スケート選手の日記を創作してみよう!(女子編)3冊目

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230氷上の名無しさん@実況厳禁
世界選手権。
一年ぶりの舞台。
五輪招致のためのプログラム、衣装、そして表彰台。
全てが周到に準備された、私の…いえ、大韓民国のための大会。

その表彰台に
私は今、立っている。

左隣には、端然と微笑んでいる美姫。
私が立つ、いえ立たされるはずだった場所。
世界中の晒し者にされるための磔の十字架。

凛とした表情でそこに佇む美姫。
やるべきことをやり、誇りを胸に堂々と。


一年と少し前
バンクーバーの表彰台の真ん中で
私が獲得した金メダルは

こんなに

綺麗じゃなかった。


オリンピックの金メダルは
素敵な未来と、自由への切符だと思っていた。
だからどんな姑息な手を提示されても、従った。

私は勝ちたかった。
真央に。
母国に。
そして、家族にさえ愛されない自分に。

金メダルを取れさえすれば
きっと…


そして一年後の今

私は、またここに立たされている。

首と足には、OP金メダルの枷。
逃げられない。
どこへ逃げても無駄。
生きている限り、私は韓国人。

韓国出場枠の確保は
トリノに出ることで果たしたはずなのに

今度は平昌五輪招致。

金メダルが私にもたしてくれたものは
未来永劫の呪縛だった。
231氷上の名無しさん@実況厳禁:2011/05/02(月) 00:25:21.70 ID:9qJliG5uO
私を使って日本人を貶めることしか考えてない国。
日本に勝てなければ、存在価値など無い。
アリランはそんな祖国への恨み節。
そう思わなければ、滑れない。

用意されたフリー衣装は
美姫のものにそっくりだった。

こんな曲、
こんな衣装で
滑らなければならない。
まるで道化だわ。

…どう映るのだろう。
真央の目には。


久しぶりに真央を見て驚いた。
やせ細っている。
軽やかを通り越して、儚げでいまにも倒れそう。
顔色もよくない。

それでもね、真央
私はあなたが羨ましい。

トリプルアクセルを跳ぶことは、貴女にとって
己が己であることの証。
勝ち負けにこだわるなら、グレードを落とすわ。
でも貴女はそんなことしない、私は知ってる。

貴女自身を極めていく。
勝負よりもそちらを選ぶ。
それが許される世界。

そして美姫もまた
自分で選んだのね、確実に勝ちに行く道を。
冒頭のコンビネーション、セカンドはトリプルループを練習していたはず。
美姫は技にではなく、勝負にこだわった。

彼女達は、選べる。
己がどうあるべきかを。
どう進んでいくのかを。

私…

私は?

金メダルは確かに手に入れたはずなのに

私には…

私は…これからどうしたら…
一体どうしたらいいの…

真央…美姫…
私、もうわからないよ…