる。
「うん、美味しいよ」
「んっ、ありがとう♪あ、アタシ、仕事に行く前にシャワー浴びたいから、一旦ウチに帰るねっ」
「そっか、じゃぁ、どうしよう?」
「ん〜〜〜〜〜…出来たら、ついて来て欲しぃ…」
上目遣いでボクを見る。
「わかったよ。」
「んっありがとっ」
「アスカが働いてる間はどうしようか?」
「一緒についていて欲しいけどぉ、無理だしね…。お店の向かいにパチンコ屋さんがあるでしょ?そこで打っててもいいよっ」
…あそこかぁ。
あのパチンコ屋さんは7枚交換だから行きたくなかったが、仕方が無い。
「おっけー」
と、ボクは答えた。
ボクが着替えると、早速二人でアスカの部屋に向かった。
アスカのムーヴに乗るのは久しぶりだ。
「車、替えてなかったんだね」
「うん、お金、無いしぃ」
二人で一緒に車屋さんに探しに行き、見つけた車。
昔はよくこの車でショッピングやドライブに行ったものだ。
そんなコトを考えていると
「さっついたよっ」
とアスカが言った。
懐かしいアパート。
もうココに来ることは無いと思っていたのに、またボクはココにやって来た。
アスカの部屋は1階の一番奥。
「あ…」
アスカの後ろを歩いていると、玄関の手前でアスカが急に立ち止まった。
「ん?どーした?」
ボクが聞く。
だが、答えを聞く必要は無かった。
玄関のドアに目をやると、大きな文字が書かれていた。
『 ア ス カ 』
と…。
「昨日までは…書かれてなかったわ…」
ポツリと呟き、アスカは「それ」を見ないように部屋に入った。
部屋に入るとアスカは周りを見渡した。
「…中の方は大丈夫みたい」
ホっとしたのか、急に明るい声で
「ちょっとシャワー浴びてくるねっ♪…覗いたらダメだよっ!」
とアスカは言った。
「でもホラ、何が起きるかわかんないし…♪」
と言って後をついていくと
「べぇ〜〜〜〜だっ!」
と、思いきりベロを出してそそくさと行ってしまった。
『キュッキュッ…シャ――…』
暫くするとシャワーの音が聞こえた。
アスカの裸身を妄想しそうになるが、なるべく考えないように、アスカが上がってくるのを待っていた。
すると、
『ピリリリリ…』
アスカの携帯が鳴る。
また例のストーカーだろうか…?
開けてみようかと思ったが、他の人からかも知れない。
ボクはアスカが上がってくるまでじっと待つコトにした。
「はぁ〜〜すっきりっ♪」
20分ほど待っていると、濡れたままの髪でアスカが戻ってきた。
「仕事、間に合うの?」
時計を見ながらボクが聞くと
「うん、今日は遅番だから」
と言って髪の毛を乾かし始めた。
「そっか。あ、じゃぁ、雑巾貸して」
とボクは言った。
「え?う、うん」
アスカはキョトンとした顔でボクに雑巾を貸してくれた。
「…何に使うの?」
「玄関…」
そう言い残し、ボクは部屋を出た。
『 ア ス カ 』
の文字を消すためだ。
「あ…」
ボクが玄関のドアの文字を消し終わり、部屋に戻るとアスカが携帯を開いていた。
「また、メール?」
ボクが聞くと
「…うん。今、着信があって…開いてみたら、2件来てて…」
アスカがシャワーを浴びてる間に来た1件と、ボクが文字を消している間の1件だ…。
メールを見ると1件目は
『ボクを差し置いて そんな男を 部屋に入れるんだね』
そしてもう1件は
『消さなくても いいじゃないか』
と書かれていた。
ヤツはボクのコトを見ていたんだっ!
急いで玄関のドアを開ける…が、辺りに人影はなかった。
「どう…だったぁ?」
部屋に戻るとアスカがボクに聞いてきた。
「…」
無言でボクは首を横に振る。
「…そっかぁ」
暫く沈黙が続いたが、
「そろそろ、仕事に行くねっ」
と、アスカは立ちあがった。
「お、おう」
駐車場に向かうまでの間も、ボクはキョロキョロしながら歩いたが、それらしい人物はいなかった。
車に乗りこみ、運転しながらアスカが言う。
「今日はまだ、メールだけだけどね…」
「ん?」
「ヒドイ時は、非通知で何度も何度も携帯が鳴るの」
「…」
「アタシ、仕事でも携帯使うから、非通知拒否できないのね」
「配達中に店から電話来るコトあるからでしょ?」
「うん…だから、どうしたらいいのかわからなくって…」
「仕事中にも、メールや非通知、来るの?」
「…ううん、滅多に来ない。だから、働いてる時が一番安心できる」
「そっか」
そんな話をしているうちに、アスカの働く花屋さんについた。
「じゃぁ、いってくるね」
「おう、がんがれっ!なんかあったらすぐ連絡しろよっ」
「うん、ありがと」
アスカは花屋さんへ、ボクは向かいのパチンコ屋さんへ向かった。
中に入ってスロットのシマを一周してみたが、キングパルサーが無い。
それどころか、一昔前の台しかなかった。
でも客つきはそこそこだ。
この店がどんな営業方法をとっているのかは、さっぱりわからない。
この状況下で、ボクはアスカが仕事終わるまで打っていられるのだろうか…?
一抹の不安とともに、ボクはどんちゃん2のカド台に座った。
前日ボーナスは
ビジ12
レジ5
総回転数がわからないのでなんともいえない。
今日はまだ誰も打っていなかった。
青どんちゃんに切り替え、打ち始める。
3ゲームほど回すと赤金魚が右から跳ねた。
更に数ゲーム回すと2チェが来た。
…設定変更クサイな。
ageなのかsageなのかは、さっぱりわからない。
ボクはダメモトで打ちつづけた。
4kほど使うと
『フォンフォンフォンフォン…』
無音ビリーが通りすぎていった。
懐かしいな…
そう思いながら中中段にどんちゃんを狙う。
枠下へと消えていった…。
《゚Д゚》ゴラァァァァァァァァァァァァァァア!!!!!!!!
あまりに久しぶりなので、記憶しているリーチ目も曖昧だ。
ただひたすら左リール上段にチェリー下の七を狙い、ハサミ打ち。
涼テンパイ時のみ中リールにどんちゃん狙い。
えんえんとこれを繰り返していた。
更に3kほど使うと、得意棒プラス目ぇ炎が出た!
中リール中段にどんちゃんを狙う。
ビタっと止まる。
ボクは祈りを込めて右リール上段にどんちゃんを狙った。
ビタっ!!!!
上段にどんちゃんが止まる。
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
ボクは3連どんちゃんを狙う。
「……っ!!!!!」
『どぉ〜〜ん!大当たりぃ〜♪』
【突撃】7人目
でビジ!
さて…ここからが問題だ。
こんなに久しぶりなのに複合ビタができるのだろうか…?
第17話 完
640 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/16 04:08
眠くなったので今日はここまででつ
641 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/16 04:09
642 :
( ´∀`)ノ7777さん:02/12/16 04:12
凄いんだか凄くないんだか・・・
643 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/16 04:21
ほんと、ハラハラ((((o゚▽゚)o))) ドキドキ♪して読んでます。
ストーカーって怖いねぇ。
読んでるだけでゾッとしたよ・・・
ガンガレ!!脳内1さん♪
645 :
まき ◆1oDpaQGRrs :02/12/16 09:56
土日とたまっていたぶんをいっきに読みました。ものすごい展開でつね(・д・)ハッとしました。イイでつ キョウハ12ジカラマタ4ノリデツ!
646 :
( ´∀`)ノ7777さん:02/12/16 12:53
ハァ…ドキドキで御座います…(´ρ`)
これからどうなるんだろう?…複合ビタできたんだろうか?(そっちかい!w
647 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/16 14:24
>>646 描写力に自信がないので恐さが伝わってくれて嬉しいでつ
>>645 毎度でつ!
今日もノリ打ちでつかっ!
結果報告キボンヌでつ
>>646 禿げしくワロタでつ!
小役ゲーム。
いきなりリプナビだ。
取りあえずボクはジャックインさせる。
3人のどんちゃんが筒まで玉を運んでいる。
「懐かしいな…」
そう思いながらボクは1回目のジャックゲームを消化した。
さぁ小役ゲームだ。
「複合がんばるぞっ!」
気合いを入れる。
…が、またリプナビ。保険ハズシをしようと思ったが、失敗してジャックインさせてしまった。
中段リプが外れて『ごめんよボーン!』が出た。これも懐かしい。
ノスタルジックな雰囲気に包まれながらボクは2回目のジャックゲームを消化する。
ジャックゲーム消化中も複合の練習をする。
調子はいい。
そして3回目の小役ゲームがやってきた。
10枚役ナビ。
中、右、と打つ。
上段に灯篭テンパイ。
…ついにビタ押しする時が来た。
全神経を目と指に集中する。
「複合こいっ!」
心の中で叫びながら左リールを押そうとした時だ。
『ぶるるるる…』
ポケットの中の携帯が鳴り、タイミングがズレた。
『いやっ』
と、声がして、液晶では葉月ちゃんがそっぽを向いている…。
複 合 失 敗 !
