■■1/8 : エッジと進み方■■
【図A:後ろから見た左足】
|小 親|
|指 指|
|____| ←靴
| |
|/\| ←刃(ブレード)
↑ ↑
OUT IN
エッジ エッジ
バックに滑走するとき、
・OUTエッジで滑走すると自然と体の右側を後ろに押す力がかかります
・INエッジで滑走すると自然と体の左側を後ろに押す力がかかります
【図B:左足に乗ってバックの滑走のときを上から見た状態】
INエッジ FLATエッジ OUTエッジ
。 。 。
進↓ 。 。 。
行↓ 。 。 。
方↓ 。 。 。
向↓ 。 。 。
【図C:ジャンプのときの回転を上から見たところ】
←
↓ ↑
→
■■2/8 : ルッツジャンプとは■■
≪ルッツ≫
・ルッツはカウンタージャンプです。
カウンターとは「反対」の意味。
カウンタージャンプというのは、「跳ぶときに体にかかっている力とは
反対の方向に回転するジャンプ」です。
【図B】と【図C】を自分の体でやってみてください。
「左足『OUTエッジ』での滑走から跳ぶもの」だけが、 カウンタージャンプであることがわかると思います。
なお、ここで「滑走」といっているのは、長く滑っていることが必須という意味ではありません。
1秒だろうが10秒だろうが、移動時間の長短(すなわち移動距離の長短)に関わらず、
「左足『OUTエッジ』で氷の上を"移動"」すれば氷上に描く軌道は「 つ 」と「 ) 」の違いこそあれ、
必ずカウンター方向の力が生じて体にかかってきます。
これを踏み切りの瞬間まで維持して、右足のトウを突いて跳ぶのがルッツです。
つまり、ルッツとは、
「左足『OUTエッジ』での滑走によって生じるカウンター方向の力を、
右足のトウを突くことで停めて跳び上がるもの」
ということになります。
_
。 ↑
。 左足『OUTエッジ』での滑走
。 (ここの「滑走」の距離や時間の長短は関係ない。
。 |
。 ↓
← +  ̄←右トウを突き、カウンター回転を停めて跳び上がる
↓ ↑
→
。
。
。
。
。
。
。 _
。 ↑
。 左足『OUTエッジ』での滑走
。 (ここの「滑走」の距離や時間の長短は関係ない。
。 ↓
← +  ̄←右トウを突き、カウンター回転を停めて跳び上がる
↓ ↑
→
。
。
。
。
。
■■3/8 : フルッツ(俗称)とは■■
≪フルッツとは≫
俗称。「wrong edge」からのルッツジャンプのこと。
■《フルッツ その1》
左足『OUTエッジ』で滑走してきてから、右足のトウを突く直前および突く瞬間に
左足が『OUTエッジ以外』になってしまっているものは、
その時点で「カウンタージャンプではないもの」になってしまっています。
どういうことかというと、
「左足『OUTエッジ』での滑走によって生じるカウンター方向の力を、
左足のエッジを『OUTエッジ』から『INエッジ』や『FLATエッジ』に変えることによって停めて、
その状態から右トウを突いて跳び上がるもの」
だということだからです。
_
。 ↑
。 左足『OUTエッジ』での滑走
。 (ここの「滑走」の距離や時間の長短は関係ない。
。 |
。 ↓
。  ̄←左足のエッジを『INエッジ』や『FLATエッジ』に変えることでカウンター回転を停める(一種のブレーキング)
← + ←右トウを突いて跳び上がる
↓ ↑
→
。
。
。
。
。
■《フルッツ(俗称) その2》
そもそも左足『OUTエッジ』の滑走すらしていないもの。
_
。 ↑
。 |
。 左足『FLATエッジ』での滑走
。 |
。 ↓
← +  ̄←右トウを突き、跳び上がる
↓ ↑
→
。
。
。
。
。
■■4/8 : ルッツジャンプと「e」判定■■
■≪結論1≫ルッツは左足『OUTエッジ』の滑走から左足『OUTエッジ』のまま右足トウを突いて跳ぶジャンプである
■≪結論2≫ルッツは『INエッジ』も『FLATエッジ』も「wrong edge」である
