http://www.isas.jaxa.jp/j/mailmaga/backnumber/2011/back334.shtml ASTRO-F(あかり)は、少し「エネルギー充填、120%」では無かった。あかりの電池はニッケル水素(Ni-MH)電池だ。
夏に、ニッケル水素電池の充電は難しい。温度が高いと、充電しにくくなってしまうのがニッケル水素電池の特徴だ。
「目いっぱい充電してほしい」
プロジェクトからはそう言われていた。
段取りを考えた。空調を目いっぱい効かせることができれば、少しでも衛星の温度を下げることができるかも。そうすれば、少しでもたくさんの充電ができる。温度が上がってくる度に、充電を中断して、バッテリの温度が下がったらまた充電を開始する。これを繰り返そう。
「この手順だと、夜間の作業もあり得ますが、大丈夫ですか?」
内の浦と相模原を結んだ電話会議越しに、そんなことを聞かれた記憶がある。
「一日は24時間ありますから。なんとかしてみせます。」
気合いで言い切った。やるしかないと思った。でも、そのためには、たくさんの方たちにご迷惑をかけることになる。
ロケット班も協力してくれた。ロケットの空調を取り仕切るランチャー班も協力をしてくれた。鹿児島のうちあげ環境全般をまとめてくださっているKE班も協力とアドバイスをくださった。電池メーカさん、衛星メーカさん、みんな一緒になって頑張った。
事前の調整の中で、僕は通常ではない運用をお願いすることを躊躇い、お願いの内容をまとめた紙を用意してから、ミーティングを招集させてもらった。
ランチャーの先生は、一言で言ってのけた。
「曽根さん、紙なんか用意している暇があったら、とっとと呼んでくれれば良いんだよ。」
「迷惑とかじゃあないんだ。僕ら、衛星を打つために仕事をしているんだから、必要な事は言ってくれれば良いんだ。」
こんなことを言ってもらえるなんて.....