【奄美・トカラ列島】皆既日食【2009】 Part10

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485名無しSUN
全身がずぶぬれになり、塩水で目が開けられなくなった。ロデオマシンのように揺れ、
気を抜くと海に放り出される危険性すらあったので、手すりにしがみついた。頭はフラフラ。
これではタクシーならぬ「海上ジェットコースター」だ。甲板を歩くのはほぼ不可能。逃げ場がなかった。
約1時間後、やっと、断崖(がい)絶壁に囲まれた悪石島に到着。カメラは海水で壊れ、サイフはびしょぬれ、
胸に下げていたIDカードも吹っ飛んでいた。上陸後、シャワーを浴びようと思ったが、島は水不足で、
当日中にシャワーを使えないことが判明。洗濯もダメ。トカラの現実は厳しかった。
そもそも、東京からここに着くまで、丸2日かかった。ツアーそのものは19日午前5時、那覇港集合。
那覇港から14時間近く乗った奄美大島行きフェリーは、いわゆる“ザコ寝”。
マットの幅が狭く、両手を「気をつけ」の姿勢で下に降ろしロボットのような姿勢であおむけのまま、
入眠するしかなかった。でも「海上ジェットコースター」に比べればはるかにましだ。
トカラ列島への皆既日食観測ツアーの料金は34万2000円以上で、うち悪石島へのツアーは、4種類あった。
トカラ列島がある十島村から業務委託を受けた旅行会社近畿日本ツーリストが定めた。
申し込み後、同社から割り当てられたのは、今回の那覇発着、海上タクシー利用のコースだった。
ただ、悪石島に着くと、島全体が皆既日食で盛り上がっている雰囲気。
迫った本番のことを思うと、ずぶぬれのことなど、忘れていった。ただ島内の生活条件も厳しい。
コンビニ、飲食店、金融機関ATM、交通機関などはほぼゼロ。
大部分の参加者は小学校の校庭に設置されたテント内などで宿泊する。
飲み水はペットボトルが1日5本程度支給される程度。熱中症の危険性が常にある。
高額ツアー代を払い、困難を乗り越え「6分25秒」の世紀の天体ショーを体感することこそ
最高のぜいたく。絶海の孤島での、過酷サバイバルツアーが始まった。