セシウムの広がり、群馬県境まで 汚染マップ公表
東京電力福島第一原発事故による放射能汚染の実態について、
文部科学省は11日、航空機で測定した放射性セシウムの蓄積量を
新たに6県分追加し、計18都県の汚染マップを公表した。
これで東日本各地がほぼ出そろった。文科省は西側は群馬・
長野県境、北側は岩手県南部で汚染の広がりはとどまったとみている。
追加されたのは岩手、富山、山梨、長野、岐阜、静岡の各県。
セシウム134と137の蓄積量でみると、1平方メートルあたり
3万ベクレルを超えた地域は岩手県南部(奥州市、平泉町、一関市、
藤沢町)、長野県東部(軽井沢町、御代田町、佐久市、佐久穂町)
の一部。奥州市と一関市の境、佐久市と佐久穂町の境では
6万ベクレルを超える地域があった。
岩手県南部については、事故後に放射性プルーム(放射性雲)
が流れ、そのとき宮城県北部にかけての範囲で雨が降っていたため、
飛び地状に汚染地域ができた。長野県東部は群馬県から
南下したプルームで汚染された可能性がある。
文科省は今回の調査から、天然に存在する各地の放射線量をきめ
細かく差し引く独自の試算で蓄積量を修正。その結果、新潟県では
1万ベクレルを超えた地域は大幅に減り、福島県境の魚沼市周辺の
一部になった。
文科省は1万ベクレルを超えた地域を「原発事故の影響があった
範囲」としている。群馬・長野県境付近より西では汚染が確認
されなかったことについて、「プルームが八ケ岳連峰などの高い
山々を越えられなかったのでは」と分析している。