「なんだよぉ〜…」
と思い携帯を開くと、アスカからのメールが来ていた。
『これから配達なの
恐いからついてきてくれるぅ?』
と書かれていた。
せっかくビジ引いたのに…。
3回目のジャックインをハズさずにすぐ済ませる。
『日本イチぃ〜♪』
液晶を見ると、こんな枚数でハイスコア…。
今日1回目のビジだから仕方がないのだが、
「恥ずかしいからやめてくれ。」
と思った。
鬱になりながら店員に「休憩」を伝えると、ボクは急いで店を出た。
アスカの働く花屋さんに行くと、アスカは車に花束を積んでいた。
「あ、丁度よかったぁ〜♪もう、出るトコだったの!」
ホっとしているアスカの顔を見たら、ビジ1回で350枚だったコトなど忘れてしまった。
エプロン姿のアスカに少し萌えながら助手席に乗る。
「ドコまで行くの?」
「ん―と、柳原まで」
真っ赤なバラの花束だ。
前にアスカが言っていた。
『花はね、人の心を優しくしてくれるのっ!
だから、花を届ける…ってのは優しさを届けてるのよっ』
このバラも誰かの優しい気持ち、愛しい気持ちが詰まったモノなのだろう…。
バラを見ていると、
「そーいえば、昔、シンジからもバラの花束、もらったコトあったねっ」
とアスカが言った。
まだ付き合い始めのアスカの誕生日だ。
歳の数だけ贈ったっけ…。
「そ、そうだったかなぁっ」
「忘れたのぉ?」
すると、
『ピリリリリ…』
アスカの携帯が鳴った。
和やかな空気が一瞬で凍りつく。
信号で停まると、アスカは携帯を開いた。
『また ソイツと 一緒なんだね』
辺りを見まわしたがついて来ている車は無い。
一体ドコからボクらを見ているのだろう…?
「信号、青だよっ」
固まったままのアスカに言うと
「あ、うん」
そう言ってまた走り出した。
ボクらは後ろを気にしながら届け先の家まで行った。
『ピンポーン』
チャイムを鳴らすと、80は過ぎているだろうか…。
優しそうなおばあちゃんが出てきた。
「お花のお届けでぇすっ♪」
満面の笑みをするアスカが痛々しい。
車に戻ると
「あのおばあちゃん、すっごくもてるんだよっ」
とアスカは言った。
「配達終わりましたぁ〜!」
アスカの花屋さんに戻ると、何事もなかったかのようにアスカは言った。
ボクも一緒に中に入ると、爽やかそうな男の店員が
「ごくろうさん、ちょっと休憩にしようか?」
と言い、チラリとこっちを見てから
「…アスカさんの友達かい?」
と聞いてきた。
「あ、はい」
と答えると
「君もお茶、飲むかい?」
と誘われた。
時計を見ると、パチンコ屋の休憩が終わるまでまだ時間があったので
「あ、じゃぁ、少しだけ…」
ボクも休んで行くことにした。
アスカが耳打ちする。
「あのコト、話さないでよねっ」
あのコト…?
あぁ。ストーカーのコトか。
「うん、大丈夫だよ」
「こちらは、先輩のヒトシさん」
「よろしく」
ニコリと笑って軽く手を上げた。
「そして、こっちは友達のシンジですぅ」
アスカがボクをヒトシさんに紹介する。
「ど、どーも」
クッキーを食べながら暫く談笑していると
「シンジ君は、スロットで稼いで生活してるのか、すごいねぇ〜」
とヒトシさんが言った。
「いやぁ、ホソボソとした生活ですよ」
「いやいや、あれで稼げるなんて、オレには信じられないよ、アハハハ」
「ヒトシさんもスロット、するんですか?」
ボクが聞くと
「休みの日は、たまに行くよ、ホラ、そこの、向かいにあるパチンコ屋さんでね」
と言って、さっきボクが行っていたパチンコ屋さんを指差した。
あんな店で打ってるのか…。
「あそこ、出ます?」
「いやぁ〜…出る台と出ない台がはっきりしてるね、でも、カド台は止めた方がいいよ」
と言った。
…ボクが今休憩してる台って、カド台だよな??
「あの店、カド台、ダメなんですか?」
「うん、月に1〜2回は、10回以上出るけどね」
たしか、ボクが打ってた台、前日が12回だったな…。
「まぁ、全部常連さんからのウケウリなんだけどね、アハハハ」
笑いながらヒトシさんは言った。
時計を見ると、休憩時間ギリギリになっていたので
「ボク、そろそろ行きますね、お茶、ごちそうさまでしたっ」
と言って店を出ようとした。
「じゃぁ、そろそろ仕事しようか?」
ヒトシさんも席を立つ。
「はいっ」
アスカも席を立ち、カップを片付け始めた。
「またねっ!」
アスカがウインクする。
「おうっ」
ボクは急いでパチンコ屋さんに戻って行った。
あの台は、ダメな台なのか…っ!
ヒトシさん!情報ありがとうっ!!
店に戻り、休憩の札を店員に渡すとすぐ、ボクは台移動を始めた。
どんちゃんのシマに総回転数600でビジ3レジ1、現在90ゲームの台が空いている。
「ここだっ!!」
ボクは勢いよく座った。
すると、他の客がジロリとこちらを見る。
なんだ?誰か打っているのか?
と思い、確認したがメダルもタバコも無い。
気のせいか…と、安心して打ち始めようと思ったら
「お客さんお客さん」
後ろで声がした。店員だ。
「え?」
振りかえると
「台移動禁止ですよっ!」
が―――ん…。
未だに台移動禁止なのかよっ!!
第18話 完
656 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/16 18:52
中途ハンパでつけど一旦休憩でつ
657 :
( ´∀`)ノ7777さん:02/12/16 19:23
お〜乙です!
いろいろ想像しながら読んでますが、なかなか当たりませんで…
悔しいような楽しいような。(´∀` )ゞ(w
がんがってください!
658 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/16 20:10
>>657 はうぅっ!
あんまり展開先読みしないでくらさい…
ベタな展開もありまつので。
659 :
( ´∀`)ノ7777さん:02/12/16 20:35
乙です。
久々にスロの話が出てきましたね(w
今後の展開がわかるような気がする(w
660 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/16 20:36
「だったらカド台に突っ込んでみようかな…?」
とも思ったがヒトシさんの情報もあったので、しぶしぶボクは350枚を換金し再びさっき見つけた台に座った。
2k使うと音アリビリーから3人どんちゃんの演出。
「サムイな…」
ハサミ打ちをすると
○???◎
ヽ(゚д゚)ノ
液晶にはスイカと三尺玉だ。
こんなパターンあったかなぁ…
不安になりながらチェ・涼・チェを中リールに狙うとチェ涼チェが止まった!
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
1枚がけで中リール中段に七を止める。
左リール…頼むぜ!?
中段にチェリー上の七を狙う。
『ずるるっっ』
ビジキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
ん?でも、音ありビリーからの、この液晶パターンは、ビジ確定だったかな?
一瞬そんなコトも思ったが、なにしろ記憶が曖昧。
とにかく安心してボクは七を揃えた。
661 :
( ´∀`)ノ7777さん:02/12/16 20:37
しかしなかなか複合が成功しない。
かなり腕が鈍ってる。
以前は90%以上の確率で14枚複合が取れていたが
今のところの成功率は30%にも満たない。。
ヒドイと4枚チェリーしか取れない。
2コマも早いよ…。
でもボクはカラ回しにもハサミ打ちにも逃げたくなかった。
どんちゃんを打つからには複合ビタだ。
なぁ〜に、次のビジには完璧になっているさっ!
結果、376枚。ショボイ。
でも液晶には『ハイスコア』と書かれていた。
ボクの前に打っていた人、ビジで何枚出してたんだよっっ!
と、隣りの台から
『どぉ〜ん!大当たりぃ〜』
と聞こえた。おっさんはニヤリと笑い、ビジを消化する。
ボクは自分の台を打ちながらチラ見した。
なんとそのおっさんは複合ビタを完璧にこなしていた。
「あんちゃん、あんまりジロジロ見んなや、緊張するじゃねぇか」
と言われたので
「あ、すいません」
と言い、ボクは自分の台に集中することにした。
妙に生々しいですな。w
それから1時間経っただろうか?
なにげにボクの座った台は好調だ。
深いハマリも無く、トントン拍子でボーナスが来る。
すでに1箱と下皿満タンだ。
だが隣りのおっさんはもっとすごかった。
まさに絶好調。ほとんど100ゲーム内で連チャンしている。
すでに3箱目だ。ココのどんちゃんは裏か??
…少し疲れたのでボクはジュースを買いに行った。
「さっきのカド台は…」
一応気になる。
誰かが打っていた。
唖然とした。
ビジ15…!!