※しかし、現行の「e」は、どういうわけか、『INエッジ』のみを対象としている。
=《フルッツ(俗称) その1》のうちの『INエッジ』のもののみ「e」判定。(ただし、見逃されているものも多々ある。)
※「カウンタージャンプである=『OUTエッジ』でなければならない」ことを忘れて
「ルッツは『INエッジ』でなければいい」というおかしなルールになっている。
=《フルッツ(俗称) その1》の『FLATエッジ』のものと《フルッツ(俗称) その2》は取り締まられない。
■■5/8 : フリップジャンプとは■■
≪フリップ≫
フリップにおける重要な点は、
離氷するまでの動作において、空中での回転と同じ方向に回転する動作を行う
ということにある。
・フリップはターンから間をおかずに右トウを突いて左足エッジで跳ぶジャンプです。
・ターンによっていくつかの跳び方があります。
■《フリップ 跳び方その1−1》
・まっすぐ立っているような体勢で、右足は少し浮かせて、左足で前向き(フォア)で滑走してきます。
(この部分の滑走を「左足『INエッジ』」と限定しているサイトもありますが、 この部分のエッジはなんでもいいんです。
入りを工夫しようとしたりステップから跳んだりすることを考えてみればわかると思います。)
・右足で氷面を外方向にちょんと蹴って、左足に乗ったままターンして後ろ向き(バック)になります。
(●ここから再び右足を突くまでに「滑走」する場合は、それが『OUTエッジ』だと
ルッツを跳んでいるのと同じことです=「リップ」。)
・右足トウを突いて跳び上がります。
_
。 ↑
。 左足フォア
。 (ここの「滑走」のエッジは関係ない)
。 ↓
+ 。  ̄←右足をほんの少し外に蹴るように突く
↓ ↑ ←前を向いていた左足はターンして後ろ向きになる
→ _
。 ↑
。 ● 左足バック、『OUTエッジ』以外(すなわち『FLATエッジ』。後述しますが、
。 ↓ ブレーキングする場合以外の左足『INエッジ』からはジャンプは跳べません)
← +  ̄←右足を突いて跳び上がる
↓ ↑
→
。
。
。
。
。
■《フリップ 跳び方その1−2》 ・・・フリップはOUTエッジではいけないという新ルールによって「e」判定を受ける
・左足後ろ向き(バック)『INエッジ』→右足後ろ向き『OUTエッジ』→
左足前向き(フォア)に足を置いてそのまま左足に乗ったままターンして後ろ向き(バック)になります。
・右足トウを突いて跳び上がります。
。 _
。 ↑
。 左足バック『INエッジ』 での滑走
。 ↓
* ―
* ↑
* 右足バック『OUTエッジ』での滑走
* ↓
。  ̄←左足フォア
↓ ↑ ←前を向いていた左足はターンして後ろ向きになる(必然的に足の小指側に力が入りますので
→ OUTエッジになります)
← + ←右足を突いて跳び上がる
↓ ↑
→
。
。
。
。
。
■《フリップ 跳び方その2−1》 ・・・フリップはOUTエッジではいけないという新ルールによって「e」判定を受ける
・まっすぐ立っているような体勢で、右足で前向き(フォア)で滑走してきます。
・左半身をひくように体ごと振り向いて後ろ向きになると同時に左足バックを置きます。
・即座に右足トウを突いて跳び上がります。
_
* ↑
* 右足フォアでの滑走
* (ここの「滑走」のエッジは関係ない)
* |
* ↓
↓ ↑  ̄
→
。 ←振り向くと同時に左足フォアを置く(必然的に、最初に氷に触れるのは
← + ←即座に右足を突いて跳び上がる 左足の小指側でありすなわち『OUT』エッジになる)
↓ ↑
→
。
。
。
。
。
■《フリップ 跳び方その2−2》
・まっすぐ立っているような体勢で、右足で前向き(フォア)で滑走してきます。
・左半身をひくように体ごと振り向いて後ろ向きになると同時に左足バックを置きます。
