この of は構成要素説(つまり人民(の代表)から構成されるgoverment)と目的格説(つまり統治される側)が有力で、いまでも論争がある、 その、文法的な根拠は以下のように挙げました。
目的格説の根拠は ・やはり名詞表現ととるほうが文法的に自然。特に by,for で主格、目的を示しているのだから S V 構造を持つとしたほうが良いのではないか。 ・by the people, for the people, は挿入の副詞句ではなく of the people に対し等位。つまり3つでセットになっている。 ・構成要素とするのは、主格(つまり by the people)と意味がかぶる。the people が構成員であるなら the people 以外の主体に運営されるはずがない。 ・もっといえば、構成要素ととるとGovernmentは動詞的内容は持たない名詞となる。つまり動詞的内容すなわち動作であるなら構成要素などもつはずがないからだ。 その単なる名詞に対しては by the people が意味をなさない。 せいぜい「the people のそばの」という意味にしか受け取れない。 などといったところ。
構成要素説の根拠は ・民主主義の理念を表しているのだから、最初に「the people を govern すること」などと言い始めるのはおかしい。S V 構造を持つのならばその語順どおり、主語・目的語・目的の順に発話されるべきだ。 ・by the people, for the people, は挿入ともとれる。挿入句は無視してもよいはずだから、そうすると目的格説では「the people を govern することは消滅させてはならない」となり演説として意味不明。 ・by the people, の部分では繰り返しを避けて Government が省略されている。こうすれば問題はない。また政治・政府の主体が人民であるとして全く無理はない。 など。
そして私は歴史・政治思想などは本当に何も知らない門外漢なのですが、英文法から考えて government of the people の of は目的格を表し、また、the people は合衆国国民ではないか、として 当時の南北戦争の時局を考慮して 「合衆国国民を統一統治すること、それは合衆国国民が主体であり、合衆国国民の利益でなければならないのです。この統一連邦はなくしてはならないのです。」 という訳になる、としました。
685 名前:大学への名無しさん :2006/01/31(火) 03:33:12 ID:CvQuuOtt0 >こんな、リンカーンの演説を曲解したひどい説明を信じてしまってはいけません。 >日本国憲法前文に「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者が >これを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法はかかる原理に基くものである」という >一節があります。 >これは明らかに民主主義の理念を謳ったものです。 >とくに、「(A)その(=国政の)権威は国民に由来し、(B)その権力は国民の代表者がこれを行使し、(C)その福利は国民がこれ >を享受する」という部分が重要です。 >これはまさしく、リンカーンの演説「(A)人民の、(B)人民による、(C)人民のための政治」に対応する文言です。 >端的に言えば Democracy means (or is) ‘the government of the people’. なのです。 >そして、government の同意語は rule ですから、‘the rule of the people’ と言い換えることができます。対極的な例をあげれ >ば ‘the rule of the dictator(独裁者の支配=独裁者が支配すること)’ではないのです。 >民主主義とは、ずばり、‘the government (or rule) of the people(人民=国民が支配すること=国民主権)’です。これだけでも >十分意味が通じます。 >つまり「人民を支配すること」ではなく、「人民が支配すること(システム)」が民主主義なのです。by the people は具体的には選 >挙制度のことですし、for the people は当然受益者を示す表現です。 >リンカーンは、たった2分間程度だったスピーチを、『人民の、人民による、人民のための政治を滅びさせてはなりません』 という >レトリック豊かなしかも実に具体的なイメージのわく言葉で締めくくったのです。 >リンカーンの「政治 人民の…」という言葉を聴いて「人民を支配すること」なんて解釈した聴衆がひとりでもいたとはとても考えられ >ませんね。