ボクがやめてから、14回もビジが来ていた。
(・ω・` )ショボーン
鬱になりながら自分の台に戻ると、静かに打ち続けた。
ボクの台が出たり入ったりピストン運動を繰り返しているうちに数時間が経過した。
ちっとも増えない、が減らない。
均衡状態の中、メールが来た。
アスカからだ。
『仕事、終わったよぉ〜』
このままたらたら打ってても仕方がない。
カド台はすでに万枚コースだろう。
ビジ30をオーバーしていた。
ボクはメダルを流すと1400枚を換金した。7枚交換だから2万だ。
挙動のわからない店でプラスになるのは嬉しいが、カド台は残念だった。
アスカの車までいると、アスカとヒトシさんがいた。
「あ、シンジぃ、遅ぉいっ!」
「ごめんごめんっ」
小走りに近づくと、
「あのねっ!ヒトシさんが、ゴハン食べに行こう、だって♪」
「ハハ、そこの焼肉屋にでも、どうだい?シンジ君」
幸い勝ったコトだし、
「あ、はい、イイっスよ、行きましょう」
と答えた。
「今日はどうだったんだい?」
「えぇ、少しだけ勝ちました、でもあの店、カド台、爆発してましたよ〜…」
「へぇぇ〜、珍しいナ、あそこのカド台が爆発するなんて…ハハハ」
ヒトシさんと肩を並べて歩き出すと
「まっ待ってよぉ〜〜〜っっ!」
と、後からアスカもついてきた。
「いらっしゃいませぇ〜」
店内に入ると、レジで一人づつ料金を払う。
そう、この店はバイキングレストランだ。
焼肉だけではなく、寿司、ハンバーグ、唐揚げ、サラダ、スパゲティ、ソバ、うどん、カレーやスープ、ケーキにアイスまである。
「へぇ〜〜こんな店が出来たんだね」
席につきボクがアスカに聞くと
「シンジ君は、この店初めてかい?」
とヒトシさんが聞いてきた。
「あ、ハイ、この辺りはずっと来てなかったんで…」
「肉も惣菜も冷凍モノだけど、意外と美味しいぜ?さっ食べよう!」
ヒトシさんはそう言って、陳列されてる場所に向かって行った。
「ヒトシさん、ひょろひょろしてるけどすっごく食べるのよぉ〜」
コソっとボクに言い
「さっアタシ達も行こう♪」
アスカはボクの手を引いた。
「いっただっきまぁ〜〜すっ♪」
「いただきますっ」
「い、いただきます」
すでにテーブルには、大量の食べ物が置かれている。
ほとんどヒトシさんが持ってきた物だ。
「こ、これ、全部食べるんですか?」
ボクが聞くと
「ん?あぁ、まだまだいけるぜ?」
ニカっと笑って答えた。
ホントだろうか…?
だがその疑いはあっと言う間に晴れた。
「さぁ次いってみよぉ〜」
全部たいらげたヒトシさんは、また席を立って陳列されてる方に向かおうとした。
すると
『ピリリリリ…』
…アスカの携帯が鳴った…。
ヒトシさんが席を立つと、アスカが携帯を開く。
「シンジぃ…」
ボクに見せる。
『今日は 外食 なんだね その肉 美味しそうだ』
窓の外を見る。
…が、暗くてよく見えない。
店内にいるのだろうか…?
疑いはじめたらキリがない。
「き、気にするなよっ!ホラ、食べよう!」
ボクは自分に言い聞かすようにアスカに言った。
「どうしたんだい?」
また大量の肉と惣菜を持ってきたヒトシさんが聞いてくる。
「な、なんでもないっス」
黙ったままのアスカの代わりにボクが答える。
「ケンカでもしたのかい?ハハっ」
そっちの方がよっぽどマシだよ…とほほ。
「いやぁ〜、食った食ったっ!」
ヒトシさんは満足そうだ。
ボクとアスカは、メールが来てからマトモにノドが通らなかった。
「シンジ君、意外と小食だねぇハハハっ」
「パチンコ屋さんで飲み物飲んでたので…」
「…」
アスカは黙ったままだ。
「そっそろそろ帰りましょうっ」
「ん、そうだね、明日も仕事だしねっ」
ボクとヒトシさんは席を立った。
「ホラ、アスカ…」
ボクはアスカの腕をつかみ、アスカを立たせる。
「ん…」
と、か細く答え、ボクに引きずられるように歩き出した。
車の場所まで行くと
「じゃぁシンジ君、アスカさん、またっハハハハ」
これって爽やか系なのか?とも思ったが
「はい、おやすみなさい」
と言い、ヒトシさんを見送った。
車に入って暫くすると
『ピリリリリ…』
またアスカの携帯が鳴る。
ぼ〜っとしたままのアスカから携帯を取り上げ、メールを見る。
『美味しかったねっ!
またシンジ君と3人で食事に行こうじゃないかっ!
ではまた明日! ヒトシ』
と書かれていた。
なぁ〜んだ…ヒトシさんか…。
「ホラ、ヒトシさんからのメールだったよ!」
と言ってアスカにメールを見せる。
「…ん」
アスカは返事を打ち始めた。
「さぁ、帰ろう」
「…ん」
取りあえずボクらはボクのうちに向かった。
今日、どっちの部屋に泊まるにしろ、風呂に入りたい。
「また、シンジの部屋に…泊めて…」
運転しながらポツリとアスカが言った。
「あ、うん」
ノドが乾いたのでボクらはコンビニに立ち寄る。
一昨日ブザマに倒れたコンビニだ。
できるコトならココには行きたくなかったが、近所にはココしかコンビニが無い。
中に入り、お茶のコーナーに行く。
「ん?これは…?」
見たコトの無いお茶があった。
『緑の葉精』
伊藤園だ。
ボクはそれと『緑水』を手に取った。
すると『トントン』と肩をつつかれた。
振りかえるとそこには
「あ、ナ、ナナさん…!」
「シンジ君、こんばんわぁっ♪」
「ど、どうしたの?」
「どうしたの…って、ちょっと、お酒買いに来たのよっフフっ♪」
「あ、そっか」
カゴを見ると、ビールが数本と雑誌が入っていた。
「シンジ君、今日は打ちに行ったの?」
「う、うん」
「その顔はぁ〜〜…負けたねっフフフっ♪」
「一応勝ったよ、ショボいけどね」
「おぉ〜〜〜〜っ!おめでとぅっ♪」
そんな話をしていると
「シンジぃ…」
お菓子コーナーにいたアスカがボクの方に来た。
「あれ?アナタは…」
あぁ、そっか、この前デパートで二人は会ってたんだ。
「えっと、友達の…ナナさん、こっちが…」
アスカとの関係は、なんて言えばいいのだろう…?
まぁいいや、
「友達の、アスカ」
「この前デパートで会ったよねっ」
ナナさんが言う。
「え…あぁ!あの時の…」
アスカも思い出したようだ。
「あ、ボク達、もう行くから…」
「ん?そう?じゃ、またねっ」
「うん、またっ」
ヤバイヤバイ、この前ナナさんチに泊まったコトとか、この顔の怪我のコト、アスカに話されたら困る。
アスカに嘘つき放題なボクは、さっさとコンビニを出た。
部屋につき、窓を見ると昨日のコトを思い出す。
ガムテープでとめたガラスが生々しい。
取りあえず風呂を沸かすと
「アスカも入るか?」
と聞いた。
「ん、シンジ、先に入っていいよ」
「ボクは一緒に入ってもいいんだけどな」
「…バカぁ」
枕を抱きかかえ、アスカが言った。
暫くすると風呂が沸いた。
「じゃぁ、風呂入ってくるね」
「…ん」
ふぅ〜〜〜〜…やっとのんびりできる。
湯船につかりながらボクはウトウトしてきた。
第19話 完
674 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/16 22:37
とゆーワケで風呂に入ってきますw
675 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/16 22:38
何様だ、と言われるかもしれないですが、
前置きの長い文章や、ストーリーに関係ない話し(どんちゃん立ち回り)とか、
…個人的にすごく好きです!Σd( ≧∇≦)
いやぁ、実に生々しい。(゚∀゚)イイ!
風呂がんがってください。w
677 :
( ´∀`)ノ7777さん:02/12/16 23:41
感動しますた。
脳内1殿応援しております。
ところでサバイバーとかいうパチスロ小説知りませんか?
作者は脳内1殿?
ストーカーやばいっすね先が見えませんドキドキ 今日ハ日当飲ミ代デナクナリマシタ(´д`)フゥ〜
679 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/17 00:40
>>676 ストーリーに関係無くてもスロ板なのでたまにはシンジに打たせてあげまつ。
風呂、がんがってきますたw
>>677 えっと、感動する場面、ありました?
応援どうもでつ
パチスロ小説はわかりません、作者も当然違いまつ…
>>678 おれもお先真っ暗でつ。
飲み代だけでも稼げてうまやらしいでつ。
乙〜〜。
スリリングな展開でつね〜〜。ワクワク。
人も増えてきたしヨロシコ。
681 :
( ´∀`)ノ7777さん:02/12/17 20:39
風邪ひいて倒れて間にまたまたおもろい展開になってまつね。
毎日楽しみに読ませてもらってます。
とりあえず保全age
ってあげないほうがいいのかな??