・左足バックをおいてから左足『FLATエッジ』で滑走します。
・右足トウを突いて跳び上がります。
_
* ↑
* 右足フォアでの滑走
* (ここの「滑走」のエッジは関係ない)
* ↓
*  ̄
↓ ↑
→ _
。 ↑
。 ●左足バック『OUTエッジ以外』(すなわち『FLATエッジ』。後述しますが、
。 ↓ ブレーキングする場合以外の左足『INエッジ』からはジャンプは跳べません)
← +  ̄←右足を突いて跳び上がる
↓ ↑
→
。
。
。
。
。
■■6/8 : フリップジャンプと「e」判定■■
■≪結論3≫《跳び方その1−1》と《跳び方その2−2》の
●の部分を『OUTエッジ』で「滑走」してしまうとそれは「助走の短いルッツ」である。=「リップ」
●の部分を『FLATエッジ』で滑走するのは「フルッツ」とまったく同じである。
■≪結論4≫《跳び方その1−2》や《跳び方その2−1》では、
カウンター方向の力を受ける動きが成り立たないので
そもそも「助走の短いルッツ」=「リップ」にはなりえない。
この2つの跳び方は左足は『OUTエッジ』になるのが必然である。
※『INエッジ』滑走から跳ぶものがフリップだという誤解がある。
記号を使った説明でフリップとルッツを対比させて
フリップ ルッツ
( )
○ ○
( (
と表記することは、フリップの説明としては「誤り」である。(なお、ルッツの説明は正しい。)
後述するが、ブレーキング以外の場合の左足『INエッジ』滑走からのジャンプなど
この物理的法則の世界において跳ぶことは 不 可 能 。
※現在のルールは、エッジのみで無理矢理ジャンプの種類を定義しようとしてめちゃくちゃな状態になっており、
《跳び方 その1−1》と《跳び方 その2−2》の「フルッツ」をフリップとして扱い、
これまでの歴史上でも純然たるフリップとして跳ばれてきた《跳び方 その1−2》や《跳び方 その2−1》に
「e」をつけて取り締っている。
■■7/8 : 左足『INエッジ』滑走から右足トウを突くジャンプは存在しうるのか?■■
【図Bのおさらい:左足『INエッジ』でバックに滑走するときの軌道】
。
。
。
。
。
ようするに、左足『INエッジ』でバックで滑走しているということは、
。 。
。 ← 。
。 ↓ ↑ 。
。 → 。
。 。
こういう動きを氷の上で行っているわけです。
左足が常に円の外側、右足は常に円の内側です。
左足『INエッジ』で移動している間は、「右足トウは、どうやっても『円の内側』にしか突くことはできません」。
右足トウを円の内側にしか突けないというのはどういうことか?
答えは、「右足トウを『体の後ろで』突くことができない」ということです。
この時点でジャンプが成り立たないのはわかるでしょうか?
フリップは、左足『INエッジ』から滑走してきてそのまま『INエッジ』で踏み切るものである、
などという説明が間違いであることがわかったでしょうか。
ではなぜ、フルッツという、左足が『INエッジ』であるジャンプが存在するのか?
答えは、「ブレーキングに『INエッジ』を使っているから」です。
左足『OUTエッジ』から滑走してきて、左足『INエッジ』でブレーキングして、
いわば静止状態になったところで右足を体の後ろに突いて、跳び上がっているんです。
■≪結論5≫左足『INエッジ』滑走から跳ぶものがフリップだというのは大きな誤解である。
左足『INエッジ』から跳んでいるとしたら、それは「フルッツ」である。
■■8/8 : まとめ■■
ここまで出てきた図を見てわかるように、
とにかく「フルッツ」やっとけばルッツもフリップもOK!
【↓これがISUの求めるルッツジャンプでありフリップジャンプだ!!】
_
。 ↑
。 ●左足バック『FLATエッジ』
。 ↓
← +  ̄←右足を突いて跳び上がる
↓ ↑
→
。
。
。
。
。