宇宙開発・天文イベントレポスレ

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813名無しSUN
日本科学未来館の講演です。
眠い眼をこすりこすり書いてるのでどこかおかしいかもしれません。何かあったら修正お願いします。

2010年6月6日 於日本科学未来館
※トレバー・アイルランド氏の話は省略します。すいません。
※手元のメモから事実関係を中心に纏めていますので色々欠けています。

テラキンさん
自己紹介。はやぶさに関わってきた話。
「今日は茶色の瓶に入った強力な液体は持ってきてません」(笑)
「真面目な仕事ははやぶさの動きのためのイトカワのモデル作りと広報」(あれ真面目じゃない話は?)
「今日は持ってきたノーパソ使ってツイッターでつぶやく予定だったんですが急遽喋る事になってしまいました。皆さんつぶやかれてるのでいいです」

Q:イトカワについてシビれたところは?
A:あの予想だにしなかった形。9月12日に写真が送られてきて「ばんさーい」となる予定だったはずが一瞬沈黙が流れました。
Q:大変だった事は?
A:片道15分の通信に慣れること。逆に慣れたらTVとかにタイムラグが無いことに違和感を覚えるようになった(笑)

川口先生
冒頭で「みなさんの応援があって戻ってくる事が出来ました。ありがとうございます」

・TCMについて
TCM-4は6月9日に予定。2〜3時間程度。精密な軌道測定の結果次第
TCMは速度変化と誤差が最小となるように軌道決定している
太陽側から反対側に南極の外側を通って誘導するのが実は一番厳しいところだったらしい。オーストラリアにはこの時点では入国してはいけないことになってた

一連の軌道修正がまっすぐ地球に向かっていないのは、他国(ニュージーランドなど)の地上を通らないようにするため。

誘導精度はイトカワに接近した時のほうが上。ただし今回も着陸は誤差1kmを目指している。
感覚的には「残り距離の2乗に反比例して修正時の精度が良くなる」そうで、TCM-4の頃には十分な精度で誘導できるようになるとのこと(ちなみにTCM-3終了時では東京-名古屋程度の範囲のどこかに落ちる、程度)
814名無しSUN:2010/06/07(月) 01:32:18 ID:N214RX5K
○ここからオーストラリアとの中継スタート

パワーポイントに「意地と、忍耐と神頼み」
「はやぶさ」の名前について鳥の写真も出しつつ解説。「対称な形が後の運用の際に役立った」ことに言及
「オーストラリアの皆さんご安心ください。はやぶさは着陸の際に東海岸を通る事はありません」
帰還時の緯度は打上げ時の緯度と同じになる。つまり内之浦の上を通るので撮影を検討している。
ただしカプセル分離の姿勢では無理なのでどうするか検討中
大気圏突入時の明るさは(具体的数字を言うと間違ってたら怒られそうですが、と前置き)マイナス4〜5等級くらいになるとのこと。
どこで見えるかはこれまで公開してこなかったが、回収班のサイト(観測地点)が決定したので邪魔にならない位置などこれから公開していく予定
突入前のはやぶさは太陽電池パネルが裏を向いている以上非常に暗くしか見えない。ただ各方面に観測を依頼中

・カプセル
減速の大部分ははパラシュート(高度70〜80kmで展開)ではなくカプセル本体によるもの(カプセルで30〜40m/sに、パラシュートで12m/sくらいに)
チャーター便は羽田空港に到着するそう。上手くいけばすぐだけどある程度時間がかかることは覚悟している
電波が出るとは限らないしパラシュートの展開も分からない。ただし陸に落ちるのでカンガルーが持っていかない限りは大丈夫でしょう(笑)

・その他
(スクリーンに中和神社・飛行神社のお守り)2006年の2月から信心深くなりました(笑)
中和神社は2009年11月の再起動のときに、まさか無いだろうと思って調べたらあったのでもらい

に行った。中和神社の神主さんははやぶさのことを知っておられたそう
815名無しSUN:2010/06/07(月) 01:34:30 ID:N214RX5K
質問
Q:このミッションのアイデアはどこから出たのか。またどれくらいの人が関わっているのか
A:元来負けず嫌いで人に出来ないオリジナリティのあることをやってみようと思ってこうなった。
開発で40〜50人、平時の運用で十数人、回収などで現在相模原20〜30人、オーストラリア40〜50人。
Q:サンプル採取について他にどのような案を考えたか
最初はトリモチ状のものを考えた。しかし理屈の上では小惑星には細かい粒子は無いはずだったので取るものがないのでは?となり断念。
ハンマーやドリルは探査機への反作用や汎用性の問題から断念。結果弾丸を発射するという現在の案となった。