682 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/17 23:09
>>680 見てくれる人が増えて嬉しい限りでつ
>>681 ageでもsageでもカキコミがあると嬉しいのでつ
「シンジぃ、まだ入ってるの?」
「…ん」
ボクはどうやら湯船に浸かりながら眠りコケテいたようだ。
「あ、あぁ、もう少ししたら上がるよっ」
「あんまり遅いから、のぼせてるのかと思っちゃったよぉ」
ドアの向こうからアスカが心配そうに言ってくれた。
「だ、大丈夫大丈夫、ボク、長風呂だから」
「…前はあっと言う間に上がってたのにねっ」
「あぁ、最近長くなったんだ」
実はすでにクラクラだ。
「一人でいると、不安だから早く上がってねっ」
「お、おう」
アスカも入ってくればいいのに…。
でも、のぼせ気味のボクは急いで体を洗うと、風呂場を出た。
「おまたせっ!アスカも入ってきなよっ」
「あ、うんっ♪」
「覗かないでよねっ!」
とだけ言うと、アスカは風呂場に向かった。
そんなにボクって信用ないのかなぁ…。
『ちゃぽん…』
『ざばぁ!』
アスカが風呂に入っている音が聞こえる。
気にしないようにボクはパチスロ雑誌を読んだりテレビを見て気を紛らわそうとしていた。
でも、『覗くな』と言われると覗きたくなるのが男のサガだ。
暫くガマンしていたが、ボクはアスカの入る風呂場へと足を忍ばせた。
脱衣室の扉に耳をつける。
「……」
音がしない。
今ごろ、湯船に浸かっているのだろう。
ムフフ…。
脱衣室のドアノブに手を伸ばす。
『ごんっ!!』
「いてっ!!」
「え?」
急に脱衣室の扉が開き、ボクは頭をぶつけた。
「いてててて…」
オデコを押さえ蹲っていると
「シンジぃ〜〜〜〜っ」
目の前に服を着たアスカが立ちはだかっていた。
にこやかだがすごい剣幕だ。
「今ぁ、何してたのぉ?」
「え、あの、湯加減はどうかな…と思って…」
後ずさりながらボクが言う。
「イイ湯でしたわよぉ〜〜〜っ」
アスカが恐い。
「も、もう上がってたの?はは早いね、ハハ、アハハハ…」
ボクの作戦は失敗に終わった。
「近寄らないでっ!しっしっ!」
アスカはベッドの隅に行き、ボクを遠くに追いやろうとしている。
「ごめんよぉ〜〜っ!魔が差したんだよぉ」
ボクの信用はガタ落ちだ。
すると
『ピリリリリ…』
アスカの携帯が鳴る。
アスカの表情が変わる。
ボクの表情も変わる。
「また…だわ…」
携帯を見るアスカ。
ボクも隣りに行き覗きこむ。
『イイ湯 だった かい?』
ヤツ…ストーカーヤロウは、近くまで来ているっ!!
「もう…イヤ…」
涙ぐむアスカ。
ボクはそっと抱き寄せた。
アスカの濡れた髪からシャンプーのいい香りがした。
ピンと張り詰めた空気。
静かな部屋のベッドの上で、ボクらはお互いの存在を確認するかのように身を寄せ合った。
割れた窓ガラスに貼ったガムテープの隙間から風が吹いてくる。
「大丈夫…ボクがついてるから…」
「…ん。」
弱々しく返事をするアスカ。
『ピリリリリ…』
またアスカの携帯が鳴る。
「…シンジぃ…」
すがるようにアスカがボクの名を呼ぶ。
ボクはアスカの携帯を開いた。
『とても 静かな 夜だね』
その時だ!
『コツン…』
玄関の外で音が聞こえた。
ヤツ…ストーカーヤロウかもしれないっ!
ボクはベッドから勢いよく飛び跳ねると玄関に猛ダッシュした!
「シ、シンジぃ…」
ベッドの上で不安そうな声を出すアスカ。
『ガチャガチャ…バン!!』
カギを開け、玄関の扉を開ける。
…が、誰もいない。
と、その時、
「ワンワンワンワンっ!!」
向かいの家の"チコ"が吼えた。
…ヤツだっ!!
もう逃がしはしないっ!!
ボクは向かいの家まで走った。
『ワンワンワン!!』
ボクが向かいの家まで行くと、チコがさらに吼える。
気にせずきょろきょろすると
『ガサっ』
人影が見えた。
「待てっ!!」
ボクは大声で叫び、後を追う。
ヤツは逃げる。
ボクは追う。
「ハァッ…ハァッ…」
運動不足とヘビースモーカーのせいで中々思うように足が上がらない。
だがストーカーヤロウの後姿を見ているうちにソイツに見覚えがあるコトに気づいた。
「ヒトシ…さん?」
ボクがその言葉を言うと、ストーカーヤロウは走る足を止めた。
すぐにボクは飛びかかった。
ソイツの顔をみると、やはり、アスカの働く花屋にいたヒトシさんだった。
「ど…どうして…」
「……」
ヒトシさん…いや、ヒトシは黙ったままだ。
「アンタがアスカのストーカーだったのか…?」
「…す…すまない」
跪きながらヒトシは話始めた。
「オレはずっと…初めて会った時からアスカさんのコトが好きだったんだ…」
「……」
「でも、店に働きに来た時にはアスカさんにはすでにシンジ君…キミがいて…」
そうか、ボクがまだアスカと付き合ってた時、アスカは花屋で仕事を始めたんだ…。
「そしてやっとキミがアスカさんと別れたと思ったら、すぐに別の男と付き合って…」
…ジュンタのコトか…。
「やっとソイツとも別れたと思ったら、今度はアスカさん、出会い系メールを…ウウ…」
ヒトシは泣き始めた。
「だからってなんでこんなコトを…」
ボクが聞くと
「すぐソバにいるのに全く見向きもされないっ!…この気持ちがキミにわかるか…?ウウ…」
「……」
ボクには答えるコトが出来なかった。
「だからオレは、もう一つ携帯を…プリカを手に入れて…」
「それを使ってアスカにメールを送っていたのか…」
「あぁ、そうさっ!でも、こんなコト、アスカさんにバレたくなかった!
だから今日、3人でいる時にわざわざメールを送ったんだ…」
そのタメに今日、食事に誘ったのか…。
昨日、アスカがボクの部屋に来たのを見て、計画を立てたのだろう…。
>脳内1さん
いつもいつも乙でつ。
意外な展開に、今回も驚きながらも
次回も期待。ガンガッテくだされ。
カゲながら応援してまつ。
>677
サバイバーって、昔必勝本で連載してた
アレかな?
「でもどうやって一緒にいる時にメールを…?」
「…そんなのは簡単さ。予めメールを打って、ポケットに忍ばせる。二人がオレのコトを見てない隙に【送信】ボタンを押すだけさ…」
そうか…そうすれば確かに送るコトは可能だ。
何を食べるのかも、ヒトシが選んで持ってくればいいのだから…。
「ハハっ!でももうおしまいだよ…バレてしまった!何もかもおしまいさっ!ハハ!惨めだろう?アハハハハ!!!」
ヒトシは泣き笑いながら起きあがった。
「アンタ…間違ってるよ…」
ボクは怒りが込み上げてきた。
「アンタ、アスカに何か意思表示したのかよっ!?」
「ハハ…。ハ……。」
ヒトシの笑いが止まる。
「何にもしてないんだろっ?それなのに、何が『見向きもされない』だっ!!」
ヒトシのむなぐらをつかむ。
黙ったままのヒトシ。
「アンタの勝手な気持ちで、アスカがどれだけ苦しんで…傷ついたのか考えたことあるのかよっ!!」
するとヒトシはボクの腕をつかみ、
「ふん…今更もう遅いさ…。
オレもこんなコトしても何もならないのはわかっていたよ…。
でも、気づいた時にはすっかりこんな生活だった…」
と言った。そしてボクの腕を離すと
「もう、こんなコトは止めるよ…今まで迷惑かけて済まなかった…」
と言い、その場を去って行った。
暫く呆然と立ちすくんでいたボクだったがアスカを部屋に置き去りにしていたのですぐに部屋に戻った。
「アスカ…」
「シンジぃっ!!」
布団をかぶっていたが、ボクの声を聞き、アスカはすぐに玄関まで飛びこんできた。
「どど、どうだったぁ?」
暫く考えたが、
「ん…チラっと姿が見えたから追ったんだけど、逃がしちゃったよ…」
と、答えた。
「そっかぁ…」
残念そうにアスカが言う。
「あ、でも、これにビビってもう来なくなるかもなっ!」
「う、うん…だといいけどぉ…」
「さぁ、もう寝ようっ」
「…ん」
これで良かったんだろうか…?
真実を話したほうがいいのだろうか…?
複雑な思いのままボクは床についた。
次の日から、ヒトシは職場…花屋に姿を見せなくなった…。
そしてボクは、ガラス代…もらうの忘れた…。
第20話 完
694 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/18 01:02
実は最初からこーゆー展開だったんでつよっ!!!
…バレバレでしたか?
やっとストーカーネタが終わりでつ
>>691 毎度どーもでつっ!
「意外」でしたかっ?
驚いてもらえてありがdでつ!
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
2時間半でやっと最後尾までたどりついた。目がシパシパする。
ラメ・・・いや、脳内1さんおっつー! 展開(・∀・)イイ!
あっという間の2時間半ですた。
「違うのか?
ボクが間違ってるのか?」
↑あのスレのスレ1からの名残でゲキわらた!
