アフガン拉致:タリバン「キリスト教信者は解放できない」
ttp://www.chosunonline.com/article/20070731000018 アフガニスタンの旧支配勢力タリバンによる韓国人拉致事件が長期化する中、
タリバンは人質を解放できない根拠として、人質らの宗教やアフガン訪問の目的
にまで言及するという新たな「脅し」に出ている。
タリバンのカリ・ユースフ・アマディー報道官は29日、タリバンのウェブサイ
トのニュースコーナー「ボイス・オブ・ジハード」のインタビューで、「拉致さ
れた韓国人はキリスト教の牧師や、キリスト教を代表する者どもであり、アフガ
ニスタンにキリスト教を広めるためにやって来た」と述べた。
タリバンはこれまで、「収監されているタリバン兵と韓国人の人質を同じ数だ
け交換する」ことだけを人質解放の条件に掲げ、宗教については言及しなかった。
ペ・ヒョンギュ牧師を殺害した理由についても「宗教的な身分とは関係ない。彼
が病気になり、邪魔だったからだ。(人質らが)キリスト教徒であることは知っ
ているが、宗教が理由ではなく、アフガニスタン政府や多国籍軍と同じ立場だっ
たから拉致した」と主張してきた。
アマディー報道官は今月21日、カタールの衛星テレビ局アルジャジーラの取材
に対し、「宣教活動はイスラムに対する犯罪行為だ」と主張しつつも、韓国の医
療奉仕団の宗教が「キリスト教」であることを指摘してはいなかった。このため、
彼の発言は他宗教の宣教活動そのものを禁じているイスラム法の原則を明らかに
したに過ぎない、という見方が有力だった。
ところが今頃になって、タリバン側が人質を解放できない根拠として「キリス
ト教信者だ」ということに言及してきたのは、これ以上交渉が進まなければイス
ラム圏の反キリスト教感情にも火をつけるという「脅し」だと考えられる。イス
ラム過激派を刺激することにつながる宗教間の争いに発展することだけは避けよ
うとしてきた韓国政府に向けられた、計算づくの戦術だと考えられる。また、タ
リバンとしても、アフガニスタン国内に「拉致はイスラムの教えに反する」とい
う世論が高まっていることを負担に感じたためではないかとも考えられる。従っ
て、何の罪もない韓国人の人質らに対する同情論を否定しようという意図もある
ものとみられる。
アマディー報道官はカトリック教会にも批判の矛先を向けた。ローマ法王ベネ
ディクト16世が29日のミサで「(拉致は)人間の尊厳を著しく傷つける行為だ。
悪行をすぐに止め、人質を無事に解放すべきだ」と訴えたが、アマディー報道官
はその翌日、フランスの通信社AFPの電話取材に対し、アフガニスタンに駐留する
外国軍の爆撃によって多くの民間人が命を落としている状況について指摘し、
「彼(ローマ法王)はなぜ、外国軍の攻撃によって民間人が犠牲になっているこ
とには言及しないのか」と反論した。また、米軍基地に抑留されているアフガン
人女性らに対してもローマ法王は沈黙している、と批判した。
2007/07/31 10:00:25 ナム・スンウ記者 朝鮮日報/朝鮮日報JNS