【イラク人質事件】人質三人組の功績

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69右や左の名無し様
16、人質の家族に対する攻撃とは何だったか
前述した自己責任論は主に人質3人に関する論点であり、家族へのバッシングは別の論点から考えねばならない。
それは、非難側の非難する理由が「人質家族が自衛隊撤退を要求して政治的駆け引きを始めたことが非道徳的で愚かだからだ」という点である。
誰もが疑わないこの非難の正当性は、しかし相当疑わしく、また論理操作の臭いがするものでもある。

事実を述べよう。この事件で政治的な駆け引きを仕掛けたのは、唯一、犯行グループなのだ。
国内の自衛隊撤退論者の意見は「国民の意見の一部」にすぎず、今回の事件での駆け引きの主役ではまったくない。
犯行グループの『要求』と国内自衛隊撤退論者の『意見』は、自衛隊撤退という点で同一であっても、その力も内容もまったく異なる。
しつこいようだが、実際に『要求する力』があり、真の意味で『要求』といえるものを出したのは犯行グループのみであって、
国内自衛隊撤退論者は「言論の自由な世界における世論の一部」にすぎない。
つまり国内自衛隊撤退論者の論は単に『意見』であって『要求』でない。
意見にすぎないという点では人質の家族の「要望」も同じである。

しかし政府が犯人側との交渉能力を持たないために、議論の本質は犯人との交渉つまり『要求』に対する対処ではなくなった。
「テロに屈しない」という大義名分のもと、政府が交渉可能性さえ切り捨てたからである。
そして、論点は自衛隊を撤退させるかどうかという国内の意見対立に変質してしまった。
前述の通り、犯行グループは自然災害同然に見なされ論点から消えたのだ。
70右や左の名無し様:04/04/25 11:57 ID:???
17、人質家族をテロリストと同一視させる操作
犯行グループを論点から抹消した政府が実際に「敵」として交渉したのは、単に「意見」を言っているにすぎない、自衛隊撤退を求める国内勢力だった。
要するに、実際には何の力も持たない人質家族をテロリストの代理に仕立て上げたわけだ。
(「要求」と「意見」の大きな違いはあっても、表面的な内容は同一なため)
そこで政府・メディアは、人質家族をテロリストの代理だと国民に錯覚させておいて叩き潰せば、
国内に自衛隊を撤退させる声は抑えられる=テロとの戦いに勝利したという幻想を作り上げられる、と目論んだのである。

その結果、家族に対する敵視がいつの間にか煽り立てられ、
政府・メディアはテロリストに向けられるべき国民の憎悪を人質の家族に向けさせたわけだ。
そのためには、人質の家族の要望は、『家族を思う心から生まれた切願』ではなく、
『家族自身の政治思想的欲求から生まれた利己的で政治的な、テロリストと同レベルの要求』でなければならなかった。
もっといえば、人質の家族を、テロリストに仕立て上げなければならなかったのである。
71右や左の名無し様:04/04/25 11:58 ID:???
冷静に考えれば、家族が人質の救出を第一に考えて政府に自衛隊撤退を訴える、それは当然である。
家族は単に人質の救助のもっとも確実性の高い方法を求めたにすぎないからだ。
まさか家族が「テロに屈するな、自衛隊は撤退するな」とでも言うだろうか?
(仮に家族が理性的判断でそう言ったとしても、世間は冷淡だと見なし、やはりものすごいバッシングをするだろうが)
常識的に考えよう。自分の兄弟や息子が今まさに殺されようとしている時に、
その状況をもっけの幸いとばかり、自分の利己的な政治思想のために利用する輩が存在するだろうか?
人質の家族を援助した左翼グループも、もっけの幸いとばかり、この家族を道具に利用しただけなのだろうか?

ここで政府・メディアは、「人質の人命に対する家族や周囲の感情」を意図的に無視し始める。
政府・メディアの言説に操作されやすい大衆は、まるで人質の人命そのものが虚構であり、家族も周囲も含め誰も人質の人命など無視しているかのような錯覚に陥ってしまった。
そして家族やその周囲は、今回の事件を自分の政治的野心のために利用する卑しい政治思想団体としてしか世間に認識されなくなるのだ。

これは、家族が自衛隊撤退を求めたことを利用して、それを家族の思想的活動の結果というデマを作り上げ、世論が家族の味方をしないように情報工作した政府・メディアの煽動策であることは間違いがない。
例えば、一介の教師にすぎない今井氏の父親を「日教組」「自衛隊反対運動の活動家」とありもしないデマを流し、「共産党一家」とのレッテルを貼ったことなど最たる点と言えよう。
(三人の背後に左翼グループがいることは確かだが、共産党とは関係がない。共産党というわかりやすいイメージの付与が重要なのである)
しかもこのデマを流したのが政府高官筋というのが最近暴露され、念入りに偽情報を作り上げた上でのデマを流したのは明らかである。

結果、家族の政府に対する意見は人質の人命救助のためであったはずなのに、
世間には政治思想的な要求と受け取られしまい、さらには人質の家族はテロリストと同一視されてしまうという結果を招いた。
そして本来犯行グループに向けられるべき憎悪は、政府・メディアの煽動策によって、全て人質の家族に向けられたわけだ。