てゆーか、前編のユキの方のストーリーは
朝市キンパル・飲食業・彼女の存在 などのキーワードで
もしかして、脳内1さんの実生活にかなり近いのでは?
とおもいますたが、いかがでしょう?
今後の展開カナーリ期待している香・・・期待しているよ。
おやしみ。
697 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/18 03:06
>>695-696 おぉ!全部読んでくれますたかっ!
ありがdでつ
やっぱり自分の身の周りは題材にしやすいでつ。
でも一応フィクションでつ。
698 :
瓢箪島島民:02/12/18 03:08
700 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/18 03:11
701 :
瓢箪島島民:02/12/18 03:55
妄想厨まで読んだ
なんか自虐的な所が素敵&hearts:
脳内1はなんかエヴァ調?Hするの?続きが楽しみ
702 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/18 14:51
>>701 妄想厨さんと脳内1は別人でつ。
念の為。
エヴァ調…はて、どうでしょう??
>Hするの?
えっと、これはおれに言ってるのかな?
それともこれから先のシンジに言ってるのかな?
続きはまた今度書きまつ。
い ち さ ん !
や っ て く れ ま し た ね !
私をこんなにドキドキハラハラさせるとは!
でんでんむしもどきのノロノロ展開な私は・・・嗚呼。
ははは、いや〜ほんまオモロイ!素晴らしいです!
かなり・・・ってかめちゃめちゃ(・∀・)イイ!!
なんかもう離れられない。(*´д`*)ハァハァ
いつまでも離さないわよ!ぐへへ・・・・・。
まん
せー!!
ん〜〜〜〜〜〜〜〜これからも期待。
わたくしも頑張らねば・・・嗚呼。
704 :
( ´∀`)ノ7777さん:02/12/18 21:50
いやぁ〜面白かったですよー!
まさかガラス代を請求し忘れるなんてね!(そこかよ!w
でも、オチ(?)が最高ですた。
新章突入の前の休憩でつか?おつかれさまでつヽ(`∀´)ノウワァイ!!
>>脳内1殿
落ちが想像できなくてぐーです。
所々に出てくる2ch用語も上手いし。
これからますます期待です!
>>414殿
必勝本だったんですね<サバイバー
今度買ってみます。ありがとう。
706 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/18 22:50
あの日…ヒトシが、アスカの前から去ってからも、アスカは暫くボクのアパートに泊まっていた。
「あの日から…シンジがストーカーを追いかけてから、変なメールも来なくなったけど、まだ不安なの」
そう。結局ボクは犯人がヒトシだったコトはアスカに黙っておくコトにした。
その方がアスカのタメだと思ったからだ。
あれから1週間…ボクは今日もアスカの仕事について行く準備をしていた…。
すると
「あ、シンジっ!アタシ、今日から一人で仕事行くっ!」
「え…?もう、大丈夫なの?」
「うんっ!変なメールも、非通知も全然来てないしぃ…それに、」
チラリとボクを見る。
「シンジ、あのパチンコ屋さんで、全然勝ってないでしょ…?」
ギクリ。
そうだ。この1週間、ボクは全くと言ってイイほど勝ってない。
良くてトントン。上野動物園のパンダだ。
あれ?童童って死んだんだっけ?まぁいいや。
「ホームグラウンドで、たまにはいっぱい稼いで来てっ」
ボクにウインクするアスカ。
「お、おうっ」
あの一件以来、ボクとアスカの関係が少しずつ親密になってきているのを感じた。
「じゃぁ、アタシ今日も仕事通しだから、行くねっ!」
「まだ新しい人、入らないんだ?」
ヒトシが急に仕事に来なくなったタメ、アスカはずっと休み無しだ。
労働時間も朝から晩まで。よく続くなぁ、と思う。
「うん、店長が、募集はかけてくれてるんだけどナカナカ…」
「大変だね」
「大変だよぉっ!でも、その分やりがいあるっ!…それに、残業も沢山つくしっ♪へへへ」
アスカの目が「¥」になっている。
「じゃぁ、行ってきまぁすっ!」
「うん、行ってらっしゃい」
アスカを見送るとボクはもう一眠りするコトにした。
まだA.M.7:00だもんな…。
『ピピピピッピピピピッ…』
寝覚まし時計が鳴った。
A.M.8:30だ。
ベッドで寝たのは何日ぶりだろう…?
ボクはアスカが来てからずっとソファで寝ていた。
久しぶりのベッドから起きると、
「さぁ〜て久しぶりにパルチャンだっ!」
意気揚々とマッスィ〜ンに乗りこむ。
『ぶるるるん…』
ボクはいつものパチンコ屋さんヘと向かった。
パチンコ屋さんに着くと、すでに3人ほど並んでいた。
よく見る顔だ。
きっと向こうもボクのコトを見てそう思うのだろう。
列に加わり暫くすると、店員がドアを開けた。
「いらっさいませ〜」
「いらっさいませぇ〜」
久々なのでどの台がいいのか全く読めない。
とりあえず適当に座った。
「シンジ君っ!」
聞き覚えのある声だ。
振りかえると、ナナさんがいた。
「あ、久しぶりっ」
「うんっコンビニで会って以来だねっ♪あ、顔のキズ、すっかり消えたねぇ〜♪」
「お、おう、おかげさまで…。今日は…休み?」
「うんっ!」
「お互いがんがろうぜっ!」
「お――うっ♪」
ナナさんはボクの隣りに座って打ち始めた。
「あ、そうだっ!」
ナナさん、何か思いついたようだ。
「ん?」
ボクが聞くと、
「シンジ君ってぇ、映画好きぃ?」
と聞いてきた。
「アタシぃ、すっごく見たい映画があるんだけど、カレ、映画キライなのねっ」
「うん」
「シンジ君、映画キライじゃないぃ?」
特に好きでもないが、嫌いってワケでもなかった。
「ボクを誘ってくれてるのかな?」
「うんっ♪」
とびっきりの笑顔。
「映画くらいなら、付き合ってもいいよ」
「ホントにぃっ!うれし――っっ♪♪」
「何て映画なの?」
恋愛モノは苦手だ。
「ん〜とね、これこれっ!」
そう言ってバッグからチケットを出した。
『丸いポットと秘密の村』
今話題の映画だ。
村興しのために円形のポットを開発した魔法少年の物語。
ボクも前作を見て、これも一度は見てみたいと思っていた。
「これ、すげぇ話題になってるヤツじゃんっ!」
「うんうんっ!…でもカレ、『こんなダジャレみたいな映画、見たくない』って言うの…」
しょんぼりしているナナさんを見て、
「よしっ!午前中にサクサクっと勝って、午後から映画に行こう!!」
と言った。
「うんっ!ありがとぅっ♪よぉ〜〜しっがんがるぞぅ♪」
ナナさんはキンパルに集中し始めた。
ボクもキンパルに集中しようとした。
でも、頭の中はすでに映画のコトでいっぱいだった。
第21話 完
712 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/18 23:48
ちょっと休憩でつ。
後でまたすぐ書くかもでつ。
>>705 いえいえ。でも、既に必勝本での連載は終わっちゃってまつ。
んで、筆者本人のHPにて、まだまだ連載中です。
筆者本人のHPは、たぶん必勝本に出てると思われ。
>脳内1さん
なんとなく、微妙な三角関係を築きつつあるような(w
この先は、どろどろか?(失礼
何にしても、楽しみでつ。
714 :
( ´∀`)ノ7777さん:02/12/19 01:01
あはは〜!「丸いポット」最高!Σd(≧∇≦)
かまいたちの夜(PS版)の「ロンダケ(論語だけじゃいや?)」を思い出しますた。w
がんがってくださいね!(`・ω・´)シャキーン!!
716 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/19 02:17
>>713 どろどろになるのでしょうか…?
微妙でつ。
>>714 確か、かまいたちにもこんなのありますたよねっ
正直、パクリますた
>>715 名前のところに番号なり書いていただけるとわかりやすいでつ。
717 :
( ´∀`)ノ7777さん:02/12/19 20:49
続き期待age
これからも良作期待してマツ!!
ついでに兄弟スレの禁断症状氏(゚∀゚)カムバッ━━━━━━ク
718 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/20 01:45
>>717 応援ありがdでつっ!
同じく禁断症状氏カムバ━━━━(゚∀゚)━━━━ック!!
集中力が欠けていた…。
全く勘が冴えない。
3台移動したが3台ともボクが止めてから3kほどでボーナス…。
一方ナナさんは、
『ぐえっぐえっぐえっぐえっ♪ででれでっでっででぇ〜〜ん♪』
…またカエルが合唱している。
「ちぇ…っ」
ボクは台移動するために他の台を模索した。
履歴だけを見ながらシマを一周する。
「はぁ…良さそうな台…ないなぁ…」
一番カドの台まで行き、引き返そうとした時だ!
ベ バ バ
リ オ オ
バ リ ベ
のリーチ目が落ちていたっっ!
「こ…これは…神様からのプレゼントかっ!?」
ドカっとイスに座ると、漱石を一人投入した。
3枚コインを入れ、レバーを叩く。
『きゅるるるっ』
7匹カエルだ。
きっと『びよんびよんびよんびよん』となるに違いない。
ボクは左リールにシオバを狙った。
『…ぱしゃーん…』
シオバにも止まらずに滑って行った。
おかしい…。
その後3ゲーム回しても、滑る。ドットも静かだ。
ビジ狙っても、レジ狙っても…滑る。
やられた…。これは
ウ ザ ガ キ の 罠 だ っ た !!
