>>701 http://www.asahi.com/paper/column20101212.html ヒマラヤの未踏峰だったマナスル(8163メートル)には日本人が世界で初めて登頂した。8千メートル峰をめざす計画は、戦後まもなく今西錦司氏ら京大グループが着手した。
目標を決めるのに若手が資料を集めた。マナスルは資料がなかった。写真もなく、山の形さえわからない。だが今西はマナスルを選ぶ。
若手らが「この山は何もわからへんのに。あきませんよ」と驚くと、こう言ったそうだ。「わからへんから、やるんや」
伝説ともいえる逸話は、登山に限らず「開拓者魂」というものをよく表していよう。とはいえ未知の領域を手探りで進む難路は並ではない。
金星軌道に入り損なった探査機「あかつき」も、その困難に跳ね返されたといえる。成功の栄誉と失敗のリスクは、当然ながら正比例する。
かけた費用は250億円。巨額を無駄にしたのか、せめて将来への糧にできるのかは、今後の宇宙航空研究開発機構しだいとなろう。
国の台所がきしむ時代、この手の予算は微妙な世論の背中に乗っている▼ずいぶん前になるが、ねむの木学園の宮城まり子さんにこんな話を聞いた。
「ロケット打ち上げに失敗した時、記者さんから電話があったの。『膨大な浪費をするなら福祉に使って』と談話を取りたかったらしいのよ。
私が『チャレンジに失敗はつきもの。冒険心を無くさないで』って言ったら、その人、困っちゃって」
▼台所は厳しいが、開拓者魂への応援旗は掲げ続けたい。太陽系大航海がうたわれる時代。長い目を持たずには見えないものが、あるに違いない。
どうしたんだ朝日w