しかし、私は実はこの of は「由来」ではないかと思っていて、なんでも名詞構文で説明しようとするとこんな勘違いをするよ、 という例のつもりだったのです。 というのもこのゲティスバーグの演説が、ダニエル・ウェブスターの1830年の演説 "The people’s government, made for the people, made by the people, and answerable to the people." そしてセオドア・パーカーの1850年の演説 "A democracy, that is a government of all the people, by all the people, for all the people; of course, a government of the principles of eternal justice, the unchanging law of God; for shortness’ sake I will call it the idea of Freedom." の延長線上にあることや、日本国憲法前文がはっきりと由来としている点からです。 しかし今ではどちらとも取れるし、どちらも正しいのでは、つまり一種のダブルミーニングになっているのではないかと考えています。
という指摘を受けて 77 :大学への名無しさん :2006/02/10(金) 11:56:11 ID:D/LgANms0 >資料ハケーン! > >ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%95 > >あのフレーズのもとネタはウィクリフの英訳聖書の序文のことばで、 >This Bible is for the government of the people by the people for the people.だった。 >つまり、神が地上を統治しており、その対象は人間であり、 >手段も人間であり、それは人間のためであって、聖書はそれに資するもの >という主張なのだ。 >リンカーンはクリスチャンで、元ネタを知ってて引用しているとするならば、 >ofは目的ととるほかない。 >the governmentの所有者は神であり、主体も神。
という書き込みに対し 80 :大学への名無しさん :2006/02/10(金) 23:59:59 ID:61iaQQml0 >>つまり、神が地上を統治しており、その対象は人間であり、 >>手段も人間であり、それは人間のためであって、聖書はそれに資するもの >>という主張なのだ。 > >もの凄い誤解。 > >the government of the people, by the people, and for the people の意味を『』内に記す。 >リンカーン(civil government):『人民の、人民による、人民のための政治(=統治)』 >従って、リンカーンの言う people は市民であり、さらに、彼の念頭にあったのは「近代市民社会の統治」である。 >なお、government by the people は、具体的には、選挙制度を意味する。
>ウィクリフ(church government):『俗人の、俗人による、俗人のための統治』 >従って、ウィクリフの言う people は俗人(非聖職者 ⇔ popes and kings)であり、さらに、彼の念頭にあったのは、 >もっぱら「教会の統治」である。 >なお、government by the people は、具体的には、聖書を ― 聖職者の専権から外して ― 俗人自らが読んで聖書律法 >を確立することを意味する。 >ウィクリフが、「宗教改革の明けの明星」と称される所以(ゆえん)は、まさに、「教会=聖職者」によるchurch government >を廃して「俗人」自らによる church government の実現を説いたことにある。 >すなわち、government (of) popes and kings に対するアンチ・テ−ゼを掲げたことである。 >ウィクリフ及びリンカーンのことばは、下記の@及びAのごとく、明快な テーゼ⇔ アンチ・テーゼ の関係をベースにしている。 > >@ (A)聖職者の、聖職者による、聖職者のための(教会)統治⇔(アンチA)俗人の、俗人による、俗人のための(教会)統治 >A (B)貴族の、貴族による、貴族のための政治 ⇔ (アンチB)人民の、人民による、人民のための政治 >(この場合、「貴族」という言葉が適切であるかどうかは定かではないが、「人民」に対立するものとして、シンボル的な役割) > >@の(A)において 「government of 聖職者」が「聖職者を統治すること」を意味せず、「聖職者が統治する」ことを意味する >ことは明らかである。 > >Aの(B)において「government of 貴族」が「貴族を統治すること」を意味せず、「貴族が統治する」ことを意味することは >明らかである。
とりあえず私は>>8-9の主張は>>10の言うように自説ありきで、論理的ではないと思います。 「government by the people は、具体的には、選挙制度を意味する」というのにも納得がいきませんし アンチテーゼが「貴族の、貴族による、貴族のための政治」であるというのも南北戦争時代のアメリカで こうしたことを前提にはしないだろう、と考えます。 アメリカにはもともと貴族はいませんし、貴族というのは言いすぎだが特権階級による政治を言いたかった、と譲ってみても それをわざわざ南北戦争時にアンチテーゼとする意味がちょっとわかりません。