逆押しでやめやがっていたっ!
ハメられたっ!
震えるコブシでひたすら突っ込むボクがいた。
『がくんっ!』
何の前触れも無くベリバでリールがブルった。
挟むと右リールにもベリバだ。
まさかこれは…
や っ ぱ り ブ ル リ プ だ っ た !
「今日はトコトンボクをバカにする気だな?」
ボクは、常に『ボク』を見ている『誰か』に問い掛けた。
「そうだよ」
誰かが耳元でささやく。
所詮ボクはこの『誰か』の操り人形なのだろうか…?
「シンジ君…」
ボクがイライラしながら打っていると、ナナさんが話し掛けてきた。
「あ、なに?」
「シンジ君、今日は調子悪いみたいだね、、、」
「あぁ、うん…」
シュンとしていると、
「アタシも今、連チャン終わったしぃ…もう、映画に行こうかっ」
ナナさんは笑顔でそう言った。
その笑顔にボクは少しだけ救われた気がした。
「そ、そうだねっ、行こう行こうっ!」
ボクらは映画館に向かった。
車に乗りこむと
「何時からなの?」
とボクが聞く。
ナナさんは
「ん〜〜…わかんないっ♪」
チョロリと舌を出した。
カワイイ…。
「映画館に行ってみて、まだ時間があったらゴハン食べようっ♪」
「あ、うん、そうだね」
「今日はナナさんのオゴリだよんっ♪」
「今日は結局いくら勝ったの?」
「ん〜〜〜とぉ…3万くらいっ♪」
羨ましい…。
「あ、そこを右に曲がってっ」
「あ、うん」
ウインカーを出し、曲がる。
すると、大きな建物が見えた。
「ボク、ここの映画館初めてだよ」
「うんうん、夏に出来たばっかりだもんねぇ〜♪」
駐車場に車を停めると、ボクらはその巨大な建物に入って行った…。
いよいよ『丸いポットと秘密の村』が見れる…っ!!
スロットで負けたコトなどすでに忘れていた。
第22話 完
723 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/20 02:25
今日はメチャクチャ短いでつ。
帰って来たのが遅くて出遅れますた。
もう眠いので続きはまた明日でつ。
乙でした キンパルネタイイ!! 話もいいけどキンパルもね!
楽しみにしてます 続き でわでわ
725 :
脳内1 ◇SHzlU2rkKA :02/12/20 19:42
そしてボクはナナのまんこに自分の丸いポットをブチ込んだ!!!
ズブゥ!!!!
ナナは言った
「ああーっ!!!すっごい!!!」
726 :
( ´∀`)ノ7777さん:02/12/20 19:59
続きは?
727 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/20 23:36
728 :
( ´∀`)ノ7777さん:02/12/20 23:37
館内に入って開演時間を見ると、後20分くらいだった。
「らっきぃっ♪さっ行こっ♪」
売店でパンフレットを買うナナさん。
「アタシ、映画観に行ったら必ず買うんだぁ〜♪」
「そうなんだ?ボクは買わないなぁ〜」
ボクはコーラのLサイズとチョリトスを店員に頼む。
「ナナさん、飲み物は?」
「えっとぉ…アタシはウーロン茶っ!…Mサイズぅ♪」
チョリトスと飲み物の乗ったトレーを渡された。
「準備おっけぃっ♪」
「うん、あ、トイレは大丈夫?」
「アタシは平気っ♪」
「じゃぁ、入ろうかっ」
「お―――うっ♪」
中に入ると思ったよりも人がいなかった。
ヒソヒソ
「さすがに平日の昼間だから、すいてるねっ♪」
ヒソヒソ
あ、そうか…普通に働いてれば、こんな時間に観に来れないもんな。
ボクらは真ん中からやや後ろの方に座った。
始まるまでまだ時間はあるようだ。
薄明かりの中、ボクはチョリトスにかぶりついた。
真っ直ぐなドーナツ…とでも言ったらいいのだろうか?
シナモンが効いてて美味しい。
…が、シュガーが口の周りに沢山つくのが難点だ。
ヒソヒソ
「これ、美味しいね」
ヒソヒソ
「えっどれどれっ♪」
ヒソヒソ
ナナさんがボクの握るチョリトスにパクリと食いつこうとした。
ヒョイっとボクが引っ込めると
ヒソヒソ
「ぶぅ…いぢわるぅ」
ヒソヒソ
と、ナナさんがいじけた。
ヒソヒソ
「アハハ、冗談だよ、はいっ」
ヒソヒソ
ボクが差し出すとナナさんは
「あぁ〜〜んっ♪」
と言って一口食べた。
あ…これって間接キスだろうか…?
ボクがちょっと照れていると
「美味しいぃぃぃ〜〜っ!!」
ナナさんは大きな声でそう言った。
前にいる人が振り向く。
…ボクは、ちょっと恥ずかしかった。
「これ、ホントに美味しいねっ♪アタシも頼めばよかったなぁ〜…」
薄明かりの中でナナさんが唇についたシュガーを舐めた。
その仕草にドキっとすると、急に真っ暗になった。
いよいよ『丸いポットと秘密の村』が始まる…っ!!
暫くボクは映画に没頭した。
物語は主人公が出稼ぎから帰ろうとしたところから始まる。
小太りな男が主人公の前に現れる。
「絶対に、村へ帰っては、いけません」
主人公は言った。
「おいおい、それじゃぁ物語が進まないじゃないか」
でも小太りはしつこく主人公が村に帰るのを止めた。
…変なストーリーだな。
主人公は小太りの言うことを聞かずに、一緒に出稼ぎに来ていた上杉と一緒に村に戻った。
村に帰ると、かつての級友、浜鬼さんと再開。
いよいよ3人の、村興しの開発が始まった。
村一番の丸っこいドラ息子の妨害を受けながらも着々と研究を進めるうちに、浜鬼さんはセキが止まらなくなる。
主人公と上杉は浜鬼さんのセキを治すために魔法の薬草、マドレーヌを探しに森に入った。
二人は巨大な蜘蛛の大群に追われる…!
その時だっ!!
『ぎゅっ…』
ナナさんがボクの手を握ってきた…!!
733 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/21 00:41
――――――中断――――――
はうぁ…!間違った!!!
「戻ってはいけない」って言ったのは『ドビー』じゃん!!
『ゴブリン』と勘違いしたぁぁぁ!!…鬱でつ。
――――――再開――――――
なななななんで急に手を…!?
ボクがドキドキしてナナさんの方にチラリと目をやると、ナナさんは映画に夢中になっていた。
ナナさんの手は少し汗ばんでいる。
つい、ボクはその手を返し、ナナさんの指にからめてしまった。
更に『ぎゅっ』と握るナナさんっ!!
あぁっ!一体どうしたらいいんだっっ!!
主人公のピンチな場面。
きっと今ここにいる全員が、それを観てドキドキしているのだろう。
でもボクは…ボクはナナさんがボクの手を握ってきたコトにドキドキしていた。
だがそんなボクの気持ちは無視して、映画はいよいよ佳境に入って行った。
主人公とヤマタノオロチとの対戦だ。
主人公がピンチになる度にナナさんはボクの手を強く握る。
「あっ!」
「危ないっ!」
「シムラ、後ろ!」
何かを小声で言っているナナさん。
ボクはそんなナナさんをカワイイと思いながら映画を観ていた…。
主人公がついに念願の『丸いポット』の開発に成功し、その村の民芸品として採用されると、物語は幕を閉じた。
エンディングが流れ始めたから席を立とうとすると
ヒソヒソ
「まだダメよっ!最後まで観ないとダメだって、友達が言ってたの!」
ヒソヒソ
ぎゅっとボクの手を握りながらナナさんが言った。
すると、エンディングの後に物語に登場した六鳩さんの映像が流れた。
…でも、それだけだった。
観なくてもよかったんじゃないか?
とも思ったが、ナナさんは満足そうだった…。
第23話 完
736 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/21 01:06
今日はここまでにしておきまつ
737 :
( ´∀`)ノ7777さん:02/12/21 01:09
(T.T )( T.T)オロオロ
738 :
( ´∀`)ノ7777さん:02/12/21 01:12
>脳内1さん
まったくぅ・・・最高ですよ。
私的に、第23話最大のツボは
「シムラ、後ろ!」
_(*_ _)ノ彡☆ギャハハハ!!バンバン!!
てか、スロネタが全くないほうが面白いかも?(笑)
739 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/21 01:16
読み返したら、ワケわからんでつね。
失敗でつ。
740 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/21 01:17
>>738 おぉっ!
ツボにはまってもらえて嬉しいでつっ!
久々にイッキ読みしますた!
映画最高!自分もシムラにかなりワロタ w
しっかり見に行ってたんでつね。(・∀・)ニヤニヤ
六鳩さんの存在までしっかり知ってるあたりは…
ただ者ではないですね?1さん。
映画の後なにをするんでしょう…(´ρ`)ドキドキ
742 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/21 14:55
>>741 お久しぶりでつ!
