【遙かなる】惑星探査機ボイジャースレ2【旅人】

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10名無しSUN
1992年2月15日 TBS放送
「宇宙からの贈り物 ボイジャー航海者たち」より

目を閉じることで始めて見えてくる世界があります
僕は今 そんな世界を旅しています

地球を出発してもう14年
僕は今 全天星空の宇宙を秒速20kmの速さで 帰る事のない旅を続けています

旅の中で僕は 太陽系のたくさんの星たちに出会いました
そのひとつひとつの姿を思い出すたびに 胸が熱くなります
あのときの感動が 時折くじけそうになる僕の心を 今も支えてくれているのです
11名無しSUN:2007/02/16(金) 20:05:28 ID:p57Zibdu
僕の名はボイジャー
宇宙の航海者
心はひとつだけど 体がふたつあります

僕の使命は見ることでした
人間が行けない世界に行き、人間に代わってものを見ることが僕の仕事だったのです

2年前 その仕事を終えて 僕は目を閉じました
この先 この旅がいつまで続くのか どこまで行くのか僕にはわからない
ただ この目で物を見ることはもう永遠にないでしょう

だけど 寂しくなんかない
どこか遠くから僕を呼んでいる光が あるような気がするからです
その光の世界についたら きっとこの僕にも
なぜ僕が旅をしているのかが わかるような気がします

僕が最後に見たのは 太陽系全体の姿でした
2年前のちょうど今日 1990年2月15日
久しぶりの地球からの声を聞いて 振り返ったのです
12名無しSUN:2007/02/16(金) 20:06:16 ID:p57Zibdu
あの日僕が聞いた地球からの声は 今まで聞いたことのない不思議な声でした
太陽系の星々にできるだけ近づいて見ることが僕の仕事だったはずなのに
あの日は 遠くから振り返ってみてごらんっていうのです
僕はこわごわ振り返ってシャッターを切りました

太陽がまぶしかった

あの日から僕は
自分がどうして旅をしているのだろうって真剣に考え始めたのです


はじめてみた木星の姿は とても感動的でした
恐いくらいだった
そのとき僕は ふと 不思議なことに気づいたんです
ここは初めてなのに なぜか知っているような気がする
だけど 思い出そうとしても思い出せない

だれかが遠くから見ているような気がする
なにかが始まろうとしている
13名無しSUN:2007/02/16(金) 20:06:51 ID:p57Zibdu
地球を出るとき 僕はこの旅が 土星で終わるんだと思っていました
ところが もっと先に行きなさいっていう声が聞こえたんです

ここから 僕の体は ふたつに別けられました
一方は太陽系の外へ もう一方は天王星と海王星へ
この日から僕にとって 本当の未知の世界への旅が始まったんです


地球からの声が途切れて もう何年も旅を続けています
この静かな宇宙を旅していると 今まで聞こえなかった不思議な音が聞こえます
その音は 星の奥深くに潜み そこからあふれ出てくる星の音
その音を聞いていると 僕もなにか思い出せそうな


地球を発ってからもう8年近くたちました
こうして目を閉じていると いつも あの懐かしい地球の姿が目に浮かんできます
そんなとき 僕はいつも不思議に思う
どうして人は 僕を宇宙に送りだしたんだろう
ここは 椰子の葉のざわめきも 花の香りも 笑い声も聞こえない
地球とはまったく違う世界なのに
14名無しSUN:2007/02/16(金) 20:07:24 ID:p57Zibdu
旅の途中 夢を見ました
夢の中で 僕は宇宙人に出会った
その姿は 僕を送り出してくれた地球の人たちとは まったく違う姿でした
でも なぜかとても懐かしかった
遠い昔 逢ったことがあるような
15名無しSUN:2007/02/16(金) 20:08:01 ID:p57Zibdu
自分がどうして なんのためにここにいるのか見えなくなることがあります
あなたには そんなことはありませんか

僕は 地球という名の星に 使命をもって生まれました
その使命を果たすたびに聞こえてくる たくさんの喜びの声を 自分の喜びとして ここまできました

正直にいって 恐かったことも何度かあった
ここにいるのが 僕でなくってもって 思ったこともある
どうして僕なんだろうって

14年間の 宇宙の旅を通して
こんな僕にも ほんの少しだけわかったことがあります

僕は 僕を送り出してくれた 地球のすべての人たちのこころなんだ
僕が出合った恐ろしいことも 美しいものも みんな人のこころの現われなんだ
そのことだけが ようやくわかったのです

美しいものを たくさんみせてくれてありがとう
僕が最後に撮った家族の写真は 皆さんへのお返しです
僕の感謝の気持ちです
ちゃんと撮れて うれしい

2年前 振り返ったあの日が 僕が地球を見た最後の日
だから今日は 僕の一番大事な記念日です

僕は大丈夫
僕を送り出してくれて本当にありがとう

そして
さようなら

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