報道管制:都合が悪いと乱発する韓国政府(下)
ttp://www.chosunonline.com/article/20070808000059 あるメディア学者は「韓国では他社の“特ダネ”をけん制し合おうとするメディア各社と、特定の事案を
国民に知られたくない政府による“談合”のような形の報道管制が乱発されているのが実情だ。メディア
学会などでこれに対する批判の声が相次いでいるにもかかわらず、取材制限という性格が強い報道管
制システムを制度化し、政府がそのシステムを運用していこうとするのは、彼らが主張する“メディアの
改革”ではなく“メディアの改悪”に他ならない」と指摘した。
このため、政府が報道管制を敷き、これを破ったメディアに対して直接制裁を科すという内容の首相
訓令の制定が進められていることに対し、メディア学者らは「世界のジャーナリズム史上に残る大事件
だ」と批判した。崇実大マスメディア学部のキム・サスン教授は「ジャーナリズムにおいて“報道管制”と
は、記者に対して十分な情報を提供しようとする取材源と記者の間に結ばれる“紳士協定”、という意味
を持つものだ。政府がメディアよりも優位に立ち、報道の時期を定めようとするのは理解に苦しむ」と述
べた。
また、檀国大メディア学部のソン・テギュ教授は「欧州や米国などでは、報道の時期を制限する伝統
的な“報道管制”に対し、メディアが一律に従うべきかどうかということに対してもホットな論争が繰り広
げられている。だが韓国の場合、“いつ報道するか”だけでなく、特定の内容を報道するか否かまで規
制することが“報道管制”とされ、それが乱発されている状況にある。政府がこれを制度化し、メディア
はただ政府が決めた時期に報道し、その時になって初めて政府の政策が国民に知らされるということ
を、あたかも先進的なシステムであるかのように考えること自体が、メディアや国民を無視した行動だ」
と指摘した。
■報道管制とは
取材源と記者たちの合意に基づき、特定の事案についての報道を一定の時期まで自制する、一種
の「紳士協定」だ。第2次大戦中の「ノルマンディー上陸作戦」の際、メディアは事前にこの作戦を行う
ことを知っていたが、作戦の重要性を考慮し、連合軍の「報道管制」を受け入れたというのが最も古い
事例だ。自然科学や医学の分野におけるジャーナリズムでも報道管制を敷くことがあるが、これは事
前に資料を配布し、記者がその内容を十分に熟知したり、または科学的な検証を可能にするための
ものだ。
また、米国や欧州諸国、世界銀行などの国際機関でも「報道管制」を敷くが、その際には事前に十
分な情報が提供される。一方、韓国政府は内容を知らせないまま、ある特定の事案に対して報道管
制を敷くケースが多い。報道管制は基本的に、国民の知る権利を一時的に保留する「報道規制」の
意味も込められているため、「最小限」に行うべきものだ、とメディア学者らは指摘している。
記事入力 : 2007/08/08 廉康洙(ヨム・ガンス)記者 朝鮮日報/朝鮮日報JNS