本物の方、しっかり見に行きますた!
連れが「最後まで見る!」と言うのでたらたら見てたら
六鳩さんが出てきてちょっと得した気分ですた。
脳内ドラマはまた夜にでも書きまつっ!
743 :
大学生 ◆SRhj39JyZQ :02/12/21 18:40
はじめまして!
「シムラ、後ろ!」に禿ワラですた!!!
744 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/21 21:49
>>743 オハツでつっ!
ワラっていただけて嬉しいでつっ!
これからもよろしくおながいしまつ!
745 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/21 22:44
書こうと思ったけど眠いので今日はお休みでつ。
>脳内1さん
眠いときは寝るに限るね。
なんにしても、読むたびに何かしら
笑いのツボがあるのは、ナイスですね。
これからも期待っす。
>>脳内1殿
ツムラウツロは名言ですね。
ナナさんは良いキャラですね。
本当に面白いです。
次の笑いも楽しみにしています!
>>414さん
サバイバー必勝本にアドレスがありませんでした。
そもそも誰かも分からないし。
バックナンバーもないらしいし。
ぐぐってもTBSのサバイバーが出てきてしまうし。
748 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/22 08:34
>>746-747 適当にその場で思いついたネタを書いてるので
あまり期待しないでください…ぷれっしゃーが…。
でもこれからもがんがりまつっ
「おんもしろかったねぇ〜♪♪」
ナナさんはすっかりゴキゲンだ。
映画館を出て、ファーストフードで食べている間もずっと映画の話をしていた。
「あの主人公が鹿に乗ってフットボールするの、アタシもやってみたいなぁ〜」
「え、でも大きな玉に追われちゃうよ?」
「あ、そっかぁ〜〜…」
実際ボクもあれはやってみたかった。
映画を観ると暫くその世界観に入ったままななかなか抜け出せないのはなぜなんだろう…?
「いらっしゃいませぇ」
誰かお店に入って来た。
別に気にせずにボクはナナさんと話していると
「お持ち帰りですか?」
「あ、はい、えっとぉ…テリヤキチキンバーガーとぉ…オニオンリングとぉ…」
ボクはその客の声に聞き覚えがある。
振りかえるとそこには
「ア、アスカ…?」
「え?あ、シンジっ!?」
なんとアスカが注文していた。
「あと、コーヒーシェイクのsサイズ」
「以上でよろしいですか?」
「あ、はい」
「ではただいまお作りしますので少々お待ち下さい」
注文が終わるとアスカはボクらの方にやってきた。
「こんにちわ、ナナさん」
ニコリとアスカはナナさんに挨拶した。
「あぁ、この前の…アスカさん…だよね?」
「……」
ボクは固まったままだった。
「今日はデートですかぁ?」
「ちちちちがうよっ、ねぇ?」
慌ててボクが否定してナナさんに同意を求めると
「う〜〜〜ん…でぇと…かなぁ♪」
をいをいナナさぁん…。
「仲、いいんですねっ」
アスカの表情は笑っているようで笑っていなかった…。
「ア、アスカは、なんでココに…?」
ボクが恐る恐る聞くと
「忙しくてお昼食べれなかったから、配達の途中で寄ったのよ?あ、おジャ魔だったのかなっ?」
な、なんで怒ってるんだ?そしてボクはなんで恐がってるんだ?
ボクは妙だと思った。
そもそもボクとアスカは付き合ってるワケじゃないじゃないか…。
ボクがドコでダレとナニしよーと、ボクの勝手じゃないかっ!
…でも後ろめたさがあるのはなんでだろう…?
「3番カードでお待ちのお客様〜」
「あ、出来たみたい。じゃぁ、また…」
「うんっ仕事、がんばってねっ♪」
「ありがと」
「ア、アスカ…っ」
ボクが呼び止めるのを無視して、アスカはさっさと店を出ていった。
さっきまで映画の主人公になりきっていたボクは、一気に現実に戻った気がした。
「アスカさんって、イイコだねっ」
「え、あ、うん…」
「元カノ…なんだっけ?」
「う、うん…」
「もったいないねぇ〜…あんなコ逃がすなんてさっ♪」
「うん…」
「シンジ君…?どうしたの?元気ないよぉ?」
「え?そそそんんなコトないよっ!!」
「あ、ひょっとしてまだ、引きずってるのかなぁ〜♪なんてねっ♪フフフフっ♪」
「……」
ボクが黙っていると
「あれ…シャレにならなかった?」
とナナさんは聞いてきた。
「え、いや、違う違う!もう過去の話だしっ」
「そうだよねっ♪あ、これからどうしよっかぁ〜」
「ナナさんにまかせるよ」
ボクの頭の中はすでにぐちゃぐちゃだ。
何も考えることが出来なくなっていた。
「そっかっ♪じゃぁ…アタシ、シンジ君のうちに行ってみたいなっ」
「えっ?」
第24話 完
753 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/22 09:38
寝起き&出勤前だからメチャクチャでした…。
続きはまた今度でつ。
お〜〜!ドキドキの展開キタ━━━(゚∀゚)━━━!!
ナナさんのいたずら心にホレますた。(´ρ`)ハァハァ...
755 :
( ´∀`)ノ7777さん:02/12/22 18:49
期待age
756 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/22 21:54
今日は頭痛がするのでお休みでつ。
風邪ひきますた。ヽ(`Д´)ノ ウワァァン
>>754 続きは明日でつっ
>>755 あまり期待しないでくださいでつ
1さん、おだいじに…。
更新は気にせずゆっくり休んでください…(`・ω・´)b
758 :
( ´∀`)ノ7777さん:02/12/23 00:15
脳内1さん、頭痛ですか。
( ´∀`)ノ゜° はい、バファリン(w
>脳内1
さぁ、盛り上がって参りますたね!
とうとうHネタ解禁か?それだけはヤメテ遅れ!
頭痛ですか?あったかくしてお眠りなさいな。
お大事に・・・。
きたーーーーーーーー!
とうとうお持ち帰り!
でも、えっちの方向にはいかないことを期待でつ。
ラメ・・・いや脳内1さん、小説書く暇があったら風邪なおしたほうがいい香・・・
いいですよ。おやしみー
761 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/23 17:42
「う、ウチ、汚いよっ」
ボクは焦った。
アスカの衣類やら化粧道具やらがボクの部屋に散乱しているからだ。
「アタシはちょっとくらい汚れてても構わないよっ♪」
ニコリと笑うナナさん。
思わず抱き締めたくなるその笑顔。
「よしっ!じゃぁ、このナナさんが汚部屋をきれいにしてあげよ――っ♪」
そう言ってナナさんはボクの車に乗りこんだ。
はぁ…仕方ない、ナナさんが入る前にアスカの物を隠そう。
ボクは諦めてナナさんを連れ、ボクのウチに向かった。
助手席でナナさんは
「アタシ、カレ以外の男の人の部屋って、初めてぇ〜♪」
と言う。
「え?そ、そうなんだ?」
「…うん、だってぇ〜、男友達、いなかったしぃ〜」
そうなのか…。
「だからちょっぴり楽しみっ♪」
「よ、汚れているだけだよっっ」
「だからこのナナさんがキレイにしてあげるってっ♪」
なんとしてもアスカの物は隠さないとっっ!!
ボクのアパートに着いた。
駐車場に車を停めると、
「へぇ〜〜…けっこぉ大きなアパートだねっ」
とナナさんが言った。
「ハハ、でも安いんだよ」
「えっ?いくらなのぉ?」
「ん〜と、駐車場込みで\52000だよ」
そう、このアパートはボクが必死で探してみつけた安くて広いアパートなのだ。
郊外だけど、車があるからそんなに不便ではない。
郊外と言っても最寄の駅から歩いて15分、最寄のパチンコ屋さんまでは10分だ。
「ちょっと片付けてくるから、ここで待ってて」
ナナさんを車で待たせて、ボクは先に部屋へと向かった。
ボクの部屋は1階。
アスカが来てからは、カギは玄関脇の棚に置いていた。
カギを探していると、
「あれ?シンジぃ?」
ガチャリとドアが開いてアスカが出てきたっっ!
「ななななんでアスカがいるんだぁ!?」
ボクは滅茶苦茶びびった。
「…いちゃまずいワケぇ?」
「い、いや、そーゆーんじゃないけど…」
取りあえずボクは部屋に入った。
「仕事でズボンに水かぶっちゃって、びしょびしょになったから着替えにきたのよっ」
「ど、ドジだなぁ〜アスカは…アハハハ…、あれ?でも、自分のトコで着替えた方がよかったんじゃない?」
「仕事用の服、みんなこっちに持ってきちゃってたから」
アスカは洗濯機を回し始めた。
「あ、なるほどねぇ〜アハハハ」
「…なんか変ねぇ、シンジぃ…」
ギクリ。
「そそそんなことないよ、普通だよっ」
「…ふぅ〜〜ん。ま、いいわっ、アタシまた仕事に行くからっ」
「お、おう、いってらっしゃい」
「…ところで、スロットは?」
玄関先で振りかえり、アスカが言った。
「えっ?」
「さっきはナナさんと一緒にいたみたいだけど…?」
「あ、あぁ、久しぶりに打ちに行ったら、ナナさんがいてさっ!それで、ゴハン食べてたんだよ」
うん、嘘はついてない。
「そっか、これからまた打ちに行くの?」
あっさり信じたなぁ。
もっと深く追求すると思ってたのに。
「いや、今日はもう行かないよ」
「んっわかった♪アタシもなるべく早く終わるようにがんばるねっ」
「あ、あぁ、がんがれっ!」
「じゃぁ、いってきますっ」
「いてらっ」
『…バタン』
アスカは部屋を出ていった。
…さぁアスカの荷物を隠すぞっ!!!
