■8.何のための常任理事国入りか?■
日本政府は常任理事国を目指しているが、それに対して米国の元国防長官ワインバーガーは次のような痛烈な批判をしたと
伝えられている。
日本における「常任理事国」推進派は、目的指向ではなくて、見栄っ張りの「ステイタス志向」に過ぎず、
他方、消極派は憲法至上主義により国際社会における応分の責務の 履行を拒否している。
いずれも国際社会にとっては迷惑千万としかいいようがない。
なぜ日本は「敵国条項」などに象徴される時代錯誤の国連を痛烈に批判して「常任理事国」入りなど拒否することにより、
国連の抜本的改革を主張しないのか。[1,p200]
常任理事国入りに関する世論調査では67%が「賛成」「どちらかと言えば賛成」と答えている。
その主な理由は「非核保有国で平和主義を理念としている日本が加わることが世界の平和に役立つ」
「日本は経済大国になったのだから,世界の平和の構築のために積極的に参画していくべきだ」である。
しかし世界平和に対してどのような貢献をするのか、明確な戦略もシナリオも主張せずに、ただ「常任理事国になりたい」では、
「ステイタス志向」と批判されても仕方がない。
また反対11%の主な理由は「常任理事国になれば、国連の軍事活動に積極的に参加しなければならなくなる」と、こちらは
まさに「国際社会における応分の責務の履行を拒否」する一国平和主義である。[3]
国連に対する勝手な幻想を抱いたまま、常任理事国の席について、求められるまま大金だけ払わされているというのでは、
わが国の国益を損なうだけでなく、国際社会にとっても「迷惑千万」である。
国連をどう改革し、その中でわが国がどういう役割を果たすのか、わが国としての責任ある主張が求められている。
http://www2s.biglobe.ne.jp/%257Enippon/jogbd_h14/jog223.html