川口先生:「なぜオーストラリアで回収するのか」を聞かれると思ってたが聞かれなかった。
帰って来る方向の問題で南半球でしか回収できなかった。そんな中オーストラリアの協力や理解でこのようになった。
オーストラリアの皆さんのおかげで帰ってこれます。協力ありがとうございました。

○日本科学未来館に戻り質問タイム
Q:大気圏再突入ではやぶさ本体はひとかけらも残さず燃え尽きるのか
A:計算上はそうなっている。
Q帰還時の映像の配信は?:
A:NHKがやるとかやらないとかいう話を…
ウーメラは小さいところで回収班が泊まるだけでも大変。
そのためずっと着陸地点の情報を出してこなかったが、TCM-4後に正確な回収地点が分かった時点で詳しくお知らせしたい。
配信に関しては誰かが何かをする噂が…
運用室のネット配信については正直再突入時に運用室に大きな動きがあるとは思えない。でもやる。
Q:もう一度イトカワに行く、といったプランは無いのか
A:今のところ無い。例えば太陽から遠い位置の小惑星は温度が低い状態で固まっているため大きな分子で成立している。そのような方向で太陽系探査を広げていきたい。
Q:オーストラリアがこちらを向いてる時に着陸するが反対を向くという事は無いのか
A:公転軌道だけではなく時間、自転も考慮に入れて軌道決定しているのでそれはない
Q理系に限らない多くの人々が応援していることについて:
A:非常に重要。サイエンスは専門的で狭い一箇所を掘り下げていくが、一方で裾野を広げる活動

もやらないと生活へのフィードバックや文化の向上などに貢献できない
816名無しSUN:2010/06/07(月) 01:38:44 ID:N214RX5K
Q:もともとカプセル分離後の計画は
A:色々たくらんでいました。"太陽系大航海時代"では、1回探査し帰ってきた探査機を一度パーキングしまた向かわせる、といったことが行われるだろうから実証しなければならない。
はやぶさの場合は分離後に地球スウィングバイ→1年後減速スウィングバイでラグランジュ点にパーキングする予定があった。
そこでキセノンを補充するとか、はやぶさ後継機では色々検討中。
Q:「これを乗り越えたすごいだろ」という自慢話を
A:記者にも昨日聞かれました(笑) 大きく2つ、2006年の通信の復帰と2009年11月のイオンエンジン復活。
これらははやぶさに協力してもらった、信じられないような幸運。はやぶさが成長しているのでは、と感じる。
Q:はやぶさのサンプルリターンの成果はどれくらいで公開されるのか。
A:短く見ても数ヶ月、長いと年単位、しかも「ありませんでした」という結論もありうるし覚悟はしている。
そんなに短いスパンでの発表にはならない。

講演は以上。以下ぶら下がりで聞いたこと。
Q:最後にプロジェクタイルを撃って着陸時発射されたか確認はしないのか
A:カプセル分離後に検討はしたが、まず確実に機体がひっくり返って電力が確保できなくなってしまう。
しかもカプセル分離→電源死亡の間よりも可視時間は短いからコマンド出すのもぎりぎり。
もしやるとすれば地球の影に入る直前だが、曰く「やっても得られる利益はほとんどない」
Q:寿命を越えて宇宙にある分離機構の信頼性は
A:地上で長期間試験するわけにも行かないし分からない。壊れたという話が無いのでやってみるだけ
Q:イオンエンジンをこともなげに再起動するがリスクは
A:もちろんある。できればつけたり切ったりしたくないがしょうがない

雑記:
定員60名は同時通訳のイヤホンの数から来る制限。イヤホン無しの立ち見もあり
配布資料はペーパークラフトとパンフレット(最新版)、この前作られたロゴのシール
朝10時の開館時刻から並んでる人も。12時過ぎに定員の60名を突破
定員突破した後しばらくしてから座席へ誘導。少数の関係者席とプレス席あり
オーストラリアとの中継の最後の方で、川口先生は通訳のイヤホンはずして聞いておられました

長々と失礼しました。