ボクが急いで片付けていると、メールが来た。
ナナさんからだ。
『今 アスカさんに会ったよ
一緒に住んでるんだ?』
ガガ――――ンっ!!!!
ナナさんにもアスカにもごまかしてたボクの行動は
すべて音を立てて崩れ去って行った。
するとアスカからもメールが来た。
『今日から自分の部屋で寝るよ
荷物はそのうち取りに行くね』
ボクは真っ白に燃え尽きていた。
第25話 完
767 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/23 18:29
…と、まぁいよいよ物語も佳境なワケでつ。
768 :
大学生 ◆SRhj39JyZQ :02/12/23 19:04
続きが早く読みてぇーー!!
769 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/23 20:59
急いでボクが車に戻ると、ナナさんは一人で助手席にいた。
「あっあの…っ」
「ん?」
ナナさんが振り向く。
真冬の陽射しに照らされたナナさん。
「あ、アスカに…」
「うん、さっき会ったよ」
じっとボクを見つめ、
「一緒に住んでるんだってね」
にこやかに言うナナさん。
「あ、その…」
「アタシ、シンジ君と会ってたらマズイよねっ」
「え…?」
「だって、アタシ…」
ナナさんは暫く黙ってから
「ううん、なんでもない」
またニコリと笑って言った。
暫く空を見上げていたナナさんが
「やっぱりホントのコト言うねっ、」
と言った。
「アタシ、シンジ君と一緒にいるの、すごく楽しいの」
「あ、うん…」
「実はね…」
ナナさんはそう言って車から降り、
「このまま友達やっていく自信、なかったんだぁ♪」
澄んだ陽射しに溶け込みながらナナさんが言った。
「え…それって…?」
「アタシ、今、カレがいるけど…」
「う、うん…」
「シンジ君に惹かれてる自分がいるの」
「へっっ!?」
そそそれって、ボクのコトを『好き』ってコトなのだろうかっ!?
目を真ん丸くしていると
「ふふふっ♪驚いたぁ?」
「あ、あぅはぅ…」
ボクは何語を喋っているのかさっぱりわからない。
気を取り直し、
「ボっボクも…っ!!」
『ボクもナナさんが好きだ!!』と言おうとした時だ。
「でもシンジ君、アスカさんと…」
ナナさんが急に俯いた。
「あの、それは…」
ボクは説明しようとしたが
「だからアタシ、今日でシンジ君と会うの、やめるねっ♪今までありがとう♪」
と言ってナナさんは走り去って行った。
「ナナ…さん…」
ナナさんの突然の告白で足元が覚束ないボクは、ナナさんを追うことができなかった…。
第26話 完
773 :
脳内1 ◆SHzlU2rkKA :02/12/23 21:26
…って、余りにも短すぎるのでもう少し書きまつ
暫く立ちすくんでいたボクは、部屋に戻るとナナさんの言葉を思い出した。
『シンジ君に惹かれてる自分がいるの』
と言ったナナさん。
でも
『今日でシンジ君と会うの、やめるねっ♪』
と笑いながら言ったナナさん…。
静かな部屋でぼんやりと考えごとをしていると
『カツ…カツ…カツ…』
部屋の外で足音が聞こえた。
「アスカか?」
ボクは急いで玄関まで行った。
…が、足音はボクの部屋を通り過ぎた。
『ぎぃ…バタン…』
隣りの住人かぁ…。
775 :
( ´∀`)ノ7777さん:02/12/23 21:38
おれは、こういうツメのアマイやつではない。
と願いたいね。。。。
そうだよな…アスカがもうココに帰って来るハズがない。
鳴らない携帯を持て余すように閉じたり開いたりしていると、メールが来た。
アスカからだった。
『ごめんねシンジ。
アタシ、この数ヶ月、ずっと独りだったから…
誰かと一緒にいるのが楽しくて、嬉しくて。
シンジがナナさんのコト好きなんだって、わかってた。
でも、アタシ、独りになりたくなかったの。
数日間だけど、わがまま聞いてくれて、ありがと。
さよなら。
P.S.荷物、シンジがいない時に取りに行くね。
それまで、カギ、棚に入れておいて下さい。』
そのメールを見て、ボクは涙が止まらなかった…。
―――――中断―――――
777げとずさー!!
―――――再開―――――
一晩ボクは考えた。
いや、ホントは考えるまでもなかったコトだった。
ボクはナナさんが好きだ!
アスカと再会して、なんだか自分でもよくわからなくなってたけど、
やっぱりボクはナナさんが好きだっ!!
確かにナナさんには彼氏がいるっ!
でももうそんなコトは関係ないっ!
ナナさんに振られようとも、構わない。
ボクの本心をナナさんに伝えたいっっ!!
次の日、ボクはナナさんといつも会っていたパチンコ屋さんへと向かった。
だがその日も、またその日も、ナナさんは現れなかった。
キンパルにいくら突っ込んでも、ナナさんが来るのを待っていた。
考えてみれば、休みの時にしかナナさんは来ない。
無駄に数万突っ込んでから気づいた。
そして1週間が過ぎた…。
「ナナさん…ドコに行ったんだろう…」
いくら待ってもナナさんは来ない。
ボクは意を決してナナさんの部屋へと行くコトに決めた。
一度しか行ったことは無い。
しかも、行きはボクは気絶していた。
だが帰り道は一人で帰れた。
ボクは記憶の棚を引っ張り出して、ナナさんのアパートを検索した。
車を右往左往走らせること数十分…。
ついにボクはナナさんのアパートを見つけた。
「こ…ここだ…」
恐る恐る部屋の前に行き、呼び鈴を鳴らした。
『ピンポ―ン』
「……」
返事が無い。
…留守なのだろうか?
もう一度呼び鈴を鳴らす…が、返事は無かった。
「いない…のかぁ…」
ドアにもたれかかり、タバコに火をつけた。
時計代わりの携帯を見ると、18:40だった。
「ナナさん、仕事って何時に終わるんだろう…」
考えてみると、ボクはナナさんがどんな仕事をしているのかさえもわからない。
今までどんなコトをして生きてきたのかもわからない。
でも、ナナさんが好きだ。
あの笑顔が、大好きだ。
もう一度あの笑顔が見たい。
そしてできることならずっとその笑顔を見ていたい。
もうどれくらい待っただろうか…?
暫くすると、見知らぬ女性がやってきた。
…隣りの住人かな?
と思ったが、ボクの目の前で止まった。
「…あのぉ〜〜…」
「え?」
その女性がボクに話しかけてくる。
なんだよ?一体…。
ボクが怪訝そうにしていると、
「何か用ですかぁ?」
「え???」
「そこ…アタシの部屋なんですけど…」
「へっ!?ココって…え???」
ボクは部屋の番号を確かめた。
だが、間違いなくナナさんの部屋だ。
「こ、ここって…?え?」
ボクが動転していると、
「あのぉ、ひょっとしてぇ…前住んでた人の知り合いですかぁ?」
「???????」
「アタシぃ、3日前からここに越してきたんですよぉ」
「…………」
ボクの目の前が真っ暗になっていった…。
ナナ…さん…。ドコに…?
次の日ボクは、そのアパートの大家さんにナナさんのコトを聞いてみた。
「あぁ、あのコだったら、結婚するとかってんで、引越したよ」
け、けけけけケコーン!?
更にボクの目の前は真っ暗になっていった。
ナナ…さん…。
部屋に戻り泣いた。
思いっきり泣いた。
隣室迷惑だろーと、泣いた。
「ナナさん…ナナさん…」
だが、暫く泣いた後、ボクは疲れ果てて眠った…。
目が醒めるといつもの時間だ。
ボクはまたいつものようにパチンコ屋さんへと向かって行った。
ぼ〜〜っとしたままキンパルを打っていると、後ろの席の会話が聞こえた。
「ふふっ♪隣りですぐに出して、ごめんねっ♪」
と、女のコの声。
「え?あぁ…」
と、若い男の声。
「この店、出ている人の隣りに座ると、すぐに出るんだよぉ〜♪」
「へ、へぇ〜」
「なぁ〜んて、アタシのオカルトだけどねっ♪ふふふっ」
ボクはハっとして振り返った。
「ナナさんっ!?」
後ろにいた二人もボクの方を向いた。
…だが、そのコはナナさんではなかった。
「あ、ご、ごめん、人違いだったよ」
ボクはまたキンパルをのんびりと打ち始めた。
「び、びっくりしたねぇ〜♪」
「うんうんっ」
二人の会話が聞こえる。
「ふぅ…」
ボクの恋は終わったんだ…。
また一つのラブストーリーが
始まろうとしていた。
シンジとナナ篇 完